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【シャニマス×ダンガンロンパ】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】

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702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/14(金) 21:46:14.15 ID:BS8zbjxGO
?
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/14(金) 21:47:05.56 ID:BS8zbjxGO
1
704 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:02:15.90 ID:EbFPAfXe0
1 選択


ルカ「だったら私なんか呼ばない方がよかったんじゃねーのか」

千雪「……ルカちゃん」

ルカ「私はお前らとは違う、別に前を向こうとか仲間と協力しようとかそういうベクトルで物事を考えてない」

ルカ「生き残るために割り切ってるだけだ。だから仲良しムードとかそういうのとも無縁だ」

ルカ「今みたいに、口を開けばお前らの指揮を下げるようなことだって言う」

ルカ「なんでそんなに私に構うんだよ」

千雪「……」


自分の意志とは別に言葉が出た。
私の舌は手芸女に対してやたら刺々しい疑問をつらつらと並べ、必死に距離を取ろうとしている。
違う、こんなことが言いたいんじゃない。
こんなの……美琴とおんなじだ。
自分の思ってることを言うのが怖くて、関係をぶち壊してなんとか退路を作り出そうとする。
戻って戻って、取り返しのつかないところまで行ってしまった前例だってあるのにこの舌に定着した癖は直せそうもない。

(ああ、最悪だ)

自分自身の悪癖を恨んだ。



千雪「……信じてるから」


でも、それに対する手芸女の回答は明瞭かつ単純だった。


千雪「ルカちゃんは確かにちょっと口が悪いかもしれません」

ルカ「なっ……」

千雪「でも、ルカちゃんが本当にただ割り切ってるだけじゃ、私とこんな風に話してもくれないと思うの」

ルカ「それはお前が強引に距離を詰めてきたからだろうが……!」

千雪「それに、今ルカちゃんは美琴ちゃんと頑張って向き合おうとしているでしょ?」

ルカ「……あ?」

千雪「それって、ルカちゃんは一生懸命一歩を踏み出そうとしているってことじゃないのかな。自分のこれまでの殻を破って、変わろうとしている。そのことってすごく大変で苦しいのに……」

千雪「それでも頑張ってるルカちゃんが、前に進もうとしていないって言うのは……ちょっとおかしいかも?」

千雪「だからね、ルカちゃんがいても私たちは盛り下がったりなんかしない。むしろ、その背中を見て、自分たちも頑張ろうって思えるんだ」

ルカ「……」


敵意に満ちた言葉をこうも丸め込まれてしまうと、こちらも形無しだ。
カップ半分ほどに残ったコーヒーを一気に飲み干して、乱暴に机に置いた。


ルカ「……ごちそうさま」

千雪「お粗末さまでした♪」


……本当に食えない女だよ、こいつは。


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【親愛度が上昇しました!】

【桑山千雪の親愛度レベル…3.5】

705 :自由行動は手癖で書いてるので多少書き溜めと齟齬があるかもしれませんがご容赦を ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:04:29.24 ID:EbFPAfXe0
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【ルカのコテージ】


そろそろ時間だ。太陽も頂点に上る少し手前、予定していた集合時刻も近い。


(……)


別にそこに前向きなスタンスはない。昨日話したからといって、小学生にそれほど愛着があるわけでもない。
ただ、見たくないものを見ないで済むように、その穴を埋めるための何かを求めていただけ。


何も持たず、何も考えず。ゆっくりと部屋を後にした。
706 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:05:42.48 ID:EbFPAfXe0
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【第2の島:海水浴場】


特に着替えも何も必要ない。
準備は手芸女が自分でやると言っていた、私はアイツと一緒に日陰に備えて泳いでいる連中の面倒を少し見てやるだけ。


砂浜につくと、丁度手芸女がパラソルを立てている途中だった。
手先が器用な割に、こういう設営のようなことは苦手なのか、
柱を砂にうずめるのに随分と苦労していた様子だったので、ひったくるようにして代わりに挿してやる。

手芸女は過剰な動作で私に感謝を示した。
そのままビニールシートを引いて、そこに二人並んで座る。
潮風が頬を撫でる中、ただぼんやりと海を見つめていた。
海で泳いでいるのは小学生と中学生、そしてその連れ。
数人のやかましい連中が、大声を上げて水をかけあっている。


千雪「ふふ……楽しそうね」

ルカ「……おう」


707 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:07:24.02 ID:EbFPAfXe0

あんな光景、ずっと無縁だった。
私も美琴も学生の早いうちから芸能界に飛び込んで、空き時間はすべてレッスンに充てていたから。
きっと二人で華々しいステージに立てる、その瞬間を信じて、これまでの人生の大半をなげうってきた。
それが無駄だったなんてことは言わない、実際今の私はそれなりに成功して、それなりにファンがいて、カミサマなんて言われてそれなりに崇められている。

……でも、こんなのを求めてやってきたわけじゃない。
こんな空虚な栄光で終わるんだったら、空き時間をレッスンなんかに充てるんじゃなかった。
同じユニットの仲間として、肩を並べて雑談するでもいい、時には事務所を抜け出して近くの喫茶店でケーキをつつきあうでもいい。
ただ笑いあって、顔を見つめあえたらよかった。


ルカ「……」

千雪「ルカちゃん、聞いても……いいかな?」

ルカ「ホント、お節介だな」

千雪「ごめんね……つい、気になっちゃって」

ルカ「まあ、いいよ……わかってて来たし」

千雪「……美琴ちゃんは、なんて?」

ルカ「……何も。私なんか眼中にない」


裁判の終わり、エレベーターに乗り込む直前。
あの時には一瞬だけ美琴と何かを通わせることができたとは思う。
それも、七草にちかの言葉を借りた不十分なものではあったけど。

でも、それが最後。
美琴は一度たりとも、『斑鳩ルカ』のことを見ちゃいない。

708 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:09:25.51 ID:EbFPAfXe0

千雪「……ルカちゃんは、美琴ちゃんのことをどう見てるの?」

ルカ「……どうって、言われても」

千雪「今の美琴ちゃんは、ルカちゃんと一緒だった時の美琴ちゃんと……違う?」

ルカ「……」


私と一緒だった時の美琴_____

私の中の美琴の記憶はもう、鮮明ではない。
ほんの少し前の出来事でも、緋田美琴という人間は私の中で都合のいいように作り替えられてしまっている。
ずっと、美琴だって私のことを思い続けてくれていると思っていた。
でも、この島に来て七草にちかとのそれをまざまざと見せつけられて。
現実と虚構とが私はわからなくなってしまっていた。
いつか、美琴は戻ってきてくれるって。
美琴は、こっちを見てくれるって。そう思っていたのに。

私はいつからか美琴を見ることをやめた。
美琴の中にある、私の隣に立っていた人間を必死に美琴から見出そうとしていた。

要は、自分自身が変わる気力もない臆病者だ。


ルカ「……わかんねえ」

千雪「……そっか」

709 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:10:49.68 ID:EbFPAfXe0

千雪「……あっ」


突然素っ頓狂な声を上げた。つられて顔を持ち上げると、海から続々と連中が砂浜に上がり始めていた。
満面の笑みで手を振る小学生たちに、手芸女はあわてて笑顔を取り繕い、手を振ってこたえた。
私はそこまで愛想よくするつもりはない、無言で近くのクーラーボックスからジュースを取り出して脇に置いた。


ルカ「好きなの取りな」

果穂「はいっ! ありがとうございます!」

あさひ「果穂ちゃん果穂ちゃん、次はどっちが深く潜れるか勝負しようよ!」

愛依「アハハ、潜るんだったらゴーグルつけよっか! 持ってきてたはずだからさ〜!」


本当に能天気な連中だ。
心の底から海水浴を楽しんでいるこいつらの心中には曇り空のカケラほどもないんだろう。
でも、私の心はこんなにも鈍く重たい、海に入ろうものなら何もせずとも海底に沈んでしまう。

710 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:12:11.46 ID:EbFPAfXe0

千雪「休憩するなら日陰どうぞ、私は帽子があるから」

夏葉「果穂、お言葉に甘えましょう。休憩するときはしっかりと身を休める。徹底したほうがいいわ」

果穂「は、はい! ありがとうございます!」

千雪「いえいえ」


私と美琴がユニットを組んでいたころ、毎日切迫した空気に身を置いていた。
というよりも事務所がそういう方針だったのだ。すぐ隣にいる人間は、同じ席を狙うライバル。
交わす言葉は啖呵ぐらいのもの。
見せる表情は殴り合いの前の硬直したもののみ。
こんな小学生連中みたいな笑顔なんか、何年も親にも見せちゃいない。


