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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき
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894 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:44:41.86 ID:KbfSVIxh0
魔女「その術は何処で覚えたのじゃ?剣士に教わったんか?」
子供「もっと上手に使える筈なんだ」
魔女「幻術の印と訳書をこのメモ書きに記してみよ」パサ
子供「そんなの簡単さ…えーとアレ?文字を思い出せない」
魔女「ふむ…そういう事じゃ…主は未来から来たのでは無い様じゃのう」
子供「…どうして…記憶はハッキリしている」
魔女「主の次元はここに在る…恐らく冒険の書に記された別の次元を見たのじゃろう」
子供「夢だと言ってる?」
魔女「早い話がそうじゃ…じゃがな?蟲使いの素質は認める…良い幻術使いになろうて」
子供「ちょっと待って!僕は元の次元で過ちを正したい」
魔女「こう言えば分かるかの?10年経てば元にも戻るやも知れんな」
子供「そんな…」
魔女「それから言うて置く…その記憶は時が経てば直に無うなる筈じゃ…大事な事は今の内に何かに記せ」
子供「くっ!!僕は僕の次元を守る」
魔女「主は一人じゃぞ?わらわ達皆の次元に調和されるのは時間の問題じゃ」
子供「もう良い!!魔女とは話さない」プン
魔女「精々寝ん事じゃな…それから次元の成り立ちを理解したのは評価してやる」
子供「!!?」
---魔女は僕が未来から来たことを否定していない---
---変えようの無い理に従えと言って居るんだ---
895 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:45:52.57 ID:KbfSVIxh0
『勇者の像』
ガヤガヤ ガヤガヤ
気球が無いとどうにも効率悪いでやんす
ソリでも作ってシカに引かせろ
オアシス砦までの往復なら行けるんすが
向こうに避難民は集まって居るのか?
へい…近隣の村から避難して来てるっすね
食料の移送をなんとかせんと餓死者が出やすぜ?
ガヤガヤ ガヤガヤ
子供「…」ジーーーー
ローグ「未来君は横にならんで良いんすか?」
子供「…」ギロリ
ローグ「おろろ?どうしたんすか怖い顔をして」
子供「ローグさんは味方?」
ローグ「何を言ってるんすか…ずーっと味方でやんすよ」
子供「ビッグママは何処?」
ローグ「頭は外で避難民保護隊を組んで走り回っているっす」
子供「僕に話しかけてくれるのは情報屋さんとローグさんだけだよ」
ローグ「済まんでやんす…皆忙しいもんで…寂しい思いしてるんすね」
子供「僕はいつまで此処に隠れて居るの?」
ローグ「そうっすねぇ…シン・リーンかフィン・イッシュから気球が来れば安全な場所に移動できるかもっすね」
子供「安全な所でヌクヌクするつもりは無いよ」
ローグ「一緒に働きたいでやんすか?」
子供「少し違う…僕がやらなきゃいけない事をやりたい」
ローグ「今はちーっと辛抱っす…食料も後3日で尽きるもんすから力を蓄えて置いて下せぇ」
子供「そうだ…小麦の種が少し欲しい」
ローグ「何に使うでやんすか?」
子供「育てる」
ローグ「外は雪が積もって居るでやんすよ?」
子供「良いんだ…育てて見るから少し持って来て」
ローグ「分かりやした…ちっと待ってて下せえ」
---成長魔法は魔力があれば使える筈---
---回復魔法より簡単さ---
896 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:46:47.47 ID:KbfSVIxh0
『遺跡下層_隠し通路』
ピチョン ピチョン
情報屋「…やっぱりこの台座は木の根と癒着してる…どういう仕組みなの?」ゴソゴソ
子供「居た!!」
情報屋「あら?未来君?ダメじゃないここは立ち入り禁止にしているのよ?」
子供「情報屋さんは立ち入ってるじゃない」
情報屋「私は遺跡の調査よ…ここはいつ崩れるか分からないから危険よ?」
子供「大丈夫…10年後もこの場所は健在だよ」
情報屋「フフ調査の邪魔はしない様にね」
子供「この石造…ホム姉ちゃんだよね」
情報屋「信じられないでしょう?未来君の仲良しだった人が石造になるなんて」
子供「頭は何処に行ったの?」
情報屋「行方不明…」
子供「良く探したの?」
情報屋「瓦礫に埋もれているだろうから探すのに人出が必要なのよ…もう瓦礫か石造の一部かの判別も難しいと思うわ」
子供「ホム姉ちゃんの頭の中にある金属片の事だよ」
情報屋「あぁ…超高度AIユニットという奴ね…商人が必死に探していたけど見つからなかった」
子供「商人さんは見かけないけど何処へ?」
情報屋「何日か前に商隊に混ざってセントラルへ向かったわ…心臓が悪いと言うのに無理してね」
子供「大丈夫さ…10年後も商人さんは生きている」
情報屋「フフそうだったわね」
子供「情報屋さんは僕の言った事信じてる?」
情報屋「勿論信じて居るわよ?」
子供「そう…なら良い」---君も記憶が徐々に無くなって行くんだよ---
情報屋「もう夜の筈よ?寝ていらっしゃい?」
子供「眠れないんだ…ねぇここの台座に記されている文字読める?」
情報屋「文字?あぁぁコレね…古代文字でアーカイブって書いて居るのよ」
子供「どういう意味?」
情報屋「それを解き明かす為に調査しているの…触って壊さない様に」
子供「何の金属で出来ているんだろう」コンコン
情報屋「ああああああ!!ダメダメ!!古い物は崩れやすいから触っちゃダメ」
子供「10年後もこのままだよ」
情報屋「又それか…そうそう10年後を知って居るならこの遺跡の謎も知って居たりしないの?」
子供「他にも沢山秘密の部屋を発見したって言ってた」
情報屋「他には?」
子供「うーん…この遺跡の話はあまり聞いて居ないんだよ…というか僕に興味が無かった」
情報屋「フフ何でも知って居る訳では無い様ね」
897 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:47:30.70 ID:KbfSVIxh0
子供「僕が知ってる事以外知らないよ…あれ?おかしな事言ってるな」
情報屋「でも不思議…この間までの未来君とは別人とお話しているみたい」
子供「僕は僕だよ…ちょっと僕もホム姉ちゃんの頭の中を探して見ようかな」
情報屋「怪我しない程度になら良いわ」
子供「ワームを使役出来るかな?…試してみよう」
情報屋「虫を使う気?さすが女海賊の子ね」
子供「ママも不思議と蟲を使役してたよね…出でよワーム!我に従え…この部屋にある金属を探せ…」
情報屋「フフご自由に」---両親を失って少し現実逃避気味なのね---
子供「来た来た…あぁぁ小さいなぁ…今の僕じゃこんなもんか」ニョロリ
子供「ねぇこの部屋ってさ…立ち入り禁止であまり人が来ないんだよね?」
情報屋「そうよ?どうして?」
子供「隅の方で種を植えても良いかな?」
情報屋「種?構わないけど散らかさない様に」
子供「よし!土も水気も良さそうだ…」ゴソゴソ
ピカー
情報屋「光の石ね?それは明るくて助かる」
子供「種育てるから驚かないで…成長魔法!」ザワザワ グングン
情報屋「えええ!!?未来君…あなた…」
子供「う〜ん質はあまり良くないけど食べるには十分か…」
情報屋「スゴイ…剣士はこんな事もあなたに教えて行ったのね」
子供「収穫手伝って貰える?」
情報屋「盗賊かローグを呼んで来るわ…食料難と寝床が同時に解決する」
子供「魔女には内緒でお願い…理を超えた事をしようとすると怒るから」
情報屋「ここで待って居るのよ?」タッタッタ
---分かって来たぞ…今の僕は上位魔法が使えないだけだ---
---基本魔法を工夫すればなんとかなる---
898 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:48:09.99 ID:KbfSVIxh0
『数分後』
スタスタ スタスタ
マジっすか?そらスゴイでやんす
秘密は守って…未来君を尊重するのよ?
分かってるでやんすよ…あっしは未来君を信じるでやんす
ローグ「うはぁぁ…黄金色の麦」
情報屋「未来君?ローグを連れて来たわ」
子供「うん!収穫手伝って…それから水が足りなくて良い品質の麦にならないから水が欲しい」
ローグ「雪を溶かした水なら十分あるでやんす…収穫終わったら取って来るっすよ」
子供「おけおけ…さっさと収穫済ませよう」ザクザク
情報屋「遺跡の調査どころじゃ無くなったわ」ザクザク
子供「もう少し広い場所は無いのかな?」
情報屋「通路なら使っても良いわ」
子供「う〜ん…まぁ遺跡の中じゃしょうがないかぁ…」
ローグ「いやいやこれでも十分助かるっすよ…脱穀して樽1杯分くらいは有りそうでやんす」
子供「よ〜し!今日は麦を沢山収穫しよう」ザクザク
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899 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:48:48.42 ID:KbfSVIxh0
『翌日』
ガヤガヤ ガヤガヤ
今日はパンの配給が有るらしい
うほーそりゃ久しぶりのまともな食い物だ
麦の補給が合ったという事はシン・リーンから物資が届いたのか
さぁな?おい配給が来たぞ…並べ並べ
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「随分賑やかだな…何か有ったのか?」
情報屋「あら盗賊…狩りから戻って居たのね」
盗賊「おぅ…狩りもラクじゃ無ぇ…ちっと寝るわ」
情報屋「パンとワインが有るわ…食べてから寝て」
盗賊「分かってるじゃ無ぇか…どこで手に入れたんだ?このワイン」
情報屋「オアシス砦に残って居た物よ…大事に飲んで」
ローグ「盗賊さん!!狩りの方はどうっすか?」
盗賊「おぉローグか…いやいやデカい虫の討伐が大変でよ…シカ肉は2頭分しか調達出来んかった」
ローグ「でかい虫とはサンドワームの事っすかね?」
盗賊「サンドワームなら食えるから良いが…残念ながらデカイ毒グモだ…こいつの毒にやられて中々上手く狩りが進まん」
情報屋「それで魔女が呼び出されて行った訳ね」
盗賊「まぁそんな所だ」グビ
ローグ「アサシンさんも頭も忙しそうっすね…何か聞いていやせんか?」
盗賊「俺も顔合わせて無ぇんだ…しかしいつになったら補給が来るのか」
情報屋「フィン・イッシュからはそろそろ来ても良い筈」
ローグ「ちと気になったんすが虫は未だにドリアード目指して北上してるんすかね?」
盗賊「んな事知るか!!」
ローグ「羽虫は全部焼かれたんすよね?」
盗賊「あんま見無ぇな…てか地べたを行く虫しか見て無ぇが…」
情報屋「エルフの森の方はどうなって居るの?」
盗賊「奥の方がどうなってるか知らんが火災が収まる感じは無いな…そこらじゅうで火柱が立ってる」
ローグ「まだ落ち着きそうにないっすね」
盗賊「俺らはハッキリ言って難民な訳よ…シン・リーンかフィン・イッシュからの応援待ちだ」
情報屋「森を挟んで向こう側のシン・リーンから来るとは思えないのだけれど…」
盗賊「来るなら迂回して来るんだろ…ところでよ?未来はどうしてるんだ?」
情報屋「あぁその件なら…例の隠し通路の奥で何かしてるわ」
盗賊「良いのか?あそこは崩れるかも知れんぞ?」
ローグ「姉さんと剣士さんが居なくなって寂しい思いをしてるんすよ…仲の良かったホムンクルスさんの傍に居たいんじゃないすかねぇ…」
情報屋「そうね…言動も急におかしくなって」
盗賊「ちっと心配だな…情報屋!お前が母親役をヤレ」
情報屋「もうやって居るわ…急に大人ぶって居るから少し困惑しているの」
盗賊「まぁそういう年頃か…あぁぁダメだ俺はちと寝る」
情報屋「さて…下に行って未来君の様子を見て来る」スタ
ローグ「何かあったら又呼んで下せぇ…外のキャンプに居るでやんす」
900 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:49:51.25 ID:KbfSVIxh0
『隠し部屋』
ガッサ ガッサ
子供「ワームが集まってる…絶対のこの下に埋まってる」ガサゴソ
ワーム「…」ニョロニョロ
子供「…有った!!コレだ」ゴソゴソ
子供「…」---これがホム姉ちゃんの記憶---
いや…精霊の記憶
ずっと昔の精霊は活動を停止する前に夢幻を作ったと聞いた
ホム姉ちゃんも同じ様に夢幻を作った可能性はある
この場所で…
同じ様に…
その夢幻を冒険の書から覗けるのじゃないか?
