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【シャニマス×ダンガンロンパ】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】
- 802 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 23:10:19.26 ID:rPjYemXB0
-
そろそろ時間的に厳しくなってきたので離席します。
また明日21時より上記安価の所から再開します。どなたか書き込んでしてくださると幸いです。
それではお疲れさまでした。
- 803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/19(水) 00:34:59.44 ID:Fy7Py5ZN0
- 1 千雪
- 804 : ◆zbOQ645F4s [sage]:2022/01/19(水) 20:10:50.99 ID:ocOXGMBnO
- すみません、急用が入ったので本日更新難しそうです。
明日に持ち越させてください。
- 805 :自由行動、千雪選択より再開します ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/20(木) 20:57:51.05 ID:NxZO6r4R0
- 1 千雪選択
【第2の島 ドラッグストア】
この島に来てからというもの、時々頭痛に襲われることがある。
多分環境が変わったことと、更にはストレスもあっての偏頭痛だと思うがいい加減煩わしい。
いつも使っている頭痛薬はあるだろうかと覗いてみると、またあいつの姿があった。
千雪「あら、よく会うねルカちゃん。どうしたの?」
ルカ「お前私の後をつけて先回りしてんじゃねーよな……? まあいい。私はただ頭痛薬を取りに来ただけだ、お前こそなんでこんなところにいんだよ」
千雪「うん……このドラッグストアって危険なお薬もあるじゃない? 時々様子を見に来て、持ち出されてないか注意してるの」
ルカ「マジか……お前、マメなんだな」
千雪「マメっていうか、心配性なだけなのかも」
ルカ「まあこの島ではそれぐらい危機意識が高い方がいいと思うぜ、で、大丈夫なのか?」
千雪「うん、全部揃ってるし動かされた様子もないから、とりあえずは」
こいつ、お節介な女だとは常々思ってたが、ただ心配性なだけなのか……?
この島に来てから、気が休まる瞬間はなさそうだな……
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‣現在の所持品
【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【シルバーリング】
【メスシリンダー】
【トイカメラ】
【ドライビングニトロ】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
【オカルトフォトフレーム】
プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない
↓1
- 806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 21:03:55.92 ID:DE4dap/n0
- 1 オカルトフォトフレーム
- 807 :生乾き [saga]:2022/01/20(木) 21:13:45.23 ID:NxZO6r4R0
-
【オカルトフォトフレームを渡した……】
ルカ「……ん」
千雪「あら、また廃品回収? ふふっ、よく溜まるのね」
ルカ「うるせーよ、要らねーなら返せ」
千雪「ダメです、これはもう私の物なんだから。……あら、フォトフレーム?」
ルカ「なんかこういう思い出とかって、お前らは大事にしそうだと思ってよ。なんか適当に写真入れとけ」
千雪「ふーん……」
千雪「……ルカちゃん、このフォトフレーム写真を入れた瞬間になんだか変わった編集をされるんだけど」
ルカ「え? ……ゲッ」
千雪「心霊写真……になっちゃうフォトフレームみたいね」
(うっ……別のものを渡すべきだったか……?)
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この前はユニットのやつの話を聞いてみたが、今回はこいつ自身の話を聞いてみるか。
ルカ「そういえばお前、ラジオしてんだよな。……なんだっけ」
千雪「もしかして、パジャマ・ジャム・ジャミングのこと? 知ってくれてるなんて嬉しいなあ……もしかして聞いてくれたりなんかも……?」
ルカ「まあ深夜の時間帯だからな……ラジオつけっぱだとたまに」
(やけ酒なんかした晩に、偶然耳にした程度だけど)
ルカ「なんかやたら人気だよな、お前のラジオ」
千雪「どれくらいの人に聞いていただけてるのかはわからないけど……お便りを毎週送ってくださる方もいて、私の番組を楽しみにしてくれてる人がいるって言うのはすごく有難いことだと思ってるかな」
(まあ、こいつに話を聞いてもらいたくなるって言う視聴者連中の気持ちも分かるっちゃ分かる)
(ちゃんと話を聞いたうえで、重くなりすぎないように機転の利いた、ちょっぱし“お茶目”な切り返しをしてくるんだもんな)
ルカ「でもたまにはあるんじゃねーか? 返事に困るお便り、みたいなの」
千雪「うーん……そうだなぁ、返事に困るというか、全くこれまでの人生で出会うことのなかったお話が届くことは時々あるかも」
千雪「もちろん作家さんがある程度は選んでくれてるんだけど、時にはすぐにいい返しの思いつかないお便りもあってね、その時には自分の未熟さを実感しちゃう」
ルカ「それこそお前みたいなのは変に粘着質な野郎からのお便りとか有りそうだもんな」
千雪「でも、どんなお便りでも……この人は誰かに今の自分の気持ちを知ってもらいたい、聞いてほしいからお便りを送ってくれてると思うの。だから、私はその一つ一つをちゃんと拾えるようなパーソナリティになりたいって思うかな」
ルカ「ハッ……まるでカウンセラーだな」
なるほど、こいつはラジオをやること自体結構気に入ってんだな。
私のとこに来るのは変に自己陶酔した、私のイメージを誇大解釈したようなハガキばっかり。
アイドルとしてのキャラクター像の違いはこういうところにも出るのか……
1.今度ゲストに呼んでくれよ
2.やっぱ番組によってリスナーも違うんだな
3.自由安価
↓1
- 808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 21:21:03.37 ID:DE4dap/n0
- 1
- 809 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:23:17.95 ID:NxZO6r4R0
- >>807はトリップをミスしていますがIDでわかる通り>>1です
進行には支障はありませんが、一応トリップを以後変更して書き込みます
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ルカ「……なあ、今度お前の番組にゲストに呼んでくれよ。なんかお前の話聞いてると、そのリスナー連中のお便りっての読んでみたくなった」
千雪「あら、いいの? 大歓迎、むしろこっちからお願いしたいくらい!」
ルカ「いっつも私んとこに来るのはなんか気色の悪い文面ばっかだからな……お前んとこのやつ読んで息継ぎしてーんだ」
千雪「こら、そんないい方しちゃダメよ?」
ルカ「お前も私のとこのやつ見たらきっと考えが変わるぞ。カミサマだなんて言って持て囃す連中なんだ、察しはつくだろ?」
千雪「うーん……でも、ルカちゃんのことが大好きで送ってくれてることには変わりないじゃない?」
ルカ「大好き、ねぇ……?」
千雪「それはともかく、番組に来てくれるのは嬉しいな。二人でどんなお話しようかしら」
ルカ「あー……そういやそうだな、こういうオフじゃなくて外向きの会話だもんな」
千雪「あんまりいつもみたいにルカちゃんをいじったら悪いかしら」
ルカ「いじってる自覚はちゃんとあったんだな……」
千雪「ふふっ、ルカちゃんの反応がいいから」
ルカ「……ハッ」
今に笑い澄ましてろ、私がラジオに出るときにはむしろこっちが責め立ててやる。
トークペースをかき乱しまくってやるから覚悟も決めておくんだな。
……そのためにも、まずは生き残んねーとな。
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【親愛度が上昇しました!】
【桑山千雪の親愛度レベル…8.5】
【希望のカケラを手に入れました!】
【現在の希望のカケラの数…23個】
- 810 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:24:40.49 ID:NxZO6r4R0
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【ルカのコテージ】
キーン、コーン…カーンコーン…
『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』
『ただいま、午後十時になりました』
『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』
『ではでは、いい夢を。グッナイ…』
昨日は動機の発表があって思うように行動できなかったけど、今日はまた美琴も自主練を再開しているはずだ。
ちょっと顔をのぞかせてみるか。
- 811 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:27:10.19 ID:NxZO6r4R0
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【第1の島 ビーチ】
ルカ「おー、やってるやってる」
美琴は相変わらず海を背景にして一心不乱に舞い踊っていた。
でも、これまでとは明らかに違う。
自分をぞんざいに扱った、乱暴という言葉でひとくくりにできるようなそれではない。
自分の身を痛めつけることもなく、見るものが思わず息をのむ美しさを持った、
それでいて情熱と気迫とを感じさせるような……【美琴らしい】美琴の姿があった。
ルカ「おーい、美琴―」
美琴「……はぁっ……はぁっ……」
ルカ「……ハッ、相変わらずの集中力だな」
懐かしい。同じ事務所に所属していたころのことをつい思い出す。
仕事終わりに事務所に帰ると、レッスン室の明かりがまだついていて、
そこからはシューズとフローリングとが立てるイルカの鳴き声のような音が聞こえてくるのだ。
扉を開けると、一気に彼女の熱気がわたしを包む。
散らした汗と、上がる体温、口から洩れる息吹。
退屈な仕事で冷め切った私を一気に引き戻してくれるその瞬間が、たまらなく好きだった。
扉が開かれようとも、声をかけられようとも、彼女は気づかない。
その目は鏡に映る自分の動きを見るために、その耳は流れるBGMと自分の体の立てる音を聞くために。それ以外の用途の一切がそぎ落とされているのである。
ルカ「……しゃーねーな」
だから、私は彼女の隣で同じように踊るのだ。
パフォーマンスは、ライトが照らす全員を統合することで完成する。
最高のパフォーマンスを追求する美琴からすれば、同じ舞台に上ってきた人間を気にしないわけにはいかないのだ。
美琴「……ルカ、ちょっと鈍った?」
ルカ「ハッ、生意気言ってんじゃねーよ」
そこからは、ステージの幕開けだ。
- 812 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:28:45.63 ID:NxZO6r4R0
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ルカ「いったん休憩、いいな?」
美琴「あ……うん。そうだね」
美琴は自分じゃ休憩を取らない。
休んでいる時間があるなら、それもレッスンに充てねばならないと本気で思っている人間だ。
だからそういう調整は私の役目。美琴にタオルと水とを手渡した。
美琴「……あれ」
汗をぬぐいながら美琴がぽつりとつぶやいた。
ルカ「……どうした? 美琴」
美琴「いや、今……誰か通った気がしたんだけど」
美琴はビーチ入り口から続く、島を一周する道を指さした。
ここを抜けて左手にその人物は走っていった、と美琴は主張する。
ルカ「……こんな時間にか?」
美琴「……勘違いだったのかな?」
今はもう夜時間が始まって一、二時間は経とうかという頃合い。
普通なら出歩きはしないと思うが……
美琴「ごめん、大丈夫。とりあえずあと少しだけやろっか」
ルカ「お、おう……」
今から追いかけたとてその正体がわかるとは思えない。
一旦その人物のことは他所において、練習を再開することにした。
- 813 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:29:54.67 ID:NxZO6r4R0
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【ルカのコテージ】
「美琴のやつ……相変わらずだな」
一体あの底なしの体力はどこから来るのか。
ほんの少し付き合っただけでこんなに疲労がたまるのに、あいつは平気な顔してばかり。
昔からこういうところが癪。
「……つくづくアイドルだよ、美琴は」
水槽のヤドカリを指でつついて、そう漏らした。
美琴は私なんかよりよっぽど技術が高いし、スター性だってある。
でも、それでも私は美琴を夢の舞台へ連れていくことは適わなかった。
それは七草にちかも同じことで。
「……頑張んないとな」
弱音を吐いてなんかいられない。
今私がすべきことは、一刻も早く体を休ませてまた美琴に追いつくための努力をすることだ。
すぐにベッドに横になって目をつむった。
意識が遠のくまでに時間はかからなかった。
- 814 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:31:12.03 ID:NxZO6r4R0
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≪island life:day 10≫
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【ルカのコテージ】
キーン、コーン…カーンコーン…
『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』
『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』
『さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょう〜!』
美琴と練習した翌日。
予想通りというか、予定通りというか……私の身体には疲労が残り、筋肉痛もひどくなっていた。
ソロ活動を始めてからはそこまで激しい振り付けなんかはやってこなかった、
美琴がダンスの道をとことん追い求めたのとは対照的に、私が武器にしたのは歌唱力だった。
フラストレーションをぶつけた歌詞と歌声とは、不思議と同世代の女から注目を集めて、今の立ち位置。
芸能界というのはよくわからない。
まあ、今この島にいる限りはそんな人気や注目だなんてのも意味をなさないのだけど。
「……よし」
それよりも、今はこの久しぶりの痛みが心地よい。
美琴という人間の存在を強く実感できるこの痛みが、何よりも嬉しいのだ。
私はどこか浮足立つ気持ちを抑え、レストランへと向かった。
- 815 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:32:48.80 ID:NxZO6r4R0
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【ホテル レストラン】
もはや私がやってくることに驚く人間はいなくなった。
適当に挨拶をこなせば、すぐに美琴の隣にいける。
そうしてまた食事をして、会話にも少しは混ざる。
穏やかな日常というものが、少しずつだが形成されつつあった。
結華「え? は、花火大会?」
あさひ「はいっす! 昨日、愛依ちゃんと一緒にスーパーに行ったらこ〜んなおっきな打ち上げ花火があったんすよ! せっかくならみんなでやりたいっす!」
愛依「スーパーには手持ち花火とか線香花火、ねずみ花火なんかもあったし。せっかくならうちもやってみたいなって思って〜」
あさひ「公園とか海岸とか、花火ができそうなところもいっぱいあるっすよ!」
摩美々「公園は今は無理じゃないー? あのゲームの筐体があるわけだしさー」
あさひ「じゃあ第2の島の海水浴場っす! あそこならシャワールームに荷物を置いたりできるっすよ!」
結華「まあ確かに都合はいいか……」
ルカ「おい、美琴。花火だってよ」
美琴「花火か……あんまりやったことないかも」
ルカ「だよなー……」
東京でも結構あちらこちらで花火大会なんかはやっているものだが、美琴からすればそんな時間あるなら……以下略。
手持ち花火すらもまともに触ったこともないんじゃないか?
- 816 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:34:01.02 ID:NxZO6r4R0
-
果穂「たのしそうですー! あたし、やりたいです! 花火!」
千雪「これだけ人数がいれば、花火も見ごたえがありそうね」
摩美々「ま、いいんじゃないー? どうせ時間ならたっぷりあるんだしー」
恋鐘「やるんだったらちゃんと安全には注意せんといかんよ! バケツにありったけの水をため込んでおくばい!」
夏葉「手伝うわ、恋鐘。せっかくなら安心してみんなに遊んでほしいもの」
結華「もうやる方向で進んじゃってるけど、みんなは大丈夫?」
冬優子「うん♡ ふゆ、なんだか今からワクワクしてきちゃう!」
ルカ「私たちも異議なしだ」
結華「よし、決まりっ! それじゃあ今晩は第2の島の海水浴場で花火大会!」
あさひ「やったっすー!」
果穂「やったー!」
- 817 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:35:27.62 ID:NxZO6r4R0
-
美琴「……問題は、あの二人だよね」
結華「とおるんとひななんかー……」
恋鐘「ずっとうちらのことを避けとるけん、ここ数日はまともに会話もできとらんたい……せっかくなら二人も一緒に遊んでほしか……」
愛依「あっ、それならさ……おーい! モノミちゃ〜ん!!」
バビューン!!
モノミ「およびですか、和泉さん!」
ルカ「は……? お前、何してんだよ……」
愛依「この前の第2の島の調査の時も、モノミちゃんが二人を呼んでくれたじゃん? 今回もそうしてくれないかな〜って思って!」
モノミ「浅倉さんと市川さん、でちゅか?」
冬優子「うん……二人とも、ふゆたちと行動はしたくないって、ずっと会えてないんだ」
モノミ「うぅ……らーぶらーぶしてもらうはずが、そんな絶縁状態だなんて……」
美琴「……」
(美琴の奴、やっぱりまだ浅倉透に敵意を抱いてんだな……)
果穂「モノミさん! あたしたち、透さんと雛菜さんといっしょに花火をしたいんです!」
結華「三峰たちじゃ避けられて、説得どころじゃないから……お願いできないかな?」
あさひ「呼ぶのに成功したら花火大会にも参加していいっすよ」
(……鬼だな)
- 818 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:37:06.49 ID:NxZO6r4R0
-
モノミ「ミナサン……あちし、ミナサンが頼ってくれて感無量でちゅ……!」
モノミ「わかりまちた! ミナサンのために、あちしが一肌脱ぎまちゅ!」
愛依「さっすがモノミちゃん! 頼りになる〜!」
モノミ「えへへ、あちしにできるのはこれくらいでちゅから」
摩美々「ふふー、結構扱いやすいですね。あのぬいぐるみー」
恋鐘「こら、摩美々! モノミはうちらのために動いてくれるんよ、そげん言い方はよくなかよ!」
(……まあ、モノクマに比べたらよっぽど都合がいいぬいぐるみなのは間違いないな)
モノミはそのまま促されるままに姿を消した。
アイツのことだ、きっとすぐに二人の説得に向かうことだろう。
智代子「二人はモノミに任せるから……わたしたちは準備をしなくちゃだね!」
結華「花火を持っていくのは当然として、こがたんの言ってたように安全面を考慮した用意も必要だよね」
美琴「それに加えてゴミ袋も必要かな。島での暮らしは自然に気をつかわなきゃいけない、ポイ捨てをするわけにはいかないから」
ルカ「さすが、よく気が付くな美琴!」
愛依「じゃあ、昼間のうちにその準備はしておかなくちゃ!」
果穂「えへへ、すっごくたのしみです!」
あさひ「うん! ワクワクするね、果穂ちゃん!」
千雪「ふふふ……」
結華「じゃあ分担は____」
- 819 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:38:48.76 ID:NxZO6r4R0
-
そのまま私たちは花火大会の準備に向けて話を進めることとなった。
花火を集める係、水の入ったバケツを用意する係、ごみ箱の準備をする係、花火中のお菓子やドリンクを用意する係(放クラの甘党女からの強い要望があった)……
私はどれに参加しようか……?
【花火大会の準備を行います】
【選択したメンバーとの親愛度が少し上昇する選択です】
1.花火を集める係【あさひ、果穂、愛依、摩美々】
2.水の入ったバケツを用意する係【恋鐘、夏葉】
3.ごみ箱の準備をする係【結華、千雪、美琴】
4.花火中のお菓子やドリンクを用意する係【智代子、冬優子】
↓1
- 820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 21:40:13.88 ID:X0A0TKPY0
- 4
- 821 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:50:11.30 ID:NxZO6r4R0
- 4 選択
【第1の島 スーパーマーケット】
花火選びはガキどもの相手をしなきゃいけないし、バケツの用意は力仕事……
美琴と一緒の仕事をしてもいいが、単純にこっちのほうが楽そうだ。
そう思い私はお菓子とドリングを用意する係に立候補した。
智代子「ルカちゃんはどんなお菓子が好き? なんでも入れて大丈夫だからね!」
ルカ「お、おう……」
冬優子「ち、チョコちゃん……それって、今晩の花火大会の分なんだよね……? 一週間の備蓄用とかではなくて……」
智代子「え? あはは、ちがうよ、流石にこれ全部わたしが食べるわけじゃないよ!」
冬優子「そ、そうだよね……」
智代子「わたしの分はまた別のカートで用意するから、これはみんなで食べる分!」
ルカ「……こいつ、小金持ちが別の用意で監視できないからってタガが外れてやがんな」
冬優子「……甘ったるいのばっかりじゃないの」ボソッ
ルカ「……? なんか言ったか?」
冬優子「う、ううん! なんでもない! ルカちゃんは何か食べたいお菓子とかある?」
ルカ「そうだな……私はこういう甘いやつよりもっとしょっぱいやつ……こういうポテトチップスとかのがいいな」
冬優子「……!」
ルカ「酒……はガキの手前入れないほうがいいか。あーでも、こういう酒のつまみみたいなやつは食いたいかもな……」
冬優子「ル、ルカちゃん入れちゃおっか! そういうしょっぱいのとか……ほら、成人してる人も何人かいるし、きっと食べてくれると思うな!」
ルカ「お? お、おう……そんじゃ入れるか……」
(気のせいか? やたらこいつが喜んでいるような……)
【親愛度が少し上昇しました!】
【現在の園田智代子の親愛度レベル…0.5】
【現在の黛冬優子の親愛度レベル…0.5】
- 822 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:52:05.48 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【第2の島:海水浴場】
いつだったか千雪に付き添って海水浴に付き合ったビーチにはずらりと花火大会の準備が揃っていた。
中学生と小学生は嬉しそうに手持ち花火を火も付けていないのにぶんぶんと振り回し、高校生以上は段取りと注意事項とを確認する段階に移っている。
もちろん私と美琴もその例に漏れない。
夏葉「どこまで厳格に判定を下すかはわからないけど……使い終わった花火は速やかに処理するようにしておいて。モノクマのことだから、勝手な裁量で動く恐れもあるわ」
千雪「ゴミ袋は常に用意しておくから、ポイ捨ては絶対しないようにしてね」
智代子「飲み物はシャワールームの冷蔵庫を使うことにしました! 花火大会が本格的に始まったらクーラーボックスに移動させるね!」
美琴「ビニールチェアも備え付けてあったから出しておいたよ。気軽に使ってくれて構わないから」
しかし本当に奇妙な因果だ。
まさかこの私が283プロの連中と肩を並べて花火なんかに興じることになるなんて。
しかも自分から協力して、なんだからな。
千雪「ルカちゃん、どうしたの?」
ルカ「ハッ……なんでもねーよ」
- 823 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:52:57.94 ID:NxZO6r4R0
-
結華「準備もひと段落したことですし、とりあえずは解散かな?」
恋鐘「まだ日も沈んどらんし、花火をするには少し早いばい」
智代子「花火大会自体はいつからする?」
夏葉「そうね……この前のパーティは灯織が脅迫状のこともあって夜時間以降にしていたけれど……夜時間を過ぎてからでは果穂に少し厳しいわ」
冬優子「そっか……小学生だと、九時には眠くなっちゃうか……」
愛依「じゃあ八時ぐらい? それぐらいなら日も沈んでるし、大丈夫じゃない?」
結華「そうだね、それぐらいにしておこっか」
結華「おーい! わんぱくガールズー! 花火大会は八時からだから、昼寝しておくなら今の内だよー!」
メガネ女の呼びかけに、波打ち際でじゃれあっている小学生と中学生は「はーい」と大声で返事をした。
結華「よし、それじゃ今度こそ解散だね!」
摩美々「お疲れさまでしたぁ」
千雪「花火大会、いい思い出にしましょう!」
ルカ「美琴、私たちも行こうぜ」
美琴「うん」
ルカ「……? 美琴、どうかしたか?」
美琴「……ううん、なんでもない」
ルカ「……? まあ、いいか……」
(美琴の奴……どうしたんだ?)
(今美琴がぼうっと見てたのは……ストレイライトの【ぶりっ子女】か? 一体、どうして……?)