あさひ「ルカさん、この海すごいんっすよ! 地平線までなんにも見えないっす!」

ルカ「お、おう……そうだな」

果穂「海が透明で、お魚が泳いでるのも見えるんです!」

ルカ「そ、そうなのか……?」

あさひ「すごかったね! エンゼルフィッシュもいたよ!」

果穂「イソギンチャクもカラフルできれいでしたー!」

あさひ「ねえ、果穂ちゃん! ルカさんのために何か海から持ってこれないかな!」

ルカ「あ? い、いいよそんなの……」

果穂「そうですね! うーんでも、どんなのがいいですか……? 魚は……もってこれません……」

愛依「お、いいじゃんいいじゃん! ヤドカリとかさっき見たよ〜?」

あさひ「ヤドカリ! 面白そう!」

ルカ「……聞いてねーし」

千雪「……ふふっ」
711 :×地平線 〇水平線 ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:14:55.59 ID:EbFPAfXe0

____
_______
_________


千雪「本当に元気だよね、圧倒されちゃうくらい」

ルカ「……ホントな、こっちの反応なんかお構いなしじゃねーか」

千雪「ふふっ、たじたじだったね。ルカちゃん」

ルカ「るせー」

千雪「でも、ルカちゃんも嫌じゃなかったでしょ?」

ルカ「……」

千雪「黙ってても、口元が緩んでる」

ルカ「……! う、うるせー……見んじゃねー……!」

千雪「果穂ちゃんもあさひちゃんも……純粋で素直な子でね、誰とでもあんな風に気軽にお話しできるんだ」

ルカ「……ガキってのはそういうもんだろ」

千雪「子供って無敵だもん。……大人になるにつれて、そんな純粋さはどうしてもなくなっちゃう……大人になんか、なりたくないなぁ」


随分と妙なことを言う。私よりよっぽど大人なはずの、お前がそれを言うか。
でも、手芸女の表情は冗談めかして茶化すようなものではない。
遠くを穏やかに見つめて、その視線は何かを帯びている。

712 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:15:59.62 ID:EbFPAfXe0

千雪「素直な気持ちを言うのって難しいよね。だって、素直な気持ちなんて、自分にもわからないもん」

ルカ「……」

千雪「大人って、なんでも隠しちゃうの。周りの人が、自分自身が傷ついちゃうって、理解するより先に感じ取って隠しちゃう。大人になるまでの道のりで、経験を積んでそれがわかっていくから」

千雪「でも、そのせいで出さなきゃいけないものも奥深くにしまい込んじゃって。そうなるとなかなか引っ張り出せない。衣替えとおんなじ」

千雪「これから着たいなって服に限って奥にしまい込んじゃってること、ない?」

ルカ「……ハッ、確かにな」

(……今の私が、まんまその通りだな)


自嘲気味な笑いを含ませた返答に、手芸女は私の顔を覗き込むようにした。
これまでにないほど真剣な表情で、眉にも力がこもっている。


千雪「……ねえ、ルカちゃん」

ルカ「……なんだよ」



千雪「まだ、私たちは大人にならなくていいんじゃないかな」


713 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:17:05.74 ID:EbFPAfXe0

ルカ「……お前」

千雪「大人ぶるには、経験が足りてない。まだまだ半人前ですぞー……なーんて」

ルカ「……」


最後の言葉は柔和な表情だった。
それこそこいつ自身が言うように、大人のイメージとは縁遠い、にへらとしたあどけない笑顔。
締まりのないその口元が、妙におかしかった。
思わず吹き出すようにして、私は顔を少しだけ伏せた。


ルカ「ぷっ……くっだらねえ」

千雪「あっ、ひどいー!」

ルカ「……お前だって、人のこと言えないだろ。【千雪】」

千雪「……えっ、ルカちゃん、今……?」


手芸女の反応よりも先に、自分自身がそれに驚いた。


ルカ「なんでもない」

千雪「えー、ちゃんと聞いたもの! もう一回!」

ルカ「言わない」


手芸女が肩をガクガクと揺さぶるのが、妙に心地よかった。
ずっと前から知っている旧友のように緊張がほぐれていくような感覚、ついつい意地悪したくなってしまうような感覚とも言うべきか。
そんな知己の間柄でもない限りは抱かないような感慨を、ここで持つこととなったのだ。
714 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:18:59.38 ID:EbFPAfXe0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】


「……これでよし、と」


海水浴終わり、私たちはスーパーに寄って帰った。
持ち帰ったのは水槽とその他飼育用の設備、そして餌となる野菜類。
飼育するつもりなんて元々なかったが、283プロらしいごり押しを受けて譲り受けることとなった。
私だって人の心がある。子供からのプレゼントをそうそう無碍にはしない。


≪千雪「まだ、私たちは大人にならなくていいんじゃないかな」≫


いや、まだ私も子供なんだったな。


「ぷっ……アハハッ!」


アイツの言葉の何をそんなに真に受けてるんだか。
自分が滑稽でたまらなくて、つい吹き出してしまった。


「……さて、時間はまだあるな」


【自由行動開始】


-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…84枚】
【現在の希望のカケラ…19個】

1.交流する【人物指定安価】※美琴、透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/14(金) 22:42:23.48 ID:7mlQnUTA0
1 あさひ
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/14(金) 22:42:29.97 ID:c9ymRv1R0
小学生
717 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 22:51:40.54 ID:EbFPAfXe0
1 あさひ選択

【第2の島 図書館】


……いた。
ようやっと見つけたのは監視の大本命、芹沢あさひだ。

さっきの今で海水浴終わりだというのに、まるで疲労の色も見せずに熱心に読書に励んでいる。
私だったら泳いだ後なんて疲れて活字の一つも読めやしないだろうな。

怪しまれないように、適当に口実をつけて近くに座る。
あいつの海水浴の招待は受けて正解だったかもしれない。
理由としてはうってつけだ。


ルカ「お前たちにもらったヤドカリ、一応は世話見てやることにしたから」

あさひ「……」

ルカ「……おい、聞いてんのか」

あさひ「……」


だが、真隣に座って話しかけてもまるで反応がない。


ルカ「おい、シカトこいてんじゃねえぞ!」

あさひ「わっ!? ……あれ、ルカさん、いつからいたっすか?」

ルカ「……ずっと隣に座ってたんだがな」

あさひ「ルカさん、図書館で大きな声出しちゃダメっすよ」

(……こいつめ)

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【キルリアンカメラ】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/14(金) 22:55:35.64 ID:DMPUMGfR0
1 キルリアンカメラ
719 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:07:33.05 ID:EbFPAfXe0

【キルリアンカメラを渡した……】

あさひ「ルカさんルカさん、そのカメラなんっすか?!」

ルカ「ま、待て飛びつくなって……渡してやるから落ち着け」

あさひ「なんか普通のデジカメと違うっすね。これ、どういうカメラなんだろう」

ルカ「キルリアン写真?ってのがとれるって言ってたけど、お前分かるか?」

あさひ「キルリアン写真……なんなんだろう、ちょっと調べてくるっす!」

ルカ「あっ、ちょっと待て! おい!」

ルカ「待てって! おい!!!!!!」

【PERFECT COMMUNICATION】

【いつもより多めに親愛度が上昇します!】

-------------------------------------------------

つくづくこいつという奴が読めない。
七草にちかの裁判の時、いくつか残された疑問。それを旧館前で口にした時、確かにこいつの声がした。
だが、それ以降のこいつはどうだ?
アホ面引っ提げてそこら中を走り回り、小学生やギャル女と遊んでは騒ぎ倒している。
さっきの海水浴だって、ゴーグルをつけずに海中で目を開けて痛い痛いと喚いていた。
裁判の時にやたら冴えた推理で議論をリードしていたくせに、そんな様子はほとんど見えない。
本当に、こんな奴が【狸】なのか……少しばかり不安になる。


ルカ「……お前、何読んでるんだよ」

あさひ「これっすか? これ、野草の図鑑っす」

あさひ「この島ってすごくいろんな植物があるじゃないっすか。元の世界にいた時じゃ見たことのないやつもいっぱいあって、それで気になって調べてるっす」

(……まさか、それで毒でも作ろうってんじゃ)

あさひ「このアザミとかって海岸沿いに生えてるらしいっすけど、食べられるらしいっすよ!」

(……なんなんだこいつは、本当に)

あさひ「でもこれって日本でも見られる野草らしいっすね、もっとこの島だけの野草とかってないのかな……」

あさひ「……」

ルカ「あー、おいおい。自分だけの世界に入るな」

あさひ「あだっ!? なんっすかルカさん」

(こいつのペースに付き合ってるとまるで話が進まない)

(まずはそれとなく探りでも入れてみるか……?)


