勇者「勇者なんてクソ喰らえ」
1- 20
14:名無しNIPPER[saga]
2017/07/04(火) 17:46:08.94 ID:z7qpNiwHO
移動式の住居を畳んだアイシャは、俺を荷物係にして颯爽と前を歩き始めた。クソ重い。両肩が外れちまいそうだ。俺は勇者様だぞ。偉大なアブなんちゃらの子孫なんだぞ。隷属民の狩人如きが、良い気になりやがって。
自然の前では人間の法など、まるで無力。
あー、吐きそう。

勇者「オイ! 松林に入ったみてぇだが、道はこっちであってんの!? 闇雲に進むだけじゃ、道は開けないと思うぜ!」

アイシャ「あんたを迷わせるメリットがどこにある。無駄口叩かずついてきな。今日中にパピプペポ山の麓まで行く予定だ」

ああそうだ。この女、金目当てで水先案内人を買って出たんだよな。ドライな関係だぜ!

アイシャ「あたしは6歳まで、狩人の村で暮らしてた。弓の技術から隠密行動、爆薬の調合、罠の設営に至るまで徹底的に教え込まれてさ」

前を歩くアイシャが、ぽつりぽつりと過去を話す。6歳の時にアイシャの両親が狩りでヘマして、遺族の恨みが子供のアイシャに集まったんだとか。ひでぇとばっちりだ。

勇者「村八分にされて、お前はどうやって10年以上も生きてきたんだ?」

アイシャ「必要な物資は、みんな自力で手に入れた。各地を旅して、受け入れてくれる場所がないか必死に探したよ。でも、ダメだった」

アイシャの両親が犯した罪は特殊な情報網を通じて瞬く間に広がり、災厄の子アイシャを受け入れる集落はどこにもなかったという。
面倒な過去を持ってんな、こいつ。俺は背負った荷物の重さも忘れて、暫し考えに耽った。

アイシャ「やめときな。カラッポの頭で考えても、何も思いつきやしないよ」

勇者「やかましい!」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
23Res/30.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice