八幡「異本・たとえばこんなバースデーソング」
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27: ◆A95oCT.s2k[sage saga]
2017/06/18(日) 18:43:29.36 ID:/+LAMdvF0
「だけど、それに気付けたんなら、少しは前に進めるんじゃねぇのか、俺は前に進んだ事がないからよくわからんが」

「比企谷……」

「ったく、ほんとにこのごみぃちゃんは素直じゃないんだから……」

 呆れるように小町がぼやく。その姿に微笑みを浮かべながら、相模は俺達に告げた。


「結衣ちゃんの為に、うちも手伝わせてくれないかな。もう逃げたり、変に空回って落ち込んだりしないから……ちゃんとお祝い、したいんだ」

「……ええ、こちらこそお願いするわ、相模さん」

「比企谷、よろしくね」

「……おう」

「相模さん、宜しくお願いしますねっ♪」

「うん、宜しくね、小町ちゃん……って、呼んでもいいかな?」

「いいですよぉー、なんなら義妹(いもうと)って呼んで下さっても、あ、今の小町的にポイント高いっ」

「あはははっ、やっぱり小町ちゃん面白いっ」

 小町の答えに再び笑顔を見せる相模だった。

 ふと横目に葉山を見ると、安堵の表情でこちらを見ているのが見えた。

 すべてが終わったあの祭りから数ヶ月……俺達と彼女の関係は、平行線から緩やかにその角度を変え……僅かに他人以上へとなったのだった。


「では改めて、当日に何を作るのか、決めてしまいましょう」

「とーりあえず、バースデーケーキは欠かせないですよねー」

「料理はビュッフェみたいに大皿に乗ったのを好きに取る方がいいんじゃねえか、雰囲気も出る上、作る側の負担も減るし、個々の好き嫌いにも対応できる」

「そうね……じゃあ、料理はそれで行きましょう」

「あ、うち、ケーキなら前に友達と作ったことあるよ」

「じゃあ、ケーキと他のデザートは私と相模さんで担当するわね、比企谷くんと小町さんはメインの料理をお願いできるかしら」

「はーい」

「おう」

 こうして俺達の中での役割分担も終え、当日の買い物は前日に集まって済ませる運びとなった。

 周囲を見ると、そこかしこであれこれと楽しそうに議論が交わされている。

 そんな教室を見回しながら、俺は当日のメニューの献立を小町と組み立てていた。


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