【ミリオン】前略、仕掛け人さま
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11: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:04:22.20 ID:fE64C4yw0
 * * *

 クソッ……! 打ち合わせ長引かせやがって、あのディレクター。

 時間はギリギリ。せめてエミリーの最後の歌だけでも……。頼む、間に合ってくれ。
以下略 AAS



12: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:05:49.34 ID:fE64C4yw0
 
 会いたい明日へと 迷わず行きましょう

 ♪〜

以下略 AAS



13: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:06:52.54 ID:fE64C4yw0
 深々とお辞儀して、アウトロが終了した。しばらくしてから誰かが手を叩く。それが拍手だと一瞬わからなかった。慌ててそれに続く。まばらな拍手は徐々に増えていき、それは歓声と感激に変わる。ありがとうと感謝する者、お疲れさまと労う者、泣いて言葉が出ない者。反応は様々だったが、それは紛れもないエミリーにできる最良のパフォーマンスであり、最高のステージだった。

 自分は、拍手をするだけで言葉が出なかった。それは動揺からなのか感動からなのか。

 エミリーは拍手が終わるまでお辞儀を続けた。みんなはその顔を見たいのだろうが、きっとそれができないのには理由がある。顔を俯けたまま、光に反射して光りながらステージに落ちていくものがあった。何粒も、何粒も、とめどなく零れているそれは涙であろう。悲しみの涙ではなくて、喜びのなみだ。


14: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:07:43.42 ID:fE64C4yw0
 暗転し、拍手が落ち着く。

 暫くしてスポットが当たった。ステージ上にいたのはエミリーと星梨花と亜美と真美。星梨花の手には花束。星梨花が口を開く。

「エミリーちゃん! すごく、すっごく良かったです! 私、私……、あの…!」
以下略 AAS



15: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:08:38.82 ID:fE64C4yw0
「本当に、私は幸せ者ですね……」

 花束に顔を近づけて、慈しむように匂いを嗅ぐ。豪華なほど飾られたその花束はエミリーによく似合っていた。

「もう、そんなに悲しい顔してたらゴヒイキサマに心配させるよ?」
以下略 AAS



16: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:09:27.31 ID:fE64C4yw0
「本日は765プロ劇場公演にお越しくださり、誠にありがとうございます」

「皆さんも既に周知とは思いますが、私、エミリー スチュアートは本日の公演をもちましてアイドル活動を引退いたします。私がここまでくることができたのは今まで応援して下さった方々のあたたかいご声援のおかげです。日本で経験したこと、知ったこと、触れた優しさを忘れることは決してありません」

「日本が大好きで幸せでした。日本に来られて幸せでした。日本でアイドルをすることができて幸せでした。星梨花さん、亜美さん、真美さん……。たくさんの大和撫子な方々とお会いすることができて幸せでした。こうして応援されることがこんなにも嬉しいなんて……、以前の私には到底知り得なかったことです。未熟者の私を応援してくださって、支えてくださってありがとうございます。私……、とても幸せです!」
以下略 AAS



17: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:12:12.37 ID:fE64C4yw0
 * * *

 終了後に控え室へ行こうとすると音無さんとすれ違う。今はみんなとお話しているみたいですからもう少し後にした方がいいと思いますよとアドバイスをいただいたので少し時間を置いた。私服に着替え終えたエミリーが花束や紙袋を抱えながら控室から出てきたところで声をかける。

「エミリー、お疲れさま」
以下略 AAS



18: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:12:55.74 ID:fE64C4yw0
 * * *

 空港に来るのなんてあまりないからつい周りを見てしまう。エミリーから教えてもらった場所はこのあたりのはずなのだが……。

「仕掛け人さま」
以下略 AAS



19: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:14:00.37 ID:fE64C4yw0
「まだ搭乗しなくても大丈夫なんだっけ」
「はい。まだ時間はありますよ」
「………ちょっと、その辺歩こうか」

 そう提案して空港内を歩き回る。近くにあったお土産屋さんを覗いていく。富士山の置物を見てエミリーが欲しそうな顔をしていたので買ってあげた。エミリーが手に提げていた紙袋を持つ。
以下略 AAS



20: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:14:40.48 ID:fE64C4yw0
 ガラス張りになっているあたりのロビーで休もうと思ったが椅子が余っていなかったので、並んで手すりにもたれかかった。

「もうすぐ、ですね」
「そうだな……」
「あの、私、幸せでした」
以下略 AAS



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