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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
- 235 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/16(木) 21:50:26.07 ID:phMFLjPA0
- >>234
【短く切り詰められた眉が顰められる。あなたは本当に優しいのにどうしてそんなこと言うの】
【そう言いたげだった。その顔は見えるんだろうか。靄の中にいたとして。――どうでもよかった】
【だから、微妙な表情の変化なんかよりもっとはっきり見えるように。首を横に振って見せて】
うん。する。…………あのね、あたしね、手足もがれて死んだんだ。
それをビデオに撮られてネットにばら撒かれてたの、8年間ずっと――――
だから今更晒し首なんて、……気にしないって言えばウソになるけど。でも平気。
あたしのやること、正しいも間違いも関係ないの、あたしがやりたいって言うからやるの。
【しかめっ面もやがては困ったみたいな笑顔になるのだろう。泣いてる子をあやすお姉ちゃんの顔】
【あたしこう見えても弟分とか妹分とか、けっこう居たんだよ。教えてあげたいよ。だからそんな顔しないで】
【しないでほしいから――悲しい顔して笑ってるんだろう。きっと。「…………本当はね」、教えてあげるよ、】
ううん、……あたし実はね、…………ホントは何も好きじゃ、ないのかもしれないんだ。
ただ、もう、疲れちゃったの。嫌いって言って泣き喚いて何かを憎むの、疲れちゃった。
諦めてるだけなんだよ。あのね――さっき言ったでしょ、あたしの死に様、ネットでばら撒かれてどうのって――
あたしその動画の中でたくさんたくさん助けてって、ごめんなさいもうしません許してくださいって、泣き叫んだの。
でも誰も助けてくれなかったし、許してくれなかったし――ましてやそれを見て、バカみたいって笑う人だっていたの。
だからね、「わかった」。期待するだけムダなんだって理解したから――何かを嫌いって言うの、やめただけ。
ぜんぶぜーんぶ好きってことにしとけば、ラクだから。恨んだり憎んだりするのは、あたし苦手だから。
【――ぜんぶ本当のこと教えてあげる。つまるところ博愛主義者の仮面を被った、誰よりひどい厭世家だってこと】
【受け入れるフリして諦めてるだけなんだって。それを愛してるって言っていいのか、本当はわかっていないんだって】
【本当はこんなに非道い女の子なんだってこと、あなたにだけ教えてあげるから。旦那様にも教えたことないんだよ?】
苦手だし、疲れるから、好きってことにしてるの。雨も、バスも、ピーマンも、全部――――
【だって、】
――――――――――全部愛してる。だから鈴音は、あたしの、
【「ともだちだよ」。 ――――彼女から告げられるファイナルアンサーはそれだった。それはとても卑怯な手法で】
【好きとも嫌いとも言ってない。靄が出ているのをいいことに、回答までもを煙に巻いた。だけどそれはどこまでも】
【どこまでもどこまでも――真実だった。だって現に今、世界中であなたにだけ本当のこと教えてあげてる】
- 236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/16(木) 22:58:32.44 ID:6z+14K+X0
- >>235
【彼女はずっと俯いていた。眼差しは"こう"なってから一度も合っていなかった。だから口元の仕草ばかりを見せていた。なら、たぶん、赤い靴しか見ていない】
【あるいはそれすら恐れ多くて、地面の草でも見ているのかもしれない。――だから泣きたくなった、教えてくれたこと、教えてもらったこと、そんなのあんまりに敵わない】
【だってわたしがされたのは結局どこまでも個人的な出来事でしかなかった。何度かあった死を積み上げてみたって、貴女のいるところには届きやしないんだと(わかっちゃうから)】
【今すぐ消えてしまいたかった。神様は乗り越えられない試練を与えないなんて嘘だった。自分が乗り越えられなかったものを乗り越えてゆく人たちを、世界はそれから目を逸らすなって意地悪を言う】
【誰からも同情されてしまえる弱者になってしまえたならどれだけ良かったのだろうって思ってしまう。だって優しくないから。優しい子はこんな風に思わない。思うはずない。だって、優しいから】
――――――――、、
【――嫉妬に狂いかけた歯列が軋む音がした、獣みたいな醜い吐息を漏らさずに済んだことだけが一生のうちで一番誇れる出来事なのに違いなかった。だとしたら】
【ふわふわのお洋服はどこまでも死に装束、一生懸命に何か隠そうとする薄霧すら死に化粧に過ぎず、なら最後に全部燃えてなくなっちゃって終わるから、畑に撒いてしまってほしい】
【そしたら今度こそ世界を滅ぼしてみせる。人間が大好きな犬ならお花を咲かせてくれるけど、人間が大嫌いな蛇だから未来永劫一ツだって花なんて咲かなくしてあげるって】
【もっと深く俯くのなら、あるいはそのまま座り込んでしまいたいのかもしれなかった。子供みたいに振る舞うには、少し、大人になりすぎてしまったけど】
どして、
【だから彼女は沈黙を返した。それが一秒でも十秒でも一分でも百分でも七分でも十三秒でも何でもよかった、彼女の中で「なにか」が終わるだけの時間、それだけの時間を沈黙し続けて、】
【そしたらもしかしたら百年だって待たせてしまうのかもしれなかった。――そんなはずなかった。だって百年も大事な貴女を隠し続けたなら、わたしはやっぱり許されないから】
【だれかを怒らせてしまうまえに言葉を返してあげる、――だとしても、なにか不明瞭なノイズとよく似ていた、長い前髪に委ねたままの表情が何かを訴えていた、付点四分休符いっこ、】
――――――――――――――――――――――――――――っ、かんないよ、なんで、やめちゃえるの!?
なんで、……、なんで、…………、ずるい、……ずるい! わたし、だって、――――――――――――わたし、だって、
【"睨みつける"視線が、けれどひどく濡れていた。だから視線なんて涙のせいで乱反射、どっかに飛んでっちゃって、貴女に届くころにはうんと弱くて、ちっとも怖くない】
【泣いてしまっていた、そうして初めて目線がきちんと向けられた。そして訴えるのなんてやっぱりちっぽけな言葉、うらやましいって言いかえることも知らない、子供みたいな嫉妬】
【だって苦手なことだって我慢しないといけないんじゃないの? ――そうやって信じて我慢していた。――我慢するのをやめたらやはり分かりきっていたことになった、ゆえに】
【嫌い/苦手だからってやめてしまえること、やめてしまうことができること、わかんないしわかれないみたいに。だから魔法を使っているみたいに見えた、なんでもできちゃう魔法に見えたら】
【――――ずるい、って、また、繰り返す。言葉にならない「ずるい」のなりそこないも。かわいそうに死産した言葉の亡骸は見せつけるほど多くはなら/なれなくて、だから、】
わたしを、
【(不明瞭な声のくぐもり、)(いいこにしないで/えらいこにしないで/すごいこにしないで)】
【(誰かに何かあげるのはわたしが何か欲しいからなの)(誰かに優しくするのはわたしが優しくしてほしいからなの)(誰かに笑うのはわたしが笑ってほしいからなの)】
【(誰かに食べさせてあげたご飯はいつかのわたしが食べたかったご飯だし)(誰かに掛ける言葉はいつかのわたしが掛けてほしかった言葉だし)(わたしの全部はわたしがしてほしいことでできてて)】
【(それをいいことだって、えらいことだって、すごいことだって言われたら、どうしたらいいのか分からないの)(――きれいじゃないわたしを閉じ込めてしまう音)(厳重に鍵をする音)】
- 237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/16(木) 22:58:49.24 ID:6z+14K+X0
-
………………………………ほんとに?
【――だから、もしかしたら、友達だっていないのかもしれなかった。だって、好きって言ってもらえないと、その人への好意すら正当化できないのに、】
おともだちになって、くれる、の、?
【お友達なんて関係は不明瞭が過ぎて、だから、(だから?)(言い訳)(怖いだけ)(甘えてるだけ)(本当に?)(たぶん、ほんとうに)】
ほんとうに?
【だからやっぱり笑っていた。――それでもさっきよりはいくらも人に見せられる顔をしていた、】
本当に?
【本当に。】
- 238 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/16(木) 23:14:09.20 ID:phMFLjPA0
- >>236
【相も変わらず笑っていた。怒られたって、嫉まれたって、怒鳴られたって、平気】
【そんなことよりもっと怖いの、知ってるから――いつかこうやって、あたしたち喧嘩したことあったよね?】
【あの時はあたしが怒鳴ってた。そしたらあんた、怖がって、泣きそうになって、震え上がってしまったから】
【――――だからそっちのほうがよっぽど怖かったよ。あんたがあたしを恐れて、二度と会えなくなるほうが余程】
さあ――――なんでだろ。……鈴音ほど、まじめじゃなかったからかな。
本当は、心の底から幸せになりたいだなんて願ったことすらなかったのかも。それくらいに、
あたしずるい子なんだよ。そう、ずるいの、ずるくって、すぐ逃げる、……あんたと違って。
本気の本気で幸せになろうと頑張ったあんたと違って――――あたし、ダメな子でしょう?
【だから今度の声は朝日よりよほど鮮烈に、はっきりと輝いて耳に届かせた。こんどこそあなたを否定する】
【否定する。否定する。否定する。鍵をかけるの? じゃああたしのとっとき、引っ張り出してこようかなあ】
【あんたには見せたことなかったっけ。大砲。ぶっ放すと天井だって落としてしまえるの。……もう、逃がさないよ】
【幻覚。教室。女の子たちはめいめいグループを作ってる。3人か4人くらいで固まって行動しているの】
【校則なんて怖がらずに好き放題アクセサリーを付けてくる子たち。机をいくつか寄せ合って勉強してる子たち】
【あるいはちょっとアニメっぽい表紙の文庫本、挿絵のページを開いてきゃあきゃあはしゃぐ子たち――の中で】
【きっとあたしたち、ひとりぼっち、ずつでしょう? あたし、ひとりでケータイ弄ってる。義理のハートが飛び交うSNS】
【そしたらあんたは何してる? 本読んでる? ……だとしたらきっと料理本かな。それをどうアレンジするか、迷って】
【 ふっと瞬きした瞬間に何かきらめいた気がするからさ。そっちを見たら――もしかしたら、目が合ったり、しなかった? 】
【(少なくともあたしはそうだって信じてるよ。信じてる。これは神様に捧げる祈りとは、違くて、)】
ホントに決まってるでしょ、ばーか!
【両腕、伸ばして見せるから。祈りのために組んでなんかやらない。抱き着きたいなら飛び込んでおいで、の、ポーズ】
- 239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/16(木) 23:51:25.30 ID:6z+14K+X0
- >>238
【ならば今度は怯えた子なんていなかった。それよりも嫉妬していた、うらやましくって、ねたましくって、――震えてしまうとしたなら、多分、そのせいだ】
【ずるいずるいって言って泣きじゃくって肩を震わしていた、苦手だからやめちゃおうって思いついたことも、それをしてしまえたことも、そのための勇気があることも、】
【いろんなことなんでもかんでもずるく思えて仕方がないんだから、なんでも手渡したくなる、だってほしいから/なのにもらってくれやしないんだってもう知ってるから】
――――――――――――――――っ、
【涙がぼろぼろ溢れては落ちていく、そのたんびに透明でまあるい水面は光を悪戯に弄んで、彼女のまなざし、ところどころ赤く、黒く、宝石の煌めくみたいに】
【そうしたら宝石の涙を流す伝承のエルフみたいにも見えてしまうんだろうか。だったら彼女はきっと泣き虫だから、うんとうんと儲かるに違いない】
【――ぶんぶんって首を振る仕草にしぶきが散った、いろんな言葉に一緒くたに返してしまうのは狡い仕草、なら彼女だって狡くってしかたないのに、】
【そんなのごまかしちゃうみたいに、――広げられた両腕、納まる暖かさはありふれた平熱の温度。そうして伝わるのは女の子らしいと呼ぶには少し憚られる感触なのだとして、】
【せめてふわふわの衣服が隠しこんでくれるだろうか。だってそのために着てるんだ。痩せてかわいくない大人にもなれない無様なものを隠してしまいたい、そんな理由で、】
【暑苦しい姫袖だって溢れんばかりのフリルだって窮屈な編み上げだってがんじがらめのリボンだってなにもかもなにもかも全部、世界に対しての武装、武器で防具で、そのためだから】
【――――――ひぅ、なんて、ごく情けない音がした。そのすぐ耳元で。だって彼女は間違いなく飛び込んできた、人懐っこい犬よりなんにも疑わなかった】
【なれば続くのなんて子供みたいな嗚咽なんだろう、――山の中に響いていく声、もしも誰かが通りがかって聞いたなら(そんなことはありえないんだけれど)、精霊の歌声と間違うかしら】
【とりあえず確かなのは、それを耳元で聞くと結構/相当/かなり/――――――、だけれども、】
――――――ごめん、なさいっ、ごめん、なさぃ、わたし、――わたし、だって、ら゛って、――っ、――――っ、
――ひっ、ぅ、っ。っっ。……――っ。わたし。わたし、――夕月ちゃんのいってくれた、こと、きこえてた、
ないて、くれてるの、――しってた、しってて、――、しってて、むしした、――、しらない、ふり、した、だって、
だって、みんなに、おなじようにして、ほしくて、
――――かみさまなのに、それだけじゃやだって、――、がんばったから、――いっぱい"いいこ"したから、だから、だから、
【妖精の歌声にも精霊の歌声にも程遠いなら結局どこまでも蛇の鳴き声/そして蛇は鳴くはずないから、だからやっぱり何かおかしくて、(だって彼女は蛇なんだ)】
【ぎゅうって抱き着いた身体に抱きすがるのは放してほしくないんだろう。このまま手を離されてしまったら消えてしまうんだろう。だからめいっぱい力を込めてしまって】
【なら彼女にだって謝ることがあった。いつかのこと。あの時に名前を呼んでくれたこと、――――無視していたこと、謝る、告げる理由なんてどこまでも自分勝手が過ぎていた】
【いっぱい頑張ったから/勝手に】
【めいっぱいに"いいこ"をやったから/勝手に】
【苦手な"いいこ"をいっぱいいっぱい頑張ったんだから/勝手に】
【――頑張ったからご褒美をください/世界を滅ぼしちゃえるくらいの神様に/そうじゃないと世界なんて滅ぼしてやるという脅しを添えて、】
(【――――開け放たれた窓から緩く風が吹き込んだ。薄クリーム色のカーテンが揺れて、窓辺でしゃべくっていた男子どもを巻き込んだ】)
(【ふざけた悲鳴と笑い声にわずかに目線を上げた、――特別な友達なんていなかった。別に誰かに嫌われてるとか、無視されてるとか、たぶんそうじゃないけど】)
(【なんとなく誰とも仲良くなかった。誰に向けてでもない溜息をついて、図書室で借りた外国のレシピをまとめたような本に目を戻しかけた、刹那に、】)
(【ふっと目が合って、――――無視するには気が引けるから曖昧な目礼をした、そしたらなんだかそのあと気になっちゃって、ああそうだ、】)
(【このよくわかんない食べ物について、検索してもらえたりしないかな。――――だって今日携帯電話、家の玄関に忘れてきちゃったもん】)
ごめんなさい、
【その結果がどうだったなんて記すまでもないんだから、】
- 240 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/17(金) 00:09:19.88 ID:/SPIJ+VB0
- >>239
【抱き留める。やっぱりこの靴履いてきてよかったなと思う、だってヒールがなかったらあたしあんたより背が低くて】
【……ああでも、あんたもヒール履いてるから意味ないかな。でも、低すぎるので受け止めるより余程マシ】
【つかまえた。そしたら艶やかな黒髪に、鼻先を埋める――いいなあ。あたしこんな癖っ毛だから、】
【こんなにきれいなさらさらストレート、憧れちゃってやまないよ。(それでもそんなの関係ないってきっと言ってくれる)】
【細い背を撫ぜると、背骨がひとつふたつみっつ――きちんと並んでるのがわかるから】
【だから誰にも文句なんか言わせない。あたしもこの子もここに居て、それはなんにも間違いじゃない】
【確信して目をぎゅうと瞑るなら――彼女の目からも涙がこぼれた。拭わない。二人ともにそんな、余裕なんてない】
うん。――――――うん。いいよ、なんにも、怒ってない。
ホントだよ、ねえ――もうあのヴェール、誰かにあげようとしたりしてないんでしょ?
そうだったら、それだけでいいよ。……あげてたら怒るけど、ふふ…………
【精一杯に抱きしめ返して返す言葉は、やっぱり何かずれていた。でもそれでいい気がした】
【もう一回それ被ってきてよ、なんてのはさすがに我儘がすぎるから、言わないでおいて――何度も何度も】
【あやすように背中を叩く。そのたびいいよって返す、馬鹿げた大人の儀式だとわかっていて】
【だって本当に怒ってないから。あんただってきっと、怒らないでくれていたんでしょう? わかってるよ、知ってるよ】
【あんたは勝手にやってたことだと言うけれど。そんな勝手な行動でも、確かに誰かが救われてたの】
【 「――――なに? それ何語の本なの、ちゃんと読めてる? 翻訳アプリ探してあげよっか」 】
【 けだるげな声は一瞬だけでもあんたを怯えさせてしまうだろうか。だとしたらばつの悪そうに、視線、逸らすから 】
いいよ。あたしは白神鈴音の全部を許す。だからね――――――
【「あんたには、あたしのこと、見ててほしいな。さいごまで」 ――はいこれ、って言いながら差し出すスマホと似たような気軽さで】
- 241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/17(金) 00:54:27.00 ID:yufS24Si0
- >>240
【だから彼女は子供なんかじゃなかった。それどころか平均より背は伸びてしまって、なのに身体がちいとも女の子ぽくならなくて、それがずっと恨めしくて】
【どれだけ食べたってちっとも丸みを帯びない身体に辟易していた、ほんのもうちょっとだけでも胸が膨らんでくれたら、その何倍も自信が持てたに違いないのに】
【それからこのまっすぐに落ちるばっかりの腰元だって、途中でほんの一センチ、ううん、二センチ、……、三センチくらい、へこんでくれたなら】
【そこまで来たら、後は、ぺったんこのお尻だって、あとちょっとだけ、ふわふわのパニエ一枚分だけでいいから、女の子みたいに、なってくれたら、……】
【――だからせめて着飾った、ふわふわのフリルとレースとに全部を隠してしまって、それから、真っ黒色の髪の毛、烏よりよっぽど大事に見繕いして、お風呂だってたっぷり入って】
【"幼馴染"の子がくれた林檎の香りの香水をほんの少し。そしたらやっと少しだけ自身が持てた、鏡越しに睨む自分のまなざしが少しだけ和らいだ気がした、――だのに】
【抱き着いてしまったら本当に全部バレてしまう。がりがりに痩せた身体。ふわふわのお洋服は全部はりぼて。髪の毛は確かに真っ黒くて艶やかだけど、林檎の香水は今日してない】
【それに何より醜い言葉だって吐き出してしまった後だから、その全部が無意味になっていた、どれだけ着飾って誤魔化してみせたって、醜悪で痩せぎすな本性、バレちゃったから、でも、】
【もしかしたらおんなじかしら。誰にも言ってないほんとの気持ち伝え合ったなら、「すき」も「きらい」ももらえなかったけど、「おともだち」、――それも確かに大事な言葉】
ごめんなさい………………。
【ちいちゃく揺らした首が何度目かも分からぬ謝罪を繰り返したなら、ぎゅうってすがる指先、一から十まで、全部そろってるって、その背中に伝えていた】
【誰にもあげてない。それだけが答えだった。だから多分怒られないで済んだ。その肩口に何度も何度も雫を落とすなら、あっという間に肩のところをびしょびしょにしてしまって】
【あるいはきれいな赤色の髪だって濡らしてしまうんだろう。それでも二人やっぱりそんな余裕ありはしないから、――だから、せめて仕返しに、彼女の髪だって濡らしてよかった】
(【「一応**語だけど、……、たまに翻訳変なところあるし、なんか、知らない食材を当たり前に使うから、よくわからなくって」】)
(【「携帯忘れちゃったの、――――*****って食べ物、なに? やさい……? っぽいけど、野菜の……なに? なんて草がどうなってるやつなの? 味は?】)
(【あまり怯えた風な様子は見せないのだろう。変なところで気が強かった。そのくせ変なところで気が弱かった。そういう子だった。だのに机のとこ、簡単に取りついて、】)
(【ありがとって笑って一緒に調べものタイム。なんとなくわかっちゃえば、二人で同じ本覗き込んで、謎の食材を推察したり、誤植を探して、そしたら、なんか、気が向いちゃって】)
(【二人での土曜日、外国の食べ物ばっか売ってる市場行ってみようよなんて話にだってなっちゃうのかも。そしたら帰りに動物園でパンダでも見ようか? パンダが先でもいいんだけど】)
(【そしたら次の日曜日には買ってきたもので一緒にこの料理作ってみよう。よくわかんなくなっても文句はいいっこなし。おいしくなくっても誰も責任取りません。そんな、約束して、――】)
- 242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/17(金) 00:54:43.24 ID:yufS24Si0
- >>240>>241
――――――――――――――――――――――うん……。
【――耳と耳を擦り合わせるように頷いた、濡れてしまった髪の毛同士を絡ませるように、そしたら赤と黒、交じり合って、彼女の目の色みたいになるのかしら、なんて?】
【ちぐはぐな色した目はきっと違う世界を見せていたんだろう。いいこの世界とわるいこの世界。たぶんそう。なら今は交じり合ってしまって、やっと初めて、普通の子、なんて?】
【そんな風に言っちゃうのは大雑把すぎるのかもしれないけど。それっぽちじゃ何もかも言い訳には足りないのかもしれないけど。だからきっとなんにも足りないんだけれど、】
【やだって言わない。さいごなんて言わないでほしいなんて言わない。だって、――だって、夕月はずうっと味方でいてくれた、恩返しにはまだまだ足りないけど】
【ねえだってお友達が、――自分のいのちに納得できないままだなんて、そんなの、嫌だから、(だから、)】
ありがとう――――――。
【許さなくっていいから、さいごだなんて言わないで、――そんな風に言える勇気なんてありはしないんだ。許してほしい。何を。――わかんないけど、たぶんきっと、なにもかも】
【だからいつしか霧なんて出ているはずもなかった。足元には薄っぺらい水鏡なんてなかった。だからここは間違いなく現世で、だのに向こう側に覗き見える桜の花だけ、変わらない】
【だけどとりあえず蛇たちはいなくなっていた。多分帰っちゃってた。お見送りが必要なら彼女がするんだと思われた。――もちろん、もっと、おしゃべりしていても、いいから、だって、】
【(ずっと味方でいてくれて)(こんなところまで来てくれて)(秘密のお話してくれて)(許してくれて)いろんなこと全部、全部、――ありがとう、伝えきれて、いないから、】
- 243 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/17(金) 20:43:06.92 ID:/SPIJ+VB0
- >>241-242
【体型など知ったことではない。そもそも自分だってお世辞にもいい体してるなんて言えないし】
【ましてやあたしたち友達なのに。目一杯オシャレして可愛く見せなきゃいけない恋人とのデート、】
【そんなシチュエーションでもないんだから――深夜にこっそり、部屋着のまま家から抜け出して】
【コンビニでスイーツ買って駐車場で食べちゃうヤンチャも、いくらだって、できるでしょう?】
ありがとうはこっちのセリフ――――やっぱあんた、やさしいよ、鈴音。
【だからわかってる。また何か、言いたいこと我慢してくれていること――わかるから、】
【またごめんなさいって言いそうになるのをなんとか留める。無限ループになりそうだから】
【やさしさに甘えて、話題を変えるのだろう――「ああ、そうね、この際だから」】
あたし、夕月って名前がホンモノじゃないって言ったことがあったでしょ?
