勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき

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794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:17:28.76 ID:pYa2Z27w0

『上空』


シュゴーーーー バサバサ


僧侶「早いでしゅねぇ!!」

女オーク「僧侶さんは気を使って一緒に?」

僧侶「バレたですか…あの2人をくっつけるには私が少し離れた方が良いです」

剣士「なるほどね〜」

僧侶「剣士さんたちの邪魔になってゴメンです」

剣士「ハハ気にしないで…楽しく行こう」

女オーク「僧侶さんも私の膝に乗る?」

僧侶「乗る乗る!!」チョコン

女オーク「かわいい…」ニッコリ

剣士「んんん…体重が何倍違うんだろう」

僧侶「レディの体重を気にするですか?失礼でし!!」

剣士「ゴメンゴメンそんなつもり無いよ」

僧侶「それにしてもこの飛空艇は早いですねぇ」

剣士「偏西風の逆風が吹かないから日が落ちる頃には到着できそうかな」

僧侶「ほえぇぇぇスゴイです」

女オーク「ねぇ剣士?僧侶さんを私のペットにしても良い?」

僧侶「ペット?どういう事でしか?」

剣士「いや…オークの文化は良く分かんない」

女オーク「剣士は私の奴隷なの」

僧侶「奴隷だったのですね…それで私がペット…私の方が上ですね」

剣士「ちょちょ…ちょっと序列が違う…僕の奴隷が女オークで女オークのペットが僧侶だ」

僧侶「こんがらがりますね?じゃぁ私のペットが剣士さんで良いですね?」

剣士「いやちょっと違う…」

僧侶「どうでも良いでし…面倒なので勝手に決めてくだしゃい」

女オーク「ウフフ…」


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795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:18:02.41 ID:pYa2Z27w0
『キ・カイ上空』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「…寒すぎる…なんだこの寒さは…」

僧侶「おかしいですねぇ…」

女オーク「あちこちで石炭燃やして暖を取ってる」

剣士「海は暗くて見えないか…」

女オーク「船を気にしているの?」

剣士「まぁね…まぁ良いやキ・カイの外に降りて飛空艇隠しておこう…降りるよ」

僧侶「はいなー!!」


フワフワ ドッスン


剣士「僧侶は一人で商人ギルドへ行けるね?」

僧侶「大丈夫でし!」

剣士「じゃぁ各自商人ギルドの上の部屋へ…大部屋で集合かな」

女オーク「分かったわ…」

剣士「女オークは人に見られない様に」

女オーク「うん…大丈夫」

剣士「行こう!」タッタッタ



『商人ギルド』


ザワザワ ザワザワ

商人ギルドのマスターがさらわれたらしい

取引は一旦停止だそうだ

しょうがねぇなぁ明日又来るかぁ


僧侶「受付さんこりは一体何事でしゅか?」

受付「あ!!盗賊のペットさん…」

僧侶「上の大部屋使っても良いですか?」

受付「上に居るからちょっと話して来て…今ゴタ付いてるの!」

僧侶「はいです!」スタタ
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:19:32.90 ID:pYa2Z27w0
『大部屋』


ガチャリ バタン


盗賊「誰だ!!勝手に入って来やが…って…おおおお僧侶!!おまどうやって来たのよ!?」

僧侶「こりは何事でしゅか?商人さん居るじゃないですか」

商人「突然入って来てビックリしたよ…鍵閉めておこうか」

僧侶「ダメです…剣士さんと女オークさんも来るです」

盗賊「おい?聞いたか商人…ナイスタイミングだ」


剣士「リリース」スゥ

女オーク「リリース」スゥ


商人「ハハ役者が揃った…よし!」

剣士「これは何の騒ぎ?」

商人「僕の影武者がさらわれたんだよ…相手は豪族さ」

盗賊「高額取引の商談に行ったまま帰って来ねぇ」

剣士「どの豪族なのか分かってるの?」

商人「勿論…衛兵に対処してもらおうとしたけど豪族から圧力が掛かって船に押入れない」

剣士「おけ!察した…僕が行って救い出す」

僧侶「でもどうしてさらわれたですか?」

商人「どうも僕が海賊王の娘を匿っている様に見えている様なのさ…女オークと一緒の所を見られて居るんだと思う」

女オーク「私のせい…」

商人「それは違う…勝手に向こうが思い込んでる」

盗賊「ハイディング出来るのは俺と剣士…女オークだな?」

商人「僕も出来るけど僕は顔を出さない方が良さそうだね」

盗賊「アダマンタイトを僧侶に渡してくれ…僧侶は盲目魔法が使える」

剣士「それには及ばないよ3人で十分さ…僧侶は商人さんと留守番が良い」

盗賊「そうか?お前がそういうならそれで良い」

剣士「いつ行く?」
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:20:00.34 ID:pYa2Z27w0
商人「影武者の身が心配なんだ…今すぐ行けるかい?」

剣士「おっけ!盗賊さん…案内して」

盗賊「おう!」

剣士「あ!そうだ…盗賊さんは白狼の装備ある?」

盗賊「なぬ!?」

商人「ハハ白狼で救出かい?」

剣士「昔海賊だった人は白狼の盗賊団がどういう存在だったか知ってるよね?」

商人「面白い…相手に白狼が居ると知らしめる訳か…」

盗賊「商人!お前ん所に置きっぱなしだったな?まだ在るか?」

商人「勿論さ…活躍を期待するよ」

盗賊「よし!派手に行くぞ…来い!!」ダダ


---------------


僧侶「商人さん白狼の盗賊団って盗賊さん達なのでしゅか?」

商人「君は知らなかったか…初代白狼の盗賊団は盗賊なのさ」

僧侶「盗賊さんは伝説の人だったのでしゅね…」

商人「この建屋の上に望遠鏡があるよ…見て居てごらん?」

僧侶「はいです!!」スタタ
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:21:02.93 ID:pYa2Z27w0
『声』


あぁぁぁぁぁ…はぁはぁ

話せば楽になるぞ?何処に匿った!?んぁぁ聞いてんのかゴラ!!

ダメだ知らないを突き通しやがる…何でヤクが効か無ぇんだ!!

生皮を剥がして塩に漬けてやれ

待ってくれ勿体ないだろ一回ぐらいヤラせろ

黙ってろお前の雇い主は俺だ…命令通り動け

なんだよヤレると思って言う事聞いてたのによ…ちぃぃぃ

ネーちゃん悪いなぁ?気持ちよくするところだったが激痛になっちまった

話せば楽になるぞ?どうする?

んぁぁ仕方無ぇ…

がぁぁぁ…ぎぎぎ…いぎゃぁぁぁぁ



『豪族の船』


シュタタ シュタタ


剣士「…」ギリ

盗賊「この船だ…ん?どうした剣士?」

剣士「盗賊さん…僕に従って」

盗賊「策が有るんだな?分かった先導しろ」

剣士「現場に直行する…こっちだ」シュタタ



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剣士「リリース」スゥ

盗賊「リリース」スゥ

女オーク「リリース」スゥ

799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:23:32.25 ID:pYa2Z27w0
『荷室』


豪族の長「なっ!!どっから入って来やがった!!」

野郎1「出て来やがったな?

野郎2「白狼!?」


剣士「睡眠魔法!」

影武者「ぁぅぁぅ…」zzz

剣士「線虫!」ザワザワ ニョロリ

剣士「痛かったね…もう大丈夫」


豪族の長「野郎共ぉぉ!!侵入者だ!!殺せ!!」

野郎共「うおぉぉぉ」ドヤドヤ


盗賊「おいおい剣士…真向かよ…数が違い過ぎる」タジ

豪族の長「その女は海賊王の娘だ!そいつだけは捕らえ…」

剣士「…」ダダ スパスパスパ

豪族の長「ひでぶ…」ブシュー

野郎2「バラバラ…だと…」

剣士「僕は今すごく気分が悪い…次は誰だい?」ダダ スパスパスパ

野郎共「ひっぃぃ…だ…誰だこいつは」

盗賊「剣士おま…」

剣士「女オーク?影武者さんを背負って守って?」

女オーク「うん…」ダダ グイ

剣士「盗賊さん…お祭りしよう」フラ

盗賊「祭りだと?」
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:23:59.18 ID:pYa2Z27w0
剣士「火を付けて人を集めるのさ…火炎魔法!」ボボボ

野郎1「勝手な事を…」チリチリ ポイ

盗賊「爆弾!!」

剣士「量子転移!」スゥ スパ

野郎1「ぐぁぁぁ手が…手がぁぁ」ブシュゥゥ

剣士「爆弾なんか意味無いんだ…爆発しても僕が直ぐに無かった事に出来る」スタスタ

野郎1「くそがぁぁ…」ダダ

剣士「ゴメン…もう見飽きた」スパ

野郎1「!!?」クルクル ゴトン コロコロ

剣士「次は誰?」ダダ スパ

野郎2「はぎゃぁ!!」ドタリ

野郎共「に逃げろ…本物の白狼だ!!」

剣士「逃がさないさ」チャキリ ターン

剣士「成長魔法!」ニョキニョキ


メリメリ ズゴゴーン


野郎共「木で出口が塞がれ…」

剣士「皆殺しだよ」ダダ スパ

野郎共「ひぃぃぃぃ」

盗賊「剣士…」



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801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:25:12.80 ID:pYa2Z27w0
『豪族の船_外側』


ドタドタ ドタドタ

あの船に海賊王の娘が乗り込んだらしい

全員で取り押さえるぞ

行けゴラ!!


メリメリ ズゴゴーン


他の豪族1「なんだぁ!!木が生えて来やがった」

他の豪族2「良いから乗り込め!」


ドタドタ ドタドタ


剣士「船虫!従え!」カサカサ

剣士「食らえ!」

豪族共「うわぁ何だ…船虫の大群」ブン ブン

剣士「盗賊さんどんどん火を付けて」フラリ

盗賊「お…おう」ダダ

他の豪族1「白狼の…盗賊団なのか?」

剣士「はぁ…そのリアクションも見飽きた…皆殺しだよ?次は誰?」ダダ スパ

他の豪族1「うぎゃぁ…」ポーン ゴロゴロ

剣士「船虫!爆ぜろ」パーン ビチャビチャ

剣士「火炎魔法!」ゴゴゴ


ドカーーーーン  ゴゴゴゴ


盗賊「圧倒的じゃ無ぇか…本当に皆殺しするつもりか?」タジ

女オーク「盗賊さん剣士を止めて…剣士狂ってる」

盗賊「100人以上ぶっ殺しやがった…」

剣士「僕に死霊術出来るかなぁ…試してみようかな…従え!死体共!」

ゾンビ「ヴヴヴヴヴ…ガァァァ」

剣士「ハハなんだ蟲と同じか…さて次は誰かな?」フラフラ


ひぃぃぃぃ 逃げろ!逃げろぉぉぉ


女オーク「剣士もう止めて!!もう殺さないで!!」ダダ

剣士「なんか気が済まないんだよね…しょうがないなぁ」

女オーク「お願い!!元の剣士に戻って」

剣士「覚めよ!!」


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802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:26:08.23 ID:pYa2Z27w0
『荷室』


アワワワ ブクブク


豪族の長「ブクブク…」ガクガク

野郎1「ぁぅぁぅ…」ジョワー

野郎2「ひぃぃぃ…」ブルブル


剣士「もう豪族は無力だから金品全部盗ってばら撒きに行こ!」

盗賊「い…今のは…」キョロ

剣士「幻惑魔法だよ…僕は誰も殺してない」

女オーク「剣士…狂ったのかと思った」ポロリ

剣士「この3人はブタに変性させておこう変性魔法!」シュワ


ブタ1「ブゥ…」ピクピク

ブタ2「ゲヒ…」ピクピク

ブタ3「ブヒ…」ピクピク


盗賊「ヌハハ魔女と同じ技使ったんか…」

剣士「魔女も同じ事を?まぁ幻惑魔法はこうやって使う」

盗賊「よっし!金目の物全部頂くぞ?」

剣士「おっけ!女オークは影武者さんを背負ったままで大丈夫だよね?」

女オーク「平気!」

剣士「おけ!行こ!!」シュタタ


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803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:27:32.40 ID:pYa2Z27w0

『商人ギルド屋上』


商人「見えるかい?」

僧侶「街路でお金をばら撒いて走ってるです」

商人「ハハハ上手く行った様だ」

僧侶「恰好良いでし…私も白狼なりたいでしゅ」

商人「君は小さすぎる…白狼じゃなくてウサギになってしまう」

僧侶「商人さんは白狼の盗賊団じゃないですか?」

商人「ほら?ぼくも体が小さいでしょ?それに屋根に上ってピョンピョン走り回れない」

僧侶「あーーー本当だ…屋根に上ってるですね」

商人「何かに追いかけられてる?」

僧侶「人ですね…お金欲しい人に追いかけられてるです」

商人「なんだ衛兵じゃないのか」

僧侶「はぁぁぁスゴイなぁ…」ウットリ

商人「さて…僕の部屋で影武者を待つとしよう」

僧侶「私は待ってれば良いですかね?」

商人「まぁ一緒に行こうか…おいで」

僧侶「ほい!」
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:28:07.10 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド地下』


スタスタ


僧侶「戻って来たですね?」

盗賊「よう!上手く連れ帰ってきたぜ?」

女オーク「僧侶さん?影武者さんに回復魔法を」

僧侶「はいなー!!」

商人「あぁ…酷いな」

剣士「僧侶?回復魔法は程ほどに…老化してしまう」

僧侶「分かったです傷が塞がる所で止めるです」

商人「影武者は大丈夫かな?」

剣士「睡眠で幻惑されて居るから夢だと思う筈」

商人「良かった…」ホッ

盗賊「何もしゃべっちゃ居なかった様だ…エライ苦痛だったろうな」

商人「悪い事をしたな…」

盗賊「なぁ?しばらくハテノ村で静養ってのはどうよ?」

商人「彼女がどう判断するかだね…自分でやりがいを持ってくれていたんだ」

盗賊「しかし自分で身を守れないのは良く無ぇ」

商人「うん…そうだね…無理をさせていた様だ」

盗賊「まぁ硫黄がやたら高く取引き出来て安定だ…闇取引はもう良いだろ」

商人「分かったよ…硫黄売買に切り替えて行く」

僧侶「ハテノ村で硫黄の取引所を作るのはどうでしゅか?影武者さんに任せる感じで」

盗賊「おーそういう感じよ」

商人「ふむ…今回の事件で商人ギルドマスターは死んだ事にするか」

盗賊「次のマスターは俺がやる…この部屋は俺のもんだ」

商人「まぁ従業員が盗賊の家族がほとんどだしそれが良いね」

盗賊「決まりだな?告知出して来るわ」タッタ
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:28:50.28 ID:pYa2Z27w0
『翌日』


盗賊「何ぃぃそらマジか!!ローグが豪族のお偉いさんになってるだとぅ!?」

商人「剣士はローグに会ったんだね?」

剣士「うん…」コクリ

盗賊「俺ぁってっきり女戦士と一緒に幽霊船乗ってると思ってたわ…」

商人「盗賊…僕が聞いた話では幽霊船にはスケルトンやゾンビが乗って居るらしい」

盗賊「じゃぁ女戦士の船はどっか別の所にあんのか」

商人「さぁ?…只幽霊船で海賊王の娘を目撃したという話もある」

剣士「盗賊さんと商人さんが関わって居なさそうで安心したよ」

盗賊「ローグとはあれっ切り会って無ぇ…しかし信じられん」

剣士「爺いじが言うにはビッグママは誰とも話をしなくなったって…」

盗賊「まぁ海賊が離散したのは分からんでも無いがローグまでとはな」

剣士「済んだ話はもう良いや」

盗賊「うーむ仕方無ぇわな?」

剣士「ところでこの異常な寒さなんだけど…」

商人「2〜3日前からなんだよ…流氷が流れているとも聞いた」

剣士「海に流氷?…どこから流れて来るの?」

盗賊「未踏の地からここまで流れて来るのは考えにくいが…」

商人「暖を取りに皆地下に降りちゃって商売あがったりさ」

剣士「偏西風も凄い弱いんだ」

盗賊「そら海が寒いと偏西風が弱くなる…冬だ」

剣士「ハテノ村で大雨も降ってて全体的におかしい」


ドタドタ


僧侶「てーへんだてーへんだ!!」スタタ

商人「ん?どうしたんだい?」

僧侶「海で流氷が沢山西の方に流れてるです」

商人「流氷が沢山?」

僧侶「望遠鏡で見えるでし」

盗賊「ちっと見に行くか」ダダ
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:29:40.46 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド屋上』


