佐久間まゆ「瀬をはやみ、ですよ」
1- 20
1: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:17:58.04 ID:msBbbnVco
劇場版名探偵コナンから紅の恋歌絶賛放映中SS

SSWiki : ss.vip2ch.com



2: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:18:33.83 ID:msBbbnVco
「まゆ。……俺は君の担当Pを外れる」

 当たり前だと思っていた時間は、不意に終わりを告げました。

「どういうことですか……プロデューサーさん」
以下略 AAS



3: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:19:30.55 ID:msBbbnVco
「後任は信頼できる後輩に任せてある。だからまゆの活動に支障は」

「まゆも……アメリカに行きます」

「! それは……ダメだよ。まゆは日本に、残るべきだ」
以下略 AAS



4: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:20:10.65 ID:msBbbnVco
「はぁ……」

 自室に戻った私は倒れこむようにベッドに横になりました。別に体力的に疲れていたわけじゃないですが、心が重りになってそのまま私の足取りを鈍くしているようで。だけど流した汗をお風呂で流したいと思っていました。少しでもスッキリすれば、冷静に今後のことも考えられるはず。ゆっくりと立ち上がって浴場に行こうと準備していると扉がトントンと叩かれました。

「まゆはん、おばんですー」
以下略 AAS



5: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:21:15.41 ID:msBbbnVco
「百人一首ですか?」

「正解。平兼盛が歌った恋の歌どす。その顔見るに、意味は分かってはるみたいやねぇ」

「ふふふっ。紗枝ちゃんには、適わないですね」
以下略 AAS



6: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:22:29.78 ID:msBbbnVco
「そないなことがあってんなぁ……」

 紗枝ちゃんは私の話を黙って聞いてくれました。口にして誰かに話すことで、私の中の澱みが少しでも消えたような気がします。鏡を見ると、さっきよりかは幾分かましな顔をしていましたから。

「まゆはんは……答え、とっくに出しとるんちゃいます?」
以下略 AAS



7: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:23:03.78 ID:msBbbnVco
 この想いは一方的なものです。あらゆることにおいて、私はプロデューサーさんが喜ぶような行動を選んできました。しのぶれど、と言われましたが私は常に忍ぶどころか見せつけていたようにも思えました。例え彼が何も答えてくれなくても、一度たりとも私の望む言葉を言わなくても。私にとっては幸せな時間だったから。

 だからこそ、離れ離れになった時私が私で無くなるような気がしてしまったんです。それほどまでに、佐久間まゆという女の子は彼の色に染まっていたんだから。別れる時が来るなんて、思いたくなかった。

「まゆはんの想いが薄れるなんて、そないな冗談言ってしまうくらいやなんて。プロデューサーはんもいけずなお人やなぁ。今度お説教せなあきまへん」
以下略 AAS



8: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:24:40.97 ID:msBbbnVco
「第三者視点から見て、の話どす。きっとプロデューサーはんも、まゆはんと同じやろうし。せやねぇ、こういう時は……瀬をはやみ、どすえ」

「ネオ速水?」

なんでか分かりませんが頭の中にとても筆舌にし難いシュールな映像が流れた気がします。
以下略 AAS



9: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:25:21.34 ID:msBbbnVco
「今までお世話になりました!!」

 プロデューサーさんがアメリカへと旅立つ日が近付いてきました。その間、プロデューサーさんが気を使ってなのか私と接する時間はほとんどありませんでした。少しの間だったのに、それすらも永遠のように思えて。これから本当に離れ離れになってしまったとき、私はどうなってしまうのか……本音を言えば、自分でも怖いです。

「プロデューサーさん、少し……歩きませんか? 会えなくなる前に、伝えたいことがあるんです」
以下略 AAS



10: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:27:02.50 ID:msBbbnVco
「瀬をはやみ、ですよ」

「……!」

 まゆとプロデューサーさんが離れ離れになって会えないとしても、運命の糸はきっと繋がっているはずだから。たとえ何年、何十年掛かったとしても。
以下略 AAS



11: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:27:45.16 ID:msBbbnVco
「! プロデューサー……さん……」

「ま、まぁ。そういうことだからさ。少しの間、待っててくれよ?」

 そう言って彼は小指を立てました。恥ずかしそうに背けた顔はほんのりと赤くなっていて、私もそれに倣って小指を立てます。まるでダンスレッスンみたい。目には見えなくても、確かに私たちは繋がっている。川の瀬の流れが速くて、岩にせき止められた急流が2つに分かれたとしても。いつかはまた、一つになる事が出来るのだから。
以下略 AAS



12: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:28:39.02 ID:msBbbnVco
以上です。お付き合いいただきありがとうございます


13:名無しNIPPER[sage]
2017/06/03(土) 16:08:21.73 ID:cmC0Ur+6o
崇徳院ってことは最期は怨霊に


13Res/10.25 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice