19: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:44:32.75 ID:6jKTh3xi0
〜〜〜〜〜
事務所へ向かう足がどんどん鈍いものになっているという自覚はあります。
思わず立ち止まってしまうことがあります。
20: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:45:15.66 ID:6jKTh3xi0
取れた耳。
赤く染まった目。
21: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:45:45.84 ID:6jKTh3xi0
「さてさて〜! こっちから順に、親指〜、人差し指〜、中指〜、薬指〜、小指!」
「1つ1つは無臭なんだけど、全部に塗ったらそれはそれはハッピーで、思わずトリップしちゃう香りに!」
22: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:46:32.69 ID:6jKTh3xi0
「次は橘さん、どうぞ」
「……」
23: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:47:23.89 ID:6jKTh3xi0
まずは、親指用のマニキュア。
封を開けて、さて塗ろうかという、その時に。
「待って」
24: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:47:56.92 ID:6jKTh3xi0
まただ。まただ。まただ。
偶然じゃない。偶然じゃない。偶然じゃない。
25: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:48:37.69 ID:6jKTh3xi0
(早く、早く、逃げなきゃ、逃げなきゃ!)
何から逃げているのかなんてわかりません。
安全な場所があるのかなんてわかりません。
26: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:49:31.37 ID:6jKTh3xi0
周囲から聞こえる悲鳴。
視界の隅に、ほんの端っこに、その物体が、今にもぶつかりそうな。
今度は頭も働きません。避けるとか、そんなことも考えられず。頭の中にはモヤばかり。
27: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:50:10.11 ID:6jKTh3xi0
ガッッッ!!!
大きな後ろからの衝撃が、私の体を前に押しました。
地面を何度か転がるように、視界が回ります。でも、なぜか痛みは少なくて。
28: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:50:49.13 ID:6jKTh3xi0
思えば、よくもまあ体力が続くものです。ここまで一心不乱に走ってきたのに、今度は逆戻り。
でも、そんなことは頭の片隅にもありませんでした。
どうにかしなきゃ、どうにかしなきゃ!
29: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/06/14(水) 22:51:26.69 ID:6jKTh3xi0
どれくらい走ったろう?
行きより長かったのか、短かったのか。
いやもちろん、同じ長さであることは間違いないのに。
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