ヒュゥゥゥ


盗賊「寒ぶっ…」

商人「目視でも見える…ありえない」

女オーク「オークシャーマンの呪術で間違いないわ」

剣士「海を冷やして偏西風を止めた?」

女オーク「自然を操る力…海を冷やして南方で雨を降らせている…」

剣士「そうかオークシャーマンは船に乗って居たね…でも海を冷やすなんて…そんなに強力なんだ…」

女オーク「オークシャーマンはもう暁の使徒から力を得たと思う」

剣士「いよいよ西オークが東オークに攻める時が来たと言う事だね?」

商人「対岸の火事だけど…備えないといけないな…物価が一気に変わる」

剣士「商人さん?エリクサーはどうなったの?」

商人「そうだ!樽一杯分は確保出来た」

剣士「早くホム姉ちゃんを目覚めさせてどうすれば良いか聞こう」

商人「そうしよう…その前に盗賊!物資の売買リストを今から作る」

盗賊「んん?寒さに備えるんか?」

商人「そうだよ…石炭の売りは停止買いに回る…それから食料の備蓄だ」

盗賊「分かったまとめて置いてくれ」

剣士「…」---この力---


この力は世界を滅ぼすかもしれない

地軸を移動させたのは多分オークシャーマンだ

そうやって古代文明を封じたんだ

僕達が介在する余地の無い力…怖い
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:30:17.98 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド地下』


剣士「じゃぁ女オーク!エリクサーの樽を先に飛空艇に運んでおいて」

女オーク「任せて」

剣士「直ぐに行くから飛空艇で待ってて」

女オーク「わかったわ…」タッタ


影武者「う〜ん…はっ!!」パチ ガバ


商人「あ!目を覚ましたね?気分はどう?」

影武者「僕はどうして寝ている?…あれ?…なんだ?どうなった?」

商人「混乱しているかい?」

影武者「取引は…」

商人「もう良いんだ…ちょっと事情が変わってね…僕の代わりにハテノ村へ行って欲しいんだ」

影武者「え?…はい」

商人「寒冷化の影響が大きく出そうでね…向こうで取引所を君に任せたいんだ」

影武者「分かりました…商人さんはどうされるのですか?」

商人「僕は用事でしばらく留守にする…商人ギルドは一旦盗賊に任せる事になった」

影武者「僕は左遷…ですか」

商人「違うよ…硫黄と石炭の取引が最も重要になる…そっちを上手く取りまとめて欲しい」

僧侶「ハテノ村は人手が足りないです…来て欲しいです」

商人「そういう事なんだよ…そちらへの物資の流通は盗賊が運ぶ…やってくれるね?」

影武者「はい…わかりました」

商人「それから影武者はフードを脱いで活動してくれ…僕は豪族にマークされてしまってね…一旦ターゲットを逸らさせたい」

影武者「なるほど…それで盗賊さんをここに置く訳ですね?」

商人「そういう事だよ…僕も雲隠れする」

影武者「承知しました…任せて下さい」

商人「じゃぁ盗賊にこのメモを渡して置いてくれ…僕は剣士と一緒にしばらく留守にする」

影武者「分かりました…お気を付けて」

商人「じゃぁ剣士!行こうか」

剣士「飛空艇まで案内する…付いて来て」

商人「影武者…あとは頼む」タッタッタ


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808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:30:53.53 ID:pYa2Z27w0
『商人ギルド』


”ギルドマスター交代による売買方針の変更…以下レート”

なんだこの告知…取引レートが変わってるぞ

アレだ昨夜の騒ぎでギルドマスターが死んだらしい

てことはばら撒かれた金の回収に掛かってるってか?


ザワザワ ザワザワ


受付「盗賊!取引再会するよ?」

盗賊「おう!俺は飛行船に物資乗せに行くから任せたな?」

受付「はいはい邪魔だから早く行って!!はい皆さ〜ん取引開始!!」

受付「商船の受付はあっち!商隊はそっち!競売はここに持って来てぇ!!」


ザワザワ ザワザワ

おぉ魔石の売りがある!買いだ買い!

古代の遺物ってのもあるぞ…すげぇ

硫黄がくそ高けぇ…


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809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:31:36.83 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ゲヒゲヒ メェェェ


盗賊「家畜はまだ外に出しといてくれぇ…」

作業員「あいよ!!」

僧侶「盗賊さん何か手伝える事あるですか?」

盗賊「んあ?なんだ影武者も一緒なのか」

影武者「急に仕事が無くなって暇になったのさ…この飛行船でハテノ村に行くんだね?」

盗賊「明日な?」---気丈な嬢ちゃんだこと---

僧侶「私もお酒飲むつもりで来たですけどヒマでし!」

盗賊「ほんなら影武者の服でも新調して来い…商人はマークされてるって言ってただろうが」

僧侶「買い物でしゅね?お金無いです」

盗賊「ほらよ!」ピーン

僧侶「ありーーー」パス

影武者「ハハお金はちゃんと持ってるんだ」

盗賊「じゃ返せよ!今晩の飲み代なんだ」

僧侶「おおお!!じゃ私がおごるでどうでしゅか?」

盗賊「ヌハハそら良いな?」

僧侶「影武者さん!私が服選ぶでし…買い物行きましょう」

影武者「衣類は地下の方が安いんだ…案内してあげるよ」

盗賊「あぁそうだそうだ!チカテツ街道の6番にな?孤児が集まったギャング集団が居んのよ」

影武者「それは僕が出した情報だよ」

盗賊「じゃぁ話が早えぇ…連れて来い」

影武者「彼等と取引するなら対価を用意しないといけない」

盗賊「白狼の盗賊団に入れてやるとでも言え」

影武者「それじゃ空取引になる」

盗賊「うるせぇ!後は自分で考えてくれ…俺は忙しいんだ」ゴソゴソ

影武者「さてどうする…」

僧侶「ピーンと来たでし!私と影武者さんで白狼になるです…そして私がギャンクと勝負するでし」

盗賊「ヌハハ面白れぇ!!ちびっこの白狼だな?俺も見たいぞ」

影武者「賭けで勝つ訳か…う〜ん」

盗賊「うだうだ言って無いでさっさと行って来い!荷物積み終わったら俺も見に行く」

僧侶「影武者さん白狼の装備を買いに行きましょう」グイ

影武者「あぁ…」


スタタタ


盗賊「…」ニヤ ---まぁ頑張んな嬢ちゃん---
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:32:42.22 ID:pYa2Z27w0

『チカテツ街道6番』


ピチョン チューチュー


僧侶「人が少ないでしゅね…」ヒソ

影武者「ここはギャングが幅を利かせていてね…衛兵も手を焼いているらしい」ヒソ

僧侶「怖くないですか?」

影武者「僕は慣れている…なぜなら僕はここに住んで居たから」

僧侶「そうだったんですね」

影武者「僕の居場所はゴミの中さ…ゴミを食べて暮らしていたんだ」

僧侶「誰かくるでし」

影武者「僕が取引をするから君は黙ってて」


少年「おやおや…白狼ごっこかな?舐めた事すんじゃ無ぇよ!」チャキ


影武者「美味い話を持って来たと言ったらどうする?」タジ

少年「うるせぇ!身ぐるみ全部置いて行ってもらう…おい!!囲め!!」


悪ガキ共「逃げ道塞いだよ〜ん!へへへへ」スタタタ


少年「さぁその舐めた格好を置いて行ってもらおうか」チャキ

影武者「ハハ話を聞く気は無いか…飛んだ見込み違いだったかな?小僧…」---挑発に乗るか?---

少年「小僧だと!!俺より小さいクセに舐めた口利くんじゃ無ぇ!!」

影武者「ズバリ言う…本物の白狼に興味は無いか?」

悪ガキ共「本物!?」ヒソヒソ

少年「お前みたいなチビが本物な訳無いだろう!おい!!身ぐるみ剥ぐぞ」ダダ ブン

僧侶「…」カキーン

少年「な…武器!」タジ

影武者「ハハハハハ話を聞く気になったかい?僕達は取引をしに来たのさ」---よし!---


少女の声「止めな!!」
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:33:22.61 ID:pYa2Z27w0
少年「姉御…こいつ等武器持ってる」

影武者「なんだやっと真打の登場か…姿を見せたらどうだい?」

オークの子「私が相手になる…」スタスタ

影武者「…」---ハーフオーク---

僧侶「…」ゴクリ

オークの子「仲間になりたいなら手順が違うよ」スラーン

影武者「逆さ…君達を白狼の一味に誘うつもりなんだ」---不利だ---

オークの子「引き換えに何を?」

影武者「家族」

オークの子「家族なんか要らない!私達はここで生きて行ける!それにあんた達になんか負けない」ダダ ブン

僧侶「あわわ…」カキーン

オークの子「皆!勝てる!!戦って!!」ブン ブン


カキーン カキーン グサ


僧侶「痛っ…」タジ

少年「降参しろぉ!!」ダダ ブン

影武者「うっ…」ガシ

オークの子「今!!」

悪ガキ共「うわぁぁぁ!!」ダダダ


リリース


盗賊「そこまでだ…」チャキリ

オークの子「うぅぅぅ…」ジタバタ

少年「姉御ぉ!!」

オークの子「隠れてるなんて卑怯…」ドン!!

オークの子「はぅぅぅ…」ドタリ

盗賊「おい僧侶!!お前手加減してっと足元すくわれるぞタワケ!」

僧侶「子供相手に戦えないでしゅ…」

盗賊「おい!クソガキ共良く聞け!!お前等の姉御は預かった…助けて欲しけりゃ明日の朝までに一番デカイ飛行船に乗れ」

少年「なにぃ!!」

盗賊「殺しゃし無ぇから黙って従え…」

盗賊「おい!衛兵が来る前に戻るぞ?」タッタッタ

僧侶「はいな!!」スタタ

影武者「分かった…」スタタ


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812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/19(金) 23:34:07.85 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「遅せぇなアイツ等…」グビ

店主「いらっしゃいませ…お二人ですか?」

僧侶「盗賊さん居たぁ!」

盗賊「遅せぇよ…酒がマズくて帰ろうかと思った」

店主「お飲み物は?」

僧侶「盗賊さんと同じで良いでし」

店主「かしこまりました」

盗賊「ほんで?例の子はどうだ?落ち着いたか?」

僧侶「やっと理解したです…明日他の子供達来るですかね?」

盗賊「来なきゃ例の子を返すだけよ…まぁ家族愛を試してる」

僧侶「そうだったんですね」

盗賊「もしかすると今晩救出に来るかもな?」

僧侶「そしたらどうするですか?」

盗賊「ほんなもん簡単だ…とっ捕まえて檻の中よ」

僧侶「なんか可哀そうでし」

盗賊「孤児ってのはな…愛が欲しいんだ…お前がかわいがってやれ」

影武者「…僕間違ってた」

盗賊「んん?」

影武者「取引ばっかり考えてた…空取引なんか成功する訳ないと思ってた」

盗賊「あの場合ちっと強引でも良いんだよ…要はあいつらの家族愛を取引に利用したんだ」

影武者「うん…それに気が付けなかったんだ…損得とはちょっと違う」

盗賊「まぁ飲め!!爺いの説教なんかクソくらえだろ?」

影武者「ハハそうだね…でも勉強になったよ」

僧侶「影武者さんはあの子供達と面識無かったのでしゅか?」

影武者「僕は人前に出られなかったんだ…遠目には見て居たけど僕は孤独だったよ」

盗賊「俺も天蓋孤独だったぜ?ガキん頃は」---俺ら皆孤児なんだよな---


似た物同志やっぱ集まるもんだ

俺らもあのギャングと大した変わらん


僧侶「ねぇ聞いてるですか?お金に余裕無いです」

盗賊「金貨お前にやったろうが…もう使っちまったのか?」

影武者「良いよ良いよ僕が出すから…」

盗賊「おぉ!?金持ちが要るじゃ無ぇか…酒だ酒!!お代わりくれぇ!」


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813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:34:48.25 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ヒック シクシク


盗賊「うぃぃ…」ヒック


シュン グサ!


盗賊「うぐっ…にゃろう…やるじゃ無ぇかお前」

少年「うわぁぁぁ!!」ダダダ ブン

盗賊「うむ…お前にゃ見込みがある」グイ

少年「放せぇ!!」バタバタ

盗賊「それで良い…だがな?もうちっと訓練が必要だ」ヒック ヨロヨロ

少年「姉御ぉ!!ゴメン失敗した!!」

盗賊「いやお前は成功した…見ろ…俺の腹にしっかり矢が刺さってる」タラー

少年「くぅっ…」ジタバタ

盗賊「見てろ…こうやって治す」ズボォ ボタボタ

少年「はっ…血が…」

盗賊「コレだ…傷口にこいつを入れてぶっ叩く訳よ…あら不思議…止血の完了」ドン プチ

オークの子「少年!大人しく飛行船に乗って…この人たちは本物…他の大人と違う」

少年「姉御…だったらどうして檻の中に」

盗賊「アホか…簡単に逃げちまうだろうが…痛つつつ」ヨロ

少年「何処に連れて行く気だ!?」

盗賊「秘密のアジトよ…ほんでお前等を鍛える…俺みたいなムキムキの戦士にな?」

少年「姉御信じて良いの?」

盗賊「あぁぁぁうるせぇうるせぇ…お前も檻に入ってろ!」ドン ガチャン

悪ガキ共「あぁぁ少年まで…」シクシク

盗賊「ふぅぅぅ…肉あんぞ?食え」ポイ

悪ガキ共「…」ジュルリ

盗賊「芋の方が良いか?生なんだが…」ポイ

少年「…」ジュルリ

盗賊「ちっと俺は寝る…その辺のもの適当に食って良いぞ…夜が明けたら出発だ」ウトウト

悪ガキ共「姉御…チャンスだよ…逃げよう」ガチャガチャ

オークの子「今の内に皆食べて…お腹一杯」

悪ガキ共「姉御は?」

オークの子「見張ってる…最後で良い」


盗賊「んがぁぁ…んががが…ぐぅ」zzz


悪ガキ共「ひぃ!」ビク

オークの子「大丈夫!寝てるから」


ガブガブ モグモグ ムシャムシャ


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814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:35:21.17 ID:pYa2Z27w0
『翌朝』


チュン チュン


盗賊「んがぁぁ…すぴーーー」zzz

僧侶「盗賊さん…コレどういう状況なんでしゅか?」ユサユサ

影武者「ハハハギャングは全員乗ってる様だね?随分ちらかされたなぁ」

僧侶「寒く無いんですかね?私炉に火を入れるです」カチカチ シュボ

盗賊「んあ?」パチ

僧侶「起きたですね?もうすぐ朝でし…」

盗賊「危ねぇ!寝過ごす所だったぜ…」ガバッ

僧侶「飲みすぎでし」

盗賊「炉は俺がやるからガキ共ちょっと寄せといてくれ…まだ人が乗る」ガッサ シュゴーー

僧侶「はいなー!!」

影武者「じゃぁ移民の人案内してくる」タッタ

盗賊「ガキ共は腹膨れたら寝ちまったみたいだな」

僧侶「もう荷物入れないですか?」

盗賊「おう!扉閉めといてくれ」

僧侶「よいしょー」バタン

影武者「皆さん荷物持って乗って下さい…2階部分が居室になります」


ドタドタ


盗賊「よーし!全員乗ったな?下の階が荷室になってっから要らん荷物はそっちに置いてくれ」ヨロ

盗賊「飛んでる間デッキに出ても構わんが落ちん様にだけ注意してくれな?」フラ

盗賊「目的地はハテノ村…大体2日で到着する」

盗賊「ちっと素行の悪いガキが一緒に乗ってるが出来るだけ問題おこさない様に頼む…じゃ飛ぶぞ?」グイ


フワフワ


盗賊「僧侶!縦帆開いてくれ!分かるな?」

僧侶「はいなーー!!」グイ バサバサ


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815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:36:11.20 ID:pYa2Z27w0
『飛行船』