1.お前、七草にちかの事件をどう思ってる?
2.このコロシアイ南国生活、怖くないのか?
3.自由安価

↓1
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/14(金) 23:10:53.18 ID:DMPUMGfR0
1
721 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:20:10.19 ID:EbFPAfXe0
1 選択


ルカ「……お前、ちょっと話に付き合え」

あさひ「……? なんっすか?」

ルカ「……お前、七草にちかの事件をどう思ってる?」

あさひ「『どう』って……どういう意味っすか?」

ルカ「あの事件は、本当に終わったと思ってるのか聞いてんだ」

あさひ「言ってる意味が分からないっす。あの事件はにちかちゃんが犯人でおしおきもされたっす。にちかちゃん以外のクロはいないっすよ」

(クロは確かにいねえが……すっとぼけてんのか?)

あさひ「でも、不思議なところならあるっすよね」

ルカ「……! や、やっぱお前……」

あさひ「透ちゃん、本当にこの島の外の人と通じてるのかな……」

ルカ「そ、それもそうだけど……そっちじゃなくて」

あさひ「……? なんかルカさん、変な感じっす」

ルカ「……あ?」

あさひ「……そんなんじゃ、捕まえられないっすよ」

ルカ「……てめェ」

あさひ「あの事件に関与してるのはもう一人いるはずっす。でも、それは今のルカさんじゃきっと捕まえられないっす」


それは、中学生から私に正面からたたきつけられた挑戦状だ。
捕まえられるものなら捕まえてみせろ、その言葉のニュアンス通り、中学生は生意気な笑みを浮かべていた。

……上等だ。


ルカ「……ああ、ちゃんと証拠を掴まねーとダメだもんな」

あさひ「そっすね。可能性だけじゃ、結論にはできないっすもん」

(……よく言うぜ)

あさひ「じゃ、とりあえず私は行くっすよ。愛依ちゃんとこれから、ヤシの実でジュース作る約束なんで!」

ルカ「え? お、おう……」

(……しかし、本当、こいつはどっちの顔が本当なんだ)

-------------------------------------------------

【親愛度が上昇しました!】

【現在の芹沢あさひの親愛度レベル…2.0】

【希望のカケラを入手しました!】

【現在の希望のカケラの数…20個】
722 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:21:38.55 ID:EbFPAfXe0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『ただいま、午後十時になりました』

『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

『ではでは、いい夢を。グッナイ…』


……さて、いよいよこの時が来た。

昨日の今日で、今朝にも感じたあの美琴の身体の軽さは抜けきっていない。
吹けば飛んで行ってしまいそうな、押せば破れてしまいそうな、そんな淡く薄い、軽い感触。
でも、この感触を忘れてしまう頃に、また顔を突き合わせるんじゃ遅いはずだ。
不格好な形でも、【触れようとした】、【掴もうとした】。その事実が生きているうちに、今度こそ美琴を捕まえてやらないと、意味がない。

まだ緋田美琴という人間が、斑鳩ルカという存在を覚えているうちに。
723 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:22:35.89 ID:EbFPAfXe0

部屋の隅を見やった。
豆粒みたいな大きさのヤドカリは、何をするでもなく水槽の中をいそいそと動きまわっている。

あれは、私がまだ子供であることの証拠。
わがままに、取り繕いもせずに、自分の感情を吐き出す権利があることの証拠。
それを私はあいつらから譲り受けたんだ。

____なら、その権利を行使するしかないだろう。


「……よし、行くぞ」


見てろ、七草にちか。
お前が見せてきやがったブサイクな手本とは大違いの、一世一代の仲直りってやつを見せてやる。
せいぜい地獄で腰を抜かして、獄卒に咎められてろ。



緋田美琴の隣に立つのは、私だ。



724 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:24:53.04 ID:EbFPAfXe0
-------------------------------------------------
【第1の島:ビーチ】


「……はぁっ……はぁっ……」


美琴は昨日と同じように、月明かりの下で自分の体を痛めつけていた。
狂ってしまったマリオネットのように、手足は可動域のギリギリで振り回し、それに伴って瞳の中では何か赤黒いものが燃え滾っている。
狂気を孕んだその光景に、思わず言葉を失いかける。
決意を僅かに鈍らせるほどの威圧感が、そこにはあった。

でも、もう引かない。逃げない。
どれだけ苦しい現実でも目を背けない。目を背けてしまえば、形のない黒いものがまた私たちの目を覆ってしまうから。
正面からぶつかって、ぶつかって、ぶつかって。
それでやっと光がさす。


「すぅ……」


大きく息を吸った。
今の美琴は何をしようが、きっとその意図を解そうとしない。
自分の中にある七草にちかの虚像を追うための、都合のいい理屈を並べ立てて、それに文句をつける外野を悪と見なすだろう。
いつかの私と、同じだ。



____だから、【そんな思考も吹き飛ばすぐらいのもの】をくれてやる。



725 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:25:36.56 ID:EbFPAfXe0






「美琴―――――――――――――――!!!!」





726 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:27:11.49 ID:EbFPAfXe0

私にできるのは、この咽喉をつぶすぐらいの声量で叫び続けること。
島中に響き渡るぐらいの大声で、美琴に向かって呼び掛ける。


「美琴―――――――――――――――!!!!」


何度でも、何度でも。


「こっち向け―――――――――――――――!!!!!」


波音、潮風、虫の声。そのいずれも聞こえなくなるぐらいに上書きしてやる。


「私はここだ―――――――――――――――!!!!!」


間違いなく私の声は聞こえているはずだ。


「……チッ」


でも、どれだけ叫んでも美琴は無視を決め込んだ。背を向けたまま、自分の体を破壊することに勤しんでいる。
上等だ、それなら……認めさせてやる。

生意気なんだよ、緋田美琴_____!




「……負けてられるか!」


727 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:28:29.06 ID:EbFPAfXe0

私は美琴の隣に立ち、次の作戦に出た。
私の声をどうしても聞かないというのなら、次にするべきは無理やりにその視界を奪ってやること。
美琴が目指してやまない、人を魅了する最高のパフォーマンスというものを魅せつけてやればいい。


「美琴!」


美琴のそれは、私の意志とは無関係に網膜にしみついていた。
自分の体を痛めつけることも厭わずに、限界を超えて動かしていた体。
その苦痛と葛藤とが、私の胸に深く突き刺さり、瞼を下ろしても、空を眺めても、勝手に再生されてしまっていた。
だから、嫌でもその振付は覚えてしまっている。


「お前がしたいのは、こんなことなのかよ」


美琴に合わせて振りを完全に模倣する。
四肢をふるうたびに、関節や筋組織が悲鳴を上げる。
鈍い痛みが徐々に体を締め付ける中、舌を噛んで無理やりにその痛みを忘れさせた。


「お前は、何を見ているんだよ」


私は美琴の域には達していない。
美琴の目指すパフォーマンスに、同じ水準で立つことは適わない。
でも、だからといって、横に立つことを諦めたくはない。
自分の体が壊れようとも、美琴の【耀き】を前に、背を向けるようなことはもうしたくない。


「お前が見るべきものは、そんな虚像なんかじゃないだろ……!」


_____美琴にも、私の【耀き】を見てほしい。





「……ッ!」


ドサッ
728 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:30:11.48 ID:EbFPAfXe0

今度、砂浜に突き飛ばされたのは私の身体だった。
私のダンスがよほど目障りだったのか、それとも説得の声が耳障りだったのか。
それはわからないが、私を突き飛ばした美琴の顔はぐしゃぐしゃで、燃え盛るその瞳は、ほかでもない私自身をしっかりと捉えて睨みつけていた。


「ルカには……ルカには関係ないでしょ……!!」


譫言のようにその一文を繰り返す美琴。
かつて強い語気で私を拒絶したのと全く同じ文面、だが今の美琴はそこに却って脆弱さを晒け出している。
突き崩すなら、今しかない。


「関係ないワケねーだろ! 美琴は、なんでいっつも自分のことばっかり……!」
「知らない、知らない……! ルカなんか、ルカなんか……!」
「違うんだよ……美琴……! 私が美琴に見てほしいのは……【美琴を見てる、私】なんだよ……!」
「……ッ!」


私は、気づいてほしかった。
美琴のことを信頼して、美琴のことを愛して、美琴のことを応援している人間がそばにいることに。
美琴に必死についていって、横にどうにか並び立つことで私のその想いに、気づいてほしかった。
別に友情だの恋愛だの、そんな俗的な話にしたいわけじゃない。
ただ、横に立とうとする人間の感情の重さを、美琴にも知ってほしかった。





「どうして、一人だって思いこんじまうんだよ……美琴……!」




729 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:31:29.06 ID:EbFPAfXe0

七草にちかの想いを汲むことができた、今の美琴ならわかってくれると信じた。


斑鳩ルカという人間が、カミサマなんて称号を必要としていないこと。
斑鳩ルカという人間が、かつてその横に立っていたこと。
斑鳩ルカという人間が、七草にちかと同じように美琴のことを想っていたこと。


