勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき

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744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:37:17.55 ID:pYa2Z27w0
『勇者の像』


剣士「この石造は大昔の勇者本人なんだって」

女オーク「どうして石造に?」

剣士「不思議だよね?」


スタスタ


剣士「誰か来る…」クンクン

女オーク「え!?」

剣士「…」クルリ

エルフゾンビ「此処に居たか…勇者の子だな?」

剣士「エルフゾンビさん?」

エルフゾンビ「如何にも…お前を数度しか見たことが無かったが…勇者に瓜二つだ」

剣士「良かった…探さないで済んだ」

エルフゾンビ「精霊樹が呼んで居る…付いて来い」

剣士「え!?…精霊樹が僕を?」

エルフゾンビ「精霊樹に呼ばれる意味は分かるか?」

剣士「まさか僕を勇者にするつもり?」

エルフゾンビ「すでに勇者だ…導きを受けるのだ」

剣士「僕の勇者の眼はママが…」

エルフゾンビ「青い瞳の宿命はお前の母が背負った…それだけだ」

剣士「それだけ?…」

エルフゾンビ「来い…」スタスタ

剣士「あ…女オーク!見学は終わりだ…付いて行こう」
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:37:59.37 ID:pYa2Z27w0
『精霊樹』


サラサラ サラサラ


剣士「沢山のエルフに囲まれてる…」

エルフ「…」ジーーーー

エルフゾンビ「すべてのエルフがこの森に集っているのだ」

剣士「エルフの森はどうなって?」

エルフゾンビ「浸食され既に死の森へと化した…この森は最後の砦なのだ」

剣士「知らなかった…」

エルフゾンビ「…これが精霊樹だ導きを受けろ」

剣士「どうやって?声なんか聞こえない」

エルフゾンビ「目を閉じて感じろ…」

剣士「瞑想か…」スッ


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女オーク「え!?どうしてエルフが私に跪いて…」

エルフゾンビ「フフどうやら男エルフ達に気に入られた様だ」

女オーク「エルフに興味無いわ…」

エルフゾンビ「只の儀礼だ…気にするな」

女オーク「どうしたら…」

エルフゾンビ「目を合わせてみろ」

女オーク「…」スッ ドキッ

エルフゾンビ「フフ…」

女オーク「止めて…勝手に心を触らないで」


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746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:38:35.23 ID:pYa2Z27w0
剣士「…」パチ

エルフゾンビ「導きを聞いたな?」

剣士「ぁ…こ…これはどういう事だ?思い出せって何の事だろう…」

エルフゾンビ「混乱して居るのか?」

剣士「僕には森を統べる力が有ると…導きを思い出せって…何の導きなのか…」

エルフゾンビ「白狼の血脈も受け継いでいるのだ…その記憶の事では無いのか?」

剣士「僕が森を守るという事?」

エルフゾンビ「精霊樹は助けを求めているのだ…恐らくお前にしか出来ない」

剣士「命の種子は夜に運ばれる…闇に光を照らしてって…意味が分からない…どうすれば良いの?」

エルフゾンビ「それはお前が答えを見つける事だ…一つ分かるのは命の種子と言うのは精霊樹の花粉の事」

剣士「花粉は夜に運ばれる…闇に光…月の事か?」

女オーク「剣士?エリクサーの事は伝えた?」

剣士「伝えたよ…でも返事が無い」

エルフゾンビ「ほう?…察するにエリクサーを求めに来たな?」

剣士「うん…ホム姉ちゃんを蘇らせる為にエリクサーが樽で4〜5杯必要なんだ」

エルフゾンビ「今何と言った!?ホムンクルスが蘇るだと…時代の節目はまだ先だと言うか!!」

剣士「えーと話しが掴めない…時代の節目って何?」

エルフゾンビ「お前はアダムという神が復活したのは知って居るな?」

剣士「うん…」


我々エルフはアダムと決別し精霊樹を主として生き永らえている

アダムは新たな森を構築し始め我々エルフは追い出されたのだ

精霊シルフが滅び新たなアダムという神の下

新時代を受け入れたつもりだがアダムはそれを許さなかった

精霊樹の森を侵食し始め我々は窮地に立って居る

その最中お前がこの森へ訪れ…今…精霊を蘇らせると言う
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:39:02.19 ID:pYa2Z27w0

エルフゾンビ「分かるか?我々の敵はアダムだ…新時代はまだ来ていない」

剣士「僕が思って居る事と同じだ…やっぱりそういう事なんだね…」

エルフゾンビ「お前はそれを知りながらここに訪れたと?」

剣士「今は時期尚早だって僕の爺いじが言ってる」

エルフゾンビ「尚早?何故?」

剣士「あの光る隕石だよ…ミサイルって言ったっけ…あれを封じる事が出来るのはホム姉ちゃんだけさ」

エルフゾンビ「ふむ確かに…」


ズゴゴゴゴ ドーン


エルフゾンビ「聞いたか?御所への通路を精霊樹が開いた…エリクサーの許可が出た様だ」

剣士「ハハやった!!返事が無いからダメかと思った」

エルフゾンビ「樽はどこだ?」

剣士「飛空艇に乗せてある…ここまで乗って来ても良い?」

エルフゾンビ「急げ…日が暮れると森の浸食が始まる」

剣士「女オーク!ここで待ってて?僕一人で走った方が早い」

女オーク「分かったわ…気を付けて」


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748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:39:45.79 ID:pYa2Z27w0
『精霊の御所_入り口』


サラサラ サラサラ


女オーク「エルフの子供まで…」

エルフゾンビ「珍しいだろう?エルフの森以外では滅多に見る事が無い」

女オーク「触っても?」

エルフゾンビ「さぁな?エルフは肌の触れ合いは好まんのだが…」

女オーク「…」ナデナデ

エルフの子供「…」ジー

女オーク「反応が分からない…」

エルフゾンビ「目を合わせて見ろ…感じるんだ」

女オーク「…」スッ ギク

エルフの子供「…」ジー

女オーク「こ…こんにちは」タジ

エルフの子供「…」ジー

エルフゾンビ「フフ性が合わんか?近づいて来るという事は好かれて居るのだぞ?」

女オーク「私はオークよ…どうして?」

エルフゾンビ「匂いだな…エルフは目で物を見ない…空気で物を見る」

女オーク「どんぐり食べる?」スッ

エルフの子供「…」カリ モグ

エルフゾンビ「そういう所が好まれる」

エルフの子供「…」ジー

女オーク「表情で気持ちが読み取れない…」


こういう事なのね

エルフに好かれても私はエルフを好きになれない

オークは人間が好きなのに人間に好かれない

剣士はとっても分かりやすい…だから好き


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ギャオーーーース バッサ バッサ ドッスーーーン


女オーク「ドラゴン…大きい」タジ

エルフゾンビ「初めて見るか?」
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:40:14.52 ID:pYa2Z27w0
タッタッタ


剣士「飛空艇持って来たよ…途中でドラゴンが寄って来てびっくりした」タッタッタ

エルフゾンビ「もうすぐ日暮れだ…今日はもう飛空艇で飛べないと思え」

剣士「戦いが始まるの?ドラゴンは森を守る為に来た?」

エルフゾンビ「そうだ…我々の戦いを見て行くか?」

剣士「見て行くかって…それしか選択が無いじゃない」


地上はスライムとスプリガン…マンイーター

上空にアルラウネとその種子…他にも幾多の胞子が飛ぶ

それらをすべて焼き払う

特にケシの種子はいつの間にか増えるから完全に焼く必要がある


剣士「飛んで来る種子を全部焼くなんて無理過ぎる気が…」

エルフゾンビ「風を使って巻き上げるのだ…そして焼く」

剣士「ボルケーノか…」

エルフゾンビ「風が止む凪の時に戦いが始まる…その前までにエリクサーを飛空艇に積んでおくんだ」

剣士「フフ…僕達も加わらせるつもりだね?」

エルフゾンビ「森の全域を守る大変さは分かるな?」

剣士「僕に何が出来るかな?…僕は高位のエレメンタル魔法は苦手だ」

エルフゾンビ「マンイーターが大型で厄介なのだ…突然地面から現れる…少しでも戦力になれば助かる」

剣士「おけおけ!地上専門ね」

エルフゾンビ「エルフの戦い方は分かるな?」

剣士「森の声だね?」

エルフゾンビ「それを知って居れば良い…早くエリクサーを運んで備えろ」

剣士「うん!」


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750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:40:48.09 ID:pYa2Z27w0
『浸食』


ドコーーン ドコーーン


剣士「始まった…トロールが動き出した」

女オーク「北東ね…ドラゴンがブレスを吐き始めた」

剣士「走る事になる…付いて来てね?」

女オーク「うん…」

剣士「ウルフ!先導お願い」

ウルフ「ワフ!!」シュタタ

剣士「付いて行くよ…」シュタタ


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剣士「見つけた!スプリガン!」

女オーク「私が行く」ダダダ

剣士「サンドワーム来い!スライムは任せる!」


モゾモゾモゾ バクリ


女オーク「てやぁ!!」ブン ザクリ


スプリガン「キシャァァァ…」ブーン ブンブン


女オーク「虫?」

剣士「蝿虫!従え!」ブーン

剣士「今の内に止めを!」

女オーク「フン!」ブン グサ

剣士「よし!燃やす!火炎魔法!」ボボボボ

女オーク「剣士に虫がどんどん集まって…」

剣士「ハエは全部使役してる…スプリガンはどんどん倒して行こう」

女オーク「私が倒して剣士が燃やすのね?」

剣士「そう…魔石は後で拾う」

女オーク「分かったわ…次のスプリガンを探しましょ」ダダ

剣士「東側!ボルケーノが3つ立ってる」

女オーク「これ朝まで続くのかしら…」

剣士「その様だね…行くよ」シュタタ


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751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:41:24.84 ID:pYa2Z27w0
ギャオーーース ゴゥ ボボボボ


剣士「アレか…あれがマンイーターだ!!」

女オーク「大きい…」フラ

剣士「ん?」クンクン

女オーク「どう…するの?…」フラ

剣士「睡眠の息を吐くのか…ちぃぃ厄介だ!女オーク…一旦下がる」グイ

女オーク「どうし…たの?…」フラ

剣士「だめだもう寝てる…ウルフ!!女オークを守って」

ウルフ「ガウガウ…」グルルル

剣士「…どうする?大きすぎてサンドワームでは食らえない…」


シュンシュンシュン ストストスト


剣士「あれじゃ倒せない…なるほどドラゴン頼みになるから厄介なのか」

剣士「数で行くしか無いな…蟲達よ従え!マンイーターを食らえ」ザワザワ


ブーン ドヨドヨドヨ


剣士「女オーク!起きて!!」ペシペシ

女オーク「ハッ!!…」キョロ

剣士「気は確かかい?」

女オーク「私どうして?」フリフリ

剣士「マンイーター睡眠の息を吸ったんだ」

女オーク「マンイーターは!?」

剣士「まだ倒せて居ない…蟲をけしかけたけど食らうのに時間が掛かりそうだ」

女オーク「剣士のどんぐり銃で木に変えてみては?」

剣士「おおお!!ソレだ…」チャキリ 


ターン ターン


剣士「成長魔法!」ニョキニョキ

女オーク「干からびたマンイーターだけ燃やせる?」

剣士「根が邪魔だ…切り倒して」

女オーク「任せて!!」ダダダ


コーン コーン メリメリ ドッスーン


剣士「根っこを切って!!」

女オーク「フン!」ザクン ザクン

剣士「火炎魔法!」ボボボボボボ

女オーク「大きな魔石が一つ見えるわ?」

剣士「お!?収穫したい」

女オーク「他のスプリガンは私に任せて…剣士は魔石を」ダダ


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752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:42:33.88 ID:pYa2Z27w0
『暁の空』


ギャオーーース ゴゥ ボボボボボボ


剣士「風向きが変わった…」

女オーク「強い魔物はマンイーターだけでもこれを毎日続けるのは辛そう」

剣士「エルフが沢山居るのに窮地になってる意味が分かった…敵が多すぎる」

女オーク「戻りましょ…」

剣士「あ!魔石拾って行かないと」

女オーク「場所覚えてる?」

剣士「マンイーターの場所だけだね…それだけでも随分な収穫だよ」

女オーク「じゃぁ魔石4つね?」

剣士「うん!取りに行こう」シュタタ


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753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:43:04.13 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


フワフワ


エルフゾンビ「未来!行く前に一つ質問だ」

剣士「ん?何?」

エルフゾンビ「マンイーターにどの様して木を生やす?エルフが知りたがっている」

剣士「あーあれはね…どんぐりをマンイーターに打ち込んで成長魔法で育てるんだよ」

エルフゾンビ「なるほど…エルフにも出来るな」

剣士「弓で打ち込んじゃえば良いね?」

エルフゾンビ「これで持ちこたえられる…我々の厳しさは理解してもらえたな?」

剣士「毎日はさすがにキツイね」

エルフゾンビ「ホムンクルスが蘇った暁には出来るだけ早く導きを貰いたい」

剣士「うんホム姉ちゃんに状況を話しておく」

エルフゾンビ「それから精霊樹の導きも忘れない様にな?」

剣士「分かったよ…一つ僕からも質問が有るんだけど」

エルフゾンビ「何だ?」

剣士「エルフゾンビさんが戦う理由は精霊樹を守る事だけ?」

エルフゾンビ「…」ジロリ

剣士「答えられない?」

エルフゾンビ「何故その質問をするのだ?」

剣士「エルフゾンビさんから何か闇を感じる…不死者だからと言うのじゃ無くて」

エルフゾンビ「私が戦っている相手はドリアードになった私の弟なのだ…違うな私の分身と戦っている」

剣士「ドリアードになった…か…救いたいんだね?」

エルフゾンビ「フフ聞くな…早く行け」

剣士「理解したよ…じゃ行くね」グイ


シュゴーーーーー バサバサ


エルフゾンビ「…」---そうだよ未来---


私の身代わりとなりすべてを背負った弟を救いたい

私は死んでも死に切れないのだ


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754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:44:28.27 ID:pYa2Z27w0
『暁の墓所』


分かった事を時系列で説明するわ…

約4000年前に起きた地軸の移動…この時に壊滅的な破壊が起きて人類はほぼ滅亡

その中で唯一生き残った種が耐環境性のあるオークの種族

それまで彼らは今で言う南の大陸に住んで居たの…恐らくウンディーネと共に

その後北の大陸へと進出を始めこの暁の墓所の東側…未踏の地で一時代を築いた

これが約3500年前…

そしてウンディーネはシルフと名を変え今で言うエルフの森に移り住む

そこでオークの遺伝子と類似したエルフを生み出した

エルフは魔法を巧みに操り森を拠点として繁栄する

エルフの協力を得た精霊シルフは森の北部にドリアードを生成して管理する者として小人のノームを生んだ

ここが約3000年前…

ノームの器用さを用い失われた古代技術を復活させた精霊シルフは

超高度AIを複製してアダムを復活させようとするが

魔王に乗っ取られて失敗し…再び世界は滅亡の危機

ここで危機を救うのがこの地の東に栄えたオーク達

彼らは呪術で虫を操りドリアードを封じる事に成功したがノームは滅びる

恐らく2500年程前ね…

一旦平和になった世界でエルフとオークはそれぞれに繫栄して時代を築く最中

その恩恵を受けたのが温暖な海付近に少しだけ残って居た人間達

彼らは環境の良いエルフの森周辺で新たな文明を築き始め力を付けた

そして事件が起きる…エルフが持つ祈りの指輪を奪い人間の魔術師が台頭

魔術によって人間達が急速な発展をして時の王の時代に至る

ここが約1700年前…

この時代に起きたのが北の大陸の東側に位置していたオーク達が滅んだ事

時の王と暁の使徒が手を組み東のオークを退けた

なぜか?


情報屋「答えは勇者の刀…オーク達が宝具として所持していた刀を奪って聖剣エクスカリバーを生む為」

魔女「…ではオーク達が初めから勇者の刀を持っておったと言う事じゃな?」

情報屋「そう…ここからは憶測だけど勇者2人は4000年前よりさらに過去に遡ってオークに託したと思うわ」

魔女「つまりこの墓所にあった暁の使徒は勇者では無く他人じゃという訳か」

情報屋「多分勇者の命を受けた予言の守り人ね…不明な点が多いから確かな事は言えないわ」

魔女「黄昏の賢者について何も分からんのか?」

情報屋「ここから先は時の王の証言のまとめだから確証は無いけれど…」
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:45:14.37 ID:pYa2Z27w0
暁の使徒と黄昏の賢者はどうも恋仲だったらしいわ

暁の使徒は人間の男…そして黄昏の賢者はオークの女

暁の使徒が東のオークを攻め立てる最中二人は関係を持った

処女を失った黄昏の賢者は力を失い

暁の使徒はオークを退け勝者となった

二人は駆け落ちをした形

そして黄昏の賢者はオークを裏切った形

その後暁の使徒は時の王と接触し協力関係を得る

でもこれに黄昏の賢者は猛反発して別れた

ここから第2期と呼ばれる魔王との戦いが始まる


魔女「黄昏の賢者はオークシャーマンの可能性が高かったな?」

情報屋「多分そうね」

魔女「ミイラとなった恋人を連れ去ったと言う事じゃが…何故じゃと思う?」

情報屋「分からない…蘇らせるとしても今になって何故?という疑問が残る」

魔女「わらわはこう思う…失った力を取り戻す為じゃ…死霊術に屍を食らう術が有るのじゃ」

情報屋「なるほど…話が通りそう…」

魔女「読めたぞよ?黄昏の賢者は3000年前と同じ様に虫を操りドリアードを封じたいのじゃ…力を求めて居る」

情報屋「南の大陸に居るオークがどうして?」

魔女「予言じゃ…予言に従って居るのじゃ」


よう考えてみぃ

勇者らは3000年前のドリアードがどういう惨状を生んだか知って居る

じゃからわらわ達の時代に復活したドリアードを再度封じるための予言を残したのじゃ


情報屋「そういう事ね…ドリアードをどう倒すのか私達は知ってる…それは伝説を通じた予言なのね?」

魔女「イカンな…このままでは未来が先走ってしまうな」

情報屋「未来君が蟲使いの道を選んだのも…」

魔女「勘でどうすれば良いか知って居るからじゃ…何年も前に未来は感じて居る…事の異常に」

情報屋「連絡取れないのがもどかしいわ」

魔女「先回りで待つしか無いのぅ…さてどうするか…」


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756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:45:42.56 ID:pYa2Z27w0
『セントラル海岸』


ザザー ザブン


剣士「よし!飛空艇隠すよ?ハイディング!」

剣士「女オークはセントラル来るの初めてだよね?」

女オーク「初めて…」

剣士「今晩はここの宿で一泊しよう…」

女オーク「どうして寄って行くの?」

剣士「様子を見ておきたいのと…線虫だよ…夜中に僕の蟲を放っておきたい」

女オーク「病を治してあげたいのね?」

剣士「うん…あと昨日は一睡もしていないし…この間の続きもあるじゃない?」

女オーク「続き?…ウフフ」

剣士「あ!そうそうこの国は武器を持ち込めないから飛空艇に置いて行って」ゴトリ

女オーク「わかったわ」

剣士「ウルフ!飛空艇の番をお願い!明日の朝には戻るから食事は自分で何とかして」

ウルフ「ガウ!!」

剣士「じゃぁ行こうか!」

女オーク「本当に武器は要らないの?」

剣士「僕はデリンジャーだけ持って行く…どんぐり銃のおもちゃに見えるからね」

女オーク「じゃぁ私は一応ナイフだけ持って行くわ」

剣士「おけおけ!行こう」グイ


タッタッタ
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:46:12.09 ID:pYa2Z27w0
『貧民街』


ガヤガヤ ガヤガヤ


剣士「ここは住まう家の無い人が集ってる区域だよ…ほらみんなテントで横になってる」

女オーク「焚火を囲んで食事するのね」

剣士「ちょっとしたキャンプだね…結構みんな黒死病に掛かって居そうだなぁ…」

女オーク「そうみたいね…」

剣士「僕のママは昔ここに住んでた事があるらしいよ」

女オーク「剣士はそれを見に来たかったのね?」

剣士「まぁね…」

女オーク「何か感じる?」

剣士「臭いなぁ…下水の匂いと海の匂いが混ざった独特の匂い…行こっか!」グイ



『中央広場』


ガヤガヤ ガヤガヤ

ヤスイヨー カッテネー オイシイヨー

キ・カイ産の謎のアクセサリーお得だぜぃ?ほら買った買ったぁ!

魔石有るよ?秘密ルートの魔石さ…コレ偽物じゃないよ


剣士「…ここは露店が集まってる場所だよ…ちょっと買い物して行こう」

女オーク「うん…」

剣士「僕は種が見たいんだ…君も好きな物買い物してごらん?」

女オーク「私は欲しい物が無いわ…」

剣士「じゃぁコーディネートしようか?このボロ雑巾みたいなフードとマントを変えよう」

女オーク「これで良いのに」

剣士「ダメだよ…金貨5枚あったでしょ?お金は使うために有る…皆生活掛かってるからどんどん使わないと」

女オーク「それもそうね…」

剣士「よーし!どうするかな…白狼の装備にしてみよっか?」

女オーク「目立ち過ぎない?」

剣士「どうせ汚れるからイーのイーの!コレ2つ頂戴!!」

雑貨屋「アイヨー!2つで銀貨20枚!」

剣士「おけおけ…」ジャラリ

雑貨屋「マイドー!要らん装備引き取るよーウヒヒ」

剣士「ホラ?着替えて?」ファサ

女オーク「何の毛皮?」

剣士「何だろね?シーサーかな?他にも見よう!」グイ


こんな風に買い物したっけ

丁度夕方のこれくらいの時間


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758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:46:44.76 ID:pYa2Z27w0
『宿屋』


カラン コロン


店主「いらっしゃいませ…お二人様で?」

剣士「2階の角の部屋空いてるかな?」

店主「そのお部屋はお高いですがよろしいですか?」

剣士「いくら?」

店主「お二人で銀貨20枚です」

剣士「おっけ!」ジャラリ

店主「ではご案内致します…こちらへ」



『部屋』


ガチャリ バタン


剣士「ふぅぅぅ水浴びしたら後で酒場にでも行こうか」

女オーク「私先に浴びて来るわ…」

剣士「ゆっくりで良いよ…酒場行くにはまだ早いし」

女オーク「うん…じゃ…」ガチャリ バタン

剣士「…」---この部屋だ---


ママと泥棒みたいな生活で

いつも誰かから逃げて

落ち着く場所は無かった

でも充実してた


剣士「…」ファサ


こうやってフードの隙間から隠れて覗く世界

僕はこの世界が好きだ

これが人間の世界

無くしたくない世界

僕が守る世界

人間の中の魔王を許容する世界

バランスした世界
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:47:25.70 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

ねぇ聞いた?いつもここに来てたあの豪族…殺されたらしいわ?

ええ!?誰に?ヒソヒソヒソ…

お〜い!酒くれぇ!!

なんだよ良いだろパフパフさせてくれよ


マスター「いらっしゃいませ…お二人様で?」

剣士「うん…席は空いてなさそうだね」

マスター「カウンターでよろしければ」

剣士「おけおけ!えーとセントラル名産はエール酒だっけな…2杯お願い」

マスター「かしこまりました」

剣士「あとオリーブとブドウが欲しい」

マスター「合わせて銀貨10枚になります」

女オーク「はい…」ジャラリ

剣士「酒場には女の人が結構居るんだ…」

マスター「手を出すと豪族に目を付けられるのでご注意を…」

女オーク「セントラルは女性がとても少ないわね」

剣士「なんか活気に欠けるよね」

マスター「女性はフィン・イッシュに拉致されたままほとんど帰って居ないのですよ」

剣士「拉致?保護されたんじゃなかったっけ?」

マスター「帰って来ていれば保護だと言われたのかも知れませんがねぇ…」

剣士「そうだったんだ…それもセントラルとフィン・イッシュが関係悪い原因ぽいね」

マスター「お客さんは傭兵か何かで?」

剣士「只の旅人だよ」

マスター「未だに西の国境付近では小競り合いをやって居るそうですので陸路は止めた方が良いですよ」

剣士「ところで港に沢山の船が停泊してるけど何だか分かる?」

マスター「豪族の船ですね…大半は貴族居住区の方で飲んで居られるかと」

剣士「じゃぁこっちに居るのは下っ端ばっかりなのか…道理で」

マスター「ハハ大きな声で言うと聞こえてしまいます」


ワイワイ ガヤガヤ

俺は気に入ら無ぇんだあの好かした豪族がよぅ…どーにかして引きずり降ろしてやりてぇ

貴族側にテコ入れするのはどうだ?

どうやってよ?

ヤクを横流しするんだ…豪族の船に乗せるヤクを横流しすんのよ

ほう?豪族がマイナス1で貴族がプラス1…その差は2って寸法だな?お前賢いな…



剣士「女オーク聞こえてる?」

女オーク「なんかバカな話ね」

剣士「豪族の人達ってどこに行っても同じような文句を言ってるよね…懲りない人達だ」

女オーク「アレはアレで可愛い…」

剣士「ハハハオークにはそう見えるのか…ヤレヤレだよ」
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:48:20.71 ID:pYa2Z27w0
『路地裏』


ズルズル


乞食「お金を…お金を恵んで下せぇ…銅貨1枚で良いんで」ズルズル

女「薬を…薬を持っていませんか…ひぃぃぃぶたないで」ガクガク

男「はぁぁぁ天国だ…天国が見える…ケシの花が咲く天国がぁぁぁ」バタバタ


剣士「…」チャリン


乞食「ありがとうございます…あなたは神様です…」ヨロ

剣士「…」

女オーク「…」

剣士「ラクにしてあげるからね…線虫!」ザワザワ ニョロ


ザワザワザワ ニョロ


剣士「行こうか…」グイ

女オーク「…」


タッタッタ


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761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:48:56.04 ID:pYa2Z27w0
衛兵「そこの2人待て…止まれ」

剣士「え!?僕?」

衛兵「今何をした?」

剣士「いえ何も…」

衛兵「フードを脱げ…顔を見せろ」

剣士「んぁぁ…」ファサ

衛兵「お前もだ」

女オーク「…」ファサ

衛兵「…」ジロジロ

剣士「僕達何もして居ないよ」

衛兵「麻薬密売の現行犯だ…大人しくしろ」

剣士「ちょちょちょ…違うよ」

衛兵「持ち物を見せるんだ」グイ

剣士「ちょっと待って!違うったら…」

衛兵「魔石を大量に所持…種も…これは何だ!」

剣士「返してよ」グイ

衛兵「ピーーーーーーーーー」

剣士「笛?」---マズイなコレ---

衛兵「魔石の密輸容疑で拘束する!!大人しくしろ!!」

剣士「女オーク?」チラ

女オーク「…」コクリ

衛兵「何をする気だ?」

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

剣士「迷ってない?」

女オーク「見える…」

剣士「ちょっと遊んで行こう…こっちだおいで」グイ

女オーク「うん…」タッタッタ


ピーーーーーーーーーー
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:49:25.39 ID:pYa2Z27w0
『貴族居住区』


タッタッタ


剣士「はぁはぁ…ここまで来れば安心だ」

女オーク「剣士まさか泥棒するつもりなの?」

剣士「違うよちょっと様子見たいだけさ…かくれんぼだよ」

女オーク「豪族の様子が知りたいのね?」

剣士「まあね?どんな人が豪族のお偉いさんなのか知りたく無い?」

女オーク「興味無いわ…」

剣士「まぁかくれんぼだと思って付き合ってよ」

女オーク「何処に行くつもり?」

剣士「屋根に上ろう…そこで隠れて遠くから見るだけ」

女オーク「悪い事はダメよ?」

剣士「分かってるって…こっち!」シュタタ




『屋根の上』


剣士「リリースするよ?リリース!」スゥ

女オーク「リリース!」スゥ

剣士「フフ見える見える…」

女オーク「さっきの路地の方で騒いでるわね?」

剣士「あっちは放置だ…貴族居住区は結構女の人居るよ…見て」

女オーク「その様ね…」

剣士「へぇ…あちこちで食事会やってるんだ…こっちの方が楽しそうだ」

女オーク「あの中に入りたいの?」

剣士「そういう訳じゃ無い…皆楽しんでるなってさ」

女オーク「貧富の差ね…」

剣士「うん…豪族が富を持ってる…向こう側も見て見よう…こっち!」シュタタ
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:49:57.34 ID:pYa2Z27w0
『とある貴族の建屋』


剣士「ここが一番大きそうだ」

女オーク「中庭で食事会…」

剣士「どの人が豪族のお偉いさんなんだろう?」


---------------


助かるでやんすよ…もし捕らえたら高額の報酬を出しやす

何処に潜伏しているか情報は無いのか?

セントラル沖っすね…多分海士島辺りで隠れて補給してると思うでやんすが中々見つからんのです

海賊王の娘も今じゃ落ちぶれだ…噂じゃ殆ど仲間を失ったと聞く

実はですねぇ…海賊王の娘の船には秘密があるんすよ…それを奪えばあっしの出す報酬よりも儲かりやすぜ?

それは頂いて良いんだな?

好きにしてくだせぇ…あっしは海賊王の娘を捕らえたいだけなんでやんす…あの女は最高の体を持ってるすからねぇウヒヒ


---------------


剣士「…」---嫌な事聞いちゃった---

女オーク「剣士?…あの話もしかして…」

剣士「ローグさんは豪族になったんだよ…ビッグママを捕らえようとしてる」

女オーク「…」

剣士「気分が悪くなった…行こう」シュタタ


---------------
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:51:04.92 ID:pYa2Z27w0
『貴族特区_一番大きな屋敷』



女オーク「この屋敷は?」

剣士「昔ここに泥棒に入った事があるんだ…直ぐに見つかって逃げたんだけど気になる物が一杯あってね」

女オーク「盗むのはダメよ?」

剣士「見るだけ…それなら良いでしょ?」

女オーク「見るだけよ?」

剣士「うん…屋敷には誰も居なさそう…こっち!裏の2階から入れる」シュタタ



『屋敷の中』


剣士「誰も住んでる気配が無い…」

女オーク「でも片付いてるわ?」

剣士「見て…壁に掛かってる画」

女オーク「全部ウンディーネ?」

剣士「ホムンクルスっていうお姉ちゃんだよ…多分ウンディーネと同じ人」

女オーク「これが気になる物?」

剣士「うん…昔はこれが誰だか分からなかったんだよ…今見てホム姉ちゃんだと確信した」


ドスドスドス


剣士「ハッ!!」

ラットマンリーダー「がおおおぉぉ」ドシドシ

剣士「マズイ!見つかった!女オーク逃げるよ!!」

ラットマンリーダー「がうっ!」ブン

女オーク「先に走って!」ガシ

剣士「付いて来て!!窓から飛び降りる」シュタタ

女オーク「…」ダダ


ピョン ガチャーン!!
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:51:30.66 ID:pYa2Z27w0
剣士「うわ!…もう一体居る!」シュタ

女オーク「走って!!」ピョン スタ

ラットマンリーダー「がおおおぉぉ」ドシドシ

剣士「くそぅ…」チャキリ


ターン!!


剣士「成長魔法!」ニョキニョキ

女オーク「急いで!!」ダダ


衛兵「泥棒だ!!ピーーーーーーーーーー」


剣士「ハイディングしながら屋根伝いに帰るよ?行けるね?」タッタッタ

女オーク「付いて行くわ!」タッタッタ

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ


衛兵「居住区全域封鎖しろぉ!!ピーーーーーーーーー」


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766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:51:57.34 ID:pYa2Z27w0
『宿屋_2階の角部屋』


ガチャリ バタン


剣士「遠回りしたけど無事に帰って来れた…楽しかったね?」

女オーク「いつもこんな事してたの?」

剣士「もう昔話だよ」

女オーク「ウフフ…」

剣士「さて!!この間の続きしよっか」

女オーク「待って…今度は私が上」

剣士「君重いんだよね」

女オーク「これは命令…剣士は私の奴隷なの」

剣士「じゃぁ交代交代で行こう」

女オーク「それから終わっても抜いたらダメ…朝まで繋がりっ放し」

剣士「そんな…終わらないじゃ無いか」

女オーク「命令」

剣士「君はエッチな体してるなぁ…」

女オーク「ウフフ…来て」


ドタン バタン ドスドス

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767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:52:30.84 ID:pYa2Z27w0
『翌朝』


チュン チュン


女オーク「剣士!?起きて…」

剣士「んん?」パチ

女オーク「外が騒がしいわ?衛兵がうろついてる…」

剣士「アハハ何も盗んで無いのに」

女オーク「もうすぐこの宿屋にも来る…」

剣士「おっけ!移動しよう…窓開けるからハイディングしたまま飛空艇まで行こう」

女オーク「そうね…」ヨロ

剣士「君フラフラじゃないかw」

女オーク「大丈夫…体力は全快」

剣士「それなら良いけど…じゃぁ窓開けるよ?」


ガラガラ


剣士「ちょっと待ってね服着るから…」ゴソゴソ

女オーク「早く…もう来るわ」

剣士「おっけ!ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

剣士「行こう!!」ピョン クルクル シュタ

女オーク「…」ピョン ドスン


タッタッタ
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:53:57.07 ID:pYa2Z27w0
『海岸』


ウゥゥゥゥ ガルルル


女オーク「近くに誰か居るわ…」

剣士「フード深く被って」

女オーク「どうするの?」

剣士「見つかっちゃったか…あれはローグさんだ」


スタスタ


ローグ「やっぱり未来君だったでやんすね?この辺に気球を隠してると思っていやしたが…」

剣士「…」ジロ

ローグ「あのウルフが居て近づけんでやんすよ」ガルルル

剣士「ローグさん豪族になったんだね…尊敬していたのに残念だよ」

ローグ「いやいやこれには訳があるんす」

剣士「聞きたく無いよ…ビッグママをローグさんに渡さないから」

ローグ「そら誤解っすね」

剣士「ビッグママの体が欲しいんでしょ?聞いちゃったんだ」

ローグ「あらららら…体が欲しいのは本当なんすが…」

剣士「どいて…」チャキリ

ローグ「ちょちょちょ…デリンジャーは反則っす!」ダダダ グイ

剣士「うっ…」タジ

ローグ「こうしないと話聞いてくれやせんよね?」

剣士「撃ちたく無いんだ…僕の事は放って置いて」

ローグ「未来君は甘いっす…その甘さが命取りになりやすぜ?」


ターン


ローグ「おわぁっ!あぶっ」ドタ

剣士「女オーク先に飛空艇に乗って」

女オーク「うん…」タッタ

ローグ「ちっと話を聞いて欲しいんすが…」バサッ ダダ

剣士「うっ!!砂…」チャキリ 


ターン ターン


ローグ「あだっ!!くぅぅぅぅ」

剣士「サヨナラだよ…動かないで…又撃つよ」チャキリ

ローグ「未来君違うんすよ…あっしが豪族になったのには訳があるんす」


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「…」---僕知ってるんだ---


ローグさんがビッグママを酔わせて体にイタズラしてた事

今何言われても信用できないんだ

なんか…大事な物を無くした気分だよ
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:56:14.30 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「女オーク!ナイスタイミングで飛んだね?」

女オーク「剣士の行動が分かるようになって来たから」

剣士「じゃぁ次何処に行きたいか分かる?」

女オーク「当てたら私の奴隷って認める?」

剣士「いやいや…それとこれとは話が別だよ」

女オーク「認めたく無いの?」

剣士「認めるも何も君は僕の奴隷だよ…何回も言うようだけど」

女オーク「当てたら認めてね?…行き先は海士島よ」

剣士「う…」

女オーク「ウフフその顔…」

剣士「違うよ行先は名も無き島さ…」

女オーク「はい!海士島に向かいます」

剣士「行きたいなら行っても良いけどさ…」

女オーク「あなた顔が分かりやすいのウフフ」

剣士「もう何て言うのかな…僕より強いからって偉そうなんだよね」

女オーク「言う事聞いて…奴隷は命令に従えば良いの」

剣士「まぁ良いや君が操縦してね」プイ


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770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/19(金) 22:58:02.05 ID:pYa2Z27w0
『海士島上空』


シュゴーーーー バサバサ


女オーク「見つけたわ…あの船が停泊してる島よきっと」

剣士「ふ〜ん…」

女オーク「剣士まだ拗ねているの?」

剣士「僕は奴隷だから大人しくしてるだけさ」シラー

女オーク「もうあなたって…分かったわ…言う事聞いてあげるから」

剣士「アハハハ言ったね?とうとう僕の奴隷だと認めたね?最初から素直に認めれば良いのさ」ズイ

女オーク「私は大人しくしているわ…」ストン

剣士「おけおけ!操縦は僕やるよ」グイ

女オーク「困った奴隷ね」

剣士「拗ねてる?」

女オーク「拗ねてなんか居ないわ?懲らしめる方法を考えてるの」

剣士「フフよし!あそこの林に飛空艇隠そう」


-----------------


『広場』


ワイワイ ガヤガヤ


剣士「女オーク!フード深く被ってね」ファサ

女オーク「うん…でもどうして?」ファサ

剣士「君の背格好はビッグママにそっくりなんだよ」

女オーク「私を囮にしているの?」

剣士「豪族達がどんな反応をするのか見たいんだ…大丈夫!君は僕の奴隷だからちゃんと守ってあげる」

女オーク「ウフフしっかり守って?」

剣士「今お金いくら持ってる?」

女オーク「金貨3枚よ」

剣士「おけおけ十分…ここの露店色んな物が売ってて面白い…見て行こう」スタ


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771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:58:32.03 ID:pYa2Z27w0

御札屋「らっしゃい!お札に興味あるかい?」

剣士「コレ何?初めて見た…」

御札屋「ご利益のあるオークのお札だ…珍しいだろう?ちぃーっと値が張るがどうする?」

剣士「沢山種類がある…全部同じ?」

御札屋「良い所に気付いたね?コレが魔除け…コレが虫除け…コレが水除け…まぁ色々だ!」

剣士「1枚いくら?」

御札屋「高いぞぉ?1枚銀貨20枚…さぁどうする?」

女オーク「剣士?これ全部本物よ?どうしてこんな物が…」

御札屋「そりゃ本物よ…裏ルートで入手したオークのお札…他では売って無いぜ?」

剣士「研究したい…全種類欲しい」

御札屋「ほぉぉぉこりゃ良いお客さんだ!12枚で銀貨240枚…ええと金貨にすると…」イチニーサン

剣士「女オーク金貨お願い」

女オーク「…」チャリン ジャラジャラ

御札屋「毎度ぉぉ!!ほら持って行きな」パサ

剣士「紙切れに金貨2枚も必要かぁ…高いなぁ」

御札屋「そう言いなさんな…ここでしか売って無い珍しいお札だ…ご利益あるぜぃ?」


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剣士「あと残り金貨1枚と僕の持ってる銀貨20枚…贅沢出来なくなっちゃた」

女オーク「そのお札はオークシャーマンしか作れない物なの」

剣士「そうなんだ?ここで売ってるという事は繋がりがあるんだね」

女オーク「普通は体にタトゥーを入れるのよ?紙だとどのくらい効果あるのか…」

剣士「いや研究したいだけだよ…呪術ってあんまり知らないからさ」

女オーク「それなら良いわ…」

剣士「じゃぁ宿屋取って酒場にでも行こう」

女オーク「うん…」
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 22:59:18.58 ID:pYa2Z27w0
『海の酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

見ろ…カウンターに座ってる2人…女の方は多分海賊王の娘だ

なにぃ!!よく確認しろ

あんなデカイ女そうそう居るもんじゃ無い…どうする?