ビョーーーウ バサバサ


盗賊「僧侶!ブタの檻に入ってる2人のガキを出しておいてくれ」

僧侶「ほーい!」スタタ

影武者「あれ?盗賊さん腹から血が…」

盗賊「あぁコレな?昨夜あのガキ共に矢を撃たれてよ…応急処置はしたがちと傷開いたな」

影武者「痛くないの?」

盗賊「こんなもん舐めときゃ治る…あいつら毒使う事も知らん」

影武者「薬草を持ってるよ…処置しようか?」

盗賊「気が利くな?」

影武者「これくらいなら僕にも出来るさ」ガサガサ

盗賊「そろそろお前もフード脱いだらどうだ?」

影武者「髪が生え揃って居ないんだ」

盗賊「バンタナは知ってるな?海賊共が使ってるやつ」

影武者「うん…」

盗賊「荷室のどっかに入ってた筈だ…それ使え」

影武者「あぁ…」

盗賊「まぁ嫌なら良いけどよ…表情分からんと気味が悪い…ガキ共に距離置かれるぞ?」

影武者「自信が無くてね…」

盗賊「少し顔見せてみろ…俺はお前が誰なのか分からん」

影武者「じゃぁ少しだけ…」ファサ

盗賊「何だ普通じゃ無ぇか…顔出しとけ」---心に闇を抱えてるな---

影武者「恥ずかしいよ…」ファサ

盗賊「おい!僧侶!!オークの子を連れて来い」

僧侶「ほーい!!来いだってさ…おいで」グイ スタタ


スタスタ
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:36:58.10 ID:pYa2Z27w0
オークの子「…」ウツムキ

盗賊「…どう思う?」

影武者「え?どう思うって…普通だよ」

盗賊「そうだな?普通だ…でもよく見ろ」

影武者「え?何?」

盗賊「なんでうつむくと思う?」

影武者「それは…見られたくないから?」

盗賊「そうだお前等は同じなんだ…内に籠るな…さらけ出せ…前を見ろ」

影武者「…」ファサ

オークの子「…」チラ

盗賊「良いか?はっきり言ってお前等2人共俺から見りゃ普通な訳よ」

影武者「いや僕の場合髪の毛がまだ生え揃って…」

盗賊「そりゃバンタナで隠せば良い」

影武者「うん…」

盗賊「それでも見られたくないと思う理由は心ん中になんかトゲが刺さったままなんだ…抜いてみないか?」

影武者「抜く?…」

盗賊「内に籠ってちゃいつまでたっても抜けんぞ?ちっと表に出て見ようぜ?」

影武者「表に…」

盗賊「おい!僧侶!クソガキどもを全員デッキに連れてけ」

僧侶「外寒いですよ?」

盗賊「まだそんな高度上がって無ぇから海が見えんのは今の内だ」

僧侶「分かったでしゅ」スタタ

盗賊「まぁ影武者もちっと風に当たって来い…内に籠るのがアホみたいに感じるぞ?」

影武者「うん…」スタ

盗賊「おいおい一人で行くな!そいつも連れてけ」

オークの子「自分で行ける」スタ

盗賊「なんだ喋れるじゃ無ぇか…まぁ好きにして良いから!トゲ抜いて来い」


うわぁ!雲と同じ高さだ!

火山だ!火山が見える!

あれがキ・カイ?小さい…



ヒュゥゥゥゥ バサバサ
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:37:27.75 ID:pYa2Z27w0
オークの子「アンタ…取引きしないかい?」

影武者「ハハ面白いじゃないか…何を取引する気だい?」

オークの子「私らの仲間に興味は無いかい?入れてやっても良い」

影武者「因みに聞いておく…引き換えに何を?」

オークの子「バンタナ取って来てやるよ…」

影武者「…」---心を掴まれる---

オークの子「フフ…」

影武者「…」ファサ

オークの子「逃げる気だね?」

影武者「寒いだけさ…」

オークの子「どんぐり居るか?」

影武者「ハハ僕も舐められた物だ…そんな物…」グイ

オークの子「食えよ」グイ

影武者「ムグ…」---ゴミの味---

オークの子「私等それ食って生きてんだ…その味知ってるだろ?」

影武者「君は僕を知って…」

オークの子「仲間になる手順を教えてやる…まずゴミを食ったことが有るか無いかさ」

影武者「ハハ負けたよ…それにしてもマズイ」

オークの子「ごちそうだよ」


盗賊「お〜い!!誰か飯作れぇ!!腹減った」

僧侶「はいなー!!皆寒いから中はいるでし!!」ドタドタ

盗賊「…」チラリ


こいつらにはこいつらの物語がある

次の時代の主役だ

俺らはただ魔王を倒せば終わりって訳じゃ無ぇ

こいつらの中に居る魔王も退治し無ぇと意味が無い

まだ死ね無ぇなぁ…


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818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:38:19.62 ID:pYa2Z27w0
『名もなき島_古代遺跡』


ウィィィン プシューーー ポコポコ


商人「錬金術で組み合わさる訳じゃ無いのか…」

剣士「ホム姉ちゃんの部品が組み合わさった…良いの?これで?皮膚が無い」

商人「皮膚の部品は無かった…もしかすると足りて居ないのかも…」

剣士「このままじゃ可哀そうだよ…」

商人「この手順を記録する」カキカキ メモメモ


通りで錬金術では完全なホムンクルスが造れない訳だ…

生体の完成は多分自己治癒だ


剣士「ゾンビみたい…」

商人「ちょっと思い違いが在ったみたいだ…錬金術ですぐに完成すると思っていたけど…」

剣士「時間が掛かるんだね?」

商人「多分…この状態から自己治癒で皮膚と毛髪が生成されるのはもう少し先だね」

剣士「どのくらい掛かるんだろう?」

商人「ラヴ!どれくらいかかるか分かるかい?」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「一晩間を置いて治癒の具合を見て見ないと推定出来ないな」

商人「でもどれだけ時間が掛かるにせよ…一先ず成功だ!」
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:39:25.08 ID:pYa2Z27w0
『小舟のある砂浜』


ザザー ザブン


女オーク「剣士!?何処に行ったの?剣士!?」

剣士「あぁ…ここに居るよ」

女オーク「居ないから探したわ…何してるの?」

剣士「星を見てるんだ…おいでよ」

女オーク「望遠鏡で?」

剣士「いや望遠鏡で見るのは意味が無かった…見てよ今日は月が無い…空も澄んでる」

女オーク「本当ね…こんなに星が…」

剣士「それで望遠鏡で見て見たけど星は星のままさ…このまま見て居た方が綺麗だ」

女オーク「海にも星?」

剣士「海の中にもね…沢山の虫が居るんだよ?あの虫は光るんだ…見てて?ほい!従え!」


ユラー キラキラ


女オーク「あなたが操って?」

剣士「すごいでしょ?」

女オーク「ウフフ…」

剣士「あの星にも誰か住んでるのかな?行ってみたいなぁ」

女オーク「どうして光るのかしら?」

剣士「きっと太陽の反射だよ」

女オーク「こんなに沢山?」

剣士「何個あるんだろうね?」

女オーク「虫の光は何個あるの?」

剣士「ハハハ数え切れない…そうか星も数え切れないね」

女オーク「虫はどうして光を?」

剣士「光を使って他の虫を呼んで居るんだよ…虫は光を目指して飛ぶからね…」

女オーク「水の中で飛ぶっておかしくない?

剣士「水の中でも同じさ…」---あれ?---


光を見て飛んでる…

そうだ花粉…いや命の種を持ったまま飛ぶんだ

命を運ぶのは虫…

…なんか引っかかる

もしかして虫が命を運ばなくなったのか?


女オーク「剣士!じゃぁ先に帰って待ってるから…遅くならないでね」

剣士「ん…うん…もう気が済んだから行くよ」

女オーク「じゃぁ一緒に…ウフフ」
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:40:16.96 ID:pYa2Z27w0
『翌日_地下』


スタスタ


剣士「商人さん!」ユサユサ

商人「ハッ…」パチ

剣士「書き物しながら寝てたんだw」

商人「ホムンクルスは!?」スタ

剣士「昨日のままだよ…あ!違うコレ神経かな?何か成長してる」

商人「よし!遅いけど確実に成長してる…よしよしこれで僕が居なくなってもホムンクルスは生き延びる」

剣士「え!?商人さんはホム姉ちゃんに会いたいんじゃないの?」

商人「会いたい…でもそれは二の次さ…ホムンクルスが生き延びれば僕はこの命なんか要らない」

剣士「ダメだよ命を要らないなんて言ったら…命は生かされてるんだから」

商人「ハハそうだね…精一杯守るさ」

剣士「それで今日からどうする?」

商人「しばらく間が必要なのは分かった…危険を承知でオークの地まで行こう」

剣士「お?ウンディーネの居る所だね?」

商人「場所は分かってる…まず様子が見たい」

剣士「おけおけ!空から見るだけなら大丈夫さ…ハイディングもあるしね?」

商人「準備するから少し待って」

剣士「うん…」コロン


チャプン


剣士「ん?瓶の中にエリクサー?…そして外部メモリ」

商人「あぁぁそれに触らないで」

剣士「商人さんコレもしかして…」

商人「僕に何か有ってもこれで確実にホムンクルスが蘇る…まぁ保険さ」

剣士「ねぇ止めようよそういうの…死神はそういうのに敏感なんだよ」

商人「死ぬ気は無い…只僕達の力ではどうしようも無い事もある…君も見ただろう?海を漂う流氷を」

剣士「商人さんも気付いたんだね…オークシャーマンの力を」

商人「だから保険を掛けてるのさ…死ぬ気なんか全然無いしもう一度彼女に会いたい…最善を選んでるだけだよ」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「分かってる…さぁ行こう!」


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821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:41:11.54 ID:pYa2Z27w0
『数日後_東オーク領上空』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「大洪水の跡だ…ほとんどの村が水に浸かってる」

商人「セントラルで起きた津波と状況は似て居そうだ…雪が降って居るのもね」

女オーク「酷い…助けないと」

剣士「君は東オークと戦って居たんじゃないの?」

女オーク「オーク同志戦いたいなんて誰も思ってない…命令に背けないだけなの」

商人「東オークにはオークシャーマンは居ないのかい?」

女オーク「オークシャーマンは西オークにだけ居る…オークシャーマンに従わないオークが東オーク」

商人「なるほど…」

剣士「東オークの肌が青いのもオークシャーマンの呪い?」

女オーク「そうよ…命令に従わないオークに呪いが掛かるの…強化も無いから弱い」

商人「弱い?ならどうして勢力が硬結してる?」

女オーク「西オークは数が少ない…東オークはすごく多いわ」

商人「じゃぁほとんどのオークがオークシャーマンに従って居ない訳か」

剣士「どうして?オークシャーマンは寛容なんじゃなかったっけ?」

女オーク「オークシャーマンはオークの裏切り者だから」

商人「ハハーン…力を独り占めして独立って事だ」

女オーク「オークシャーマンがウンディーネを欲しがらなければ戦争は起きない」

商人「逆に東オークはウンディーネを渡したら戦争終わるよね?つまり戦争を起こしてるのは東オークだ」

女オーク「え?」

商人「戦争を終わらせたいならウンディーネを渡せば良いだけ…その判断が出来ないから沢山のオークが犠牲になる」

剣士「東オークがウンディーネを守る理由は?」

女オーク「それは…私は西オークだったから分からない…オークの神を守るのは理由にならないの?」

商人「う〜ん…なんか逆な気がするなぁ…勘だけど」

剣士「ねぇどうしてオークシャーマンは自分に従わないオークを従わせる呪いを掛けない?なんかやり方が半端だ」

商人「そうだね…あれだけ力があるなら強制的に従わせれば良いだけだね?おかしい」

女オーク「それは…」

剣士「オークシャーマンは従わないオークも許してる…わざわざ半端な呪いでなにか導いてる」

女オーク「人間と結ばれれば呪いが解ける」

商人「それは人間との交配の促進だ精霊ウンディーネも恐らくそれを支持してる」

剣士「もしかして東オークは純血ばかりなのでは?」

女オーク「そうよ?でも西オークも強いオークはみんな純血…ハーフオークは大体野良オークね」

商人「それだね?交配を推進してるのが西で否定しているのが東だ…でもどちらも人間と結ばれれば呪いが解ける」

剣士「確か純血のオークは体も大きくて強かったね?それを守りたいオークが東なんだね?」

女オーク「大体そうよ?…でもどうしてウンディーネと関係が?」

商人「簡単さ…ウンディーネは交配の促進を加速する…だから渡したく無いんだ…純血を守る為にね」

剣士「人間の生活圏から遠く離れて居るのもそういう理由だろうね」

商人「やっぱりウンディーネのあるべき場所は西オークだね…東オークがそれを邪魔してるんだ」


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822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:42:07.95 ID:pYa2Z27w0
『東オーク砦』


シュゴーーー バサバサ


商人「多分あの砦の何処かに古代遺跡が有る筈だよ…」

剣士「雪のせいで望遠鏡が良く見えない…」

商人「ハイディングしたまま調査出来ないかな?」

剣士「危ないなぁ…オークはエルフと同じで狭間を見破る」

商人「ええ!?そうだったのか…」

剣士「ママは良く爆弾で注意逸らせて調査してたけど必ず時間を決めて行動したんだ」

商人「どれくらいの時間?」

剣士「1分か2分…それ以上かかると気付かれる」

商人「短すぎる…」

剣士「あと商人さんは足が遅すぎるからダメだよ…行くなら僕一人」

女オーク「私は?剣士一人は危ない」

剣士「君もダメ…足音が消せない」

商人「参ったね」

剣士「僕は睡眠魔法が使える…ハイディングと合わせて行けばなんとかなるよ」

商人「それなら僕も行けるじゃ無いか」

剣士「調査にどのくらい掛かるか分からないし…オークにどの程度利くのかも分からないんだ」

女オーク「私の睡眠時間は1時間から2時間ね」

商人「直ぐに起きる可能性が高いんだ…」

剣士「うん…僕が一人で居りて調査終わったら光で知らせる…だから上空で待機しておいて欲しい」

女オーク「飛空艇の操縦は任せて」

商人「じゃぁ僕は見張るかな」

剣士「詠唱を始める…降下して行って合図したらリリースして」

女オーク「うん…」グイ バサバサ

剣士「アブラカタブタチチンプイプイノプイメスメライズ…今!」

女オーク「リリース」スゥ


オーク「ウゴ!?」


剣士「広範囲睡眠魔法!」モクモクモク

剣士「そのまま高度上げて上空で旋回!僕は飛び降りる!」パカッ ピョン シュタ

女オーク「商人さん扉閉めて!」グイ 


シュゴーーーーー バサバサ


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823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:43:37.45 ID:pYa2Z27w0
『1時間後』


商人「遅いな…ハイディングしたままだったとして数時間は調査してる筈」

女オーク「まだオークに動きがないから大丈夫よ…」

商人「しかし手薄だね…10人程度しか見えない」

女オーク「まさかいきなり攻めて来るなんて思って居ないでしょう?」

商人「こんなに手薄ならオークシャーマンが来れば良いのに」

女オーク「西オークには気球が1台しか無いの…それもフィン・イッシュから貰った物だけ」

商人「あーなるほど…ハイディングも出来ないか」

女オーク「船も1隻しか持って無い」

商人「それもフィン・イッシュからの船?」

女オーク「そうよ…西オークには船を作る技術も何も無いから」

商人「東オークは?」

女オーク「同じ…オークは物を作るのに長けてない」

商人「なるほどね…エルフも同じだな…船も気球も無い」

女オーク「だから人間に憧れる…本当は人間が大好き」

商人「それは西オークの発想なんじゃないの?」

女オーク「そうかもしれない…でも人間が好きなオークは沢山居る」


ドコーーン!!