____斑鳩ルカという人間が、美琴と過ごした時間を何よりも大切に思っていること。




「私じゃ、ダメなのかよ……!」
「……」
「美琴……お前の夢を、また一緒に追わせてくれよ……!」


730 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:32:24.20 ID:EbFPAfXe0

それでも、美琴は涙一つ流すことはなかった。
それは私もだった。感情の波は既にその決壊地点を超えているが、目元は砂漠のように乾いている。
涙のための水分が、もう体には残されていないのである。
土砂降りの雨にあったかのような両者の身体はただ小刻みに震え、嗚咽を漏らすだけ。
震える口元で、美琴は小さく息を一つついた。


「美琴……」


その瞳にかつて盛っていた豪炎は、焚火のように穏やかな揺らぎになっていた。
敵意という感情の抜け落ちたそれを、私に静かに向けたかと思うと、美琴は数瞬の躊躇いののちにそれを差し出した。


「ルカ……立てる?」


私の目の前には、美琴の右手があった。


「ハッ……!」


不格好な笑顔でそれに答えて、震える手でそれを掴んだ。

731 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:35:18.85 ID:EbFPAfXe0
____
______
________


「いい年して……お互い随分と意地張ってたもんだな」
「ふふ……そうかもね」


一度は立ち上がったものの、お互い体はボロボロで、立っているとふらっと倒れてしまいそう。
海岸沿いに並んで生えているヤシの木の一つにもたれかかるようにして、並んだ夜空を見上げる私たち。


「でも、驚いちゃったな。ルカが折れるとは思わなかったから」
「……ハッ、世話焼きな連中がいたからな」
「え?」


認めたくはないが、もし【あいつ】がいなかったら美琴とこうやってまた肩を並べて話をするなんてことはなかっただろう。
強引に私を連れだして、勝手にいろんなことを体験させて、無理やり交友の幅を広げて。
年上のお姉さん、なんて本人が言っていてもやっていることは母親といった様相の方が正しい。
やられている最中では疎ましくも、後に思うとその意味が重大であったことを知れるという点でも、母親然した振る舞いに感じる。

732 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:36:15.28 ID:EbFPAfXe0

「……いい事務所に入ったな、美琴」
「……うん」
「正直羨ましいよ、私はいまだに事務所にそんな関係の人間は一人だっていない。そんなものを必要とすれば、付け込まれちまうからな」


私も美琴の後を追って、同じ事務所に入っていれば、こんな回り道をしなくても済んだのかもしれない。
いや、そんなのはいくら考えても後の祭りという奴だろう。


「だからこの島にいる間ぐらいは……いいかもな」
「ルカも、変わったね」
「……うるせー」


美琴の柔和な表情に思わず頬が綻ぶ。こんな表情は、前にユニットをやっていた時にも見ることはなかった。

美琴の奴、随分と笑顔は幼いんだな。
普段がクールな面してやがる分、その笑顔の破壊力はなかなかのものだ。


そんな笑顔が見れる自分の幸運には、感謝してならなかった。

733 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:37:23.96 ID:EbFPAfXe0

「……さて、と。とりあえず寝るか」
「え? ……ああ、もう夜時間なんだっけ」
「それどころかテッペン回るっての。明日も朝食会はあるんだ、今から寝とかないと身が持たないぞ」
「うん……そうだね」


近くにあった荷物を適当にまとめて美琴は私の隣に立つ。
こうしてみると、相変わらず美琴の奴のスタイルは化け物じみている。
その横顔も端正な顔立ちで、これだけで月光に映えているのがなんともにくい。
でも、これからはまたこの姿を何度でも見ることができる。そう思うと拳を天にも掲げたい心地だった。


「……じゃ、行くぞ」
「うん」


そして私たちは歩き出す。
自分たちのコテージ、戻るべき場所へ。


……絆が紡ぎ出す、【明日】に向けて。

734 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/14(金) 23:39:02.68 ID:EbFPAfXe0

というわけで本日はここまで。
明日は少し時間通りにできるか怪しいですが、21:00〜の予定でお願いします。
厳しそうならその前にできるだけ早く書き込むつもりです。
もう少し(非)日常編の交流パートは続きます。

それではお疲れさまでした。
735 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/15(土) 19:42:04.41 ID:Zo+FffjL0

申し訳ありません、本日は更新厳しそうです。
勝手ながら明日21:00〜更新に替えさせていただきます。
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/15(土) 22:23:20.61 ID:S/nOegCM0
了解です
737 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 21:03:14.52 ID:22Mip92F0
____
______
________

=========
≪island life:day 8≫
=========

【ルカのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』

『さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょう〜!』


この島に来て以来の晴れやかな目覚めだ。
ずっと心に重く沈んでいた鉛を引き上げて放り出してやったんだから当然のこと。
うんと一つ伸びをして、柄でもない溌溂とした声を上げる。


「よし、行くか!」


嫌々参加していたはずの朝食会も、今日ばかりは楽しみで仕方ない。
また美琴と並んで食事ができる、しかもかつてのように気兼ねすることもなく。

待ち望んでいた理想の景色を思うようにそこに実現することができるのだ。
私は準備もそこそこに、急ぎ足でレストランへと向かった。
738 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 21:05:06.33 ID:22Mip92F0
-------------------------------------------------
【ホテル レストラン】


結華「あっ、ルカルカ。おはよう、今日も来てくれたんだ」

ルカ「おう、おはよう」

結華「……え? ル、ルカルカがあいさつした……? え、え、え……?」


なぜだか勝手にバグりだしたメガネ女を他所に、私は足早で美琴の隣についた。


美琴「ルカ、おはよう」

ルカ「おう! おはよう美琴!」


まさか美琴とこうやってまた、挨拶をかわせる時が来るなんて思いもよらなかった。
美琴は晴れやかな表情で食事を口に運ぶ。
私はそれを頬杖をつきながら、我が子を見守るような生暖かい視線のもとに見つめるのだった。


千雪「あら、ルカちゃん……うまくいったの?」

ルカ「おう……ま、まあな」

美琴「千雪さん……なんだか、お世話になっちゃったみたいで」

千雪「ううん、いいの。一歩を踏み出したのはルカちゃん、私は何も」

美琴「こんな状況じゃなければ何かお礼でもしたのだけど」

千雪「二人の笑顔が見れただけで私は嬉しいから大丈夫。気にしないで」


千雪はその言葉通りに上機嫌になり、鼻歌交じりに朝食をつついた。
それを周りに言いふらすでも、自慢するでもなく、自分の功績を一人で確かめて喜んでいる。


ルカ「……いい奴だな」

美琴「……でしょ?」
739 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 21:09:07.49 ID:22Mip92F0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】


自分の部屋に戻ってからも、なんだか現実であることに自信が持てなかった。
ここ数年燻ぶり続けていた思いが晴れて昇華されて、背負っていた荷物もなくなった。
こうなってくると、逆に違和感を覚えるものだ。


「……へへっ」


指で水槽のヤドカリをつついた。ヤドカリは外敵を察知したのか、逃げまどい岩陰にその身を隠す。


「……お前のおかげでもあるんだぞ」


このヤドカリを渡してきた小学生と中学生。あいつらの存在もわずかながらも影響している。
人と人との交流というのは、本当に度し難いものがある。


「……会えたら、言っとくか。お礼」


まだ今日は始まったばかりだ。
私がやるべきなのは【監視】、それだけじゃない。

____同じ島で暮らす者同士の【交流】だ。


【自由行動開始】


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
☆斑鳩ルカの交流について

おめでとうございます!
積年の想いを打ち明けたことにより、緋田美琴様との交流が解禁されました!
以後交流相手として選択することが可能です。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…84枚】
【現在の希望のカケラ…20個】

1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/16(日) 21:12:49.91 ID:VY6fadzu0
1 千雪
741 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 21:19:39.11 ID:22Mip92F0
1 千雪選択

【第2の島 海水浴場】


まあ、やっぱり一番に報告したいのは……こいつだ。
出会った当初は勝手にこっちの領域にずけずけと踏み入ってくる厚顔無恥な女だとばかり思っていたが、今となってはこいつに頭が上がらない。
あの時、スーパーで出会っていなければ。
あの時、飲み交わしていなければ。
私はいまだ美琴と口を利くことができていなかっただろう。