僕の記憶も
他の人の持つ記憶も全部
本当は夢幻の出来事なんじゃないか?
今のこの瞬間も
本当はホム姉ちゃんが記録している記憶
この小さな金属の中でずっと記録を続けているんじゃないか?
スタスタ
情報屋「未来君居るのぉ〜?」
子供「え!?あぁ…居るよ」スック
情報屋「あなた寝て居ないでしょう?少し横になりなさい」
子供「えーと…僕は寝なくても大丈夫なんだ…瞑想出来るから」
情報屋「じゃぁ瞑想して体を少し休めなさい」
子供「平気だよ」
情報屋「ダメ!こっちに来るのよ」グイ
子供「分かった分かった…行くから引っ張らないで」ヨタヨタ
---この体は小さくて大人の女の人にも敵わない---
---でも知ってる…魔力の集中はこの体の方が良い---
901 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:50:45.31 ID:KbfSVIxh0
『添い寝』
んががが〜すぴ〜〜
子供「…」ジーーーー
子供「…」---このまま動かないで居れば寝たと思ってくれるだろうか---
子供「…」---でも動くのを我慢するのも中々に苦痛だ---
子供「…」ギンギン パッチリ
モゾモゾ
情報屋「眠れないの?こっちにいらっしゃい?抱っこしてあげるから」
子供「今昼間でしょ?眠れる訳無いじゃ無いか」
情報屋「あなたずっと寝て居ないのよ?」
子供「ねぇ情報屋さん」
情報屋「うん?」
子供「盗賊さんの事好きだよね?」
情報屋「急に何を言い出すのよ」
子供「僕知ってるんだ」
情報屋「知ってるって…何を?」
子供「昨日話したよね?これから子供が生まれ無くなるって」
情報屋「あぁその話ね」
子供「10年経っても情報屋さんには子供が生まれないんだ…悔やんで居たよ」
情報屋「馬鹿な事言わないの!!怒るわよ」
子供「僕が変えてあげる…だから今子供作って」
情報屋「なっ…寝なさい!!」
子供「今しかチャンスが無いんだ…ドリアードが動き出す前に早くしないと…簡単さ…エッチするだけだよ」
情報屋「未来君あなたねぇ…大人の真似事はもう止めなさい」
子供「やっぱり僕を信じていないんだね」
情報屋「あ…そういう意味じゃないの」
子供「僕は眠れないから少し散歩してくるよ」スック
情報屋「ちょっと…」
子供「僕を信じて?僕は向こうに行くから今…子供を作って」
情報屋「そんな事出来る訳…」
子供「僕の魔法の力を見たよね?僕は未来から来たんだ…僕の言葉を信じて」
情報屋「ちょ…それは…」
子供「じゃぁ行くよ…今なら盗賊さんと2人きりだ…上手くやって」スタタ
---こんな方法でしか未来を変えられないのかな---
---変えたとしても元通り修正されてしまうのだろうか---
902 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:51:35.33 ID:KbfSVIxh0
『遺跡外_キャンプ』
ガヤガヤ ガヤガヤ
シャ・バクダ街の方はまだ使える資材が残ってる
3班はもう一回シャ・バクダ向かって回収行ってくれぇ
オアシス砦までの整地に応援が欲しい
ダメだ今居る人員でなんとかしろ
ガヤガヤ ガヤガヤ
ローグ「ああ!!未来君…丁度良かった」
子供「ローグさん…やっとみつけた」
ローグ「未来君に回復魔法をお願いしたいんすよ…魔女さんが居ないもんで」
子供「え?あぁぁ困ったな触媒のミネラルが無いんだよ」
ローグ「そうなんすか…エリクサーも薬草も枯渇しちまいやした」
子供「賢者の石はどうしたの?」
ローグ「商人さんが持って行ってしまったんすよ」
子供「じゃぁエンチャントの掛かった角は?飛空艇に沢山乗ってた筈」
ローグ「全部燃えちまいやした」
子供「雪の上じゃ薬草も育たないなぁ…」
ローグ「物資不足で止血用の包帯もまともに確保出来んでやんす」
子供「…」---線虫を試してみるか---
ローグ「困りやしねねぇ…」ウロウロ
子供「僕が出来る事をやってみるよ」
ローグ「そら助かるっす…ほんで何する気なんすか?」
子供「虫を使うんだ…内緒にしてて?皆嫌がるから」
ローグ「傷を癒す虫が居るってこっすか?」
子供「線虫っていう目に見えない位小さな虫だよ…ワームの一種だね」
ローグ「ほええ?付いて来てくだせえ…こっちっす」
子供「皆には僕が何をしてるのか教えなくて良いから」
ローグ「へい!わかりやした」
903 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:52:20.32 ID:KbfSVIxh0
『テントの中』
ぅぅぅぅ…血が止まらねぇ
あぁ動かないで強く押さえておいてください
止血用の縄をもっと持って来て!
血が止まらないのは毒のせいですね
看護師「子供がここに入って来てはダメよ!」
ローグ「あぁ済まんです邪魔にはならん様にするんで勘弁して下せぇ」
看護師「誰なんですかこの子は」
ローグ「親の死に目に合うってのもあるっすよね?」
看護師「う…怪我人に触ってはダメよ?」
子供「うん…何もしないよ」
ローグ「ちーっとお祈りしやすんで目を瞑ってくれやんす」
子供「思ったより状況悪いや…皆毒に掛かってる」ヒソ
ローグ「大型の虫があちらこちらで暴れてるらしいっすわ」ヒソ
子供「虫か…」
ローグ「早い所その線虫って奴を頼んます」
子供「おけおけ…線虫」ニョロニョロ
---なんとか使える---
---質が悪いのはどんぐりのせいだ---
---もっと質の良いどんぐりが必要だ---
子供「終わったよ…行こうか」
ローグ「ええ!?もう?」
子供「これ以上僕には何も出来ない…大丈夫さ…線虫を離しておいたから勝手に毒を食べてくれるよ」
ローグ「未来君がそう言うなら…じゃぁ失礼しやした〜」ノシ
看護師「…」ジロジロ
--------------
904 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:53:35.90 ID:KbfSVIxh0
ローグ「何かした感じには見えやせんでしたが怪我はこれで治るんで?」
子供「2日くらいで全快すると思うよ…怪我人はあそこに運ばれるんだよね?」
ローグ「そーっすね」
子供「じゃぁ線虫も食べ物に困らない」
ローグ「へぇ?訳が分からんす…」
子供「分からなくても良いさ…結果だけ見て居れば良い」
ローグ「う〜ん…やっぱり未来君は剣士さんと森に行ってから人が変わっちまったみたいっすね」
子供「おかしい?」
ローグ「おかしいというか…大人になりやしたねぇ…あっしは嬉しいでやんす」
子供「パパと一緒に森か…ほとんど話をしなかったのに一生分空気で語らったのかな」
ローグ「居なくなって寂しいっすよね?」
子供「そうでも無いよ…僕の記憶の中に確かに居るのを理解したから」
ローグ「そんな言葉が未来君から出て来るのが不思議なんす…やっぱり未来君…」
子供「うん?」
ローグ「未来から来たと言うのは本当なんすね?」
子供「ローグさんにはまだ話して居ない筈…」
ローグ「情報屋さんから詳しく聞きやした…何かを変える為に此処に居るんすね?」
子供「まぁ…そうなるのかな」
ローグ「ロマンっすねぇ…海賊ってのはロマンなんすよ」
子供「ハハ海賊?どうして急に海賊なんて」
ローグ「頭もあっしも…元は海賊…大海原でお宝…いやロマンを追い求める海賊なんす」
子供「海賊は嫌いだよ…僕の未来を奪ったのも海賊さ」
ローグ「取り返しゃ良いんすよ…その為に此処に居るんすよね?」
子供「取り返す…そうか…もう一度やり直すと考えれば良いか」
ローグ「ところで未来君…10年後のあっしはどうなってるんすかね?」
子供「…」ジロリ
905 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:54:19.71 ID:KbfSVIxh0
ローグ「ななな…なんすかその眼は」
子供「僕達を裏切って敵になったよ」
ローグ「ええええええええええ!?ちょちょ…詳しく教えて下せぇ」
子供「敵に塩を送っちゃう事になるんだけどなぁ…」
ローグ「本当に敵なんすか?このあっしが…」
子供「…」ジロリ
ローグ「そんな眼で見ないで下せぇ…あっしは裏切ったりしやせんぜ?」
子供「ローグさんはビッグママにエッチな事沢山したよね?」
ローグ「ギクーーーッ」ピタリ
子供「これで分かるでしょ…僕の言ってる事が本当だって」
ローグ「いやいやいや…それとこれとは話が別な訳でして…」
子供「本当に敵になっちゃうんだ…だから話せない」ジロリ
ローグ「あっしは裏切らない事を誓いやす」ビシ
子供「ダメだよ嘘は…僕知ってるんだから」
ローグ「じゃぁこう言うのはどうすか?今話して置けば裏切らなくなるかも知れやせんぜ?」
子供「…」ジロリ
---そうだな…言われてみれば未来を変える可能性はある---
---話したとしてもその内記憶が無くなると言うのもある---
---可能性を試してみるか---
906 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:55:15.65 ID:KbfSVIxh0
『キャンプ詰め所』
カクカク シカジカ
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ローグ「…てことはあっし一人だけ単独で行動してる訳っすね?」
子供「そうだよ…崩壊した貴族達になり替わって豪族として暗躍してる」
ローグ「なんで一人だったのかちっと引っかかりやすが…」
子供「ローグさんはビッグママのエッチな体が大好きなんだよね?」
ローグ「そんな事口に出さ無ぇでくだせぇ」
子供「豪族になったローグさんはビッグママを捉えて自分の物にしようとしてる」
ローグ「ちょちょちょ…本人の前で図星を言わんで欲しいんすが…」
子供「ほらやっぱり」ジロリ
ローグ「ちっと待って下せぇ…こう考えられやせんか?」
子供「何さ…」
ローグ「未来君の話す未来の予言を…あっしだけが信じて行動していやせんか?」
子供「え?どういう事?」
子供が生まれ無くなる事
その原因がドリアードの中に居るアダムに原因がありそうな事
地軸の移動で沿岸部に人が生活できなくなる事
今まで話してくれたこと全部を聞いて今…
あっしが何を考えて居るか分かりやすか?