教えたげるよ、あんたの名前はみっつとも教えてもらえたんだから――フェアじゃないじゃん。
シグレって言うんだ。時雨じゃなくて、Segulahって綴って、シグレ――、
…………ユーティライネン。こっちはね、ダンナの姓――シグレ・ユーティライネンっての。
【抱きしめあったままだったらさすがに動けない。だから手を繋ぐかたちに変えて、歩き始める】
【二人並んで帰り道、左手薬指の報告はささやかに――していいものか、すこし躊躇したけど】
【きっとあんたなら祝福してくれるかな、なんて、思っちゃったからさあ、――――、】
【――――、】
【「……えっ。は? 何が何だかよくわかってないモノ、料理に使おうとしてたの?」】
【「なにそのチャレンジ精神……」 ならばこいつは真逆だった。イキがってるくせに、実はビビり】
【だけど打ち解けられたら途端に馴れ馴れしくなる、めんどくさいヤツだった。だからお出かけのお誘い、】
【それには乗るけれど(後に「パンダ、思ってたよりゴツかったね……」と語る、けどキーホルダーは買う)】
【次の日のお料理に関しては弱腰になるのだろう。「料理ムリ、ピーラーないと皮むきできない……」】
【――そんな感じであるから、そのうち喧嘩だってするかもしれない。何せお互い気質が違いすぎる】
【ちょっとした言い合いっこから、クラスメイトの仲裁がかかりそうな危ういものまで。きっとする、】
【だけどそのたび仲直りだってきっとできた、だって、好きも嫌いもどっちもあるのが友達でしょう?】
【だから、――――、】
【――――別れの挨拶に何を用いるか迷っていた。「またね」と言えないのはわかりきっていたし】
【「幸せになってね」というのは……無責任が過ぎた。いくら自分が許しても、世界がそうするとは限らない】
【悲しいけれど理解していた。だからきっと「生きてね」というのも微妙に思えたし、ああ、でも】
あたし、――――鈴音と友達になれて、ほんとうによかった。
【――――、こうやって幻覚と現実とが結びつく瞬間って、きっとたぶん絶対にあるから】
【じゃあね、バイバイ、……桜花鈴音。結局は三人分にことばを渡してお別れ――「さようなら」。】
//こんなかんじで……長い間おつかれさまでした、本当にありがとうございました!
- 244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/17(金) 21:31:26.93 ID:qQFbkDZf0
- >>243
【――確かにそれでいいのかもしれなかった。だってわたしたちの一番最初は夜の公園で、思い出の中にはホットスナックの香りが漂って】
【ふっとコンビニに立ち寄ったときに唐揚げとかポテトとか気になっちゃう瞬間に、その時のことをほんの少しでも思い出してないかって言ったら、嘘になる】
【思えばあれからたくさんの時間が経っていた。いろんなことがあった(そしてきっと多分ありすぎた)。――だけど変わんないのはあの時食べたジャンクな味、】
【だってきっとおんなじコンビニで同じものを買ったって、もうレシピは変わっちゃってるんだ。だから思い出の中にしかなくなってて、だからこそ変わんないなら】
【無限ループを断ち切ってくれる勇気に甘えて、彼女はそんなことないって言わなかった。――だからやっぱりどこまでも甘えていた、ひどい話】
【それこそ恋人でもない誰かを無理やり犯すみたいなことをしたのに、――おともだちって言ってもらえて喜んでいるから、やっぱり悪い神様の成れの果て】
【だとしても今更何にもなれぬ残滓でしかなくって、たぶん、むかしの信者に見せたなら「これじゃない」って言われちゃう、そんな、ものだけど】
………………………………――――、
【ぱちりと瞬きをした、教えてくれたことが嬉しいみたいに少しだけ緩む眼差しを覆う長い睫毛が震えるようにゆっくり瞬いたら、黒と赤のはざまの視線、蕩けるように赤く帯びて】
【あなたの赤色をまねしたって言うには少しだけ何か違うのだけれど、――繋いだ指先の温度はそれでも互いにきっと生きているから、汗ばんでこそないけど、湿っぽいから】
(【「……どんな味か分かってたら、あるもので作ってもいいけど。こんなの聞いたこともないし、なんだかもわかんないし……」】)
(【「そもそも**語になってないし。……見てこれ、「し」と「レ」がごっちゃになってるし、「ラ」が「う」になってる」】)
(【――もしかしたらあんまり信用できないたぐいの本なのではないかとそろそろ思えてくるところだった。それでも出来上がりの写真はなんだかおいしそうだから】)
(【やっぱり信じてみることにしよう。おいしくなかったとしても一人で食べないならネタにもできる。――自分だけで作ってマズいんじゃ、単なる失敗作じゃない?】)
(【(だから彼女の感想は「パンダって、――結構汚れてるよね」。言いながらお揃いのキーホルダーを買う。それから、ほんとのパンダの赤ちゃんと同じ重さのぬいぐるみも】)
(【それからマヌルネコとか見ちゃうんだろう。かわいく撮れるまで粘ってみるけど結局ブレたのしか撮れなくて。せっかくのマヌルネコもブレブレじゃいいねだって二つだけ】)】
(【タピオカでもシバいてお行儀の悪い歩きスマホ、キーワード検索で別の人が撮った写真なんて見て、「これ絶対べつの動物じゃん」……ぶーたれる】)
(【「はいじゃあどうぞ」当たり前にピーラーを渡してくる笑みが悪戯っぽかった。そういうふうに人をからかう方法を知らないではないのだと、見せつけていた】)
(【そして二人一部翻訳の怪しいレシピ片手に、ときどき検索も駆使して、レシピサイトも見て、――やがて完成する謎の食べ物、見た目はレシピ本とおんなじ、味わいは、】)
(【――――本物を知らないから比べられはしないけれど、まあ、それなりにおいしいものができるのだろう。感激するほどおいしくはないのが、午後の気の抜けた気温とおんなじ】)
- 245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/17(金) 21:31:39.28 ID:qQFbkDZf0
- >>243>>244
【「――――シグレって呼んでいい?」】
【だからきっと声は二重に重なった、山の中の景色と、それから、よくわからない謎のお料理を食べながらの景色と、】
【変に気が強いくせに変に憶病だから。教えてもらった名前をすぐに呼んじゃう勇気も、知ってた名前を呼ぶのに二日も必要な勇気も、どっちも等しい量】
【手つなぎで歩くなら彼女が少しだけ先導するのだろう、ならば帰りはずいぶんと楽な道を選んだようだった。――それでも厚底二人なのだけど】
【やがてだいぶ平坦なあたりに出れば、――――彼女はそこで立ち止まるんだろう。一緒には行けないみたいに。単に気まぐれで行かないみたいに、】
わたしも、――――――…………、
【――故に、ふっと手が離れる瞬間。もう二度と会えないんじゃないかと思ってしまいそうな瞬間。その指先に伝えるのは、一つ小さな転がり】
【見るのなら、――限りなく白く青色の珠が一粒、残されているのだろう。到底宝玉などとは呼べなくて/それでもありふれた石よりは何かを帯びているから】
おまもり
【――――微かに湿り気を帯びた石は清く水の魔力を帯びていた。この場所と同じだった。ならば石も、この場所も、ましてや彼女も、貴女を拒むはずないから、】
【あるいはいつだって逃げ込んできたっていいのかもしれなかった。悪いものは来ないから。入れないから。――――――、わたしが結界を引き継いでもいいでしょう】
【だけど/だから/そんな風に思ってしまった、思えてしまった、「ばいばい」って投げかけた背中を見送って。伏せる眼差し、振り向きざまの決意、】
【(誰に?)(私に)(あたしに)】
……………………わたしも、かえるよ、おうちに。
【だって友達にお願いされちゃったから、(見ていてって)】
/おつかれさまでした!
- 246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/18(土) 17:50:40.74 ID:NsW8XzyZ0
- >>232>>233
斥候と呼ぶには些かやる事が過激に過ぎるきらいはあるが──まあ、概ねそんなようなものだよ。
人間相手と違って、どれだけ殺そうが誰に気兼ねする必要もないのは楽だ。
……ああ、ネームバリューってヤツか。考えた事も無かったが──今思うと、妙に周囲のやっかみが多かったのはそういう理由かな。
【冒険者ギルドと言っても一枚岩ではない。中にはゴロツキと大差ないような手合いもいる。『正義の味方』の肩書きが、悪い方向に働く事も少なからずあっただろうが】
【べつだんそれを気にかける風でもない様子から察するに、そういった事柄や相手は、彼女にとっては心底どうでもよいものなのだったのだろう】
【「全員黙らせるのは、少しばかり手間だった」──などと、朔夜は他人事のように独りごちて】
──ふうん。ランスロット、ね。
お前の口ぶりとさっきの鍛錬の様子で、どういう戦いだったかは概ね見当が付いたよ。
お前は速度と身軽さに任せて跳び回り、相手を撹乱しようとした。相手はお前の戦いに乗る気がなかった。
常に一歩引いて視野を広く取り、見に徹して期を窺う。深追いは避け、一定の間合いを保ち、牽制打を捌きながら細かなダメージを蓄積させて機動力を削いでゆき──そうして作った大きな隙に、本命を叩き込む。
いや、或いは追い詰められたお前の捨て身の一撃に、カウンターを合わせたのかもしれないな。
これは当て推量の類いだから、見当違いだったら、済まない。あくまで『私ならばこう殺す』という、単なる私見だ。
【敗北を受け止め、積極的に次の戦いの糧としようとするドラの姿勢を好ましく思ったのか、ふ、と微かに表情を緩めると】
【彼女は、彼が『ランスロット』なる敵手にどのような敗北を喫したのかについて勝手にあれこれ予想しだした。将棋やチェスで言うところの「感想戦」に近いものがある】
【気構えは重要だが、それだけで敵に勝てるなら苦労はない。まして、ドラほどの戦闘経験を持つ能力者を相手取って圧倒するなどというのは、精神論だけでは不可能な芸当だ】
【結果には、かならず原因が付いて回る。敗北したというのなら、そこには必ず敗因がある──ならば、前回と同じ轍を踏まない為にはどうするべきか】
【単純な話だ。敗因を洗い出して、一つ一つ潰していけばいい】
/続きます!
- 247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/18(土) 17:51:30.15 ID:NsW8XzyZ0
- >>246(続き)
へえ、焼くところまではお前がやったのか。……生臭みがまるでない。下処理がしっかりしている証拠だな。
それに、ソースやマヨネーズ、香辛料なんかの風味に負けないほど、肉の旨味が強い。熟成の進んだ、いい赤身肉だ。
舌触りもいい。この焼き加減を掴むまで、長いこと練習したろう。
さっき言った、ジャンクちゃんの仕事の細かさも相俟って……うん。これはそこらの喫茶店では、ちょっとお目にかかれない逸品だな。
【戦術の考察に真面目に取り組む一方で、また、朔夜はサンドイッチに舌鼓を打ってもいた。こうしたオンオフの切り替えの早さは、彼女の長所の一つだ】
【「他のメニューもこのレベルなら、毎日でも通い詰めるだけの価値があるかも知れんな」と、気難しい彼女にしては珍しく、手放しの絶賛ぶりだった】
【ハイペースに食べ進め、お茶で喉を潤して、二つ目のサンドイッチに手を伸ばしながら、苦悩するドラに向かって「何にせよ、今ここで悩んでいたって何が始まるわけでも無いだろう」と事もなげに言う】
あれは民草の平和の為でない、支配者の為の法だ。管理する側にのみ大きな利がある。
異能力の性質や、萌芽や成長の切っ掛けなんかは、精神的なものに多分に左右される。その一切をこの世界から排除するというのは、言わば精神的な去勢も同然だ。
異能力という不確定要素を取り扱う権利を民衆の手から奪い尽くした、人間性の介在する余地のない管理社会。完全なる法の支配。まあ望みはそんなところだろうさ。
「異能という力は、それを持つに相応しいものの手にのみ握られるべきだ」──耳触りのいいお題目に包まれてはいるが、言っていることは、かつてのGIFTなんかの選民思想とそう変わらない。
「好き勝手していいのは、私たちとそのお仲間だけです」──つまりはそういう事。全く、お笑い種だ。
【無論、それは魔能制限法について楽観視しているという事と同義ではない。むしろ彼女はかの法律について、ひどく懐疑的な見方をしていると言ってよかった】
【そもそも、異能力やそれに類する要素の発露などというものは、往々にして当人にはどうしようもない、不可逆的なものである事が多い】
【そのような要因によって生き方に多大な制限を与えるということは、肌の色や髪の色を理由に他人に謂れなき差別の目を向けるのと同じこと。人の尊厳を丸きり無視した、ナンセンスな法案だ──】
……イスラフィール?
【聞き覚えのある名前を耳にし、朔夜ははたと首を傾げて「なぜ、そこで政治家の名前が出てくるんだ?」とドラに問う】
【政治の話で政治家の名前が出てくるのは至極当たり前なことだろうと言われれば確かにそうなのだが、これはそういう質問ではなく】
【水の国の上層部──「政治の世界」に深い関わりを持つ人間の名前を、なぜ政治に無縁そうなドラが、あたかも知り合いの事を語るように気軽なトーンで口にしているのか、という話だ】
- 248 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/18(土) 19:38:10.68 ID:69LiXVWa0
- 【水の国―――首都・フルーソ=z
【その一角にある寂れた酒場。】
【古びたレコードから途切れ途切れのジャズが聞こえる、まるでこのノイズすらも楽曲の一部と主張しているようだ】
【近くのビルの家賃収入で食っている壮年のマスターからすれば客がいようがいまいがどうでもいいのだろう。】
【そんな数名にも満たない客の一人、カウンターの端に腰掛ける人物。】
やぁマスター、こんな話を聞いた事はあるかい?
なんでもこのフルーソのどこかにある衛星センターの地下には隠された施設があったそうで
そこでは宇宙そのものの真理を追究していたんだけどある時開けてはならない扉を開けたそうだ
今では宇宙の深淵の一部と繋がって異界と化してるって話なんだけど、なんか知ってるかい?
【軽快な口調で話しかけるその人物。】
【蛍光イエローの目立つミディアムボブの髪に紫色の瞳を中性的な顔立ちの人物】
【全身は高級感のある黒いスーツとソフトハットで身を包み、右手の人差し指にZ≠フ刻印がされた黄金の印章指輪を付けている。】
【マスターが「知らないねぇ」と苦笑気味に答えると、その人物は両手を広げておどけてからバーボンの入ったグラスを飲み干す。】
【―――どうやら未成年ではないようだった。】
//それではこちらに宜しくお願いします!
- 249 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/18(土) 20:44:47.74 ID:UZKhPzZr0
- >>248
――――面白い話だ。
【そんなそっけないコメントを2つ隣の席から投げつけるしゃがれ声は】
【マスターに勧められるがまま、クラフトジンのソーダ割りにライムを絞っていた】
【手元では灰皿で火のついた煙草が細長い煙を上げている。】
【そいつは長身で、髪の毛は肩まであり、そこらの今どきの女性と同じぐらい長く、白髪で】
【サングラスで目元を隠し、少し伸ばしたあごひげもまた白んでいて】
【ヨレヨレの花柄のシャツを着た、ジーンズとブーツの男で、首もとでシルバーのマリアのペンダントが揺れていた】
じゃあ、こんな話を知っているか?時間を15分だけ戻せる横断歩道があるらしい。
なんでもその交差点を何往復もして、20年も遡った奴が居るって話だ。
/すみません急に電話が入ってしまって…遅くなりましたがよろしくおねがいします!!
- 250 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/18(土) 20:53:13.07 ID:69LiXVWa0
- >>250
―――やぁ、お洒落なペンダントをしてますね。いいセンスだ
【中性的な人物はカランカランとグラスを揺らして乾杯のような仕草を相手に向ける。】
【そしてその風貌に眼をやると少し眼を細めてから特に意図の感じられない言葉を投げかける。】
【よく手入れのされた蛍光イエローの髪は穏やかに揺れる。】
しかし15分だけ時を戻せる交差点とは中々面白い。
渡ってる人物以外の時を戻せるという解釈で合っていますか?
嗚呼、もしかして―――
【「貴方が?」と口元に薄い笑みを浮かべるとそこで言葉を切って再びグラスを口へと持っていく。】
//宜しくお願いします!
- 251 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/18(土) 21:04:17.34 ID:UZKhPzZr0
- >>250
神様は信じちゃいない。…いいや、そいつが俺を救ってくれるとはな
だが、祈るべきものは必要なのさ。
【男は視線を一瞥くれたのだが、それはサングラスで覆い隠し】
【相手からすれば無視したように見えるだろう。男はそう話して】
【ジンソーダに口をつける。独特な雰囲気の味だった。文学的な心地よさがあった】
そう。…まあ、渡るのに15秒かかるのだったらその差し引き分
一体、『どれだけの時間を費やせば時間を巻き戻るのか』なんて考えたくもない。
……俺が?
【彼はフッと笑った】
俺はそんなめんどくさい方法はしないよ。
【男はすべてを否定はしなかった】
- 252 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/18(土) 21:21:09.64 ID:SozhrEXw0
- >>251
―――意外にもロマンチストなんですね。
【黄金の印章指輪を付けた手をヒラヒラと振りながら軽い調子で返答する。】
【マスターは空き瓶を回収業者が来る前に店外に出す準備を始めており、カウンターの付近には二人しかいない。】
【2席分の空白が妙な間を生んでいた。】
【「どんなに労力をかけても戻りたい過去があるのならば、人はするでしょう」】
【そう言ってからくるりと身体を回転させてカウンターを背もたれのように両肘をつける体勢になる。】
では貴方はどんな方法を取りますか?エヴァン=B
【「ほらあったでしょう、妙に後味の悪い少し昔の映画」】
【「バタフライなんとか―――」】
- 253 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/18(土) 21:22:37.95 ID:SozhrEXw0
- //どうでもいいですがしたらば落ちてます?