- 824 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 21:54:16.05 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
花火大会の準備を終えて、私たちはそれぞれ自分の部屋へと戻った。
特に他にやることはないし……まだ時間はあるし、せっかくなら他のやつと話でもしてくるか。
【自由行動開始】
【事件発生前最後の自由行動です】
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【現在のモノクマメダル枚数…69枚】
【現在の希望のカケラ…23個】
1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)
↓1
- 825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/20(木) 22:06:04.81 ID:Q6si7nsA0
- 1 千雪
- 826 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:11:10.22 ID:NxZO6r4R0
- 1 千雪選択
【第2の島 図書館】
時間をつぶすにしても当てがなく、なんとなくふらっと立ち寄った。
この前あいつに進めてもらった本がことのほか面白く、続きが気になっていたというのもある。
そんな思い付きで扉を開けると、目に飛び込んできたのはあいつの姿だった。
千雪「……! ル、ルカちゃん……読書?」
ルカ「え? おう……お前、今は読んでなかったのか?」
千雪「え、ええ……何を読もうかなって迷ってたところで突然扉が開いて、びっくりしちゃった」
ルカ「そ、そうか……」
千雪「でも、せっかくルカちゃんに会えたんだし……本を読むよりも、お散歩したい気分かも」
ルカ「散歩……? まあ、いいけど……」
千雪「それじゃ決定! 島の辺りをぐるりと歩きましょう!」
そんなわけでなんだか強引に連れ出される形で散歩をすることになった。
まあ、たまには潮風を浴びるってのも悪くはないかもな。
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‣現在の所持品
【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【シルバーリング】
【メスシリンダー】
【トイカメラ】
【ドライビングニトロ】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない
↓1
- 827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 22:13:35.87 ID:X0A0TKPY0
- 1 シルバーリング
- 828 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:21:44.91 ID:NxZO6r4R0
-
【シルバーリングを渡した……】
千雪「わぁ……綺麗な指輪……これ、本当に私に?」
ルカ「ああ……いっつも要らねえもんばっか押し付けてばっかだから、たまにはな」
千雪「……嬉しいなあ、ルカちゃんが私のために……」
ルカ「別にそんなんじゃねえ、なんか……その、中元みたいなもんだ」
千雪「お中元は今はシーズンオフじゃない?」
ルカ「し、知らねーよ!」
千雪「ふふ、ありがとう」
(ここまで喜ばれると流石に照れるな……)
【PERFECT COMMUNICATION】
【いつもより多めに親愛度が上昇します!】
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散歩中の話題はやはり、今日の晩に予定されている花火大会についてだった。
私はお菓子と飲み物の用意係、こいつは美琴と一緒にゴミ箱の準備。それぞれやっていることは別だったので、どんなことをしたのかの雑談に花が咲いた。
ルカ「それでよ、あの甘党女……今度はアメリカのホームパーティでも見ないようなチョコエッグ持ってきやがって」
千雪「まあ……そうなの?」
ルカ「木製のハンマーがねえと割れないようなの、花火しながら食えるかってんだ……お前らの事務所の連中、一体どうなってんだよ」
千雪「ふふ、花火大会とはまた別に遊べそうね」
ルカ「お前がやったのはゴミ箱の準備だろ? 結構地味な仕事だよな」
千雪「そうだなぁ、仕事で言えば地味かもしれないけど、段ボールをちゃんと立ててそこにゴミ袋をセットするのって案外手間なのよ」
ルカ「まあな……夏祭りとかでよく見るあれか」
千雪「そう、美琴ちゃんと結華ちゃんがてきぱきやってくれて助かったけど、一人だったら倍はかかってたと思うな」
ルカ「ハッ、お前は確かにどんくさそうだもんな」
千雪「あっ! ひどい〜! また虐めたな〜!」
しかし、本当につくづく思う。
あの七草にちかの裁判の後、まさかこんなことになるなんて考えもしなかった。
私が283プロの連中と一緒に遊んだり、何かを企画したり……
桑山千雪、全部全部、こいつのせいであり……こいつのおかげ、なんだよな。
1.……今日の花火大会、楽しみだな
2.もっと、いろんなことがやりたい……なんてな
3.自由安価
↓1
- 829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 22:30:19.89 ID:DE4dap/n0
- 2
- 830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/20(木) 22:30:58.89 ID:Q6si7nsA0
- 2
- 831 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:37:24.73 ID:NxZO6r4R0
- 2 選択
こいつと一緒に過ごすうちに、私の中にわずかに生まれた衝動。
それは自分自身でも無自覚で、目をそむけたくなるほどに青臭い……羞恥心も抱くような。
そんな認めたくもないような言葉が、口から出た。
ルカ「もっと、いろんなことがやりたい……なんてな」
千雪「……!」
ルカ「私は、美琴ともそうそう遊んだりなんかしてこなかった……それが今、こうやって他の連中とつるんで何かやろうとしてるなんて」
ルカ「……ちょっとだけ、楽しいと思ってるのかもしれねえ」
千雪「……私ね、この花火大会は決してあさひちゃんと果穂ちゃんのためだけにやるんじゃないって思うの」
千雪「この島にいるみんなが協力して打ち上げる花火には、きっともっと大切な意味がある」
千雪「感動をみんなで共有するんだもの、きっと私たちの間にはこれまでなかったものが生まれて、今あるものはより強くなる」
千雪「ルカちゃんも、それを感じてくれたら嬉しいな」
ルカ「……」
千雪「だから、必ず。もっとみんなで色んなことをしましょうね、約束」
ルカ「……指キリげんまんなんてやらねえ」
千雪「もぅ……つれないなあぁ」
約束だなんて言葉も、長い間聞いてこなかった気がする。
この島の暮らしは、私のこれまでを大きく変えてしまっている。
良くも悪くも……
今のところ、その割合は……ちょっとだけ前者が上かもしれないな。
-------------------------------------------------
【親愛度が上昇しました!】
【桑山千雪の親愛度レベル…10.5】
【希望のカケラを手に入れました!】
【現在の希望のカケラの数…24個】
- 832 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:38:38.19 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【ルカのコテージ】
窓から差し込む光はいつの間にか陽光から月光へと変わり、涼しい風が吹きつける静かな夜がやってきた。
そろそろいいぐらいの時間だろう。
「……よし、行くか」
花火大会だなんて、まるで趣味ではない。
でも、美琴と本来一緒に過ごすはずだった時間、ユニットを解散してから抜け落ちてしまった時間を埋めるためには都合がよかった。
ワクワクとも違うソワソワを胸に抱きながら、私は部屋を後にした。
- 833 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:39:50.44 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【第2の島 海水浴場】
あさひ「あっ、来た! お〜い、こっちっすよ〜!」
ビーチにつくと、既に数人の姿があった。
ずっと日中ソワソワしていた小学生と中学生、そしてその世話役連中だ。
ルカ「……おう、気が早いな」
果穂「えへへ、30分前からちょこ先輩と来ちゃってました!」
ルカ「は、早くねーか?」
智代子「果穂が楽しみで居ても立っても居られないって言うから……せっかくだからあさひちゃんと愛依ちゃんを誘って!」
愛依「ホント二人ともすごく元気でさ、さっきまでは四人でビーチバレーしてたんだ〜」
(これから花火やるってのに体力使って大丈夫か……?)
- 834 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:41:00.95 ID:NxZO6r4R0
-
智代子「まだみんなが来るまでには少し時間がありそうだし……ルカちゃんもせっかくだし一緒に遊ぶ?」
ルカ「え? ……まあ、いいけど」
果穂「ほんとですかー!? あ、でも5人じゃビーチバレーはできないかな……」
愛依「じゃあ鬼ごっこでもする?」
あさひ「いいっすね、負けないっすよー!」
ルカ「……ったく」
早く着いてしまったがために面倒なことに巻き込まれてしまった。
柄でもなく年下連中に付き合って走り回って……声上げて……バカみてえ。
ルカ「おっし、捕まえた!」
あさひ「ルカさん、意外と足はやいっすね」
ルカ「ハッ、緋田美琴の元パートナー舐めんじゃねーぞ!」
やってるうちに熱くなっちまってるのも相当にアホくさい話だ。
そんな素っ頓狂な時間の潰し方をしているうちに、徐々に283プロのメンツも揃ってきた。
- 835 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:42:32.53 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
恋鐘「とうちゃ〜〜〜く! ……って、なんね、もう楽しんどるばい!? うちも混ぜて〜〜〜〜〜!」
速攻で鬼ごっこの輪に加わった長崎女。
◇◆◇◆◇◆
結華「おっ、やってるねやってるね! さすがの行動力だね、少女諸君!」
軽妙な言い回しで茶化すメガネ女。
◇◆◇◆◇◆
夏葉「あら、果穂に智代子はもう来ていたの? ……智代子、クーラーボックスの中身がなんだか少ない気がするのだけど」
甘党女を眉をひそめて諫める小金持ち。
◇◆◇◆◇◆
千雪「ふふっ、ルカちゃんったら……」
何を勘違いしているのか上機嫌になるのはあいつ。
◇◆◇◆◇◆
冬優子「こんばんはー、今日は楽しもうね♡」
鬼ごっこには加わらずビニールチェアに腰かけるぶりっ子女。
◇◆◇◆◇◆
美琴「ごめん、皆もう集まってたんだね」
なぜだか集合の段階ですでに汗ばんだ様子の美琴。
◇◆◇◆◇◆
摩美々「ふぁ……眠た……」
マイペースに集合時刻に遅刻して現れた小悪党。
◇◆◇◆◇◆
こうして今朝の打ち合わせに参加していたメンバーは全員そろったのだが、最終的にノクチルの二人がやってくることはなかった。
- 836 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:43:48.73 ID:NxZO6r4R0
-
あさひ「モノミ、説得ダメだったっすかね?」
果穂「透さんと雛菜さん……あたしたちのこと、きらいになっちゃったんでしょうか……」
(まあ、正直そういうことなんだろうな……)
夏葉「……いいえ、今は少しだけ気持ちが通ってないだけ。きっと二人も分かってくれる時が来るわ」
冬優子「う、うん! とりあえず今はここにいるみんなで楽しもう?」
あさひ「そっすね!」
愛依「そうそう、うちらが楽しんでたら、二人もその空気に誘われてやってくるかもしれないじゃん?!」
摩美々「そんな小学生じゃないんだからさぁ……」
とはいえ、あの二人がこれから集合するとも思い難い。
小学生と中学生をあんまり遅い時間まで待たせるのも酷だ。
私たちは今いるメンバーで花火大会を始めることにした。
あさひ「わ〜〜〜〜〜! すごい、すごいっす〜〜〜〜〜!」
果穂「あさひさんの手持ち花火、すっごくカッコイイですー! 色が途中でかわるんですね!」
色とりどりの手持ち花火があちらこちらで着火。
スーパーにある花火を根こそぎ持ってきたと言っていたが、なるほどこれなら数時間単位で遊べそうだ。
