4: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:34:11.20 ID:6jKTh3xi0
……ああ、なるほど、最初に感じた嫌なモノの正体はそれだったんだ。
状態の悪さ故にすぐには気がつきませんでしたが、この服はまさに。
自分がかねてより嫌いだった、大嫌いだった、おとぎ話の中の女の子。
5: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:34:51.80 ID:6jKTh3xi0
〜〜〜〜〜
(こんな気分でレコーディングをしなければいけないとは……)
6: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:35:42.68 ID:6jKTh3xi0
「どーもー、お願いしまーす……って、あれ? ありすちゃん、顔こわいよー?」
「本当ですね……。何か……気分が優れないなどでしたら、無理はしない方が……」
7: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:36:28.11 ID:6jKTh3xi0
収録を終えた周子さんと入れ違いに、レコーディング室へ足を踏み入れます。
スタッフさんとの会話は1つ2つ。ヘッドホンを装着し、前を向くと、周子さんのために上がっていたマイクが、私のために下がってきてくれます。
「お願いします」
8: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:37:10.64 ID:6jKTh3xi0
反射的にヘッドホンを外し、床にうずくまります。何が起きたのか理解するためには、頭が全く回ってくれなくて。
「うぅ……」
9: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:37:44.13 ID:6jKTh3xi0
まだ多少、朦朧とした意識で、音の出所を探ると、手に持ったヘッドホンへ辿り着きました。
本来なら耳に当てないと聞こえないはずの音が。こんなに離れた場所からは届くはずのない音が。
その部屋にいる全員の耳へ運ばれていました。
10: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:38:13.29 ID:6jKTh3xi0
「ちょっと! なんであんなに上がってるん!? 危ないでしょ!?」
周子さんがスタッフに詰めよりますが、当のスタッフも当惑した表情を隠せない様子です。
それもそうでしょう。人によって差はあるものの、1人目が収録した時の音量をリセットするなんて非効率的です。
11: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:39:11.81 ID:6jKTh3xi0
〜〜〜〜〜
翌日。気を取り直して……というわけではありませんが、なるべく昨日のことは気にしないように、事務所へ入りました。
すると、人形の前に1つ、人影が。
12: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:39:58.72 ID:6jKTh3xi0
普段なら一声、挨拶を掛けてから、通り過ぎて奥へと向かうところではあるのですが、今日、それは2つの理由によってできませんでした。
1つ目、この後のお仕事がフレデリカさんと一緒であるということ。
いくら人形の傍にいたくないからといって、ここでフレデリカさんと会話をしないのはあまりにも不自然です。
そして2つ目、これがどちらかといえば大きな理由なのですが。
13: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:40:39.86 ID:6jKTh3xi0
フレデリカさんが言った"この娘"が誰を指しているのかなんて、考えるまでもありません。
"見たくない"という恐怖心は、少しの怖いもの見たさという好奇心と、"確かめなければ"という表現しがたい義務感によって敗れ去りました。
返事をしながら人形の、その目に視線を移すと、その色は。
14: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:41:17.93 ID:6jKTh3xi0
〜〜〜〜〜
「フンフンフフーン♪」
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