子供「ローグさんの頭の中の事は分からないよ…言ってよ」
豪族となって資金力を持ったなら
あっしは人流を安全な場所に誘導するっす
シン・リーンとフィン・イッシュは地熱で安全なんすよね?
907 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:56:11.08 ID:KbfSVIxh0
子供「じゃぁビッグママを捕らえる為に法外な懸賞金を賭けているのはどう説明するのさ」
ローグ「その豪族っていう輩達のコントロールっすね…こういうのはアサシンさんが上手い」
子供「そんな…僕の思い違いだって言うの?」
ローグ「あっしは誓って裏切りやせん…信じて下せぇ」
子供「じゃぁもうビッグママの体に悪戯しない?」
ローグ「ちょちょちょ…それは違う話しでやんす」
子供「どうやって信用すれば良いのさ…僕は未来を見て来たんだ」
ローグ「あっしの体の中に流れている血は全部…頭の血なんす」
子供「知ってるさ…それが何だって言うんだよ」
ローグ「血の盟約は知らんのですか?あっしは頭に血の盟約で忠誠を誓っているでやんす」
子供「ふ〜ん」ジロ
ローグ「それからもう一つ腑に落ちないのが…この話を知って居る情報屋がどうして行動しなかったのか…っすね」
子供「あぁ…それはね…この歴史に抗う記憶はどんどん失われて行くんだ」
ローグ「意味が分からんのですが…」
子供「何日かするとすっかり忘れてしまうんだよ…きっと僕も同じさ…多分それがこの世界の理」
ローグ「何かに書き残して忘れないようにすれば良いんすね?」
子供「その書き残した物が何だったのか忘れてしまわなければね」
ローグ「よ〜し…な〜んかやる気が出て来やしたぜ?あっしもロマンの一角を握ってるっす」
子供「ハハ…ロマンねぇ」
---何だろう…この人はどうしても悪い人に思えない---
---血が繋がっているからなのか?---
---ドワーフの血…邪心に浸されない血---
908 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:58:35.11 ID:KbfSVIxh0
『雪原』
サクサク ギュギュ
子供「なんだ…そんなに深い雪じゃないや」ガッサ ガッサ
ローグ「な〜にしてるでやんすか?」
子供「別に?」ザクザク
ローグ「掘ったらすぐに砂が出てくるんすよ」
子供「うん…」
ローグ「何か探し物でやんすか?」
子供「何か植えられないかと思ってさ…」
ローグ「10年後のこの場所はどうなってるんすか?」
子供「森だね…きっと精霊樹の影響で木が生える」
ローグ「10年後を目指して今から何か出来やせんか?」
子供「え…あぁ…」
---そうだ忘れかけてた…何か行動しないと---
子供「10年後はこの辺りが戦場になってる」
ローグ「そんなに戦争が長引くんすね」
子供「あー…セントラルとフィン・イッシュの戦争じゃない…それはもっと南部の方だよ」
ローグ「じゃぁ何の戦争なんすか?」
子供「精霊樹を守る為にエルフ達が戦ってる…僕に今何が出来るだろうか」
ローグ「ドリアードを今なんとか出来んもんすかね?」
子供「そんな…どうやって?又あのミサイルって奴が飛んで来るのが落ちだよ…って」
子供「あああああああああああああ!!」トーイメ
ローグ「どうしたんすか急に…」
909 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:59:02.90 ID:KbfSVIxh0
虫達は誰の命令で動いて居るんだ?
オークシャーマンか?
いや…北の大陸に来ているとは思えない
そうだ…フィン・イッシュから船と気球を譲り受けて初めて北の大陸に来る
ならどうして虫が勝手に動き出す?
本能?
いや違う…本能は生存する為の物だ
待て待て…虫にとってドリアードは生存の危機という事か?
でもそんな複雑な因果をどうして虫が知ってるんだ?
待てよ…虫はドリアードを敵とみなす事を大昔に命令されて居たとしたら…
これがオーク族に伝わる予言だとしたら…
予言は成立する
もしかして命令したのは大昔に戻ってドリアードを封じたママとオークシャーマンじゃないのか?
暁の墓所にあった壁画は虫を持ったママらしき人物が記されて居た
もしもそんな事が出来るなら…10年後に向けて僕も虫に命令が出来る筈
ローグ「…聞いていやすか?お〜い!!」ペシペシ
子供「ローグさん…僕の友達の子ウルフは見かけて居ない?」
ローグ「精霊樹の森に行ったと思うんすが戻って来んすねぇ…避難民優先で子ウルフを追い出したのはマズかったっすね」
子供「それは良いんだ…ウルフを嫌がる人も多かったみたいだし仕方が無い」
ローグ「戻ってくると良いんすが…」
---よし!旅に出るぞ---
910 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:59:55.00 ID:KbfSVIxh0
『遺跡の中』
ガサガサ ゴソゴソ
子供「どんぐりとキノコはこの位で良いか…水は雪が有るから要らないっと」ゴソゴソ
情報屋「居た居た!探したのよ!もう…何をしているの?」
子供「んん?別に?」ゴソゴソ
情報屋「盗賊!!ここの資材置き場に隠れていたわ」
盗賊「おぉこんな所でかくれんぼしてたのか…まぁ無事なら良い…ちと顔見せてみろ」グイ
子供「何さ…」
盗賊「う〜む…大分目にクマが張ってんな」
情報屋「でしょ?休んでって言っても言う事聞かないのよ」
盗賊「まぁこれぐらいなら酒飲んで寝りゃ一発で治る…心配すんな」
子供「僕は大丈夫だって言ってるじゃない…それより子供作った?」
盗賊「どわっ…何言い出しやがる」
情報屋「ちょっと未来君!怒るわよ?」
盗賊「まぁズケズケとした態度は母親似って訳かヌハハ気に入った!!お前が心配する程俺らの仲は悪く無ぇぞ?」
情報屋「盗賊!!子供の前で何言うのよ」
盗賊「…ところでお前何やってんだ?」ジロジロ
子供「ちょっとね…」
盗賊「その袋見せてみろ…」グイ
子供「ああ!!」
盗賊「なんだ種ばっかりじゃ無ぇか」
子供「返してよ!!」グイ
盗賊「何か企んでる感じでは無い様だ…情報屋!お前が心配し過ぎなんだ自由にさせてやれ!!」
情報屋「もう!人の気も知らずに…」ブツブツ
盗賊「未来…お前もそろそろ大人だ…大概の事は自分で出来るな?まぁ自由にヤレ!困ったら俺ん所に来い」
子供「うん…ありがとう」
子供「そうだ!情報屋さんの遺跡調査のノート…見たいんだ…見せて貰って良い?」
情報屋「構わないけれど…難しいわよ?」
子供「良いよ…暇つぶしさ」
情報屋「じゃぁこっちにいらっしゃい…」グイ スタスタ
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911 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:00:58.01 ID:KbfSVIxh0
情報屋「コレよ?見るのは良いけれど落書きはダメよ?」パサ
子供「僕もメモするから紙とペンが欲しい」
情報屋「壁際の机にあるわ…読み終わったらそのノートも机に置いておいてね」
子供「分かったよ」
情報屋「じゃぁ私は遺跡の調査に行って来るから読み終わったら寝るのよ?」
子供「分かった分かった…うるさいなぁ…」パラパラ
やっぱり読めない…記憶の欠落が起きてる証拠だ
僕があまり気に掛けない記憶から順に無くなって行ってる
あれから2日経った
いつまで記憶を保持できるのか…
子供「あった!!コレだ…良し!!図解が記されている」メモメモ
ドリアード遺跡の場所はシャ・バクダの北か…
確か入り口は狭間に隠されてるとか言っていたな
…なるほど食虫植物特有の形をして居るのか
この形はジャガイモの根だ
中が空洞になっているんだな?その奥に核がある
よしよし…これなら地図に出来る
ローグ「未来く〜ん!!」タッタッタ
子供「あ…ローグさん」
ローグ「マズイ事になったっすよ…ウルフ討伐隊が編成中なんす」
子供「どういう事?」
ローグ「どうも燃えているエルフの森から逃れて来たウルフ達がその辺をうろつき始めたらしいんす」
子供「雪の中をウルフがうろつく訳無いよ」
ローグ「ウルフも餌が無いんすよ」
子供「雪の中に餌なんか無いじゃないか」
ローグ「あっしらがソリを引かせてるシカでやんす」
子供「あ〜そういう事か…シカが襲われてるのか」
ローグ「未来君のお友達の子ウルフも危ないでやんす」
子供「そんな事言われてもなぁ…」
ローグ「剣士さんみたいに遠吠えで呼んだり出来ないんすか?」
子供「う〜ん…やった事無い…まぁでもなんとかするから心配しなくて良いよ」
ローグ「それなら良いっすが…」
---遠吠えなんかで呼ばなくても僕が行ったら向こうが見つけてくれるよ---
912 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:01:51.88 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「未来君何処に行ったか知らない?」
盗賊「見て無ぇぞ?その内戻ってくんだろ」モグモグ
情報屋「配給の食事持って来たのに…」
盗賊「心配すんなって!あいつは剣士と同じであんま食わ無ぇんだ」モグモグ グビ
情報屋「私の書物も何か写してやりっ放し…」
盗賊「書物に興味あるなんざ大したもんだ」
情報屋「やりっ放しよ…直ぐに飽きたみたい」
盗賊「ヌハハまぁ男ってのはそんなもんだ…ほんで何を写してたんだ?」
情報屋「多分ドリアード遺跡の地図を作ろうとしてた様ね」