ルカ「よう。……何やってんだ」

千雪「ルカちゃん……ちょっと潮風を浴びながら読書でもと思って。お向かいどうぞ」

ルカ「……ん」

千雪「私、なんだか感激しちゃったな。まさか本当に二人が仲直りしちゃうなんて」

ルカ「私も、まだ現実味がねーよ」

千雪「ふふ……そうだよね、ずっとつらかったんだもんね」

ルカ「別に、そんなんじゃねーよ」


私はただ静かに水平線の方を見つめた。
こんなに穏やかな気分で見れる日が来るなんて、私も思ってもいなかったな。

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 22:10:11.23 ID:Gl1e4yOH0
1 表裏ウクレレ
743 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 22:10:54.12 ID:22Mip92F0

今日はもう安価回りそうにないので離席しますね、上記安価にどなたか書き込みいただければ明日続きから再開します。

↓1
744 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/16(日) 22:12:10.90 ID:22Mip92F0
申し訳ない、数十秒前に書き込んでくださってましたね
明日表裏ウクレレを渡すところから再開します
ぐだぐだで申し訳ない…
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/16(日) 22:25:45.53 ID:IggrwfnX0
また明日楽しみにしてます!
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/16(日) 22:26:57.39 ID:9euPjROJ0
速報も人口の減少が深刻だぁねぇ……
747 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 20:54:59.56 ID:VpymNLoy0
【表裏ウクレレを渡した…】

ルカ「これ、あんまり私は楽器の演奏とかはやらねーし……やるよ」

千雪「なんだか変わったウクレレね、両面に弦が張ってあるみたい」

ルカ「お前、こういうのやったことあんのか?」

千雪「ううん、未経験。でもせっかくルカちゃんが私のために新しい世界の入り口を持ってきてくれたんだもの、頑張ってみようかな」

(……特にこっちは何も考えずに手についたもんを渡したんだが、そんな受け取り方をすんのか)

(まあ、普通には喜んだかな)

-------------------------------------------------

美琴とのことが解消したことで、私の中にも幾分か余裕が生まれた。
前には眩しくて見れなかった太陽も、今はそれほどではない。
自分たちのいるこの島がどれほど自然豊かなものだったのか、今日になって初めて知った。


ルカ「……そりゃ、こんな島ならガキは泳ぎたくなるよな」

千雪「ね、泳がせてあげたくなっちゃった私の気持ちもわかった?」

ルカ「前よりはな。……まあ、あの海水浴も参加して正解だったよ。自分がまだまだガキだってこと、お前に教えられなきゃ気づかなかっただろうからな」

千雪「ふふ、そうなんだよね。……でもね、それも私は別の人に教えてもらったことなんだ」

ルカ「……え? そうなのか?」

千雪「うん……私も、前に一度自分の思っていることを中々口に出せなくて、それで悩んだことがあったの」


≪千雪「裁判の時……ルカちゃんが美琴ちゃんと正面からぶつかり合ってくれたおかげで、最後の最後にシーズの二人はお互いの素直な感情を打ち明けられたんじゃないかなって思うの」

ルカ「……」

千雪「美琴ちゃんが納得していなくても、多数決の投票できっと間違った道にはなっていなかった。でも……それじゃダメなんだよね」

千雪「本当の気持ちを押し殺したままなんて……辛いもの」

ルカ「……お前、それって」

千雪「……」

(こいつも、そういう経験があるってことか……?)≫


そういえばこいつと初めて飲み交わしたあの晩、私と美琴の間に横たわる軋轢をスーパーで話した時。
こいつの目の中に私は同じものを見た。
かつて経験したであろう、自分の心の奥底に感情を仕舞い込むことで負った傷跡。

……今の私なら、その傷を知ることが、知ろうとすることができるかもしれない。
それを、してしまってもいいだろうか。


1.なあ、その時のことって聞いてもいいか?
2.……そうかよ
3.自由安価

↓1
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/17(月) 21:12:47.42 ID:pBRM3kG70
1
749 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 21:37:10.54 ID:VpymNLoy0
1 選択


……前までの私なら、訊ねることはできなかった。
自分自身が超えられていない溝に対する解答を挑みもせずに求めるようで、なんだか卑怯に感じていた。
それに、きっとその傷跡に向き合った話をただの美談と断じて、真正面から素直に受け止めることができなかっただろう。

今耳を傾けられるのは……美琴とのことがあったからだ。


ルカ「なあ、その時のことって聞いてもいいか? お前が、自分の気持ちを伝えられなくて苦しんだっつー時の話」

千雪「ルカちゃん、聞いてくれるの?」

ルカ「てめェもさんざん私の話を聞いたからな、こっちだって聞いてやらねーと採算がとれないだろ」

千雪「……うん。ルカちゃんは、アプリコットって雑誌……知ってる?」

ルカ「あ? 聞いた事あるような……ないような」

千雪「私が学生の時の雑誌だから、ちょっと前の雑誌なんだけどね。女の子が興味を持ちそうなファッションとか雑貨とかが詰め込まれた、私にとって宝箱みたいに大好きで大切な雑誌なの」

千雪「その雑誌が復刊することが決まって……その表紙モデルのオーディションがあったの」

ルカ「……へぇ」


口から『よかったじゃねーか』という言葉が出かけたが、抑え込んだ。
この話はそれぞれの傷跡という文脈に載る。この後の結びは私にも見えているのだ。

750 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 21:38:04.04 ID:VpymNLoy0

千雪「アプリコットからのお話は、甘奈ちゃんにやってきたの」

ルカ「……お前じゃ、なかったんだな」

千雪「私の大切な甘奈ちゃんが、大切なアプリコットからお仕事をいただけたのは純粋にうれしかった。でもね、それだけじゃない気持ちがあるってこと、薄薄気づいてたけど……自分の気持ちを一度無視しちゃった」

ルカ「……」

千雪「そんな時に、わがまま言ってもいい、私はまだ自分の気持ちに素直になれる子どもだって教えてくれた人がいたの」

ルカ「それで、どうなったんだ?」

千雪「甘奈ちゃんと一緒にオーディションを受けた。ユニットの仲間同士でぶつかったの」

ルカ「……!」


私が見ていた一面だけのこいつとは、その行動は全く違った印象を受けた。
相手のことを慮って、そのためにできるコトばかりを探している。そんな風に思っている節もあった。
でも、こいつは自分の気持ち、欲望に従って、仲間とぶつかり合うことを決めた。
相当な判断だったのだろうと思う。


千雪「私は結果として勝つことはなかったけど……でも、やってよかったなって思ってるの」

千雪「やらない後悔よりやる後悔、でしょ?」


それはただ自分の気持ちに向き合うということだけじゃない。
その衝突をしてもいい相手だと、信頼のできる相手だとユニットの仲間を再認識したことを意味する。
こいつにとってこの経験は傷跡というよりも、【刻まれた】大切な思い出なんだろう。


ルカ「……なんだ、もっときつい話なのかと思ったぜ」

千雪「もぅ……私は当時結構悩んだんだから」

ルカ「ハッ……そん時からずっとてめェはお人よしだな」


……そして、それは私にも同じことが言えるのかもな。
美琴との別離も、いつか笑って話せる日が来るのかもしれない。


ルカ「……またてめェに教えられたな」

千雪「え? なんのこと?」

ルカ「……なんでもねーよ」


-------------------------------------------------

【親愛度が上昇しました!】

【桑山千雪の親愛度レベル…5.0】

【希望のカケラを入手しました!】

【現在の希望のカケラの数…21個】
751 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 21:41:47.75 ID:VpymNLoy0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】

なんというか、あいつと一緒にいると考えさせられることばかりだな。
ガキっぽい無邪気なところもありながら、年長者であるべきところはしっかり年長者の振る舞いをして。
またあいつに余計なことを教えられてしまった。

……まあ、絶対あいつ本人には言ってやらねえけど。

あいつに言ったらガキ扱いされること請け合いだ。


「……ほんと、癪なやつ」


さて、まだ時間はあるな。


【自由行動開始】

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…84枚】
【現在の希望のカケラ…21個】

1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/17(月) 21:48:22.15 ID:OxW12vyj0
1 こがね
753 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:01:26.75 ID:VpymNLoy0
1 恋鐘選択

【第1の島 ロケットパンチマーケット】


なんとなく小腹が空いたこともあって、口につまめるスナックでも探そうかと入ってみたスーパーマーケット。
入ってすぐの野菜売り場、そこには長崎女の姿があった。
なにやら野菜を見比べながら唸っている。相当に集中しているらしい。