女オーク「え!?」

商人「ワームだ!!マズイ何か起こってる!!」

女オーク「行く!!」グイ シュゴーーーー バサバサ

商人「剣士が見えない…どこだ!?」

女オーク「オーク達が一斉に動き出した」

商人「西だ!!西方向に向かってる!!」

女オーク「こっちにも気付かれた…」

商人「まさか何か撃って来る?…あのオークでかいな…まるでトロールだ」

女オーク「商人!!ロープ垂らしておいて!!」

商人「分かった!」スルスル


シュン バキバキ!


商人「うわぁぁ!!でかい矢が貫通した…」

女オーク「純潔のオークが使う弓矢は槍よりも大きい」

商人「応射しないとオークの足が止まらない…」

女オーク「オークの足を止めて!剣士が危ない!」

商人「当たれぇ!!」バシュン バシュン

女オーク「居た!!間に合う…」グイ シュゴーーーー

商人「ダメだオークが止まらない…」バシュン バシュン

女オーク「剣士がロープ掴んだら教えて!逃げる!」

商人「もう少し…もう少し…掴んだ!!飛んで!!」

女オーク「上がって!!」グイ バサバサ


シュン グサ!!
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:44:28.05 ID:pYa2Z27w0
商人「あああああ剣士に当たった…」

女オーク「商人操縦変わって!私が引き上げる!」ダダ グイ グイ

商人「どど…どうすれば?これか?」グイ シュゴーーーー

女オーク「剣士!!剣士!?」グイ グイ

剣士「うぅぅぅ…」ボタボタ

女オーク「掴まって!」グイ ギュゥ

剣士「ハハ…ギリギリせーふ」ハァハァ

女オーク「矢が背中まで貫通してる…どうしよう」オロオロ

剣士「線虫してある…そのまま抜いて…ぅぅぅ」ポタポタ

女オーク「ふんっ!」ズボォ ブシュー

商人「血が噴き出して…」

剣士「強く押さえて置いて?直に塞がる」

女オーク「…」ギュゥゥゥ

商人「エリクサーが少しある…飲んで」クィ

剣士「その味キライなんだぁ…うげぇ」ゴク

女オーク「もう危険な事は禁止!これは命令!」プルプル

剣士「ハハちょっと調子に乗り過ぎた…反省してる」

商人「何があった?」

剣士「これみて?オークの旗印…これ持って帰って来た」バサ

商人「ええ!?」

剣士「ダンゴムシだよ…なんでか分かるよね?」


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825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:46:24.43 ID:pYa2Z27w0
『帰路』


シュゴーーーー バサバサ


商人「…という事はやっぱり石造になってる訳だ」

剣士「器に横たわって石化してた…その他の機械は全部風化しでグズグズだったよ…ガラスの容器も部品も無い」


大きなオークはね…石造に花を添えてお祈りしたまま寝て居たよ

もう分かった…オークは純粋に石造になったウンディーネが蘇るのを信じてる

たったそれだけ…それを単純に奪われたくないその一心だ


商人「純血のオークは石造になったウンディーネを何千年もただ守ってると…」

剣士「うん…それでオークシャーマンも同じように蘇らせたい一心なんだよ…ただ少し噛み合ってない」

商人「それで何年も争い合ってるなんて…」

剣士「きっともうあの石造が蘇らない事を知らないんだよね…なんか無駄な争いだ」

女オーク「教えてあげれば戦争は無くなる?」

剣士「そうだと良い…オークシャーマンは僕達の言う事聞いてくれるかな?」

女オーク「分からない…」

商人「ホムンクルスを直接連れて行けば良いかも知れないけど…なんかまた危険に晒しちゃうな」

剣士「…それと遅くなった理由はね…遺跡の中に石板がいくつかあったんだよ」

商人「何か分かったんだね?」

剣士「オークはね…違う星から来た様だよ」

女オーク「え!?」

剣士「この飛空艇みたいな物に乗って別の星から来た画があった」

商人「オークの起源か」

剣士「東オークが石造を守る理由はさ…そこに帰りたいんじゃないかな?それを信じてるんだと思う」

商人「守り通す動機はそれか?…」

女オーク「知らなかった」

剣士「そしてこの旗印だよ…きっとママが関係してる」グッ

女オーク「西オークの旗印にもダンゴムシが描かれているわ」

剣士「船に旗印あったね…気が付かなかったよ」

商人「オークの起源に絡んでいるとは驚きだね…」

剣士「僕さ…オークシャーマンと話した事あるけど悪いオークだとは感じなかった」

商人「今の話からすると悪意を持って戦争してる訳じゃ無さそうだ」

剣士「僕達と同じ様に結構ギリギリな感じで一人で向き合ってる様な気がする」

商人「そうだ!西オークってどれくらいのオークが居るの?」

女オーク「200人くらいよ」

商人「え!?たったそれだけ?それで戦争なんて…」

女オーク「強化しているから他のオークには負けない」

剣士「ほらね?なんていうかな…魔女が一人で立ち向かってるみたいな感じ…でも肝心な事を知らない」

商人「分かりやすい…なるほどいろいろ秘密が解けてきた」
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:47:23.86 ID:pYa2Z27w0
西オークは殆ど領土も無いから食料が無い…だから豪族からどんぐりを入手する

戦う戦士が少ないから死霊術で沢山のゾンビを操る

一方東オークは強い西オークの戦士に対抗する為にフィン・イッシュから武器を入手してる

見返りにフィン・イッシュの戦力としてオークが少し駐留している訳だ

その結果セントラルはフィン・イッシュを攻め切れない

バランスを変える可能性があるのが今や海洋をほぼ支配している豪族だ

豪族の足並みがバラバラなお陰でドワーフの国もフィン・イッシュも攻め切られないでいる



剣士「もうバランスは変わってる…オークシャーマンは古代魔術の力を得た」

商人「そうだったね…」

剣士「それからもう一つ…環境の激変でこれからどう転ぶか予測できない」

商人「それを早く止めさせたいな…北の大陸もどうなってるのか想像もつかないよ」

剣士「オークシャーマンにどうにかして事の真相を伝えたい…」

女オーク「船の行先も知らない…探しようが無いわ」

剣士「そうだ!!念話だ…魔女なら念話が出来るかもしれない…」

商人「魔女の居場所は?」

剣士「千里眼!…ダメだ見えない…多分狭間の中に居る」

商人「一先ず北に向かおうか」



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827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:47:55.81 ID:pYa2Z27w0
『随分前_シン・リーン城』


”…わかった…船を港町の沖へ移動させる…港町で落ち合おう”


魔女「母上…ちぃとわらわは旅に出る」

女王「では近衛を2名同行させない」

魔女「要らぬ…女戦士と情報屋を従士として同行させる故心配は無用じゃ」

女王「行先は何処へ向かうのですか?」

魔女「未だ決定はして居らぬが南の大陸じゃろうのぅ」

女王「貝殻は常に持ち歩いておくのですよ?」

魔女「分かって居る…では行って参る」ノソノソ


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『客室』


ガチャリ バタン


魔女「待たせたのぅ…出立の準備が出来たで港町まで気球で行くぞよ」

女戦士「そこでアサシンと合流だな?」

魔女「うむ…奴も妹の墓参りがしたいそうじゃ…落ち合うのは墓所じゃな」

女戦士「私はこのまま手ぶらで良いか?」

魔女「何も無いとは思うが…一応帯剣を用意させるで持って行け」

女戦士「十分…」

情報屋「あなた達2人…年を取って居なくて羨ましい」

魔女「シワくらいは取ってやっても良いぞ?」

情報屋「お願いしたいわ…なんだか釣り合わないもの」

魔女「変性魔法!」シュワワ

情報屋「副作用とかは?」

魔女「魔力に制限が出るが主には関係なかろう」

情報屋「よーし!やる気が出て来た」

魔女「体力は元のままじゃで無理はせぬ様にな?」

女戦士「フッ…狭間の中での修行で私も得をした様だ」

情報屋「本当羨ましい」

魔女「では行くぞよ…」ノソノソ
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:48:25.85 ID:pYa2Z27w0
『気球』


フワフワ


近衛「ささっ…お乗りください」スス

魔女「高々港町へ飛ぶのに何台の気球を使う気じゃ…この気球だけで良い!」ノソノソ

近衛「いやしかし…」

魔女「無駄じゃ!他の気球は別の用途へ回せ」

近衛「承知!」

魔女「女戦士と情報屋は寛げい」

女戦士「ふっ…」スタ

情報屋「お言葉に甘えて…スタ

近衛「ではご安全に…出せ!」

操者「はい!!」グイ


フワフワ



『上空』


ビョーーーーウ バサバサ


女戦士「未来は今どうしている?」

魔女「どこぞを旅して居る…良い仲間が居る様じゃで心配無用じゃ…思惑通りキ・カイへ向かえば良いが…」

女戦士「そうか…私はもう10年以上も顔を見て居ない」

魔女「会うのを楽しみにしておれ…資質はわらわ以上じゃで」

情報屋「魔女を超えていると言う事?」

魔女「わらわには思いつかん工夫があるのじゃ…流石女海賊の血を引いとる」

情報屋「爆弾と魔法を組み合わせると言う様な感じなのね?」

魔女「うむ…考えもつかん様な事をやり居る…柔軟なんじゃな」

女戦士「フフ…」トーイメ
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:49:28.75 ID:pYa2Z27w0
『港町』


フワフワ ドッスン


魔女「ふぅぅやっと自由の身じゃ」

情報屋「今日は領主の砦で休む?」

魔女「否…飽きたで宿で休むぞよ」

情報屋「フフ王室の縛りから逃れたのね…じゃぁ宿を取って来るわ」

魔女「アサシンが現れるまでしばし自由じゃ…宿を拠点に待つとしよう」

女戦士「では降りるぞ?」スタ

魔女「これ待て…主らに金貨を渡しておく…自由にせい」ドサ

情報屋「こんなに…」

魔女「母上に持たされたのじゃがわらわは使い道が無い…主らで自由にせい」

女戦士「頂く…上手く使わせてもらう」ジャラ

情報屋「じゃぁ私も…」ジャラ

魔女「わらわは酒場で飲んで居るでな?」ノソノソ

操者「お気を付けて」ビシ



『広場』


ワイワイ ガヤガヤ

寄ってらっしゃい見てらっしゃい!キ・カイ産のアクセサリーだよー!!

魔石あるよー!買うなら今の内だぁ!!

ミスリル製の武器に防具見てってくれぇ!!


情報屋「宿取って来たわ…女戦士は何か買うつもり?」

女戦士「いや…見て居るだけだ」

情報屋「金貨沢山貰ったのだから装備品を揃えてみては?」

女戦士「帯刀だけで構わん」

情報屋「そう?…じゃぁ私は少し買い物を…」

女戦士「港に豪族の船が2隻入っているな…騒ぎが起きねば良いが」

情報屋「騒ぎとは?」

女戦士「魔女から何も聞かされて居ない様だな?」

情報屋「え?何?」

女戦士「私は豪族に追われているらしい」

情報屋「らしい…って魔術の修行をしていたのでは?」

女戦士「ドワーフの国の領地を豪族が占領していてな…関係が悪いのだ」

情報屋「それで娘のあなたを捕らえようと…」

女戦士「どうせヘタレ共だ…気にする事でも無い」

情報屋「一応フードで顔は隠しておいた方が良さそうね」

女戦士「隠者を装っておく」

情報屋「買い物で装備を整えられない訳ね…」

女戦士「フフ…本当はもっとおしゃれをしたいのだがな」
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:50:12.93 ID:pYa2Z27w0
『酒場』


ドゥルルルン♪


おい!金は出すって言ってんだろ…お前娼婦だよな?

何度言ったら分かるのじゃ…売らんと言うとるじゃろう

けっ!!なんだよ思わせ振りやがって

痛い目を見んと分からん様じゃな…去れ!

お!お!お!足が勝手に…おいおい俺は何処に向かって


店主「いらっしゃいませ…2名様で?」

情報屋「連れが先に来ているかと…」

女戦士「カウンターだな」

店主「左様で…お飲み物は如何いたしましょう?」

情報屋「ハチミツ酒で良いわね?」

女戦士「構わん…」

情報屋「2杯お願い…」ジャラリ

店主「すこしお待ちを…」スタ

情報屋「魔女!?来たわ」

魔女「おぉ!主らを待って居った…娼婦に思われて困って居る」

女戦士「目は隠しておいた方が良いのでは?」

魔女「面倒じゃ」

情報屋「魔女は素のままの姿で良いの?」

魔女「構わぬ…誰も気付いて居らん」

女戦士「肝が据わっていると言うか…まぁどうという事も無いな」

店主「ハチミツ酒をお持ちしました…どうぞ」

情報屋「どうも…」クィ プハァ

女戦士「しかし魔女…豪族を自由にさせ過ぎでは無いか?」

魔女「政務は母上じゃ…豪族と関わるなとは進言して居るが仕方ないのぅ」

情報屋「ドワーフの国が侵略を受けているとか?」

魔女「聞いて居る…追撃されぬ様にアサシンが暗躍して居るのじゃ」

情報屋「そうだったの…」

魔女「豪族の叩き過ぎは経済が回らんくなるで中々難しい様じゃ」

女戦士「あの馬鹿共が豪族とはヘドが出そうなのだが…致し方ないという事か」

魔女「詳しくはアサシンに聞いた方がよかろう…わらわは部分的にしか知らんでのぅ」


ワイワイ ガヤガヤ

おい見ろよ…カウンターに3人良い女が居るぞ?

あれは誘われ待ちだな?どうする行って見るか?


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831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:50:59.52 ID:pYa2Z27w0
『宿屋』


ヒソヒソ

これお代だ…又指名するな?

じゃぁ戻るわ…指名するならもっと早い時間に来ないと居ないかもしれないわ…じゃ!


魔女「…」ノソノソ

情報屋「…」スタスタ

女戦士「…」ツカツカ


ガチャリ バタン



『大部屋』


魔女「商売の女が多いのぅ…わらわは肩身が狭いわ」

情報屋「豪族からお金を搾り取るなら体を売るのが早い様ね…」

魔女「フィン・イッシュは更に多いらしいが大丈夫なんかのぅ?」

情報屋「でもお陰で経済が潤ってる所もあるし…悪い事とも言い切れないわね」

女戦士「こう何度も声を掛けられる様では酒場には行きにくい」

魔女「そうじゃな…色目を付けられるのも気色悪いで大人しゅうしとる」


アハ〜ン ウフ〜ン ドタバタ


情報屋「隣の部屋の声も聞こえて来るし精神衛生に良く無いわね」

魔女「沈黙の魔方陣を張るで待って居れ」ノソノソ

女戦士「さて私は横になる」ドサ

情報屋「2〜3日はこれが続くのね…調査記録でも纏めようっと」


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832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:51:55.13 ID:pYa2Z27w0
『数日後』


ガチャリ バタン


情報屋「魔女!」

魔女「んん?」

情報屋「船乗りの噂で沖の方に幽霊船が居るって…アサシンよね?」

魔女「おぉ…やっと来た様じゃな」

女戦士「今し方墓所から戻ったのだが…もう一度行くか?」

魔女「そうじゃな…すれ違ったのやも知れぬ」

女戦士「では行こう」スック


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『街道』


ザワザワ ドタドタ

海賊王の娘が補給に来て居るらしい…手分けして探せ!