盗賊「なんで又ドリアード遺跡なんかに興味持ったんだろうな?」
情報屋「そっか盗賊は未来君が予言を見たという話を聞いて居ないのね?」
盗賊「なんだそりゃ?」
情報屋「例の冒険の書を読んで未来の予言が記されて居たと言うのよ」
盗賊「ほう?んでどんな予言なんだ?」
情報屋「10年後に起こる大厄災の事とか色々よ」
盗賊「ドリアードがなんか関係すんのか?」
情報屋「未来君はドリアードの中に復活したアダムが真の敵だと思ってるわ」
盗賊「…」モグモグ グビ
情報屋「どうして何も言わないのよ…」
盗賊「俺もそう思って居るからだ」モグモグ
情報屋「盗賊…あなたまで…」
盗賊「あのとち狂った第3皇子のガキ…まだドリアードん中に居んだろ…どう考えてもありゃ正気じゃ無ぇ」
情報屋「それはそうだけど…」
盗賊「もうちっと未来の声を聞いてやれば良かったな…そんな大事な事をなんで俺に隠してんだ?」
情報屋「別に隠して居た訳じゃ無いわ…みんな忙しくてすれ違ってただけよ」
盗賊「さぁて!!飯も食ったし…今晩はウルフ討伐だ」ゲフー
情報屋「うん気を付けて…」
盗賊「まぁ未来の事は心配し過ぎるな…あいつはもう大人で…勇者の血を引く者だ」
情報屋「…忘れてた…特別な何かを持って居たのよね」
盗賊「じゃ…行って来るな」ノシ
913 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:02:31.84 ID:KbfSVIxh0
『深夜』
バタバタ ドタドタ
情報屋「どう?居ない?」ハァハァ
ローグ「外にも居ないっす…キャンプは全部確認したでやんす」フゥフゥ
情報屋「遺跡の何処を探しても居ない…他に心当たりは無いの?」
ローグ「ウルフ狩りが編成されてるのを未来君に教えたでやんす…もしかしたら子ウルフを探しに行ってるかもっす」
情報屋「一人で森へ行ったと言うの?しかも徒歩で…」
ローグ「いやいやいやエルフの森じゃなくて精霊樹の森っすよ」
情報屋「ここから結構距離があるじゃない…しかも雪が降ってる」
ローグ「あわわ…マズい事教えちまった様ですわ」
情報屋「足跡辿るのもこの雪じゃもう無理ね…ソリはもう無いの?」
ローグ「ウルフ討伐隊が乗って行ってるっす…シカも一頭も居ないっす」
情報屋「歩いて探しに行くわ…ローグも来て」
ローグ「分かりやした…10分で準備するっす」
『10分後』
シンシン サラサラ
ローグ「遅くなりやした…防寒は完璧っす」
情報屋「じゃぁ行きましょう」サクサク
ローグ「情報屋さん…あっし未来君と少し話したんすがね?未来から来たのは多分本当っすね」
情報屋「…」サクサク
ローグ「未来君は何かを変える為に一人で戦ってるんす」
情報屋「あの子…もう帰らないつもりで出て行った様よ」
ローグ「どういう事っすか?」
情報屋「あの子の荷物が全部無いのと…どんぐりを沢山袋に詰めて居たの」
ローグ「マジっすか…」
情報屋「…もっと話を聞いてあげれば良かった…」ググ
ローグ「未来君は歴史の先回りをしようとしてるっす…行き先は多分ドリアード遺跡」
情報屋「一人じゃ危険過ぎるわ…私達が生還出来たのもエルフの助けがあったお陰なのよ」
ローグ「あっしは行った事無いんすがそんなに危険なんすか?」
情報屋「小さな子供一人がやすやすと冒険できる場所では決して無いの」
ローグ「早まらなきゃ良いんすが…」
情報屋「急ぎましょ…」サクサク
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914 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:03:34.04 ID:KbfSVIxh0
『精霊樹の森』
アオ〜〜ン ワンワン
子供「雪の中じゃ音が吸い込まれて遠くまで届かないや」
子供「ここに来たら匂いで直ぐに見つけて貰えると思ったんだけどなぁ…」
ドスン ドスドス
子供「む!」---枝から雪が落ちた---
子供「…」---エルフだな?僕を伺ってる---
子供「あぁぁぁダメだぁぁぁ凍えるぅぅ…死ぬぅぅ」キョロ
子供「…」キョロ
子供「な〜んか一人芝居するのも馬鹿みたいだ」サクサク
子供「…」クンクン
子供「…」---獣の匂いだ---
子供「ちょっとマズイかも…」スラーン ピカー
子供「何処に居るんだ?僕は怖く無いぞ!?」キョロ
グルルル ゥゥゥゥ
子供「ウルフの群れか…」
ウルフ「ガウルルル」ダダダ
子供「この光る剣が怖いかい?」ブン ブン
ウルフ「ゥゥゥゥ」タジ
子供「ごめんごめん仕舞うよ」スチャ
ウルフ「ガウルルル」ノソノソ
子供「怖がらなくて良い…怪我してるんだろ?おいで」
ウルフ「グルルル…」
子供「こうすれば分かるかい?線虫!」ニョロ モソモソ
ウルフ「ギャフンギャフン」ピョン ダダダ
子供「驚かせたらごめんね…何匹居るのかな?」クンクン
子供「5匹?離れにもう一匹居るな」
子供「君達は家族だね?僕は何もしないよ…僕は友達を探しに来たんだ」
子供「僕は森の言葉があまり分からないから君の言う事も良く分からないんだ」
子供「よっこら」ドッスン
子供「出ておいでよ傷なら治してあげるから」
ワンワン シュタタタ
915 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:04:04.54 ID:KbfSVIxh0
子供「ああ!!子ウルフ!!探して居たんだよ…なんで直ぐに出てこないんだよ」
子ウルフ「ワフワフ!!」
子供「群れの言う事に逆らえない?なんだそうだったのか」
ウルフ「ガウルルル…」ノソノソ
子供「おいでおいで!!」
子供「え?毒の治療でこの森に来たんだって?」
子供「精霊樹の恵みが欲しいのか…大丈夫僕が治せるよ」
子供「線虫!」ニョロリ
--------------
--------------
--------------
『ウルフの群れ』
ガウルルル アオ〜〜〜ン
子供「…そうだったんだ…精霊樹の葉には毒消しの効果が合ったんだ…へ〜」
子供「エルフが精霊樹を守ってて中々分けて貰えない…な〜んだ順番待ちな訳か」
子供「毒に侵されてるのはやっぱり虫のせい?」
子供「なるほど…虫が所構わず暴れ回ってる訳ね…人間の村も同じなんだよ」
子供「食べ物は向こうの森の方が充実して居るよね?」
子供「だから戻るって…ちょちょちょ…もう行くの?」
子供「実はさ…今ウルフ討伐隊が出てて危ないよ?」
子供「知ってるって…だったらわざわざ危ない所に行かなくても良いじゃない」
子供「仲間に順を伝える必要があるって…そうか順番待ちになってるのか」
子供「じゃぁやっぱ虫を何とかしないとコレ終わらないね」
子供「ちょちょ待ってよ…僕もこの森に用が無くなった…虫の所に案内してよ」
子供「ダメって何でさ…良いじゃん毒を治してあげたんだし…」
子供「人間が来る所じゃ無いのは分かってるよ…僕はそこに入った事もあるんだ」
子供「いや本当さ…白狼の血も流れてる」
子供「マジマジ…だから本当だって…じゃなきゃこんなに話せる訳無いじゃない?」
子供「冷たいなぁ…じゃぁ勝手に付いて行くから案内だけして」
子供「大丈夫さ付いて行けるよ…ちょちょ…だから行動が早すぎる…待って待って」
シュタタ シュタタ
916 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:05:05.77 ID:KbfSVIxh0
『オアシス砦』
ドスドスドス ズザザー
ヘラジカ「オエッオエッ…ブモモー」
盗賊「おうお前等〜ちっと休憩だ」
民兵「へ〜い…」ゾロゾロ
アサシン「遅いぞ…」
盗賊「ソリ2台で民兵乗せてウルフ狩りってどういうこった?多すぎだろ」
アサシン「お前はウルフ狩りと聞いて来たのか?」
盗賊「ナヌ?違うのか?」
アサシン「私はウェアウルフ狩りの討伐隊を編成したつもりなのだが…」
盗賊「おいおいおいマジか…全然格が違うじゃ無ぇか…民兵じゃ無理だ」
アサシン「だからお前を指名して呼んだのだ」
盗賊「半端な弓じゃ倒せんぞ?」
アサシン「首を落とせ」
盗賊「待て待て俺にやらせる気か?ウェアウルフは狂犬病も持ってんだぞ?」
アサシン「エンチャントの角は持って来ただろうな?」
盗賊「持って来ちゃ居るがよ…マジで俺が倒す予定でいるんか?」
アサシン「私も居るがそれでは不服か?」
盗賊「お前は病気なぞ怖くないかもしれんが俺は生身だ…ちったぁ考えてくれ」
アサシン「作戦はこうだ…」
民兵には弓でけん制させる
私は正面からウェアウルフと向き合って動きを止めてやる
お前はハイディングからバックスタブで首を落とせ
盗賊「ウェアウルフの首周りは熊並みだぞ?一発で落とせるか自信が無ぇ」
アサシン「落とし損じても私が止めを刺す…問題無かろう」
盗賊「お前簡単に言うけどよ…ウェアウルフはエルフ並みに飛び回るぞ?」
アサシン「手負いだ…私の草薙の剣で石化が進んでいる筈だ」
盗賊「なるほど…今までお前が単騎でやっていた訳か…今晩止めを刺したいんだな?」
アサシン「ウェアウルフは病気の原因にもなって居るのだ…犯された動物は食いたくても食えん」
盗賊「肉が配給されないのはそのせいか…」
アサシン「人員が揃い次第出発する…体を温めて置け」
917 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:05:48.68 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』
ドスドスドス スーーー
支給されたのが弓と矢筒だけだ
これでウェアウルフ討伐なんてどうかしてる
お前作戦聞いて居ないのか?