ルカ「……何をそんなに見てんだ?」

恋鐘「むむむむ……ん? あれ、ルカなんばしよーとね! ルカも料理でもすると?」

ルカ「いや、お前がやたら集中してっから気になっただけだよ……私はただスナック菓子でも取りに来ただけだ」

恋鐘「お菓子、そういえばもうそんな時間とね! 野菜選びに時間ば使うてすっかり忘れとったばい!」

恋鐘「芯が細か方がうまかニンジンになるとよ、出来る限りええもんにしたくてじ〜っと見とるんよ〜!」

ルカ「へー、詳しいんだな」

恋鐘「ふふーん、これくらいは常識ばい!」


得意ぶって連発してきた野菜豆知識を適当に聞き流して過ごした……

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【トイカメラ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/17(月) 22:15:53.02 ID:pBRM3kG70
1 バール
755 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:27:56.80 ID:VpymNLoy0
【バールを渡した】

恋鐘「ふぇ? なんね、ルカ。こいって工具じゃなか?」

ルカ「あー、なんかミステリーとかサスペンスだとありがちだろ。『バールのようなもの』でどうこうっての」

恋鐘「聞いたことあるようなないような……」

ルカ「護身用にでも使いな」

恋鐘「そ、そがんこと言われてもこげんもん使ったことなか!」

(……まあ、そりゃそうだよな)

(……こんなもん、誰に渡せばいいんだよ)

-------------------------------------------------

さっきの野菜の目利きといい、毎朝レストランで支度をしている様子と言い、こいつは何かと料理好きな一面が目立つな。
いわゆる女子力ってやつか? ……まあ、私とは無縁な話だな。


ルカ「お前、しょっちゅう料理とかしてんのか?」

恋鐘「ん〜? まあ、寮でおばさんがおらん日はご飯作ることもあるし、時々事務所のキッチンば使ってみんなに料理ふるまうこともあるたいね」

ルカ「よくやるな……洗い物とかそういうのが面倒で私は全くだ」

恋鐘「確かに沢山皿使った後はちょっと骨ば折れるけんど、十年以上料理もやっとると慣れてしもうたばい!」

ルカ「十年以上って……マジか」

恋鐘「うちは実家が料理屋やけんね! 子供んときはよう手伝いしとったとよ」

ルカ「そうなのか……道理であんなに飯作んのもうめーわけだ」

恋鐘「……ルカって人を褒めたりするんやね」

ルカ「私を何だと思ってんだよ……」


思えばこいつとこうやって二人で話すことはこれまであんまりなかったな。
【狸】探しもまだ結局終わってはいないし、他の連中のことを知っておいて損はない。
もう少しこいつの話を聞いてみることにするか。


1.得意料理は何なんだ?
2.寮ってなんか住みづらくねーか?
3.自由安価

↓1
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/17(月) 22:38:55.10 ID:9r/O60Ke0
1
757 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:51:03.15 ID:VpymNLoy0
1 選択

こんだけ料理が好きなら、得意料理の一つや二つあるんだろ。
試しに聞いてみるとするか。


ルカ「お前、そんなの料理が好きなら特に特意な料___」

恋鐘「ちゃんぽんばい!」

ルカ「だいぶ食い気味に来たな」

恋鐘「うちの出身の長崎といえば、ちゃんぽん! ちゃんぽんと言えば長崎! そしてちゃんぽんといえばうちばい!」

恋鐘「ルカもこの前……そういえばルカはパーティには参加しとらんかったとね、あの時もうちが腕に寄りばかけてばりうまかちゃんぽん作ったとね!」

(あのパーティ、そんなこともやってたのか)

(鼻息荒くして前のめりに語るあたり……相当な自信なんだろうな)

ルカ「……でも、そうは言われてもな」

恋鐘「ん? ルカ、どげんしたと?」

ルカ「その……ちゃんぽん、あんまよく知んねーんだよな」

恋鐘「ふぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!?!」

ルカ「うっせえよ! 急に大声出すなって……!」

恋鐘「ちゃんぽんを食べたことがなか……?! そげんこつがあり得るばい……?!」

ルカ「いや、なんとなくは知ってんだぜ? あのあんかけ焼きそばみたいなやつ……」

恋鐘「なんばいいよっと!? あんかけ焼きそばとちゃんぽんは全く別物ばい! チャーハンとピラフぐらい違うとよ!」

(それほとんど一緒じゃねーか!)

恋鐘「わかったばい……ルカ、覚悟ば決めんね、うちが本物のちゃんぽん食わしたる! お腹と背中がくっついて……入れ替わるぐらいに腹空かせとって!」

ルカ「え? あ、おい! どこ行くんだよ!」


急にヒートアップしたかと思うと、そのままどこかに行ってしまった。
しまったな……何か面倒なたきつけ方をしてしまったらしい。
これだから283プロの連中は面倒なんだ……こりゃしつこく粘着されるぞ。

-------------------------------------------------

【親愛度が上昇しました!】

【月岡恋鐘の親愛度レベル…1.5】
758 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:52:27.20 ID:VpymNLoy0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】

ピンポンパンポーン

いつもより上機嫌に自分の部屋に戻ってきた私を出迎えたのは、いつもの夜時間とは違った調子のチャイム。
これは確か、前に一度聞いたことがある。
私たちの記憶を奪っているとか抜かした、ふざけた漫才の予告のチャイム。
……だとすると、これはまた。


『えー、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会よりお知らせです!』

『オマエラ、大ニュースだよ! 開発部門がついに、とうとう、【とんでもないもの】を作ってしまいました!』

『きっとオマエラも驚くだろうな、驚きすぎてひっくり返るだろうな、ひっくり返ってマントル突き抜けてブラジルまで行っちゃうだろうな』

『とにかく、ジャバウォック公園に緊急集合―! 来なかった奴はハブだよー!』


……【とんでもないもの】?
皆目見当もつかないが、この様子を見るに、私たちに大きくメリットがあるようなものではない。
モノクマ、そして黒幕の欲求を満たすだけのろくでもないものに違いないはずだ。


「……拒否権はない、か」


今朝からの上機嫌にすっかり水を差された気分。
不安と不快と苛立ちと、黒々としたものをごちゃまぜにして部屋を出た。

759 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:54:14.63 ID:VpymNLoy0
-------------------------------------------------
【中央の島:ジャバウォック公園】


モノミ「あっ、斑鳩さん! よかった、ちゃんと来てくれまちたね!」

ルカ「……おう」

美琴「ルカ、こっち」


公園には既に他の人間の姿も見える。
私は美琴の隣に立って、ほかの連中の注目する、その視線の先にあるものを注視した。


ルカ「あれは……【ゲーム機】か?」


私自身あまりゲームに詳しいわけではない。
レッスンをバックレてゲーセンにこもったときなんかによく見かけた筐体が、公園の中央に違和感剥き出しでぽつんと置かれている。


千雪「前に甜花ちゃんに教えてもらったゲームに似てる……」

果穂「ゲーム、ですか?」

智代子「ゲームセンターとかのゲームって、確かにあんな感じだよね! お金を入れたら動くのかな?」

夏葉「ひとまずは様子見しましょう、智代子。モノクマのことだから、何を仕掛けているかわからないわ」

(流石に誰も迂闊に手を出そうとはしていないみてーだな……)

透「……」

雛菜「……」

(そして、あいつらも一応はちゃんと集まってる、と……)
760 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:55:56.44 ID:VpymNLoy0

得体のしれない筐体を前に、緊張が走る中。
あいつは堂々とまた姿を現した。

バビューン!!

モノクマ「皆さんお集まりのようですね!」

夏葉「モノクマ……現れたわね」

モノミ「やいモノクマ! こんな時間にミナサンを呼び出して何事でちゅか!」

今回はモノミは完全に関与していないらしい。私たちと同じ側に立って野次のような言葉をモノクマにぶつける。

あさひ「モノクマ! とんでもないものってなんっすか?! 何を見せてくれるっすか!?」

愛依「あ、あさひちゃん!? な、なんでそんなノリノリ……!?」

モノクマ「ふっふっふっ、いいですねえ。反応がいい子は先生大好きですよ!」

モノクマ「では発表いたしましょう……今回の動機はこちら!」





モノクマ「新作ゲーム・【かまいたちの真夜中】でございまーす!」




761 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 22:58:02.79 ID:VpymNLoy0

(……は?)