- 837 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:44:54.57 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
美琴「えっと……これって、こうであってるのかな」
智代子「み、美琴さん!? それ、逆、逆!」
ルカ「おい、美琴……お前それ天然なのか……?」
美琴「ごめん……あんまり触ったことなかったから」
智代子「み、美琴さん!? チャッカマンから直は危なすぎるよ!?」
美琴「えっと……火をつけるんじゃなかったの?」
ルカ「あそこの蝋燭を経由するんだよ! バッカ、もう……貸せ!」
美琴「ルカ、ありがとう」
智代子「あはは! ルカちゃんもにちかちゃんと一緒で面倒見気質なんだね」
ルカ「はあ? あんなチンチクリンと一緒にしてんじゃねーよ!」
美琴「ルカ、もう火花でてるよ」
ルカ「え? あ、アッッッッッッッッッッッッツ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
- 838 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:46:17.33 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
あさひ「冬優子ちゃん冬優子ちゃん! これやってみたいっす!」
冬優子「あさひちゃん? どんな綺麗な花火なのかな?」
あさひ「これっす!」
冬優子「……よりにもよってなんでヘビ花火なのよ」
あさひ「なんか火をつけたらモリモリ出てくるらしいっす! わたし、見てみたいっすよ!」
冬優子「愛依ちゃん、やってあげてもらえるかな?」
愛依「冬優子ちゃん……やったげたいのは山々なんだけど……ちょっとごめん」
冬優子「愛依ちゃん……? どうしたの……? もしかして、体調悪い?」
愛依「ご、ごめん……うちもう無理! シャワールームのトイレにいるから、なんかあったら呼んで!」
タッタッタッタッ
冬優子「え、ええ……?」
あさひ「冬優子ちゃん、冬優子ちゃん! 早く火をつけてほしいっす!」
冬優子「はぁ……なんでふゆがこんな地味な花火を……」
- 839 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:47:18.68 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
摩美々「ふははー、花火のカーテンですー」
果穂「ま、摩美々さん……! すごくかっこいいですーーーー!!」
結華「ま、まみみん!? それ何個持ち?! あ、危ないって!」
夏葉「花火を複数着火して掲げるだなんて……摩美々、その発想はなかったわ! 負けていられないわね!」
結華「な、なっちゃんまで……?! あーあー、もうめちゃくちゃだよ」
果穂「あたしも負けてられません! 残りの花火を束にして……」
結華「あー、ストップストップ! ほら、年長者がふざけると教育に悪いんだから……二人とも、いい加減にしとかないと!」
夏葉「果穂、火の扱いは慎重にしましょう」
結華「なっちゃんがそれ言う……?」
- 840 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:49:45.70 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
私も他の連中に交じって適当な花火を手に取り、それをぼんやりと眺めていた。
すると、私のもとに千雪がやってきた。手には二本の線香花火が握られており、片方を私に向かって差し出す。
千雪「ほら、ルカちゃん。線香花火をどうぞ」
ルカ「お、おう……サンキュー」
千雪「せっかくだし、どっちが長持ちさせられるか勝負でもする?」
ルカ「ハッ! それじゃあ負けたほうが勝った方の命令を一つ聞く、いいな?」
千雪「乗った! ふふ、負けないぞー!」
二人の線香花火に灯がともり、戦いの火ぶたが切って落とされる。
……とはいえ、線香花火なんて地味なもの。
しゃがみこんで二人の花火を見つめているうちに、自然と言葉を交わす。
- 841 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:51:25.02 ID:NxZO6r4R0
-
千雪「……ルカちゃん、どう? 花火」
ルカ「どうって……綺麗、だよ」
千雪「うん、すっごく綺麗……でもね、この花火が今見れるのは、ルカちゃんが自分でその一歩を踏み出したから。ルカちゃんが私に相談してくれて、美琴ちゃんに気持ちを打ち明けられたから」
ルカ「別に、私はお前に相談なんかした覚えは……」
千雪「ふふ、そうね。ごめんなさい」
ルカ「まあ……でも、今こうやって過ごせて、良かったなとは思うよ」
千雪「ルカちゃん……」
ルカ「そ、その……さ。まあ、その……お前が貢献した部分も多少なりともあるのは……認めるしさ……」
千雪「……」
ルカ「あ、あり……ありが……」
千雪「……」
ルカ「あーっ! やっぱムリ、ナシだナシ!」
千雪「えー、聞きたかったのになぁ」
ルカ「お前がそんな風に含み笑いしながら見つめてくるから恥ずかしくて言えたもんじゃねーんだ! ハッ、もう一生言ってやんねー!」
千雪「もう……意地っ張りなんだから」
- 842 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:53:02.26 ID:NxZO6r4R0
-
千雪「……あ」
ルカ「あ?」
千雪「ルカちゃん、線香花火、落ちてるよ」
ルカ「え……あ、あああああ!? お、お前今のはずるだろ!?」
千雪「私は何もしてないもの、今のはルカちゃんの負けですー」
(く、クソ……!)
ルカ「はぁ……わかったよ、私の負けだ。なんでも命令を言いな」
千雪「そっか、命令かぁ……考えてなかったなぁ」
千雪は顎に人差し指を当てて、首を傾げる。
しばらく思慮したかと思うと、ぱぁっと顔を明るくしてその命令を持ち出した。
千雪「じゃあルカちゃんには、お友達を作ってもらおうかな」
- 843 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:53:53.59 ID:NxZO6r4R0
-
ルカ「は、はぁ……?」
千雪「283プロのみんなともっと仲良くしましょう!」
ルカ「い、いやいや……今も花火大会に参加はしてるだろ?」
千雪「うん、だからその調子でみんなと関わり続けてほしいの。悩んだり、苦しんだりしたときに、一人で抱え込まないように」
ルカ「なんだよそれ……」
千雪「お酒の力がなくたって、ちゃんと自分から相談できるようになりましょう!」
ルカ「はいはい、わかりましたよ……」
(……ったく、こいつはどこまで世話焼き気質なんだよ……)
と、千雪の命令に辟易していた頃。
向こうで一段と大きな騒ぎ声が上がった。その中心にいるのはやはりあの小学生と中学生。
二人は長崎女を囲むようにして、目を輝かせている。
- 844 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:55:04.83 ID:NxZO6r4R0
-
恋鐘「打ち上げ花火もやるばーい!」
あさひ「わっ! すごいすごい! 本格的っす!」
恋鐘「ふふーん! スーパーにあったとっておきたい! 見とって! 夜空にばり眩しか花火打ち上げちゃるけん!」
果穂「恋鐘さん、あたし今から心臓がどきどきしてます!」
摩美々「恋鐘、それ大丈夫なやつー……?」
恋鐘「確かウルトラスペシャルビッグ花火って書いてあったばい」
摩美々「うさんくさー……」
結華「まあ花火コーナーにあったやつなら大丈夫じゃない? それより、みんなちょっと離れとかないと危ないかもだよ」
果穂「わかりました! あさひさん、はなれたところで打ちあがるところは見ましょう!」
あさひ「うん! 冬優子ちゃんのところで一緒に見よう!」
他の連中が離れたのを確認して長崎女が打ち上げ花火の導火線に火をつける。
長崎女もすぐにその場を離れ、私たち全員はその花火筒に視線を注いだ。
- 845 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:56:38.36 ID:NxZO6r4R0
-
あさひ「どんな花火が打ちあがるのかな!」
果穂「恋鐘さんはどんな花火なのか知ってるんですか?」
恋鐘「うちも知らんとよ、花火の説明はあんまり書いてなかったけん」
冬優子「こ、恋鐘ちゃん……それ、大丈夫なんだよね?」
夏葉「見て! もうすぐ導火線を燃やし尽くして、花火そのものに着火するわよ!」
小金持ちの言うとおり、火は花火本体に到達。
あと数瞬のうちにパーンという音とともに宙にそれが打ちあがる。
智代子「あ、あれ……打ちあがらないね……?」
ただ、花火はまるで無反応。
恋鐘「おかしかね〜……確かに火は到着したはずやけんど……」
あさひ「……? なんか様子が変っすよ?」
ルカ「……あ? なんだ、あれ」
美琴「ルカ?」
ルカ「……あの花火筒の中、なんかヘンじゃねーか?」
むしろ、その火はそのまま花火を焼き尽くすほどの勢いで燃え上がり……その表面を包んでいた紙はだんだんと焼き切れていく。
そして、その中にあった、それが姿を現した。
ルカ「……あれって」
……【爆弾】だった。
- 846 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:57:51.12 ID:NxZO6r4R0
-
夏葉「みんな、急いで離れて! とにかく走るのよ!」
恋鐘「ふぇ〜〜〜〜〜〜〜!? なんで、花火に爆弾がまざっとーと!?!?」
結華「こがたん、原因理由は今は後! 早く逃げないと!」
智代子「果穂、手を放しちゃダメだよ!」
果穂「ちょこ先輩、ありがとうございます!」
冬優子「あさひちゃん、どこ!? 逃げないと……危ないのに!」
あさひ「冬優子ちゃーん! 早く逃げないと危ないっすよー!」
冬優子「なんでふゆより後に気づいたくせにあんな遠くにもう逃げてんのよ……!」
小金持ちの呼びかけに応じた私たちは蜘蛛の子散らして一目散にビーチの外へ。
あの爆弾がどれほどのものなのかわからない私たちは振り返る余裕もなくとにかく遠くへ遠くへ。
そうやって走り抜けて、ダイナーの前程まで進んだとき頃だっただろうか。
ドッカーン!!
- 847 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 22:59:22.79 ID:NxZO6r4R0
-
背後からけたたましい爆発音が響いた。
それと同時にすさまじい衝撃が走る。まるで地震でも起きたかのように地面がぐらつき、私たちはその場に膝をついた。
ルカ「おいおい……マジかよ」
美琴「びっくりした……」
恋鐘「ハイパージャンボメガ花火は爆弾だったばい……?!」
摩美々「さっきと名前変わってないー……?」
果穂「あ、あぶないところでした……あのままみんなで花火を囲っていたら、あたしたち……」
智代子「うぅ……間一髪だったね」
あさひ「あはは! すごいドキドキしたっす!」
そしてタイミングを狙いすましたかのように姿を現したのはアイツ。
バビューン!!
モノクマ「PERFECT!! 見事勇者たちは攻撃を回避した!!」
ルカ「も、モノクマ……テメェの仕業か……!」
- 848 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:00:57.81 ID:NxZO6r4R0
-
モノクマ「いやはや……喜んでくれた? ボクからのビックサプライズだよ!」
冬優子「ビッグサプライズって……ふゆたちは死んじゃうところだったんですよ!?」
モノクマ「まあまあ、リアル脱出ゲームみたいなもんだよ。ちょっとばかり臨場感が強すぎたかもしんないけどさ」
結華「臨場感なんて域じゃないと思うけど……モノクマ相手じゃ言っても仕方ないか」
モノクマ「うぷぷぷ! でもテレビ番組でもよくあるじゃん、爆破ドッキリとか頻出でしょ?」
智代子「こんなに地面が揺れるほどの爆発ドッキリなんてないよ!」
モノクマ「オマエラったらあんなに必死な顔して逃げちゃって……うぷぷ、撮れ高抜群だったよ!」
美琴「そういえば……一応ロケ中って言う触れ込みだったっけ」
ルカ「……ハッ」
モノクマ「ボクもさ、一発の爆発で全員おじゃんなんてトッチラケなわけ。もし逃げるのに失敗しても死にはしないように調整はしてたさ」
ルカ「ホントかよ……」
摩美々「それよりわざわざ出張ってきて何の用―? 花火大会に水差しに来たのー?」
モノクマ「用件は今話した通りだよ。ドッキリなんだからちゃんとネタばらしをしないと締まらないでしょ?」
夏葉「締まりなら今もついてないと思うわ」
モノクマ「ま、そういう訳でボクは満足したんでそろそろ撤収しますー! あ、もう爆弾は混ざってないから花火大会中に怯える必要はないからね!」
バビューン!!