- 254 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/18(土) 21:49:22.00 ID:UZKhPzZr0
- >>252
弱いだけさ。
【吸い差しのタバコを手に取る。少な気な言葉を煙で後を補完するように】
…バタフライエフェクトは駄作だ。勿論、単品のバタフライエフェクトは良い出来だし
Oasisの曲も………まあ、あの頃はLibertinesやStrokesの方が冴えてたけどな。
けど、彼処で終わらせておけばよかったんだ。2,3が傑作をぶち壊した。
安物になり下げた。繰り返しただけだ。蝶の瞬きどころか、旋風にもなりやしない
もう少し、映画の話をしよう。残念だったな、俺はよく飲み屋にいる
管を巻いた、懐古主義的な人間なんだ。捕まった、アンタが悪い。
いいか、あの映画はハッピーエンドなんだ。
勿論、ディレクターズカットの方を言っているんじゃない。
あの映画のラストはそうあるべきなんだ。
【男はようやっと相手の方に向き直って、話し始めた】
一つ一つの要素を丁寧に進めながら、主人公の心情が浮き出てくる。
ニューシネマなんかはそうだ。だがこれはSFだから整合性に理不尽さはない。
あくまでハッピーエンドに近い選択はあのフィルムの中ではあれなんだよ。
彼は何のために、過去に戻ったか。主目的、テーマに準拠するにはあれがベストだ
もし、ディレクターズカットのようなラストにしてはあの映画は単なるエンタメだ。
- 255 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/18(土) 21:54:05.00 ID:UZKhPzZr0
- //おちてますね!
- 256 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/18(土) 22:08:23.56 ID:SozhrEXw0
- >>254
【中性的な人物は苦笑か愉快か分からないような感情で肩を竦める。】
【「なるほど」と合間合間に簡潔に相槌をうちながら男の話に耳を傾ける。】
【空になったグラスにはマスターに断りもなくカウンターに手を入れて自分で注ぐ。】
難しい話ですよね、興行的成功や評論家からの好評を受けてしまうとどんどん連作になってしまう。
挙句の果てには他作品の怪物とコラボレーション等もしてしまってそのものの価値も落としていく。
………やはり貴方はロマンチストだ、シネマを芸術品と捉えている。
【「いいですよ、私も映画は好きですから」と中性的な人物は微笑んで頷く。】
つまり主題/テーマを疎かにしていない故のラストと。
確かに終わってみて支離滅裂な後味よりは多少の苦みも許容できるというものですね。
しかし―――過去に戻れるのであれば貴方はどうしますか?
【クルリと再び椅子を回転させ、肩ひじをついて相手と向き合う形になる。】
【口元を緩めて問いかける。】
- 257 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/18(土) 22:28:04.18 ID:UZKhPzZr0
- >>256
しょうがないさ。どれだけ批判されようと数字は良かったんだ。
カッコつけた美術評論なんて無視される。
世界は本当は美しいんだ。クソッタレで雑多だからこそ。
後は切り取ればそれは映画になる。どんなもんでもな。
【短くなった煙草を灰皿に押し付けた。そしてすぐにまた次のタバコを取り出す】
人工甘味料より俺は安っぽいハチミツのケーキのほうが良い。
【煙草をくわえ、火をつける。氷が溶けて、汗をかいたジンソーダのグラスを傾ける】
世界を撮り直す。――次の監督は俺だ。矛盾だらけの脚本を書いて、1の評判に乗っかって
派手なプロモーションを繰り返して。端役を主役にして構成もカメラワークも主題歌も変える。
この世界は90分で終わらせない。
- 258 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/18(土) 22:39:27.79 ID:69LiXVWa0
- >>257
―――これからの世界はきっとさらに数字が支配する事でしょう。
1か0か、それによって全てが決められ人の運命すら数字によって決定づけられるかもしれない。
貴方の言う美しさではなく白く漂白された世界が出来上がるかもしれない。
【「自然に合わせて混沌となるか、不自然な調和を求めるか」】
【相手に言うでもなく呟きながら煙草に火をつける相手をじっと見つめる。】
【「選択は迫っていますよ。」】
【そう、呟いた。】
出来るといいですね撮り直し=B
私はどちらかと言えば時間は前にしか進まないという考え方ですが。
ただまぁ―――貴方のような思想≠ヘ必要ですよ、きっとね。
【そう言うと同じく汗をかいてカウンターを濡らしているバーボンのグラスを口へと運ぶ】
それはそうと………何かお困りな事はないですか?
私―――探偵なんですよ。
- 259 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/18(土) 23:07:27.17 ID:UZKhPzZr0
- >>258
重要なのは“アンタがそれをどう思うのか”だ。
ディジタルな世界が良いのか、アナログな世界がいいのか。
評論家は経済や世界を予測するが、するだけだ。世の中の多くのやつも
世界は神様が作ったものだと信じて止まない。
どちらかの立場に立つ勇気があるやつは少ない。
すでに答えは決まってる。
【吐き出した煙。煙草は日常だ。年を食った体にはたまに堪える。】
――思想じゃない。俺のは、ATTITUDE。
俺にはそんな思想なんてカッコつけたプランを書く暇は無くてね。
【―――探偵? その言葉を聞くと、彼は楽しそうに笑う】
俺も探偵だ。……ハハッ、そんな仕事をしているようなバカは俺だけだと思っていたよ。
そうだな。……戦争で一儲けして世界を都合よく牛耳る気で居る貴族気取りのアホどもと
コンピューターで世界を統一できると思ってる馬鹿なガキを両方ぶっ飛ばすにはどうしたらいい?
あとは50そこそこの野郎が食っていける仕事で探偵以外の方法が知りたいね。
職歴は水の国の連邦準備銀行から国家予算を盗んだことならある
【全部が嘘くさい話だった。まるで茶化しているかのような、映画にしてもB級の脚本だった】
- 260 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/18(土) 23:22:07.81 ID:69LiXVWa0
- >>259
さぁてね、どうにも私は物事を一歩引いて見がちでして
だから探偵という職業はそれなりに性分に合っている気はしますけど。
【吐き出された煙が換気扇に吸い込まれる途中で横を通り過ぎる。】
【嫌な人間には嫌な臭いだが特に気にした様子は見られない。】
【ただ相手の言葉を興味深そうに顎に手を当てながら聞いているのみ。】
成程、クールですね。ですがそれならば思想警察≠ノ眼を付けられる事もない。
―――高度に情報化された社会だからこそ意外と探偵の需要もあるものですよ。
【そういって肩を竦めて微笑みながら天井についた換気扇に吸い込まれる煙を眺める。】
1つ目の質問ですが、どうやら貴方は思っているより大きなものを相手にしているようだ。
彼ら≠斃すには―――今はバラバラに分散した3つ目≠再び繋ぎわせるしかない。
二極化では結局のところどちらかに寄るしかない=B
2つ目の質問ですが―――まだまだこれからが探偵としての花では?
【そう言いながら「ただもしもの時は連絡をください、斡旋しますよ」】
【と連絡先をメモ帳に書いて差し出す、ただ携帯端末の番号だけがそこに書かれていた】
- 261 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/18(土) 23:59:25.37 ID:UZKhPzZr0
- >>260
アンタの云う、探偵ってのは“ホームズ”や“エラリィ・クイーン”なんだろう。
俺の知っている探偵とは少し違う。
だがそれでいい。解釈は一つじゃないほうが面白い
【吸うたびにジリジリと短くなっていく煙草。もう何本目だろうか。】
【空になったグラスを眺めながら、彼は言った】
そのかわり普通の警察に追われるぜ。クールなのには変わらないがな
ジョー・ストラマーって知ってるか?…いいや、知らんだろう。
その人の言葉だ。数少ない、本当に世界を変えることのできた一人だ。
――俺の事務所とは大違いだ。金にならない仕事ばかりだ。助手が悪い。
【ハァ…とため息を付きながら、煙草をもみ消して。立ち上がった】
20年前にそれはもう考えた。合理的で正しい選択はな。結果はお察しだ。
……俺は俺のやり方をするよ。合理的なプランを練るのは向いてないらしい。
美しくて完璧な脚本もいいけどな。俺は兎に角フィルムを回す。
撮らねーと始まらないだろ。酷評でもいいから、勝負したら勝ちだ。
【メモ帳を受け取って、軽く番号を観て、雑にポケットに押し込んだ】
【――「探偵はゴメンだ」と言って。】
俺はすでに死んだ人間さ。アンタみたいな若いやつが咲かねえとな
……アンタが望めば世界はどうとでも変わる。良くも、悪くもな。
【「そろそろ仕事だ」と。彼は頭をかきながら言った。無駄に高い身長で】
【背中を丸めながらポケットに手を突っ込んで、ろくな挨拶もなくあるき出した】
もし、用があるなら旧市街に来てくれ。アンタなら探せるだろう。
………いくらでも“話してやるよ”。
【―――軋むドア。くすんだドアノブ。シケモク。カウンターに残る水滴。】
/サクッとまるっとこのへんで締めはいかがでしょうか!?!?
- 262 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/19(日) 00:23:06.23 ID:T9Fx/Npw0
- >>261
確かに、視点は多い方がいいですね。
【言うだけ言って立ち去っていく探偵の背中へと視線を向けながら】
【もう一人の探偵はグラスを傾ける、少し思案したかのような間の後にクルリと振り返る。】
【足を組んで微笑みながらその丸まった背中を見送る。】
―――貴方の勝負、乗らせて貰いますよ。同業者のよしみでね。
私はジュライ=Bまたお話しできるのを楽しみにしていますよ。未来探偵。
【そう言うとジュライも会計を済ませて夜の闇へと消えていった。】
//ですね!お疲れ様でした!
- 263 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/05/19(日) 13:55:32.46 ID:VUyC9JIXo
- >>246>>247
【表情もなく「黙らせた」の一言が飛び出したあたりでドラはうへぇ、と顔を歪めた】
【うっとおしい連中が湧いて出た際の朔夜の対応なんて大体想像がついたからだ。シンプルかつ手間のかからない方法でさっくり済ませたのだろう……】
……本当に変わりないようだねぇ、あまり無茶はしないでよ
いやきみの事は心配ないと信じてるさ、後は騒ぎにならない程度にお手柔らかに済ませてくれてるならもうケチの付けようもないけど!
【朔夜は無駄な装飾は好まず、もめ事が起きても簡潔に決着をつけるタイプであるとドラは見ている、そして荒事になったら絶対に容赦などない事も】
【何が起こったかはあえてこれ以上掘り返すまい、と彼は心に決めるのだった】
【ミズキ"ランスロット"ヴァレンタイン戦の内容、その大まかな内容の考察を聞いてドラは「おおっ」と思わず声を上げた】
【―――ほぼ当たりだ。自分の鍛錬の内容でそこまで読むとは……】
さっすが……!そこまでわかるのかい?大まかな内容はまさにそんな感じだった
そこに補足を付けるなら彼の能力はおそらく「鉄製の鎧だろうと剣で貫く」力と「剣を当てた相手の左半身の感覚を消す」……『左半身失調』を使ってきた
それがまた彼の絶妙な小技を駆使する戦術にピタリとハマるのさ。ほんの少しの体の動きでぼくの動きを阻害させ、無駄なく振るう剣はキャットのアーマーも穿つ威力
しのごうとしてもわずかにかするだけで相手の感覚を半分消し去りこちらの動きは大きく阻害する……やりにくいだろ?
【腕を組み、いつもの愛嬌溢れる顔でおどけたように戦闘の内容を公開していくドラ―――最も、重苦しさを振り払うための虚飾かもしれないが】
【そして、極めつけを放そうとばかりに一層声のテンションを上げ、指を一本立てながら決着の場面も説明する】
けどぼくだってね、彼がどこかで本命の一撃を放ってくるのは読んでたから彼の剣の動きに集中して最後、本命の一撃の軌道を見切ったのさ
"見切った"からこそ悔しかった、あの場面で空いた隙に一撃入れていたら引き分けには持ち込めたかもしれなかったのに……
でも入れられなかった。突然"いぶき"の甲板が崩れて炎が上がってね……誰も予想だにしない不確定要素、ぼくら二人の足元にとんでもない"悪運"が湧いてきた
だがミズキ君はその"悪運"をとっさの判断でみごと味方につけたんだ……"炎"でコンマ一秒届くのが遅れたぼくの一撃よりも早くぼくの腹を貫いた
……何が言いたいかわかる?「ぼくの運が悪かった」じゃあないぞ、彼には"読み切れなかった悪運"すらも味方に付ける『精神力』
何が起こるかわからない実戦の中でも揺るがず不測の事態すらとっさに利用できるほどの迷いのなさも持ち合わせてるって事……なんでそんな事できるのかずっと考えてたけど
今ならわかるよ。きみの言う通りの事を実践してる奴なら……常日頃戦いの気構え、身の運び方が常時染み付いて戦場でも発揮できればそりゃあ"できる"。……ね?強敵だろ?
【ままならない不確定すらも、味方に付けることが出来るのは……弛まぬ鍛錬で心身共に鍛え上げた真の強者だけだ】
【本当の意味で強い奴だから「これができる」のだとドラは心底思い知ったようだ―――同時に彼の口元には笑みが浮かんでいる】
【……おそらくは、「自分もこれができるようになってやる」と、そこまで成長してやると考えているに違いない】
/続きます
- 264 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/05/19(日) 13:56:05.15 ID:VUyC9JIXo
- >>263続き
【サンドイッチの称賛は半分は自分の仕事という事もあって満面の笑みで受け止めているようだ】
アルカトラズは本当にメシがしけててさぁ……なんか方法はないかなって図書館で勉強したのさ
で、うまいお肉の下拵えの仕方をばっちり頭に入れて、炊場担当に異動願い出してさ、育ててる牛や豚を出荷する際に肉の加工をやらせてもらったわけさ
おかげでおいしいお肉にありつけるようになった……サルベージの合間のいい暇つぶしにはなったね
【「ちゃんといい子にしてたんだよぉ?」などと得意げにしているが、そもそもいい子なら刑務所に入らないのではなかろうか】
【途中挟まれたサルベージとは……彼が収監された"訳あって"の訳に関係している事なのだろうか】
【思えば彼がおとなしく逮捕・拘留されているという事自体が結構イメージと違っているようにも感じられるが】
……魔能制限法、どうにかしてぶっ潰したいよね。どうやればいいかは……ぼくもいくつか案はあるけど準備は必要そうだし
いろんな人の話も聞いておきたいかなあ……ああそうそう、イスラフィールさんってのは若くして水の国の最高議会に席を置いてる政治家さんでね
今の状況をどうにかするためにいろいろ動いてる人な訳だ……そうだな、この話は朔夜さんにもしておこう。ぼくらにとっては『聞き捨てならない』案件を扱っているしね
織守さんや朔夜さんの他にも無事にしている"justice"の仲間がいないかネットとか使って調べてた頃にね、彼女は接触してきたんだ
目的は――――"justice"の再建。リーダーの座を降りた織守さんの代わりに彼女が二代目のリーダーになって再度正義の戦士として戦う組織を取り戻したがってる
【……なるほど。ドラや朔夜たち古参のjusticeメンバーにとっては本当に"聞き捨てならない"案件だ】
【あまり名を聞いたことのない政治家がなぜ突然justiceを復活させて戦おうと考えているのだろうか?そんな素質を……彼女は持ち合わせてるのか?】
【だが、ドラは面白そうな顔で懐からW-phoneを取り出して、画面をタップすると朔夜の方向に向けるだろう】
で、このイスラフィールさんにそんな資格があるのか?っていうのはこれからぼくが見定めていく事は決定事項なんだけどさ
これがまた面白そうな案件なんだ……ほら、これがイスラフィールさんなんだけど……どっかで見覚えない?