智代子「げ、ゲームが……動機……なの?」

モノクマ「はい! こちらのゲームはホラーサスペンスを題材にしたADVゲーム! みんなでプレイすれば心もハラハラ不安でドキドキ! その焦燥に駆られてコロシアイに挑むこと請け合い!」

美琴「え……?」


流石に全員が全員困惑した。
前回の動機は、少なからず全員にゆさぶりを与えてきて、その結果一番動揺の大きかった七草にちかの堰が決壊することとなり、コロシアイになったのに。
今回はゲームで不安を煽る……?
ずいぶんとこじんまりした、的を外れたような動機で拍子抜けだ。
だが、まだ警戒を緩めるわけにはいかない。モノクマのことだ、ただそれだけで終わるはずもない。


ルカ「おい、モノクマ……このゲームをクリアしないと私たちを殺す、なんて言い出さないよな?」

美琴「ルカ……」

ルカ「だってそうだろ、こんなゲームだけだなんて怪しすぎる……絶対裏があるはずだぞ」

762 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:00:12.64 ID:VpymNLoy0

だが、モノクマは私の質問を受けても表情を特に変えることもなく。


モノクマ「そんなペナルティなんかないよ! むしろ逆、クリアした人にはクリア特典を用意しています! ま、それがいらないならプレイしなくたっていいよ」

摩美々「えー、じゃあなんのために呼んだのー?」

モノクマ「ボクは純粋に南国生活に飽き飽きしているだろう皆のために、新しい娯楽を用意しただけのこと! 後はオマエラに全部お任せするよ」

(……マジか)

モノクマ「じゃあね! プレイした感想、是非後で教えてね!」

バビューン!!


私たちに任せる、その言葉は文字通りの意味らしい。モノクマはそれ以上何も言うこともなく、すぐに姿を消してしまった。
プレイするもしないも私たち次第。あいつはクリア特典がある、としか言ってこなかった。
763 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:01:08.07 ID:VpymNLoy0

智代子「なんだか拍子抜けだね……てっきり誰かを人質にとるとか、物騒なことを言い出すのかと思ったけど」

愛依「で、ゲームはケッキョクどーする……?」

摩美々「決まってるでしょー、こんなの無視するに限るってー」

結華「まあそれが賢明だよね……クリア特典って言われても、そんなにメリットがあるとも思えないし……」

冬優子「その特典こそがコロシアイの動機になっちゃうかもしれないもんね……」

あさひ「えー、やっちゃダメなんすか?」

夏葉「モノクマが提示してきた動機である以上、なんらかの意図が絡んでいるのは明白よ。あさひの好奇心はわかるけど、ここは我慢してもらえないかしら……」

あさひ「むー……」

雛菜「……透先輩、どうする〜?」

透「……まあ、やっちゃダメっぽいし。うちらもそれに従っとこ」

雛菜「は〜い」


その場に居合わせた人間の相違は『無視』。
プレイしないことで生じるデメリットも特にないし、クリアで得られるメリットも詳細不明。
わざわざそんな怪しいものに手を付ける理由もないだろう。

でも、それゆえにモノクマの意図が読めない。
このゲームにアイツは何を隠している?
このゲームで本当に、コロシアイが引き起こされると思っているのか……?

764 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:02:13.71 ID:VpymNLoy0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『ただいま、午後十時になりました』

『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

『ではでは、いい夢を。グッナイ…』


あれから特に何事もなく、全員で公園を出てそれぞれの部屋に戻った。
美琴もここ数日のオーバーワークを受けて、今日は早くに休むらしい。
また元気になったら、私と一緒に練習もすると言ってくれた。


「……へへっ」


コロシアイの動機も大したことない、美琴との約束も取り付けた。
なんだかすべてがうまく進んでいるような気がした。
あんなに不気味で仕方なかった満月も、今やそれほど怖くもない。
月明かりに照らされるどこか厳かな空気の夜に、私は静かに目を閉じた。


……でも、今になって思えば。
この時の私は呑気が過ぎていた。
ゲームをプレイしない、だなんて口約束。
美琴と仲直りする前の私なら信じるはずもなかったのに。
765 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:03:05.82 ID:VpymNLoy0





人は強くなれば、どこかが必ず弱くなる。
人を信じるということは、いずれ誰かに裏切られるということなんだ。






766 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/17(月) 23:04:19.69 ID:VpymNLoy0

というわけで本日はここまで。
動機発表まで来ましたが、事件発生まではもう少し猶予があります。どうかお付き合いください。
また明日同じ時間に更新予定です。それではお疲れさまでした。
767 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:01:37.35 ID:rPjYemXB0
____
______
________

=========
≪island life:day 9≫
=========

【ルカのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』

『さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょう〜!』

美琴との不和を解消してから、目覚めがいい。
他の連中の目を避けるようにして行動していたが、今はそんな気兼ねもしていないから随分と楽になった。

ただ、やはり昨日発表された動機は少しばかり気がかりだ。
全員で島を渡り、解散するまでは私も同席して見届けたが、あの後深夜にコッソリ誰かが抜けだして筐体に手を付けた可能性は多分にある。

だとしても、それを明らかにする術などないし……

(……今は考えても、仕方ないか)

とりあえずは美琴に会うためにレストランへと向かうことにした。
768 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:03:06.46 ID:rPjYemXB0
-------------------------------------------------
【レストラン】


結華「ルカルカおはよう!」

ルカ「おはよう」

結華「ホント毎朝毎朝別人じゃないかって思うよ……」


随分な言われようだが気にも留めない。
今日も一直線に美琴の隣の席についた。


美琴「おはよう、ルカ」

ルカ「おっす……あ? お前……シャワーでも浴びたか?」

美琴「え? ……うん」

ルカ「やっぱな、いつもの美琴と違って石鹸の匂いがしたからよ。朝からジョギングでもやって来た口か」

美琴「すごいね、わかるんだ」

ルカ「まあお前の相方やってた時期も短くはないからな」


私が自慢げに答えると、美琴は少し気恥ずかしそうにはにかんだ。

769 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:05:20.94 ID:rPjYemXB0

摩美々「まあ、昨日の今日なんで一応確認しときますケドー。あのゲームやった人っていますかぁ?」

(……誰も手を上げない)

夏葉「昨日全員で決めた通り、あのゲームは無視することにしましょうね。何が引き金になって事件を導くかもわからない、得体のしれないものには関与しない方が吉よ」

果穂「はい! みんなでルールをまもれば安心ですね!」

ルカ「……ま、大丈夫だろ。そこの中学生には首輪でもつけておいた方がいいかもしれないけどな」

あさひ「え……わたしっすか?」

結華「あはは、でもあさたんも分かってくれてるはずだから大丈夫だと思うよ?」

あさひ「昨日夜にやりに行こうと思ったら冬優子ちゃんにすごく怒られたっす、だからもうやらないっす!」

結華「前科はあったんだ……」

冬優子「あさひちゃん、みんなで決めた約束はちゃんと守ろうね?」

あさひ「はっきりダメって言われなかったから、別にいいと思ったっす。でも、みんなが嫌ならやらないっす」

(おいおい、大丈夫かよ……)

智代子「誰も動機に触れてないんだったら大丈夫! 今日もいつも通りに脱出に向けて調査だね?!」

摩美々「それと、ノクチルの二人の懐柔かなー」

千雪「透ちゃんと雛菜ちゃん、大丈夫かな……」

ルカ「この前遺跡で会った時、私たちの邪魔はしないとは言ってたし……一応はそれを信用するしかねーだろ」

美琴「……」


朝食会はゲームに触れたかどうかの確認で終わった。
全員それにはノーと言う返答をしたが、その真偽のほどは定かではない。

信用するしか、ないのか……?
770 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:06:23.14 ID:rPjYemXB0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】


ただ、調査と言っても目新しい成果など出てこないし、同じところをなぞるようじゃどうしても退屈を感じてしまうのも確か。
でもこの退屈に負けちゃいけない。
あのゲームでこの退屈を紛らわせようなんて、そんな邪な考えを抱く前に、思考を他の連中との交流で埋め尽くせ。

今はそれしかない。


【自由行動開始】

【事件発生まで自由行動は残り3回です】

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…84枚】
【現在の希望のカケラ…21個】

1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:22:49.81 ID:RKlOEZCI0
2
772 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:28:32.57 ID:rPjYemXB0
2 選択

【第1の島 ビーチ】


要らないものをひたすらに他の連中に押し付けてきたが……こう手元にほとんど残ってないとそれはそれで寂しいものがあるな。
確かこのヤシの木に取り付けられてる機械でアイテムの補充ができるんだったか?

実用的なものが何か出てこないとも限らないし、ちょっとだけやってみんのもありだな……


-------------------------------------------------

【モノモノヤシーンに挑戦します】

【使用するメダルの枚数を指定してください】

【現在のモノクマメダル枚数…84枚】

↓1
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:34:09.04 ID:RKlOEZCI0
15
774 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:37:51.69 ID:rPjYemXB0
15枚選択

【コンマ判定を行います】
【このレスより直下15回連続でコンマ判定を行い数値に応じたアイテムを獲得します】

↓1~15 ※連投可
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:42:42.87 ID:RKlOEZCI0
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:43:32.16 ID:RKlOEZCI0
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:44:52.18 ID:RKlOEZCI0
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:45:31.49 ID:RKlOEZCI0
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:46:17.00 ID:M0Z4njArO
せい
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:46:34.24 ID:RKlOEZCI0
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:47:31.22 ID:M0Z4njArO
ほい
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:47:52.94 ID:RKlOEZCI0
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:48:09.88 ID:M0Z4njArO
はい
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:50:09.48 ID:eyRM9GZ40
むんっ
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:50:44.32 ID:RKlOEZCI0
はい
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:50:56.03 ID:M0Z4njArO
あい
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:51:46.72 ID:eyRM9GZ40
ほわっ
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 21:52:12.79 ID:RKlOEZCI0
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 21:53:47.64 ID:M0Z4njArO
えい
790 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 21:56:58.64 ID:rPjYemXB0

【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【シルバーリング】
【メスシリンダー】
【ドライビングニトロ】
【第二ボタン】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
【オカルトフォトフレーム】
を手に入れました!