船に乗ってる奴ら叩き起こして来い


女戦士「…」スタスタ

魔女「主も肩身が狭かろう」ノソノソ

女戦士「馬鹿共に呆れている」

魔女「少し痛い目を見させてやりたいのぅ…」

女戦士「構うな…馬鹿が移る」

情報屋「宿屋で顔を見られて居るのに気付かなかったのかしら?」

女戦士「だから馬鹿なのだ…下半身で考えて居るからな」


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833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:53:02.91 ID:pYa2Z27w0
『ユートピアの墓』


サワサワ ヒュゥゥゥ


魔女「う〜む…まだ来て居なさそうじゃ…」

情報屋「見て!豪族の船が沖に2隻」

魔女「幽霊船を探しておるんじゃろう…狭間に居るで見つかる訳無いじゃろうが…」


アサシン「リリース」スゥ


魔女「おぉ!!隠れて居ったか…」

女戦士「アサシン…私の体は堪能したか?」

アサシン「クックックお前の体に興味は無い…魔女…この体は重い…元に戻してくれ」

魔女「変性魔法!」シュワワ

アサシン「はぁぁぁ何年振りか…」

女戦士「ローグはどうした?」

アサシン「別行動だ…セントラルに潜伏している」

女戦士「私の資産は無事だろうな?」

アサシン「触って居ない…それで魔女?私は状況が読めて居ない…説明して欲しい」

魔女「ここで立ち話ものう…幽霊船に行けぬか?」

アサシン「行っても良いが少し補給もしたい…ワインを調達したいのだ」

情報屋「仕入れて来るわ?何処に持って行けば?」

アサシン「ここの東に入り江が有るのを知って居るか?そこに小舟を置いてある」

情報屋「知ってる…そこに持って行けば良いのね?」

アサシン「樽で二つ程欲しいが運べるか?」

情報屋「ここに荷車が置いてあるから大丈夫よ」

魔女「では先にその入り江へ行ってそこで話を聞かせてやろう」

アサシン「案内する…付いて来い」スタ
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:53:52.87 ID:pYa2Z27w0
『東の入り江』


ザブン ザザー


魔女「…という訳じゃ…未来の先回りをするのに幽霊船がよかろうと思って居る」

アサシン「では海士島付近が一番動きやすいのだが…」

女戦士「なぜそこに?」

アサシン「船を隠す無人島が有ってな…そこが拠点なのだ」

魔女「まぁ良い…ここに居るよりは余程動き安かろう」

アサシン「それで私から質問なのだが…オークシャーマンだったか?それは西なのか東なのか?」

魔女「西も東も分からぬ…何故その様な質問をするのじゃ?」

アサシン「フィン・イッシュが武器を大量に東オークへ支援している…関連がありそうだ」

魔女「大戦が控えて居ると?」

アサシン「いや分からん…ただ武器の供給元が知れるのはフィン・イッシュが攻められる口実になる」

魔女「オークが攻めて来るとは考えにくいがのぅ」

アサシン「オークシャーマンが西側だった場合武器の供給元を断ちたい思うだろう?」

魔女「ふむ…そういえば暁の墓所に来たオークは気球で移動しとった様じゃ」

アサシン「それからアダムの件…子供が生まれない原因はアダムと見て間違い無いのか?」

魔女「調査はさせて居るが確定では無い…じゃで動き辛いのじゃ」

女戦士「未来はもう行動している」

魔女「そうじゃな…見定める前に先走るのを防ぎたいのじゃ」

アサシン「わかった…状況は大体把握した」

女戦士「ローグとはどう接触するのだ?」

アサシン「船を隠す無人島に定期的に情報を持ってくる…待つしかない」

女戦士「なぜ別働を?」

アサシン「豪族の分散を狙っている…纏まるとドワーフの国は船をすべて失うぞ?」

女戦士「それほど戦況が悪いか…」

アサシン「火薬の保有量が決定的に違う…豪族に指導者が居ないのが救いだ」

女戦士「もしや海賊王の娘が狙われて居るのは…」

アサシン「私が囮になって居たのだ…豪族を散らす為にな…その誘導の為にローグがセントラルに潜伏している」

魔女「では主は逃げ回って居るのじゃな?」

アサシン「場所を変えながらうろつくだけの簡単な仕事だ…どうという事は無い」

女戦士「フフあの馬鹿共め…」

アサシン「ここらで少し知らしめてでも置くか?忙しくなってしまうだろうが」

女戦士「馬鹿は死んでも治らん…放置だ」

魔女「奴らを骨抜きにするなぞ簡単じゃぞ?女に変性させるだけじゃ」

女戦士「反吐が出るから止めてくれ」
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:54:54.87 ID:pYa2Z27w0
『小舟』


ドッスン ドッスン


アサシン「さぁ乗ってくれ…幽霊船は少し沖だ」

魔女「わらわ達の食料はあるんじゃろうな?」

アサシン「クックック幽霊船ではな?誰も食料を必要としない…私を含めてな」

情報屋「え!?じゃぁ何も乗って無い?」

アサシン「魚を釣れば良かろう…水は雨水だ」

魔女「しもうたな…何か買って来れば良かったわい」

アサシン「倉庫は10年前から何も触って居ない…探せば何か有るだろう」

情報屋「船には誰が乗ってるの?アサシン一人じゃ動かせないでしょう?」

アサシン「ゾンビを使役して使って居る…肉は削げ落ちてスケルトンになってしまったが」

女戦士「フフ本物の幽霊船をやっていた訳か」

アサシン「補給がワインだけで良いのだ…ラクな物だ」

魔女「10年も経って何が食えるじゃろう…」

アサシン「正確には殆ど狭間の中だ…それほど劣化はしていないと思うが」

情報屋「良かったわね…保存食は残って居そう」

魔女「海士島で補給じゃな」

アサシン「好きにしろ…隠れて逃げ回るのも飽きた所だ」
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:55:49.63 ID:pYa2Z27w0
『幽霊船』


カララン カコンカコン


魔女「船員がすべてスケルトンというのは気味が悪いのぅ…」

アサシン「これ以上ラクな航海は無いぞ?スケルトン!船を出せ」


スケルトン達「カタカタ…カタタタ」ドタドタ


魔女「このスケルトンは何処で使役したのじゃ?このままでは成仏せんが…」

アサシン「クックック…性の悪い豪族の成れの果てだ…海に捨ててもいつの間にか船に戻って居る」

魔女「使役が継続しとるのじゃな」

アサシン「よほどこの船が好きらしい…使われて本望だろう」

女戦士「ゾンビのままよりは衛生的か」

アサシン「さてこのまま海士島に向かって良いのだな?」

魔女「構わぬ…ちとゆるりとしようかのぅ」

アサシン「少し仕事をして行く…折角港町へ来たのだ豪族の足並みを乱すチャンスだ」

女戦士「フフ面白い…お手並み拝見させてもらう」

アサシン「女戦士は着替えて来い…海賊王の娘を見せてやれ」

魔女「わらわは見物じゃな」

情報屋「私も…」


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837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:56:38.13 ID:pYa2Z27w0
『豪族の船』


ザブ〜ン ギシギシ


豪族の頭「幽霊船に追いつけるかぁ!?」

船乗り「こっちの方が早い筈なんすがねぇ…何故か追い付けない」

豪族の頭「船首に大砲移動させろぉ!」

大砲主「こんな距離じゃ当たりやせんぜ」

豪族の頭「黙ってやれぇ!!」

大砲主「へいへい…」

豪族の頭「ぐぬぬスループ船に先を越されるだろが!早く撃てぇ!!」


ドコン ドコーン


大砲主「あのスループ船巻き込んじまいやすぜ?」

船乗り「幽霊船見失いそうだぁ!!見張りは望遠鏡で追ってくれぇぇ!!」

見張り「進路右に回頭してる!!距離詰めるチャンスだ!!」

豪族の頭「面舵!!」

船乗り「へいへい!!」グルグル

豪族の頭「んあ?霧か?」

見張り「あぁぁ何だ暗くなって…こっちも見失いそうだ!!」

野郎共「左舷後方!!海賊船!!」

豪族の頭「何処の船だ?俺らより早い船か?」

野郎共「いや…あれは幽霊船でがす」

豪族の頭「なんだとぅ!?2隻居るのか?面舵いっぱーい!!右舷に大砲移動させろぉ」

船乗り「後ろの幽霊船の前に出るんすか?」

豪族の頭「進路塞げ!!」

船乗り「へいへい!!」グルグル

見張り「左舷後方の幽霊船が遠ざかって行く!!」

豪族の頭「だぁぁぁコケにしやがって!海賊王の娘のヤロウ!」

船乗り「左舷前方にも幽霊船!ニアミスする!」


ザブ〜ン ユラ〜 ギシギシ
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:57:21.27 ID:pYa2Z27w0
豪族の頭「なんだ…と?」

野郎共「スケルトンが舵持って居やがる…」

大砲主「大砲の移動が間に合わん…」ドタドタ

見張り「デッキに女が見える!あれは海賊王の娘だ…」

豪族の頭「クソがぁ!そのまま回頭して追え!」


シュン ストン


豪族の頭「うお!!撃って来やがった…」

船乗り「逃げろぉぉぉ!爆弾だぁぁ!」ピョン ザブン

豪族の頭「どわぁぁぁ…」ダダダ


ドカーン パラパラ


豪族の頭「…」ボーゼン

野郎共「メインマストが倒れるでがす!!」メリメリ ガッサー

豪族の頭「幽霊船の向かってる方向は!?」

野郎共「セントラル方面でがす…」

豪族の頭「くそぅ…港町まで戻る!飛び降りた奴ら回収しろぉ」
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:58:07.34 ID:pYa2Z27w0
『幽霊船』


ザブ〜ン ユラ〜 ギシギシ


情報屋「フフ豪族の人達バタ付いてる…」

アサシン「女戦士…一発挨拶でもしてやったらどうだ?」

女戦士「フフ…そうだな?」チリチリ


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馬鹿共「スケルトンが舵持って居やがる…」

馬鹿共「大砲の装填間に合わん…」ドタドタ

馬鹿共「デッキに女が見える!あれは海賊王の娘だ…」

馬鹿共「クソがぁ!そのまま回頭して追え!」


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女海賊「食らえ…」ギリリ シュン


ドカーン パラパラ


魔女「翻弄するのは簡単なのじゃな?数回ハイディングしただけじゃ」

アサシン「だろう?こうやって適当に幽霊船を見せておけば豪族は足並みが崩れる」

女戦士「なかなか捕まえられない幽霊船をいつまでも追うとはな」

アサシン「ローグがありもしない高額賞金を懸けているのだ」

女戦士「私を掴まえればか?」

アサシン「クックック本当に豪族は頭が悪い」


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『荷室』


ガチャガチャ


女戦士「どうした?呼んで居ると聞いて来たのだが?」

情報屋「ここに乗せている器具類…これは何処で手に入れた物?」

女戦士「あぁソレか…私は良く知らないのだ…多分黒の同胞団の隠れ家だとは思うのだが?」

情報屋「これシャ・バクダ錬金に用いる器具類よ」ガチャガチャ

女戦士「使えるのか?」

情報屋「部品が全部揃っていれば修復出来るかも知れない」

女戦士「その辺の物はローグが詳しい筈だ…魔石もウラン結晶も全部ローグが回収してきた」

情報屋「この資産で豪族の資産全部を超えていると思うわ」

女戦士「フフそうか…金には興味無いが修復して何か出来そうか?」

情報屋「賢者の石の生成ね…材料が解明できるかもしれない」

女戦士「修復出来ればやっても構わん」

情報屋「破断している個所をどうするかだけど…」

女戦士「魔女に相談してみろ…突き合わせて変性魔法で金属は安定させられた筈だ」

情報屋「わかった…まずバラバラになった器具のパーツを合わせてみる」

女戦士「やる事が出来て良かったな?」
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:58:54.48 ID:pYa2Z27w0
『甲板』


魔女「そこに横になれ」

アサシン「こうか?」ドタ

魔女「不死者の体は自己修復せんで不便じゃな…回復させるぞよ?」

アサシン「頼む」

魔女「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

アサシン「…」クイ クイ

魔女「どうじゃ?骨は繋がっておりそうか?」

アサシン「ふむ…良いな」

魔女「痛みが無いで折れても気付かんのじゃな」

アサシン「その通り…いつの間に動きが悪くなる」

魔女「エリクサーは足りて居るか?」

アサシン「体液がすべてエリクサーに入れ替わってからは少量で良くなった」

魔女「ほう?」

アサシン「喉の渇きだけ依然と変わらん…ワインが一番必要だ」

魔女「主を絞ればエリクサーが出て来る訳じゃな?」

アサシン「フフまぁそういう事だろう…お陰で体表面からの揮発も少ない」


スタスタ


女戦士「大きな船に一人乗って良く退屈を凌げたな?」

アサシン「クックックその苦痛を想像出来るか?」

女戦士「どうだ?暇つぶしに立ち合いでもやって見るか?」

アサシン「今魔女に治癒してもらったばかりなのだ…また損傷させると心象悪かろう…」

魔女「わらわも暇じゃ…観戦させい」

女戦士「…という事だ」

アサシン「ヤレヤレ…」ノソリ
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/19(金) 23:59:55.11 ID:pYa2Z27w0
『決闘』


カーン カーン キーン


アサシン「余裕そうだな?こうも簡単に凌がれるか」ブン スカ

女戦士「私はどう見えている?」

アサシン「リッチと同じだ…動く先2歩向こう側を狙っても当たらん」

女戦士「切り込んでみて良いか?」

アサシン「降参だ…勝てない相手とは戦わない主義でな」クルリ スタ

魔女「ふむ…女戦士や?主の弱点は決め手が無い事じゃな…守備は満点じゃが攻勢で火力が足りぬ」

女戦士「自覚している…だから妹のデリンジャーを併用しようと思う」

魔女「そうじゃな…ここぞでデリンジャーが良かろう」

アサシン「もう盾は使わんか?」

女戦士「小型のバックラーと肩当で十分だ」

アサシン「もはや死角無しか…フフ」


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『数日後_無人島』


ザブン ザザ〜


魔女「良い隠し場所では無いか…この島には何か有るのかえ?」

アサシン「何も無い…水も湧かないから誰も立ち寄らん」

女戦士「気球はここに隠してあるのか?」

アサシン「そうだ…ちょっとした私の休憩所にしている」

女戦士「ローグはここにどうやって来る?」

アサシン「自前の船だな…割と良い船を持って居るぞ?」

女戦士「それではこの場所が誰かに知られてしまうでは無いか」

アサシン「一人で動かせるスループ船だ」

女戦士「なるほど…あの一番早い奴か」

アサシン「私は気球で海士島へ補給に行こうと思うがお前はどうする?」

女戦士「不用意に顔を出すのはマズかろう?ここでローグを待っておく」

魔女「わらわは買い出しに行きたいのぅ」

アサシン「では2人で行くか」

女戦士「この島でキャンプ出来そうな場所は?」

アサシン「気球を隠して居る場所にちょっとした洞穴がある」

女戦士「よし…少し荷を下ろして過ごせるようにしておく…日光用がしたい」

アサシン「ご自由に…」


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842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 00:01:06.97 ID:KbfSVIxh0
『洞窟』


アサシン「海士島まで行って2日程で戻る」

魔女「何か欲しい物があれば仕入れて来るが?」

情報屋「羊皮紙とインクが欲しいわ」

魔女「ふむ…女戦士は何も要らんか?」

女戦士「石炭か木炭のどちらかだな…少し鍛冶をしたくてな」

アサシン「どのくらい必要だ?」

女戦士「樽に半分程度で構わん」

アサシン「分かった…では行って来る」


フワフワ バサバサ


女戦士「さて一旦船に戻って少し荷を下ろしに行くが情報屋はここで待つか?」

情報屋「そうするわ…周囲も少し見ておきたいし」

女戦士「野生の生き物が居ても手を出すな?私が後で処理する」

情報屋「わかった」


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『日光浴』


ポカポカ


情報屋「ヤシの実採ってきたわ…要る?」スパ

女戦士「ちょうど喉が渇いた所だ…気が利く」ゴク

情報屋「あなた着やせして見えたけどスゴイ筋肉ね」

女戦士「見ないでくれ…私はこの体が嫌いでな」

情報屋「若々しくて羨ましいわ?」

女戦士「特異体質でな…マッサージでほぐして貰わんとこの様になってしまうのだ」

情報屋「私にほぐせる?」

女戦士「無理だろう…ローグが上手いのだ…だから私は待っている」

情報屋「はぁぁ私も若い体が欲しい…」

女戦士「悩みは同じだな…私は柔らかい体が欲しい」

情報屋「フフ私も日光浴でもしようっと」

女戦士「この島はシン・リーンと違って随分暖かくて気持ちが良い」

情報屋「そうね…」

女戦士「島を散策して来たのだろう?何も無いか?」

情報屋「石を積んだちょっとした祠があったくらいね」

女戦士「という事は誰かが居たのだな…」

情報屋「足跡を残すのはよくある事…歴史的な意味は多分無さそう」

女戦士「水が湧いて居れば良い島なのだがな…」

情報屋「ヤシが沢山生えているから水分はそれほど困らないと思うわ」

女戦士「それは良かった」

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843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 00:01:42.59 ID:KbfSVIxh0
『数日後』


フワフワ ドッスン


情報屋「アサシン達が戻って来たわ!」

アサシン「フフこの洞窟に居済むつもりなのか?資材を何処に降ろせば良い?船か?