船だ…何処に船を隠してるか後を付けて確認するぞ

しかし…キ・カイに居るという話はデマだったのか?

タイミングが悪いな…向こうに数隻行った後だ

拿捕かけるには人手が足りんか…俺らだけで行っても返り討ちがな

兎に角見張って様子を探るぞ

ワイワイ ガヤガヤ


剣士「いやぁぁ君は人気者だね?」グビ

女オーク「私じゃ無いわ」ゴク

剣士「最近思うんだ…君を独り占め出来てる僕は幸運だなってさ」

女オーク「ウフフそう言って貰えて嬉しい…今晩もする?」

剣士「勿論!その為にわざわざ宿に泊まってるんだ…ウルフに見られたく無いからね」

女オーク「嬉しい…」ニコ

剣士「でも僕達さ?エッチばっかりしてるけど中々赤ちゃん出来ないね…僕の種もダメかもしれない」

女オーク「気にしないで?いつかその内…」

剣士「じゃぁそろそろ帰ろうか…桟橋の方まで散歩してハイディングね?」スタ

女オーク「うん…」スタ

店員「又のお越しを」ペコ



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773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:00:03.87 ID:pYa2Z27w0
『桟橋』


ザブン ザザー


剣士「どの船にしようかなー」スタスタ

女オーク「後を付けて来る人…バレバレなの気付いて無いのね?」

剣士「そうだね…もっと上手く尾行出来ないんだろうか…」

女オーク「あの大き目の船はどう?」

剣士「ハハ商船じゃないな…多分豪族の船だ…まぁ良いか?」

女オーク「面白そう」

剣士「じゃぁ走って船に乗り込んだらハイディングね?」

女オーク「付いて行くわ」

剣士「ゴーー!!」


タッタッタ


見張り「おい!!誰だお前…」

剣士「ちょっと忘れ物」タッタッタ

見張り「待て!!」

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

見張り「あれ!?誰だったんだ?」キョロ


----------------


野郎1「ちぃ!気付きやがった!走って逃げるぞ」タッタ

野郎2「あの船は何処の豪族か分かるか?」

野郎1「後で調べる…にゃろう身内に隠れて居やがったのか」

野郎2「戻って仲間集めるぞ…この船に拿捕かける…俺らをコケにしやがって許せ無ぇ」

野郎1「道理で見つからない訳か…だがここで確保したとなりゃ海賊王を追い詰められる」

野郎2「早く来い!ここで逃げられちゃ意味無ぇ」


タッタッタ
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:00:44.74 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


チュン チュン


剣士「う〜ん」ノビー

女オーク「すぅ」スヤ

剣士「さて!行く準備しようかなー」ゴソゴソ

女オーク「ううん」パチ ガバ

剣士「おはよう…良く寝た?」

女オーク「私どうして寝て…」

剣士「僕が勝ったから…もう行くよ」

女オーク「あ…うん…準備する」ゴソゴソ

剣士「アハ外騒いでるな…巻き込まれないうちにサッサと行こ」

女オーク「豪族達?」

剣士「なんか揉めてる…見つかると厄介だ」

女オーク「行けるわ」

剣士「ハイディングして飛空艇まで行こう」

女オーク「そうね…」

剣士「じゃぁ扉開けてっと…」ガチャリ ギー

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ


タッタッタ
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:01:47.07 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


フワリ シュゴーーーー


剣士「操縦頼むね…南東の方角…高度上げて偏西風に乗って」

女オーク「うん…」

剣士「ん?負けた事気にしてる?」

女オーク「悔しい…朝まで繋がって居られなかった」

剣士「いやずっと繋がってたさ…君が覚えて無いだけだよ」

女オーク「記憶が…」

剣士「やっと勝てて僕は嬉しい」

女オーク「それなら良いわウフフ」

剣士「ちょっと今から呪符の研究するから邪魔しないでね」

女オーク「うん…」---心も体も充実してる…幸せ---

剣士「えーと…これが退魔の呪符だったな…」ブツブツ


アーデモナイ コーデモナイ

---------------

---------------

---------------


剣士「しまったなぁ…魔術書持って来るんだった」

女オーク「何か分かった?」

剣士「オークの呪術は僕達が使う魔術の前身だよ…僕達の言葉で古代魔術」

女オーク「それはスゴイ事なの?」

剣士「そうだね…ねぇオークって文字を使った書物って有るの?」

女オーク「オークシャーマンだけが文字を知ってる…普通のオークは知らない」

剣士「エルフも文字を残す文化が無いんだけど…ここに記されて居るのは多分エルフの言葉を文字にした物だ」

女オーク「え?エルフとは言葉が違うわ?」

剣士「えとね…多分こうだよ」


本来オークは古代文字を使って居たんだよ

でもそれが許されて居るのは一部のオーク…つまりオークシャーマン

それ以外のオークは文字を教えて貰えないから独自の言語に変わって行ったんだ

一方エルフは古代文字をそのまま話す

それをオーブと言う物で知識の伝達をして来たから文字は残らないけど言語はそのまま残った

それが森の声と呼ばれる言語

この呪符には古代文字が記されていて僕達魔術師がずっと昔から研究している物なんだよ
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:02:21.38 ID:pYa2Z27w0
剣士「そして古代魔術の方が僕達の魔術よりもずっと優れている…オークの呪術は失われた古代魔術なんだ」

女オーク「そう?…私にはあまり興味の無い話」

剣士「どうして君がオークシャーマンの呪いを恐れて居たのかこれで理解出来た…僕が思ってたよりずっと強力なんだ」

女オーク「その呪符は使えそう?」

剣士「これは多分僕達の魔方陣と同じだろうね?退魔の呪符は退魔の魔方陣とピッタリ重なる」

女オーク「剣士にも出来ると言う事ね…」

剣士「出来ない物もある…例えば耐火の呪符…僕達の魔術書には耐火の方陣は記されて居ない…これは大発見なんだ」

女オーク「ウフフ剣士目が輝いてる」

剣士「かわいいって言わないでよ?僕の方が強いんだ…君は僕の奴隷…イイね?」

女オーク「はいはい…」ニコ

剣士「この呪符を体にタトゥーで刻めば耐性を得られるとしたら魔法なんか要らないな」

女オーク「西オークの戦士たちは皆オークシャーマンに強化してもらうのよ」

剣士「魔法は効かないって思った方が良いね」

女オーク「魔法だけじゃなくて力の増強とか筋肉の強化とか色々有るのよ?」

剣士「君はタトゥーが無いね」

女オーク「あなたに処女を奪われた時に全部消えた…呪いもタトゥーも」

剣士「じゃぁ弱くなったのか」

女オーク「野良オークがひっそり暮らすのは強化されたオークに勝てないからよ」

剣士「なるほどね…大分オークの事が分かって来たぞ」

女オーク「ウフフ…」

剣士「あのさ?そんな凄いオークシャーマンの首を切り落とす寸前だったのは大変な事だったよね?」

女オーク「そうね…でもオークシャーマンはそれを気にする程小さい器では無い」

剣士「え?どういう事?」

女オーク「本当はとても寛容なの…戦争を起こす悪いオークだけど」

剣士「寛容?…まぁ気にしてないなら良いけど」

女オーク「ほら?人間に処女を奪われたら呪いを解ける様にしているのよ?追いかけても来ない」

剣士「どうしてそんなヘンテコな呪いなんだろう?」

女オーク「それはオークシャーマン自身が人間と関係を持つ事に肯定的だから」

剣士「つまり人間と結ばれる人は許しますよ…っていう事だね?」

女オーク「寛容でしょう?」

剣士「まぁなんか変だけどねw…なんでそんなヘンテコな呪いにしたんだろうなぁ…」


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777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:03:12.70 ID:pYa2Z27w0
『名も無き島』


フワフワ ドッスン


ウルフ「ガウガウ!!」ピョン シュタタ

女オーク「ウルフが走り去って…」

剣士「体動かしたいんだよ放って置いて良いから…よし!樽を運ぶの手伝って」ヨッコラ

女オーク「遺跡の地下ね?」グイ

剣士「うん…ホム姉ちゃんの部品の所」



『古代遺跡地下』


ヨイショ ドスン


剣士「ふぅ…商人さんを待つよりもう一回僕が精霊樹に行った方が早そうだ」

女オーク「また行く?」

剣士「いや言われた通り待つよ…ちょっと休憩さ」

女オーク「キ・カイへは?」

剣士「う〜んどうしようかな…君と立ち合いして疲れたら帰ってエッチして寝て…起きたらまたエッチして寝る」

女オーク「ウフフ…」

剣士「ここならそんな生活も許されるなぁ…なんてね?」

女オーク「私の事好き?」

剣士「もう君以外に興味無い…いつの間にか君の虜になってる」

女オーク「私の奴隷だって認める?」

剣士「ちょ…それは違う」

女オーク「ダメよ…あなたにはやる事が有るから…立ち止まってはダメ」

剣士「ええええ…良いじゃないちょっとくらいさぁ」

女オーク「来て?満足させてあげる…満足したら前に進みましょ?」

剣士「ここホム姉ちゃんが目を覚ましそうだからベッド行こう」グイ

女オーク「ウフフ…」


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778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:04:27.68 ID:pYa2Z27w0
『随分前_暁の墓所』


スタスタ


魔術師「姫様…女戦士殿が到着されました」

魔女「おぉ!やっと来たな?丁度遺跡の調査がひと段落した所じゃ」

女戦士「この墓所は一体…」スタスタ

魔女「まずこれを見よ…」スッ

女戦士「朽ちた刀…」

魔女「主が研いだ刀に間違い無かろう?」

女戦士「…」サワサワ

魔女「どういう事か想像出来るな?」

女戦士「未来はどうした?」

魔女「一人旅じゃ…安心せい!仲間を得て程よく成長しておる」

女戦士「そうか…」

魔女「して?精神と時の門ではどの位過ごしたのじゃ?」

女戦士「もう分からない…30年か…40年か…」

魔女「心の傷は癒えたかいの?」

女戦士「フッ…」

魔女「時空は体得したな?見せてみぃ」

女戦士「…」フラリ ノソ

魔女「ほぅ…わらわと同じ時空に居るか…主は打たれ強いで己に打ち勝つのはしんどかったじゃろう?」

女戦士「私の弱点が良く分かった…」

魔女「うむ…色欲を克服したな?」

女戦士「言わないで欲しい」
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:05:16.40 ID:pYa2Z27w0
魔女「時空の修行はもう終わりじゃ…時が動き出すで覚悟は良いな?」

女戦士「次は私が未来を守る…もう失わせない」

魔女「良い…じゃが朗報もある…どうやらアダムを滅ぼすのは未来では無さそうじゃ」

女戦士「どういう事だ?」

魔女「黄昏の賢者が目覚めるやも知れぬ…アダムを滅ぼすのは黄昏の賢者じゃと思うとる」

女戦士「誰なのだ?黄昏の賢者とは…」

魔女「恐らくオークシャーマン…3000年前にドリアードを葬ったその本人」

女戦士「では未来は危険を冒さなくて良いと?」

魔女「うむ…じゃが導いてやらねば未来は先走る…故に今から主と共に未来の先回りをするのじゃ」

女戦士「何処へ?」

魔女「思案中なのじゃが…一先ず主の船が動き安かろう」

女戦士「アサシンと連絡は?」

魔女「これからじゃ…一旦シン・リーンへ戻るぞよ?」

女戦士「その前に遺跡の壁画を見て行って良いか?」

魔女「おぉそうじゃったな…勇者ら2人が描かれて居る…ゆっくり見て構わんぞ」

女戦士「…これが…私の妹…」

魔女「生きた証じゃ…奴らはずっと生きて居った…」

女戦士「そうか…良かった…」グッ


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780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:05:59.72 ID:pYa2Z27w0
『気球』


ガサゴソ ゴタゴタ

姫様と女戦士殿が帰還される!準備を急げ!


情報屋「ねぇ魔女?女戦士はずっと魔術の修行を?」

魔女「うむ…女戦士は勇者2人の最後を見て心傷してしもうての?己の未熟さを悟ったのじゃ」

情報屋「未来君はそれを知って?」

魔女「いや…未来は知らぬ…未来は未来の道を歩ませばならぬ故…距離を置いたのじゃ」

情報屋「未来君の心傷は?」

魔女「それを乗り越えるのも修行じゃ…心に闇が育たぬ様に注意はしたぞよ?」

情報屋「そう…」

魔女「心配せんでも良い…未来は良い子じゃ…心でしっかり感じて居る」

情報屋「私も未来君みたいな子が欲しかった…」

魔女「悲しいのぅ…産めぬまま時が流れるのはなんと不幸か…」


スタスタ


女戦士「待たせた…行こうか」

魔女「目が腫れて居る」チラ

女戦士「私の妹の苦悩を思うとな…」

魔女「考えすぎじゃ…あの二人は楽しくやって居る」

女戦士「…」トーイメ


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へーーーーっぷし!! 
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:06:47.47 ID:pYa2Z27w0
『剣士の家』


ゴソゴソ ドタドタ


女オーク「ハッ!!」パチ ガバ

女オーク「又…」キョロ

剣士「あ…おはよう」ヨッコラ ヨッコラ

女オーク「ゴメンなさい…満足させてあげるって言いながら私が…」

剣士「ハハ満足したよ…僕は君が意識無くすのを見るとすごく満足だ」ヨイショ ヨイショ

女オーク「又私の負け…」

剣士「そうさ僕は君を征服した…こんなに気持ち良い事は無い」

女オーク「悔しい…」ググ

剣士「急にやる気が出て来たんだ…ハテノ村行って次にキ・カイに行く…君も準備して」

女オーク「うん…」ヨロ ドタリ

剣士「ハーーッハッハ参ったか!?君が気持ちよくて意識失う顔…かわいいよ?アハハハ」

女オーク「かわいいって言わないで!」

剣士「ムフフ急いで準備してね?置いて行くよ?」

女オーク「ムムム…」ギリ



『飛空艇』


フワフワ


剣士「ウルフ!乗って!」

ウルフ「ガウガウ!」シュタタ ピョン

女オーク「あら?水は乗せて無い?」

剣士「ちょっとだけだよ…ほら?」チャプン

女オーク「鉄をハテノ村に持って行くのね?」

剣士「うん…向こうに鉄が無いから色々作れない…水はこれだけ有れば十分」

女オーク「私は何を持って行こう…」

剣士「君は体だけで良いよ…僕の為に」

女オーク「…」ジロ

剣士「はいはい乗って乗って!飛ぶよ!」

女オーク「…」ストン

剣士「怒ってる顔も可愛いよ?フハハハハ」

女オーク「…」プイ

剣士「しゅっぱぁぁぁつ!!」グイ


シュゴーーーーーー バサバサ
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:07:40.85 ID:pYa2Z27w0
『上空』


剣士「あれ?偏西風が弱い…なんでだ?」

女オーク「逆風が無くて良いのでは?」

剣士「まぁそうなんだけどね…偏西風が無いなんて初めての事だ」

女オーク「下は分厚い雲で現在地が分からないわ?」

剣士「火山の噴煙探そう…雲の下は多分土砂降りだ」

女オーク「水には困らないのねw」

剣士「機嫌直った?」

女オーク「私は機嫌を損ねてなんか居ないわ?」

剣士「そか!ほんじゃちょっと君を改造する…」

女オーク「どうする気?」

剣士「牙を少しだけ生やす…少し見えていた方がかわいい」

女オーク「このままで良いのに…」

剣士「大人しくして…これは命令」

女オーク「フン!好きにして…」

剣士「変性魔法!」ニョキ


よしよし…笑って見て?

おけおけ!少し見える

肌の色はもう少し褐色にしよう

変性魔法!おぉ健康そうだ!