【ドラが向ける画面に映っているのは、演説中のVTRに映った女性だ―――だが古参のメンバーだからこそ、朔夜に『既視感』を抱かせるだろう】
【映っている政治家の豊満なプロポーションに、眼鏡をかけて理知的な印象を与えてはいるものの幼さが残る童顔に】
【そしてなによりも―――彼女の艶やかなその『紫苑色』の髪の毛に】
【―――過去にこの女性の特徴と似通った姿の少女が自分たちの仲間の中にいなかっただろうか】
【それこそ当時、同じく少年だった頃のドラが人一倍気をかけていた少女が……いたはずだ】
- 265 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2019/05/19(日) 16:42:11.72 ID:0YLEqp7W0
- VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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- 266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/21(火) 08:18:21.63 ID:CULgOVkf0
- 【生まれたての風が通りを吹き抜けた、ならば目覚めたばかりの黄金色した朝焼けを一番飾る冷たさ、時刻はうんと朝早くの頃合い】
【風の国、通りには小鳥たちの遊ぶ約束、今日はどこ行こうって話し合いに似て賑やかな声、開け放たれた酒場のドアから差し込む朝日は道筋に似て】
【――ずいぶんと久しぶりの光景のようにも思えた、少なくともここしばらくはあまり見ることのない光景だった、開け放たれたドアよりなびく不可視の一条】
【コーヒーと、炙られたパンと、それから蕩けるバターの香り。――――ならば誰かが朝食をこさえているのは明白だった、ならば?】
――――――――――、………………。
【――――椅子を背負った机の群れの中、椅子をおろしたテーブルが誇らしげに朝食を並べていた、備え付けのテレビが一番よく見えるところ】
【やはりコーヒーやトーストを並べて、それから、サラダに、目玉焼きに。或いはヨーグルトやフルーツすらも並ぶのなら、】
【誰かひとりが自分のために用意したと云うにはいくらも豪勢が過ぎた。――それでも間違いなく一人分の量ではあった。貴族の朝餉と呼ばわるには物悲しすぎたから】
……、
【――だからきっとごく曖昧な音律で椅子が軋んだ、朝日の差し込む店内の静けさを壁掛けの銃器が飾るのだとして、それでもなお寂しげなシルエットの人影一つ、】
【ごく黒い毛先を肩まで伸ばした少女だった。透き通るよに白い肌。あどけなさを残すかんばせはそれでも少女と呼ぶにはいくらか無垢さをなくしたように見え】
【光の加減によって黒と赤のはざまで明度と彩度をころり返るまなざしはしゃんと伸ばした背筋からテーブルの上のものを見下ろす、――ゆると手を合わす仕草のさなかに】
【ごく小さく紡がれる声は鈴の音のものなのだろう。そろそろ暑くなるというのに袖のたっぷり膨らんだ赤のワンピース、フリルとレースを詰め込んで膨らませたスカートの丸みと】
【その膨らみに誤魔化されるように願ったに違いない華奢な足元は爪先の丸いストラップシューズ、かかとの高いものであるなら、立てばその背丈を割合に大きく見せて】
【十六歳ほどの少女だった。だとして酒場の雰囲気など手に取るように分かっているような顔をしていた。――まして酒のにおいも煙草のにおいも店の中からは飛んでいた、なら、】
【――――ごく何かの意味を孕んでいた。山中に置かれたとってもおいしいおやつみたい。何かを誘い込むための仕草に似ていた、だなんて考えすぎかしら】
【どちらにせよふわり漂うコーヒーの香りに少しだけ差異が生まれていた、――、華奢な指先にて思いッきり練乳を絞りだされたなら、なるほど確かに、甘ったるさが混入して】
【(それとも或いは何か下らぬ感傷にも似ているのかもしれない。どちらにせよ、――分かる人間が見るのなら、彼女が誰かというのか、考えるまでもないのだから、)】
【点灯してなお見る気のあまりないらしいテレビが、それでも必死に何かを語っていた。曰く、今日はどこまでも天気のいい一日になるらしい、なら、】
【きっとどこまでも晴れやかな朝日の光景に、それでも夏の香りが混じり始めているのだろう。アイスキャンディー屋が大きく伸びをして準備体操するような、暑くなる、予感】
/次のお返事はきっと夜になってしまうのですが、のんびりとお待ちしております……
- 267 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/23(木) 12:38:17.92 ID:d/TpxLEn0
- 抵抗は無意味……さっさと身柄を拘束されなさい
【夜の人気のない港に声が響いた。その声を発したの黒いキャミソールワンピースを着た紫の眼と髪の色を持つ少女だ。下着のような格好のため肌が露出してる面は多いいが、余程身体に合うように作られているのかそれ以上に見えるということもない】
【少女が声を向けた相手は大柄の、見せるためではない使うための程よい筋肉の付き方をした男。そいつは今まで逃げていたのか、"ハァハァ"と息を切らしている。だがこれ以上はそれも無意味だと悟ったのか、"チッ"と舌打ちしつつ腰の後ろから刃渡りのあるコンバットナイフを引き抜いた】
【"フゥ……"と少女は溜め息を吐き】
あなたの能力は確か右掌から特殊な波動を発し、それに拠って握っている刃物の切断力を飛躍的に上げる――――とかそんなものでしたよね
悪いですけど、あなたの基礎戦闘能力とその程度の能力では私の追跡を突破することは不可能です
【少女がそう無慈悲に告げるが、男は構わずナイフを構えたまま真っ直ぐに少女へと突っ込んでいく。それを見て少女は構えを取る。そして青白い球体状の光が両手両足を包む。臨戦態勢に入った行動らしかった】
【男はナイフの間合いに入ると即座に踏み込みと共に少女の首元へと突きを繰り出す。自身の得物の間合いを正確に捉えている練度の高さ。常人では避けることも受けることも叶わない鋭い突き。その動きのどれもが先程の言葉で下卑されるような弱い男では決してない、ということを端的に表していた】
フッ――――
【だが少女は切っ先が喉先三寸のタイミングで、短く吐いた息と共に、手刀と呼ばれる小指の付け根から手首までの間の部分で刃の腹部分を払い横に受け流す】
【そしてそれに合わせて自身はその反対方向へとステップを踏むと、ナイフの軌道が横にズレたのと併せて僅かな動きだけでナイフを完全に躱し切ることができる】
【ナイフをギリギリまで引きつけられて躱されたこと、僅かな動きだけで躱されたことが併さって男は自身の突きが決まらなかったことに対する反応が一瞬遅れる】
【そしてそれに気付いたときに、同時にもう一つ気付かされることがあった。少女がこちらをジッと見つめていた。まるで瞳の中からこちらの感情まで覗き込もうとするように】
//続きます
- 268 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/23(木) 12:39:36.83 ID:d/TpxLEn0
- >>267続きです
【その瞳を見てまるで本能のように理解させられる。"こいつはこの隙に攻撃出来たのに、敢えて攻撃しなかった"のだと。"自分は既にやられている筈だった"と。それに気付いた瞬間半ばパニックになるように少女が避けた方向へとナイフの刃を寝かせ、横薙ぎに払う】
【それは打刀に拠る突きを剣戟の主体としていた新選組の隊士が使っていた、平突きからの横薙ぎの連携のような攻撃。この精神状態の中で即座にそれを選び実践したのはやはりこの男が弱くないということを表していた】
【横薙ぎの斬撃は正確に少女の首を切り裂く軌道を取っており、決まれば頸動脈を悠に切り裂き、首をほぼ切断できる精度と威力を持っていた】
【だがこの斬撃が決まることはなかった。少女の突き上げた蹴りが男の斬撃の軌道を無理矢理捻じ曲げ、腕を上方向へとカチ上げていた。しかし男は"その隙"を見逃していなかった。このような脚を大きく上げる蹴りはその可動範囲の大きさの分、身体に還ってくる反動がありそれが隙となるのだ】
【男の目に希望の光のようなものが宿り、それに併さるように頸動脈を切り裂く袈裟斬り軌道の斬撃が振り下ろされる。少女の首が切り裂かれ、大量の血を吹き出している筈だった――――男の背後で"カラン――――"という金属質の物体が硬いものどうしで打ち合わる音が響く】
【眼の前の少女は血を吹き出しているどころか、一切の変化がない。脚は既に降ろされ、ほぼ直立と言ってもいい構えを取っていた。もう既に理解していた。だが本能が理解することを拒んでいた】
【少女の蹴りはナイフを持つ手を狙撃するように直撃し、ナイフを上空へと弾き飛ばしていた。今響いた金属音はその飛ばされたナイフが背後へと落ちた音だ。そして見なくてもわかる、その蹴りに拠って五指が皆あらぬ方向に折れ曲がってしまっていることに】
お前の能力は完全に無力化された。万が一にも私に勝てる可能性は無くなった
【無慈悲な宣告だった。男の目に動揺が浮かび身を翻そうとした。それは逃走しようとしたのか、それともナイフを拾いに行こうとしたのかは、わからなかった。だがそんなことはもう関係なかった。男の身が翻るよりも疾く、少女の右ストレートが正確に顎先を貫いていた】
【男がその場に項垂れるように崩れ落ちる。正確無比な打撃に拠って脳を揺らされ、完全に意識を絶たれていた。すぐに動き出しそうな様子も一切ない】
【少女は項垂れた姿勢のままの男を見下ろして言う】
ナイフがフラタクルエフェクトの範囲外に当たっていればどこであれ一撃で致命傷だった
模擬戦レベルではなかなか緊張感があったわ
【そして耳に手を当て小さな声で呟く】
指令のあった男を沈黙化させたわ。さっさと回収に来て
【と――――。少女は所持していたワイヤーで近くにあった街頭に意識のない男を括り付けると】
あーお腹へった
【と小声で呟き、その場を後にしようとした――――】
//死ネタはなしで戦闘ロール希望です。
絡んでくださる方いればお待ちしております。
- 269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 09:40:57.59 ID:vqWS8lP7O
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- 270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 09:41:45.43 ID:vqWS8lP7O
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- 271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 09:43:15.29 ID:vqWS8lP7O
- 【水の国】
【太陽が元気な今日この頃ーー無風な本日は何をするにも絶好な……否、少し暑すぎる気候かもしれない】
【あちらこちらから「暑い」とか「喉が渇いた」と夏の始まりを感じさせる言葉が飛び交っている】
【繁華街は今日も忙しない。老若男女問わずとはまさにこのことで誰もが限りある時間を有効に使おうと早足で過ぎ去っていく】
【ーーそこは繁華街から少し離れた場所にあった】
【人が多く行き交う賑やかな場所から少し逸れた道。あまり詳しくない人には少し「そっちに何かあるの?」なんて不安になる道なのかもしれない】
【そんな道を進んでいけば気づくだろうかーー柔らかな花の香りが風がなくとも漂う一角に】
【そこは広すぎる庭付きの、豪奢な煉瓦造りの家が聳え立っていた】
【家にしがみつく様に絡んだ蔦までも手入れが行き届き、いささか広すぎる庭には季節の花が太陽を浴びて生き生きと咲き誇っている】
【花の香りはここからだったか、なんて気づけば貴方《貴女》は誘われる様に入って行くのかもしれない】
【花に詳しい人ならばここに並ぶ子たちの名前もひとつひとつわかるのかもしれないがーー踊る様な花々と可憐な香りを楽しんでくれたのなら】
【奥に現れるは『LIORO』と書かれた看板。あぁ、お店だったのかなんて気づいて重めの扉を開けたのであればーー】
【今度はまた違った香りがお客様を歓迎するだろう。木漏れ日の差す店内はたくさんのハーブ用品が綺麗に並んでいる】
【大瓶に入った茶葉、香水、石鹸……そんな商品がお客様を迎えてくれるだろう】
【キィッと扉が閉まる音と同時にひとりの少女が現れた。蜂蜜色のつやつやな髪の毛を二つにまとめ、深い海みたいな二つの瞳が優しげに細められて。細い体は膝までの白を基調としたセーラーワンピを身にまとっている。この子が店員であることは間違いなさそうだ】
【お店の奥の扉から出てきた少女は目の前の木のカウンターと一緒に置かれた椅子に手を付きながら、今日はじめてのお客様に笑顔を向けてーー】
いらっしゃいませ、何かあればお声がけくださいねっ
【なんて今日の太陽にも負けないくらいの笑顔で語りかけるのだろう】
//絡み募集中です!
- 272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 15:05:56.69 ID:1k9/mtJO0
- >>271
【天高く降り落つ季節外れの陽光と、真昼の繁華街の喧騒が織りなすまばらな熱気が、道行く人々の額に汗を滲ませていた】
【肌を焼く暑さに顔を歪めて歩いてゆく、そんな雑踏の中――とある、ひとりの女だけが】
【春先の心地よい風が吹き抜けていくかのごとく、するりと器用に人並みをすり抜けて、ご機嫌な表情で闊歩している】
【――ふと漂う芳しい香り。女がそれに釣られてふらふらと脇道に逸れていくのは、その性格からして必然であった】
【店の前にたどり着くと、女は興味深げに外観を見渡した。そして初見の店になんら気負うでもなく、無遠慮に扉を開くのである】
やあ、こんにちは。
こんなところにこんな雰囲気のいいお店があるとは、不覚にも知らなかったな。
【斯くして、現れた少女はこの女と対面することとなるだろう。その風貌を確認したならば、女はやや長身で二十代ぐらいに見えるはずだ】
【白いジャケットに紺色のインナー、黒いレギンスに赤褐色のブーツ。腰には大小多くのポーチが付いたベルトと、活動的な服装で】
【桜花の柄の腰布とハーフアップに編み込んだ髪を留める二本の簪、左腰に佩いた緑鞘の刀が、桜の国特有の風情を醸し出している】
【その淡く陽光の色を差す長髪は、毛先へと流れるにつれ鮮やかな新緑の色へと彩りを変えており――】
【深紫の瞳は優しく抱く宵闇のようでもあって、しかし夏の陽射しが創った真っ黒い日陰のように、どこか見通しきれない深みがあった】
それにしても……んー、実にいい香りだ。
ここではなにを売ってるの?
【店内に満ちる芳しさに身体を浸すように、女はやにわに大きく息を吸った。そして楽しげに表情を緩めたなら】
【少し身を屈めるようにして、少女の瞳の中の海をずいと覗き込むと、優しげな声色でそう問いかけるだろう】
/まだいらっしゃいましたらよろしくお願いします……!
- 273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 15:40:46.62 ID:h4u3sLQo0
- >>272
【店内の、ハーブの香りを纏って現れたのは綺麗な女性であった】
【絵に描いたような、ドラマのワンシーンのような、美しい女性の登場に店主の少女が息を飲んだのはもしかしたらバレちゃっているかもしれない】
【煌びやかな商品に負けないくらいの存在感と美貌ーー羨ましいなと思うのはきっとこの少女だけではないだろう】
【見惚れてしまったと言ってもほんの一瞬なんだけど。すぐに店員の顔を取り戻して少女はまたそういう風に振舞ってーー】
ここはハーブ専門店なんです。
お茶とか、化粧品とか、雑貨とか、そういったものを扱ってるお店なんです!
【けして広くはないが、たくさんのハーブ用品が並ぶ店内。女性の右側には小さなカフェスペース、左側にはお試しで使っていい石鹸とアンティーク調のくすんだ金の水道があって】
【少女は彼女の様子をちらりと見る。この店にふらりと寄ってくれたタイプの方だろう】
【であれば、何か目的があって来たわけではないはずだ。お花の香りに誘われたお客様】
【そんなお客様に少女は、小さなカフェスペースを指差して】
ふふ、こんな小さくてあまり知られていないお店にいらしていただきありがとうございます!
よければお茶していきませんか?
今日は暑いですから、冷たいハーブティーお出しできますよ
【なんて、ふわりと笑うのだった】
//ぜひ!お願いします!
- 274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 15:59:11.66 ID:1k9/mtJO0
- >>273
なるほど、道理でいい匂いがするわけだ。
別段ハーブとかに詳しいわけじゃないんだけどね。ついつい釣られてきちゃったよ。
【少女の返答に、女はゆるりと頷くと冗談めかして笑ってみせた。「店構えもお洒落だったしね」なんて付け加えたのもお世辞ではなく】
【やがて店内を見渡して、物珍しそうに品物に視線をやった。顎に手を当てほほうと唸る、いちいち芝居がかった仕草をする女だ】
【しかしあてどなく漂うその視線から、女がこの手のものに明るくないというのが嘘ではないことが読み取れるだろうか】
ああ、ありがとう。確かに今日は暑かったからね。ありがたくいただくよ。
……ふむ。ところで、店員はキミだけなのかな?
【少女に促されるままに、女はカフェスペースへ進むと着席する。暑い暑いと、思い出したかのように左手で首筋を仰いだ】
【――そんな仕草の割には、女は汗ひとつかいていないように見えた。服装もあまり涼しげとは言えないもののはずだが、】
【それはともかく。女は猫のように大きく伸びをすると、またひとつ少女へ問いかけるだろう】
【言葉の調子は極めて軽い。さっき入ったばかりの店なのに、女はもうリラックスしているようだった】
- 275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 16:51:10.56 ID:h4u3sLQo0
- >>274
ふふ、嬉しいです! ちゃんと育てたお花が香ってくれてるんだなって、思ってしまいますね!
【ーーと少女は上品に笑う】
【物珍しそうに店内を見回す女性に「好きなところみてくださいね」と声をかけて少女はレジカウンターの少し奥にある冷蔵庫へと足を伸ばす】
【手に取ったのはレモングラスティーとローズティーがそれぞれ入ったピッチャーでーー】
【透明な氷をガラスのコップに入れれば、かららという涼しい音が店内に響いた】
【ローズティーを三分の一、その上からレモングラスティーを注いで黒いストローをさせば】
レモングラスとローズのブレンドティーです、暑い日にはぴったりのさわやかなお茶ですよ
【と、ことと女性の前に差し出すだろう】
【涼しげなレモングラスと華やかなローズの香りーー飲んだら暑さも吹き飛ぶだろうか?ハーブティーの隣には小皿に置かれた数種類のドライフルーツが添えられていて】
【ふと、女性の質問に首を縦に降る】
【一人で継いだお店。まだまだ従業員を雇うほどの儲けはなかったりする】
【それは自分が未熟だということも示していて。ちょっと恥ずかしそうに、覗き込まれた瞳を細め少女はーー】
ふふふ、そうなんです。一人でやってるのでお話の相手は私しかいませんけど……よければゆっくりしていってください
と、ところでなんですけど……
それって、カタナって武器ですよね?お侍さんですか??
【ーー初めて見ましたーーが顔に思いっきり出ているのであった】
- 276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 17:16:52.84 ID:1k9/mtJO0
- >>275
【少女の挙措の節々から香る上品さを感じ取って、女は静かに目を細めるだろう。闇のような瞳はただ、深く在って】
【もし少女が敏感なら、女にひしひしと「観られている」ことを感じるかもしれない】
【といっても、別に悪意のある行動ではなかった。その"悪癖"が終われば、女は変わらず柔和な表情でハーブティーを受け取るだろう】
うん、これは美味しいな! 体の火照りが抜けていくみたいだ。ありがとうね。
へえ、ここをひとりで切り盛りしてるの? 見たところ若いのに、大変だね。
……せっかくだ。他のお客さんが来るまで、キミもちょっと一休みっていうのはどうかな?
【――ひとくち飲んで、ぷはぁと子供っぽい仕草で息を吐いた。ご満悦、といったところか】
【ドライフルーツに手を伸ばしつつ、女は首を小さく傾げて少女に着席を促すだろう】
【「わたしには気を遣わなくていいからね」と云って、ついでとばかりに片目を閉じてみせた】
ああ、これ?
まあ、出身は櫻の国なんだけど――実のところ、侍を自称できるほど刀に命を賭けてるわけじゃないんだよね。
あちこち冒険するのに、これがいちばん取り回しが良かったから持ってるだけだよ。ほら、触ってみる?
【飄々とした性格の通りというべきか――人によっては自らの魂と同義とさえいえるであろう自分の刀を、女はあっさりと抜き取って】
【それこそお茶でも勧めるぐらいの軽さでもって、ひょいと少女に手渡そうとするだろうか。重いから気をつけてね、とだけ云って】
【緑鞘に金細工の施された美しい刀だ。ただ持っているだけで、大気を張り詰めさせるなにがしかの力を発しているかのよう――】
【少なくとも、腑抜けた表情でハーブティーに口をつける当人が、この刀の格に見合っているかどうかは怪しいものではあった】
- 277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 17:44:57.90 ID:h4u3sLQo0
- >>276
【観られている……と、してもだ。どうらやこの少女は"そういうの"には鈍感らしい】
【たまにぱっちりと、その深い色の瞳と視線が合えばーーにっこりとなんの意味もなく、それこそ癖みたいに微笑むのだろう】
お口にあったようでよかったですー!
人によってはハーブの独特な香りとか、味とか、苦手な方も多いので。
そうなんです、父が亡くなったので自然とこう、継いで経営とか製造とか……私はまだまだ勉強中ですけど!
【ハーブティーが初めての方でも比較的、クセがありすぎずそれでもちゃんとハーブの香りが感じられるお茶を選んだつもりだ】
【一人で切り盛りする理由をさらりと述べて。経営に勉強に、あまり表情には出していないつもりだが大変なのは確かかもしれない】
【だから休憩のお誘いだって嬉しそうに頷いて、自分にも同じティーを用意して隣に座るのだろうーーとってもいい息抜きだ】
ほわぁあ!?お、重い!!こんなに重いの、取り回しがいいって本当です?!
【重いと云われて覚悟はしていたが、それを上回る重さに声が裏返る】
【それでもしっかり握ってその繊細で美麗な細工に目を輝かせる。こんなに綺麗なものなのに武器なんだ、なんて考えながら】
冒険、されてるんですね!
冒険といったらやっぱり、あれですかまさかお客様はトレジャーハンターでは?!
【安易な想像に思うだろう。こう口にした少女も言ってからそう思ったーーあ、ちょっと子供っぽかったかな、なんて】
【しかし興味があるのも嘘ではない。重い刀を女性に返しつつ、わくわくしながら返答を待って】
- 278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 18:05:55.17 ID:1k9/mtJO0
-
>>277
ああ、元々お茶の類は好物でね。なんというかこう……草の味が好きなんだ。
そうだったのか。でも店構えを見るに、立派にやっていると思うよ?
綺麗でお洒落だし、うまく宣伝すれば女性に大人気の店になりそうだ。
【ドライフルーツを頬張りつつ、女はお茶を飲み進めた。特にハーブに苦手意識は無いらしい】
【……草の味、という評はなんとも微妙ではあったが、それはこの女が変人だからであって、味が悪いという意味ではなく】
【当人もそれは自覚しているらしい。自分も女であることは棚上げして、もう一度店内を見渡すとそう云った】
【ころころ表情を変える少女を嬉しそうに眺めながら、女は戻ってきた刀を仕舞うだろう】
【きらり、と――少女の問いに、女の瞳が輝いた。それは紛れもなく、目の前の少女よりもはるかに、子供じみた目であった】
ふっ――よくぞ聞いてくれたね!
トレジャーハンターでも間違いではないけど、少し風情に欠けるかな。
改めて名乗ろう。
わたしの名はイスト。探検家であり、冒険家であり――"蒐集家"さ。
【にまりと悪戯っぽい表情を浮かべ、わざとらしく腕を組んで、声を弾ませて――】
【女は自らをイストと名乗るのだった。ものすごく得意げな顔。たぶん、これがお決まりの名乗り文句かなにかなのだろう】
【少女が最初に抱いた印象のような、絵に描いたような美しい女性の顔はもうどこにもなく、ただ純朴な少年のような表情だけがそこに在る】
- 279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 18:25:05.87 ID:h4u3sLQo0
- >>278
【褒められたことに明らかに?が紅くなる】
【久しぶりに褒められたのか、それとも褒められ慣れてないのか……どちらにせよ、その紅い顔には嬉しさも滲み出ていて】
【小さくお礼を言えば「おかわりもありますよ!」って誤魔化すように小皿にドライフルーツをこんもり盛り付けるのだった】
蒐集家、ですってーー!?
【あながち間違ってはいなかったトレジャーハンター……なんなら上回る答えに背中を反らして驚いて】
【自分の頭の中にある蒐集家についての知識を総動員させながら興奮したように早口で】
美術品とか、価値のあるもののコレクターさんですよね!!
じゃあほんとうに、ほんとうに冒険してるんだ!!
じゃぁ、イストさんのお家にはそういう素敵なものが溢れかえっているんですか!?
【興味津々。こういう話が好きなのかもしれない】
【少年のような表情の彼女を尊敬の眼差しで、手をぎゅっと握りしめて見つめる少女】
【しかしふと、力の入った顔が戻る】
ーー私、フィオっていいます!
ぜひ、お話を聞かせてください!!