女戦士「スケルトンと一緒では気味が悪いのだ…鍛冶はここでやるからその辺に降ろしてくれ」

アサシン「そうか…」

魔女「女戦士や…未来がキ・カイへたどり着いた様じゃぞ?」

女戦士「ほう?行先は読めそうか?」

魔女「上手く商船に乗れば海士島に寄るじゃろう…ここで待ちじゃな」

アサシン「北の大陸に行くには何処行きでも必ず海士島で補給をする筈だ」

魔女「未来にはシャ・バクダに情報屋を訪ねる様に言うて居るで商船に乗る可能性が高い」

魔女「それからな?水晶玉を買うて来たで主にも見せられるぞよ?」

女戦士「見たいな…見せてくれ」

魔女「そう言うと思うたわ…千里眼!」シュワワ

女戦士「おぉ…しかし未来の視点か…未来が見えんな」

魔女「じゃが安心じゃろう?」

女戦士「一緒にいる女は未来の連れだな?」

魔女「ハーフオークと仲良うなった様じゃな」

女戦士「コバルトの両手剣…もしやオークの子か?」

魔女「ほう?未来の知り合いじゃったのじゃろうか?」

女戦士「フフ再会したのか…マスクで顔が見えんな」

魔女「退屈しのぎにはなりそうじゃな?しばらく覗いておれ」

女戦士「そうさせてもらう」


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844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 02:10:04.98 ID:yB7BZZD20
文才ある人ってどんな長文でも疾走感や没入感に満ちた文章に仕上げられるよね
大抵はグダグダした長文にならない様な長さで済ませるけど(笑)
言いたいことを簡潔かつ的確にまとめてるイメージ
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:03:11.45 ID:KbfSVIxh0
『海辺の祠』


情報屋「ここよ?これが何か分かる?」

魔女「リザードマンがこのように石を積むのぅ…これだけかいな?」

情報屋「他にもいくつかあるわ…大体同じ」

魔女「しかしリザードマンなぞ居る気配が無い…何じゃろうか?」

情報屋「魔女にも分からないかぁ…」

魔女「全部海辺の岩場に在るんけ?」

情報屋「そうよ…いくつもあるから不思議で」

魔女「海の中に何か住んどるやも知れんのぅ…」

情報屋「石を積む知性を持った魔物?」

魔女「人魚はもう絶滅したんかいのぅ?」

情報屋「伝説よ…もう何千年も昔だし」

魔女「人魚の様な水生の魔物はまだ居るかも知れんで一応気を付けて置いた方が良いな」



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846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:03:40.86 ID:KbfSVIxh0
『洞窟』


カーン カンカン ジュゥゥゥ


情報屋「鍛冶始めたのね」

女戦士「例の不足してるパーツを作っている…もう少し待ってくれ」

情報屋「急がなくて良いわ…ちゃんと動くかも分からないし」

女戦士「まぁ暇なのだ」

情報屋「それよりアサシン?海辺に在る小さな祠なんだけど何か知ってる?」

アサシン「石を積んであるやつの事か?」

情報屋「そう…いくつもあるんだけど」

アサシン「それはな…私の友が積んだ物だ…危ない物では無いから心配しなくて良い」

情報屋「共?この島で?」

アサシン「何年前だったか…私がこの島に初めて来た時にな…石化しかけたイルカが横たわって居たのだ」

情報屋「そのイルカが?」

アサシン「うむ…私のエリクサーを与えたら何度も訪れる様になってな…私が不在の時に石を置いて行く様になったのだ」

情報屋「そのイルカは今はどうして?」

アサシン「さぁ?姿を見なくなって1年程か…良い話し相手だったのだが残念だ」

魔女「死んでしもうたかいな?」

アサシン「だろうな?イルカも人間と同じ様に石化の病気には掛かるのだ…泳げなくなってしまったのだろう」

魔女「リリスがどこぞの海底に沈んどる訳じゃな?」

アサシン「どうにかしてやりたいんだが…」

情報屋「船に積んである器具…その一つが重力炉よ」

魔女「リリスを魔石にするんけ?」

アサシン「リリス程大きな物が入ると思うか?」

情報屋「バラバラに刻めば入るかもしれない」

魔女「そうじゃアサシンは全身エリクサーじゃな?もう石化せんのでは無いか?」

アサシン「私にやらせるつもりか?やっても良いがどの様に刻む?」

魔女「未来の持って居るインドラの刀じゃな…あの光に焼かれた傷口は再生せぬ」

アサシン「ほう?なんとかすれば手はある訳か」

魔女「じゃが肝心のリリスが何処に居るのか分からんのがな…」

アサシン「イルカにでも聞くか?クックック…」
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 08:04:17.47 ID:KbfSVIxh0
『夜』


サワサワ


魔女「どうじゃ?未来は?」

女戦士「商人達と共にキ・カイの遺跡を探索している様だ」

魔女「そうか…夜はあまり覗かぬ方が良いぞ?」

女戦士「何故だ?」

魔女「未来のプライベートを覗いてしまうで見ん方が良い」

女戦士「フフそうか…大人になったか」

魔女「しかし見て居ると感心するじゃろう?蟲を上手く使い居る」

女戦士「これが蟲使いか…」

魔女「まだまだ本領を発揮して居らぬ…蟲を自在に爆弾に変えれるで破壊力が測り知れん」

女戦士「金属に変性させるのだな?」

魔女「うむ…後は主のように時空を極めれば勝てる者は居らんじゃろうな」

女戦士「時空の修行はさせて居ないのか?」

魔女「早く勇者らの足跡を追いたかった様じゃで狭間に入るのを嫌がってのぅ…」

女戦士「何十年も自分と向き合うのはもう少し先か…」

魔女「既に勇者らと幾度か死線を潜って居るからある程度は習得して居る」

女戦士「あの時の森での事か…」

魔女「そうじゃ…あの時に未来は勇者に生き方をすべて学んだ…わらわも自分の限界を知ったわ」

女戦士「私は記憶が無い…」

魔女「そうじゃったな主は倒れて居ったな…森の中で何度も次元の置き換えを経験しとる」

女戦士「それは勇者の力か?」

魔女「次元が崩壊せんのは勇者の力じゃな…主は乱用してはイカン」

女戦士「勇者の眼か…」
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:04:55.78 ID:KbfSVIxh0
『数日後』


魔女「…商人の気球を改造しておるとな?」

女戦士「そうだ…気球で移動されるとなると何処に行くのか分からなくなる」

アサシン「クックック…こちらは無人島で足止め…どうしようも無いな」

魔女「ローグが戻ればキ・カイに行っても良いのじゃが」

女戦士「下手に移動するとすれ違いが起きる」

アサシン「石の上にも3年と言うが?」

魔女「ローグはいつ戻って来るのじゃろう?」

アサシン「千里眼で見えるだろう?」

魔女「交渉事ばかりで動く気配が無い」

アサシン「ではそういう事だ」

女戦士「動くなら未来が何処へ向かうのか見定めてからだな…こちらに来る可能性もある」

魔女「何かヒントは見えて居らんか?」

女戦士「ううむ…商人が誘導している様なんだが行き先がな…」

魔女「あ奴の行動癖からすると遺跡じゃとは思うんだが」

アサシン「すれ違い覚悟で商人ギルドへ行って見るか?」

女戦士「未来は妹と似てせっかちだ…気球の改造が済んだら直ぐに行動する筈」

魔女「うむ…入れ違いになるのは間違い無かろう」

女戦士「未来に貝殻を渡しておくべきだったな」

魔女「渡したのじゃがワザと置いて行き居った」

女戦士「フフ掴まりたくない訳か…」

魔女「困ったもんじゃ…」

アサシン「自立するという意思表示だ…ここは待つ一択」

女戦士「こうしよう…未来はきっと私を訪ねて来る…幽霊船を動かして呼び寄せよう」

アサシン「ふむ良い案だ…退屈しのぎにはなる」

魔女「そうじゃな…ちと目立って見ても良いな」


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849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:06:06.25 ID:KbfSVIxh0

『南の大陸の何処か上空』


シュゴーーーーー バサバサ


商人「だめだ現在地見失ってる…火山の噴煙も見えない」

女オーク「下は一面の雲…」

商人「ラヴおいで…地図に指さすから座標の近い所で教えて」

機械の犬「ワン!」パタパタ

商人「いくよ?」ツツツツ

機械の犬「ワン!」

商人「ここか…キ・カイの南西か…ハテノ村とは反対側に来てるか」

剣士「見えたぁぁ!!魔女の目が見えた…船に乗ってる」

商人「え!?それじゃ何処なのか分からない」

剣士「なんでスケルトンが船に乗ってる?」

商人「む!それは幽霊船じゃないか?女戦士は見えないかい?」

剣士「暗くなった…もう見えない」

商人「間違い無いな…狭間に出入りしてるんだ」

剣士「それでずっと見えなかったのか…」

商人「幽霊船はセントラルの沖でよく目撃されるらしい」

剣士「そっちに向かう…えーと女オーク!北東1時の方向」

女オーク「うん…」グイ バサバサ

剣士「千里眼!…よし見える…魔女はなかなか首を動かさない…イライラするなぁもう!!」

商人「場所が特定できればね」

剣士「雨は降って居なさそうだ…霧が濃い…どこだ?」

商人「今なら女戦士の目も見えるんじゃ無いかい?」

剣士「そうか…千里眼!…見える!戦ってる…相手は豪族だ」

商人「見方はどのくらい居そうだい?」

剣士「スケルトン以外の味方は見えない…あぁぁ魔女は何やってるんだよ…乗り込まれちゃうじゃないか」

商人「気になるなぁ僕も見たいよ」

剣士「まてよ?魔女が視線を動かさないのは魔女も千里眼使ってるという事だ…僕を見てる!」

商人「わかった…ちょっと待ってノートに書く」カキカキ

商人「これ見て」

剣士「うん…”現在地教えて”」

剣士「よし!千里眼!…よしよし動き始めた…やっぱり僕の行動監視してた」

商人「どう?周り見える?」

剣士「ビッグママが一人で戦ってる…だから魔女が助けに来てくれてるんだ」

剣士「居場所分かったよ…海士島だ!海士島で待つって」

商人「行けるね?」

剣士「大丈夫行った事ある」
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:06:32.90 ID:KbfSVIxh0
商人「なるほどそういう事だったか…最近の幽霊船の目撃は剣士を呼ぶ為だったのかも知れない」

剣士「ビッグママはずっと僕を呼ぶ為に?」

商人「セントラル沖でよく目撃される様になってるんだ…そこで待って居た可能性がある」

剣士「知らないで素通りしてた」

商人「豪族に狙われているから思う様に上陸出来ないんだろうね」

剣士「可哀そうだ…早く行ってあげないと…ローグさんはビッグママの事情を良く知ってる」

商人「敵だとすると厄介だね」



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『黄昏時_海上空』


シュゴーーーー バサバサ


商人「流氷がやっぱり西の方角に流れてる…」

剣士「なんか現在地がやっぱりズレてる様に思う…北に進んでる筈なのにまだ灯台の光が見えない」

商人「ラヴ…今の座標おしえて?」ツツツツ

機械の犬「ワン!」

商人「本当だ…また西にズレてる」

剣士「偏西風が止まってるからかな?」

商人「今ここの位置だからもっと東に進路変えないと」

剣士「なんでだろう?進路3時の方向に修正」グイ

商人「まてよ…まさか地軸が動いて北の方向が変わって無いか?」

剣士「え!?」

商人「ラヴ!何か分からないか?」

機械の犬「クゥ〜ン」

商人「そうだな情報が足りないか…」

剣士「可能性はある…地図を傾けて使った方が良いかも…」

商人「ゆっくり地軸が変わってるかもしれないんだね?」

剣士「どうやってそれを確認すれば良いだろう…」

商人「陸地が見えないと太陽の沈む方向が分からないね」

女オーク「剣士!東方向に灯台の光!」

剣士「灯台目指す」グイ バサバサ



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851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:07:00.46 ID:KbfSVIxh0
『海士島』


フワフワ ドッスン


剣士「すっかり日が落ちた…今から宿取れるだろうか」

商人「兎に角人が集まってる所に行って見よう」

剣士「商人さんもハイディングの準備は良いよね?」

商人「うん…でもどうして?」

剣士「前にここに来た時も女オークが海賊王の娘に間違われて付け狙われたんだ…一応逃げる心構えは必要」

商人「分かった…でも隠れてばかりだと落ち合うのに手間取るから最小限で」

剣士「そうだね」

商人「万が一バラバラになったら飛空艇に集合で」

剣士「おっけ!行こう」



『広場』


メラメラ パチ

うあぁぁぁ寒ぶっ!なんでこんなに冷えるんだぁ?

暖を取るのに商船に戻った方が良さそうじゃわい

酒場が一杯で入れない!