女オーク「あなた好みに変えて居るの?」

剣士「まぁね?どんぐり…食べ辛くない?」ポイ

女オーク「…」カリ モグ

剣士「良さそうだねフフフ完成だ!」キラキラ

女オーク「…」---かわいい---

剣士「ぐぁぁ…ちょちょ…苦しい放して」ギュゥゥ
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:08:28.92 ID:pYa2Z27w0
『ハテノ村』


ザザー フワフワ ドッスン


剣士「すごい雨だ…急いで荷物降ろそう」バチャバチャ

女オーク「何処へ?」ベチャベチャ

剣士「盗賊さんの飛行船が無いなぁ…教会に持って行こう」

女オーク「分かったわ…よいしょ!」グイ


ハンター「剣士!戻って来たんだね!!」


剣士「丁度良かった…鉄を沢山持って来たんだ…運ぶの手伝って」

ハンター「分かった…教会で良いよね?」

剣士「うん!これお願い」ドサリ ガラガラ

ハンター「うわ…雨に濡れる」

剣士「いそいで運ぼう」ヨッコラ


ザザーー ベチャベチャ
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:09:28.80 ID:pYa2Z27w0
『教会』


ピチョン ポタン


剣士「ふぅぅベタベタになった…」

僧侶「剣士さんお帰りですぅ!」スタタ

魔法使い「良かった…もう帰って来ないかと」

剣士「すぐ戻るって言ったじゃない…ねぇ僕の爺いじが来てる筈なんだけど…何処行ったの?」

ハンター「上流の遺跡の所に気球降ろしてあの辺り整備してくれてる」

僧侶「沢山人を連れて来てくれたので助かってるでしゅ」

剣士「盗賊さんは硫黄を乗せてキ・カイに飛んだ感じだね?」

僧侶「そうでし」

剣士「状況つかめたよ…それにしてもひどい雨だね」

僧侶「はいー…土砂崩れが心配だと言って海賊王さん達が慌てて何か建築してるです」

剣士「それで人が居ないのか」

ハンター「雨に濡れて良ければ行って見ると良いよ…上流には温泉もあるし」

剣士「お!?温泉か…なるほど爺いじは先に温泉を整備してるんだな?」

ハンター「ハハ察しが良いね…こっちの教会よりも温泉に目を付けたのさ」

剣士「ちょっと行って見ようかな」
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:10:08.72 ID:pYa2Z27w0
『川沿い』


エッサーホイサー

土砂が流出せん様に土手に板張るんや

砂利を使って上手い事押さえや


剣士「爺いじ!!」

海賊王「おぉぉぉ未来かいな!今忙しい所や…おまんは上で温泉にでも浸かってきぃ」

剣士「僕は何もしなくて良いの?」

海賊王「そやな?おまんは木を生やせられるやろう?土手の土が持って行かれん様に木の根を張れ」

剣士「簡単簡単!」チャキリ

海賊王「何をする気や?その銃で木を生やすんかいな?」

剣士「見てて?」


ターン ターン ターン ターン


剣士「成長魔法!」ニョキニョキ バサバサ

海賊王「うほほエライ派手な生やし方や…流石ワイの子…もっとヤレ」

剣士「女オークは温泉に入ってきて良いよ…僕は少し作業してから行く」

女オーク「うん…」

海賊王「ほなワイらはこっち側やるで未来は向こうや…頼んだで?」

剣士「おっけ!」ツメツメ チャキリ ターン


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786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:10:47.79 ID:pYa2Z27w0
『古代遺跡の入り口』


ワイワイ ガヤガヤ


海賊王「居った居った…未来!温泉入ったか?」

剣士「爺いじスゴイね…温泉からここの遺跡から…」

海賊王「ワイらはおまんの友達の邪魔にならん様にこっち側で要塞作っとる」

剣士「もう鍛冶場もある」

海賊王「道具作らなアカンでな?」

剣士「鉄を持って来たよ」

海賊王「おぉぉソラえぇタイミングや…つるはし作らなアカン」

剣士「爺いじの気球は?もう硫黄積んで飛んだ?」

海賊王「そや…至急で欲しいんや…豪族を追い返して村を救わなアカンで」

剣士「そうだよね…豪族に女の人イタズラされちゃうもんね」

海賊王「それはワイの仕事やからおまんは何も考えんでえーわ…ところでおまんの生やした木」

剣士「ん?何かあった?」

海賊王「川沿いにずっと連なって丁度雨除けになっとる」

剣士「あーそれね?下の教会からこっちに来るのに雨に濡れちゃうからさ」

海賊王「やっぱりそうか…友達も呼んできーな…宴会やるで?」

剣士「この雨の中?」

海賊王「細かい事は考えんでえーちゅうねん…濡れたら温泉入ればチャラや」

剣士「ハハそうだね?」

海賊王「おまんの友達は大人の中に中々入り難い様や…全員で宴会するで?」

剣士「おけおけ!呼んでくる…お酒ある?」

海賊王「当たり前や!!早う呼んでこい」
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:11:28.37 ID:pYa2Z27w0
『川沿いの林道』


ワーイ キャッキャ


僧侶「シスター足元滑るので気を付けるですぅ」

シスター「はいはい済まないねぇ」ノソノソ

神父「こら…えらい変わったな?」ノソ

ハンター「剣士が植えた木は大きく育つんだね」

剣士「たまたまだよ…今日は水が沢山あったし…お陰で良く葉が茂った」

魔法使い「他に秘密が有るんじゃない?教えて欲しいわ」

剣士「う〜ん…何だろう?体力かな?」

魔法使い「体力?そうか私達疲れてるのかも…」

剣士「温泉は入った?」

魔法使い「獣が怖くて入れない…」

剣士「なら爺いじが安全にしてくれたから入ると良いよ」

魔法使い「岩場で裸になるのがちょっと…」

剣士「何言ってるのさ…昔は裸で走り回ってたじゃないか」

僧侶「そうでしたねぇ…皆一緒に水浴びしたですねぇ」


海賊王「おーーーい!!早う来いやぁ…みんな待っとるでぇぇ!!」


剣士「アハ…急ごう」スタ
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:11:59.05 ID:pYa2Z27w0
『祭り騒ぎ』


ワイワイ ガヤガヤ

おいおい水が落ちて来るやんけ!肉に掛かる

布無いか布ぉ!!焚火だけ濡らすな

コップ無いのにどうやって酒汲むんやろう?

その辺の木材くり抜いて入れたらえーやろ


海賊王「おぉぉシスターはんに神父はんよう来なすった…こっちが濡れんでこっちに座りぃ」

シスター「ありがたや…」ノソ

神父「たまげた宴会じゃ…」ノソ

海賊王「ダハハハハおまんらも好きな物食うて好きなだけ飲め!」

魔法使い「は…はい…どうして全員ふんどし一丁な訳?」タジ

海賊王「濡れるからに決まっとるやろ…ビタビタじゃ気持ち悪いんや…えーから飲め」

僧侶「頂くですぅ」スタタ

海賊王「濡れてもすぐそこに温泉や…ビタビタになる宴会もえーやろ!ガハハハハ」

ハンター「ハハ…又グダグダな感じの宴会だ」

海賊王「何を言うとるんや!これが良いんや!生焼けの肉に魚食らって腹壊して酒飲む…お前もふんどし一丁になれ!!」

剣士「ねぇ爺いじ?女オーク知らない?温泉に行った切りなんだけど…」

海賊王「おまんが迎えに行け!あぁそやそや布持ってけ布」

剣士「そうか着替えが無くて戻って来れないのか…」

海賊王「おまんもふんどしでえーやろ」

剣士「そうだね?おけおけ!濡れた服脱いで来る」ダダ

僧侶「私も行くです」スタタ

魔法使い「ちょっと僧侶…」

ハンター「服が濡れると気持ち悪いから僕らも脱ごう」グイ

魔法使い「ええ!?」

海賊王「子供達も全員裸にせい!!濡れた服は炉で乾かしたる」

魔法使い「えーと…じゃぁ子供達!!温泉入るわよ!!おいで!!」

子供達「はーい!!」キャッキャ
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:13:04.37 ID:pYa2Z27w0
『温泉』


モクモク


剣士「とうっ!!」ダダ ピョン

女オーク「あ!!剣士ソコ…」


ザブーン


剣士「熱っつ!!あっつい!!」バシャ バシャ

女オーク「そこ熱いからコッチに…」

剣士「早く言ってよ…熱っつつ」バタバタ

女オーク「ウフフ…馬鹿ね」

剣士「着替えないから布持って来たんだ…それで隠せば良い」

女オーク「わざわざありがとう…困ってたの」ゴソゴソ

ハンター「とうっ!!」ダダ ピョン

女オーク「あ!!ハンター…」


ザブーン


ハンター「だぁぁぁぁ熱っつい!!」バシャ バシャ

剣士「アハハ…アハハハハ」

女オーク「そこダメ…下の方」

僧侶「私達も来たですぅ…下の方は私達が使うでし」チャポン

子供達「わーい」バシャバシャ

僧侶「ふぃぃぃ」グビグビ

魔法使い「僧侶あなたお酒を持って来たの?」

僧侶「魔法使いさんも飲むでしゅか?」

ハンター「良いなぁ下の方はくつろげそうで…あつつつ」スリスリ

女オーク「これでよし!どう?見えないでしょ?」ギュ ギュ

剣士「良いね!じゃぁ僕もふんどしに…」ゴソゴソ

僧侶「みんなでふんどしパーティー楽しいです」

剣士「ここ温泉近くでスゴイ過ごしやすい…良いなぁ…僕の島にも欲しい」

僧侶「剣士さんもここに住めば良いです」

剣士「ハハそうだね…爺いじが気に入ったのも分かる」


ドドドドド ザブ〜〜ン!!
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:13:43.26 ID:pYa2Z27w0
ハンター「どわぁぁぁ熱っつい!!」

海賊王「はぁぁぁぁぁぁええ湯や…真から温まる」

剣士「ハハ爺いじには丁度なんだ」

海賊王「者共!!突撃やぁ!!」


ドドドドド ザブ〜〜ン!!


魔法使い「ちょちょ…ちょっと!!ここは女が…」

海賊王「小さい事は気にしたらアカン!皆一緒に入ったらええんや!!」

ハンター「とうっ!!」ザブーン

僧侶「お酒がこぼれたでしゅ…」

子供達「わーい」キャッキャ

者共「はぁぁぁぁ温まる…エ〜ユダナ…ハハハ〜ン」

海賊王「土砂降りの温泉もええなぁ?上がったら肉食うで?」

魔法使い「フフ…皆裸で…何かどうでも良くなっちゃった」

海賊王「おまんは乳がデカいな?」

魔法使い「見ないで!!」ザブ

海賊王「見られて無うなるもんやない!気にすんな気にすんな…はぁぁぁええ湯や」


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791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:14:20.33 ID:pYa2Z27w0
『土砂降りの宴会』


ワイワイ キャッキャ

誰じゃ木を揺らすのは!!水が掛かるやろ!!

どんぐり焼けたぞぉ!食え食え!

おま…これ毒キノコじゃ無いのか?


魔法使い「フフなんか…原始時代みたい」

ハンター「グダグダだと思ったけど全然楽しいや…子供達も泥んこで遊んでる」

僧侶「お酒持って来たです」

ハンター「ありがとう」グビ

魔法使い「もう忘れていたけど…皆で温泉に入るのってすごく癒される」

僧侶「私のペチャパイがバレたです」

ハンター「昔から知ってるよハハ」


ドタドタ ドスン!


海賊王「どや?楽しいやろう?この感じを忘れんなや?」

魔法使い「海賊王さんありがとう…何か色々思い出した」

海賊王「ワイはこの村が気に入った…今日からこの村はドワーフ国の領地や…領主はおまんがヤレ」

魔法使い「え?私?」

海賊王「そや…おまんはなんやかんやで人徳がありそうや…領主でええ」

魔法使い「領主って何をすれば良いのか分からない」

海賊王「この地を治めればええんやが心配すな?ワイが守ったるで…兎に角子供達を守れ」

僧侶「私は何かやる事無いでしゅか?」

海賊王「そやなぁ…おまんは酒場の女将やな…酒場は大事なんやで?宴会で盛り上げなアカンで」

ハンター「ハテノ村の復興だ!」

海賊王「ガハハハ今日はその宴やな!乾杯じゃ乾杯!」チン グビグビ

僧侶「かんぱーい!!」ゴク


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アオーーーン ワオーーーーン
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:15:18.34 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


ザザー ボタボタ


剣士「雨が止む気配が無い…」

海賊王「雨降って地固まるちゅうが…ちと降り過ぎやな」

剣士「建築は大丈夫?」

海賊王「まずはこの遺跡を拠点に建屋作って行くから心配すな…晴れたら下の教会まで行ったる」

女オーク「この雨もしかして…」

剣士「ん?どうしたの?」

女オーク「オークシャーマンの呪術かもしれない」

海賊王「ほう?南方の東オークを洪水で攻め様っちゅう気やな?この雨で下流はエライ洪水が起きとるやろ」

剣士「呪術で天候を操る…それで偏西風が止まってた?」

海賊王「南の空が雷で光っとったわ…オークの難民に備えとった方がええな」

剣士「偏西風を止めるって…この星全体に影響が出るじゃ無いか…そんな事まで出来るのか」

海賊王「未来は知らんやろうがワイらドワーフはオークシャーマンが産んだんやで?」

剣士「ええ?」

海賊王「ワイらにとってオークシャーマンは創造主やな」

剣士「どうやって?」

海賊王「言い伝えではな?ノームちゅう小人とオークの合いの子らしいわ」

剣士「ドワーフは精霊が産んだんじゃ無かったんだ…」

海賊王「正確には精霊がオークシャーマンにやらせたんやろう…ノームの血を引くけぇワイらは器用なんや」

剣士「オークシャーマンってそんなにスゴイ存在だったのか…危うく首を切り落とす所だった」

海賊王「ガハハハ豪快な話やな?神殺しかいな」

剣士「でもね?オークシャーマンはそんなに大きく無い小さなオークの女の子だったよ」

海賊王「ワイは詳しくは知らんがシン・リーンの魔女もそんな感じやろ」

剣士「ハハそうだね…いつも子供の恰好してる…そういう事ね」

海賊王「しかしこの星全体に影響が出るちゅうんは心配な事もあるな?他の地域はどうなっとるんやろう?」

剣士「あ…僕キ・カイまで行くんだった…見て来るよ」

海賊王「ガハハおまんは休むちゅう事を知らん様や…ええぞ?行って来い…前に前に進め」
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:16:59.21 ID:pYa2Z27w0
『飛空艇』


ザザーー ボタボタ


剣士「…うんキ・カイまで行ってまた帰ってくるよ」

魔法使い「昨日帰ったばかりなのに…」

剣士「あと2人乗れるけど一緒に行く?」

僧侶「私行きたいですー盗賊さんとお酒飲みたいでし」

剣士「おけおけ!乗って…あと一人」

魔法使い「私は…」チラリ

ハンター「まぁ3人で行っておいでよ…こっちの事は心配しなくて良い」

剣士「おっけ!じゃぁハンター!ウルフの事お願いね…あんまり世話は掛らないと思うけど」

ハンター「こっちも狩りの相棒が欲しかったんだ…助かるよ」

剣士「じゃぁウルフ!頼むよ」

ウルフ「ガウガウ!」


フワフワ シュゴーーーー
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:17:28.76 ID:pYa2Z27w0

『上空』


シュゴーーーー バサバサ


僧侶「早いでしゅねぇ!!」

女オーク「僧侶さんは気を使って一緒に?」

僧侶「バレたですか…あの2人をくっつけるには私が少し離れた方が良いです」

剣士「なるほどね〜」

僧侶「剣士さんたちの邪魔になってゴメンです」

剣士「ハハ気にしないで…楽しく行こう」

女オーク「僧侶さんも私の膝に乗る?」

僧侶「乗る乗る!!」チョコン

女オーク「かわいい…」ニッコリ

剣士「んんん…体重が何倍違うんだろう」

僧侶「レディの体重を気にするですか?失礼でし!!」

剣士「ゴメンゴメンそんなつもり無いよ」

僧侶「それにしてもこの飛空艇は早いですねぇ」

剣士「偏西風の逆風が吹かないから日が落ちる頃には到着できそうかな」

僧侶「ほえぇぇぇスゴイです」

女オーク「ねぇ剣士?僧侶さんを私のペットにしても良い?」

僧侶「ペット?どういう事でしか?」

剣士「いや…オークの文化は良く分かんない」

女オーク「剣士は私の奴隷なの」

僧侶「奴隷だったのですね…それで私がペット…私の方が上ですね」

剣士「ちょちょ…ちょっと序列が違う…僕の奴隷が女オークで女オークのペットが僧侶だ」

僧侶「こんがらがりますね?じゃぁ私のペットが剣士さんで良いですね?」

剣士「いやちょっと違う…」

僧侶「どうでも良いでし…面倒なので勝手に決めてくだしゃい」

女オーク「ウフフ…」


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795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:18:02.41 ID:pYa2Z27w0
『キ・カイ上空』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「…寒すぎる…なんだこの寒さは…」

僧侶「おかしいですねぇ…」

女オーク「あちこちで石炭燃やして暖を取ってる」

剣士「海は暗くて見えないか…」

女オーク「船を気にしているの?」

剣士「まぁね…まぁ良いやキ・カイの外に降りて飛空艇隠しておこう…降りるよ」

僧侶「はいなー!!」


フワフワ ドッスン


剣士「僧侶は一人で商人ギルドへ行けるね?」

僧侶「大丈夫でし!」

剣士「じゃぁ各自商人ギルドの上の部屋へ…大部屋で集合かな」

女オーク「分かったわ…」

剣士「女オークは人に見られない様に」

女オーク「うん…大丈夫」

剣士「行こう!」タッタッタ



『商人ギルド』


ザワザワ ザワザワ

商人ギルドのマスターがさらわれたらしい

取引は一旦停止だそうだ

しょうがねぇなぁ明日又来るかぁ


僧侶「受付さんこりは一体何事でしゅか?」

受付「あ!!盗賊のペットさん…」

僧侶「上の大部屋使っても良いですか?」

受付「上に居るからちょっと話して来て…今ゴタ付いてるの!」

僧侶「はいです!」スタタ
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:19:32.90 ID:pYa2Z27w0
『大部屋』


ガチャリ バタン


盗賊「誰だ!!勝手に入って来やが…って…おおおお僧侶!!おまどうやって来たのよ!?」

僧侶「こりは何事でしゅか?商人さん居るじゃないですか」

商人「突然入って来てビックリしたよ…鍵閉めておこうか」

僧侶「ダメです…剣士さんと女オークさんも来るです」

盗賊「おい?聞いたか商人…ナイスタイミングだ」


剣士「リリース」スゥ

女オーク「リリース」スゥ


商人「ハハ役者が揃った…よし!」

剣士「これは何の騒ぎ?」

商人「僕の影武者がさらわれたんだよ…相手は豪族さ」

盗賊「高額取引の商談に行ったまま帰って来ねぇ」

剣士「どの豪族なのか分かってるの?」

商人「勿論…衛兵に対処してもらおうとしたけど豪族から圧力が掛かって船に押入れない」

剣士「おけ!察した…僕が行って救い出す」

僧侶「でもどうしてさらわれたですか?」

商人「どうも僕が海賊王の娘を匿っている様に見えている様なのさ…女オークと一緒の所を見られて居るんだと思う」

女オーク「私のせい…」

商人「それは違う…勝手に向こうが思い込んでる」

盗賊「ハイディング出来るのは俺と剣士…女オークだな?」

商人「僕も出来るけど僕は顔を出さない方が良さそうだね」

盗賊「アダマンタイトを僧侶に渡してくれ…僧侶は盲目魔法が使える」

剣士「それには及ばないよ3人で十分さ…僧侶は商人さんと留守番が良い」

盗賊「そうか?お前がそういうならそれで良い」

剣士「いつ行く?」
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:20:00.34 ID:pYa2Z27w0
商人「影武者の身が心配なんだ…今すぐ行けるかい?」

剣士「おっけ!盗賊さん…案内して」

盗賊「おう!」

剣士「あ!そうだ…盗賊さんは白狼の装備ある?」

盗賊「なぬ!?」

商人「ハハ白狼で救出かい?」

剣士「昔海賊だった人は白狼の盗賊団がどういう存在だったか知ってるよね?」

商人「面白い…相手に白狼が居ると知らしめる訳か…」

盗賊「商人!お前ん所に置きっぱなしだったな?まだ在るか?」

商人「勿論さ…活躍を期待するよ」

盗賊「よし!派手に行くぞ…来い!!」ダダ


---------------


僧侶「商人さん白狼の盗賊団って盗賊さん達なのでしゅか?」

商人「君は知らなかったか…初代白狼の盗賊団は盗賊なのさ」

僧侶「盗賊さんは伝説の人だったのでしゅね…」

商人「この建屋の上に望遠鏡があるよ…見て居てごらん?」

僧侶「はいです!!」スタタ
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:21:02.93 ID:pYa2Z27w0
『声』


あぁぁぁぁぁ…はぁはぁ

話せば楽になるぞ?何処に匿った!?んぁぁ聞いてんのかゴラ!!