【と、名乗ることを思い出したかのように名前を言えば、またキラキラとイストを見つめるのだった】
- 280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 18:45:24.17 ID:1k9/mtJO0
-
>>279
【女――イストがときおり少女に向ける表情は、まるで我が子を見つめる母親のようで、】
【朗らかに頬を染めた彼女の瞳を見つめて、「ありがとう」と笑うとまたドライフルーツに手を伸ばすだろう】
【ずいぶん食が進んでいるのは、それだけイストが少女との会話に熱を入れ始めた証拠に違いなかった】
――ふふふ、いい反応をしてくれるじゃないか、フィオ。
蒐集家と云っても、コレクターとは少々趣が違ってね。
わたしが蒐めるのは"怪異"であり"怪異譚"――。
まあ簡単に云えば、古今東西を冒険して、あちこちにある不思議なモノやそのお話を集めるのがわたしの趣味なんだ。
【少女、フィオの輝かんばかりの表情にすっかり気を良くしたようで、イストは調子に乗って胸を張りながら続けた】
【蒐集家の他にも冒険家だとか探検家だとかとも名乗っていたが――"仕事"ではなく"趣味"というあたりに、なんとなく内情が伺えるか】
だから物品を蒐めているわけじゃないんけど、職業柄、そういう"素敵なもの"にも多少の縁はあるよ。
たとえばこの刀もそうだ。ただの剣じゃなく、"怪異"に干渉できる力を持つ妖刀……いや、"怪刀"ってところか。
……ふふっ。フィオもこういうの、好きなの?
【ちゃき、と。イストはゆっくりとした動作で刀を抜き、鏡のように美麗な銀の刀身をフィオに開陳するだろう】
【イストが探し求める"怪異"――つまりは幽霊やら怪奇現象やら、そういうモノに"触れる"ことのできる力がそこには在る】
【"蒐集家"にはお誂え向きの能力だ。「取り回しが良い」と言っていたのは、道具として使い勝手が良い、という意味だったのだろう】
【刀を鞘に戻すと、イストはくすりと嬉しそうに笑う。――フィオのきらきらした瞳の奥に、自分と同じ冒険心を探して】
- 281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 19:43:07.44 ID:h4u3sLQo0
- >>280
怪異……怪異譚……
【イストの言葉を噛みしめるように呟く。不思議なモノ、それに不思議なお話ーー】
【たしかに、それを集めるだなんてイストの言う通り他の収集家やトレジャーハンターとは趣が違う】
【怪異を集める蒐集家。聞いたことのない彼女の趣味には好奇心がわくばかりでーー】
私、そういうモノを集める方がいるなんて本当に初めて聞きました
すごく、すごくすごく興味深いっていうか……
はい、私も、好きなんです。アンティークの家具とか食器とか……ぼたんとかそういうのを集めるのが大好きなんですけど、それとは全然訳が違います
【ファンタジーを目の当たりにして、その澄んだ声から昂りが感じられるだろうか】
【自身も、歴史があって美しいものが好きだったりする。もしかしたら体質がそうさせているーー呼ばれているーー部分もある可能性もあるが、それ以上に昔の創りが好きなのだ】
【が、先ほど触らせてもらった刀が"そういうもの"なのだと教えられればまたひどく驚くことになる】
なっ、そんな大事で貴重なもの、触らせてもらえてたんですか私ーー!!
私がアブナイ人だったらどうするんですかぁ!!盗っちゃいますよぅ!
そ、それにしても怪異に干渉だなんて……私の理解の範囲を超えてます!は、怪異に触れるってことは……ちょっと、陰陽師っぽいですね……!!もしかして、職業が陰陽師では?!
【……明らかにアブナイからは遠いのだろうけど……しかし、興味がありすぎて危ない人になっていることにフィオは気づいていないのであった】
- 282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 20:14:46.99 ID:1k9/mtJO0
- >>281
あはは、そっかそっか。
変人奇人の誹りを受けることはしょっちゅうだけど、こんなに興味を持ってもらえるのは久々だな。嬉しいよ。
【イストも興が乗っているようで、その言葉数は多い。彼女はやや照れ臭そうに頬を掻いてはにかむだろう】
【普通の生き方をしていないことは間違いないし、本人もそう思っているが――理解を示してもらえることは、有難かった】
わけが違う、なんてことはないよ、フィオ。
わたしは怪異を追う。キミは歴史ある逸品を求める。――そこになんの違いもない。
好奇心と浪漫の赴くままに、自由に生きて自由に出会う。それだけのことさ。
【すっと目を細めて、イストはフィオに微笑みかける。それは正道を外れても、自由に生きることを選んだものとしての台詞だ】
【あるいはこれが、"蒐集家"なんて馬鹿げた称号を掲げて生きていくための、彼女なりの矜持のようなものだったのかもしれないが――】
【「わたしには、こんな素敵なお店を作ることは出来ないだろうしね」と冗談めかして苦笑すると、イストはお茶を飲み干した】
はっはっは! こう見えてヒトを見る目には自身があるんだ。キミは盗らないと思ったからね。
残念ながら陰陽道までは会得できてないんだけど……。自称ではない正式な職業ってなると、まあ、"冒険者"かな。
冒険者ギルドって知ってる? 色々な依頼を斡旋してくれる団体なんだけど、生計はそこで立ててるんだ。
誰でも受けられるような簡単な仕事もあるし、フィオも興味があったら一度行ってみるのも面白いかもしれないよ。
――キミがもし、特別な力を持っているなら、なおさら重用されるしね。
【興奮するフィオをどうどうと諸手で制して、イストは哄笑しながら身の上を語るだろう】
【ギルドの依頼の話を出して、さり気なくフィオの反応を伺ってみる。ちょっとした気まぐれ程度のものなのだが、】
【"怪異"を蒐めるのがイストの趣味なのだから。そこには当然"異能"も含まれるのである】
【フィオにもそんなものがあるのかな、と。――蒐集家としてのちょっとした下心が、そこにはあった】
- 283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 20:41:14.37 ID:h4u3sLQo0
- >>282
やだ、私ったらちょっと昂りすぎました
あまりこういう趣味って、人に言うこともなければ、同じ趣味を持つ人に出会うこともないじゃないですか……いや、同じ趣味の方なら下手したらライバルになっちゃうわけですけど
だから、こんな事聞いてもらえたのが初めてで、ええ
【一人でコツコツやってきた趣味だ。時には欲しかった物に手を伸ばす前に横から拐われるように買われてしまった経験もあったのだろう。それと同時に理解者も少ない】
【だから尚更、イストの思った通り人のものを盗るなんて絶対にしない子だ】
【いい休憩だと思ったが思わぬ収穫というか……知識の幅が広がってフィオはなんならもう店じまいしてもいいな、なんて思っているくらいだ】
【制されて落ち着いたのか、とりあえず一口ティーを飲んだ】
【そしてイストの話に聞き入る。冒険者にギルド。名前こそ知ってはいたが実在して、それも加入者が目の前にいるのもまた信じられなくーー】
もちろん、知ってはいました。ギルド。でも私には縁がないというかーー
特別な力なんてー!私、お茶出しと肩もみしかできません!
【私なんか、とでも言うように両手をふるふる振って。自分程度の能力じゃ、足手まといにしかならない、なんて思想も交えながら】
- 284 : ◆3kDP/Qhan2 [sage saga]:2019/05/25(土) 21:04:51.86 ID:1k9/mtJO0
- >>283
【ずいぶんとジャンルは違えど、似たような趣味を持つヒトと会えて嬉しいのはイストも同じだった】
【――蒐集家として。いちいちヒトを"観て"しまうその悪癖は相変わらず、心の中でフィオの一挙手一投足を見据えていたけれど、】
【ここまで話してみて、イストはフィオを心を開くに値する人物だと感じていた。こういう素直な"ヒト"が――イストは、好きだった】
まあ、いまのはただの冗談だよ。お店の方もあるだろうしね。
さっきも言ったけど、わたしにはこんな大きな店を守っていくような才能はない。
わたしからしたら、それも「特別な力」のひとつさ。
ここは……お父さんの遺したお店、なんだったか。
店構えを見ていれば、大事にしているのがよく分かるよ。
【フィオの持っているかもしれない"力"について、怪異を蒐めるモノとして興味は尽きないところではあったが――】
【あまり突っ込んで聞くのも"危ない人"になってしまうのでやめておこう、なんて思う良心が、驚くべきことにこの女にも存在したらしい】
【代わりに問うのは――このお店のことだった。この短時間で、イストはこの『LIORO』とフィオがいたく気に入ってしまっていたから】
【――親を亡くした子なんてものは、この異能の世界では珍しくはないのかもしれないけれど】
【フィオを見やる深い闇色の双眸の奥には、たしかに彼女を慮る色合いが覗いている】
- 285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 21:23:10.51 ID:h4u3sLQo0
- >>284
そんなこと……ないですよぅ……
私、ちゃんとお店を守れているか不安でしたが、イストさんがそう観てくれるのなら少し…いやとっても安心しました。
【父親の残したこの店を褒めてもらえればまた、先程と同じように顔を紅くして。今度はちょっと視線を逸らすのだろう】
【あまり表に出さなかった自分の頑張りを、このお店を守るために働いた日々を見透かすように、褒めて認めてもらえたことがーー嬉しくて】
【お父様、私ちゃんとお店守れてますって心の中で報告をーー】
すごく、いい時間でした
イストさんが今日ここに来てくださってよかったです。……あ、もうこんなに話し込んじゃって!ごめんなさい、私いろいろ聴き過ぎちゃいました!!
【すっかり溶けてしまった氷を見てはっとする。時計を見て「あぁこんなに引き留めちゃった!」と慌てだし】
イストさんのお話、すっっごく面白くて時間忘れちゃってました、えへへ
【照れ隠しみたいな笑顔を浮かべる。その表情はいつも意識している「しっかり者のフィオ」の仮面が剥がれ落ちたような……いや。もう十分前から仮面なんてしていなかったのかもしれないけれど】
- 286 : ◆3kDP/Qhan2 [sage saga]:2019/05/25(土) 21:41:42.90 ID:1k9/mtJO0
-
>>285
【イストはどこか遠い目で、頬を染めて目を逸らしたフィオを見つめているだろうか】
【フィオがその心中で父親を思い返すその最中に、イストもまた心の中で小さく呟いた。――家族か、と】
【――もちろん、そこにある虚無と寂寥を表情に出したりはしなかった。ただ嬉しそうに笑う彼女を、母のような眼差しで見守って】
ああ、ありがとう。お茶、美味しかったよ。
……ああ、そうだ。しっかり者の店員さんに、最後にひとつだけ頼んでいいかな。
なにぶんこの手のものには疎いんでね。フィオのオススメの品をひとつ、選んでほしいんだ。
ふふ、よろしく頼むよ。かわいらしい店長さん?
【イストもまた立ち上がると、丁寧にお礼を述べて。そして悪戯でも思いついたような顔で、フィオにひとつ頼み事をするだろう】
【蒐集家であり冒険者――未知と危険の隣り合わせに生きている女だ。適度にリラックスできそうなハーブでも選んでやるのが良いだろうか】
【くすくすと小さな笑いを零して、イストはまたフィオを観た。今度は見定めようとするそれではなく、純粋な親愛に満ちた暖かな視線だった】
- 287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 22:12:55.61 ID:h4u3sLQo0
- >>286
それなら任せてください!イストさんに気に入ってもらえる品を店長であるわたくしが選んで差し上げましょう!
【凛々しく胸を張るけどどこか子供っぽい。任せられればカウンターから店内へと出て、真っ先に並んだ大瓶の中に茶葉が入った一角へと向かう】
【3つ蓋を開け、近くの秤で量を調節しながら袋に入れて行く。透明な袋に〈LIORO〉の文字が白く印刷してある】
【そうしてできたブレンドティーを一旦カウンターに持って行き、ラッピングをしながら】
カモミールのブレンドティーです。乾燥リンゴとか他のお茶っぱも混ぜてますけど、ほのかに甘くて寝る前に飲んでもらうとリラックスできますよ
お茶っぱはお湯に浸して4分くらい抽出して飲んでくださいね!氷を入れる場合は5分くらいがいいと思います
【店長らしさが出ているだろうか】
【すらすらと説明すれば、同じ袋に空のティーバッグもいれて。それとおまけ用の保湿力の高い蜂蜜の石鹸も】
きっと気に入ってくれると思います!……なんて、ちょっと言い過ぎたかな、えへへ
【調子に乗り過ぎた自分を恥じるような笑み】
【でも言ったことに嘘はない。イストがこのお茶をいれたなら、柔らかな甘みがあるそれがきっとリラックスした気分にさせれくれるはずだ】
【その袋を渡したなら。少し惜しむように袋から手が離れるーー】
また、ぜひいらしてくださいね!
よければまたいっぱいお話聞かせてください!その時まで私もいろいろ集めますよ、アンティーク収集家のライバルに負けないくらい!
- 288 : ◆3kDP/Qhan2 [sage saga]:2019/05/25(土) 22:32:38.94 ID:1k9/mtJO0
- >>287
【ラッピングされたブレンドティーを受け取ると、イストは懐から冊子を取り出して、フィオが話した淹れ方を書き付けるだろう】
【すべて書き終えた後――少し迷って、口元を釣り上げた後、なにかしらを追加で書き込んでいって】
【この素敵な贈り物をくれたお店と、そこを守る小さくも立派な店長のことを。忘れぬように、付記しておいた】
うん、ありがとう。
大丈夫だよ、きっと気にいるさ。キミとこの<LIORO>を、わたしが気に入ったようにね。
いずれまた遊びに来るよ。そのときはもちろん、好きなだけ話をしよう。
そしてキミの話も、もっとたくさん聞かせてほしい。
――フィオ。キミだけの"怪異譚"を蒐められる日を、楽しみにしているよ。
【やがて大筋を書き終えたなら、ぱたりと冊子を閉じ、同じように一寸だけ目を閉じる】
【それは小さな別れの儀式だ。名残惜しさを振り切って、イストはちらりと、なんの称号もないただのヒトとしての自分を覗かせた】
【目の前の少女の中にあって、そしてこれから生み出される"怪異譚"に、ひとりの友人として関わっていけることを願って――】
【「それじゃあ、またね!」と軽く手を振り、イストは店を出ていくだろう。いつの間にか日は傾いて、涼やかな風が吹いている】
【怪異と呼ぶにはあまりにちっぽけなその出会いは――しかし女の胸中に、この風よりも爽やかな"お話"として、確かに刻み遺された】
/長時間ありがとうございましたー!!
- 289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 23:11:04.69 ID:h4u3sLQo0
- >>288
【イストを見送った数分後、少女フィオは今日の営業を終わるための準備をしていた】
【closeの札をたて、鍵を閉めて。一緒に休憩した証を名残惜しそうに片付ける】
【あんなに褒めてもらったのはいつぶりだろうか。むしろお父様に褒めてもらったことあったっけ、なんて考えると手が止まってしまう】
【あぁ、いけないいけないと集中しながら片付けるけどやっぱり今日の出来事が楽しかったから、ふと思い出してはふわ〜っと笑ってしまう】
……怪異か……
【ぽつり、と呟くと自然に手が止まる】
【アンティーク調の水道、レジ、棚……なんとなく自分のお店を見回す】
……この体質も怪異ってことになるのかな
【父の言葉を思い出すーー】
【ーーフィオーーお前はーー】
【考えられないくらいーー大きなーーーー媒介にーー】
あーやめやめ! せっかく楽しかったのに!
【なんてわざと自分に怒ってみたりしてーー残りの作業を終わらせる】
【そして何事もなく、今日も無事に終了すれば】
またイストさん、来てくれるといいなぁ!
楽しかったなぁ……
【楽しかった夢のように、一瞬で終わってしまったステキな時間】
【そんな独り言を残して、フィオは店を後にーー扉をあけて二階の自宅へ帰宅ーーした】
//こちらこそありがとうございました!!
- 290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/29(水) 22:07:39.84 ID:EqsuTjqp0
- 【街中――】
【ごく涼しい初夏の夜の匂いがした、ここ数日がおかしなくらいに暑かったのだとして、なんだか冬のように思えてしまうから】
【それでもどこかの飲み屋から帰るようなスーツ姿を見るでもなく見やるに、半袖のシャツを着ているのだから、辛うじて夏であるらしい】
……………………――――――――――――、へびさま?
【――なればひるり吹き抜ける風の温度は剥き出しの腕を撫でつけて酔っぱらいの頭を少しだけ冷やして駆けていく、そんな刹那に】
【長い毛先を乱されながら、唐突に少女が一人振り返るのだろう。――まるで鈴の音のように"りん"とした声、それでも何かの感情に揺らいで、微かな余韻】
あ……、……えと、ごめんなさい。探してる人の声がした、気がしたから……。
【そうして振り向いた彼女は足先すら止めてしまっていた、日曜午後の都心に比べたら十分に空いた道なのだとして、それでもがらんどうの幽霊街には程遠く】
【あるいは誰かが後ろを歩いていたら驚かせてしまうかもしれなくて、――もしかしたらぶつかってしまうかもしれなかった。そうだとして、彼女はまず謝るし】
【どちらにせよ同じたぐいの言葉を吐くのだろう。――急に立ち止まった言い訳一ツ、口元に添えた指先の隙間からかすかに聞こえる、ため息の湿度】
【――少女と言い切るにはいくらも高い背をした少女だった。腰まで届く長い黒髪はお行儀の良い編み込みのハーフアップ、滝より余程凪いだ毛先の温度】
【だからこそ真っ白い肌がずうっとずっと映えていた、――視線に重たげな影を落とす睫毛で雨宿りするよな眼差しは光の加減によって赤と黒を曖昧に移ろって】
【赤いワンピースを着ていた、リボンを編み上げた飾りとしてのコルセットとたっぷりと布地を詰め込んで膨らませたスカートの温度差に、足先の細さが際立ったら】
【もとより少しだけ高めの背丈にうんとかかとの高い靴を合わせていた、――こちらも編み上げのショートブーツ。かかとにひらりリボン飾りをあしらうなら】
【一目見るに十六ほどの少女のようでありながら、――きっとたぶん何か違うのだろうと思わせるようだった。或いは、UTなんて単語から連想して一つお花の名前、思い出すのならば】
【この少女のこと、いくらか分かるのかもしれなくて/けれど分からなくっても何一つ困りはしないのだろうから。きっと、】
…………――うんと高い背の、真っ白い髪の、男の人。……なんだけど……。たぶん……。
【――――――大人びて見せる物憂げさは本人も述べた通り、探し人に関するものなのかもしれなかった。なれば、ふと思いついたように尋ねる声、】
【――自分で探している人だというにごくあいまいな言葉を添えていた、けれど、なにかだましてからかってやろうという色でないのは、きっと、確かで】
- 291 :ラスラドーラ ◆nihwMyGNc6 [sage]:2019/06/01(土) 22:03:04.61 ID:qTuBWYfq0
- 【街中を歩く一人の男】
【蒸し暑い空気が漂う街を人の波を掻きわけて進む】
ちょっと、どいてくれよ――おお!
【紙袋につまった酒類と食品――それを両手に抱え歩く】
【眼前が見えぬほどのそれを揺らしながら歩く姿は危なっかしい】
くそっ!すっかり遅くなっちまった。
【紙袋の隙間から見える姿は三十代くらいか?】
【癖のある黒髪に同じ色の瞳】
【よれよれのシャツと、くたびれたボトムとブーツ】
【みすぼらしい格好とよろよろと歩く姿は偉く滑稽だ】
【しかし鼻を横断する古傷と、よろめきながらも周囲を警戒する鋭い目線が、】
【堅気の世界の人間ではないことを示しており――】
おおっと!アブねぇだろ!前見て歩け!