短期戦で即引き上げらしい
盗賊「お前等ちゃんと話聞いてたんか?」
民兵「接近戦は2人でやるんですよね?」
盗賊「まぁそうなる…仕留めそこなった場合は即退却な?」
民兵「成功した場合次の作戦に入ると言ってましたが…何か聞いてますか?」
盗賊「シャ・バクダ経由で巡回だとよ…夜行動物の実態調査らしい」
民兵「あぁ夜中にシカが出て来てるって話聞きますね」
盗賊「だから弓と矢の支給な訳よ…早い話狩りだ狩り」
民兵「あ!!先行のソリが止まった…」
盗賊「うへぇ…なんだありゃ…なんで人骨が吊るされてんだよ」
民兵「ひぃぃぃ…」タジ
---------------
『森の近くの廃村』
アサシン「ここから徒歩で廃村に入る」
アサシン「廃村に到着したら建屋の陰に隠れて合図を待て」
アサシン「ウェアウルフの餌には手を出さない様に」
アサシン「それから何があっても声を出すな…以上行くぞ」スタ
盗賊「ちょっと待て…なんで人骨が吊るされてんのよ」
アサシン「黙れ…もう作戦は開始している」
盗賊「むぐぐ」---何だよあいつ!何も説明しないで---
アサシン「…」--付いて来い---
民兵「…」ガクブル
盗賊「…」---お前等腰抜かすなよ?---
アサシン「…」---配置について待機---
民兵「…」ゴクリ
盗賊「…」---何が起こるってんだ?---
ガチャリ ギー
人「ヴヴヴヴ…」ズルズル
民兵「!!?」---誰か出て来た---
人「ガァァァ…」ヨタヨタ
盗賊「…」---あの野郎ここの犠牲者を使役して餌にしてんな---
民兵「…」---誰か住んで居たのか?---
918 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:06:41.68 ID:KbfSVIxh0
『10分後』
民兵「…」タラリ
人「ヴヴヴヴヴ…ガァァァ」ヨタヨタ
盗賊「…」---うーさぶ!!---
アサシン「…」---来るぞ---
盗賊「!?」キョロ
シュタタ シュタタ ピョン
ウェアウルフ「ガウルルル!!」ガブリ
人「ガァァァ…」ズザザ
ウェアウルフ「ガウガウ!!」ガブガブ
民兵「…」---ひえぇぇぇ---
アサシン「撃て!!盗賊行くぞ!!」ダダ
盗賊「お…おう!!ハイディング!」スゥ
民兵「あ…当たれ!!」ギリリ シュン
シュンシュンシュン グサグサグサ
ウェアウルフ「!!?ウガァァァ」シュタタ
アサシン「行かせん!!むん!!」ブン ザクリ
ウェアウルフ「グルルル…」タジ
盗賊「リリース!バックスタブ!!」ジョキリ
ウェアウルフ「!!?」ヨロ
盗賊「浅い!!」スタ
アサシン「ハートブレイク!」ズン!!
ウェアウルフ「ガフガフ…」ピクピク
盗賊「これでも倒れ無ぇか…おら!追撃!!」ブン スパ
アサシン「ふん!!」ブン スパ
盗賊「アサシン下がれ…動き出す前に距離取るぞ」ダダダ
アサシン「民兵!!弓で追撃しろ」ダダダ
シュンシュンシュン グサグサグサ
アサシン「撤収だ!全員ソリまで引け」
民兵「は…はい…」ダダダ
919 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:08:18.98 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』
盗賊「出すぞ!!早く乗れぇ」パシン
ヘラジカ「オエッ…ブモモ…ゲヒゲヒ」ドスドスドス
盗賊「お前等後方に弓撃つ準備しておけ…ウェアウルフが追って来るかもしれん」
民兵「ははは…はい」ブルブル
盗賊「おい!アサシン!!行先どうすんだ!?」
アサシン「次の作戦に移る…進路は北だ」
盗賊「こりゃ作戦成功なんか?」
アサシン「首を半分落としているのだ直に死ぬのは明白」プルプル
盗賊「ん?なんだお前どっか具合おかしいのか?」
アサシン「今倒したウェアウルフはな…私の旧友なのだ…そして吊るされて居た人骨はその娘…お前も知って居る人物だ」
盗賊「なんだと!!?ウェアウルフの知り合いなんか居無ぇぞ?」
アサシン「あの娘は私達の仲間になりえた…エリクサーの効果をもっと早く知って居れば仲間だった筈だ」
盗賊「誰よ?」
アサシン「女海賊に知り合う前の私の助手だったと言えば思い出すか?」
盗賊「シャ・バクダの宿屋の娘か!」
アサシン「ウエァウルフは遺伝性の病気なのだ…そして生きた血肉を食らわないと正気を失う…私と同じだな」
盗賊「宿屋の娘には随分世話になった…あの人骨がそうだったのか」
アサシン「血肉を食らう必要がある故に私と同行出来なかった…代わりに女海賊が同行するようになったのだ」
盗賊「でも何で吊るされてんだよ」
アサシン「簡単な話だ…ウェアウルフだと知られて村人に吊るし上げられたという事だ」
盗賊「なるほど…食料不足で生きた血肉を食えなくなったもんだから人を襲ったんだな?」
アサシン「エリクサーの事さえ知って居れば誰よりも優秀だった筈…そしてその父も優秀な男だった」
盗賊「思い出した…コブラ酒が好きだったな」
アサシン「私がワインを飲むのと同じ…喉の渇きを癒すのに好んだのがコブラ酒だ」
盗賊「宿屋でコブラ酒頼んだら毎回あの娘が持って来たな」
アサシン「身内だった者に手を掛けるのは心苦しい…私が正気を失った時はお前も同じ思いをするだろう」
盗賊「言うな…考えたくも無ぇ」
アサシン「シャ・バクダはもう終わりだ…私が守りたかったものはすべて無くなった」
盗賊「まだだ…まだ民が残って居る」
アサシン「気休めか?少し休みたいと願っては居るが眠る事も出来ない…永遠の命とは残酷だ」
盗賊「言葉も無ぇ…」
ドスドスドス スーーー
920 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:08:50.64 ID:KbfSVIxh0
『シャ・バクダ街での記憶』
ワイワイ ガヤガヤ
おい!!イカさますんじゃ無ぇ!!
何言っているの?何処がイカさまなのよ!
勝負は勝負!きっちり払ってもらうわ
だぁぁぁなんだこの女!!
盗賊「だぁぁやっと着いたぜ腰が痛てぇの何の…おい馭者!!俺はここで降りるぜ?」
馭者「へい旦那ぁ!!お疲れぃ!!」
盗賊「荷物は後で別の奴に取りに行かせるからよ…まぁ適当にやってくれ」
馭者「あいよ!!」
盗賊「じゃぁな!!」ピョン スタ
ドン! パシ!!
盗賊「おい何懐探ろうとしてんのよ」グイ
ごろつき「イテテ済まねぇ…そんなつもりじゃ無かったんだ…よそ見しててぶつかった悪い悪い」
盗賊「気を付けろぃ!!」スッ
盗賊「…」---早速酒代が手に入った儲け儲け---
盗賊「ふぅぅぅ…まず飲んでっか」ノッソ ノッソ
921 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:09:43.79 ID:KbfSVIxh0
『宿屋』
カラン コロン
店主「いらっしゃいませ…お一人様ですか?」
盗賊「この風体見て誰だか分からんか?」
店主「ハテ?あ〜あの時の…ハハハ」
盗賊「いい加減顔パスじゃ無ぇのか?」
店主「仕事ですので…お一人様でよろしかったですね?」
盗賊「あぁそうだ…まず酒が飲みてぇコブラ酒ボトルで頼む…グラスは一つで良い」
店主「かしこまりました…お部屋でお飲みになりますか?」
盗賊「いや隣の酒場で飯も食って来る…金は有るからよ…誰か女一人付けてくれ」
店主「直ぐに手配しますのでお待ちください…お代は先になりますが…」
盗賊「おうそうだったな」ジャラジャラ
店主「ありがとうございます」
盗賊「じゃ隣行ってるから頼むわ」ノシ
『酒場』
ガヤガヤ ガヤガヤ
マスター「いらっしゃいませ」
盗賊「よーー久しぶりだな…元気してたか?」
マスター「ハハ揉め事はご勘弁…飲んで行きますか?」
盗賊「宿屋で頼んで来たからよ…適当にツマミ頼むわ」
マスター「ハイハイ…他のお客さんの迷惑にならない所に座って下さいね」
盗賊「まぁそう言うなや…カウンターなら問題無いだろ?」ドシ
ポロロン♪ ラララー♪
盗賊「おぉ丁度良かった演奏始まったな…演奏終わったらあの女呼んでくれ」
マスター「はぁ…又揉め事になる気がしますが…」
盗賊「大丈夫だよ…今日の俺は機嫌が良い」
宿屋の娘「コブラ酒をお持ちしました…どうぞ…っておいお前か」ギロ
盗賊「お前は無いだろ…まぁ元気そうだな」
922 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:10:22.66 ID:KbfSVIxh0
宿屋の娘「はい!!コレ!!メモ!!酒!!」ドン パサ
盗賊「一人女付けてくれと頼んだんだが…まさかお前か?」
宿屋の娘「お前にお前って呼ばれたく無いんだけど…私で悪いか?」ストン
マスター「あのーー揉め事だけはご勘弁を…ここの所続いてまして」
宿屋の娘「早くメモは隠せよ」
盗賊「そうだったな」ゴソゴソ
宿屋の娘「何してんだよ」
盗賊「何してるってメモを隠してるんだろが」
宿屋の娘「そうじゃ無ぇよ…チップ!!女付けたらチップ払うだろ」
盗賊「宿屋で払ってる」
宿屋の娘「そんなん聞いて無ぇよ!チップ払わないと騒ぐよ?」
マスター「あのーー宿屋の娘さん…分かってますよね?」
宿屋の娘「あらマスターさん…ちゃんと心得て居ますのでお気になさらず…」ニコ
盗賊「なんだお前態度が全然違うじゃ無ぇか…」
宿屋の娘「金持ってんだろ?出せよ…」ズボ ゴソゴソ
盗賊「勝手に懐探るな」
宿屋の娘「…これ何?」
盗賊「だぁぁロックピックだ触るなボケが」グイ
スタスタ
女盗賊「あらあら盗賊?仲が良さそうね?」ズイ
宿屋の娘「あ…これは失礼しました…お騒がせしていたならお許しください」ペコリ
盗賊「やっと帰って来て疲れてんだ…癒してくれい」
女盗賊「帰ってきたならまず初めに私に挨拶に来るのが礼では無くって?」
盗賊「だから来たんだろが…酒用意したぞ…お前も飲め」
女盗賊「まだ演奏があるから控えておくわ…あなたが飲めば良いのよ」キュポン グイ
盗賊「んぐ…んぐ…げふげふ」
宿屋の娘「…」ニマー
盗賊「げふげふ…おま…ゆっくり飲ませろ」ゲフー
女盗賊「説明して貰おうかしら?女性を同伴してどうするつもりだったの?」
盗賊「んあ?そら楽しく飲む為だろ」
女盗賊「私じゃ役不足と言いたいのね」
盗賊「なんでそうなるんだよ…久しぶりに帰って来ていきなり喧嘩売ってんのか?」
マスター「あのーーー困るんですよね…大きな声を出されると」