ダメだ知らないを突き通しやがる…何でヤクが効か無ぇんだ!!

生皮を剥がして塩に漬けてやれ

待ってくれ勿体ないだろ一回ぐらいヤラせろ

黙ってろお前の雇い主は俺だ…命令通り動け

なんだよヤレると思って言う事聞いてたのによ…ちぃぃぃ

ネーちゃん悪いなぁ?気持ちよくするところだったが激痛になっちまった

話せば楽になるぞ?どうする?

んぁぁ仕方無ぇ…

がぁぁぁ…ぎぎぎ…いぎゃぁぁぁぁ



『豪族の船』


シュタタ シュタタ


剣士「…」ギリ

盗賊「この船だ…ん?どうした剣士?」

剣士「盗賊さん…僕に従って」

盗賊「策が有るんだな?分かった先導しろ」

剣士「現場に直行する…こっちだ」シュタタ



--------------


剣士「リリース」スゥ

盗賊「リリース」スゥ

女オーク「リリース」スゥ

799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:23:32.25 ID:pYa2Z27w0
『荷室』


豪族の長「なっ!!どっから入って来やがった!!」

野郎1「出て来やがったな?

野郎2「白狼!?」


剣士「睡眠魔法!」

影武者「ぁぅぁぅ…」zzz

剣士「線虫!」ザワザワ ニョロリ

剣士「痛かったね…もう大丈夫」


豪族の長「野郎共ぉぉ!!侵入者だ!!殺せ!!」

野郎共「うおぉぉぉ」ドヤドヤ


盗賊「おいおい剣士…真向かよ…数が違い過ぎる」タジ

豪族の長「その女は海賊王の娘だ!そいつだけは捕らえ…」

剣士「…」ダダ スパスパスパ

豪族の長「ひでぶ…」ブシュー

野郎2「バラバラ…だと…」

剣士「僕は今すごく気分が悪い…次は誰だい?」ダダ スパスパスパ

野郎共「ひっぃぃ…だ…誰だこいつは」

盗賊「剣士おま…」

剣士「女オーク?影武者さんを背負って守って?」

女オーク「うん…」ダダ グイ

剣士「盗賊さん…お祭りしよう」フラ

盗賊「祭りだと?」
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:23:59.18 ID:pYa2Z27w0
剣士「火を付けて人を集めるのさ…火炎魔法!」ボボボ

野郎1「勝手な事を…」チリチリ ポイ

盗賊「爆弾!!」

剣士「量子転移!」スゥ スパ

野郎1「ぐぁぁぁ手が…手がぁぁ」ブシュゥゥ

剣士「爆弾なんか意味無いんだ…爆発しても僕が直ぐに無かった事に出来る」スタスタ

野郎1「くそがぁぁ…」ダダ

剣士「ゴメン…もう見飽きた」スパ

野郎1「!!?」クルクル ゴトン コロコロ

剣士「次は誰?」ダダ スパ

野郎2「はぎゃぁ!!」ドタリ

野郎共「に逃げろ…本物の白狼だ!!」

剣士「逃がさないさ」チャキリ ターン

剣士「成長魔法!」ニョキニョキ


メリメリ ズゴゴーン


野郎共「木で出口が塞がれ…」

剣士「皆殺しだよ」ダダ スパ

野郎共「ひぃぃぃぃ」

盗賊「剣士…」



--------------
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:25:12.80 ID:pYa2Z27w0
『豪族の船_外側』


ドタドタ ドタドタ

あの船に海賊王の娘が乗り込んだらしい

全員で取り押さえるぞ

行けゴラ!!


メリメリ ズゴゴーン


他の豪族1「なんだぁ!!木が生えて来やがった」

他の豪族2「良いから乗り込め!」


ドタドタ ドタドタ


剣士「船虫!従え!」カサカサ

剣士「食らえ!」

豪族共「うわぁ何だ…船虫の大群」ブン ブン

剣士「盗賊さんどんどん火を付けて」フラリ

盗賊「お…おう」ダダ

他の豪族1「白狼の…盗賊団なのか?」

剣士「はぁ…そのリアクションも見飽きた…皆殺しだよ?次は誰?」ダダ スパ

他の豪族1「うぎゃぁ…」ポーン ゴロゴロ

剣士「船虫!爆ぜろ」パーン ビチャビチャ

剣士「火炎魔法!」ゴゴゴ


ドカーーーーン  ゴゴゴゴ


盗賊「圧倒的じゃ無ぇか…本当に皆殺しするつもりか?」タジ

女オーク「盗賊さん剣士を止めて…剣士狂ってる」

盗賊「100人以上ぶっ殺しやがった…」

剣士「僕に死霊術出来るかなぁ…試してみようかな…従え!死体共!」

ゾンビ「ヴヴヴヴヴ…ガァァァ」

剣士「ハハなんだ蟲と同じか…さて次は誰かな?」フラフラ


ひぃぃぃぃ 逃げろ!逃げろぉぉぉ


女オーク「剣士もう止めて!!もう殺さないで!!」ダダ

剣士「なんか気が済まないんだよね…しょうがないなぁ」

女オーク「お願い!!元の剣士に戻って」

剣士「覚めよ!!」


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802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:26:08.23 ID:pYa2Z27w0
『荷室』


アワワワ ブクブク


豪族の長「ブクブク…」ガクガク

野郎1「ぁぅぁぅ…」ジョワー

野郎2「ひぃぃぃ…」ブルブル


剣士「もう豪族は無力だから金品全部盗ってばら撒きに行こ!」

盗賊「い…今のは…」キョロ

剣士「幻惑魔法だよ…僕は誰も殺してない」

女オーク「剣士…狂ったのかと思った」ポロリ

剣士「この3人はブタに変性させておこう変性魔法!」シュワ


ブタ1「ブゥ…」ピクピク

ブタ2「ゲヒ…」ピクピク

ブタ3「ブヒ…」ピクピク


盗賊「ヌハハ魔女と同じ技使ったんか…」

剣士「魔女も同じ事を?まぁ幻惑魔法はこうやって使う」

盗賊「よっし!金目の物全部頂くぞ?」

剣士「おっけ!女オークは影武者さんを背負ったままで大丈夫だよね?」

女オーク「平気!」

剣士「おけ!行こ!!」シュタタ


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803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:27:32.40 ID:pYa2Z27w0

『商人ギルド屋上』


商人「見えるかい?」

僧侶「街路でお金をばら撒いて走ってるです」

商人「ハハハ上手く行った様だ」

僧侶「恰好良いでし…私も白狼なりたいでしゅ」

商人「君は小さすぎる…白狼じゃなくてウサギになってしまう」

僧侶「商人さんは白狼の盗賊団じゃないですか?」

商人「ほら?ぼくも体が小さいでしょ?それに屋根に上ってピョンピョン走り回れない」

僧侶「あーーー本当だ…屋根に上ってるですね」

商人「何かに追いかけられてる?」

僧侶「人ですね…お金欲しい人に追いかけられてるです」

商人「なんだ衛兵じゃないのか」

僧侶「はぁぁぁスゴイなぁ…」ウットリ

商人「さて…僕の部屋で影武者を待つとしよう」

僧侶「私は待ってれば良いですかね?」

商人「まぁ一緒に行こうか…おいで」

僧侶「ほい!」
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:28:07.10 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド地下』


スタスタ


僧侶「戻って来たですね?」

盗賊「よう!上手く連れ帰ってきたぜ?」

女オーク「僧侶さん?影武者さんに回復魔法を」

僧侶「はいなー!!」

商人「あぁ…酷いな」

剣士「僧侶?回復魔法は程ほどに…老化してしまう」

僧侶「分かったです傷が塞がる所で止めるです」

商人「影武者は大丈夫かな?」

剣士「睡眠で幻惑されて居るから夢だと思う筈」

商人「良かった…」ホッ

盗賊「何もしゃべっちゃ居なかった様だ…エライ苦痛だったろうな」

商人「悪い事をしたな…」

盗賊「なぁ?しばらくハテノ村で静養ってのはどうよ?」

商人「彼女がどう判断するかだね…自分でやりがいを持ってくれていたんだ」

盗賊「しかし自分で身を守れないのは良く無ぇ」

商人「うん…そうだね…無理をさせていた様だ」

盗賊「まぁ硫黄がやたら高く取引き出来て安定だ…闇取引はもう良いだろ」

商人「分かったよ…硫黄売買に切り替えて行く」

僧侶「ハテノ村で硫黄の取引所を作るのはどうでしゅか?影武者さんに任せる感じで」

盗賊「おーそういう感じよ」

商人「ふむ…今回の事件で商人ギルドマスターは死んだ事にするか」

盗賊「次のマスターは俺がやる…この部屋は俺のもんだ」

商人「まぁ従業員が盗賊の家族がほとんどだしそれが良いね」

盗賊「決まりだな?告知出して来るわ」タッタ
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:28:50.28 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


盗賊「何ぃぃそらマジか!!ローグが豪族のお偉いさんになってるだとぅ!?」

商人「剣士はローグに会ったんだね?」

剣士「うん…」コクリ

盗賊「俺ぁってっきり女戦士と一緒に幽霊船乗ってると思ってたわ…」

商人「盗賊…僕が聞いた話では幽霊船にはスケルトンやゾンビが乗って居るらしい」

盗賊「じゃぁ女戦士の船はどっか別の所にあんのか」

商人「さぁ?…只幽霊船で海賊王の娘を目撃したという話もある」

剣士「盗賊さんと商人さんが関わって居なさそうで安心したよ」

盗賊「ローグとはあれっ切り会って無ぇ…しかし信じられん」

剣士「爺いじが言うにはビッグママは誰とも話をしなくなったって…」

盗賊「まぁ海賊が離散したのは分からんでも無いがローグまでとはな」

剣士「済んだ話はもう良いや」

盗賊「うーむ仕方無ぇわな?」

剣士「ところでこの異常な寒さなんだけど…」

商人「2〜3日前からなんだよ…流氷が流れているとも聞いた」

剣士「海に流氷?…どこから流れて来るの?」

盗賊「未踏の地からここまで流れて来るのは考えにくいが…」

商人「暖を取りに皆地下に降りちゃって商売あがったりさ」

剣士「偏西風も凄い弱いんだ」

盗賊「そら海が寒いと偏西風が弱くなる…冬だ」

剣士「ハテノ村で大雨も降ってて全体的におかしい」


ドタドタ


僧侶「てーへんだてーへんだ!!」スタタ

商人「ん?どうしたんだい?」

僧侶「海で流氷が沢山西の方に流れてるです」

商人「流氷が沢山?」

僧侶「望遠鏡で見えるでし」

盗賊「ちっと見に行くか」ダダ
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:29:40.46 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド屋上』


ヒュゥゥゥ


盗賊「寒ぶっ…」

商人「目視でも見える…ありえない」

女オーク「オークシャーマンの呪術で間違いないわ」

剣士「海を冷やして偏西風を止めた?」

女オーク「自然を操る力…海を冷やして南方で雨を降らせている…」

剣士「そうかオークシャーマンは船に乗って居たね…でも海を冷やすなんて…そんなに強力なんだ…」

女オーク「オークシャーマンはもう暁の使徒から力を得たと思う」

剣士「いよいよ西オークが東オークに攻める時が来たと言う事だね?」

商人「対岸の火事だけど…備えないといけないな…物価が一気に変わる」

剣士「商人さん?エリクサーはどうなったの?」

商人「そうだ!樽一杯分は確保出来た」

剣士「早くホム姉ちゃんを目覚めさせてどうすれば良いか聞こう」

商人「そうしよう…その前に盗賊!物資の売買リストを今から作る」

盗賊「んん?寒さに備えるんか?」

商人「そうだよ…石炭の売りは停止買いに回る…それから食料の備蓄だ」

盗賊「分かったまとめて置いてくれ」

剣士「…」---この力---


この力は世界を滅ぼすかもしれない

地軸を移動させたのは多分オークシャーマンだ

そうやって古代文明を封じたんだ

僕達が介在する余地の無い力…怖い
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:30:17.98 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド地下』


剣士「じゃぁ女オーク!エリクサーの樽を先に飛空艇に運んでおいて」

女オーク「任せて」

剣士「直ぐに行くから飛空艇で待ってて」

女オーク「わかったわ…」タッタ


影武者「う〜ん…はっ!!」パチ ガバ


商人「あ!目を覚ましたね?気分はどう?」

影武者「僕はどうして寝ている?…あれ?…なんだ?どうなった?」

商人「混乱しているかい?」

影武者「取引は…」

商人「もう良いんだ…ちょっと事情が変わってね…僕の代わりにハテノ村へ行って欲しいんだ」

影武者「え?…はい」

商人「寒冷化の影響が大きく出そうでね…向こうで取引所を君に任せたいんだ」

影武者「分かりました…商人さんはどうされるのですか?」

商人「僕は用事でしばらく留守にする…商人ギルドは一旦盗賊に任せる事になった」

影武者「僕は左遷…ですか」

商人「違うよ…硫黄と石炭の取引が最も重要になる…そっちを上手く取りまとめて欲しい」

僧侶「ハテノ村は人手が足りないです…来て欲しいです」

商人「そういう事なんだよ…そちらへの物資の流通は盗賊が運ぶ…やってくれるね?」

影武者「はい…わかりました」

商人「それから影武者はフードを脱いで活動してくれ…僕は豪族にマークされてしまってね…一旦ターゲットを逸らさせたい」

影武者「なるほど…それで盗賊さんをここに置く訳ですね?」

商人「そういう事だよ…僕も雲隠れする」

影武者「承知しました…任せて下さい」

商人「じゃぁ盗賊にこのメモを渡して置いてくれ…僕は剣士と一緒にしばらく留守にする」

影武者「分かりました…お気を付けて」

商人「じゃぁ剣士!行こうか」

剣士「飛空艇まで案内する…付いて来て」

商人「影武者…あとは頼む」タッタッタ


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808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:30:53.53 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド』


”ギルドマスター交代による売買方針の変更…以下レート”

なんだこの告知…取引レートが変わってるぞ

アレだ昨夜の騒ぎでギルドマスターが死んだらしい

てことはばら撒かれた金の回収に掛かってるってか?


ザワザワ ザワザワ


受付「盗賊!取引再会するよ?」

盗賊「おう!俺は飛行船に物資乗せに行くから任せたな?」

受付「はいはい邪魔だから早く行って!!はい皆さ〜ん取引開始!!」

受付「商船の受付はあっち!商隊はそっち!競売はここに持って来てぇ!!」


ザワザワ ザワザワ

おぉ魔石の売りがある!買いだ買い!

古代の遺物ってのもあるぞ…すげぇ

硫黄がくそ高けぇ…


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809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:31:36.83 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ゲヒゲヒ メェェェ


盗賊「家畜はまだ外に出しといてくれぇ…」

作業員「あいよ!!」

僧侶「盗賊さん何か手伝える事あるですか?」

盗賊「んあ?なんだ影武者も一緒なのか」

影武者「急に仕事が無くなって暇になったのさ…この飛行船でハテノ村に行くんだね?」

盗賊「明日な?」---気丈な嬢ちゃんだこと---

僧侶「私もお酒飲むつもりで来たですけどヒマでし!」

盗賊「ほんなら影武者の服でも新調して来い…商人はマークされてるって言ってただろうが」

僧侶「買い物でしゅね?お金無いです」

盗賊「ほらよ!」ピーン

僧侶「ありーーー」パス

影武者「ハハお金はちゃんと持ってるんだ」

盗賊「じゃ返せよ!今晩の飲み代なんだ」

僧侶「おおお!!じゃ私がおごるでどうでしゅか?」

盗賊「ヌハハそら良いな?」

僧侶「影武者さん!私が服選ぶでし…買い物行きましょう」

影武者「衣類は地下の方が安いんだ…案内してあげるよ」

盗賊「あぁそうだそうだ!チカテツ街道の6番にな?孤児が集まったギャング集団が居んのよ」

影武者「それは僕が出した情報だよ」

盗賊「じゃぁ話が早えぇ…連れて来い」

影武者「彼等と取引するなら対価を用意しないといけない」

盗賊「白狼の盗賊団に入れてやるとでも言え」

影武者「それじゃ空取引になる」

盗賊「うるせぇ!後は自分で考えてくれ…俺は忙しいんだ」ゴソゴソ

影武者「さてどうする…」

僧侶「ピーンと来たでし!私と影武者さんで白狼になるです…そして私がギャンクと勝負するでし」

盗賊「ヌハハ面白れぇ!!ちびっこの白狼だな?俺も見たいぞ」

影武者「賭けで勝つ訳か…う〜ん」

盗賊「うだうだ言って無いでさっさと行って来い!荷物積み終わったら俺も見に行く」

僧侶「影武者さん白狼の装備を買いに行きましょう」グイ

影武者「あぁ…」


スタタタ


盗賊「…」ニヤ ---まぁ頑張んな嬢ちゃん---
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:32:42.22 ID:pYa2Z27w0

『チカテツ街道6番』


ピチョン チューチュー


僧侶「人が少ないでしゅね…」ヒソ

影武者「ここはギャングが幅を利かせていてね…衛兵も手を焼いているらしい」ヒソ

僧侶「怖くないですか?」

影武者「僕は慣れている…なぜなら僕はここに住んで居たから」

僧侶「そうだったんですね」

影武者「僕の居場所はゴミの中さ…ゴミを食べて暮らしていたんだ」

僧侶「誰かくるでし」

影武者「僕が取引をするから君は黙ってて」


少年「おやおや…白狼ごっこかな?舐めた事すんじゃ無ぇよ!」チャキ


影武者「美味い話を持って来たと言ったらどうする?」タジ

少年「うるせぇ!身ぐるみ全部置いて行ってもらう…おい!!囲め!!」


悪ガキ共「逃げ道塞いだよ〜ん!へへへへ」スタタタ


少年「さぁその舐めた格好を置いて行ってもらおうか」チャキ

影武者「ハハ話を聞く気は無いか…飛んだ見込み違いだったかな?小僧…」---挑発に乗るか?---

少年「小僧だと!!俺より小さいクセに舐めた口利くんじゃ無ぇ!!」

影武者「ズバリ言う…本物の白狼に興味は無いか?」

悪ガキ共「本物!?」ヒソヒソ

少年「お前みたいなチビが本物な訳無いだろう!おい!!身ぐるみ剥ぐぞ」ダダ ブン

僧侶「…」カキーン

少年「な…武器!」タジ

影武者「ハハハハハ話を聞く気になったかい?僕達は取引をしに来たのさ」---よし!---


少女の声「止めな!!」
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:33:22.61 ID:pYa2Z27w0
少年「姉御…こいつ等武器持ってる」

影武者「なんだやっと真打の登場か…姿を見せたらどうだい?」

オークの子「私が相手になる…」スタスタ

影武者「…」---ハーフオーク---

僧侶「…」ゴクリ

オークの子「仲間になりたいなら手順が違うよ」スラーン

影武者「逆さ…君達を白狼の一味に誘うつもりなんだ」---不利だ---

オークの子「引き換えに何を?」

影武者「家族」

オークの子「家族なんか要らない!私達はここで生きて行ける!それにあんた達になんか負けない」ダダ ブン

僧侶「あわわ…」カキーン

オークの子「皆!勝てる!!戦って!!」ブン ブン


カキーン カキーン グサ


僧侶「痛っ…」タジ

少年「降参しろぉ!!」ダダ ブン

影武者「うっ…」ガシ

オークの子「今!!」

悪ガキ共「うわぁぁぁ!!」ダダダ


リリース


盗賊「そこまでだ…」チャキリ

オークの子「うぅぅぅ…」ジタバタ

少年「姉御ぉ!!」

オークの子「隠れてるなんて卑怯…」ドン!!

