八幡「異本・たとえばこんなバースデーソング」
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29: ◆A95oCT.s2k[sage saga]
2017/06/18(日) 18:48:25.24 ID:/+LAMdvF0
 小町が雪ノ下の手を引き、その後を俺と相模が並んで歩く。そんな感じで俺達は店を探索していた。

 しかし、女3人寄れば姦しいというのは本当のようで、時折、自分の買い物をし始める場面も幾つか伺えたが、それもまた買い物の醍醐味なのだろう、男には分からない感覚ではあるが。

 基本的に小町が先導してくれるおかげで店回り自体は非常にスムーズに行えている。

 ファンシーショップ、ブティック、雑貨屋、小物屋と、確かに多くの店を見る事は出来たが、いざプレゼント選びとなるとどうにもこれという物が無く、当初の目的はやや難航の様子を醸し出していた。

 ――そうこうして店を回る事しばらく、一旦休憩の為に立ち寄ったフードコートでの事。


「いやー、なかなか決まりませんねー」

「一通り見たけど、結衣ちゃんなら持ってそうっていうのが結構あったもんね」

「そもそも、誕生日のプレゼントを決める基準って一体何なのかしら……?」

 雪ノ下の声に小町と相模が思い思いに口を開く。

 去年を振り返るに、雪ノ下、こういうの慣れてなさそうだったもんな。


「そーですねぇ……例えば、今その人が持ってなくて、その人に必要な物とか、欲しそうな物とかですか?」

「今の由比ヶ浜さんに必要な物で由比ヶ浜さんが持ってなさそうな物……受験対策の参考書や問題集とかかしら」

「いやぁ……確かに受験生には必要だと思いますけど……」

「うち的にそれ、何か違う……」

 誕生日のプレゼントに参考書ってそれ、完全に嫌がらせだろ、好感度下げまくりも良い所だ、友達の間で悪い噂とか流されるパターンだぞ。


「とりあえず、店はまだあるんだし、もう少し見て回ってもいいんじゃねえか」

「比企谷の言うとおりだね、もう少ししたら他のお店も見て回ろっか」

 相模の声に同意するように俺達は席を立つ。

 その時、聞き覚えのある声が俺達に向けられた。


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