- 849 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:02:35.07 ID:NxZO6r4R0
-
智代子「本当にそのためだけに来てたんだ……」
結華「……どうする? モノクマはああ言ってたけど」
千雪「安全が確保されているなら中断する必要もないんじゃないかな? 花火もまだ結構残ってたはずよね」
果穂「はい、まだ試していない花火がたくさんあります!」
夏葉「さすがに打ち上げ花火を今からやり直すのは少し気が引けるわね……手持ちだけにしておきましょうか」
冬優子「せっかくみんなで準備したんだし、最後まで楽しめる分はやっちゃいましょう!」
あさひ「冬優子ちゃーん、いつまでそこにいるっすか? はやくビーチ戻るっすよー」
ルカ「……ったく、とんだ邪魔が入ったもんだな」
美琴「本当にね、心臓が止まるかと思った」
ルカ「よく言うぜ、美琴は表情もほとんど変わってなかったぞ」
美琴「そう?」
ルカ「昔っからそうだけどな。ほら、行くぞ」
モノクマの水差しに文句を垂れながら道を引き返す。
爆発沙汰なんて大きなものはあったが、まだ花火も半分も消費し終わっちゃいない。
それにモノクマ本人がもう危険はないと言っている以上はここで引き上げる理由もない。
……そんな中、千雪は一人立ち止まっていた。
- 850 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:04:17.46 ID:NxZO6r4R0
-
ルカ「……おい、どうした?」
千雪「……ごめん、ちょっと……透ちゃんと雛菜ちゃんのところに行ってくる」
ルカ「え? なんでだよ」
千雪「今の大きな爆発ならきっと……島中どこにいても揺れに気づいたと思うから、説明して安心させてあげないと」
ルカ「おいおいお人よしだな……そもそも居場所も分かるのかよ」
千雪「大丈夫、見つからなかったらすぐに戻ってくるから。ルカちゃんは先に行ってて!」
ルカ「え? お、おう……」
千雪は一刻も早く、といった様子で私の言葉を強引に振り切り、一人ビーチから離れてどこかに行ってしまった。
別にわざわざそんな説明までしなくとも、とも思うが、孤立状態だった私を救い上げた千雪のことだ。もうそういう性分なのだろう。
放っておくことにした。
美琴「ルカ?」
ルカ「おー、すぐ行くー」
花火大会はすぐに再開された。
- 851 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:05:45.50 ID:NxZO6r4R0
-
◇◆◇◆◇◆
結華「それでは花火大会の再開を祝して、こんなのはいかがでしょうか!」
恋鐘「なんね結華、それは打ち上げとは違うばい?」
結華「噴出花火でございます! 火をつけてしばらくするとあら不思議!」
果穂「噴水みたいに火花が出てきてきれいですー!」
あさひ「すごいすごい! 一気にいっぱいつけたらもっときれいになるよ!」
結華「ほどほどにね、さっきの今なんだし慎重にするように!」
あさひ「はいっす!」
- 852 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:06:36.07 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
美琴「これ、何かな」
ルカ「え? お前、これも知らねーのか? 花輪っつって、火つけたら暴れまわるタイプの花火だよ」
美琴「暴れる? これが?」
ルカ「ったくしょうがねーな……ほら、見てな」
カチッ
バシュウウウウウウウウウ
ルカ「こんな風に光りながらくるくる回んだよ」
美琴「すごい……綺麗だね、ルカ」
ルカ「そんなに目を輝かせて……ガキかっての」
美琴「ごめんね、でもあんまり見たことなかったから」
ルカ「別に悪いなんて言ってねーだろ。ほら、次のやつも火つけるぞ」
美琴「うん、お願い」
ルカ「……ハッ」
- 853 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:07:31.77 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
あさひ「冬優子ちゃん冬優子ちゃん、次はこのロケット花火やってみたいっす!」
冬優子「ごめんね、あさひちゃん。ふゆ、ちょっと行かなくちゃなんだ」
あさひ「え! 愛依ちゃんだけじゃなくて冬優子ちゃんも体調悪いっすか?!」
結華「あれ、ふゆゆ。どっか行くの?」
冬優子「うん……えっとね、ちょっと愛依ちゃんの帰りが遅いからドラッグストアでお薬とってきてあげようかなって」
結華「大丈夫? なんだったら三峰もついていくけど」
冬優子「ううん、大丈夫! すぐに戻ってくるから!」
結華「気を付けてね、もう暗いから」
冬優子「ありがとう結華ちゃん♡ それじゃ、あさひちゃんは別の人と一緒に花火を楽しんでね!」
あさひ「えー、結華ちゃんに取りに行ってもらえばいいじゃないっすか」
冬優子「ううん、ふゆの手で取りに行ってあげたいから! ごめんね、あさひちゃん」
あさひ「むー……」
結華「ほら、あさたん。三峰達と一緒に花火やろ? ちょうど今まみみんも退屈そうにしてたからさ、ロケット花火なんかいい刺激だよ」
あさひ「わかったっす……」
- 854 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:08:34.31 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
ヒューーーーーー……
パンッ!!
果穂「たまやーーーーーーーーーーー!!」
あさひ「かぎやーーーーーーーーーーーーー!!」
ルカ「……なんだよ、結局打ち上げ花火やってんじゃねーか」
結華「まあ、これやらないと締めらんないでしょってことで。火をつける前にしっかり火薬の確認もしたから多分大丈夫だよ」
美琴「うん……すごく綺麗」
夏葉「ええ……幻想的な光景だわ」
智代子「だねぇ……まさか、この島でこんな景色が見れるなんて思わなかったな」
結華「あっ、そうだ! 写真撮っとこうかな、せっかくだし!」
果穂「あっ! 結華さん! あたしにもその写真貰えますか!」
結華「うん、もちろんいいよ!」
果穂「ありがとうございます! えへへ、これでこの島を出た時に樹里ちゃんと凛世さんにも見せられます!」
夏葉「果穂……ええ、そうね。今のうちにたくさん思い出話を作っておかないといけないわね」
(……)
- 855 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:10:32.33 ID:NxZO6r4R0
- ◇◆◇◆◇◆
こうして花火大会は幕を下ろした。
耳には火薬のはぜる残響が今も残り、瞼を下ろしてもあの火花が浮かび上がる。
始まる前は子供じみた饗宴と期待もしていなかったが、私は無自覚のうちに随分と楽しんでしまったらしい。
一人口角を上げている自分に気づき、慌ててその頬に力を入れる。
結華「いやぁ〜、やったやった! もう花火もほとんど使いきっちゃったよ!」
果穂「はい! みなさんありがとうございました! あたし、すっごくすっごくたのしくて……この先もずっとこの花火のことを忘れないと思います!」
あさひ「またみんなで何かやるっすよ! スイカ割りとか、肝試しとか!」
智代子「き、肝試し!? そ、それは……い、いいかな……」
夏葉「ええ……おすすめはしないわ……」
あさひ「……? そうっすか?」
美琴「私も何かまたやるのは賛成かな。今日、すごく楽しかったから」
ルカ「……まあ、私も美琴が行くなら付き合うよ」
摩美々「……」
恋鐘「摩美々? どげんしたと?」
摩美々「いや、花火大会が無事終わってよかったのは良かったんだけどさぁ……」
摩美々「全然、帰ってこないなーと思って」
夏葉「そういえばそうね……千雪と冬優子……それに愛依に至っては爆発騒ぎが起きる前からその姿が見えないわ」
あさひ「……違うっすよね?」
ルカ「……あ?」
- 856 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:11:44.19 ID:NxZO6r4R0
-
あさひ「……灯織ちゃんみたいに、殺されてたりなんか、しないっすよね?」
- 857 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:13:02.17 ID:NxZO6r4R0
-
ルカ「……!!」
さっきまでの浮かれていたムードは一転、途端に緊張が走る。
まさか、そんなことあるはずがない。そう思う気持ちとは無関係にどうしても湧き上がってしまう疑念が一つ。
それは幽かに、でも確実に、存在を主張し、徐々にその領域を拡大していく。
体の震えが、始まった。
結華「念のため、探しておいた方がいいよね」
摩美々「探しておいた方がいいっていうか探さなくちゃダメだと思う……この大会に参加していない透と雛菜の動向がわからない以上は、余計にねー」
恋鐘「ま、摩美々は二人を疑っとうばい!?」
摩美々「あくまで可能性の話でしょー、ていうか今はそんなことで議論してる場合じゃない。違う―?」
美琴「そうだね、手分けして早いとこ探しておかないと」
- 858 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:13:54.44 ID:NxZO6r4R0
-
あさひ「冬優子ちゃんはドラッグストアに行くって言ったから、多分そこにいるはずっすよ。わたし、そっちを探しに行くっす」
結華「待って! 一人で行くのは危ないし……三峰もついていく!」
夏葉「とりあえずはこの島の中を探したほうがいいわね……遺跡の方も見ておきましょうか、智代子、果穂。いいかしら?」
智代子「うん、ついていくね!」
果穂「はい、わかりました!」
ルカ「私と美琴は図書館に行ってみる、いいか?」
美琴「わかった」
摩美々「じゃあ私と恋鐘で島の外周をざっと見てみよっかぁ。私が左回りで、恋鐘が右回りねー」
恋鐘「うん、任せといて!」
結華「発見次第すぐに連絡するようにしよう! とにかく……早いとこ三人を見つけないと……!」
すぐにその場で役割分担をし、散開。
この場に居合わせる全員が早くこの目の前の可能性を否定したくて仕方なかった。
万に一つの、そして私たちが一度自分の目で確認してしまった、その可能性。
絶対に在っちゃならない、その可能性を。
私と美琴も、その否定衝動に突き動かされて、走り出した。
- 859 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:15:59.98 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
【図書館】
ルカ「ここだな……」
図書館は外からは中の様子が伺い知れない。
重厚な扉は中と外とを断絶するかのようで、それがこの夜の月明かりに照らされていると余計に不気味だ。
美琴「行こう、ルカ」
ルカ「……おう」
妙に静かな夜だった。
さっきまでは花火が何度も何度も打ちあがって、爆ぜる音が島中に響き渡っていたというのに、
今は風に草木が靡く音と、自分自身の心臓の鼓動しか聞こえてこない。
でも、鼓動は今やあの花火の炸裂音なんかよりもよっぽど大きい。
体の内側からドクンドクンと騒ぎ立てる爆音が、今にも心の臓を突き破って、体をバラバラにしてしまいそうなほど。
今はまだ可能性、万に一つの、あってはならない可能性。
頭ではそう分かっている、だからこの扉を引くことにそう臆す必要なんてない。
- 860 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:17:07.21 ID:NxZO6r4R0
-
でも、人間というのも一つの生命体だ。
理性よりも先に本能が立つ。
頭でわかっていることでも、本能の主張の前には無力。
本能は、今この瞬間も声高に叫んでいる。
『この扉を開けてはいけない』
咽喉元を汗が伝った。手は震えている。膝も今にも砕けそうだ。
予感はいつしか確信に変わっていた。
美琴「ルカ……」
ルカ「……クソ」
でも、だとしても、私たちは止まることは許されない。
真実に目を背けてはいけない、私は生きていくと決めた。
七草にちかという人間を切り捨てたからには、ここから先もずっと、切り捨てていく責任がある。
途中で投げ出すわけにはいかないんだ。
深呼吸一つ、覚悟を決めた。
ルカ「……行くぞ」
- 861 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:18:08.39 ID:NxZO6r4R0
-
その扉は、すんなりと開いた。
それもそのはず、鍵なんかかかっていたら、誰にでも開かれた知識と学習の場である図書館の存在意義が揺らいでしまうからだ。
いつでもだれでも、図書館は寛容に受け入れる。
そしてこの世界の知識と教養とが凝縮された何千何万もの数を揃えた本を誇らしげに開陳して待ち構えているのだ。
だから、私たちがここに踏み入れたなら、本来最初に目に入るのは、むせ返るほどの活字をその内に孕んだ本棚たちだったはずなんだ。
_____間違っても、
- 862 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:19:06.82 ID:NxZO6r4R0
-
【大量の本の山にもたれかかるようにして、腹部から血を流し首を垂れる桑山千雪の成れの果て】なんかじゃない。
- 863 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:19:37.54 ID:NxZO6r4R0
- -------------------------------------------------
CHAPTER 02
厄災薄命前夜
非日常編
-------------------------------------------------
- 864 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:22:15.27 ID:NxZO6r4R0
-
というわけで長い長い(非)日常編もこれにて終わり、いよいよ次回から事件発生後の捜査パートに移ります。
自由行動の指定が多かったあたり、千雪さんの死の匂いはだいぶ嗅ぎつけられていたようで…
次回更新は1/22(土)21:00〜を予定しています。
それではお疲れさまでした。
またよろしくお願いします。
- 865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/20(木) 23:29:54.30 ID:6OmP0nme0
- そういや好感度10.5までいったけど上限10やないんか
- 866 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/20(木) 23:57:01.83 ID:NxZO6r4R0
- >>865
>>140で一度だけアナウンスしましたが、以後触れてなかったので誤解を生みやすい形になってましたね…
親愛度の上限はシャニマスの信頼度レベルに準拠して12に設定してます!