オークの子「はぅぅぅ…」ドタリ

盗賊「おい僧侶!!お前手加減してっと足元すくわれるぞタワケ!」

僧侶「子供相手に戦えないでしゅ…」

盗賊「おい!クソガキ共良く聞け!!お前等の姉御は預かった…助けて欲しけりゃ明日の朝までに一番デカイ飛行船に乗れ」

少年「なにぃ!!」

盗賊「殺しゃし無ぇから黙って従え…」

盗賊「おい!衛兵が来る前に戻るぞ?」タッタッタ

僧侶「はいな!!」スタタ

影武者「分かった…」スタタ


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812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/19(金) 23:34:07.85 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「遅せぇなアイツ等…」グビ

店主「いらっしゃいませ…お二人ですか?」

僧侶「盗賊さん居たぁ!」

盗賊「遅せぇよ…酒がマズくて帰ろうかと思った」

店主「お飲み物は?」

僧侶「盗賊さんと同じで良いでし」

店主「かしこまりました」

盗賊「ほんで?例の子はどうだ?落ち着いたか?」

僧侶「やっと理解したです…明日他の子供達来るですかね?」

盗賊「来なきゃ例の子を返すだけよ…まぁ家族愛を試してる」

僧侶「そうだったんですね」

盗賊「もしかすると今晩救出に来るかもな?」

僧侶「そしたらどうするですか?」

盗賊「ほんなもん簡単だ…とっ捕まえて檻の中よ」

僧侶「なんか可哀そうでし」

盗賊「孤児ってのはな…愛が欲しいんだ…お前がかわいがってやれ」

影武者「…僕間違ってた」

盗賊「んん?」

影武者「取引ばっかり考えてた…空取引なんか成功する訳ないと思ってた」

盗賊「あの場合ちっと強引でも良いんだよ…要はあいつらの家族愛を取引に利用したんだ」

影武者「うん…それに気が付けなかったんだ…損得とはちょっと違う」

盗賊「まぁ飲め!!爺いの説教なんかクソくらえだろ?」

影武者「ハハそうだね…でも勉強になったよ」

僧侶「影武者さんはあの子供達と面識無かったのでしゅか?」

影武者「僕は人前に出られなかったんだ…遠目には見て居たけど僕は孤独だったよ」

盗賊「俺も天蓋孤独だったぜ?ガキん頃は」---俺ら皆孤児なんだよな---


似た物同志やっぱ集まるもんだ

俺らもあのギャングと大した変わらん


僧侶「ねぇ聞いてるですか?お金に余裕無いです」

盗賊「金貨お前にやったろうが…もう使っちまったのか?」

影武者「良いよ良いよ僕が出すから…」

盗賊「おぉ!?金持ちが要るじゃ無ぇか…酒だ酒!!お代わりくれぇ!」


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813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:34:48.25 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ヒック シクシク


盗賊「うぃぃ…」ヒック


シュン グサ!


盗賊「うぐっ…にゃろう…やるじゃ無ぇかお前」

少年「うわぁぁぁ!!」ダダダ ブン

盗賊「うむ…お前にゃ見込みがある」グイ

少年「放せぇ!!」バタバタ

盗賊「それで良い…だがな?もうちっと訓練が必要だ」ヒック ヨロヨロ

少年「姉御ぉ!!ゴメン失敗した!!」

盗賊「いやお前は成功した…見ろ…俺の腹にしっかり矢が刺さってる」タラー

少年「くぅっ…」ジタバタ

盗賊「見てろ…こうやって治す」ズボォ ボタボタ

少年「はっ…血が…」

盗賊「コレだ…傷口にこいつを入れてぶっ叩く訳よ…あら不思議…止血の完了」ドン プチ

オークの子「少年!大人しく飛行船に乗って…この人たちは本物…他の大人と違う」

少年「姉御…だったらどうして檻の中に」

盗賊「アホか…簡単に逃げちまうだろうが…痛つつつ」ヨロ

少年「何処に連れて行く気だ!?」

盗賊「秘密のアジトよ…ほんでお前等を鍛える…俺みたいなムキムキの戦士にな?」

少年「姉御信じて良いの?」

盗賊「あぁぁぁうるせぇうるせぇ…お前も檻に入ってろ!」ドン ガチャン

悪ガキ共「あぁぁ少年まで…」シクシク

盗賊「ふぅぅぅ…肉あんぞ?食え」ポイ

悪ガキ共「…」ジュルリ

盗賊「芋の方が良いか?生なんだが…」ポイ

少年「…」ジュルリ

盗賊「ちっと俺は寝る…その辺のもの適当に食って良いぞ…夜が明けたら出発だ」ウトウト

悪ガキ共「姉御…チャンスだよ…逃げよう」ガチャガチャ

オークの子「今の内に皆食べて…お腹一杯」

悪ガキ共「姉御は?」

オークの子「見張ってる…最後で良い」


盗賊「んがぁぁ…んががが…ぐぅ」zzz


悪ガキ共「ひぃ!」ビク

オークの子「大丈夫!寝てるから」


ガブガブ モグモグ ムシャムシャ


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814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:35:21.17 ID:pYa2Z27w0
『翌朝』


チュン チュン


盗賊「んがぁぁ…すぴーーー」zzz

僧侶「盗賊さん…コレどういう状況なんでしゅか?」ユサユサ

影武者「ハハハギャングは全員乗ってる様だね?随分ちらかされたなぁ」

僧侶「寒く無いんですかね?私炉に火を入れるです」カチカチ シュボ

盗賊「んあ?」パチ

僧侶「起きたですね?もうすぐ朝でし…」

盗賊「危ねぇ!寝過ごす所だったぜ…」ガバッ

僧侶「飲みすぎでし」

盗賊「炉は俺がやるからガキ共ちょっと寄せといてくれ…まだ人が乗る」ガッサ シュゴーー

僧侶「はいなー!!」

影武者「じゃぁ移民の人案内してくる」タッタ

盗賊「ガキ共は腹膨れたら寝ちまったみたいだな」

僧侶「もう荷物入れないですか?」

盗賊「おう!扉閉めといてくれ」

僧侶「よいしょー」バタン

影武者「皆さん荷物持って乗って下さい…2階部分が居室になります」


ドタドタ


盗賊「よーし!全員乗ったな?下の階が荷室になってっから要らん荷物はそっちに置いてくれ」ヨロ

盗賊「飛んでる間デッキに出ても構わんが落ちん様にだけ注意してくれな?」フラ

盗賊「目的地はハテノ村…大体2日で到着する」

盗賊「ちっと素行の悪いガキが一緒に乗ってるが出来るだけ問題おこさない様に頼む…じゃ飛ぶぞ?」グイ


フワフワ


盗賊「僧侶!縦帆開いてくれ!分かるな?」

僧侶「はいなーー!!」グイ バサバサ


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815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:36:11.20 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ビョーーーウ バサバサ


盗賊「僧侶!ブタの檻に入ってる2人のガキを出しておいてくれ」

僧侶「ほーい!」スタタ

影武者「あれ?盗賊さん腹から血が…」

盗賊「あぁコレな?昨夜あのガキ共に矢を撃たれてよ…応急処置はしたがちと傷開いたな」

影武者「痛くないの?」

盗賊「こんなもん舐めときゃ治る…あいつら毒使う事も知らん」

影武者「薬草を持ってるよ…処置しようか?」

盗賊「気が利くな?」

影武者「これくらいなら僕にも出来るさ」ガサガサ

盗賊「そろそろお前もフード脱いだらどうだ?」

影武者「髪が生え揃って居ないんだ」

盗賊「バンタナは知ってるな?海賊共が使ってるやつ」

影武者「うん…」

盗賊「荷室のどっかに入ってた筈だ…それ使え」

影武者「あぁ…」

盗賊「まぁ嫌なら良いけどよ…表情分からんと気味が悪い…ガキ共に距離置かれるぞ?」

影武者「自信が無くてね…」

盗賊「少し顔見せてみろ…俺はお前が誰なのか分からん」

影武者「じゃぁ少しだけ…」ファサ

盗賊「何だ普通じゃ無ぇか…顔出しとけ」---心に闇を抱えてるな---

影武者「恥ずかしいよ…」ファサ

盗賊「おい!僧侶!!オークの子を連れて来い」

僧侶「ほーい!!来いだってさ…おいで」グイ スタタ


スタスタ
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:36:58.10 ID:pYa2Z27w0
オークの子「…」ウツムキ

盗賊「…どう思う?」

影武者「え?どう思うって…普通だよ」

盗賊「そうだな?普通だ…でもよく見ろ」

影武者「え?何?」

盗賊「なんでうつむくと思う?」

影武者「それは…見られたくないから?」

盗賊「そうだお前等は同じなんだ…内に籠るな…さらけ出せ…前を見ろ」

影武者「…」ファサ

オークの子「…」チラ

盗賊「良いか?はっきり言ってお前等2人共俺から見りゃ普通な訳よ」

影武者「いや僕の場合髪の毛がまだ生え揃って…」

盗賊「そりゃバンタナで隠せば良い」

影武者「うん…」

盗賊「それでも見られたくないと思う理由は心ん中になんかトゲが刺さったままなんだ…抜いてみないか?」

影武者「抜く?…」

盗賊「内に籠ってちゃいつまでたっても抜けんぞ?ちっと表に出て見ようぜ?」

影武者「表に…」

盗賊「おい!僧侶!クソガキどもを全員デッキに連れてけ」

僧侶「外寒いですよ?」

盗賊「まだそんな高度上がって無ぇから海が見えんのは今の内だ」

僧侶「分かったでしゅ」スタタ

盗賊「まぁ影武者もちっと風に当たって来い…内に籠るのがアホみたいに感じるぞ?」

影武者「うん…」スタ

盗賊「おいおい一人で行くな!そいつも連れてけ」

オークの子「自分で行ける」スタ

盗賊「なんだ喋れるじゃ無ぇか…まぁ好きにして良いから!トゲ抜いて来い」


うわぁ!雲と同じ高さだ!

火山だ!火山が見える!

あれがキ・カイ?小さい…



ヒュゥゥゥゥ バサバサ
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:37:27.75 ID:pYa2Z27w0
オークの子「アンタ…取引きしないかい?」

影武者「ハハ面白いじゃないか…何を取引する気だい?」

オークの子「私らの仲間に興味は無いかい?入れてやっても良い」

影武者「因みに聞いておく…引き換えに何を?」

オークの子「バンタナ取って来てやるよ…」

影武者「…」---心を掴まれる---

オークの子「フフ…」

影武者「…」ファサ

オークの子「逃げる気だね?」

影武者「寒いだけさ…」

オークの子「どんぐり居るか?」

影武者「ハハ僕も舐められた物だ…そんな物…」グイ

オークの子「食えよ」グイ

影武者「ムグ…」---ゴミの味---

オークの子「私等それ食って生きてんだ…その味知ってるだろ?」

影武者「君は僕を知って…」

オークの子「仲間になる手順を教えてやる…まずゴミを食ったことが有るか無いかさ」

影武者「ハハ負けたよ…それにしてもマズイ」

オークの子「ごちそうだよ」


盗賊「お〜い!!誰か飯作れぇ!!腹減った」

僧侶「はいなー!!皆寒いから中はいるでし!!」ドタドタ

盗賊「…」チラリ


こいつらにはこいつらの物語がある

次の時代の主役だ

俺らはただ魔王を倒せば終わりって訳じゃ無ぇ

こいつらの中に居る魔王も退治し無ぇと意味が無い

まだ死ね無ぇなぁ…


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818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:38:19.62 ID:pYa2Z27w0
『名もなき島_古代遺跡』


ウィィィン プシューーー ポコポコ


商人「錬金術で組み合わさる訳じゃ無いのか…」

剣士「ホム姉ちゃんの部品が組み合わさった…良いの?これで?皮膚が無い」

商人「皮膚の部品は無かった…もしかすると足りて居ないのかも…」

剣士「このままじゃ可哀そうだよ…」

商人「この手順を記録する」カキカキ メモメモ


通りで錬金術では完全なホムンクルスが造れない訳だ…

生体の完成は多分自己治癒だ


剣士「ゾンビみたい…」

商人「ちょっと思い違いが在ったみたいだ…錬金術ですぐに完成すると思っていたけど…」

剣士「時間が掛かるんだね?」

商人「多分…この状態から自己治癒で皮膚と毛髪が生成されるのはもう少し先だね」

剣士「どのくらい掛かるんだろう?」

商人「ラヴ!どれくらいかかるか分かるかい?」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「一晩間を置いて治癒の具合を見て見ないと推定出来ないな」

商人「でもどれだけ時間が掛かるにせよ…一先ず成功だ!」
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:39:25.08 ID:pYa2Z27w0
『小舟のある砂浜』


ザザー ザブン


女オーク「剣士!?何処に行ったの?剣士!?」

剣士「あぁ…ここに居るよ」

女オーク「居ないから探したわ…何してるの?」

剣士「星を見てるんだ…おいでよ」

女オーク「望遠鏡で?」

剣士「いや望遠鏡で見るのは意味が無かった…見てよ今日は月が無い…空も澄んでる」

女オーク「本当ね…こんなに星が…」

剣士「それで望遠鏡で見て見たけど星は星のままさ…このまま見て居た方が綺麗だ」

女オーク「海にも星?」

剣士「海の中にもね…沢山の虫が居るんだよ?あの虫は光るんだ…見てて?ほい!従え!」


ユラー キラキラ


女オーク「あなたが操って?」

剣士「すごいでしょ?」

女オーク「ウフフ…」

剣士「あの星にも誰か住んでるのかな?行ってみたいなぁ」

女オーク「どうして光るのかしら?」

剣士「きっと太陽の反射だよ」

女オーク「こんなに沢山?」

剣士「何個あるんだろうね?」

女オーク「虫の光は何個あるの?」

剣士「ハハハ数え切れない…そうか星も数え切れないね」

女オーク「虫はどうして光を?」

剣士「光を使って他の虫を呼んで居るんだよ…虫は光を目指して飛ぶからね…」

女オーク「水の中で飛ぶっておかしくない?

剣士「水の中でも同じさ…」---あれ?---


光を見て飛んでる…

そうだ花粉…いや命の種を持ったまま飛ぶんだ

命を運ぶのは虫…

…なんか引っかかる

もしかして虫が命を運ばなくなったのか?


女オーク「剣士!じゃぁ先に帰って待ってるから…遅くならないでね」

剣士「ん…うん…もう気が済んだから行くよ」

女オーク「じゃぁ一緒に…ウフフ」
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:40:16.96 ID:pYa2Z27w0
『翌日_地下』


スタスタ


剣士「商人さん!」ユサユサ

商人「ハッ…」パチ

剣士「書き物しながら寝てたんだw」

商人「ホムンクルスは!?」スタ

剣士「昨日のままだよ…あ!違うコレ神経かな?何か成長してる」

商人「よし!遅いけど確実に成長してる…よしよしこれで僕が居なくなってもホムンクルスは生き延びる」

剣士「え!?商人さんはホム姉ちゃんに会いたいんじゃないの?」

商人「会いたい…でもそれは二の次さ…ホムンクルスが生き延びれば僕はこの命なんか要らない」

剣士「ダメだよ命を要らないなんて言ったら…命は生かされてるんだから」

商人「ハハそうだね…精一杯守るさ」

剣士「それで今日からどうする?」

商人「しばらく間が必要なのは分かった…危険を承知でオークの地まで行こう」

剣士「お?ウンディーネの居る所だね?」

商人「場所は分かってる…まず様子が見たい」

剣士「おけおけ!空から見るだけなら大丈夫さ…ハイディングもあるしね?」

商人「準備するから少し待って」

剣士「うん…」コロン


チャプン


剣士「ん?瓶の中にエリクサー?…そして外部メモリ」

商人「あぁぁそれに触らないで」

剣士「商人さんコレもしかして…」

商人「僕に何か有ってもこれで確実にホムンクルスが蘇る…まぁ保険さ」

剣士「ねぇ止めようよそういうの…死神はそういうのに敏感なんだよ」

商人「死ぬ気は無い…只僕達の力ではどうしようも無い事もある…君も見ただろう?海を漂う流氷を」

剣士「商人さんも気付いたんだね…オークシャーマンの力を」

商人「だから保険を掛けてるのさ…死ぬ気なんか全然無いしもう一度彼女に会いたい…最善を選んでるだけだよ」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「分かってる…さぁ行こう!」


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821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:41:11.54 ID:pYa2Z27w0
『数日後_東オーク領上空』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「大洪水の跡だ…ほとんどの村が水に浸かってる」

商人「セントラルで起きた津波と状況は似て居そうだ…雪が降って居るのもね」

女オーク「酷い…助けないと」

剣士「君は東オークと戦って居たんじゃないの?」

女オーク「オーク同志戦いたいなんて誰も思ってない…命令に背けないだけなの」

商人「東オークにはオークシャーマンは居ないのかい?」

女オーク「オークシャーマンは西オークにだけ居る…オークシャーマンに従わないオークが東オーク」

商人「なるほど…」

剣士「東オークの肌が青いのもオークシャーマンの呪い?」

女オーク「そうよ…命令に従わないオークに呪いが掛かるの…強化も無いから弱い」

商人「弱い?ならどうして勢力が硬結してる?」

女オーク「西オークは数が少ない…東オークはすごく多いわ」

商人「じゃぁほとんどのオークがオークシャーマンに従って居ない訳か」

剣士「どうして?オークシャーマンは寛容なんじゃなかったっけ?」

女オーク「オークシャーマンはオークの裏切り者だから」

商人「ハハーン…力を独り占めして独立って事だ」

女オーク「オークシャーマンがウンディーネを欲しがらなければ戦争は起きない」

商人「逆に東オークはウンディーネを渡したら戦争終わるよね?つまり戦争を起こしてるのは東オークだ」

女オーク「え?」

商人「戦争を終わらせたいならウンディーネを渡せば良いだけ…その判断が出来ないから沢山のオークが犠牲になる」

剣士「東オークがウンディーネを守る理由は?」

女オーク「それは…私は西オークだったから分からない…オークの神を守るのは理由にならないの?」

商人「う〜ん…なんか逆な気がするなぁ…勘だけど」

剣士「ねぇどうしてオークシャーマンは自分に従わないオークを従わせる呪いを掛けない?なんかやり方が半端だ」

商人「そうだね…あれだけ力があるなら強制的に従わせれば良いだけだね?おかしい」

女オーク「それは…」

剣士「オークシャーマンは従わないオークも許してる…わざわざ半端な呪いでなにか導いてる」

女オーク「人間と結ばれれば呪いが解ける」

商人「それは人間との交配の促進だ精霊ウンディーネも恐らくそれを支持してる」

剣士「もしかして東オークは純血ばかりなのでは?」

女オーク「そうよ?でも西オークも強いオークはみんな純血…ハーフオークは大体野良オークね」

商人「それだね?交配を推進してるのが西で否定しているのが東だ…でもどちらも人間と結ばれれば呪いが解ける」

剣士「確か純血のオークは体も大きくて強かったね?それを守りたいオークが東なんだね?」

女オーク「大体そうよ?…でもどうしてウンディーネと関係が?」

商人「簡単さ…ウンディーネは交配の促進を加速する…だから渡したく無いんだ…純血を守る為にね」

剣士「人間の生活圏から遠く離れて居るのもそういう理由だろうね」

商人「やっぱりウンディーネのあるべき場所は西オークだね…東オークがそれを邪魔してるんだ」


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822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:42:07.95 ID:pYa2Z27w0
『東オーク砦』