--------------
--------------
--------------
923 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:11:15.84 ID:KbfSVIxh0
『廃墟』
シンシン…
盗賊「…」---屋根がすっ飛んで行ったのか---
盗賊「…」---このカウンターで良く揉め事が起きたな---
盗賊「…」---どっかに酒残って無ぇのか?---
盗賊「…」---何もかも変わっちまった---
盗賊「…」---もう何も残っちゃ居無ぇ---
ドンッ
盗賊「!!?」---瓶?---
アサシン「中身が少し残って居る…これはサボテン酒だ…飲んでみるか?」
盗賊「おぉ!!良い物見つけたな?」
アサシン「…」キュポン
盗賊「グラスは全部割れてる」
アサシン「…」グビ ゴクリ
アサシン「飲め」
盗賊「…」グビグビ プハー
盗賊「何だこの感覚…」
アサシン「痛みだ」
盗賊「こりゃ心が痛いのか?」
アサシン「…」グビ
アサシン「空しいだろう?」
盗賊「そうだな…」
盗賊「お前の妹も…宿屋の娘も…良い女だった」
アサシン「…」グビ ゴクリ
アサシン「酔えん」
盗賊「俺は酔えるだけマシか…」グビグビ
民兵「ウルフだぁ!!ウルフの群れに囲まれて居る!!」
盗賊「何ぃ!!」ガタ
アサシン「ウルフなぞどうという事もあるまい…奴らもシカ狩りなのだよ」スック
盗賊「民兵共!!狩ったシカを早くソリに積め!!」
アサシン「クックック…引き上げるとするか」
924 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:12:30.65 ID:KbfSVIxh0
『帰路』
ズルズル ドサリ
盗賊「よし…獲物を積んだな?民兵は徒歩で後方警戒しながら付いて来い」
民兵「ウルフ10匹程に囲まれています」
盗賊「大人数の人間には襲い掛かって来ない筈だ…警戒しながら引き上げる」
民兵「一人ウルフに襲われて怪我をしているのでソリに乗せて下さい」
盗賊「マジか…この人数になんで遅い掛かって来るんだ?」
民兵「一匹白狼が混ざっていて狩ろうとした様です」
盗賊「こっちが仕掛けた訳か…しゃー無ぇ怪我人は乗れぇ!!出発するぞ!!」
盗賊「しかし白狼とは珍しい…エルフの森の深部から出て来てんのか」
民兵「あの毛皮は高級品なんで…」
盗賊「明るくなって来た…お前等ぁ!!急げ…早い所帰って寝るぞ」
民兵「はい…」ハァハァ
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『遺跡地下_勇者の像前』
ガヤガヤ ガヤガヤ
シカ肉の配給だぞ?
おぉぉ久しぶりの肉
ダメだ!女子供が先だ
やったぁぁお肉だお肉ぅぅ
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「…なんだ情報屋も居無ぇのか…何処行っちまったんだ?」
民兵「盗賊さんこれで解散ですね?」
盗賊「そうだ!食って寝ろ…どうせ夜になったら又狩りだ」
民兵「じゃぁ失礼します」タッタッタ
盗賊「ローグも居無ぇって事は未来探してどっか行ってんな…ったく世話の焼ける」
盗賊「寝てる場合じゃ無ぇってか…」モグモグ
盗賊「…しかし行先も分からんのに動き様も無ぇ…寝るか!!」ドタリ
盗賊「…」---いつまでこんな生活をするのか---
盗賊「…」グゥ
んががが すぴー zzz
925 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:13:26.79 ID:KbfSVIxh0
『数時間後』
パシン パシン!
情報屋「起きて盗賊!!」ユサユサ
盗賊「んぁ?…んんん…水くれ水」
情報屋「未来君が見つからないの…ウルフ討伐の方では見て居ない?」
盗賊「あぁ昨夜の狩りはウルフ討伐じゃなくてウェアウルフ討伐だった」
情報屋「そう…」ガックリ
盗賊「お前何処行ってたのよ」
情報屋「精霊樹の森を探しに行ってたわ」
盗賊「手がかり無しか?」
情報屋「ウルフの群れの足跡を見つけたわ…ローグが言うにはウルフの群れに混ざってるんじゃないかって」
盗賊「まぁ単独で行動するより安心っちゃ安心だわな」
情報屋「何言ってるのよ!あんな小さな子供いつ食べられてもおかしくないわ」
盗賊「ウルフがエルフを食うなんざ聞いた事無いがな」
情報屋「あの子は人間よ?あなた心配じゃ無いの?」
盗賊「心配っちゃ心配だがよ…俺も未来と同じ年頃から一人でやってきた訳よ…自分で何とかやると思ってる」
情報屋「もう!!一人でドリアードをどうにかしようなんて無茶よ」
盗賊「…」ギロ
情報屋「その眼は何か考えが在る眼…何?」
盗賊「そういや昨夜ウルフの群れに一匹白狼が混ざって居たらしい」
情報屋「それよ!!」
盗賊「場所は旧シャ・バクダの廃墟…白狼に弓を当てた者が居る」
情報屋「えええ!!?」
盗賊「行くぞ」スック タッタッタ
926 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:14:06.74 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』
オエッ オイン ブルルルル
ローグ「遅くなりやしたぁぁぁ!!」ダダダ ピョン
盗賊「白狼を射った場所を聞き出せたか?」
ローグ「へい!!養羊場のあった辺りだそうでやんす」
盗賊「よし急いで行くぞ…情報屋はエリクサー持って来たな?」
情報屋「少しだけだけれど…」
ローグ「狩り用の矢で撃たれたとなると子供じゃ死んでるかも分からんす」
情報屋「嫌な事言わないで」
盗賊「くそでかいヘラジカを麻痺させる毒だ…子供だとどうなるか分からん」
ローグ「未来君は毒消しの魔法を使うんで上手く乗り切ってくれれば良いんすが…」
情報屋「獣じゃ無くてよりにもよって人間にやられるなんて…」
ドスドスドス スーーーー
『養羊場跡地』
情報屋「見て!!血痕と屍…あぁぁぁ」
盗賊「早合点するな…あれは食われた子ジカの亡骸だ」
ローグ「まだ新しいっすね…昨夜食われた感じでやんす」
盗賊「なるほど…ウルフの食事中を民兵が弓を射かけたんだな…この周辺を探せ」
情報屋「別の血痕!!あったわきっとあれよ」サクサク
盗賊「どこだ?」
情報屋「こっちよ…」サクサク
ローグ「ありゃ出血が多いんじゃないすか?」
盗賊「足跡が複数…民兵の出血痕だ…こりゃ違う」
盗賊「ここから弓で狙うとなると20メートルの範囲内…探せ!」
ローグ「向こうの小屋じゃないすかね?」サクサク
情報屋「あったぁ!!小屋の影にも血痕…こっちの方が多いわ」
盗賊「その辺に未来が倒れて居ないか?」
情報屋「探してる…」キョロキョロ
盗賊「ふむ…ウルフの食事中に1匹だけ離れている白狼だけ狩ろうとした訳か…」
ローグ「盗賊さん!!小屋の中にどんぐりの殻がいくつか落ちていやす…未来君に間違い無いっす」
情報屋「居ない…居ない…何処にも居ない…」オロオロ
盗賊「どこかに血痕が続いて居ないか?」
情報屋「無いわ…その小屋の周辺だけよ」
盗賊「未来は回復魔法も使える…そこで処置したという事だ」
盗賊「俺は周囲の建屋の中を見回って来る…お前等2人で足跡探ってくれ」
ローグ「わかりやした…」サクサク
-------------
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-------------
927 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:15:09.07 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』
ドスドスドス スーーーー
ヘラジカ「オエッ ブモモモー」ガフガフ
盗賊「情報屋!もういい加減にしとけ…資材乗せて帰るぞ」
情報屋「…」トボトボ
ローグ「手がかり無しっす…」
盗賊「未来はハイディングを自在に使う…探せると思うか?」
ローグ「無理っすね…」
盗賊「探しても居ないという事は無事って事だ…毒矢もなんとか切り抜けてるだろう」
情報屋「どうして何も言わないで…」プルプル
盗賊「未来が仲間に選んだのは俺達じゃなくてウルフだってだけの話…気にすんない」
情報屋「あの子の事…子ども扱いし過ぎて居たのかしら」シュン
盗賊「だから気にすんなって…早く乗れ」
ローグ「一人でドリアードん所行っちまいやせんかね?」
情報屋「狭間の中にある入り口は探せないと思うわ…それに地図も忘れて行ったみたいだし」
盗賊「じゃぁ行く気ならもう一回戻って来る可能性が高いな」
情報屋「地図は私が預かっておく…」
盗賊「お前昨日からずっと寝て居ないな?一旦戻って寝ろ」
情報屋「眠れる訳無い…ハッ!!あの子…強い動機があって眠らなかったのね…」
盗賊「気付くのが遅せぇよ…もう大人の道を歩いてる…未来の道をな」
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928 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:15:34.36 ID:KbfSVIxh0
『夢』
??「あれ?…ここは…」
??「パパ?…ここどこ?」
??「魔女?…何処に居るの?」
??「あれ?記憶が…」
??「僕何してたんだっけ…」
??「誰も居ないの?」
---こっち---
??「誰?」
---目を覚まして---
??「ホム姉ちゃん?」
---僕だよ---
??「僕?」
??「僕は…僕は…違う…ここじゃない」
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929 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:16:29.57 ID:KbfSVIxh0
『大木の洞』
クーン ペロペロ
子供「ぅぅん…ハッ!!」ガバ
子ウルフ「ワンワン!!キュゥゥン」ペロペロ
子供「ここは…何処?僕はどうして…いてて」スリスリ
…そうだ…ウルフの群れに紛れて森に入ったんだ
出血がひどくて気を失った…なんで洞の中に居るのか記憶が無い
待てよ…思い出せ思い出せ…僕は何の為に此処にいる?