剣士「…」キョロ

商人「剣士!待たせた…宿の納屋を貸してもらえる…今晩はそこで暖を取ろう」

剣士「大分混乱してそうだね」

商人「うん…今は真夏なのにやっぱり異常すぎる」

剣士「この辺りは年中暖かい筈だよね?」

商人「そうだよ」
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:07:28.22 ID:KbfSVIxh0
『納屋』


ガラガラ バタン


剣士「よく貸して貰えたね?ここなら個室だ」

商人「僕は闇商人だよ?割と伝手を持ってる」

剣士「宿の方はどうなってるの?」

商人「もう一杯さ…明日商船が出て行ったら部屋が空く…一応確保しておいた」

剣士「酒場も一杯で入れないらしい」

商人「魔女の目は千里眼で見えない?」

剣士「多分狭間の中…見えないよ」

商人「移動してるんだね」

剣士「うん」

商人「まだ寝るには少し早いから少し情報集めてくるよ…剣士はどうする?」

剣士「そうだなぁ…僕は女オークと一緒に船の様子見てこようかな」

商人「じゃぁ僕はなんとか酒場に入ってみる」

剣士「あとでここに集合で」

商人「うん…行って来る」ガラガラ バタン



『桟橋』


ギシギシ


剣士「商船2隻と豪族の船2隻…」

女オーク「沖の方に見える光も船よね?」

剣士「多分ね…3隻かな?待機してるんだね」

女オーク「幽霊船はこの桟橋に入ってくると思う?」

剣士「来ないだろうね…近くに停泊したまま小舟で来るんじゃないかな」

女オーク「それにしても霧が冷たい…」

剣士「君はこの異常気象はオークシャーマンの力だと思う?」

女オーク「多分そう…天候を操るのは見た事有るの」

剣士「地軸を動かせるとか…君が知る訳無いよね?」

女オーク「私は地軸というのが何なのか理解できない」

剣士「まぁ普通はそうだよね…研究者とか魔術に精通して無いとね」

女オーク「その地軸が動くというのは大変な事なの?」

剣士「僕も影響は詳しく分からない…でも4000年前は文明が滅ぶ程の影響が在ったらしいよ」

女オーク「どうやって滅んだのかしら?」

剣士「想像付かないよ…地震とか噴火とか津波かな?」

女オーク「今まで経験した事の無いくらい大きな災害だったのでしょうね?」

剣士「今まで?…そうだな一気に来るとは限らないのか…ゆっくりジワジワ滅んだ可能性もあるな」


もしも何年も冬が続いたら食料が無くなる

病気も冬の方が蔓延しやすい

住みやすい場所に移らないと何年かして衰退するのは考えられそうだ
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:07:58.22 ID:KbfSVIxh0
『納屋』


ガラガラ バタン 


商人「はぁぁぁ暖かい…」

剣士「ランタンで湯を沸かしてるんだ」

商人「さすが旅慣れてるねぇ」

剣士「なにか情報はあった?」

商人「どうも霧のせいで商船の航海が滞っているらしい」

剣士「急に寒くなったからだね?」

商人「だろうね?海はまだ暖かいんだよ」

剣士「日の出の時間が違うとか方角が違うと言う話は出てない?」

商人「聞いてないなぁ…兎に角ゴタゴタしてる…豪族も内輪で揉めてたりね」

剣士「あーそれか…僕が要らない事をしたからだな」

商人「いつもそんな感じだから豪族はまぁ良いんだ…それよりこの島は燃料不足が深刻だよ」

剣士「え?」

商人「元々暖かいから暖を取るための木材とか石炭が無いんだ」

剣士「広場で燃やして居たのは?」

商人「ヤシの木だね…あっという間に燃えて無くなる」

剣士「寒さがいつまで続くかだよね…」

商人「う〜ん」

剣士「凌ぎでいくつかクヌギの木でも育ててこようか?」

商人「豪族が独り占めするのが目に見えてるんだ」

剣士「無いよりはマシでしょ…簡単だから少し植えて来るよ」

商人「そうかい?」

剣士「まぁ夜中に線虫もやりたかった事だし…行って来る」

商人「気を付けて」
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:08:28.13 ID:KbfSVIxh0
『翌日_広場』


ザワザワ

霧が晴れるまで出港出来ないってよ

そら流氷に当たったら沈没しかねんもんな

どうする?宿が無いぞ?

豪族が占領しちまってるからなぁ…船で過ごすしかあるめぇ


商人「ダメだぁ毛皮が売り切れてる…」

剣士「昨夜は寒かったみたいだね?」

商人「そりゃ一人だと寒いよ…君達は良いね2人でさ?」

剣士「いくら商人さんでも女オークは貸さないよ」

商人「ハハ取る気は無いさ」

剣士「納屋は地べたが冷たかった…今日は宿に泊れそうだよね?」

商人「ダメかもしれない…商船が出て行って無いし」

剣士「今晩も納屋になる様ならヤシの葉でも重ねて休もう」

商人「そうだね…」

剣士「ここでずっと待ってるのもなんか苦痛だね」

商人「うん…千里眼はどう?」

剣士「ずっと狭間のままさ…何か作って商売でもしようかなぁ?」

商人「どうして急に?」

剣士「僕達もう金貨1枚しか持って居ないんだよ」

商人「女オークに渡した分も合わせて?」

剣士「うん…」

商人「僕もあんまり持ち合わせが無い…何が作れる?」

剣士「魔石は沢山持ってるからそれで何か出来ないかなってさ…」

商人「ハハ…あのね魔石を売れば早いと思うんだ…」

剣士「あれ?アハハハすっかり忘れてた…そういえばそうだね」

商人「う〜ん…そういう所まで女海賊に似たか…もしかしてカバンの中に虫が入ってたりしないよね?」

剣士「入ってるよダンゴムシ!ワームも居る!見たい?」

商人「えーと…又今度で良いハハハ」


情報屋「商人?あなた未来君ね?」


商人「え!?おおおおおお!!情報屋じゃないか…びっくりだ!いつからこの島に?」
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:08:54.21 ID:KbfSVIxh0
剣士「あ…情報屋さん?昔のままだ」

情報屋「フード被ったままだから分からなかったわ…やっと見つけた」

商人「見つけた?」

剣士「もしかして僕の事?」

情報屋「そうよずっと探して居たのよ」

剣士「ゴメン…直ぐにシャ・バクダに行けなかったんだよ…僕も探して居たんだ」

情報屋「え!?何の話?」

剣士「あれ?僕を探してたんじゃ?」

情報屋「そうよ?」

剣士「僕も情報屋さんを探しにシャ・バクダまで行ったんだけどすれ違ったみたい」

情報屋「ええと…ちょっと話が噛み合わないんだけど…兎に角行きましょ」

商人「情報屋ゴメン…僕ら魔女と女戦士を待ってるんだ…良かったら君も会ってみたら?」

情報屋「あの2人は来ないわ?」

剣士「どうして知ってるの?」

情報屋「私が迎えに来たからよ?」

剣士「あれ?もしかして情報屋さんも魔女と一緒に居た?」

情報屋「そう…だから迎えに来たのよ…早く行きましょう」

剣士「ハハなんだ始めからそう言ってくれれば良かったのに…」

商人「てっきり偶然バッタリかと思ったよ」

情報屋「あなた達の気球に私も乗れるわね?」

剣士「乗れる乗れる!」

情報屋「案内して?船まで私が誘導するから」

剣士「おけおけ!こっち」スタ
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:09:25.86 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』


フワリ シュゴーーーー


情報屋「やっと合流出来て安心した…宿にも酒場にも居なかったから」

商人「宿屋の納屋を借りて休んで居たんだよ…情報屋はどうやって海士島に?」

情報屋「昨夜遅くに気球で送って貰ったのよ」

商人「なるほど…それからずっと探して居たんだ」

情報屋「そうよ?寒くて皆フード被ってるから分からなかった」

商人「この寒さの原因って何か知ってる?」

情報屋「詳しくは分からない…そうそう未来君が見つけた呪符?魔女はそれを千里眼で見て以来ずっと何か調べてるわ」

剣士「見て居たんだね」

情報屋「私も海士島まで買いに来たのよ?」

剣士「直ぐ近くに居たんだ」

情報屋「未来君は一所に落ち着かないからずっとすれ違いっぱなし…やっと合流できたの」

商人「あ!情報屋?未来君は今剣士って名乗ってるんだ」

情報屋「そうなのね?」

剣士「まぁどっちでも良いよ」

情報屋「それで剣士君と商人に聞きたい事が山ほどあるんだけど…」

商人「話が相当長くなるな…集まってから情報交換した方が良いね」

情報屋「そうね…今は我慢する」

剣士「魔女はどうして幽霊船に乗ってるの?」

情報屋「それも話が長いわ…結論を言うと剣士君の先回りをする為」

剣士「え?どうして?」

情報屋「魔女が渡した貝殻を置いて行ったでしょう?だから捕まえられなかったのよ」

剣士「あーーーなんか貰った気がするなぁ…何処に置いたんだっけなぁ」

商人「興味が無い物はどこかに忘れて来るのは治らないかもねぇ…」

剣士「ハハまぁ良いじゃない合流出来たんだし」
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:10:01.77 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』


ザブン ギシギシ


剣士「ビッグママァ!!」ダダダ

女戦士「未来…」ツカツカ

剣士「ゴメンね…僕を探して居たんでしょ?」

女戦士「フフ…良く帰ったな?眼をよく見せろ」グイ

剣士「うん…」ジー

女戦士「…」ジワリ

剣士「爺いじに眼を舐められたよ…ビッグママも舐める?」

女戦士「その呼び方は止めろろ言っただろう…女戦士で良い」

剣士「そうだったね…ハッ!!これママのデリンジャー…」

女戦士「形見を私が使わせて貰っている」

剣士「見て!?僕も自分で作ったんだ!同じだよ」スチャ

女戦士「そうか…さすが私の妹の子か」

剣士「それから…女オーク来て!?」

女オーク「…」ウツムキ スタスタ

剣士「あの時のオークの子だよ…覚えているよね?」

女戦士「未来が世話になって居る様だな?」

女オーク「はい…あの時は御免なさい…」

女戦士「随分言葉が流暢では無いか?未来が教えたのか?」

剣士「うん!もう普通にお話出来るよ」

女戦士「それは良い…しかし随分たくましくなった」

商人「女戦士!10年振りだね…君は変わって居ないなぁ」

女戦士「お前は中々死なんな?生きていて何より…」

商人「ハハ…中々死ねなくてね」

剣士「この幽霊船に乗って居るのは3人?」

女戦士「私と魔女…情報屋にアサシンの4人だ」

剣士「アサシンさんも乗って居たのか…千里眼で見えなかった」

女戦士「豪族達に見られん様にしていてな…」

剣士「魔女は?」

女戦士「魔術の研究で忙しい様だ…折角だから顔を見せて行け」

剣士「うん…」
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:10:47.76 ID:KbfSVIxh0
『居室』


アブラカタブラ…


魔女「アーデモナイ…コーデモナイ…」ブツブツ

女戦士「魔女!未来を連れて来た…」

魔女「危ないで入って来るな言うたじゃろう…まぁ良い!話もしたかった所じゃ…ちと休憩するわい」

女戦士「幽霊船はフィン・イッシュに向かって良いのだな?」

魔女「うむ…書物がフィン・イッシュに保管してある…急ぎで調べたい」

剣士「例の呪符の事だね?」

魔女「そうじゃ…この異常気象は間違いなく古代魔術の影響じゃ…今の知識では影響が予測できぬ」

剣士「そんなに酷い状況かな?やっぱり…」

魔女「情報屋に話はまだ聞いて居らぬか?」

剣士「え!?何も?」

情報屋「皆揃ってから情報を交換しようと思って何も話して居ないわ…」

魔女「丁度よい!アサシンも呼んで来るのじゃ…ちと今後について話そうぞ」

女戦士「連れて来る…」ツカツカ


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カクカク シカジカ


魔女「…オークの起源が他の星から来たという以外はほぼ情報屋の予測通りじゃな」

情報屋「そうね…精霊が産んだのではなく他の星からの外来者だったなんて…」

魔女「歴史はまず置いておくとしてまず今時点で分かって居る古代魔術の事じゃが…」



大きな特徴として天候を任意に操れるらしいというのが分かって居る

日蝕を起こし太陽を遮ったりも任意で出来る様じゃ

どの様に任意で操ったのかは謎のままだったのじゃが

例の呪符にヒントが在った

重力の魔方陣と時空の魔方陣…これらは現在の魔術書には記されて居らん

恐らく重力の魔方陣にて磁力を操作しているのじゃろうと思われる
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:11:24.21 ID:KbfSVIxh0
剣士「その魔方陣は解読できたの?」

魔女「出来て居らん…使う触媒が何なのか分からんのじゃ…方陣の交点も調べにゃイカン」

商人「それで急ぎでフィン・イッシュに…」

魔女「うむ…」

情報屋「4000年前の地軸の移動もオークシャーマンが関わって居そうだから…今の異常気象も同じかも知れない」

商人「影響がどの程度出るのか想像出来ない…」

情報屋「文明が完全に入れ替わるくらいってどう思う?」

剣士「子供が生まれない上に地軸の移動か…」

魔女「幸い状況が急変する程の速さでは無い様じゃでこれから対応を考えねばならぬ」

剣士「例えばどんな?」

情報屋「まず大洪水の備えね…船の確保と山間部への移動とかよ」

剣士「津波じゃなくて洪水?」

情報屋「地軸の移動で未踏の地が温暖になった場合氷が全部溶けるのよ…その結果大洪水になるのはどの伝承でも同じなの」

商人「ハハ海の水が増えるって言うのかい?」

情報屋「数十メートル増えただけでセントラルもキ・カイも水に浸かるわ?波で一気に浸食されて数年で無くなってしまう」

商人「海の水が数十メートル増えるなんてどんな量なんだよ…ありえない」

情報屋「不確かな伝承だけど100メートル程増えるという記録もあるの」

商人「100メートル!!馬鹿な…」

魔女「直ぐ増えるとは思うて居らんがそういうつもりで準備を考えねばならんのじゃ」

商人「だとするとセントラルもキ・カイも壊滅…シン・リーンの港町もだ」

剣士「僕の島も無くなっちゃう」



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860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:12:03.09 ID:KbfSVIxh0
魔女「次にじゃ…ホムンクルスはいつ目覚めそうなのじゃ?」

商人「正直分からない…自己治癒で生体が育って来ているのは確かなんだ」

剣士「そうだ!魔女?…念話でオークシャーマンとお話出来ないの?」

魔女「わらわが知って居る念話は貝殻にエンチャントを掛ける術なのじゃ…貝殻を渡せば通じるとは思うが…」

剣士「居場所が分からない」

魔女「そもそも念話が使えたとして居場所が分からん者に通じるとは思わんが?」

剣士「あー千里眼と同じかぁ…」

魔女「ホムンクルスの存在をオークシャーマンに伝えたいのじゃな?」

剣士「そうだよ…そうすればオーク同士の戦争が回避出来るかも知れない」

魔女「わらわが思うにな?オークシャーマンは別の目的で天候を操って居る様に思うがのぅ…」

女オーク「戦争を有利に進める為では無いと?」

魔女「結果的にそうなって居るじゃろうが規模が大きすぎるとは思わんか?」

商人「地軸の移動ってまだ決まった訳じゃ無いよね?」

魔女「本当に西オークと東オークで争い合って居るんか?」

女オーク「本当よ?西オークは東オークの村を奪っているわ」

魔女「侵略して居るのじゃな?」

女オーク「そう…でもその後奪った村をどうしているのかまでは知らない」

商人「むむ!200人程度じゃ領地奪っても意味無いね…精々略奪か」

魔女「おぉそうじゃ!忘れておった…呪符に光の方陣もあったのじゃ…オークシャーマンは千里眼を使えんのか?」

女オーク「分からない…天候を変えるのは見て分かるからそれしか…」

剣士「まてよ?もし使えるとしたら君の眼を見通す事も出来るな…」

魔女「それが言いたいのじゃ…女オークの事をオークシャーマンは知って居る…じゃからすべて見通して居るやも知れん」

剣士「僕達は泳がされてる?」

魔女「その可能性も考えておいた方が良かろう」

剣士「狭間の外で見た事すべてか…ホム姉ちゃんを知ってるとしたら…」

商人「マズいな名も無き島に向かってる可能性はありそうだ」

剣士「大丈夫!移動の殆どが狭間の中だよ…場所が分かる訳無い」

魔女「ウンディーネが目覚める直前だと知ったして次に何をするじゃろうのぅ?」

剣士「まさかドリアード?」

魔女「そんな気がしてならん…」


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861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:12:31.04 ID:KbfSVIxh0
『荷室』