シュゴーーー バサバサ


商人「多分あの砦の何処かに古代遺跡が有る筈だよ…」

剣士「雪のせいで望遠鏡が良く見えない…」

商人「ハイディングしたまま調査出来ないかな?」

剣士「危ないなぁ…オークはエルフと同じで狭間を見破る」

商人「ええ!?そうだったのか…」

剣士「ママは良く爆弾で注意逸らせて調査してたけど必ず時間を決めて行動したんだ」

商人「どれくらいの時間?」

剣士「1分か2分…それ以上かかると気付かれる」

商人「短すぎる…」

剣士「あと商人さんは足が遅すぎるからダメだよ…行くなら僕一人」

女オーク「私は?剣士一人は危ない」

剣士「君もダメ…足音が消せない」

商人「参ったね」

剣士「僕は睡眠魔法が使える…ハイディングと合わせて行けばなんとかなるよ」

商人「それなら僕も行けるじゃ無いか」

剣士「調査にどのくらい掛かるか分からないし…オークにどの程度利くのかも分からないんだ」

女オーク「私の睡眠時間は1時間から2時間ね」

商人「直ぐに起きる可能性が高いんだ…」

剣士「うん…僕が一人で居りて調査終わったら光で知らせる…だから上空で待機しておいて欲しい」

女オーク「飛空艇の操縦は任せて」

商人「じゃぁ僕は見張るかな」

剣士「詠唱を始める…降下して行って合図したらリリースして」

女オーク「うん…」グイ バサバサ

剣士「アブラカタブタチチンプイプイノプイメスメライズ…今!」

女オーク「リリース」スゥ


オーク「ウゴ!?」


剣士「広範囲睡眠魔法!」モクモクモク

剣士「そのまま高度上げて上空で旋回!僕は飛び降りる!」パカッ ピョン シュタ

女オーク「商人さん扉閉めて!」グイ 


シュゴーーーーー バサバサ


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823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:43:37.45 ID:pYa2Z27w0
『1時間後』


商人「遅いな…ハイディングしたままだったとして数時間は調査してる筈」

女オーク「まだオークに動きがないから大丈夫よ…」

商人「しかし手薄だね…10人程度しか見えない」

女オーク「まさかいきなり攻めて来るなんて思って居ないでしょう?」

商人「こんなに手薄ならオークシャーマンが来れば良いのに」

女オーク「西オークには気球が1台しか無いの…それもフィン・イッシュから貰った物だけ」

商人「あーなるほど…ハイディングも出来ないか」

女オーク「船も1隻しか持って無い」

商人「それもフィン・イッシュからの船?」

女オーク「そうよ…西オークには船を作る技術も何も無いから」

商人「東オークは?」

女オーク「同じ…オークは物を作るのに長けてない」

商人「なるほどね…エルフも同じだな…船も気球も無い」

女オーク「だから人間に憧れる…本当は人間が大好き」

商人「それは西オークの発想なんじゃないの?」

女オーク「そうかもしれない…でも人間が好きなオークは沢山居る」


ドコーーン!!


女オーク「え!?」

商人「ワームだ!!マズイ何か起こってる!!」

女オーク「行く!!」グイ シュゴーーーー バサバサ

商人「剣士が見えない…どこだ!?」

女オーク「オーク達が一斉に動き出した」

商人「西だ!!西方向に向かってる!!」

女オーク「こっちにも気付かれた…」

商人「まさか何か撃って来る?…あのオークでかいな…まるでトロールだ」

女オーク「商人!!ロープ垂らしておいて!!」

商人「分かった!」スルスル


シュン バキバキ!


商人「うわぁぁ!!でかい矢が貫通した…」

女オーク「純潔のオークが使う弓矢は槍よりも大きい」

商人「応射しないとオークの足が止まらない…」

女オーク「オークの足を止めて!剣士が危ない!」

商人「当たれぇ!!」バシュン バシュン

女オーク「居た!!間に合う…」グイ シュゴーーーー

商人「ダメだオークが止まらない…」バシュン バシュン

女オーク「剣士がロープ掴んだら教えて!逃げる!」

商人「もう少し…もう少し…掴んだ!!飛んで!!」

女オーク「上がって!!」グイ バサバサ


シュン グサ!!
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:44:28.05 ID:pYa2Z27w0
商人「あああああ剣士に当たった…」

女オーク「商人操縦変わって!私が引き上げる!」ダダ グイ グイ

商人「どど…どうすれば?これか?」グイ シュゴーーーー

女オーク「剣士!!剣士!?」グイ グイ

剣士「うぅぅぅ…」ボタボタ

女オーク「掴まって!」グイ ギュゥ

剣士「ハハ…ギリギリせーふ」ハァハァ

女オーク「矢が背中まで貫通してる…どうしよう」オロオロ

剣士「線虫してある…そのまま抜いて…ぅぅぅ」ポタポタ

女オーク「ふんっ!」ズボォ ブシュー

商人「血が噴き出して…」

剣士「強く押さえて置いて?直に塞がる」

女オーク「…」ギュゥゥゥ

商人「エリクサーが少しある…飲んで」クィ

剣士「その味キライなんだぁ…うげぇ」ゴク

女オーク「もう危険な事は禁止!これは命令!」プルプル

剣士「ハハちょっと調子に乗り過ぎた…反省してる」

商人「何があった?」

剣士「これみて?オークの旗印…これ持って帰って来た」バサ

商人「ええ!?」

剣士「ダンゴムシだよ…なんでか分かるよね?」


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825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:46:24.43 ID:pYa2Z27w0
『帰路』


シュゴーーーー バサバサ


商人「…という事はやっぱり石造になってる訳だ」

剣士「器に横たわって石化してた…その他の機械は全部風化しでグズグズだったよ…ガラスの容器も部品も無い」


大きなオークはね…石造に花を添えてお祈りしたまま寝て居たよ

もう分かった…オークは純粋に石造になったウンディーネが蘇るのを信じてる

たったそれだけ…それを単純に奪われたくないその一心だ


商人「純血のオークは石造になったウンディーネを何千年もただ守ってると…」

剣士「うん…それでオークシャーマンも同じように蘇らせたい一心なんだよ…ただ少し噛み合ってない」

商人「それで何年も争い合ってるなんて…」

剣士「きっともうあの石造が蘇らない事を知らないんだよね…なんか無駄な争いだ」

女オーク「教えてあげれば戦争は無くなる?」

剣士「そうだと良い…オークシャーマンは僕達の言う事聞いてくれるかな?」

女オーク「分からない…」

商人「ホムンクルスを直接連れて行けば良いかも知れないけど…なんかまた危険に晒しちゃうな」

剣士「…それと遅くなった理由はね…遺跡の中に石板がいくつかあったんだよ」

商人「何か分かったんだね?」

剣士「オークはね…違う星から来た様だよ」

女オーク「え!?」

剣士「この飛空艇みたいな物に乗って別の星から来た画があった」

商人「オークの起源か」

剣士「東オークが石造を守る理由はさ…そこに帰りたいんじゃないかな?それを信じてるんだと思う」

商人「守り通す動機はそれか?…」

女オーク「知らなかった」

剣士「そしてこの旗印だよ…きっとママが関係してる」グッ

女オーク「西オークの旗印にもダンゴムシが描かれているわ」

剣士「船に旗印あったね…気が付かなかったよ」

商人「オークの起源に絡んでいるとは驚きだね…」

剣士「僕さ…オークシャーマンと話した事あるけど悪いオークだとは感じなかった」

商人「今の話からすると悪意を持って戦争してる訳じゃ無さそうだ」

剣士「僕達と同じ様に結構ギリギリな感じで一人で向き合ってる様な気がする」

商人「そうだ!西オークってどれくらいのオークが居るの?」

女オーク「200人くらいよ」

商人「え!?たったそれだけ?それで戦争なんて…」

女オーク「強化しているから他のオークには負けない」

剣士「ほらね?なんていうかな…魔女が一人で立ち向かってるみたいな感じ…でも肝心な事を知らない」

商人「分かりやすい…なるほどいろいろ秘密が解けてきた」
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:47:23.86 ID:pYa2Z27w0
西オークは殆ど領土も無いから食料が無い…だから豪族からどんぐりを入手する

戦う戦士が少ないから死霊術で沢山のゾンビを操る

一方東オークは強い西オークの戦士に対抗する為にフィン・イッシュから武器を入手してる

見返りにフィン・イッシュの戦力としてオークが少し駐留している訳だ

その結果セントラルはフィン・イッシュを攻め切れない

バランスを変える可能性があるのが今や海洋をほぼ支配している豪族だ

豪族の足並みがバラバラなお陰でドワーフの国もフィン・イッシュも攻め切られないでいる



剣士「もうバランスは変わってる…オークシャーマンは古代魔術の力を得た」

商人「そうだったね…」

剣士「それからもう一つ…環境の激変でこれからどう転ぶか予測できない」

商人「それを早く止めさせたいな…北の大陸もどうなってるのか想像もつかないよ」

剣士「オークシャーマンにどうにかして事の真相を伝えたい…」

女オーク「船の行先も知らない…探しようが無いわ」

剣士「そうだ!!念話だ…魔女なら念話が出来るかもしれない…」

商人「魔女の居場所は?」

剣士「千里眼!…ダメだ見えない…多分狭間の中に居る」

商人「一先ず北に向かおうか」



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827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:47:55.81 ID:pYa2Z27w0
『随分前_シン・リーン城』


”…わかった…船を港町の沖へ移動させる…港町で落ち合おう”


魔女「母上…ちぃとわらわは旅に出る」

女王「では近衛を2名同行させない」

魔女「要らぬ…女戦士と情報屋を従士として同行させる故心配は無用じゃ」

女王「行先は何処へ向かうのですか?」

魔女「未だ決定はして居らぬが南の大陸じゃろうのぅ」

女王「貝殻は常に持ち歩いておくのですよ?」

魔女「分かって居る…では行って参る」ノソノソ


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『客室』


ガチャリ バタン


魔女「待たせたのぅ…出立の準備が出来たで港町まで気球で行くぞよ」

女戦士「そこでアサシンと合流だな?」

魔女「うむ…奴も妹の墓参りがしたいそうじゃ…落ち合うのは墓所じゃな」

女戦士「私はこのまま手ぶらで良いか?」

魔女「何も無いとは思うが…一応帯剣を用意させるで持って行け」

女戦士「十分…」

情報屋「あなた達2人…年を取って居なくて羨ましい」

魔女「シワくらいは取ってやっても良いぞ?」

情報屋「お願いしたいわ…なんだか釣り合わないもの」

魔女「変性魔法!」シュワワ

情報屋「副作用とかは?」

魔女「魔力に制限が出るが主には関係なかろう」

情報屋「よーし!やる気が出て来た」

魔女「体力は元のままじゃで無理はせぬ様にな?」

女戦士「フッ…狭間の中での修行で私も得をした様だ」

情報屋「本当羨ましい」

魔女「では行くぞよ…」ノソノソ
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:48:25.85 ID:pYa2Z27w0
『気球』


フワフワ


近衛「ささっ…お乗りください」スス

魔女「高々港町へ飛ぶのに何台の気球を使う気じゃ…この気球だけで良い!」ノソノソ

近衛「いやしかし…」

魔女「無駄じゃ!他の気球は別の用途へ回せ」

近衛「承知!」

魔女「女戦士と情報屋は寛げい」

女戦士「ふっ…」スタ

情報屋「お言葉に甘えて…スタ

近衛「ではご安全に…出せ!」

操者「はい!!」グイ


フワフワ



『上空』


ビョーーーーウ バサバサ


女戦士「未来は今どうしている?」

魔女「どこぞを旅して居る…良い仲間が居る様じゃで心配無用じゃ…思惑通りキ・カイへ向かえば良いが…」

女戦士「そうか…私はもう10年以上も顔を見て居ない」

魔女「会うのを楽しみにしておれ…資質はわらわ以上じゃで」

情報屋「魔女を超えていると言う事?」

魔女「わらわには思いつかん工夫があるのじゃ…流石女海賊の血を引いとる」

情報屋「爆弾と魔法を組み合わせると言う様な感じなのね?」

魔女「うむ…考えもつかん様な事をやり居る…柔軟なんじゃな」

女戦士「フフ…」トーイメ
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:49:28.75 ID:pYa2Z27w0
『港町』


フワフワ ドッスン


魔女「ふぅぅやっと自由の身じゃ」

情報屋「今日は領主の砦で休む?」

魔女「否…飽きたで宿で休むぞよ」

情報屋「フフ王室の縛りから逃れたのね…じゃぁ宿を取って来るわ」

魔女「アサシンが現れるまでしばし自由じゃ…宿を拠点に待つとしよう」

女戦士「では降りるぞ?」スタ

魔女「これ待て…主らに金貨を渡しておく…自由にせい」ドサ

情報屋「こんなに…」

魔女「母上に持たされたのじゃがわらわは使い道が無い…主らで自由にせい」

女戦士「頂く…上手く使わせてもらう」ジャラ

情報屋「じゃぁ私も…」ジャラ

魔女「わらわは酒場で飲んで居るでな?」ノソノソ

操者「お気を付けて」ビシ



『広場』


ワイワイ ガヤガヤ

寄ってらっしゃい見てらっしゃい!キ・カイ産のアクセサリーだよー!!

魔石あるよー!買うなら今の内だぁ!!

ミスリル製の武器に防具見てってくれぇ!!


情報屋「宿取って来たわ…女戦士は何か買うつもり?」

女戦士「いや…見て居るだけだ」

情報屋「金貨沢山貰ったのだから装備品を揃えてみては?」

女戦士「帯刀だけで構わん」

情報屋「そう?…じゃぁ私は少し買い物を…」

女戦士「港に豪族の船が2隻入っているな…騒ぎが起きねば良いが」

情報屋「騒ぎとは?」

女戦士「魔女から何も聞かされて居ない様だな?」

情報屋「え?何?」

女戦士「私は豪族に追われているらしい」

情報屋「らしい…って魔術の修行をしていたのでは?」

女戦士「ドワーフの国の領地を豪族が占領していてな…関係が悪いのだ」

情報屋「それで娘のあなたを捕らえようと…」

女戦士「どうせヘタレ共だ…気にする事でも無い」

情報屋「一応フードで顔は隠しておいた方が良さそうね」

女戦士「隠者を装っておく」

情報屋「買い物で装備を整えられない訳ね…」

女戦士「フフ…本当はもっとおしゃれをしたいのだがな」
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:50:12.93 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ドゥルルルン♪


おい!金は出すって言ってんだろ…お前娼婦だよな?

何度言ったら分かるのじゃ…売らんと言うとるじゃろう

けっ!!なんだよ思わせ振りやがって

痛い目を見んと分からん様じゃな…去れ!

お!お!お!足が勝手に…おいおい俺は何処に向かって


店主「いらっしゃいませ…2名様で?」

情報屋「連れが先に来ているかと…」

女戦士「カウンターだな」

店主「左様で…お飲み物は如何いたしましょう?」

情報屋「ハチミツ酒で良いわね?」

女戦士「構わん…」

情報屋「2杯お願い…」ジャラリ

店主「すこしお待ちを…」スタ

情報屋「魔女!?来たわ」

魔女「おぉ!主らを待って居った…娼婦に思われて困って居る」

女戦士「目は隠しておいた方が良いのでは?」

魔女「面倒じゃ」

情報屋「魔女は素のままの姿で良いの?」

魔女「構わぬ…誰も気付いて居らん」

女戦士「肝が据わっていると言うか…まぁどうという事も無いな」

店主「ハチミツ酒をお持ちしました…どうぞ」

情報屋「どうも…」クィ プハァ

女戦士「しかし魔女…豪族を自由にさせ過ぎでは無いか?」

魔女「政務は母上じゃ…豪族と関わるなとは進言して居るが仕方ないのぅ」

情報屋「ドワーフの国が侵略を受けているとか?」

魔女「聞いて居る…追撃されぬ様にアサシンが暗躍して居るのじゃ」

情報屋「そうだったの…」

魔女「豪族の叩き過ぎは経済が回らんくなるで中々難しい様じゃ」

女戦士「あの馬鹿共が豪族とはヘドが出そうなのだが…致し方ないという事か」

魔女「詳しくはアサシンに聞いた方がよかろう…わらわは部分的にしか知らんでのぅ」


ワイワイ ガヤガヤ

おい見ろよ…カウンターに3人良い女が居るぞ?

あれは誘われ待ちだな?どうする行って見るか?


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831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:50:59.52 ID:pYa2Z27w0
『宿屋』


ヒソヒソ

これお代だ…又指名するな?

じゃぁ戻るわ…指名するならもっと早い時間に来ないと居ないかもしれないわ…じゃ!


魔女「…」ノソノソ

情報屋「…」スタスタ

女戦士「…」ツカツカ


ガチャリ バタン



『大部屋』


魔女「商売の女が多いのぅ…わらわは肩身が狭いわ」

情報屋「豪族からお金を搾り取るなら体を売るのが早い様ね…」

魔女「フィン・イッシュは更に多いらしいが大丈夫なんかのぅ?」

情報屋「でもお陰で経済が潤ってる所もあるし…悪い事とも言い切れないわね」

女戦士「こう何度も声を掛けられる様では酒場には行きにくい」

魔女「そうじゃな…色目を付けられるのも気色悪いで大人しゅうしとる」


アハ〜ン ウフ〜ン ドタバタ


情報屋「隣の部屋の声も聞こえて来るし精神衛生に良く無いわね」

魔女「沈黙の魔方陣を張るで待って居れ」ノソノソ

女戦士「さて私は横になる」ドサ

情報屋「2〜3日はこれが続くのね…調査記録でも纏めようっと」


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832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:51:55.13 ID:pYa2Z27w0
『数日後』


ガチャリ バタン


情報屋「魔女!」

魔女「んん?」

情報屋「船乗りの噂で沖の方に幽霊船が居るって…アサシンよね?」

魔女「おぉ…やっと来た様じゃな」

女戦士「今し方墓所から戻ったのだが…もう一度行くか?」

魔女「そうじゃな…すれ違ったのやも知れぬ」

女戦士「では行こう」スック


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『街道』


ザワザワ ドタドタ

海賊王の娘が補給に来て居るらしい…手分けして探せ!

