486: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/31(金) 01:27:14.56 ID:RMLcSQ8bO
「……シエルの洞察力と、"直覚"が大きな障害になるって考えたことは、否定しない」
「でも、あなたが優秀なだけじゃ、きっと打ち明けられなかった」
「私が今みたいに包み隠さず話せるのは……シエルが友達だから、だよ」
少し、卑怯な言い回しだとは思う。
だけど、言葉自体に偽りはない。
彼女が利害を超えて信頼できる友人でなければ、この一連の思惑は生まれなかっただろうから。
「……私、は」
狭められたシエルの瞳が、情に揺れる。
せめぎ合いだ。
明白な現状維持か、不確かな抵抗か。
生じた迷いを情動として切り捨てる事に対しての躊躇が、彼女を苦しめている。
「すぐに決められないなら、今じゃなくてもいい」
顔を伏せ、逡巡する段階のシエルに、私が手を出せる謂れはない。
そもそも彼女を追い詰めているのは、他ならない私自身だ。
彼女に一任すると決断した以上、己の意思では動かせない。
534Res/441.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20