「……ガラクタが15個ってとこか」


気まぐれに回しては見たものの、どれも使い道に困る品ばかり。
結局は他の連中に押し付ける廃品回収にしか使えなさそうだな。


「……はぁ」


またこいつらの押しつけ相手を探す冒険の始まりだな。

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…69枚】
【現在の希望のカケラ…21個】

1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:06:05.61 ID:eyRM9GZ40
1 千雪
792 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 22:15:06.67 ID:rPjYemXB0
1 千雪選択

【第2の島 図書館】

しょうもない道具ばかりがまた溜まってしまったが、あの中学生なら予想外の所に興味を持つだろう。
そう思ってこの前あいつに会った図書館にやってきたが、出会ったのは別の人物だった。


ルカ「よう、読書中か」

千雪「あら、ルカちゃん? ごめんなさい、探してた?」

ルカ「いや、別に。ちょっとぶらついてただけだ……あ、読んでる途中なら別にいい。そのままで」

千雪「ううん。せっかく来てくれたんだもの、お話したいわ」

ルカ「私もただの気まぐれだしな……それなのにお前の邪魔しちまうのは流石に……」

ルカ「それならこうするか、私もここで本を読む。お前もそのままでいい」

千雪「……! 読書会ってこと?」

ルカ「まあな。……でも普段活字なんか読まねーからよ、お前のオススメとかあるか?」

千雪「任せて、ルカちゃんにちょうどおすすめの本があったの! えっと……どこかしら」


本をじっくりと読むなんていつ振りだろうか。
普段身を置かない時間の過ごし方を体験して、なんだか新鮮な気分だ……

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【ココナッツジュース】
【ジャバの天然塩】
【ひまわりの種】
【エプロンドレス】
【新品のサラシ】
【オスシリンダー】
【シルバーリング】
【メスシリンダー】
【トイカメラ】
【ドライビングニトロ】
【第二ボタン】
【蒔絵竹刀】
【絶対音叉】
【七支刀】
【バール】
【オカルトフォトフレーム】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:16:22.67 ID:peTads5B0
1 冬優子
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:19:22.89 ID:eyRM9GZ40
1 第二ボタン
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:19:28.97 ID:peTads5B0
1 冬優子
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 22:23:07.13 ID:peTads5B0
すいません...変な連投しちゃいました。
以後気をつけます
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 22:24:38.52 ID:peTads5B0
自分の分は飛ばしてくださるとうれしいです
ホントにすいません...
798 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 22:28:27.01 ID:rPjYemXB0
大丈夫です!
ちょっとズレちゃっただけだと思うのでお気になさらないでください〜

794の安価を採用しますね

-------------------------------------------------

【第二ボタンを渡した…】

ルカ「お前、裁縫とか好きだったよな? これ、使えんじゃねーのか?二

千雪「あら、ボタン? そうね……お洋服に縫い付けることぐらいはできるけど……これって制服のよね?」

ルカ「ん……まあ、そうだな」

千雪「しかも、これって卒業式に憧れの先輩からもらうものじゃない?」

ルカ「……あ?」

千雪「ふふっ、ありがとう。ルカちゃんの気持ちはちゃんと受け取りました!」

ルカ「待て……なんか変な誤解してねーか? 違うぞ、違うからな……?」

【PERFECT COMMUNICATION】

【親愛度がいつもより多めに上昇します!】

-------------------------------------------------

こいつともよく話をしてきたが、その実こっちはこいつの事を未だよく知らない。
283プロのアイドルということで関わることを避けて来たし、興味もそこまで持たないようにしていた。
アルストロメリアっつーユニットで、双子の姉妹と三人でアイドルをやっているという話だったか。それすらあいまいだ。


ルカ「なあ、お前んとこのユニットの話聞いてもいいか?」

千雪「……? それって、アルストロメリアのことかしら?」

ルカ「ああ、実際あんまよく知らねーんだよ。283のアイドルとまともに関わってこなかった……ていうか共演は避けてたし」

千雪「そうかー、どこからお話しようかな。甜花ちゃんと甘奈ちゃんのことは知ってる?」

ルカ「双子の姉妹だろ? 名前ぐらいは知ってっけど」

千雪「そう、とっても仲良しのきょうだいでね。二人ともお互いのことが大好きみたい」

ルカ「ふーん……」

千雪「この前も二人で買い物に行ったみたいで、甜花ちゃんが甘奈ちゃんのコーデで可愛く大変身してたの!」

(アルストロメリアってのはいわゆる『かわいい』の権化みたいなユニットだ)

(私みたいなやつとは魔反対、共演でもしようもんならソフトクリームにタバスコソースをぶっかけるようなもん。要は水と油ってわけだな)

千雪「それによく一緒に寝てるし……」

ルカ「……ん?」

千雪「そういえばこの前甘奈ちゃんが甜花ちゃんの歯磨きするときの歯ブラシを新しくしたって言ってたっけ……」

ルカ「お、おい待て待て! なんだ……その、そいつら! 双子の姉妹、なんだろ? 双子ってことは年齢も離れてねーし……それに、そんなに幼いわけじゃないだろ?」

千雪「まだまだかわいい高校2年生よ?」

ルカ「十分な年じゃねーか……」

(お、おいどうなってんだ……いくら仲が良いったって度を超えてるだろ……)


1.そんだけ仲良かったらお前の挟まる隙間もないんじゃねーのか?
2.おかしいと思わねーのか?
3.自由安価

↓1
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/18(火) 22:33:31.40 ID:GTGUjbij0
1
800 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 22:43:37.52 ID:rPjYemXB0
1 選択

私があまりコミュニケーションが不得手だということもあるが、そんな二人の間に割り込むなんてまるで想像できない。
ましてやこいつはそこそこ年上と来た。
まるでユニット内部の様子がイメージできない……


ルカ「なあ、その……失礼な言い方かもしれねーけどさ。そんだけその姉妹の中がよかったら、お前の挟まる隙間もないんじゃねーのか?」

ルカ「二人だけで世界が完結するっつーか……」

千雪「あら、そんな風に聞こえちゃった? ふふ、ご心配には及びません。私もその姉妹の一人なんですから」

ルカ「はぁ?」

千雪「かわいい妹二人みたいなものでね、二人ともよく慕ってくれるし……私も二人のことを頼っちゃうんだ」

千雪「別に二人の間をこじ開けたりなんかしなくても、あの二人なら大丈夫。それに、前にも話したでしょ?」

千雪「私たちは、素直に気持ちをぶつけ合える間柄だから」

ルカ「……!」

ルカ「ハッ、いらぬ心配ってわけか」

千雪「ふふっ、ルカちゃんからしたらイメージつきにくいかもしれないけど……年の差があるっていうのも結構いいものなんだぞ」

千雪「アルストロメリアは仲良し三姉妹、今は胸を張ってそう言えるんだ」


……なるほどな、私の物差しが古かったってだけの話か。
美琴と和解する前の私からすれば人と人の間の関係性はもっと格式ばったもので、その線上にない者を拒絶するものだとばかり思っていた。
でも、こいつが教えてくれた自分の気持ちを素直に伝える、それさえあれば別の関係性の結び方もあるってことなんだもんな。

まだ私にはイメージが難しい関係性であることは間違いないが、その一端を掴むことができた。
……そんな気がする。


-------------------------------------------------

【親愛度が上昇しました!】

【桑山千雪の親愛度レベル…7.0】

【希望のカケラを入手しました!】

【現在の希望のカケラの数…22個】
801 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2022/01/18(火) 22:45:53.96 ID:rPjYemXB0
-------------------------------------------------
【ルカのコテージ】


283プロのユニット、前まではまるで興味を持ちもしなかったが今は少し違う。
自分のこれまで知らなかった世界に触れるってのも案外悪くねーもんだな。

……ハッ、すっかり丸くなりやがって。
我ながら滑稽だ。


【自由行動開始】

【事件発生まで自由行動は残り2回です】

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…69枚】
【現在の希望のカケラ…21個】

1.交流する【人物指定安価】※透、雛菜を除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1
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