53: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/20(木) 01:25:11.81 ID:RzQS9TXiO
「ひゃっ!…びっくりしたぁ、割れるかと思いましたよ。」
うちの鎮守府は建物が古くて、こんな日は時折窓がガタつきます。
業者を入れての工事も進めてはいるのですが…運営しながらではなかなか追い付かなくて、今でも雨漏りの報告がちらほらと。それは執務室も例外では無くて。
54: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/20(木) 01:26:40.21 ID:RzQS9TXiO
背中の火傷の痣に、脇腹や肩に走った、恐らく破片が掠ったであろう傷跡。
引き締める方に鍛えられた体と相まって、それは随分と痛々しく見えました。
この時青葉は、確信を得たのです。
この戦争が始まった時、やはり彼は最前線にいたのだと。
55: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/20(木) 01:28:51.89 ID:RzQS9TXiO
「……まだ拭ききれてない、君も濡れてしまうよ?」
司令官の体温は、とても低いものでした。
濡れた肌は一層冷やされていて…それはこの前亡くなった仲間の遺体の冷たさに、よく似ていて。
56: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/20(木) 01:29:24.62 ID:RzQS9TXiO
今回はここまで。
57:名無しNIPPER[sage]
2017/04/20(木) 01:38:53.30 ID:klMY3fOyO
乙。文体からもしやと思ったが、北上SSの人か。ありゃ素晴らしかったよ。
58:名無しNIPPER[sage]
2017/04/20(木) 03:41:55.24 ID:jlyfMXxDO
新作乙です
今作も引き込まれてしまいますぅ
59:名無しNIPPER[sage]
2017/04/20(木) 13:55:12.45 ID:I6R8+BjA0
乙です!
60: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/24(月) 06:46:22.94 ID:Def+eai0O
あの日からも、司令官と青葉の間は何も変わりませんでした。
まるであの日だけ切り取ったみたいに、お互いそれ以上は触れないまま。
でも青葉は、改めて決めました。
吐き出せないのなら、吐き出したくなるぐらい近くに寄るんだって。記者は追っかけるものですから。
61: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/24(月) 06:47:30.54 ID:Def+eai0O
『お疲れ様です!司令官、_日はご予定はありますか?』
『お疲れ様。その日は予定は無いけど、何かあったかな?』
よしっ…!
62: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/24(月) 06:49:44.25 ID:Def+eai0O
それであれよあれよと言う間に、その日がやってきました。
こっそりと行きたかったので、待ち合わせは敢えていつも使うバス停で。
あまり人に見られても、司令官の迷惑になっちゃう気はしたので。
…それに、鎮守府以外で待ち合わせって、良いじゃないですか。デートっぽくて。
63: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/24(月) 06:51:48.83 ID:Def+eai0O
いつも街に出る時に乗るバスも、今日の車窓からの景色は何だか新鮮に見えて。いつもより色付いて見えました。
きっと、隣にいる人のせいでしょうね。
司令官はと言えば、いつもの微笑。
相変わらず感情は見えにくいけれど…でも今日は、いつもより機嫌は良さそうで。気のせいでなきゃ良いなぁなんて。
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