ハルヒ「古泉くんの子どもだったらあんな放蕩息子に育ってないわよ」
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108:名無しNIPPER[saga]
2017/05/31(水) 19:00:58.46 ID:LYacroRjo


わたし達は地下街の、噴水のある広場を目指して歩いている。
閉鎖空間では携帯も無線も使えないので、時間を決めて集合する段取りになっている。

多丸裕「君が来てくれなかったら、兄の命はなかった。小坂さん、本当にありがとう」

女性をおんぶしながら、多丸裕さんが温かな笑顔を向けてくれた。
わたしは足をケガした多丸圭一さんに肩を貸しながら歩いている。

わたしは会釈して、

サキ「……敵はあとどれぐらいいるんでしょうか」

あまり話したくない。情報の把握だけに努めていたかった。

多丸圭「そう多くはないはずだ。
    詳しくは他の奴に聞いてみないと分からないが、相当倒したから」

多丸裕「今回は企業の会議中にでも感染したのか、被害者の数は多くて。
    しかも一か所の閉鎖空間に敵が次から次へと現れた。
    データが削除されない限り、感染者は増える一方だからね」

サキ「そのデータは…」

多丸圭「もう削除されたんじゃないだろうか。
    TFEIの方の仕事なんだが、最近は相手の防護がキツいらしいけどね」

二人とも苦戦されたはずなのに、こんな話を明るい調子で話している。

多丸裕「それにしても能力が使えないのに閉鎖空間に飛び込んでくるなんて、
    君は無茶というか無鉄砲というか」

多丸圭「そうだ。しかも初陣にして大活躍とは……。
    君は強くなるよ。何、能力なんてある日突然使えるようになるもんだ」

通路に陽気な笑い声がこだまする。
幾ら二人能力者がいるといっても、もっと警戒したほうがいいんじゃ……。

多丸兄弟のお二人が、わたしに感謝してくれていて、規則を破ったわたしをかばうために、
陽気にふるまってくれるのは素直に嬉しかった。

でもわたしは噛み締めたままの口を開くことができなかった。
手のひらに突き刺さりそうなほど粗い断面のブロック。
それを全力で振り下ろした瞬間の、腕から肩に、そして背筋に伝わった殺生の感覚。
幼い頃、興味本位に昆虫をなぶり殺した思い出したくない感触。

むしろ逃避から、柊さんにぶたれたいくらいだった。



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