…虫だ…虫に命令しなきゃ
大丈夫…ちゃんと覚えてる…僕は未来から来た
子供「マズいな…寝てしまった…僕の記憶は少し無くなってる筈…何を忘れたのか自分じゃ分からない」
子ウルフ「クーン…」
子供「僕はどれくらい寝てた?」
カサカサ
子供「!!?」クンクン
子供「何か居る…1人…この感じはエルフだ」
子ウルフ「ワン!ハッハッハ」フリフリ
子供「リンゴと木の実…根っこも在る…ごちそうじゃないか」
子供「…そうか僕はエルフに助けられたんだね?」ガブリ モグモグ
子供「遠くから僕を見てるな…とりあえずこの洞なら安全か」モグモグ
子供「子ウルフ?木の実を食べても良いよ…ほら」
子ウルフ「ガフガフ」バクバク
ギャァギャァ バサバサ
子供「鳥が騒いでる…どうしたんだ?…え?森の奥で戦闘してる?」
子ウルフ「クーン…」
そうか…森の外だと分からなかった
エルフ達は森の中でずっと戦っていたんだ
そうだエルフゾンビさんがそんな事言ってたな
これからドリアードに森を侵食されて行く
僕の知らない所で戦いはずっと続いて居たんだ
子供「どうにかしないと…食べ終わったら行こうか」モグモグ
930 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:17:41.20 ID:KbfSVIxh0
『エルフの森_浅部』
ヨタヨタ ズルズル
子供「くそう!!右足が動かない…なんで麻痺毒が抜けないんだ…線虫!」ニョロリ
子ウルフ「クーン…」
子供「あのエルフ…遠くからずっと付いて来る…僕を見て助けないなんて絶対性格の悪いエルフだ」プン
子供「ああああああ!!ダメだぁぁぁ!!足が動かないぃぃ!!誰か助けてぇぇぇ!!」
子供「…」
子供「……」
子供「疲れるだけか…行こう」ヨタヨタ
カサカサ キシャーーーッ
子供「うわぁ!!毒グモか!!」ズザザ
毒グモ「シャーーー!!」カサカサ
子供「よしよし良く来たね…探してたんだよフフフフ…毒グモ!我に従え!」
毒グモ「!!?」ピタリ
子供「君にお願いがあるんだ…僕を乗せてよ…」
シュン グサ!!
毒グモ「キシャーーーー!!」ピクピク コテン
子供「あぁぁぁぁ…何するんだ馬鹿エルフ!!あ〜あ折角使役したのに…」
毒グモ「シュゥゥ…」ピクピク
子供「矢を抜いてあげる…」ズボ
毒グモ「…」ピクピク
子供「あぁぁどうしよう…虫に線虫は効かない…回復用の触媒も無い」オロオロ
エルフ(危ないからそこを離れなさい!)シュタ シュタ
子供「違うんだ…僕は蟲使いなんだ…余計な事しないで欲しい」
エルフ(…やっぱり…森の言葉を理解できる人間か)
子供「何の話さ…あぁぁ毒グモ死んじゃったよ!!可哀そうに」
931 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:18:50.60 ID:KbfSVIxh0
エルフ(お前は何処から来た?シン・リーンの者か?)
子供「まぁそうなるのかな…蟲使いの魔術師だよ」
エルフ(ではその姿は仮の姿なのだな…何用で森へ?)
子供「虫を使役しに来たのさ…虫が混乱しているから…ねぇ姿を見せてよ」
エルフ(…)ピョン クルクル シュタ
子供「君が僕を助けてくれたんだよね?木の根美味しかったよ…ありがとう」
エルフ(…)ジーーーー
子供「この森が今危険なのは知ってるさ…用が済んだら直ぐに森を出る…」
エルフ(…)ジロジロ
子供「何だよ気持ち悪いなぁ…君は男?女?エルフなのになんで髪の毛無いの?」
エルフ(私はエルフの戦士だ…それだけ)
子供「ふ〜ん…まぁ良いか…僕の目的は虫を使役して混乱を治める事だよ…勝手に森に立ち入るけど問題ない?」
エルフ(ある…これより先は激戦区だ…人間が立ち入って生きて帰る事は出来ない)
子供「敵はマンイーターとかスライムとかだね?スプリガンもか…」
エルフ(何故人間がそれを知って居る!まさか密通者が居るのか?…ダークエルフがまだ暗躍していると…)
子供「ちょちょちょ…難しい話は分からない…でもね?僕は蟲を使役して倒したい相手はドリアードなんだよ」
エルフ(…怪しい…お前を拘束する)グイ
子供「いててて…拘束してどうする気?」
エルフ(…会話は終わりだ…大人しくするんだ)
子供「丁度足が動かなくて困ってた所さ…エルフが一緒ならそっちの方が良いや」
エルフ(…)ジロリ
子供「フフおっぱいあるね…あ!!子ウルフ置いて行かないで?」
エルフ(…)シュタタ ピョン ピョン
子供「ちょちょ…置いて行かないでって言ってるじゃない!!」
932 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:20:28.86 ID:KbfSVIxh0
『少し奥』
シュタタタ
子供「はぁぁ楽ちんだぁ…」グター
エルフ(…)ギロ
子供「あれ?君脇腹を怪我して…線虫!癒せ」ニョロリン
エルフ(!!?)ポイ
子供「うわぁぁぁ…」ゴロゴロ ズザザザ
エルフ(何をした!!大人しくして居ろと…」バタバタ
エルフ(体に虫が…このぉ!!)ビシバシ
子供「大丈夫だよ…その虫は傷を癒してくれる…癒えたら勝手に排泄されるから」
エルフ(私の体を汚すな!)ビシバシ
子供「叩いても無駄さ…分裂して増えるだけだ」
エルフ(本当に傷を癒すだけなんだな?)モゾモゾ
子供「うん…驚かせてゴメンよ…それよりさ?拘束するって…紐か何かで縛ったりしないの?すぐ逃げられちゃうよ?」
エルフ(小さな人間が私から逃れられる物か)
子供「いやいや今逃れたじゃん」
エルフ(…)ジロリ
スプリガン「キシャァァァ…」
エルフ(ハッ!!スプリガンがここまで南下してる…)ピョン クルクル シュタ
子供「そいつは燃やさないとダメだよ…火炎魔法使える?」
エルフ(うるさい!!)シュタタ グイ
子供「あらら?何…逃げるの?」
エルフ(お前を連れ帰るのが優先だ)
子供「ちょい待って!魔石回収したい…僕に任せてみて?逃げたりしないから」
エルフ(…)ジロリ
子供「スプリガンは簡単なんだ…飛び回ってる蝿を使役するだけで何も出来なくなる…蝿虫!我に従え」ブーン ブンブン
エルフ(ぁ…)ポカーン
子供「こいつは自分の周りの蝿を爆発させるしか能が無い…取り上げてしまえば簡単に倒せる」スラーン ブン ザクリ
スプリガン「シュゥゥゥ…」ドサリ
子供「ちょっと待ってて…えーと硫黄は何処にしまったっけな…有った有った…火炎魔法!」ボウ メラメラ
子供「よしよし魔石一個ゲット!!…これで火に困らないヌフフフ」
エルフ(お前…何者か?)
子供「さっき言ったじゃない…シン・リーンの魔術師だって…あぁぁ10年後の話だけど」
子ウルフ「ワンワン!!」シュタタ
子供「おぉぉ追い付いたかヨシヨシ」ナデナデ
------------
933 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:21:37.08 ID:KbfSVIxh0
メラメラ パチ
子供「そろそろ消しても良いかな…」ゲシゲシ
エルフ(…)ジーーーー
子供「やっぱり足の調子悪いなぁ…火を消すの手伝ってよ」ヨロ
エルフ(…)スタスタ ガッサ ガッサ
子供「なるほど…濡れた葉っぱ被せた方が早いか」ガッサ ガッサ
エルフ(…)ジーーー
子供「何さ?ちゃんと火は消した…森のルールはしっかり守ってる」
ギャァギャァ バサバサ
子供「む!鳥が落ち着かない様子だ…何か起こる」
エルフ(日が落ちる…トロールの目覚め)
子供「戦いの合図か…君は戦士だったね?行かなくて良いのかい?」
エルフ(…)ジーーーー
子供「そうか…僕をどうするか迷ってるんだね…置いて行っても構わないよ」
エルフ(そこの木の洞から動かないと約束出来るか?)
子供「アハハなんか全然拘束する気無いんだね?置いて行ったらここに止まる訳無いじゃない」
エルフ(…)ジーーーー
子供「木に縛り付けたら?そしたら逃げないよ」
エルフ(その子ウルフを連れて行く…ここに止まって居ない場合子ウルフとはもう会えないと思え)
子供「ええええええ!!卑怯だ!!」
エルフ(お前はどの道足が不自由でこれより先を一人で行くのは危険だ…私が戻るまで木の洞の中で待て)
子供「ちゃんと帰って来る?」
エルフ(フフ…)シュタタ ガシ
子ウルフ「クゥ〜ン」ジタバタ
子供「ちょ…待って…」
シュタタタ ピョン ピョン
---------------
934 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:22:43.71 ID:KbfSVIxh0
子供「エルフって本当に行動が意味不明だ…何なんだよもう!!」ゲシゲシ
子供「んぁぁぁいつまで記憶があるかも分からないのに時間のムダだぁ!!」
子供「…」ボー
子供「何するかなぁ…」
子供「焚火なんかしたらトロール怒るだろうしなぁ…」ドテ
子供「ててて…でもなんで足動かないんだ?」ドスドス
足に感覚が無い…やっぱ麻痺しか考えられない
どうして線虫で麻痺毒が治せないんだ?
あれ?毒じゃなくてもしかして神経切れた…のか?
矢は背中を抜けて腹まで貫通してた…神経が切れた可能性は在る
だとすると線虫じゃ時間が掛かる…回復魔法で加速しないと
マズいな…切れたまま放置してると壊死するかもしれない
触媒のミネラルは鉱物…こんな所にある訳無い
変性で物質変換するなら…するなら…
子供「あぁぁぁマズイマズイ…知ってる筈の記憶が欠落してる」
子供「あんまり使わない記憶から消えて行くんだ…」
ブーン ブンブン
子供「うるさいなぁこの蝿!!」シッシッ
子供「あぁゴメン僕が使役してたんだ…そうだ!!ここで虫たちに命令しよう」
子供「蝿虫達!!近くに居る他の虫達を集めて来て…出来るだけ沢山」
ブーン ブンブン
935 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:23:39.83 ID:KbfSVIxh0
-----------------
命令する!!
