文才ないけど小説かく 7
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198:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 2/9[saga]
2016/07/01(金) 00:05:43.90 ID:Uf2E1B1ho

 仕事の休みは三日しか取れなかった。そもそも長居するつもりもなかったし、到着した日は実家でくつろぎ、翌日に
母校での同窓会。その日のうちに「家」へと帰り、三日目は家族サービスでもしよう。そんな算段であった。
「おお、懐かしい顔が揃ったな」
 子供のころは果てしなく広く感じた、今となっては手狭ささえ覚えるグラウンド。集合場所であるそこに最後に現れ
以下略 AAS



199:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 3/9[saga]
2016/07/01(金) 00:06:43.63 ID:Uf2E1B1ho

「ああ、久しぶり」
 幾つになっても黒髪の似合う女だな。真っ先に思い浮かんだのは、そんな感想だった。
「あら、そっけないお返事。会えて嬉しくないの?」
「いや、そんなことないさ。だけどお互いもうわいわい騒ぎ立てる歳でもないだろ?」
以下略 AAS



200:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 4/9[saga]
2016/07/01(金) 00:07:53.77 ID:Uf2E1B1ho

「うわぁ、いい眺めだなぁ」
 校舎を一通り巡り、懐かしさを高めた私たちが最後にたどり着いたのは、高い建物のないこの町を一望できる屋上で
あった。一望と言ってもそもそも校舎自体が二階建てであるため、見渡せる先もたかが知れているのだが。
 しかし、それでもクラスメイトの言う通り。緑が広がるこの風景は、マンションの屋上から見える灰色の景色に比べ
以下略 AAS



201:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 5/9[saga]
2016/07/01(金) 00:09:14.76 ID:Uf2E1B1ho

 「私」がまだ「俺」だったころ。
 家が近くでよく登下校を共にしていた黒髪の似合う彼女は、ある日の帰り道にこんな話をしてくれた。 
「ね。ね。知ってる? ななしのラムネ様のうわさ」
 日差しが強い夏の日だった。少ない小遣いでも買えるラムネを握りしめていた俺は、自分の手の中のそれと彼女の顔
以下略 AAS



202:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 6/9[saga]
2016/07/01(金) 00:11:43.13 ID:Uf2E1B1ho

 「俺」は年頃の少年であった。ならばこそ、色恋沙汰に関心を持っていたのも道理というものだ。
 「そうなんだ」なんて興味のないふりをしながら、内心ではすぐにでも試してみたくてしかたなかった。というのも、
そこに書きたい名前のアテがあったからこそ、なのだが。
 善は急げを体現するがごとく、その翌日にはすぐさま実行に至った。彼女にはいつものように一緒に帰ろうと誘われ
以下略 AAS



203:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 7/9[saga]
2016/07/01(金) 00:13:04.09 ID:Uf2E1B1ho

「わ、いい風」
 私の視界の中で、彼女の黒髪が揺れる。
 あの日から。ななしのラムネを見つけたあの日から、「俺」が意中の相手と両想いになれたのかは、わからない。
 わかるのは、結局その相手とはなんら進展することもなく、小学校も中学校も高校も卒業し、「俺」は東京の大学へ
以下略 AAS



204:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 8/9[saga]
2016/07/01(金) 00:13:48.01 ID:Uf2E1B1ho

「え?」
 聞き返す私を、面白そうに見つめる彼女。
 蝉の声が、クラスメイト達の声が、風の音が、遠くなる。
 言葉を何度か咀嚼して。
以下略 AAS



205:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 9/9[saga]
2016/07/01(金) 00:14:17.62 ID:Uf2E1B1ho

「――そう、なんだ」

 それでも、平気な顔を保てたのは。

以下略 AAS



206:ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 10/9[saga]
2016/07/01(金) 00:14:43.31 ID:Uf2E1B1ho
以上、投下終了です


207:名無しNIPPER[sage]
2016/07/01(金) 02:49:07.50 ID:3LWxxECj0
転載しておきました
text-poi.net

たぶんこれで問題ないはず


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