ハルヒ「古泉くんの子どもだったらあんな放蕩息子に育ってないわよ」
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107:名無しNIPPER[saga]
2017/05/31(水) 18:55:44.66 ID:LYacroRjo

音が聞こえたと見当をつけた辺りの角で、獣の荒い息遣いが聞こえ、
そろそろと先を警戒しながら顔だけを出すと、
目の前で男性が野犬に押し倒され、今にも食いつかれそうになっていた。

野犬といっても、動物園で見たことのあるライオンくらいの大きさだ。

サキ「――うおおっ」

落ちていたガレキのブロックを火事場の馬鹿力で持ち上げ、野犬の脳天に叩きつけた。
嫌な手ごたえと共に痛恨の悲鳴を上げて、野犬が奥の方へ跳ねて転がる。

起き上がって唸る犬から目を離さずとっさに姿勢を低く、遊びを残し小さくして向き合う。
歯茎から恐ろしげな牙をむき出して、近づいてくる野犬。
溜めをつけて飛びかかってきたところに、火球がさく裂した。

わたしの後ろから、倒れていた男性が放ったのだ。
息絶えた野犬が霧のようになって消滅していくと、
そこにはスーツ姿の女性が意識を失って倒れていた。

多丸圭一「ありがとう。おかげで助かった」

サキ「大丈夫ですか?」

上半身だけ起こしていた、白髪まじりの男性のそばに膝をつくと、

多丸圭「君のほうこそ。何が起きたか信じられないかもしれないが……」

なんとタクシーの運転をしていた人だ。被害者と間違えられたらしい。

サキ「新しく入った小坂と言います。
   長い時間、タクシーで送ってくれてありがとうございました」

男性は思い出したように、

多丸圭「そうだ、君か。しかし、まだ訓練中と聞いていたが」

サキ「ごめんなさい。役に立ちたくて、勝手に来たんです」

多丸圭「ふむ? これは驚いた」

目を見開く男性に、向こうから声が飛んできた。

多丸裕「兄さん!」

この人の弟さんらしい、壮年の男性だった。



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