■■「島村卯月をはじめましょう」
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23:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:13:27.17 ID:55jPn/3I0
 自分の存在意義を否定することだと、分かっていました。
 だけど、プロデューサーさんが語る『島村卯月』の姿と、私が素敵だと思った『島村卯月』の姿。それは、魂の宿らない人工知能に出来るとは思えない。
 人間でない物が人間であるかのように振る舞う。その歪さは、私から見ても分かる。

「『島村卯月』も、演じてもらうことでアイドルとしてこの世界に出てきました。だから、今の世代の演者さんにやってもらった方が――」

 だから、それが一番だと思いました。

 黙って私の言葉を聞き終わると、ロデューサーさんは、僅かに視線を空白に泳がせます。
 そして、確かめるように頷くと、いつもよりも、ずっと低い声で告げます。

「それじゃあ、ダメなんだよ」

 諦めの混じった、悲しい声でした。

「……卯月ちゃん、アナタは、今の世界の情報を自分でも調べているよね」

 黙って、頷きます。

「その中で、今の『アイドルマスターシンデレラガールズ』に関する情報は、あった?」

「それは……ありませんでした」

 全く、ありませんでした。
 おそらくは閲覧制限のこともあるのですが――『アイドルマスター』についての情報はあっても、今の『アイドルマスターシンデレラガールズ』についての情報は、何一つありませんでした。



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