4: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:34:11.20 ID:6jKTh3xi0
……ああ、なるほど、最初に感じた嫌なモノの正体はそれだったんだ。
状態の悪さ故にすぐには気がつきませんでしたが、この服はまさに。
自分がかねてより嫌いだった、大嫌いだった、おとぎ話の中の女の子。
アイドルになって、ちょっとは馴れたつもりでも、やっぱりこの名前は好きになれなくて。
この人形が"それ"だとわかった途端に、なんだか酷く、互いに敵意を向けているかのような、そんな感情が湧き上がってきてしまいました。
「……下らないですね。どうせ捨てられるだけの人形でしょう」
どこか言い訳するように吐き捨てた私は、困惑した表情を浮かべる皆さんを尻目に、その場を去ろうとします。
少し、空気を悪くしてしまったであろうことを、心の中で謝りながら。
そのまま立ち去ろうと人形から目を切った刹那。
「……あっ……!」
雪美さんが、普段より少し大きな、ちょっと驚いた声を出しました。
……その声の向きは、私……ではなく、人形。
「あっ……耳が……」
薫さんは逆に、いつもより小さな、ちょっとだけ怖いというニュアンスも含んだ声。
再度人形に目を向けると。
「耳が……取れてる……?」
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