【艦これ】「泊地を継ぐもの」
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201:名無しNIPPER
2017/09/21(木) 13:27:57.85 ID:yoGsi3kr0
「……アカトゥルフは手術後、リハビリを重ねながら、人間の眼球型AIコンピュータを開発するにあたって必要なデータを色々と採取されたようです。そして、それが終わると、漸く少将のもとへと返されたんですがね……」

 そこで明石中佐はため息を吐いて、ワインを一口する。

「まぁ、命の恩人とはいえ、そんな危険な手術や開発実験に差し出した少将のことをアカトゥルフはよく思ってなかったらしく、なつかなかったんですよ。あと、そもそも、呉鎮守府は猫禁止ですし……」

「ああ、聞いたことがあるなぁ。呉鎮守府が猫禁止なのは。たしかちゃんとした理由があったような……」

 と、ちょうど釣り竿にぷるると反応がきたので、ひょいと持ち上げた。小さなアジが釣れる。中佐の横で伏せていたアカトゥルフは途端に起き上がって、くれくれと私の肩を叩いた。釣り針からアジを外して手に持ちアカトゥルフに差し出すと、アカトゥルフは尻尾の方を加えてアジを受け取る。そして、ピチピチあばれるアジをバリバリ食べ始めた。

「ありますよ。艦娘の鎮守府として呉鎮が開設したての頃に、鎮守府と司令部間の情報通信を行うネットワークがダウンする事件があって、それの犯人が鎮守府内に侵入してネットワーク機器のコンセントを引っこ抜いた猫だったのですよ。それ以来、呉鎮守府は猫禁止になりましたし、鎮守府と司令を結ぶネットワークがダウンすると猫のイラストが出てくるようになったんですよねぇ。『猫る』とはまさにそう言う事です。『バグる』のエピソードと同じなんですよ」

 ああ、そうだった。うちでも一回だけ猫ったが、猫ると遂行中の任務は中断せざるをえなくなり、艦娘は退却することになる。

 あの時はいつもの豊後水道の哨戒任務であったが、大きな任務や作戦で猫るとかなりの損失を食らうことになる。

 あゝ怖い。

「それで、話を戻すと、アカトゥルフは呉鎮守府にはいられないから、私のいるここ五神島で引き取ってくれないかと少将が私に連絡をしたんですよ。たしか、今から一年十カ月前のことでした。当時、私はちと辛いことがあったので、私の高校時代の先輩である少将が心配して、アカトゥルフをかうことをすすめてくれたんですよ」



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