船に乗ってる奴ら叩き起こして来い


女戦士「…」スタスタ

魔女「主も肩身が狭かろう」ノソノソ

女戦士「馬鹿共に呆れている」

魔女「少し痛い目を見させてやりたいのぅ…」

女戦士「構うな…馬鹿が移る」

情報屋「宿屋で顔を見られて居るのに気付かなかったのかしら?」

女戦士「だから馬鹿なのだ…下半身で考えて居るからな」


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833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:53:02.91 ID:pYa2Z27w0
『ユートピアの墓』


サワサワ ヒュゥゥゥ


魔女「う〜む…まだ来て居なさそうじゃ…」

情報屋「見て!豪族の船が沖に2隻」

魔女「幽霊船を探しておるんじゃろう…狭間に居るで見つかる訳無いじゃろうが…」


アサシン「リリース」スゥ


魔女「おぉ!!隠れて居ったか…」

女戦士「アサシン…私の体は堪能したか?」

アサシン「クックックお前の体に興味は無い…魔女…この体は重い…元に戻してくれ」

魔女「変性魔法!」シュワワ

アサシン「はぁぁぁ何年振りか…」

女戦士「ローグはどうした?」

アサシン「別行動だ…セントラルに潜伏している」

女戦士「私の資産は無事だろうな?」

アサシン「触って居ない…それで魔女?私は状況が読めて居ない…説明して欲しい」

魔女「ここで立ち話ものう…幽霊船に行けぬか?」

アサシン「行っても良いが少し補給もしたい…ワインを調達したいのだ」

情報屋「仕入れて来るわ?何処に持って行けば?」

アサシン「ここの東に入り江が有るのを知って居るか?そこに小舟を置いてある」

情報屋「知ってる…そこに持って行けば良いのね?」

アサシン「樽で二つ程欲しいが運べるか?」

情報屋「ここに荷車が置いてあるから大丈夫よ」

魔女「では先にその入り江へ行ってそこで話を聞かせてやろう」

アサシン「案内する…付いて来い」スタ
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:53:52.87 ID:pYa2Z27w0
『東の入り江』


ザブン ザザー


魔女「…という訳じゃ…未来の先回りをするのに幽霊船がよかろうと思って居る」

アサシン「では海士島付近が一番動きやすいのだが…」

女戦士「なぜそこに?」

アサシン「船を隠す無人島が有ってな…そこが拠点なのだ」

魔女「まぁ良い…ここに居るよりは余程動き安かろう」

アサシン「それで私から質問なのだが…オークシャーマンだったか?それは西なのか東なのか?」

魔女「西も東も分からぬ…何故その様な質問をするのじゃ?」

アサシン「フィン・イッシュが武器を大量に東オークへ支援している…関連がありそうだ」

魔女「大戦が控えて居ると?」

アサシン「いや分からん…ただ武器の供給元が知れるのはフィン・イッシュが攻められる口実になる」

魔女「オークが攻めて来るとは考えにくいがのぅ」

アサシン「オークシャーマンが西側だった場合武器の供給元を断ちたい思うだろう?」

魔女「ふむ…そういえば暁の墓所に来たオークは気球で移動しとった様じゃ」

アサシン「それからアダムの件…子供が生まれない原因はアダムと見て間違い無いのか?」

魔女「調査はさせて居るが確定では無い…じゃで動き辛いのじゃ」

女戦士「未来はもう行動している」

魔女「そうじゃな…見定める前に先走るのを防ぎたいのじゃ」

アサシン「わかった…状況は大体把握した」

女戦士「ローグとはどう接触するのだ?」

アサシン「船を隠す無人島に定期的に情報を持ってくる…待つしかない」

女戦士「なぜ別働を?」

アサシン「豪族の分散を狙っている…纏まるとドワーフの国は船をすべて失うぞ?」

女戦士「それほど戦況が悪いか…」

アサシン「火薬の保有量が決定的に違う…豪族に指導者が居ないのが救いだ」

女戦士「もしや海賊王の娘が狙われて居るのは…」

アサシン「私が囮になって居たのだ…豪族を散らす為にな…その誘導の為にローグがセントラルに潜伏している」

魔女「では主は逃げ回って居るのじゃな?」

アサシン「場所を変えながらうろつくだけの簡単な仕事だ…どうという事は無い」

女戦士「フフあの馬鹿共め…」

アサシン「ここらで少し知らしめてでも置くか?忙しくなってしまうだろうが」

女戦士「馬鹿は死んでも治らん…放置だ」

魔女「奴らを骨抜きにするなぞ簡単じゃぞ?女に変性させるだけじゃ」

女戦士「反吐が出るから止めてくれ」
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:54:54.87 ID:pYa2Z27w0
『小舟』


ドッスン ドッスン


アサシン「さぁ乗ってくれ…幽霊船は少し沖だ」

魔女「わらわ達の食料はあるんじゃろうな?」

アサシン「クックック幽霊船ではな?誰も食料を必要としない…私を含めてな」

情報屋「え!?じゃぁ何も乗って無い?」

アサシン「魚を釣れば良かろう…水は雨水だ」

魔女「しもうたな…何か買って来れば良かったわい」

アサシン「倉庫は10年前から何も触って居ない…探せば何か有るだろう」

情報屋「船には誰が乗ってるの?アサシン一人じゃ動かせないでしょう?」

アサシン「ゾンビを使役して使って居る…肉は削げ落ちてスケルトンになってしまったが」

女戦士「フフ本物の幽霊船をやっていた訳か」

アサシン「補給がワインだけで良いのだ…ラクな物だ」

魔女「10年も経って何が食えるじゃろう…」

アサシン「正確には殆ど狭間の中だ…それほど劣化はしていないと思うが」

情報屋「良かったわね…保存食は残って居そう」

魔女「海士島で補給じゃな」

アサシン「好きにしろ…隠れて逃げ回るのも飽きた所だ」
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:55:49.63 ID:pYa2Z27w0
『幽霊船』


カララン カコンカコン


魔女「船員がすべてスケルトンというのは気味が悪いのぅ…」

アサシン「これ以上ラクな航海は無いぞ?スケルトン!船を出せ」


スケルトン達「カタカタ…カタタタ」ドタドタ


魔女「このスケルトンは何処で使役したのじゃ?このままでは成仏せんが…」

アサシン「クックック…性の悪い豪族の成れの果てだ…海に捨ててもいつの間にか船に戻って居る」

魔女「使役が継続しとるのじゃな」

アサシン「よほどこの船が好きらしい…使われて本望だろう」

女戦士「ゾンビのままよりは衛生的か」

アサシン「さてこのまま海士島に向かって良いのだな?」

魔女「構わぬ…ちとゆるりとしようかのぅ」

アサシン「少し仕事をして行く…折角港町へ来たのだ豪族の足並みを乱すチャンスだ」

女戦士「フフ面白い…お手並み拝見させてもらう」

アサシン「女戦士は着替えて来い…海賊王の娘を見せてやれ」

魔女「わらわは見物じゃな」

情報屋「私も…」


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837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:56:38.13 ID:pYa2Z27w0
『豪族の船』


ザブ〜ン ギシギシ


豪族の頭「幽霊船に追いつけるかぁ!?」

船乗り「こっちの方が早い筈なんすがねぇ…何故か追い付けない」

豪族の頭「船首に大砲移動させろぉ!」

大砲主「こんな距離じゃ当たりやせんぜ」

豪族の頭「黙ってやれぇ!!」

大砲主「へいへい…」

豪族の頭「ぐぬぬスループ船に先を越されるだろが!早く撃てぇ!!」


ドコン ドコーン


大砲主「あのスループ船巻き込んじまいやすぜ?」

船乗り「幽霊船見失いそうだぁ!!見張りは望遠鏡で追ってくれぇぇ!!」

見張り「進路右に回頭してる!!距離詰めるチャンスだ!!」

豪族の頭「面舵!!」

船乗り「へいへい!!」グルグル

豪族の頭「んあ?霧か?」

見張り「あぁぁ何だ暗くなって…こっちも見失いそうだ!!」

野郎共「左舷後方!!海賊船!!」

豪族の頭「何処の船だ?俺らより早い船か?」

野郎共「いや…あれは幽霊船でがす」

豪族の頭「なんだとぅ!?2隻居るのか?面舵いっぱーい!!右舷に大砲移動させろぉ」

船乗り「後ろの幽霊船の前に出るんすか?」

豪族の頭「進路塞げ!!」

船乗り「へいへい!!」グルグル

見張り「左舷後方の幽霊船が遠ざかって行く!!」

豪族の頭「だぁぁぁコケにしやがって!海賊王の娘のヤロウ!」

船乗り「左舷前方にも幽霊船!ニアミスする!」


ザブ〜ン ユラ〜 ギシギシ
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:57:21.27 ID:pYa2Z27w0
豪族の頭「なんだ…と?」

野郎共「スケルトンが舵持って居やがる…」

大砲主「大砲の移動が間に合わん…」ドタドタ

見張り「デッキに女が見える!あれは海賊王の娘だ…」

豪族の頭「クソがぁ!そのまま回頭して追え!」


シュン ストン


豪族の頭「うお!!撃って来やがった…」

船乗り「逃げろぉぉぉ!爆弾だぁぁ!」ピョン ザブン

豪族の頭「どわぁぁぁ…」ダダダ


ドカーン パラパラ


豪族の頭「…」ボーゼン

野郎共「メインマストが倒れるでがす!!」メリメリ ガッサー

豪族の頭「幽霊船の向かってる方向は!?」

野郎共「セントラル方面でがす…」

豪族の頭「くそぅ…港町まで戻る!飛び降りた奴ら回収しろぉ」
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:58:07.34 ID:pYa2Z27w0
『幽霊船』


ザブ〜ン ユラ〜 ギシギシ


情報屋「フフ豪族の人達バタ付いてる…」

アサシン「女戦士…一発挨拶でもしてやったらどうだ?」

女戦士「フフ…そうだな?」チリチリ


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馬鹿共「スケルトンが舵持って居やがる…」

馬鹿共「大砲の装填間に合わん…」ドタドタ

馬鹿共「デッキに女が見える!あれは海賊王の娘だ…」

馬鹿共「クソがぁ!そのまま回頭して追え!」


-----------------


女海賊「食らえ…」ギリリ シュン


ドカーン パラパラ


魔女「翻弄するのは簡単なのじゃな?数回ハイディングしただけじゃ」

アサシン「だろう?こうやって適当に幽霊船を見せておけば豪族は足並みが崩れる」

女戦士「なかなか捕まえられない幽霊船をいつまでも追うとはな」

アサシン「ローグがありもしない高額賞金を懸けているのだ」

女戦士「私を掴まえればか?」

アサシン「クックック本当に豪族は頭が悪い」


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『荷室』


ガチャガチャ


女戦士「どうした?呼んで居ると聞いて来たのだが?」

情報屋「ここに乗せている器具類…これは何処で手に入れた物?」

女戦士「あぁソレか…私は良く知らないのだ…多分黒の同胞団の隠れ家だとは思うのだが?」

情報屋「これシャ・バクダ錬金に用いる器具類よ」ガチャガチャ

女戦士「使えるのか?」

情報屋「部品が全部揃っていれば修復出来るかも知れない」

女戦士「その辺の物はローグが詳しい筈だ…魔石もウラン結晶も全部ローグが回収してきた」

情報屋「この資産で豪族の資産全部を超えていると思うわ」

女戦士「フフそうか…金には興味無いが修復して何か出来そうか?」

情報屋「賢者の石の生成ね…材料が解明できるかもしれない」

女戦士「修復出来ればやっても構わん」

情報屋「破断している個所をどうするかだけど…」

女戦士「魔女に相談してみろ…突き合わせて変性魔法で金属は安定させられた筈だ」

情報屋「わかった…まずバラバラになった器具のパーツを合わせてみる」

女戦士「やる事が出来て良かったな?」
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:58:54.48 ID:pYa2Z27w0
『甲板』


魔女「そこに横になれ」

アサシン「こうか?」ドタ

魔女「不死者の体は自己修復せんで不便じゃな…回復させるぞよ?」

アサシン「頼む」

魔女「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

アサシン「…」クイ クイ

魔女「どうじゃ?骨は繋がっておりそうか?」

アサシン「ふむ…良いな」

魔女「痛みが無いで折れても気付かんのじゃな」

アサシン「その通り…いつの間に動きが悪くなる」

魔女「エリクサーは足りて居るか?」

アサシン「体液がすべてエリクサーに入れ替わってからは少量で良くなった」

魔女「ほう?」

アサシン「喉の渇きだけ依然と変わらん…ワインが一番必要だ」

魔女「主を絞ればエリクサーが出て来る訳じゃな?」

アサシン「フフまぁそういう事だろう…お陰で体表面からの揮発も少ない」


スタスタ


女戦士「大きな船に一人乗って良く退屈を凌げたな?」

アサシン「クックックその苦痛を想像出来るか?」

女戦士「どうだ?暇つぶしに立ち合いでもやって見るか?」

アサシン「今魔女に治癒してもらったばかりなのだ…また損傷させると心象悪かろう…」

魔女「わらわも暇じゃ…観戦させい」

女戦士「…という事だ」

アサシン「ヤレヤレ…」ノソリ
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:59:55.11 ID:pYa2Z27w0
『決闘』


カーン カーン キーン


アサシン「余裕そうだな?こうも簡単に凌がれるか」ブン スカ

女戦士「私はどう見えている?」

アサシン「リッチと同じだ…動く先2歩向こう側を狙っても当たらん」

女戦士「切り込んでみて良いか?」

アサシン「降参だ…勝てない相手とは戦わない主義でな」クルリ スタ

魔女「ふむ…女戦士や?主の弱点は決め手が無い事じゃな…守備は満点じゃが攻勢で火力が足りぬ」

女戦士「自覚している…だから妹のデリンジャーを併用しようと思う」

魔女「そうじゃな…ここぞでデリンジャーが良かろう」

アサシン「もう盾は使わんか?」

女戦士「小型のバックラーと肩当で十分だ」

アサシン「もはや死角無しか…フフ」


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『数日後_無人島』


ザブン ザザ〜


魔女「良い隠し場所では無いか…この島には何か有るのかえ?」

アサシン「何も無い…水も湧かないから誰も立ち寄らん」

女戦士「気球はここに隠してあるのか?」

アサシン「そうだ…ちょっとした私の休憩所にしている」

女戦士「ローグはここにどうやって来る?」

アサシン「自前の船だな…割と良い船を持って居るぞ?」

女戦士「それではこの場所が誰かに知られてしまうでは無いか」

アサシン「一人で動かせるスループ船だ」

女戦士「なるほど…あの一番早い奴か」

アサシン「私は気球で海士島へ補給に行こうと思うがお前はどうする?」

女戦士「不用意に顔を出すのはマズかろう?ここでローグを待っておく」

魔女「わらわは買い出しに行きたいのぅ」

アサシン「では2人で行くか」

女戦士「この島でキャンプ出来そうな場所は?」

アサシン「気球を隠して居る場所にちょっとした洞穴がある」

女戦士「よし…少し荷を下ろして過ごせるようにしておく…日光用がしたい」

アサシン「ご自由に…」


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842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 00:01:06.97 ID:KbfSVIxh0
『洞窟』


アサシン「海士島まで行って2日程で戻る」

魔女「何か欲しい物があれば仕入れて来るが?」

情報屋「羊皮紙とインクが欲しいわ」

魔女「ふむ…女戦士は何も要らんか?」

女戦士「石炭か木炭のどちらかだな…少し鍛冶をしたくてな」

アサシン「どのくらい必要だ?」

女戦士「樽に半分程度で構わん」

アサシン「分かった…では行って来る」


フワフワ バサバサ


女戦士「さて一旦船に戻って少し荷を下ろしに行くが情報屋はここで待つか?」

情報屋「そうするわ…周囲も少し見ておきたいし」

女戦士「野生の生き物が居ても手を出すな?私が後で処理する」

情報屋「わかった」


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『日光浴』


ポカポカ


情報屋「ヤシの実採ってきたわ…要る?」スパ

女戦士「ちょうど喉が渇いた所だ…気が利く」ゴク

情報屋「あなた着やせして見えたけどスゴイ筋肉ね」

女戦士「見ないでくれ…私はこの体が嫌いでな」

情報屋「若々しくて羨ましいわ?」

女戦士「特異体質でな…マッサージでほぐして貰わんとこの様になってしまうのだ」

情報屋「私にほぐせる?」

女戦士「無理だろう…ローグが上手いのだ…だから私は待っている」

情報屋「はぁぁ私も若い体が欲しい…」

女戦士「悩みは同じだな…私は柔らかい体が欲しい」

情報屋「フフ私も日光浴でもしようっと」

女戦士「この島はシン・リーンと違って随分暖かくて気持ちが良い」

情報屋「そうね…」

女戦士「島を散策して来たのだろう?何も無いか?」

情報屋「石を積んだちょっとした祠があったくらいね」

女戦士「という事は誰かが居たのだな…」

情報屋「足跡を残すのはよくある事…歴史的な意味は多分無さそう」

女戦士「水が湧いて居れば良い島なのだがな…」

情報屋「ヤシが沢山生えているから水分はそれほど困らないと思うわ」

女戦士「それは良かった」

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843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 00:01:42.59 ID:KbfSVIxh0
『数日後』


フワフワ ドッスン


情報屋「アサシン達が戻って来たわ!」

アサシン「フフこの洞窟に居済むつもりなのか?資材を何処に降ろせば良い?船か?

女戦士「スケルトンと一緒では気味が悪いのだ…鍛冶はここでやるからその辺に降ろしてくれ」

アサシン「そうか…」

魔女「女戦士や…未来がキ・カイへたどり着いた様じゃぞ?」

女戦士「ほう?行先は読めそうか?」

魔女「上手く商船に乗れば海士島に寄るじゃろう…ここで待ちじゃな」

アサシン「北の大陸に行くには何処行きでも必ず海士島で補給をする筈だ」

魔女「未来にはシャ・バクダに情報屋を訪ねる様に言うて居るで商船に乗る可能性が高い」

魔女「それからな?水晶玉を買うて来たで主にも見せられるぞよ?」

女戦士「見たいな…見せてくれ」

魔女「そう言うと思うたわ…千里眼!」シュワワ

女戦士「おぉ…しかし未来の視点か…未来が見えんな」

魔女「じゃが安心じゃろう?」

女戦士「一緒にいる女は未来の連れだな?」

魔女「ハーフオークと仲良うなった様じゃな」

女戦士「コバルトの両手剣…もしやオークの子か?」

魔女「ほう?未来の知り合いじゃったのじゃろうか?」

女戦士「フフ再会したのか…マスクで顔が見えんな」

魔女「退屈しのぎにはなりそうじゃな?しばらく覗いておれ」

女戦士「そうさせてもらう」


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