羽虫はドリアードの胞子を食らって繁殖しろ
甲虫はスプリガンの樹液を吸って繁殖しろ
蜻蛉はアルラウネを食らって繁殖しろ
蜘虫はマンイーターを腐らせろ
飛蝗はケシの実を食らい尽くせ
線虫はスライムの毒を食らって繁殖しろ
よしよし…ここからが本番だ
ダンゴムシはドリアードの内部の老廃物を食らって繁殖しろ
ワームはドリアードの根を住処とし共存関係を作れ
全ての虫は個体数を増やして僕の命令を待て
この命令は繁殖する子孫にも継続する
子供「フフフフ…今に見てろよ?虫の繁殖サイクルは早いんだ…直にすべての虫が僕の命令どおりに動く」
子供「まだまだ命令するからどんどん虫を連れて来て」
----------------
----------------
----------------
936 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:24:49.77 ID:KbfSVIxh0
『深夜』
ドドドドド ドーン
子供「ボルケーノの音か…そんなに遠く無いな」
子供「森の声が無いからきっとバラバラで戦って居るんだろうなぁ」
良く考えてみるとエルフの森が主戦場になるのは仕方の無い流れだ
人間は子供を産めなくすることで20年もすればほぼ絶滅する
寿命の長いエルフの駆逐を先行させるのは理にかなっった話だ
さすがホム姉ちゃんと同じくらい賢いアダムって所だ
でもね…僕が阻止するよ
シュタタタ ズザザー
子供「ん?あのエルフもう帰ってきたのかな?」ムク
子ウルフ「クゥ〜ン」スタタ
エルフ(ハァハァ…ここを移動する…もうここは安全じゃない…ゲフゲフ!!)
子供「うわ…なんでそんな切り傷…毒にも掛かってる」
エルフ(ミノタウロスとオークが加わっての乱戦…マンイータやスプリガンだけが敵じゃない…はぁはぁ…掴まって!)
子供「まず傷の応急処置を…」
エルフ(もうそこまで来てる…早く掴まって!)グイ
子供「あわわ…」ヨロ
ヒュルヒュルヒュル ザクリ!
子供「オークの大斧…」
エルフ(揺れるよ!!…)ピョン ピョン シュタタタ
子供「線虫!エルフの傷を癒せ!」ニョロニョロ モゾモゾ
エルフ(後ろを見てて)シュタタ
子供「茶色のオーク2体!」
エルフ(このままだと掴まる!虫でも何で使え!)
子供「魔石…魔石…よし!!火炎魔法!」ボウ
エルフ(撃ち続けて…)シュタタ
子供「なんだこの魔石!弱いなぁ…火炎魔法!火炎魔法!」ボウ ボウ
エルフ(ちぃぃぃ…距離が開かない)シュタタ
子供「そうだ爆弾があった…火魔法!」チリチリ ポイ
ドーン!! パラパラ
937 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:26:25.89 ID:KbfSVIxh0
エルフ(!!よし…オークが止まった…木の上に出る…しっかり掴まって)ピョン ピョン シュタ
子供「片方のオークは爆弾で負傷したみたい」
エルフ(ハァハァ…)フラ
子供「戻って行くよ…諦めたみたいだ」
エルフ(お前は回復魔法は使わないのか?)フラ
子供「触媒が無いから今は使えない…シカの角で作った薬は在る…居るかい?」
エルフ(口の中へ…)フラリ
子供「そうかもう片方の腕が折れてるんだね?ちょっと待って…ほら?」グイ
エルフ(むぐ…雪を口の中に)
子供「…」グイグイ
エルフ(夜明けまで此処に隠れる)
子供「降ろして良いよ…ちゃんと木には掴まっておく」
エルフ(フフ…)ヨッコラ
子供「腕に添え木をしてあげようか?」
エルフ(バランスが取り難くなるから要らない)
子供「でも痛いよね?そのままだと」
エルフ(気にするな…私は戦士だ)
子供「まぁ線虫が癒してくれてるから骨なら2〜3日で治るかな」
エルフ(お前の足はどうした?)
子供「これは多分神経が何処かで切れてる…麻痺状態だよ…経験が無いからどのくらいで治癒するか分からない」
エルフ(その足で森の奥に行くのは止めて置け)
子供「あれ?連れて行くんじゃ無かったの?」
エルフ(そういう状況では無くなった)
子供「そっか…じゃぁこれからどうするかなぁ…」
エルフ(虫の使役はもう良いのか?)
子供「う〜ん…もっと使役しておきたいんだけど…この状況見たらさすがに危ないかな〜なんてさ」
エルフ(私は腕が回復するまで戦線離脱になる…森を出ると言うなら外まで案内する)
子供「お?性格悪いエルフだと思ってたけどそうでも無さそうだね?」
エルフ(…)ギロ
子供「でもそうだなぁ…一回戻って足の治療をした方が良さそうだなぁ」
エルフ(ところでお前はどうして森の言葉を理解できる?)
子供「僕はハーフエルフの子供だよ…ハーフのハーフだから人間の血が濃い」
エルフ(そうか…森で声を聞いた事が在ったのか)
子供「あ!!そうだ…キノコ持ってたんだ…これにも体力回復効果がある…居る?」ゴソゴソ
エルフ(お前は不思議な人間だな…いやクォーターエルフか)
子供「どんぐりもあるよ?」カリ モグ
エルフ(フフ…)
子供「食べなよ」ポイ
エルフ(随分質の悪いどんぐりだ…)カリ モグ
子供「冬なんだからしょうがないさ」モグモグ
938 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:28:22.29 ID:KbfSVIxh0
『夜明け』
チュンチュン バサバサ
エルフ(鳥達が安全だと言っている…森の外まで送ろう)グイ
子供「ゴメンね腕痛いのに無理させちゃて」
エルフ(休息して随分ラクになった…さぁ掴まれ…行くぞ)ピョン シュタ
子ウルフ「ワンワン」シュタタ
エルフ(森を出た後はどうするつもりか?私は森の外をこのまま出る訳には行かない)
子供「う〜ん…遺跡に帰っても触媒が無いしなぁ」
エルフ(遺跡?)
子供「精霊樹にお願いしてエリクサー少し分けて貰おうかな」
エルフ(お前にそんな事が出来るものか!)
子供「精霊樹の所に知り合いのエルフが居るんだよ…その人に頼んでみる」
エルフ(他に知り合いのエルフが居ると…まぁ良い…私は森の端までだ…その後は自力で行け)
子供「わざわざありがとね…ウルフも僕の友達だから何とかなるよ」
エルフ(フッ…エルフなら当然だ)
子供「この足さえ自由だったらもう少し頑張れたんだけどなぁ…」
エルフ(エルフは足が命だ…足を引きずって森に入る様な事はしない事だ)
子供「気を付けるよ…てか弓で撃たれたのは背中なんだけどね」
エルフ(???)ピタリ キョロ
子供「どうしたの?何か居る?」
939 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:28:49.95 ID:KbfSVIxh0
エルフ(静かに…鳥達が居ない)キョロ
子供「…」クンクン
子ウルフ「ガルルル…」シュタタ
子供「風下!!」
エルフ(しまった!!他のオークがまだ居た…掴まって!)シュタタ
子供「子ウルフ!!戻れ!!」
エルフ(昨夜の爆弾を準備しろ!)
子供「あと2個!!」
エルフ(後ろ警戒して!)
子供「見えた…大きな茶色のオーク…武器は持って無い」
エルフ(オークロード…ダメだ!!石を投げて来る)シュタタ
子供「煙玉…あった!!火魔法!」チリチリ ポイ
モクモクモクモク
子供「適当に石投げ始めたよ」
エルフ「当たったら終わりと思って!逃げる方向変える…掴まれ」シュタタ
子供「距離開いた…向こうの方が遅い」
ヒュン ゴツン!!
子供「うがっ…」クラクラ
エルフ「ちぃぃぃ耐えて…ハァハァ」シュタタ
子供「パクパク」---あれ?声が出ない---
---あれ?目の前が赤い---
---あれ?なんで?---
---なんで?---
---何が起きた?---
940 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:29:22.98 ID:KbfSVIxh0
『次の記憶』
僕「パクパク」
エルフ「パクパク」
---聞こえないよ…何?---
『その次の記憶』
僕「パクパク」
エルフ「パクパク」
---それだよ…それを精霊樹に届けて---
『最後の記憶』
僕「パクパク」
他のエルフ「パクパク」
---ここは何処だ?---
---僕はどうなった?---
--------------
--------------
--------------
941 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:29:59.16 ID:KbfSVIxh0
『夢の中の声』
御所の中で眠って居たのだ
何故そこに居たのかは聞いて居ない
遺跡から通じる通路が在るのかもしれない
良く調査してみてくれ
眠って居るだけだ…心配しなくても良いだろう
エリクサーは期待しないで欲しい
分かって居るさ
奴の分だけは確保してやる
私も忙しい身だ
済まないがもう戻るとする
--------------
--------------
--------------
942 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:30:48.98 ID:KbfSVIxh0
『気球』
フワフワ バサバサ
子供「ぅぅん」パチ
子供「…」---寒い---
魔女「んん?目を覚ました様じゃな?寒うないか?」
子供「寒い…」ポケー
魔女「これ精鋭兵!暖が足りぬ…もうちっと温くせい」
精鋭兵「ハッ!」ドタドタ
子供「なんか夢を見てた…」
魔女「覚えておるか?」
子供「んんん何だっけな…大事な夢な気がしたんだけどなぁ…」
魔女「それは夢幻を見てるやも知れぬ」
子供「ビッグママは?」
魔女「寝ぼけて居るんか?この間分かれて来たじゃろう」
子供「そうだっけ…頭がボヤボヤする」
魔女「気圧のせいじゃろう…直にシン・リーンじゃから辛抱せい」
精鋭兵「姫様…シン・リーンが見えて参りました」
魔女「姫様はやめいと何度言わせるのじゃ?わらわは魔女じゃ」
精鋭兵「失礼しました…」
子供「んんん…何かおかしいなぁ」
魔女「主は毎日そんな事言うて居るな?何もおかしゅう無いが?」
子供「坊主のエルフと一緒だった気がするんだけど…」
魔女「だから言うたじゃろう…坊主にするエルフなぞ居らん…それはエルフにとって屈辱なのじゃ」
子供「屈辱ねぇ…変な夢だなぁ」
----------------
----------------
----------------
夢幻の平行編
完
943 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 09:37:36.94 ID:KbfSVIxh0
つづき
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