【しかし今は両手の荷に悪戦苦闘しながら歩くので精一杯】
【街を歩く人々を何とか避けて歩いて行く。】
- 292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/06/02(日) 10:51:11.84 ID:frQ5voTh0
- 誰と関わっても必ずこじれる鈴音さん
赤木セシルアリアと来ていい加減被害者ヅラでは済まされないよ
みんなお前に嫌気が差して離れてるのそろそろ自覚しなよ
- 293 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 18:08:40.16 ID:qgoDHIUj0
- 【国境都市ベロボーグ---郊外の軍施設】
【氷と水の国境線に位置し、どちらの国にの施設も存在している特異な都市。】
【気候はどちらかと言えば氷に近く霜のようなものが年中降っている。】
【そんな都市の郊外にある氷軍施設。軍施設と言う事だけは分かるがその詳細は公にされてはいない。】
【周囲はフェンスで囲まれているが、その一角に佇む人物が一人。】
やれやれ、担当範囲からあまり離れたくはないんですが………
ここも一応は範囲内、ですかね。しかし随分と空間位相に乱れが生じている。
さて、あまり大事になる前に片付けたいところですね―――。
【蛍光イエローの目立つミディアムボブの髪に紫色の瞳を中性的な顔立ちの人物】
【全身は高級感のある黒いスーツとソフトハットで身を包み、右手の人差し指にZ≠フ刻印がされた黄金の印章指輪を付けている。】
【その人物はフェンス越しに施設を眺めながら苦笑を漏らす。どこか芝居がかった仕草だった。】
【そしてその人物が見つめる軍事施設だが、異様≠ネ雰囲気が全体を包んでいる。】
【まるで異世界と繋がったような気配。能力者などの類であればそれに引き寄せられてきてしまうかもしれない。】
- 294 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/06/02(日) 19:27:44.59 ID:fZ8c9sPYo
- >>293
【閉じた断章の狭間、切り取られた終末の一頁、然れど捲る薄皮細工の袂が揺れる】
【言葉と重なる終止符、縣に託した思いも空しく、溶けた泡沫に塗れる所業】
【 ──── 断罪と呼ぶにはあまりにも脆く、不可逆的な仕来りに従う】
わぁるいわぁるい子猫ちゃん、迷い込んだのは何処の箱庭かしら
手薬煉引いて引き金に括って、しとりと待ちわびるのは乙女の嗜みなの
ねぇそうでしょう、全ては時の赴くままに、本能を翳すには十分よ
【錦糸が綴った天蚕糸の如きか細い旋律は、色を含んだ情念を透かして、乳白色の情景に浸される】
【声色は引き寄せられる、後方から一つ、足音が重なって、緩やかな曲線美を彼女は示そう】
【プラチナブロンドの長い髪、紅が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
【零れ落ちそうな豊満な胸を、大きくはだけさせた黒いスーツと短いタイトスカート、スラリと伸びた両脚をストッキングで包む】
【白いコートを袖を通さず羽織り、高いピンヒールを履いた、どこか幼げな横顔が印象的な女性であった】
──── 花は夭折しても尚美しく、曖昧さえも美しく飾るのだから
戯けた手向けも餞も、それまで大した忌みを持たないのでしょう
あら、久方ぶりの戯曲はお嫌い? 都々逸を解さない程風は変わってないのよ、ホントよ?
素敵で素敵なお兄様、貴方の声を聞かせてくださいな
【夜空を指先でなぞったなら、その先に残るのがきっとそんな色をしているのだろう】
【彼女の手は持つ、身長ほどもあろうかと、──── して誰が狙撃銃たる由縁をしって】
【佇む姿は弦楽奏者の如く、銃口を真っ直ぐと彼女は男へと向けていた】
- 295 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 19:58:46.94 ID:qgoDHIUj0
- >>294
【―――ソフトハットをおさえながらゆっくりと半身振り返る。】
【その表情から笑みは消えていた、どこか遠くを見るような視線は少女を見つめる。】
【フッー≠ニゆるやかに息を吐き出す。】
やはり歪み≠ノは歪み=c……ですか。
時の歪みは貴女にとってはどう見えますか?これも戯曲の一部であると?
【何時しかその手には握られていた。】
【幾何学的な碧の光が走った未来的な形状をした大型拳銃だった。】
【男は相手にその銃口を向ける。まるで相手の挨拶に答えるように。】
―――初めまして、ですかね。お嬢さん。
貴女にはこう名乗りましょう、私はオランチョ=B虚数探偵―――チンザノ・オランチョ=B
【オランチョはそう名乗ると、やはり遠くを見るように少女を見た】
//すみません反応遅れました!
- 296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/06/02(日) 20:11:54.28 ID:wAfs/MtC0
- 【工場跡地】
【罅割れたコンクリートの灰色が視界をジャックするような建造物の群像】
【崩落した箇所からは錆びた鉄骨が歪に曲がり突き出し、何とも知らぬ廃液が滴る】
【咽び泣くように続く数日来の霧雨と、折からの茹だるような気温が不快指数を否応無しに上げ】
……、 けほっ
【崩落した屋根の下、月光と薄く降り掛かる雨とを浴びて片隅に蹲る、一人の青年の姿があった】
【整然とした黒羽織の和装に身を包み、肩口で切り揃えた白髪に黒い彼岸花を挿した彼は】
【足許の瓦礫を草履の足で蹴り払い、傍らの錆び付いた機械を支えに覚束なく立ち上がろうとする】
【年の頃は二十代後半、吊り目がちな葡萄色の双眸に目許の泣き黒子が映える、如何にも気の強そうな顔立ち】
【細い身体の線と白い肌は、百七十後半の背丈がなければ或いは女と見紛うこともあったろうもの】
クソが……、畜生 何処や此処、
【男は荒い口調と存外低い声で忌々しげに吐き捨て、苛立ちの強い視線で周囲を見回し】
- 297 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/06/02(日) 20:17:49.70 ID:fZ8c9sPYo
- >>295
【目、眼、瞳 ──── 形容する言葉は数多あれど、その本質は等しく、見つめるという行為も相応に】
【マリンブルーと言葉を借りたがその実は、深海よりも深く、蒼穹の彩りを煮詰めたならば】
【その一端にでも至れるのだろうか、──── 兎角】
【彼女は見つめる、静寂に飽きた女神の如く、それでいて夢見がちな少女の様に】
どうかしら、私が見るのは何時だって一部よ、それで殿方の全部だもの
戯れも戯曲も悪戯も遊戯も、その本質は何時だって一つしかないでしょう?
──── 雄と雌との目合に、着いてくるのが雌雄ですもの
たまには下から突き上げられるのも、良い経験じゃなくて?
【指筋が顎をなぞるように揺らめいて、従うように銃口が唸った】
【細く線を描いた銃弾は、──── 真っ直ぐにオランチョの首筋を狙う】
【薄く揺らいだ夜に抱かれて、彼女はほんのりと頬を緩める】
チンザノね、覚えたわ、とってもとーっても素敵な名前、貴方で二人目よ
前の貴方も良い殿方だったわ、クールでタフで、それでいてとっても寂しい人
ねぇ、次の貴方はどちらかしら、頭蓋を割いたら見えてしまうなら
膨れた溜まった妄執を、私のナカに吐き出してくださらない?
- 298 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 20:31:32.45 ID:qgoDHIUj0
- >>297
言葉に品性はありませんが、佇まいは品格に満ちていますね。
まぁそれも当然か………曲がりなりにも、いや戯曲については語るべきではない。
その美しい瞳を歪めたくはないですが。
【重なる銃口と視線、オランチョはどこか芝居がかった様子で語る。】
【まるで慎重に火薬の中から宝石を摘まみだすかのような、どこか言葉を選んでいる様子だった。】
【「時が惜しいな」とポツリと独り言を呟く。】
【―――瞬間、放たれる銃撃。】
【オランチョは横に飛び引くようにして回避する。】
【だが狙撃中の一撃の威力は回避したからといってタダで済むものでもない。】
【地面は吹き上がり、小石や雪が周囲に撒き散る。オランチョの右足は弾かれた小石で浅く切り裂かれる。】
【滴り落ちる血を雪へと垂らしながら、オランチョは膝立ちになって未来的な形状をした大型拳銃を構える。】
―――私は彼と違って正当≠ナはないですがね。あくまで異聞未来史≠フ存在です。
終わった異聞、その後始末の清掃員というわけです。
【相手に語るようにそう言うと引き金を引く。】
【瞬間、銃口が光に包まれたかと思うと放たれるのは碧の光線。】
【光の道筋を作りながらそれは少女の右肩を貫こうとするだろう。直線の攻撃だ。】
- 299 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/06/02(日) 20:41:39.09 ID:fZ8c9sPYo
- >>298
【吹き上がる銃声、タクトの様に揺らいだなら、逆さまに落ちた爪先が地面をたん、と叩いた】
【銃口を地面へと突き立て跳躍、大鷲が虚空を割く様に地面を滑り】
【 ──── 視線の先に白があった、雪の華、開いて咲いた割礼の様に】
御存知なのね、中々あの人も有名人だったのね、ならスキャンダルになるかもしれないわ
ふふ、いいの、でもそれで、いいのよ、私も彼も、非合法の夜に生きるのですもの
明日も分からない身なら、時折重なって確かめてみるのも風情でしょう?
足りない心の隙間を埋めるのは、正しい形だけじゃないのだから
膨らんだ思いを押し込めるのに、正攻法は狭すぎるもの
──── 高ぶりを沈めるのも、乙女の作法よ
【かくん、と世界から消える、──── 体勢を低くし光線を回避】
【横薙ぎ、ふるうは狙撃銃、長い銃身が長刀の様に脚を狙う】
【巻き上がる雪を頬に浴びて、新雪よりも淡い頬の色を透かした】
あら、異聞が紛れ込んでしまったならそれは正史ではないわ、平行調に移ってみても
靡かない音の響きを指して、私達はそれを不協と呼ぶのだから
なら私が絡め取って、この指先で示してあげるわ
やーよ、そんな所狙ってちゃ、殿方が見つめるのは、たった一つしかないでしょう?
- 300 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 20:56:05.91 ID:qgoDHIUj0
- >>299
勿論。ただ―――そこまでの道筋は決まっていない
私はただ逆説的に軌跡を辿っているに過ぎない、故にズレは生じる。
―――確かに、刹那主義は嫌いではありません。貴女とは同じ方向へ踊りたかったですね。
【苦笑する。それはどこか寂しげでもあった。】
【人と人の繋がりが断絶されてしまった異聞では、もはや叶う筈もない。】
【結局は交わり切る事のない存在。しかしこの世界においてならまだ捨てきれるものでもなかった。】
【横薙ぎに放たれる狙撃銃を少女とは対照的に跳躍で回避。】
【―――そして】
【オランチョは放たれた銃身の上へと立った=z
【細身ではあるがそれはあり得ない筈だった。】
【よく見ればノイズ=Bまるで世界に弾かれようとするようにオランチョの身体の節々にノイズが走る。】
【彼は儚げに微笑む。】
言ったでしょう。私は虚数探偵≠セと。
ここに在ってここに在らず。異聞の残響=\――ですが紳士ではありたい。
【そんな事を言っておいてオランチョは右足で少女の顔の側面を思い切り蹴ろうとする。】
【確かな重みのある鋭い一撃だった。それを放ち終えれば銃身に彼の体重(52kg)が降りかかる。】
- 301 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/06/02(日) 21:07:33.58 ID:fZ8c9sPYo
- >>300
【寒空に吐いた息の果て、或いはその残滓に似て、それ程までに微かな揺れ】
【無表情はさながら仮面に近い、その色を崩さず、彼女は僅かな乱れを描く】
【不可解に適する正解は存在しない、けれども虚数こそが最適解であるのなら】
【苟も彼女はそれを飲み込むのだろう、白磁の首筋は水差の様に】
実像を追いかけるのが探偵の仕事ではなくて? 虚像に化かされるのは衆愚の務めでしょう
それとも貴方は湖面に意図を張り巡らせて、そうして水晶の先を手繰るのかしら
だとすれば、その曖昧に満ちた首筋の先に、染み込んだ赤を見せて欲しいわ
【狙撃銃を手から放す、左の手が蹴りを防いでも尚、──── 体重の乗った重たい蹴り】
【瞬きの如くか細い腕がミシリ、と鳴って、衝撃で数歩彼女は飛び退いた】
【地面へと落ちる狙撃銃、──── 否、──── 違う=z
不在を証明するのなら、力は最も遠くにあるの、乱暴狼藉では濡れないわ
配慮care≠忘れちゃいけないのよ、スナークに対する礼儀は、乙女に通ずる隠喩ですもの
硝子細工を弄ぶ様に優しく、貴方の指先で触れてしまわなきゃ
──── 体温ですら溶けちゃうの、純白よりも淡い白は、穢れを知らないのよ
【銃が地面に 沈み込む そこにあるのは魔法陣、硝子で出来た細やかな代物】
【まるで湖の如く、銃は沈み、乗っていたならばオランチョもまた、沈みこむだろう】
【更に何もしなければ、膝下あたりで、沈下は止まる、地面に飲み込まれたが如く】
【銃は彼女の右の手に出現する、虚空から取り出す様相で】
- 302 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 21:23:33.86 ID:qgoDHIUj0
- >>300
然り。流石ですね白雪の狙撃手。
故に私は異聞であり、そうあるべきではない′フに正統ではない。
―――ですが中身/ATTITUDEは固くそして熱くありたい。それが探偵であるのなら。
【そう言って銃身に体重を乗せた瞬間硝子の沼によってオランチョは沈み込む。】
【「これは………スマートではありませんね」】
【そう言いながら頬には汗が一滴伝う。表情は崩さず、だが危機感は感じながら。】
多芸ですね、まるで白鳥だ。
………気づいていますか?もうあまり時間はないようです。
貴女の目的が崩壊≠ナあるならそれはあと数分持ちこたえれば叶う事になる。
【機械的に、オランチョは少女に銃口を向けて二回引き金を引く。】
【そして再び放たれる碧の光線。だがこんかいは同じような直線に見えて違う。】
【少女が回避しようとすれば僅かにカーブを描いてホーミングする。】
【―――二人の後方の軍事施設では、何か白い光があふれ始めていた】
【ふと何か雪ではない白い粉のようなものが降ってくる。それは………塩≠セった。】
- 303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/06/03(月) 08:28:06.27 ID:atblpkd5o
- 夕月からセシルへ
https://imgur.com/HiakuCI.jpg
https://imgur.com/OYsfY9q.jpg
https://imgur.com/Oqte1Aw.jpg
https://imgur.com/VBIu8Bc.jpg
- 304 : ◆rZ1XhuyZ7I :2019/06/04(火) 00:16:58.47 ID:wFfXZLXyO
- >>303
経緯などお話を伺いたいので一度舞台裏でお話可能でしょうか。
ご検討よろしくお願いします。
- 305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/06/04(火) 15:04:04.41 ID:POszt9oH0
- ドーモ。あやベン・ニンジャです。
私の愛した故郷が私と負けず劣らずの狂人大乱闘の会場だと証明されて本当に嬉しいです。
テーブルの下に悪意のナイフを隠しながら至高の物語を織り上げる、これこそパー速なりきりというもの。
しかしこれではかつて私が追い出されたのは筋違いだし、追い出した意味もなかったわけで。
そういう点ではとても残念と言うほかありません。
- 306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/06/06(木) 09:24:07.22 ID:XdXIeUfsO
- ◆rZ1XhuyZ7Iさんは議論スレに書き込んでくれるのは嬉しいけどもっと文章を推敲して読み易くしてくれるともっと嬉しい。
感情面ばかり表に出過ぎてる上にちょっと読み辛い。
- 307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) :2019/06/06(木) 18:17:27.93 ID:CdkldLTT0
- まあスレの外に関係性を持ち出してる時から見えてた結果だよね
結局議論ごっこも堂々巡りで進展しないし表面だけ仲良しでワイワイやってたらこんなもんだろうね
楽しくも出来ない遊びを何でやってんだか
- 308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/06/07(金) 14:05:26.94 ID:jyIj1dziO
- あげて
- 309 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/06/08(土) 02:18:29.89 ID:1hZnJnCSo
- >>193
>>194
ふ、ふ。ミラさんなら間違いなくそうするさ。たとえ世界線をいくつ跨ごうともな
違いない。音楽に造詣が深いわけではないが、私とて同じ文句を言うことだろう
ただでさえそんな息苦しい世界で、ますます気が滅入る音楽など聞きたくはないからな
【ミラの生き方は、カニバディールには今まで戦ってきた正義の味方とはまた違った形で眩しく映った】
【あらゆる姿に変身する能力や、その触手のみならず、彼女はその思考が、意思が柔軟なのだろう】
【それでいて、自分の思いを貫くことすらしてみせる。彼女は、強い】
ふ、ふふ……!! ああ我ながら、いかにも私らしいやり方で世界に名を刻んでやったようだ
ああそうだとも、しぶといのが私の取り柄だ。今の私でも、きっとそうする。未来の私もそうしていることだろう
やられっぱなしは性に合わない。貴女と同じだ、ミラさん
【あまりにも真っ直ぐな彼女の視線に、同じく真正面から視線を返す】
【彼女は自分の気持ちを偽らない。そんな彼女が己の生存を信じている。これ以上の保証もないだろう】
【それに、しぶとさは自負するところだ。己はきっと生きて蠢き続ける。これまでも、これからも】
>>200
【ロッソとミラのやり取りは、黙して聞いた。ロッソとの付き合いは短くはない。ゆえに、それはわかった】
【20年。個人にとっては十分すぎる時間だ。よくわかっている。“彼女”のことは、自分の中でも降り積もる時間の向こう側だ】
【確かに了解した。カニバディールはただロッソに視線を返した】
【そこからは、霧崎の話に耳を傾ける】
【変わりゆく世界。流れゆく時間。そこに生きる人々も不変ではいられないことだろう】
【それでも、その中で足掻き続ける。霧崎の情報全てを飲み込むと、カニバディールは改めてそれを己に言い聞かせた】
【生きて、生きて、まだ生きるのだと】
――――全て、承知した。あとは、やるだけだ
生きる≠ニしよう
【カニバディールはそう締めくくった。生きる。これまでも、これからも】
/ちょっと上手くまとめきれなかったところはありますが、これにて締めとさせていただきたく思います
/ロッソさんの方、ミラさんの方、改めまして長期間のお付き合いありがとうございました!
- 310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/06/14(金) 00:36:53.12 ID:W9XBAl76O
- 等しく誰からも忘れられてた人間が何故か勝手知ったる顔で一席ぶって書き込んだ挙句あたりまえのように誰からも反応して貰えてないの最高に空気くん≠チて感じで好きだよ。かわいそうだから構ってあげる。
- 311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/06/14(金) 01:54:09.01 ID:mtGsBz9H0
- 騙りだろうけどもし本人ならマジ草だわ
こいつ自分から愚痴スレ民COして引退宣言したくせにしばらくしたら復帰願い出して当然のごとく拒否られてた奴だろ?
