女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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136:名無しNIPPER[saga]
2017/09/10(日) 21:42:30.93 ID:02n9Gv6p0
 ◇



 二番の予想は外れた。先に体調に影響が出たのは卓也のほうだった。僕は彼に肩を貸してやり、なんとか前に進んでいった。
以下略 AAS



137:名無しNIPPER[saga]
2017/09/10(日) 21:43:06.77 ID:02n9Gv6p0


 どさり、と倒れる自分の体。

卓也が隣では倒れている。
以下略 AAS



138:名無しNIPPER[sage]
2017/09/11(月) 07:43:55.21 ID:qJHVkTQho
おおう……



139:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 22:54:04.90 ID:L2VEMbba0
ひどく体が重い。全身から熱が出ていく感覚。熱い、そして寒い。

 ……限界が近い。

 それでも前に進まなければならない。人の意思を背負っているから。死んだ人間の願いを担っているから。
以下略 AAS



140:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 22:54:58.71 ID:L2VEMbba0
 ……ここで死ぬのだろうか?


141:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 22:55:33.91 ID:L2VEMbba0

 なにもできていない、成せていない。現実的になにかをするのは無理だ。帰れたところでじき、力尽きる。決して彼女を救えない。なのに……僕はなにをやっているんだろう?
 徒労であることは理解していた。卓也に言った言葉はただの嘘だと、自分が一番よく分かっている。

「でも、人が死んだんだ」
以下略 AAS



142:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 22:57:47.76 ID:L2VEMbba0
 ――こみ上げる感情がある。

 強引に周囲の草をちぎって投げた。それは風にのって漂い……ある地点で消えた。とうとう、狂ってしまったのだろうか? 発狂は当人自覚なしに行われる。なにかを根拠に正気の証明をしようとも、その『なにか』が正しい根拠がない。
 草が消えたあたりで手をかざす。そこで違和感を感じた。辺りを見渡せば踏みつけられた草があった。ここに僕以外の人間はいないだろう。そう考えると、やはり。
 だがこれも根拠がない。自分が正しい、証拠がない。
以下略 AAS



143:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 22:59:03.51 ID:L2VEMbba0

 ◇



以下略 AAS



144:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 23:00:04.08 ID:L2VEMbba0

 私は弱った小鳥を拾いました。その子は放っておけば、間違いなく死んでしまうような状況でした。だから私はその子を手当てして、元気になったあとにまた逃がしたんです。それから三日たってカラスが集まっているのを見ました。不審に思って近づいてみると、カラスは一斉に飛び立ちます。そこにはぼろのように横たわった、『なにか』がありました。それには見覚えがある傷があって、目の前が真っ暗になりました。私はそれを拾ってこの前と同じように助けようとして……。私の手の中にいる小さな生き物は、家に着く前に冷たくなっていました。私は泣きながらお墓を作ります。そして、こう思うのです。カラスに弄ばれて、苦しかっただろう、私が余計なことをしなければ、少なくともこの子は安らかに死ねていたん
だ。


以下略 AAS



145:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 23:00:38.06 ID:L2VEMbba0

 俺は子供の頃、喜んで蟻を踏み殺していた。意味もなく小さな命を潰していったんだ。大きくなって後悔した。馬鹿なことをしていたと。ずっと罪悪感があった。贖罪をしたかった。俺は正義のヒーローを目指した。俺は反省しているんだと、自分に証明したかった。いじめられているやつがいた。だから首謀者を椅子で殴りつけたんだ。そいつは耳が聞こえなくなった。皆が俺を化け物でも見るかのような目で見た。最初は周囲がおかしいと思っていた。だが大人になってからわかった。もっと取れる手段はあった。結局、俺は周囲に対する不満を怒りに任せてぶつけただけだった。過剰な正義心の、独善的な偽善者だった。俺は、謝りに行った。そいつはゴミをみる目で俺を見て、こういった。
「よかったな、これでお前は自分を許せるわけだ」


以下略 AAS



146:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 23:01:15.55 ID:L2VEMbba0
そろそろ終わります


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