479: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/21(火) 01:21:13.75 ID:ysHzmTm8O
「……これ、色はシエルが選んでくれたの?」
掌を向けた私の手に乗せられているのは、シアンカラーのヘアクリップ。
空の解放感とどことない不安が同居したその色合いは、シエルの神機に配されたパーソナルカラーと共通している。
480: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/21(火) 01:22:19.85 ID:ysHzmTm8O
「私のせいでみんなから信用を失うことはあっても……その逆はないよ」
言い切った私の見据える先には、苦々しく眉根を寄せるシエルがいた。
不快感というより、不安が強く出た表情。
481: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/21(火) 01:26:41.95 ID:ysHzmTm8O
それでも、己の意志を変える気にはなれなかった。
ただ意固地になっているだけだったとしても、あくまで自身が主張する分は。
「……折れるつもりがないのなら、ひとまずは置いておきます」
482: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/27(月) 02:33:09.44 ID:InYfLZS3O
実務上では理性的な判断に富むシエルも、人間関係、特に"ブラッド"に関する事ならば、こうも感情的になってしまう。
副隊長を任せられる実力はあるけど、彼女も隊の中では最年少なのだ。
こうして年相応な面も見せてくれるシエルだからこそ、私も出来れば伝えずにおきたかった。
483: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/27(月) 02:36:51.59 ID:InYfLZS3O
「……そうだね、私もシエルの言う通りだと思う」
「……え?」
484: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/27(月) 02:44:55.81 ID:InYfLZS3O
あのまま協力させる体で話を続けたところで、彼女は首を縦に振らないだろう。
かといって、自分の状況を鑑みてか、否に傾き切っているわけでもない。
ならば、やり方を変える。
というより、元から無謀なものとして、賭けに出るしかなかった。
485: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/27(月) 02:45:42.81 ID:InYfLZS3O
ここまで
ノロノロしてたらついに漫画版に追い抜かされてしまった……
486: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/31(金) 01:27:14.56 ID:RMLcSQ8bO
「……シエルの洞察力と、"直覚"が大きな障害になるって考えたことは、否定しない」
「でも、あなたが優秀なだけじゃ、きっと打ち明けられなかった」
「私が今みたいに包み隠さず話せるのは……シエルが友達だから、だよ」
487: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/31(金) 01:29:39.59 ID:RMLcSQ8bO
「……一つ」
震えた唇が、決着を告げる。
……いや、まだ終わってはいないか。
488: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/31(金) 01:32:59.02 ID:RMLcSQ8bO
シエルは、すぐには応じなかった。
たった少しであろう間を何倍にも長く感じながら、私は彼女の答えを待つ。
「……ずるいです、本当に」
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