4: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 22:59:08.91 ID:bIVoItty0
「まず石川で歌った全体曲のうち、『Yes! Party time!!』『夕映えプレゼント』『M@GIC☆』『お願い!シンデレラ』はSSAでも同じく全体曲として歌う。正確には『M@GIC☆』は全員で歌うわけじゃなく、地方で歌ったことのあるメンバーで歌うから、人数は半分なわけだが・・・パートは変わらないから、引き続き今のレッスンを続けてくれ」
「りょうかーい☆」
「次、『Near to You』は馬車に乗って歌う」
5: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 22:59:35.55 ID:bIVoItty0
「歌う曲はこれで全部?SSAでもだいぶボリュームある感じだけど☆」
「・・・まぁ、確かに十分曲数あるな。だが、まだだ」
「えっ・・・?」
6: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:00:03.67 ID:bIVoItty0
時が止まった・・・そう錯覚するほど会議室は静まり返っている。
そのまま10秒ほど経っただろうか。固まっていた心がぽつり、ぽつりと言葉を漏らし始めた。
自分で自分に理解させるように。
7: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:00:30.49 ID:bIVoItty0
「・・・さて、打ち合わせは以上だ。何か質問はあるか?」
「んー・・・?特にないかなー・・・☆」
「・・・というか、そもそもアレ以降話聞いてたか?」
8: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:01:00.23 ID:bIVoItty0
翌朝、事務所でテンション低めの心と出会う。
「おはよう、ほらウコン」
「おはよー・・・あー、ありがと・・・」
9: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:01:31.25 ID:bIVoItty0
レッスンが始まった。次のライブで歌う曲を一通り歌い、現在の習熟度を見るのが今日のレッスンだ。
心も寝不足や二日酔いを引きずっている様子はなく、しっかり声を出して歌えている。
「それじゃあ、次は『メルヘンデビュー!』にいきましょうか」
10: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:01:57.51 ID:bIVoItty0
「はい、じゃあレッスンはここまで。次からは、それぞれの曲の出来具合からレッスン時間を割り振っていくので、お願いしますね」
「はい、おつかれさまでしたー」
レッスンが終了した。
11: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:02:28.88 ID:bIVoItty0
最初の打ち合わせから1カ月半が過ぎた。
トレーナーさんによれば、どの曲も順調に進んでいる、ということだが・・・。
「問題は『メルヘンデビュー!』か・・・」
12: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:02:59.15 ID:bIVoItty0
自分が呼ばれていることに気付き、慌てて顔を上げると・・・。
「安部さん、お疲れ様です」
「お疲れ様です!えっと、お忙しかったですか・・・?」
13: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:03:30.65 ID:bIVoItty0
タイミングよく話を切り出されたため驚いてしまったが、ひとまず会議室に移動し、席に座ってもらう。
「それで安部さん、お聞きしたいこととは・・・」
「あのっ!はぁとちゃん、ナナのこと嫌いなんでしょうか!」
14: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:04:01.00 ID:bIVoItty0
「すみません、興奮しちゃいまして・・・」
「いえ、大丈夫です。」
落ち着きを取り戻した菜々さんは、申し訳なさそうにしながら椅子に座っている。
15: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:04:31.22 ID:bIVoItty0
翌日、俺はレッスンルームに向かっていた。
「しっかり話さなきゃな・・・昨日のこともあるし」
レッスンルームに着き、コンコンとノックしてから扉を開ける。
16: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:04:59.06 ID:bIVoItty0
「さて、それじゃあ打ち合わせなんだが・・・佐藤?大丈夫か?」
会議室に着き、向き合って話をしようとするも、心は未だに俯いたままだ。
「疲れてるかもしれないが、大事な話だから・・・」
17: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:05:25.09 ID:bIVoItty0
「ライブで歌わせないことになったとかそういう話じゃないから、まずは落ち着いてくれ」
なんとか心を落ち着かせようとしながら、昨日を思い出しデジャヴを感じてしまう。
まったく、この二人は・・・。
18: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:05:53.96 ID:bIVoItty0
「『相方の歌を歌う』・・・それではぁとちゃんの問題が解決するんですか?」
「ええ、安部さんに相方と認めてもらうことで、失った自信を取り戻せると思います」
「で、でもナナはそんな大層な人間じゃ・・・」
19: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:06:25.07 ID:bIVoItty0
「・・・ナナ先輩・・・」
昨日の話を聞き、しばらく黙っていた心がポツリと言葉を零した。
「ナナ先輩ってさ、はぁとがデビューした当時から人気で、すごく輝いてたんだよね。その輝きになんとか近づきたくて、がむしゃらに後追っかけてたら、ユニットまで組ませてもらえて」
20: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:07:03.09 ID:bIVoItty0
そしてついにSSA公演初日を迎えた。
あの打ち合わせ以降、俺はライブ準備で忙しく、あまりレッスンを見れていないが・・・心配はしていない。
心ならきっと大丈夫、そう思いながら関係者席でライブを見守る。
21: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:07:32.07 ID:bIVoItty0
「はーい☆今度ははぁとの番だぞ☆ほらほら、みんな引くなよ☆」
セリフで観客をさらに盛り上げながら、心が登場すると、大きな歓声が上がった。
その歓声にひるむことなく、観客を盛り上げるように歌い出す。
22: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:08:02.51 ID:bIVoItty0
ライブが終わり、撤収作業の合間を縫って心に声をかける。
「お疲れ様。どうだった、今回のライブは?」
「あ、プロデューサー!おっつスウィーティー☆見ての通り大いに満足だわー☆」
23: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:08:40.15 ID:bIVoItty0
「次は、パイセンにはぁとの曲歌ってもらうから☆そのためにもっともーっと頑張って、シンデレラガールになるくらい頑張っちゃうから☆」
「その意気ですよはぁとちゃん!でも、ナナも負けませんからねー」
一つの夢を叶えた先に、また別の大きな夢ができる。
24: ◆NVPtD76/Wg[saga]
2017/08/31(木) 23:23:03.84 ID:bIVoItty0
以上です。
SSA初日のあの衝撃に思わず久々に筆を取り、うんうん呻りながらなんとか書き切りました。
もっとも、衝撃が強すぎて記憶が定かじゃない部分があったりするので、実際のライブと違う部分があるかもしれませんが、ご了承ください。
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