17:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:50:49.12 ID:OXNr9JoL0
放課後。
誰かに声をかけられる前に教室を飛び出した私は、気がつけば、いつもの公園、いつものベンチに向かっていました。
その日はいつもの歌の日ではなかったけど、ここ数ヶ月間、私にとって一人になる時間というのは、ほとんどがその場所でのことだったから。
18:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:55:21.85 ID:OXNr9JoL0
「……あの、」
19:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:56:24.84 ID:OXNr9JoL0
♪
20:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 21:59:11.95 ID:OXNr9JoL0
「いつも、このベンチで私の歌を聴いてくれていますよね?」
如月千早さん、っていうんだって。
21:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:03:47.44 ID:OXNr9JoL0
まとまりのない、自分でも何が言いたいのか分からない話だったと思います。
でも、千早さんは隣にいて最後まで聞いてくれました。
ただ静かに、私の悩みとも愚痴ともつかない話を受け止めてくれました。
22:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:04:28.28 ID:OXNr9JoL0
♪
23:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:07:35.20 ID:OXNr9JoL0
千早さんと一緒に歌う?
私なんかが?
とまどう私の返答を待たず、千早さんはベンチから立ち上がります。
24:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:09:02.70 ID:OXNr9JoL0
――うぬぼれとかしたたかさも必要――
25:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:12:06.25 ID:OXNr9JoL0
最初は小さな声でした。
でも、楽しそうな千早さんにつられて、どんどん大きな声になっていくのが分かります。
多分、相変わらずちゃんと音程も取れていないと思うんだけど、千早さんはそれに対して何かを言うこともなく、私に合わせるようにして一緒に歌ってくれました。
26:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:13:47.96 ID:OXNr9JoL0
♪
27:1 ◆0NR3cF8wDM[saga]
2017/06/28(水) 22:16:26.65 ID:OXNr9JoL0
数曲を一緒に歌った後、私たちはまたベンチに座っていました。
今まで感じたことのない熱みたいなものが、まだ身体の中に残っているみたい。
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