- 867 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 20:57:15.56 ID:qKk8P9Px0
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CHAPTER 02
厄災薄命前夜
非日常編
-------------------------------------------------
- 868 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 20:57:58.63 ID:qKk8P9Px0
-
遠くに波の音がした。
頭の後、そのずっと向こう。風に押し流された海水が何度も何度も浜に押し寄せて、潮風はそのたびに打ちあがる。
それは私の背後から図書館の中へとずかずかと入っていく。
私の頬を撫で、美琴の横を通り、そして千雪のもとへとたどり着く。
私の感じているこのこそばゆさを、彼女も感じているはずなのに……
____千雪は、ピクリとも動かなかった。
- 869 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 20:59:22.80 ID:qKk8P9Px0
-
ルカ「嘘……だろ……?」
美琴「ルカ、ストップ。近づいたところで、もう」
ルカ「そ、んなわけねぇ……あいつは、千雪は……こんなところでくたばるはずがないんだ……!」
ルカ「おい! お前、私が283の連中に馴染めるように面倒見るんじゃなかったのかよ……なんで、なんでそんなところで寝てんだよ……!」
自分でも空虚な言葉を吐いていると思った。
手で触れて確認するよりも、耳を心臓に当てて聴くよりも、もっと簡単な方法で彼女は死んでいると断定できた。
下腹部から漏れ出るその赤黒い液体。図書館のフローリングの上に水たまりを作っている。
何百ミリリットルというその液体を見れば、掬い上げたところで手遅れだということは明白だった。
ルカ「……クソッ!」
静かな図書館に私の憤りだけが響いた。
美琴「……ルカ、とりあえず他のみんなを呼んでくるね」
美琴は今の私を放っておくという選択肢を取った。
それは間違っちゃいない。私は返答になっていないようなあいまいな声を出し、美琴を見送った。
残されたのは、私と千雪のみ。
- 870 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:00:10.02 ID:qKk8P9Px0
-
「……」
千雪の艶やかな魅力ある体は無力に床に投げ出されている。
瞳も穏やかに閉じており、長いまつげが夜光に照らされている。
是だけ見れば眠っているように見えなくもないが、その体に熱はなく、腹は鮮血に染まっている。
「……こんなことなら、言っておけば良かったな」
物の数時間前の話だ。肩を並べて線香花火をした時、私と千雪は言葉を交わしていた。
≪千雪「……ルカちゃん、どう? 花火」
ルカ「どうって……綺麗、だよ」
千雪「うん、すっごく綺麗……でもね、この花火が今見れるのは、ルカちゃんが自分でその一歩を踏み出したから。ルカちゃんが私に相談してくれて、美琴ちゃんに気持ちを打ち明けられたから」
ルカ「別に、私はお前に相談なんかした覚えは……」
千雪「ふふ、そうね。ごめんなさい」
ルカ「まあ……でも、今こうやって過ごせて、良かったなとは思うよ」
千雪「ルカちゃん……」
ルカ「そ、その……さ。まあ、その……お前が貢献した部分も多少なりともあるのは……認めるしさ……」
千雪「……」
ルカ「あ、あり……ありが……」
千雪「……」
ルカ「あーっ! やっぱムリ、ナシだナシ!」
千雪「えー、聞きたかったのになぁ」
ルカ「お前がそんな風に含み笑いしながら見つめてくるから恥ずかしくて言えたもんじゃねーんだ! ハッ、もう一生言ってやんねー!」
千雪「もう……意地っ張りなんだから」≫
- 871 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:02:21.95 ID:qKk8P9Px0
-
本当に図々しいやつだった。
この島に来て初めてまともに絡んだというのに、個人の事情に踏み込んできたかと思うと、
こちらの都合はお構いなしで他の連中に無理やり巻き込んだりして、私個人の時間は滅茶苦茶に脅かされてしまっていた。
でも、その【滅茶苦茶】がなければ私は美琴と復縁することなんてできなかった。
七草にちかのように危機迫った事情もなかった私は言い訳ばかり並べたてて動きもせずに、いたずらに時間だけを過ごしていたはずだ。
本当の気持ちをさらけ出す、その一歩を踏み出させてくれたのは千雪だった。
結局、その千雪に対する素直な本当の気持ちは口に出せないままに終わってしまった。
それも、他の何者かによって、強制的に迎えさせられた終わりによって。
夜の静けさに沈んだその体にはもはやどんな言葉を投げかけても届くことはない。
「……千雪」
こうやって名前を呼んだのも、あの海水浴以来。
生きている間にもっと名前を呼んでやればよかった、はしゃがせてやればよかった。
……でも、してやれなかった。
私の勝手なプライドが阻んで、その機会を逃してしまった。
- 872 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:03:49.08 ID:qKk8P9Px0
-
「……ッ」
いくら後悔してもし足りない。
千雪から教わったことだというのに、まるで活かすことができなかった自分が嫌になる。
確か、学びは還元してこそのものだと中学の先公が講釈垂れていたことがあった。
その時はくだらないと一蹴して耳をふさいでいたが、ちゃんと聞いておけばよかった。
だって、後悔がこんなに苦しいなんて知らなかったから。
きっと千雪はここで私が泣きじゃくることを求めちゃいない。
だから、涙も零さず、声も出さずに泣いた。
肩を震わせて、荒い呼吸をした。
これが死を悼むには十分だとは思わない。
でも、千雪に私の気持ちを知ってもらいたくて、でも言えなくて、そんな中、なんとか絞り出したのがこれだった。
今の私に、嘆く時間はない。
千雪が死んだということは、次は私たちの番。
生きるか死ぬかの戦いが待ち受けていることを意味する。
____行くしか、ないんだ。
- 873 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:05:09.29 ID:qKk8P9Px0
- ____
______
________
美琴が一人にしてくれたのは正解だった。
自分の中の感情に折り合いをつけることができた。
今はただ、立ち上がらないといけない。震える自分を奮い立たせて、その武器を手に取る。
七草にちかを切り捨てたその時から私の行く道はただ一つ。
ただ生き残ること、そこからぶれるんじゃ死んでいった奴らにも顔向けできやしないんだから。
あさひ「……あっ、ルカさん。……千雪さん、だったんっすね」
ルカ「中学生……お前か」
最初にやってきたのは中学生だった。
ひょっこりと扉の後から首をのぞかせると、表情を俄かに曇らせて、私の横に立った。
ピンポンパンポーン!
『死体が発見されました! 一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』
すぐにあのアナウンスが鳴り響いた。
学級裁判、その言葉の重みを私たちは知っている。
隣の中学生の肩にも力が入るのが見て取れた。
- 874 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:06:59.82 ID:qKk8P9Px0
-
すぐに他の連中も図書館へと集まった。
花火大会に参加していた連中、途中で抜けていた連中、そもそもやってきてもいなかった連中。
その全員が図書館の惨状を見て、すぐにその言葉を失った。
恋鐘「ち、千雪〜〜〜〜〜!? な、な、何が起きたと?!」
愛依「ち、千雪さん……?! マジ……?!」
夏葉「そんな……どうして、千雪が……」
バビューン!!
全員が集まったタイミングを見計らったようにどこからともなくあいつがまた姿を現した。
随分と上機嫌な様子で鼻歌交じり、こいつからすれば本懐というところなんだろう。
モノクマ「ふぅ〜、やっと、やっと、やっとだよ! 待ちかねたよね、待ちかねすぎて福が来るよね!」
ルカ「……モノクマ、お前が出て来たってことはそう言うことか?」
モノクマ「うん、見ての通りだよね。オマエラには、二回目の学級裁判に挑戦してもらいます!」
冬優子「二回目の学級裁判……やっぱり、またあれをするんですね……」
摩美々「クロとシロで、命を懸けた舌戦……はぁ、憂鬱―」
モノクマ「オマエラがどう思おうと、生き残るためにできるのはただ一つ。この学級裁判に勝ち抜くことだよ!」
モノクマ「そうじゃないと、七草さんみたいにスクラップだからね!」
美琴「……ッ!」ガタッ
ルカ「待て美琴、あいつを殴ればオマエが殺される……今は抑えろ」
美琴「……ごめん、ルカ」
- 875 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:09:36.64 ID:qKk8P9Px0
-
モノクマ「ルールに関してはもうオマエラも承知のことだろうから、説明は省くよ! とにかく頭を働かせて、犠牲にすべきなのは誰なのか、しっかりと見極めることだね!」
あさひ「……」
果穂「……うぅ」
智代子「果穂、大丈夫……? やっぱり、辛いんだったら、灯織ちゃんの時と同じでわたしが一緒に外で休むよ?」
果穂「……ちょこ先輩……今回は、あたしもいっしょに調ささせてください……! つらくて、泣きそうでも……あたし、にげたくないんです……」
智代子「……わかった、果穂……一緒に頑張ろう!」
雛菜「みんな透先輩のこと疑ってたけど、結局雛菜たちと無関係なところで殺人が起きちゃったね〜」
透「……」ギュッ
雛菜「……透先輩?」
透「あー、ううん。なんでもない」
それぞれの面持ちは違っていた。
これから先に起こるさらなるコロシアイに備えて思考を張り巡らせる者、ただ怯えて沈痛に耽る者、今度こそはと奮起する者……
私の表情はどうだっただろう。
前回の事件の時、私はまだこいつらとの間に線引きをしていて、ただ足を引っ張られないように、巻き添えにならないようにと言うことしか頭になかった。
でも、今回はそうじゃない。
殺された桑山千雪という人間が、私に託したものがある。
それを踏みにじるような真似は、すべきじゃない。
____今回も、間違えるわけにはいかないんだ。
【捜査開始】
- 876 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:11:37.14 ID:qKk8P9Px0
- -------------------------------------------------
モノクマ「さて、それじゃあ今回もモノクマファイルを渡しておくからそれを足掛かりにして捜査を進めていってちょうだいね!」
ピピッ
手元の電子生徒手帳から電子音が聞こえたかと思うと、画面には前回ぶりのポップアップ。
死体の見分記録、モノクマファイルだ。
『被害者は桑山千雪。死亡推定時刻は午後9時前後。死体は下腹部を矢で貫かれており、内臓の損傷も激しく、出血量も多量であるため、死因は失血死であると断定する』
ルカ「まあ、今回も見ての通りだな……」
美琴「それにしても、矢で貫かれているってどういうことなんだろうね。犯人は弓でも引いたってことなのかな」
ルカ「さあな……それも含めて調査しないといけねーな」
コトダマゲット!【モノクマファイル2】
〔被害者は桑山千雪。死亡推定時刻は午後9時前後。死体は下腹部を矢で貫かれており、内臓の損傷も激しく、出血量も多量であるため、死因は失血死であると断定する〕
-------------------------------------------------
- 877 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:12:40.70 ID:qKk8P9Px0
-
モノクマ「じゃ、そういうわけなんで……ボクは裁判の時間までゆっくりコーヒーでも淹れてようかな!」
モノクマ「コーヒーは、一滴一滴丁寧にドリップすることでコクとうまみが生まれるんです……」
バビューン!!