その後も何度かバレバレの新規騙りしてスレに出入りしてたしどんだけ未練ったらしいんだよ
- 312 : ◆Rinne/R.E. [sage saga]:2019/06/23(日) 23:51:14.69 ID:LB+IBXF70
- 【街中――――公園】
【春薔薇もとうに終わった薔薇のアーチはこなれた緑色の葉っぱ、昼間であればうんと広げて喜ぶのだとして、今は夜であるのなら】
【いちご色したお月様もとうに欠けてしまった後のお月様がうすぼんやりとした雲の向こう側から瀞むような月明かりを受けて、それでも僅かな艶めきを忘れず】
【日差しに伸びた新芽のぶんだけ歪な形になったところをひょいと潜る人影一つ、蜜柑の房によく似た形のお月様に照らされるのなら、仕草のたびに影だってどこまでも】
――――――――――――――、あれ、
【いくつも連なった薔薇のアーチは春先や秋口ならば見る者だれでも魅了して見せると豪語して止まぬもの、けれども夏の入り口となれば、それでも緑の色どりはごくごく何か癒す色をして、】
【数個目を気儘に潜り抜けたところで、――ぽつと漏れる声が一つあった。なればやはりごく気儘な声音であるのだろう。赤い薔薇が咲くなら千本の鳥居にも似通う最中に、硬質の足音すら止めて】
【――曖昧に溜息を吐くような音節があった、ともすれば誤差にも等しい数秒の出来事。「――――止まってる」。つぶやきに付随するのはりんと涼やかに響くような/ちゃらりと掠れたような金属質の余韻】
【――――言葉を述べたのが涼やかなる金属質で、なにかこすれ合うようなのが掠れた金属質だった。見るなら長く伸びた影の手元より延びるもの、鎖と、丸みと、然るに懐中時計と思しきもの】
壊れちゃったかな。……まだ五年ぐらいなのに。
……――兎でも通るなら、あげるのに。遅刻しないもの。止まってるから。
【どこかうんと遠くで雨でも降っているような温度の風が吹き抜けたなら、――鈴の音によく似た笑い声は小さな反響、鎖ごと吊るして覗き込む仕草が文字盤を煌めかせるなら】
【あるいは夜闇の中、ちかりちかりと遠くまで誰かがここに居ると知らせるのかもしれなかった。――そうでなくても、どうせ誰かが居るのなら、彼女の姿を見つけるのは容易いのだけれど】
【――だから/だから?/だから。彼女はやがてふらりとアーチとアーチの隙間から逃げ出すんだろう、やはり昼間ならごく好ましいのだろう花壇を無視して、夜に全身を投げ出す刹那に】
【腰まで伸びた黒髪が月明かりにごく彩度の低い虹色の艶めきを抱いた、なれば真っ白の肌は余計に映えて、あどけなさを十全に遺すかんばせを彩るには十分すぎるほど】
【ふと俯けばごく黒く見える眼差しはけれど月明かりを臨むのならどこまでも明るく透き通るのだろう。光の加減によって色を変える眼は瞬きのたびにすら煌めきの彩度もまた変えるから】
【そうして裾を揺らすのは緑みに黒いワンピース、そうだとしてごく細く描かれた生成りの縦縞が軽やかさを添えて、だとしてもたっぷりとした裾が翻るたびに覗くパニエの布地は物理的に重たげだけれども】
【かかとの分厚いストラップシューズの底にはあまりお淑やかではないのを証明する程度には泥がこびり付いているのだろうから、】
【――見やるに十六ほどの少女であるのだろう。眩しい朝よりか余程暗がりの夜のほうを好むような表情をしていて/けれどこんなに遅い時刻に出歩くにはやはりまだ少し幼すぎるようだから】
――――――いつの間に、止まってたんだろう。もう日付も変わっちゃったのかな。
【やがて丁寧に整えられた花壇すら通り過ぎて、芝生の地面にためらいなくお尻を委ねるなら。やっぱりお淑やかな乙女ではありえなかった、スカートの柔いふくらみだけではごまかせない何かを隠しているのに違いない】
【手元に弄ぶのはやはり旧びた懐中時計、何か少し弄ったらば戻せやしないかといじくる指先は、――すぐに飽きてしまって蓋ばかり何度も鳴らして開閉を繰り返す、今度は蓋だって壊れてしまいそうなのに】
音々ちゃんがメールしてきたらお誕生日。
【――――――そのうちそれだって飽きてしまって、ぼんやりと膝を抱えだす。夜風はどこまでも涼しく柔らかいから、きっと散歩に良く適していた】
- 313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 15:30:12.82 ID:/WVhDhtX0
-
【街中ーー商店街】
【微妙にハズれた天気予報、雨が降るっていうからお気に入りの黒い傘を持ってきたのに、実際は曇り止まりーー夏なのに少し肌寒くて薄手の長袖が欠かせない】
【人もあまり出歩かない微妙な時間帯。いつもは賑わっている商店街は、今は静かに感じる】
【結果的に邪魔になってしまうことになった傘の持ち手を腕にかけ、一人の少女が二つに結ばれた金髪を揺らしながら歩いている】
【生成りの、見るからに肌触りのよさそうな長袖のワンピース。裾についた大振りのフリルが控えめなヒールの音に合わせて楽しげに揺れ、肩掛けバックが少女の腰の高さで跳ねている】
【なんだか育ちの良さそうな雰囲気の少女だが、踊る洋服とは違ってその顔は曇り空みたいに翳っている】
【憂鬱な青い瞳、いつもはにっこりと明るい印象のさくらんぼみたいな唇は固く閉じられ、白い肌は一層青白く、なんなら具合でも悪いのかと感じさせるような、そんな印象を抱かせる】
【ーーやがて少女は足を止め、とあるお店へ消えていった。ーー園芸店。この商店街の中でもひときわ大きく目立つ場所。広すぎて全フロア回るには一日掛じゃないと達成し得ないそんなお店】
【ーー1時間後。買う物が決まっていた少女はそのくらいで園芸店から出てきた……両手にいっぱいのビニール袋に入った植物を持ちながら、ヨロヨロとふらつく足で店を後にする】
【最初は無表情で歩いていた少女だが、やがてその細腕がぷるぷる震え、顔に疲れが出はじめて。腕にかけていた傘がぽとっと落ちた。それを拾うために一旦全部植物を地面に置いて……】
もう……もう、嫌……重い……
【漏れるような声だった】
【長袖にはビニールをぶら下げたせいで深く皺が刻みこまれ、無理に一人で運ぼうとした植物たちは斜めになってーー】
【人通りの少ない道で、少女は一人休むようにその場に丸くなってしまうのであった】
- 314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 15:50:14.69 ID:pvzro5Ex0
- >>313
【初心者が作りさしで飽きてしまったようにでこぼことした空の色、見上げれば明るくとも、いつ降り出すかなんてきっと、お空の上の人しか知らないのなら】
【だからきっとお空の上の人たちだって、空を見上げているのに違いなかった。こんなに晴れるなら水やりをしないと草だって枯れてしまうかしらと思った時に、きっと雨が降るのならば】
【そしたら雲の上だってもしかしたらあんまり晴れてないのかもしれなかった。――――だなんて考えてみたところで、空の色は変わらないし傘は置き忘れたくないし、少しだけ寒いから】
――――――――――――どうしたの、
【――だからきっと傍らに腰を折る気配は、少女がくたびれ果ててしまってから、数分後の出来事。腕の重たさが消える前の、けれど早く戻らねば本当に雨が降りだすかもという逡巡のさなかの頃合い】
【喩えて述べるのなら、ごく鈴の音のように涼やかな声だった。夏祭りの人込みの中ですら聞き間違えようもないような透き通り高い声は、疑いようもなく彼女の性別を伝えてみせて】
【あるいはその前に気づくことも十全に叶うのだろう。――かかとの高い靴を履いているときの足音をしていた。そうして事実まなざしを向けるのなら、一緒に丸くなるようにしゃがむ姿、やはり】
【腰まで伸びた長い黒髪の少女。うんと艶めく手入れの賜物を遠慮なく見せつけるなら、滑り落ちる肌もまたどこまでも白い色、花嫁が纏う衣装の布地より余程白く透き通り】
【あどけなさを手放す前の少女のかんばせ、つんとつって丸いまなこの色合いは黒とも赤とも取れず、あるいは光の角度によって黒と赤との配分を変えて見せる特異な色が目立ち】
【リボン飾りとフリル飾りのやたらと多い衣装を纏っていた。ピンクベージュを基調にしたワンピース。それでも引き締めるべき部位には濃い色をあしらって、せなに滑る髪すらその役割を担うから】
【ふわり膨らむスカートのすそを、――気にしてはいるようだけれど、その先っぽが地面にこすれることについてまでは頓着していないようだった。本当に少女の傍ら、尋ねる距離感にて】
【かかとの高いストラップシューズの爪先がわりにお淑やかに整えられているのが似合うような、それとも気取って見せたような、どちらとも取れる年ごろの、】
手伝おっか?
【――――どちらにせよ、尋ねる声に悪意のようなものは介在しないのだろう。ただ目についてただ気になったのでただ聞きに来たというような顔をしているものだから】
【ともすればありがちな恩を売って得をしてやろうという意識すらないのだと伝えていた、――道端に落ちてたハンカチを柵に乗っけておいてやるような、そういう、温度感】
【故に、否と返せばすぐにでもいなくなってしまうのだろう。その代わり、頼んでみせたら、彼女は間違いなく自分の言葉を遂行するのだと、伝えてもいた】
/ひさしぶりなのでちょっといろいろゆっくりめとかになっちゃうかもですが、よろしければ……!
- 315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 16:27:12.47 ID:/WVhDhtX0
- undefined
- 316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 16:28:32.37 ID:/WVhDhtX0
- >>314
【少女が彼女の登場に気づいたのは声を掛けられてからだった】
【陰と疲れが塗り込まれた、丸くなって落ち込んだ体に染み入るみたいに優しく降る鈴の音は、具合の悪そうに閉じられた瞳を開かせるのには十分だった】
【青い瞳ですぐ隣に同じようにしゃがんでくれている少女をとらえる。曇り空でも輝くみたいに艶やかな黒髪、美しく揺らめく不思議な瞳を持つ少女ーー】
【その瞳に、自分の視線が吸い寄せられるような感覚ーーーー抵抗もせずにじっと見つめてしまう】
【あまりにも遠慮なく、自分の隣に現れた少女を見つめる自分に気づいてやっと、少し視線を逸らした。少女のふわふわなワンピースが地面についてしまっている】
……手伝って……くれる………………えっ?
【現実に戻ってこれたのは、少女の二言目の思ってもない台詞を聞いたからだった】
【あからさまに疲れていることと、キャパオーバーな荷物をみて自分がこれらを家に持ち帰るなんて「無理」だと察してくれたのだろうか】
【当然のように。見返りとか恩とか、そういうものを期待してます感0の、今の自分には神様が遣わしてくれた天使のような、ちょっと大袈裟なんだけどそう感じてしまうくらいに有難い一言を、現れた少女が言ってくれている】
【「いいえ、迷惑をかけるわけにはいきませんから」いつもだったらそう言っているだろう、少女の口から、溢れるみたいにーー】
//続
- 317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 16:29:26.77 ID:/WVhDhtX0
- >>314
……お願いします……
【素直な言葉だったーー】
あ、でも重いですよ、植物。土とか鉢とかもあるので、結構、重いです。
このくらい持ってもらえたらあとは自分で持てるのでちょっとそこまでお願いしても、いいですか?
【ちょっとそこまで、というには少し家は遠いのだけれど……】
【荷物の三分の一、持った感じ軽い方だと感じた子らを分ける】
【分けながら、「助かった」とホッとしたのか、?は徐々に桃色に戻り、陰っていた海色の瞳も輝きを取り戻してーー】
ありがとうございます、私一人だったら絶対に家に運ぶまでかなり時間がかかってしまっていたかと……ちょっと無理に買い込んじゃいました、あははお恥ずかしい……
私、フィオっていいます。よければお名前、教えてもらっていいですか?
【隣に誰かが来てくれた安心感がそうさせるのか、口数も増えて照れ笑いまで浮かべる】
【フィオーー自らをそう名乗った少女は分けた自分がもつ植物たちと傘を持ち上げると「あぁ! とっても楽になりました!」って嬉しそうに微笑んだ】
//ぜひおねがいしますー!私も久しぶりなのでゆっくりなペースになってしまうかもしれないのですが、よろしくお願いします!
- 318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 16:56:18.78 ID:pvzro5Ex0
- >>316-317
【そうして彼女を見やるなら、きっと目だって合うのだろう。そうしたなら、やはり改めて尋ねるように、彼女は無言のままに小さく首を傾げる、「だいじょうぶ?」って窺って】
【だからきっと彼女からしたなら、少女のこと、よーっぽど疲れていると思っているのかもしれない、なんて。――意識の浮上と同時に漏れ出る声音に、少しだけの笑みを添え】
【――少しだけ/困ったような/揶揄うような/慈しむような、――そういうなんだか少し変な顔をしていた、ひっくり返ったまま起き上がれなくなったひよこちゃんを見てるような、なんて、失礼かしら】
――――うん、いいよ、だいじょうぶ。そしたら――――、……ん。重たいの、大丈夫だよ。お酒の瓶とか、いつも運んでたし――。
……はあい。そしたら、――もらうね。傘も持とうか?
【どちらにせよ、少女から素直な言葉を引き出せたなら、彼女は立ち上がるのだろう。ふわりと靡くスカートの裾は足の華奢さをこれ以上なく際立たせるから】
【そうして袋の一つでも二つでもくださいなと差し出す指先のなんとか細いことか。――そのあたりでいくらか不安になるのかもしれなかった、彼女、重たいものなんて、持てるのかしらって】
【少しだけ高い背をしゃんとさせるさまは見ようによっては自信ありげに心強いのだとして。――――――だとしても、実際に渡せば、"思ったより"当たり前に、持てるのだろう】
【なら伝える言葉もきっと嘘じゃない。重たいもの持ち慣れているからって。――だけれども、変に押し付け合い奪い合いになる前に渡された分を受け取るのだろう、】
【――そうだとして、少しだけお姉さんぶるように首を傾げた、せっかく二人になって両手の数も増えたのだから、って、言いたげに】
よいしょ、ううん、私も――たまに買いすぎるから。
いろんなもの見てると、いろいろ思い浮かんじゃって――、……お花、好きなの?
私の友達にもね、お花がうんと好きな子がいるの、……――――、鈴音、だよ。
【照れ笑いに返すはにかみは自分もたまにこうなってしまうからと言っていた、とはいえ彼女が買い込みがちなのは食料品、ではあるのだけれど】
【組み合わせ次第でいろんな顔を見せてくれるのは植物も食べ物もきっとよく似ているから、きっとたぶん、無理に訂正するほどの誤りであるはずもなくって】
【声音に潜む親しみが述べる名にまで染みていた、鈴音/りんねと名乗るなら、髪の色合いもあって、おそらく櫻のほうの血を引くのだろうと】
楽になったなら良かった。
【――――どうあれ、目を細めた笑みの吐息の色合いは無邪気さによく似ているから。だって途端に華やぐフィオの顔を見たなら、きっと誰だって人助けの尊さに思いを馳せるもの】
- 319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 17:29:59.94 ID:/WVhDhtX0
- >>318
あぁ、傘助かります!
雨降るっていうから持ってきたのに、雲だけ大袈裟で全然でした
【腕のところでブラブラ揺れて、時に足にぶつかっていた傘が、優しい彼女に預けられる】
【その時に見えた白くて細い指。それはフィオを不安にするには十分で】
【えっーー荷物、持てるんですか??】
【そう、喉元までせり上がってきたのを静かに飲み込む】
【一応軽い子らを選んで渡したつもりだったけど、それすら持てるのか不安になるくらい細い指。ふわふわのお洋服の下はどんなに細い体が包まれているんだろうと考えてしまうほどの細いーーあぁ、脚も細い】
【酒瓶だなんて目の前の少女には似合わないもの、私を安心させるために言ったことなよかもしれないーー】
【そんな考えが頭をぐるぐるして、傘を渡す手が一瞬引っ込められたのだけどそれすら彼女は受け取って、持ってくれている】
【しゃんとしてはいるけど、まだなんとなく不安は拭えないまま、家の方向に向かって歩き出す】
//続
- 320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 17:31:12.93 ID:/WVhDhtX0
- >>318
私、お店を出しているんです。大々的に宣伝はしていないからあまり有名ではないのだけれど、ハーブのお店なんです。
思ったより早く継ぐことになってしまったから、まだまだ勉強不足なせいで……足りなくなってしまったぶんをとりあえず買いに来たんです
【よく見るとまだ幼さが残るフィオの顔。どう考えても店を継いでいい年齢ではないーーお店の話をすると少し悲しそうに瞳を細めて、知識不足な自分と前の店主の父のことを思い出して悲しげな笑顔を浮かべて】
【配分ミスなのか枯らしてしまったのか、詳しくは言おうとしないのだが言われてみれば買った植物は全部ハーブで。袋に入って入るけれど、なんとなく香ってくるのがわかるだろうか】
鈴音さん、ですね!
ふふ、本当に助かりました。鈴音さんみたいな方に声かけてもらえて、私すごく幸運です。
え、お友達、植物好きな方いらっしゃるんですか!? 私、周りにそういう子あんまりいなかったのですごく羨ましい……です
【さっき会ったばかりなのに、優しい鈴音にすでに心を許しているのか、口調は丁寧なものを心がけているようだが、その声色からはもう親しみ、嬉しさ、楽しさ……そういうものが滲み出ていて、人懐っこさが伺える】
私、ちょっとそこまでなんて言ったんですけど……お店、もうちょっとかかるんです
鈴音さん、この後用事とかそういうの、無いですかね……?
【急な心配。だいぶ楽になったから出る言葉ではあるのだが】
【歩いて行ける距離だけど、どちらかといえば自転車向きな距離。手伝ってくれる鈴音の今日の予定なんて気にしたりして。もし無いのなら、お店でお茶でも用意したいなんて思ったりしながらーー】
- 321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 17:57:52.94 ID:pvzro5Ex0
- >>319-320
【そうやって預かる傘も、彼女は特に気にした風もなくぶら下げるのだろう。それを見ているフィオがどんなふうに不安がっているのか、知っているのかいないのか――多分ないけど――】
【持ってしまえばふらついたりなんてことは当然ないのだとして、"だとしても"、やっぱり、どちらかと言えば、お箸より重たいものは素敵な花束しか持ったことないですとでも言い出せそうな風であったから】
【不安をぬぐい切れないのはきっと仕方のないことだった、――ちょっとやっぱり彼女は少し細すぎる、みたい】
――――お店。そうなんだ? ハーブのお店……、ああ、だから――、――私もハーブ、よく使うよ。お料理が好きなの。だから……。
……最近はお料理ばっかりしてるの。お料理と、お散歩と――――しばらく、ずっと、"忙しかったから"。
【――ぱちと瞬いた眼で尋ね返した、ハーブのお店と聞いて、少しだけ目線を下げる、――ちらり。堂々と見るのは少しだけ憚られるらしい、それでも袋の中から香るものに、中身を理解するなら】
【こちらはずいぶんと楽しげに漏れる声、お料理をするのが大好きだから、ハーブだってよく使うの、なんて。であれば、フィオの出すという店に興味があるのだという表明にも似て】
【お料理をしてお散歩をしてなんてずいぶんと気儘な生活をしているらしい、あどけなくも店を構えるのだというフィオに比べたなら、ずいぶんと、「だめなひと」っぽく聞こえてしまう】
……なら、よかった。さっきもお散歩をしてたの、私――――眩しいの、少し、苦手だから。これくらいのお天気のほうが好き。だけど……雨は、あんまり。
降ってくるようなら帰ろうかなって思っていたら、女の子が困っていたから。――うん、お友達に居るの、とーっても、お花が好きな子。
お花って言うか……植物、が好きなのかな。いろんなこと、知ってて。
【それでも時としてお姉さんのような顔をするのが上手な娘だったから。見た目だけで述べるのなら十六歳ほどに見えるのだけれど、まなざしの色の移ろうのに似て、年齢すらもどこか朧気に】
【見ようによっては十四にも十八にも見えるのだろう。それは浮かべる表情によるのかもしれなかった。夜空の月が雲によって容易く表情を変えるみたいに、それよりずっと近い距離感にて】
【眩しいのは嫌いだけど雨も嫌いなんて我儘を言うのさえ許される年齢に今は見えた。――厳密にはそういう感じの表情をしていた。女の子が困っていたから、なんて言う瞬間には、悪戯ぽく笑むけれど】
【"友達"については、花というより植物全般が好きであるらしい。「私も、おうちのお庭に植えるやつを選んでもらったりして」なんて言うから、仲のいい友達らしい】
ううん……、私ね、実は……、
【――――――――――――ざわりと冷たい風が吹き抜けた、雨が降り出す一歩手前に似て、思わず見上げてしまう空は相変わらずの曇天模様、ああもう今にでも雨が降り出してしまいそう?】
【なんて不安になる刹那に、彼女はぽつと切り出すのだろう。鈴の音を沈痛そうに潜めたなら、次に続く言葉の色合いを嫌でも思い浮かべさせる、そんな刹那に】
…………――――――この後も、別に、用事なくって。退屈なの。
【――、けろりと元通りに戻る声音は、きっとおそらく、いや、ううん、間違いなく。フィオのことを揶揄おうとしていた、そんなのひどいって怒っちゃっても、いいくらいに】
- 322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 18:49:44.03 ID:/WVhDhtX0
- undefined
- 323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 18:50:23.37 ID:/WVhDhtX0
- >>321
【華奢……すぎるように思える鈴音が、持たせてしまった荷物を「重い」と言い出したら、その時は自分の荷物だものちゃんと家まで運びます。今度は弱音を吐かずに、と心に決めてーー】
お料理上手なんですね! お料理好きな方はたくさんいるけど、ハーブも使うのはかなり上級者かと! ーーあぁ、お友達植物上級者さんですかっ!?
……忙しかったのですか、お疲れでしょうに。それなのに手伝わせてしまって……ありがとうございます
そういえば、よくお酒の瓶を運んでるって先程仰ってましたけど……お酒……お料理……あ、もしかして鈴音さんってシェフです?
【料理が好き! 得意! という子はたくさんいるけれど、ハーブを使いこなす子はそうはいない。料理に関してはおそらく彼女の方がハーブの知識は上、かも知れない。なにせフィオは料理に得意意識はない。……もちろん、ハーブの店を構えているのだから知識はあるのだけれど、まだ自信は無かったりする】
【ーーふと脳裏に酒瓶の入ったカゴを持ち上げる鈴音が浮かんだーー勝手に想像する鈴音はそれを持って少しよろつきながらどこか店のような場所に入って行くーー】
【そんな想像と、いつも運ぶなんて言ってたお酒の瓶を結びつけて、勝手に職業を想像してーー】
//続
- 324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 18:51:26.67 ID:/WVhDhtX0
- >>321
実はーー?
【鈴音の声色と冷たい風がその後の答えを演出する。ーーあ、ダメなやつ。あまりよろしく無い答えを想像する。手伝わせちゃダメなやつ。ーーと、青ざめた顔をするフィオなんだけど。すぐにそれはーー】
えっ、あ、何も無いんですか!!
