八幡「異本・たとえばこんなバースデーソング」
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58: ◆A95oCT.s2k[sage saga]
2017/06/18(日) 19:59:02.33 ID:/+LAMdvF0
「坂本龍馬だな、『人生の目的は、出世したり、事業や学業で成功して、財産や地位・名声を手に入れることとは限らない。』

「『事を為すこととは、夢や目標を実現すること。人生で何かを成し遂げること、人生に意味を持たせることが大切だ』と言う意味が込められている」

「シンプルに言えば、『せっかくこの世に生まれてきたのだから、何か大きい目的を見つけて、それをやってやろうじゃないか』って意味だな」

 平塚先生の言葉を端折り、由比ヶ浜に分かりやすく伝える。

 歴史上の人物の名言を祝福に使うとは、材木座らしいっちゃ材木座らしかった。


「彼なりに君の誕生日を祝福しているのだろう、そう受け取ってやれ」

「中二……うん、ありがと」

 真っ赤な顔でそっぽを向く材木座に向けて、由比ヶ浜はにこやかに微笑んでいた。


「ねえヒッキー、この料理、みんなヒッキーが用意してくれたの?」

「いや、俺だけじゃないぞ、小町や雪ノ下、相模と、みんなで作ったんだ」

「ヒッキー……さがみんと仲直りできたんだね」

「……いやまぁ、仲直りっつーか、そもそもそんなんじゃないっつーか、な」

「ふふふ、ほんと、ヒッキー素直じゃないなぁ」

 由比ヶ浜が俺の顔を食い入るように見つめる……その視線から目を逸らした俺に向かい、平塚先生が俺の肩に手を添え、優しい声で言う。


「比企谷……ちゃんと自分の気持ちを言ってやれ。由比ヶ浜も、それを望んでいる」

 平塚先生のその声に観念し、少しの間を置いて俺は一言、由比ヶ浜にそっと囁いた。


「…………由比ヶ浜、その……おめで……とう……」

 間を置き、たどたどしく、俺は由比ヶ浜に伝えた。


「うん……ヒッキー……ありがとう、すっごく嬉しいよ」

 俺が顔を赤くして言った言葉に対し、由比ヶ浜は僅かに涙を浮かべながら、そう返したのだった。


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