果穂「初代のライダーさんが今のモノクマと同じことを言ってました……! まさか、黒まくは、藤岡___」
夏葉「コーヒー好きなんてこの世には星の数ほどいるわ、果穂」
モノクマは今回も捜査の時間は基本的に不介入なんだろう。
私たちが自分の手で、真実にたどり着かなきゃならない。
でも、決して孤独な戦いじゃない。
前回と状況は違う。
ルカ「……やるぞ、美琴」
美琴「うん……頑張ろう」
___今回は、共に戦う仲間もいる。
さて、調べるべきなのはまずはこの【図書館内】だよな。
島が開いた当初の調査でしかまともに見ちゃいねーし……
そして、千雪の【死体周辺】……ここからも逃げちゃならねー。
それと、【花火大会を途中で抜けた連中への聞き込み】だな。今回の事件はアリバイが割とつかみやすいはずだ、そこから犯人を絞ろうか。
よし、整理は出来た……後は行動だ。
-------------------------------------------------
1.図書館内を調べる
2.死体周辺を調べる
3.花火大会の途中で抜けた人間への聞き込み
↓1
- 878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 21:15:15.25 ID:l+JXWtmi0
- 2
- 879 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:16:19.08 ID:qKk8P9Px0
- 2 選択
-------------------------------------------------
【死体周辺を調べる】
(……)
(…………)
美琴「ルカ、大丈夫?」
ルカ「ん、あ、お、おう……大丈夫だ、大丈夫に決まってるだろ」
そうは言ったものの、流石に少しばかり堪える。
ここ数日嫌と言うほど付きまとってきたあいつが、今私の前で事切れているという事実はことのほか大きく私を揺さぶった。
……まだ言えてない言葉も、山ほどあったのに。
その後悔ばかりが浮かんできては消え、浮かんできては消えを繰り返す。
でも、そんなことにかかづらっている暇はない。
今はただ、思考を麻痺させて、生き抜くための道を見つけなくちゃならないんだから。
-------------------------------------------------
1.死体を調べる
2.凶器を調べる
3.死体を動かしてみる
↓1
- 880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 21:24:52.23 ID:l+JXWtmi0
- 2
- 881 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:26:25.58 ID:qKk8P9Px0
- 2 選択
-------------------------------------------------
【凶器を調べる】
死体の付近に転がっているのは、銀色の矢だ。
先っぽの矢じりにはべったりと血が付着しており、これが千雪の命を奪った凶器であることは容易に見て取れた。
ルカ「……チッ、見るだけでもなんだかイラついてきやがる……」
美琴「……痛ましいね」
ルカ「こんなので腹をぶち抜かれたらたまったもんじゃねー……千雪のやつ、どんな苦しみを受けながら死んだんだ……」
美琴「これを刺されただけじゃ即死……でもないだろうね。灯織ちゃんみたいに心臓を貫かれてたわけじゃないし」
ルカ「……クソッ!」
どれだけ私が憤ろうとも後の祭り。
千雪の命を奪った犯人はそんな私を見て嘲笑っているのだろうか。
(……上等だよ)
美琴「……この矢の型番は、BT-49みたいだね」
ルカ「……ああ、羽の部分に刻印されてるな」
美琴「犯人はいったい、どこでこんな凶器を見つけて来たんだろうね」
ルカ「……おおかたスーパーマーケットじゃねーのか? 風野灯織が使ってた暗視スコープもあそこで調達したんだろ」
美琴「……スーパーって便利なだけじゃないんだね」
ルカ「普通のスーパーは便利なだけだぞ」
コトダマゲット!【凶器の矢】
〔死体のそばに転がっていた銀色の矢。型番はBT-49で、先端の矢じりには千雪の血がべったりと付着している〕
-------------------------------------------------
1.死体を調べる
2.死体を動かしてみる
↓1
- 882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 21:32:22.52 ID:l+JXWtmi0
- 1
- 883 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:35:10.25 ID:qKk8P9Px0
- 1 選択
-------------------------------------------------
【死体を調べる】
ついさっきの出来事がフラッシュバックする。
線香花火で勝っただの負けただのしょうもない小競り合いをして、私のすぐ隣で笑っていた千雪は、潮風に中てられてすっかりその体温を失っている。
まるでそっくりに作られた蝋人形のようだ。
でも、ここにあるのは本物。私と一緒に同じ時を過ごしていた、桑山千雪というアイドルだ。
そこから目を背けちゃいけない、これも私が生き残るためなんだ。
ルカ「……モノクマファイルにあった通りの状態だな、腹をぶっ刺されたせいで大量の血が流れてて、それが原因で死んじまってる」
美琴「ほかに目立った外傷はなさそうだね」
ルカ「脛に切り傷みたいなのがついてるけど……まあこれぐらいは日常生活でつく範疇だしな」
美琴「特に外傷がないってことは、犯人と争うこともなかったのかな」
ルカ「そうだろうな、まあこいつの場合は犯人と対峙したとて抵抗しそうな性格でもないしな」
美琴「……そうかも」
ルカ「……ホント、お人よしなやつだったよ」
美琴「それにしても、すごい出血量だね」
ルカ「ああ……地面にぶちまけてる血は他のところに散らされてる様子もねえ、死体が動かされたってこともないだろうな」
美琴「そうだね、綺麗な血だまりになってる」
ルカ「あくまで千雪はこの図書館の中で殺されたんだ」
コトダマゲット!【現場の血痕】
〔千雪から漏れ出た血の痕。腹から出た血液はその場に血だまりを作っており、ほかには散らされた様子もない。あくまで図書館内で千雪は殺害されたものと思われる〕
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つになったので自動進行します】
- 884 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:37:37.83 ID:qKk8P9Px0
- -------------------------------------------------
【死体を動かしてみる】
千雪の死体をしゃがみこんで調べていると、千雪の下に何かが敷かれるようになっているのに気が付いた。
ルカ「……これ、なんだ?」
美琴「どうやら本の一つみたいだけど……なんだか様子がおかしいね、明らかに死体で隠すように置かれてる」
ルカ「というより千雪が覆いかぶさったみたいな感じだな……ちょっと引っ張り出してみるか」
私と美琴は二人で少しだけ千雪の身体を押してみた。
ずるずると動くにつれ、本にかかっていた体重は軽くなり、やがてするりと抜き取ることができた。
だが、本はべったりと千雪の血が付着していて、もはや中を見ることも適わない状態。
美琴「……読めないね」
ルカ「わかるのはこの本の表紙の材質が厚紙だってことぐらいか……」
美琴「でも、この本は山積みになっていたところと少しずれた位置で下敷きになっていたんだし、何か意味があると思う」
美琴「千雪さんが自分の血でこの本を隠そうとした、とか」
(千雪が死の間際に隠そうとした本、か……)
コトダマゲット!【血まみれの本】
〔千雪の死体の下敷きになっていた本。血液にまみれた本は中を読むこともできそうにない〕
死体の近くで調べられるのはこんなところか。
さて、調査は俯瞰的に、情報は足で稼がないといけないな。
労力を惜しまず、時間の許す限りは調査を続けるとするか……
-------------------------------------------------
1.図書館内を調べる
2.花火大会の途中で抜けた人間への聞き込み
↓1
- 885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 21:52:18.64 ID:sTkvKzjy0
- 1
- 886 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 21:54:08.56 ID:qKk8P9Px0
- 1 選択
-------------------------------------------------
【図書館内を調べる】
図書館の中はなんだか最初にやって来た時とはかなり雰囲気が変わっていた。
あの荘厳とした本棚の数々は横倒しになり、本があちらこちらに散乱している。
美琴「……どうしたんだろう、これ」
ルカ「人の力でどうこうってレベルじゃねーな、こりゃ」
美琴「ルカ、フラストレーションがたまったときとか物に当たってなかった?」
ルカ「……」
……とりあえず、人の手によって引き起こされた事態ではないだろうな。
何か図書館の館内がこんな滅茶苦茶に荒れていることには何か原因があるはず。
それも考えておかなくちゃいけないだろう……
さて、どこから調べる……?
-------------------------------------------------
1.入口付近
2.受付
3.あさひに聞き込み
4.二階
↓1
- 887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/22(土) 22:01:49.98 ID:hDMjMvb/0
- 1
- 888 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:05:08.89 ID:qKk8P9Px0
- 1 選択
-------------------------------------------------
【入り口付近】
図書館に踏み入って以来、扉は開けっぱなしだ。
観音開きの扉は押して開いて入場するタイプ。要は入る時は押して入って、出るときは引いて出る形式だ。
美琴「……なんだろう、あれ」
ルカ「どうした? 美琴」
美琴「扉の上に、何か取り付けられてるの……ちょっと待って」
美琴が指さした先には何か機械のようなもの。
そう高い位置にはないが、私からすれば台が必要な高さ。
美琴はそれに背伸びもほとんどしないまま手を届かせてみせた。
ピッ
美琴「……あ、点いた」
ルカ「んだそれ、カメラか?」
美琴「……うん、そうみたい。見て」
美琴が不慣れな手つきで私に手渡してきた。
美琴は昔からそうだ。
家電だなんだのを買って来ては私に初期設定を任せてきて、そのくせまるで使いやしない。
そもそもほとんど家に帰らないって言うのに、性懲りもせず買ってくるんだから付き合わされるこっちの身にもなってほしい。
- 889 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:06:22.33 ID:qKk8P9Px0
-
ルカ「チッ……しょうがねえなあ……」
美琴の代わりに操作する。
カメラはどうやら感応式の設定が為されており、誰かが入退室を行った際に写真を撮影する仕組みになっているようだ。
写真は一日ごとに消去されるため、今残っているのは今日の分の出入りのみ、ということになるらしい。
美琴「何枚か撮影されてるね」
ルカ「ああ、そりゃ千雪がここに入った分は間違いなく撮影されてるだろうからな……」
美琴「とりあえず、見てみようか」
美琴に促されるままに写真を開いた。
なるほど、確かに一枚目は千雪が図書館に入ってくるときのもののようだ。
表情はどこか強張っているようにも見えるが、先入観もあるだろう。
ルカ「どうやら千雪は一人でこの図書館にやってきたみたいだな」
美琴「途中で花火大会を抜けた時も一人だったよね」
ルカ「ああ、そのままここに来たと考えていいだろうな」
- 890 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:07:59.10 ID:qKk8P9Px0
-
そして、二枚目の写真に移る。
ルカ「……あ?」
だが、そこに映っていたのは意外な人物だった。
美琴「これって……【冬優子ちゃん】?」
ルカ「どっからどう見ても、あいつだな……なんでこんな図書館にわざわざ……?」
確かにぶりっ子女も花火大会を途中で抜けていたはずだ。
でも、あいつは同じユニットのギャル女のための薬を探しにドラッグストアに行ったんじゃなかったか?
ルカ「……もう一枚、あるぞ」
そして最後の三枚目。そこに映っていたのは、今度は退出するぶりっ子女の姿だった。
ルカ「……これが三枚目ってことはここから先出入りした人間はいないってことだよな」
美琴「うん、そうなるね」
ルカ「……」
美琴「あの子、図書館に何のために来ていたのかな」
ルカ「……さあな、でもあいつが私たちに嘘をついていたことだけは間違いない」
美琴「……」
ルカ「一応、この嘘について糾弾するのは裁判の時にしよう。今下手に刺激すると、現場を荒らされたりしかねないしな」
美琴「……うん、わかった」
コトダマゲット!【図書館の入退館管理カメラ】
〔図書館の入り口に設置されていたセンサー式のカメラ。利用者の入退館を感知して自動で写真を撮影する。千雪が入館する写真、冬優子が入館する写真、冬優子が退館する写真の三枚が撮影されていた〕
-------------------------------------------------
さて、他の所も調べるか……
1.受付
2.あさひに聞き込み
3.二階
↓1
- 891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 22:11:28.95 ID:sTkvKzjy0
- 2
- 892 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:13:32.30 ID:qKk8P9Px0
- 2 選択
-------------------------------------------------
【あさひに聞き込み】
前回の事件の時にも思ったが、こいつは年の割に肝が据わりすぎだろう。
千雪の死体を興味深そうにのぞき込んで、首を何度もうんうんと捻っている。
ルカ「おい、中学生」
あさひ「……」
ルカ「おい、聞いてんのか!」
あさひ「……」
美琴「ねえ、あさひちゃん」
あさひ「あっ、美琴さん! どうしたっすか?」
(なんでだよ……!)