もー!! ビックリしましたよ、大事な用事があるのかと思いましたよ!!ぜひお店でゆっくりしていってくださいよぅ!
【ちょっとだけ、怒って見せたような、ほおお膨らませる仕草をしてみるんだけどすぐに笑って】
【ーーそんな会話、していると。】
【長い道のりもあっという間で。雨が降る(かも)前に、自分の自宅兼店へと到着して。自転車の距離だってあっという間だったーー会話っていいなぁ、なんて思うフィオ】
【そこには広すぎる庭付きの、豪奢な煉瓦造りの家が聳え立っていた】 ?【家にしがみつく様に絡んだ蔦までも手入れが行き届き、いささか広すぎる庭には季節の花が曇り空の下でも生き生きと咲き誇っている】 ?【入口の鉄格子には《close》の看板が。それはそのまま、少し大袈裟な装飾の鍵を取り出して南京錠を外せば、門を開けてーー】
どうぞ! ここまで本当に助かりましたー!
【曇り空に負けない、太陽みたいに輝く笑顔で鈴音を招き入れてーー】
- 325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 19:19:10.53 ID:pvzro5Ex0
- >>323-324
――――そんなに、上手だなんて程じゃあ、ないの。自分が好きでやってるだけ。うんと高いホテルみたいな料理は作れないし……。
レシピを見たら一つ一つは作れるけど、そういう、コースみたいなのは本当に――やったこともなくて。……そう? そうかな、……。
じゃあ、上級者かな? ふふ、――――天音ちゃんは上級者だよ。……お店の場所、教えよっか?
五月くらいは忙しくって毎年いつもピリピリしてるんだけど。今ぐらいの時期なら大丈夫だよ、たぶん暇してると思うから。
【フィオの言葉にほんの少しだけ下がる眉の角度はきっと櫻の気質に似ていた、謙遜によく似て、けれどきっと、本当に好きでやっているばっかりで、上手いとか、あんまり考えたことがない】
【おいしいって言ってもらうのは嬉しいけれど、一流ホテルのフルコースみたいなのは食べたことがあっても気後れするばっかりだった思い出と、よくわからないナントカ風の大名行列の思い出】
【思い返して再現しようとしてみたことがないではないけれど、"上手く"出来やしないだろうとはようく分かっているものだから。――それでも、フィオの口ぶりに少しばかし譲歩する形になって、】
【――最終的には上級者かも、なんて言って笑っている。唇に添えた指先の影から、隠せるはずない笑い声が小さく漏れ出て。どうやら友人とやらの名前、それから、紹介しようか、なんて】
【――――勝手に決めちゃってもヤな顔しないだろうという信頼があるらしい。それでもやはり特別軽くはない袋を反対側の手に持ち替えながら、】
ううん、大丈夫。最近やっと落ち着いたの。――――去年ね、ずっと、遠いところに行ってて。最近帰ってきたところ――それと、お引越ししようかなって、思って。
いろいろ見ているところで――、――シェフ、なんて、格好よく呼んでもらえるほどじゃないの、お料理はするけど。後は、給仕さんかな。酒場の給仕さん。
【また小さく笑っている。おしゃべりするのが楽しいみたいに/そうして事実として楽しんでいるようだった。口ぶりからすれば、むしろ久しぶりの平穏であると言いたげで】
【「いいところがあったら教えてね」なんて冗談めかしてから、――そんなにも大層なものではないけれどという言葉は添えられるけれども、大筋としてはそれで良いらしかった、どこぞで料理を作っていると】
【そのうえで給仕までやるというのならあまり大きくはない店なのかもしれないとも。――"酒場"って言うのは少しだけ不思議かもしれなかった、だって、彼女、大人にはちっとも見えなくて、】
――――――――ふふ、あははっ……、なんにもないよ――、ごめんね? フィオちゃんて、なんだか、揶揄ったら、楽しそうで……。ふふっ、……ふふふふっ――、
でもほんとは――そうなの、お店を見せてもらえたらいいなあって思って、――これは本当だよ。今日じゃなくっても、見せてもらおうって思ってて。
【――だって大人って言うのは人をからかって楽し気に笑ったりなんてしないものだもの(本当はそんなことはちいともなくて、ないのだけれど)】
【両手が空っぽでここが喫茶店のテーブル席だったならおなかでも抱えてしまいそうな笑い声、笑うたびに転げるような鈴の音がするから、やっぱり笑い転げているのに違いなかった、意味合いとしては限りなく】
【それでも泣いてしまうほど爆笑するでもないから、余程怒らせてしまうことはないだろうか。――ないといいのだけど。頬を膨らます仕草に向けるのが無邪気であるのも、次ぐ表情の予想なんてついてるみたいに】
【だから、】
――わあ。フィオちゃんのお店、ここ?
【道中の会話はやはり弾むのだろう。取り留めない雑談も。雨が降り出しやしないかと不安がって空を見上げる必要はなく、重たさに項垂れて地面を見下ろす必要もなく、二人おしゃべりでもしていたら、それでいいから】
【やがて目的地まで辿り着くなら、彼女だってぱちりと瞬いて、顔を鮮やかに染めるのだろう。どこかおとぎ話に出てくるおうちみたい、自分も割に広すぎる家に住んではいるけれど、】
【立地が立地なものだから花なんてほとんど育ちやしない――夜の国だから――なんて余談ではあるのだけれど、脳裏に過ぎるのはやはり今度はおひさまのある国にしよう、なんて、当たり前の、(まあ本当に余談なのだけれど)】
【――――お邪魔します。なんて言って、招き入れられる作法は、礼儀知らずと呼ばわるにはいくらも丁寧に。けれど隣国の姫の私室に招かれるより余程砕けていた。だからきっとどこまでも、友達の温度によく似て】
- 326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:41:52.22 ID:/WVhDhtX0
- >>325
家庭料理系上級者ーー!!
一番ホッとするやつ、です!
ああ!なるほど給仕さん、ということはウェイターさん……と? あ、でもお料理も作って提供している、ということはですよーー
やっぱりシェフです、鈴音さんシェフ!!
……ちょ、ちょっとそんなに笑わないでくださいよう、揶揄うのーーよくないですよ!!
【簡単に騙された自分がちょっとーー恥ずかしくなったようだ】
【サイズの違う、赤石の敷かれた道はお店の入り口へと直に続いて行く。道に添えられるように置かれた鉢植えたち。この時期は千日紅が並べられているーー赤い花が二人が歩くたびに挨拶するみたいに少し、揺れて】
【もっと奥には大きな木が、煉瓦の家に影を落とす。その下には遠目からでもわかる、アンティークなベンチとテーブルが2セット。晴れた日ならばここでお喋りもよかっただろう】
【店の扉の横には《LIORO》の看板。この店の名前だろう。多分、聞きなれない言葉なのではないだろうかーー実のところ、フィオもどこの国の言葉なのか、どういう意味なのか、わかっていなかったりするーーこの話はまた別のところで】
【開けるのに力がいる重めの扉の鍵をあけ、塞がった両手の代わりに肩で押すようにしてあげれば、ふわっと優しい香水みたいな香りが二人を歓迎する】
【大瓶に入った茶葉、石鹸、そして一つ一つ香りの違うルームフレグランスの瓶ーーなど。一つ一つの在庫は少ないけれど、沢山の、女の子が好きそうな商品が店内に所狭しと並んでいるーーこれが】
【ハーブ専門店LIOROーーだ】
//続
- 327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:42:20.65 ID:pvzro5Ex0
- >>323-324>>325
/すみません、三十分ほど……?少し離席しますっ、ご迷惑おかけします!
- 328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:43:53.49 ID:/WVhDhtX0
- >>325
そうです、ここが私のお店でーーお店の読み方は「リオロ」……らしいです!
ここまでありがとうございました!! ほんっっとうに助かりました鈴音さん!
あ、お荷物はそこに置いてもらえれば……はい、あとは自分でできるので……ぜひそこに座ってください!今、お茶用意しますので!
【レジカウンターの隣……擦れた金色の流しがあるところとは逆側の、そこ】
【休憩スペースみたいにこれまた古いタイプの椅子とテーブルが置いてあって。そこに鈴音を案内する】
【その後すぐに、先程へっとへとに疲れ切った顔をしていたとは思えないくらい機敏に動き出すフィオーー自宅だとやはりなんとなく、気の持ちようというか……違うのだろう。おそらくーー】
【置いてもらった植物たちをせっせと店の奥に運び入れる。その辺りを覗いてもらえば、他にも沢山まだなんの施しも受けていない植物たちが置いてあるのが伺える。フィオのドタバタ音くらいしか聞こえない店内。今日は休みのようだとはいえ、他の従業員の痕跡は一切ない。一人で経営しているのだろう】
【ある程度片付けが済んだかと思えば、あっーー! と、声を上げる。何事かとみてもらえればペンと紙を握りしめたフィオが向かってくるのが見えるだろう。そしてーー】
ぜひ、お友達さんのお店教えてください!
今度行ってみたいです! ぜひ!
【お店の場所を教えてもらおうと、紙とペンをそっと渡して】
- 329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:44:32.99 ID:/WVhDhtX0
- //>>327 了解ですー!!お待ちしております!
- 330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:44:42.99 ID:pvzro5Ex0
- /タイミング最悪でごめんなさいでした!!改めて少し離席します、もうしわけないです……
- 331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 21:45:58.83 ID:pvzro5Ex0
- >>326>>328
【――――なんだか実態以上に期待させてしまったような気がした、何か述べようとすればするほどにかえって悪い気がするけれど、本当にそんなに特別に上手なわけでもないのに】
【あー、とか、んー、とか、ごくあいまいな声を数度上げて。――何か意を決するような小さな吐息一つ。なんにも言わないことにしたらしかった。もしも振る舞う日が来たとして、】
【がっかりさせてしまったらどうしようかな――なんて今のうちから考えているあたりはあまりプラス思考ではないのだけど。ただやっぱり"シェフ"という単語には、何か、違う感じ、覚えているらしく】
【結構最後のほうまで喉の奥に魚の骨が引っかかっているような、いないような、そんな顔をしていたのだけれど、とは、余談】
――――――――すごい。とってもきれいに手入れしてるんだね、家(うち)は……留守にしてる間に、その……雑草が……。……。たくさん。
だから――いいなあ、次はもっと小さいおうちがいいって思ってたけど、お庭はあったほうが楽しそう。おうちは小さくても、お庭が大きなところ……。
【素敵な場所。どうやら彼女はすでにこの場所をそう判断したらしかった。広々としたお庭を、フィオがあっちへ、こっちへ、草たちの世話のために飛び回る光景すら思い浮かぶようだったし】
【事実としてよく手入れされていること、きっと見たらすぐわかるんだろうから。ひらひら揺れるスカートの裾が千日紅の赤色を一つ引っ掛けて揺らしてしまえば、少しだけびっくりしたみたいに振り返り】
【そのまま腕にぶら下げた荷物の重さに任せるみたいに、もう半回転、またぱたぱたとフィオの後ろをついていくんだろう。ハイヒールの足音もすっかりと慣れたものだから、ようく手入れされた庭先、転ぶこともなく】
リオロ――――……、……――――らしい。
【――そうして招き入れられる店内、扉が開いた瞬間にふわりあふれ出てくる香りは、客人をもてなす人懐こい子犬より余程にぎやかに、毛並みを撫ぜられない代わりに、嗅覚を撫ぜてゆくから】
【けれど彼女はきっとなぜか入り口で立ち止まってしまっていた。元からまあるい眼をもっともっと丸くして、瞬き一つ、二つ、三つ、――それ以前から紡ぎかけていた言葉を紡ぎ終わるまでに、十数秒をかけて】
【(それは別に嫌な態度というわけではないのだけれど、彼女はほんの少しだけありふれた人より優れた嗅覚を持っていたから、少しだけ、びっくりしてしまっていて、)】
【あるいはフィオから見れば、自分の店なのに名前もよくわかっていないのか、なんて、驚いたように見えてしまうのかもしれなかった。――――その意図が絶無だとは決して言えないのだけれど】
――――あ、ううん、いいの――気にしないで。これぐらいのことなら、ほんとうに……いつだって大丈夫だから。
はあい、そしたら――、お言葉に甘えちゃおうかな。…………ちょっとだけ、見ていてもいい? いろんな匂いがして、気になるの。
【そこに、と言われた場所に荷物を降ろして。そうしたら、傘も――どの辺がいい、って聞いてから、そこへ戻すんだろう。そうして両手を空っぽにしてしまうなら、これくらいはいつでも大丈夫って】
【さっきの言葉通りに重たいものは確かに持ち慣れているらしかった。なるほど料理をするなら重たい食材とかもたくさんあるのだし、それで慣れているのかもしれない】
【酒場でもあるというなら、酒もたくさん届いたりするんだろう。とはいえ、ほんとに、その細い中のどこに筋肉をしまい込んでいるのか、みたいなことは、よくわからないけれど――】
【――とかく。片付けに奔走するフィオの傍ら、商品を見ていていいか、なんて、尋ねる声は楽しげであるのだろう。そういう意味ではなるほど確かに彼女だって女の子、】
【ダメと言われるのなら、大人しく椅子にちょんと座っているのだろうけれど。その場合は幾分もほほえましい感じでフィオを眺めたりするのだろうから、やっぱりちょっぴり揶揄い交じり?】
【聞かれる店については、当然教えるのだろう。曰く水の国にある園芸店らしい。ただ何かの専門店というよりかは、本当に、ひっくるめて"園芸"のお店らしい】
【ちなみに件の"天音"という人物の特徴も教えてくれるんだろう。背が大きいらしい。「お靴履いた私より大きいよ」――そしたら余裕で百七十は超えているんだろう】
【「黒っぽい青色の髪してるの」「少しぶっきらぼうかもだけど、怖い人じゃないから」「私が紹介したって言ったら、だいじょうぶ」――等々、便利な(?)情報もしっかりばっちり伝えるから】
/おまたせしました!
- 332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 22:22:43.48 ID:/WVhDhtX0
- >>331
ちょっと、私一人だと広すぎちゃって。これでも狭めたんですよ、自分ができる規模で。運営できるように。
……だから、きれいって言っていただけるのすっごく嬉しいです。ああ、私ちゃんと綺麗にできてるんだって、認識できます。お店って「綺麗が普通」だから、どんなに頑張って綺麗を保てててもそれが、普通……だからその……ハイ。
【要は《褒めてもらえるのが嬉しい》らしい。自分の頑張りがどれくらいのものなのか測る物差しが無いから、いつもこれでいいのかという自問自答の中で生きているフィオにとって、今かけれてくれ鈴音の言葉はすごく、嬉しいし、努力が認められたみたいに思える一言だった】
【お日様より早く起きて日付が変わってしばらくしてから寝る毎日ーーもう、慣れたから苦痛ではないのだけれど、その努力が認めてもらえるのは励みになる】
【ーー褒められるのは結構くすぐったかったりするのだけれど】
そう、らしいーーーー
んです、あはは
【フィオが捉えたのは「そっち」だった】
【店名の意味を聞かぬまま亡くなってしまった父親ーーフィオの中の後悔のひとつである】
【誤魔化すような乾いた笑いーーそんな気はなかったけど少し演技がかってしまっただろうか、とも思ったけれどーー】
【鈴音の、店内を見て回りたいという声に「オッケーです!」って腕で丸を作ってみせる】
【店内に並べられたお茶コーナーや化粧品コーナー、あとは草模様の便箋とかリースとかの雑貨を鈴音が見て回っているのならばふと思い出したようにフィオが声を上げる】
//続
- 333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 22:24:23.11 ID:/WVhDhtX0
- >>331
いろんな匂い……そうだ、私はもう慣れに慣れているのであんまりなんともないのですが、強い香りが苦手だったりハーブの香りが好きじゃなかったりすると具合悪くなる場合もあるので、その場合は遠慮なく言ってくださいね!
曇ってますけど、暑くも寒くもないし、お外にお茶、お持ちしますので!
【ここに来る客はこの香りが好きだ、という方が大半だが、自分が(ある意味強制的に)連れてきたとなれば話は別である】
【ーー苦手で具合悪くなる人もいるのだ。この香りがーー】
【鈴音が外に行きたいといえば、フィオは先程外に置いてあったテーブル席に案内することになる。もし、「そうなったら」遠慮なくお申し付けくださいーー】
天音さん、ですね……特徴も覚えましたよ!
今度絶対に行きます! さっきのお店より良かったらこっちで仕入れようかなぁ……あそこのお店、たまにしおしおしてる子がいるのがちょっと辛かったり……
あ、鈴音さん紅茶って好きです?
つい最近仕入れた「アイスワインティー」っていう紅茶を淹れようかなあって思ってるんですけど……
【紅茶にグレープの香りがついた、ワインぽい紅茶なんですけど、と説明を付け足して】
【紅茶好きには大体美味しいと言ってもらえる一品だが、紅茶だって人によって好き嫌いの激しい飲み物だからと、一応確認を取って】
- 334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 22:51:54.25 ID:pvzro5Ex0
- >>332
【わりに上機嫌そうな顔をしていた、いっぱいの香りに包まれてしまった瞬間は少し驚いた仕草ではあったけれど、慣れてしまえばなるほど悪くはない、と思えて】
【これがもっと強い香りだったならもう少しぐらい呼吸をひそめたりしたのかもしれないけれど、それも必要ない程度だったから。楽しげに店内に這わす視線が、ふとフィオへ戻るのなら】
――――そういうことを言う人は、誰か他の人が綺麗にしてくれた場所を、それが当たり前だって思って暮らしてきた人だから。
自分でお掃除とかしたことないんだよ、お花のお手入れだって、……知らないうちに、なんか、すごいへんな虫、ついてるするし……。……気持ち悪いようなやつ。
……だから……えっと、とっても、素敵だと思うの。きれいで、素敵なお店。
【「私はそんなに苦手じゃないけど」】
【――あるいは、もっと気の利いた事を言おうとした残骸が"これ"なのかもしれなかった。きれいで当たり前だなんて言う人は、今まで誰かに当たり前にきれいにしてもらっていただけなんだって、】
【だからそんな風な言葉を言うやつがもし板として、気になんてしなくていいとまで言っているつもりなのかもしれなかった。――言葉足らずなのはどうしようもない事実としても】
【お庭のお花が綺麗なのだって努力の賜物だと言いたいに違いないのに。きもちわるい虫の話をしたいわけではないのに。――だから最終的にはちょっとだけ目を逸らしてから、戻し、】
【なんかイイカンジにシメた。シマった?】
そうなんだ、……――じゃあ、それもいつか、分かるといいよね。図書館とか行ったら、分かるのかな。……私、あんまり、本は読まなくて。
お料理の本なら、読むんだけど……。あれは、本っていうか、レシピ――? だから、だめかな――。
――――――――――ううん、大丈夫だよ。ありがとう。ハーブの匂いもね、結構好きだよ。ラベンダーの匂いが一番好き。チョコミントのアイスも好き!
だから、ありがとう。――お外の席は、今度、晴れたときに借りようかな。でも……もうすぐ夏だから、秋ごろになっちゃうかもだけど。
【誤魔化す笑みに、――あまり"その"つもりが強いわけではなかった彼女は、あまり気づかなかったのかもしれなかった。代わりに、いつか意味が分かるといいよね、なんて、】
【図書館に行けば分かるものなのだろうか。言ってはみたものの、自分はあまり図書館とか、行ったりしないタイプだから。――レシピの本を眺めて、そういう使い方】
【だからあまりお役に立てないんだろうけど、――気遣いには笑って返す。曰くラベンダーの香りとか好きだと。チョコミントのアイスも好きだと。――――後者も確かにハーブ、ではあるけれど、】
【――そうして付け加える一言は、――また遊びにこようかなって言っているのに等しかった。今度はお客さんとして。或いは、今度も、になるかもしれないけど】
【見せてもらった中でもいろいろ気になったものもあったし――なんて。そんな折に、紅茶について尋ねられるなら、】
"それ"は、天音ちゃんのお店なら大丈夫。天音ちゃんが毎日死ぬほど見てるから。……って言ってた、お仕事の時は、あんまり、行かないから――。
紅茶は、……――うん、好きだよ。だいたい、なんでも……、いろんな名前はよくわからないけど。
【どうやら件の店にはしなびた草なんてものはないらしかった。雑草すらピンピンしてるに違いない。――それはさすがに駄目かもしれないけれど】
【紅茶についてはだいたい何でも好き、というか、――正しくは、何がどれという紅茶かというのをあまり認識していないらしかった。すなわち、出てきたもの、おいしく頂きます――そういう合図に違いない】
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