美琴「事件の調査中にごめんね、何か話でも聞けたらなって思ったの」
あさひ「話っすか? でも、わたし、ずっと花火大会にいたんで、何も知らないっすよ?」
ルカ「私たちが聞きたいのはぶりっ子女とギャル女についてだ」
あさひ「ぶりっ子女にギャル女っすか……?」
美琴「ストレイライトの二人、途中で抜けちゃってたよね? その時に、あさひちゃんは何か聞いてないかなって思って」
- 893 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:14:29.86 ID:qKk8P9Px0
-
あさひ「ああ、そのことっすね。確か、愛依ちゃんが離脱したのはヘビ花火をやろうとしたときっす」
あさひ「火をつけようとしたところで、愛依ちゃんが体調悪くなったからってシャワールームのトイレに行ったっす。その時、冬優子ちゃんも一緒にいたっすね」
ルカ「体調が悪くなった、か」
美琴「確かに彼女、気が沈んでいるだけじゃなく、顔色も少し悪い気がするね」
あさひ「で、冬優子ちゃんはロケット花火をやろうとしたところで愛依ちゃんのために薬を取りに行くって抜けちゃったっす」
美琴「ふふ、友達想いなんだね、あの子」
ルカ「……お人よしって言うんだよ、そういうの」
あさひ「あの後結華ちゃんが一緒に遊んでくれたっすけど、冬優子ちゃんも一緒にやってほしかったっすー」
ストレイライトの二人が花火大会から離脱する際、常にこいつが居合わせていた。
こいつの証言はやつらのアリバイを語る上ではどうやら重要な意味を持ちそうだ。
美琴「ありがとう、あさひちゃん。いい話が聞けたよ」
あさひ「そうっすか? なら、良かったっす!」
……ただ、こいつを素直に信じ切っていいのか少し疑問だけどな。
コトダマゲット!【あさひの証言】
〔あさひは愛依と冬優子が花火大会を離れる際にその場に居合わせていた。愛依はあさひと冬優子に体調不良のためシャワールームのトイレに行くと告げて離脱。冬優子はあさひと結華に薬を取りにドラッグストアに行くと告げて離脱した〕
-------------------------------------------------
さて、他の所も調べるか……
1.受付
2.二階
↓1
- 894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/22(土) 22:17:26.70 ID:Y6mzWeK+0
- 1
- 895 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:21:16.67 ID:qKk8P9Px0
- 1 選択
-------------------------------------------------
【受付】
図書館の一角には重厚なデスクが置かれ、その上には羽ペンと帳簿、そしてバーコードリーダーが置いてある。
美琴「借りるときはここで読み取って記録をつけてから持ち出すことになってるみたいだね」
ルカ「ふーん……美琴、お前はここ使ったことあるのか?」
美琴「いや、全然かな。時間があれば自主トレに充ててたから」
ルカ「だろうな、私も一緒だよ」
ざっと帳簿に目を通した限り、頻繁に利用しているのは中学生ぐらいのもので後はチラホラ別の人間の名前があるぐらい。
今回の事件とは特に関係もないだろう。
ルカ「特に手掛かりはなさそうだな、別の所行くぞ」
美琴「……」
ルカ「……美琴? どうした、何か気になるのか?」
美琴「ああ、うん。これなんだけど……」
ルカ「なんだそれ、【図書館利用規則】……?」
美琴「この図書館を使うときの決まりのようなものなんだけど、なんだか学校みたいだなって」
(学校、ねぇ……)
そういえばこの南国生活を取り仕切っているのも希望ヶ峰学園だって話だったか。
こんな状況になっている時点でその情報も信用できるかは怪しいが。
ルカ「まあ、ちょっと見るくらいはしておくか」
美琴「うん、ルールは破ったら怒られちゃうからね」
ルカ「ハッ……もうそんな歳じゃねーっての」
コトダマゲット!【図書館利用規則】
〔@図書館の本はみんなの共有財産です。大切に使いましょう。
A館内での飲食は禁止です。飲食物を持ち込む際はカバンに入れるようにしてください。
B館内ではお静かに。他の利用者の迷惑にならないようにしてください。
C本を借りる際は受付でバーコードを読み取り、その旨を記帳してください。
D一部の本は貸出禁止となっていますので借りる前に確かめるようにしてください。〕
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つとなったので自動進行します】
- 896 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:23:25.29 ID:qKk8P9Px0
- -------------------------------------------------
【図書館二階】
図書館の一階も滅茶苦茶だが、二階も相当だ。
この図書館は中央が吹き抜けな構造で、その手すりに覆いかぶさるように倒れている本棚がいくつもある。
ルカ「こりゃ、アホほど本も下に落下してるな」
美琴「千雪さんの死体のそばの本棚の山はここから落ちたものが積みあがったんだろうね」
ルカ「ハハ……後から直すったってキリがねーな、これじゃ」
足の踏み場もないような二階を慎重に進んでいくと、奥まったところに見なれない物体を見つけた。
ルカ「……あ? なんだ、これ」
美琴「弓……にしては形状が特殊だね」
弓を横に倒したようなものが、金属製の持ち手に取り付けられている。
よく見ると持ち手の部分には指をかけるトリガーのようなものがあり、右手で握るのにはうってつけの形状をしている。
ルカ「……これ、ボウガンってのじゃないのか?」
美琴「ボウガン?」
ルカ「弓矢が撃てる銃ってやつだよ、本物を見るのは初めてだ」
基本は普通の銃と変わらない。弾を自分でセットして、照準を合わせて撃つだけ。
その撃つだけ、をしたこともないから難易度はどれくらいの物かはわからないが。
- 897 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:24:14.19 ID:qKk8P9Px0
-
美琴「ちょっと私も触ってみてもいい?」
ルカ「おう、気をつけろよ」
美琴「……『BT-38』、これがこのボウガンの型番なんだね」
ルカ「あ? そんなの書いてたのか……細けぇとこまでよく見んな……」
美琴「どうやらこの型番と同じ型番の矢を使わないと撃てないみたいだよ」
ルカ「そりゃそうだろ、銃だって違う口径の弾を打つことはできないからな」
美琴「そうなんだ」
ルカ「そうなんだ、って……」
時々美琴は真顔で知れっと素っ頓狂なことを言う時がある。
中学生ぐらいの年齢で東京で一人過ごしてきたということもあって多少なり世間知らずな面もあるとは思うが、こちらからすれば少し不安になるものだ。
ルカ「……もしかして、気に入ったのか?」
美琴「銃を気に入るって何……おかしなこと言うね、ルカ」
ルカ「えらく長いこと触ってるからよ……特に何もないなら行くぞ、時間もそう余裕があるわけじゃない」
美琴「うん、わかった」
コトダマゲット!【ボウガン】
〔図書館の二階に落ちていたボウガン。型番は『BT-38』で、同じ型番の矢でないと撃つことはできない〕
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つとなったので自動進行します】
- 898 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:26:03.58 ID:qKk8P9Px0
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【花火大会途中で抜けた人間への聞き込み】
今回の事件については、怪しいと思われる人間がかなり絞られている。
前回の事件で言う私……要は、事件中のアリバイがない人間だ。
花火大会から途中で抜けた人間、ギャル女とぶりっこ女。
そしてそもそも参加をしていない適当女と能天気女。
この計四人には、全員アリバイがない。
それぞれアリバイを検証すれば、おのずと真実は見えてくるはずだ。
ルカ「……おい、ギャル女」
愛依「……ルカちゃん、な、なに……? うちに……話……?」
ルカ「お、おう……おい、大丈夫なのかよ」
愛依「だ、だいじょぶ……ヤマは越えたから……」
(……ヤマ?)
美琴「愛依ちゃんが花火大会を途中で抜けたことについて、聞いておきたいの。いいかな?」
愛依「う、うん……でもうち、何も知んないよ?」
愛依「花火大会やってたら、途中で急にタイチョー悪くなっちゃってさ……そこからはずっとトイレにコモりっぱなし」
ルカ「終わるまで、ずっとか?」
愛依「ずっと……ホント、マジつらかったんだから……」
(この表情……嘘はついてねェか……)
美琴「ごめんね、しんどいところ無理やり話を聞いちゃって」
愛依「ううん、気にしないで……」
ルカ「……無茶はすんなよ」
- 899 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:26:56.31 ID:qKk8P9Px0
-
◆◇◆◇◆◇◆◇
ルカ「おい、話聞かせろ」
冬優子「ルカちゃん? どうしたのかな、そんな怖い顔して……」
ルカ「これは生まれつきだよ、悪かったな」
美琴「いま、皆のアリバイを聞いて回ってるんだけど冬優子ちゃんの話も聞かせてもらえないかな。冬優子ちゃんは途中で花火大会を抜けてたでしょ?」
冬優子「は、はい……でも、それは愛依ちゃんのための薬を取りに行ってたからで……」
冬優子「ふゆはずっとドラッグストアにいました、それだけですよ」
(……表情は崩れない、か)
ルカ「……」
冬優子「ルカちゃん、これでよかったかな?」
ルカ「……今のところはな」
- 900 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:28:56.53 ID:qKk8P9Px0
-
◆◇◆◇◆◇◆◇
(……と、あの二人の聞き込みに美琴を連れて行くのは危険か)
ルカ「おい、美琴。悪いんだけど、花火大会の会場に忘れ物しちまったみたいだからとってきてくれねーか」
美琴「え、何?」
ルカ「あー……ドリンク、ドリンクだよ。千雪のことで頭がいっぱいになっちまってたけど、急に喉が渇いてきやがった。私は今は千雪のそばにいてやりたいから、頼むよ」
美琴「……うん、わかった」
強引な言い分ではあったが、美琴は承諾してくれた。
図書館を出ていく背中を見送ると、私は二人のもとへ駆け寄った。
ルカ「おい、てめェら、話聞かせてもらうぞ」
雛菜「え〜、なんですか〜? 雛菜たちに何か用事〜?」
透「……え」
ルカ「事件の直前、何してたか話せ」
雛菜「そんな風に凄まれなくてもそれぐらい話しますけど〜」
透「……うちらはずっと一緒にいたよ。私の部屋で」
ルカ「……それは実質アリバイがないってことだな?」
雛菜「え〜! ひどい〜〜〜〜! 一緒にいたって言うのもちゃんとしたアリバイでしょ〜!」
ルカ「テメェらが大して仲良くもない他人同士なら、な。幼馴染同士という関係性がある以上庇い立てが生じる可能性もある、その証言じゃ信用できないな」
- 901 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2022/01/22(土) 22:30:19.41 ID:qKk8P9Px0
-
透「あ、じゃあさ。立てる立てる、証人」
ルカ「証人?」
透「おーい、モノミ―」
適当女が宙に向かってそう叫ぶと、どこからともなく子供用靴を鳴らした時のような間の抜けた足音が聞こえてきて、やがてそいつは私たちの前に姿を現した。
……ぜえぜえと肩で息をしながら。
モノミ「はぁ……お呼び……はぁ……でちゅか……?」
ルカ「お前、モノクマみたいに瞬間移動とかできねえのか?」
モノミ「はぁ……本来は……はぁ……できたんでちゅけど……」
透「権限は奪われちゃったんだって、モノクマに」
ルカ「はぁ……」
ルカ「で、テメェらの証人ってのは、こいつなのか?」
雛菜「うん〜! ね、モノミは事件が起こる前、どこで何してた〜?」
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