ガチャガチャ


情報屋「これよ?シャ・バクダ錬金に用いる天秤と重力炉」

商人「スゴイな…女海賊が持ち帰ったものを復元したんだ」

情報屋「でも動かし方が分からない…エネルギーの供給が何なのか謎なの」

商人「キ・カイの古代遺跡で見つけた物の中にウラン結晶を用いたエネルギー元があったんだ」

情報屋「ウラン結晶からどの様にエネルギーを?魔石の充填?」

商人「仕組みは良く分からない…研究すればこの機器にも使えるかも知れないね」

情報屋「そのエネルギー元はこの機器に使え無さそうなの?」

商人「大きすぎる…この機器は多分ここに何か入るんだろうけど…全然大きさが違うから新しいのを作らないとね」

情報屋「はぁぁ…道が長そう」

商人「でも良く組み立てたじゃない…天秤なんかこのまま使えそうだ」

情報屋「やってみたけど意味無いわ?エネルギーが無いと動かないのよ」

商人「この機器で何をしたいの?」

情報屋「賢者の石の生成よ?それがあればホムンクルスの完全な部品が作れる」

商人「僕も研究してるんだけどさ…錬金術で完成させるのはどうやら違うみたい」

情報屋「どの様に?」

商人「エリクサーの中で培養するんだ…錬金術で作るのは培養に必要な臓器の部品だけだよ」

情報屋「じゃぁ賢者の石は不要?」

商人「大量のエリクサーを作るのに必要なのかも…合計でエリクサーは樽で10杯以上必要になる」

情報屋「そういう事か…」

商人「培養させて大きくして…後は自己治癒でゆっくり成長する…だから時間が掛かるんだ」

情報屋「キ・カイ錬金術とはそもそも違う過程なのね…」

商人「僕のノートに生成の過程をメモしてあるから読んでごらんよ」

情報屋「ありがとう…見させてもらうわ」


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862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:13:05.57 ID:KbfSVIxh0
『甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


女戦士「未来…お前の刀を研いでやる」

剣士「ビッグママ…あ女戦士…なんか恥ずかしいなぁ」

女戦士「刀を貸してみろ」

剣士「うん…」ゴソゴソ

女戦士「ふむ…それほど傷んで居ないな」スラーン サワサワ

剣士「ねぇ女戦士?僕は剣士って名乗ってるんだ」

女戦士「フフ剣士か」

剣士「パパの刀は?持って居るんでしょ?」

女戦士「見たいか?何千年も経つと朽ちてしまう…仕方の無い事だ」

剣士「もう使えない?」

女戦士「打ち直せば使えない事も無いが刀身が折れて半分無く無くなって居てな…欲しのか?」

剣士「うん…そのままでも良い」

女戦士「分かった…出来るだけ形を残して使える様にしてやる」

剣士「パパの形見がそれしか無いからさ」

女戦士「そうだな…刀一本しか持って居なかったな」

剣士「後さぁ…ローグさんの事なんだけど」

女戦士「どうかしたのか?」

剣士「ローグさんて豪族になっちゃったんだよね?」

女戦士「そうだな」

剣士「海賊王の娘を捕らえようとしてるの知ってる?」

女戦士「フフそれを知って居るという事は何処かで会ったのだな?」

剣士「うん…セントラルでバッタリね」

女戦士「まぁそういう事だ…気にするな」


アサシン「女戦士!ちょっと来てくれ」


女戦士「どうした?」

アサシン「海流のせいか進路がどうも西にズレる」

剣士「あ!!アサシンさん…僕の飛空艇でも進路がすこし西にズレて居たんだ…羅針盤はアテにしない方が良いかも」

アサシン「霧が濃くて星が見えん…羅針盤以外に方向を示す物が無いのだが…」

女戦士「どの程度ズレが有るのか分からんが西に流れるなら見越して向かえば良い」

剣士「2時の方向を北と思って行けば大体良い所に行くよ」

女戦士「そんなにズレがあるのか?」

剣士「うん…気付いたら全然違う方向に行ってる」

女戦士「兎に角陸が見えるまではセントラル方面が良さそうだな…西に流されて丁度フィン・イッシュに行けるかもしれん」

アサシン「分かった…セントラル方面に修正する」


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863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:14:02.36 ID:KbfSVIxh0
『翌日』


ザブ〜ン ユラ〜


商人「昼間は霧が少し薄い…」

剣士「大きな流氷が流れて来なければ良いね」

商人「アサシン!どうして流氷が西に流れて行くのか知らないかな?」

アサシン「さぁな?外海に繋がる海峡に流れて行っているのではないか?」」

商人「フィン・イッシュの方か…」

アサシン「他に何も無いだろう?」

商人「外海に穴でも開けたんだろうか…」

剣士「僕外海の事あんまり知らないんだけど何があるの?」

商人「ずっと向こう側まで海らしいよ…そのずっとずっと向こう側に未踏の地さ」

アサシン「今航海している内海とは比べ物にならないぐらい広い海だという事だ…」

剣士「海以外に何も無い?」

商人「世界地図を見せてあげるよ…右端と左端をこうやって繋ぐと大きな海になるよね?」パサ

剣士「そういう事か…向こうに未踏の地しか無いから誰も行かないんだ」

商人「ちょっと説明しようか…」


こっちの地図がこの間キ・カイの遺跡で発掘した遺物から分かった地図だよ

この地図の一番北側…その当時の北極に当たる部分が

今僕達が航海している内海だと思われる…ほら陸地の形が類似してるよね?

4000年前の地軸の移動でほぼ90°回転したのが今の地図さ…こっちの地図

西側の海峡を越えてずーーっと向こう側に当時の南極だった島が有る…これが未踏の地

何があるのか誰も知らない


剣士「フィン・イッシュから外海の方面に航海はしないのかな?」

アサシン「龍神の眠りを妨げない様に外海に出るのは禁止しているそうだ」

剣士「龍神…」

アサシン「リヴァイアサンが海に住まうらしいが既に伝説の話だな」

商人「でもこうやって地図を比較してみると温暖になった内海周辺に人間が集まったのは良く分かる」

剣士「なるほど…本当だね陸地が内海に集中してる…」

情報屋「ちょっと口を挟むわ…地軸が変わって遠心力の掛かっている場所が変わって居るのかも知れない」

商人「え?」

情報屋「今までは遠心力が掛かって海水が多い状態…それが変わって海水が別の場所に流れてる」

商人「流氷は一緒に流されてる訳か…辻褄が合うな」

情報屋「もっと言うと偏西風は無くなったのじゃ無くて場所が変わったのね…偏西風が強いのは赤道上よ」

商人「信じたくないけど地軸が変わってる可能性はやっぱり高そうだなぁ」


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864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:14:44.04 ID:KbfSVIxh0
『居室』


…シン・リーンは夏から一転して冬になった様じゃ

エルフゾンビが居るシャ・バクダも冬に変わった様じゃな

その他の地域は?

盗賊が居るハテノ村かいの?ここはあまり変化が無さそうじゃのぅ


情報屋「夏になってる場所が何処にもないのが気にかかる…」

魔女「わらわ達の生活圏がすべて南半球に移動したのじゃろう…それで説明が付く」

情報屋「…海士島辺りが南極に移動したと考えるとそうなるわね」

魔女「その過程じゃと命の泉付近は赤道付近じゃな」

情報屋「ドラゴンの眼は覗けないの!?」

魔女「わらわはドラゴンをあまり知らぬ」

情報屋「もし海士島付近が南極に位置したとしてセントラルもキ・カイも緯度的に深刻な状況じゃ無さそう」

魔女「ちと寒い程度かいな?」

情報屋「これを狙ってやったとするとオークシャーマンはとても賢いかもしれない」

魔女「被害は最小限に抑えたという事かえ?」

情報屋「緯度的に影響が無いのは恐らくシン・リーンとフィン・イッシュ…ここは北半球から南半球に移っただけ」

魔女「シャ・バクダもあまり変化が無さそうじゃ」

情報屋「あそこはもうほとんど人が済んで居ないから除外」

魔女「なぜ地軸の移動をしたのじゃろうのぅ?」

情報屋「未踏の地の氷を解かす?…もしくは偏西風の方向を変える?」

魔女「前者は何か狙いが有るかもしれんな…偏西風の向きが変わると言うのはどういう事じゃ?」

情報屋「北西の風が南西に変わるという感じね?」

剣士「ああああああああ!!それだ…」ガバ

魔女「なんじゃ寝て居ったんじゃ無いんか…たまげたわ」

剣士「精霊樹の森に到達するドリアードの種子の向きを変えてる…」

魔女「なぬ?」

剣士「精霊樹がドリアードに浸食されそうなんだ…エルフ達が飛んで来る種子を全部焼いてる」

情報屋「オークシャーマンはそれを狙ってやってると言う事?」

剣士「千里眼が使えたとすると精霊樹も見てるし僕達がドリアードの種子と戦ってるのも見てる…色々変わり始めたのはその後からだ」

情報屋「冬にすれば種子は飛ばないというのも有りそうね」

剣士「命の泉周辺は雪と氷が沢山あるんだよね?それ溶けたら何処に行く?」

情報屋「多くはエルフの森ね」

剣士「洪水で洗い流すんだよ!種子も毒も全部…オークシャーマンはもうドリアードと戦い始めてる」

情報屋「ちょっと待って…オークシャーマンが戦う動機が分からない…どうして遠方に居るオークシャーマンが?」

剣士「女オークが言うには予言に従ってるって…」

情報屋「何千年も予言に従ってるなんて余程の動機が無いと説明が付かないわ」

魔女「言われてみればそうじゃな…どんな予言なのか知りたいのぅ」



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865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:15:14.66 ID:KbfSVIxh0
魔女「…それで重ねて聞くがオークシャーマンはエレメンタル魔法は使わんのじゃな?」

女オーク「見た事無いわ…呪いや呪符による強化で直接魔法で戦う様な事は一度も見て居ない」

剣士「睡眠魔法は使っていたけどね」

魔女「そういう補助的な術だけなのじゃろうな…能動的な破壊術は使わんのじゃろう」

女オーク「どうしてその様な質問を?」

魔女「エレメンタル魔法を使うエルフとは全く別物じゃで不気味なのじゃよ…何をするか読めんでな」

剣士「何処に居るのかも分からないしね」

魔女「わらわがドリアードの立場じゃったら何処に反撃すれば良いかも分からんで困ると思うのぅ」

剣士「何か他に動きがあると想定してる?」

魔女「うむ…実はな?セントラルでちと動きがあるのじゃ」

剣士「え!?」

魔女「貴族主導で大規模なスプリガン狩りじゃ」

剣士「あまりおかしい事じゃ無いと思うな…シン・リーンでもスプリガン狩りは珍しくない」

魔女「誰が主導しておるかと言う事じゃ…貴族達に主導する程力を持った者は居らんかった筈なのじゃ」

商人「…その話気になるな…確かにまとまった財力持ってる人は居ない筈」

魔女「異常気象で混乱していても指導力を発揮する者が急に現れたのは…おかしいじゃろう?」

剣士「網を張られてる?」

商人「見に行って見たいな…僕の商船もセントラルに来てる筈なんだ」



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866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:16:11.75 ID:KbfSVIxh0
『船首』


ザブン ギシギシ


情報屋「陸地よ!!前方に陸地が見えたわ!!」

女戦士「ふむ…霧が薄くなって来たな」

情報屋「現在地分かる?」

女戦士「海図を確認する…アサシンは何処だ!?」

アサシン「ここだ…メインマストに上がっている」

女戦士「地形で現在地を判断出来そうか?」

アサシン「う〜む…羅針盤は北を差しているのがどうにもおかしい…予定通りならセントラル付近の筈なのだが…」

情報屋「雪で陸地の地形が判別しにくいわ」

女戦士「まぁ良い…陸地沿いに西へ進路を変える…行き先はフィン・イッシュで良いな?」

アサシン「魔女はそう言って居たな」

女戦士「帆を60°で張り直して取り舵…スケルトンに命令するのだ」

アサシン「クックック…舵はお前がヤレ…私は見張りを続ける」

情報屋「でも陸地を見つけられて本当良かったわ…遭難しかねない」


タッタッタ


剣士「陸地見えたんだね?どの辺り?」

女戦士「海図と比較しているのだが…海流が逆を向いている」

情報屋「地軸が変わって海流まで変化して居るなら今までの海図は役に立たないかも知れないわ」

女戦士「うむ…私は海図を新しく描けるほど航海術には長けて居ない」

情報屋「盗賊が居れば…」

剣士「ねぇねぇ…おかしいよ?」

女戦士「うん?どうした?」

剣士「硫黄の匂いが風に乗ってる」

情報屋「どういう事?」

剣士「北の大陸の海付近には火山が無い筈」

女戦士「フィン・イッシュ付近は火山帯だ…どこぞの海賊が大砲を撃ったとも考えられるが」

剣士「いや違う…見えている陸地は南の大陸だよ…多分」

女戦士「な…んだと?」

情報屋「ちょ…もしかして」

剣士「これさ…海士島付近が南極点になってたとしたら羅針盤は何処に向かっても北を差すよね?」

情報屋「それね!!この霧も海がまだ暖かいから発生してる」

アサシン「クックック…では私達は行先の反対方向に進んで居たという事か」

剣士「太陽は!?」

アサシン「見ろ…霧の切れ目で明るい方向が分かるだろう」

剣士「…低い…今は朝なのか夕方なのか」

情報屋「時間も方角も分からない…これじゃ航海なんて出来ないわ」

女戦士「一度陸に上がろう…現在地が分からんのでは何処に行くにしても危険だ」

剣士「そうだね…停泊出来る所を探そう」
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:17:19.66 ID:KbfSVIxh0
『海岸沿い』


ザブーン ユラー


女戦士「これ以上陸に寄るのは座礁の危険がある」

情報屋「十分よ…陸の方は霧が掛かって居なくて視界が開けてる」

剣士「間違いない!ここは南の大陸だよ」

女戦士「どの辺りか分かるか?」

剣士「今まで使ってた地図で言うとキ・カイから大分西にズレた所だと思う」

女戦士「このまま陸地を右手に見ながら進めばキ・カイに着く訳だな?」

剣士「この辺りは海流が強くて船でキ・カイまで行くには沖まで出る必要があるらしいよ」

女戦士「…という事は地床炉村の辺りという事か…遠いな」

剣士「知って居るの?」

女戦士「通常の航路からは除外されている海域だ…海流が複雑で難破しやすいのだ」

情報屋「この状況で沖まで出るのは危険ね…陸地を見失う」

女戦士「そうだな…霧が晴れるまでどこかで停泊した方が良い」

アサシン「小さな島が見えている…そこに船を隠して気球で行動するのはどうだ?」

女戦士「何処だ?」

アサシン「見ろ…正面少し左…岩場もありそうだ…隠すには丁度良い」

女戦士「海図には乗って居ないな…」

アサシン「通常の航路では無いのだろう?あんな小さな島を書き込む意味も無かろう」

女戦士「賊が隠れ家にして居なければ良いが」

アサシン「ほう?隠れ家にしそうな条件が揃って居ると?」

女戦士「危険な海域の孤島…元々この辺りは海賊の縄張りなのだ」

アサシン「あの馬鹿共を恐れて居るのか?」

女戦士「馬鹿にするな…だが航海術は私の上を行く者も居る」

剣士「もう直ぐ日が暮れそうだよ…一先ずあの島で様子を見ようよ」

情報屋「賛成!落ち着いて作戦を練り直した方が良いわ」

女戦士「…」ジロリ

アサシン「何をためらう?こちらには魔女も居るのだ…怖い者なぞ無い」

女戦士「ううむ…どうも勘が働く…気のせいなら良いが…」
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:17:48.70 ID:KbfSVIxh0
『孤島』


ザザー ザザー


アサシン「スケルトン共!帆を畳んで碇を降ろせ」

剣士「暗くなる前に周りを少し見て来る…小舟降ろすよ」

女戦士「女オーク!お前も付いて行け」

女オーク「はい…」スタ

アサシン「…さて見た感じでは無人島の様だがまだ気になるか?」

女戦士「隠れるには丁度良い…それは海賊にも同じ条件だ」

アサシン「気にし過ぎだ…この霧ではまともに航海も出来ん」

女戦士「ふん!!」ジロリ

アサシン「魔女は居室に籠りっ放しなのか?」

情報屋「そうよ?危険な術を使って居るから居室には入るなと言っていたわ」

アサシン「ヤレヤレこちらの状況は意に介さずか」

女戦士「商人はどうしている?」

情報屋「何かの計算をしてるわ…地図を並べて居たから地軸の移動予測でもして居るのかと」

女戦士「そうか…水を補給しておきたかったのだ…雨が降らないから直に尽きる」

アサシン「それは明日私がやって置こう」

女戦士「孤島にそう簡単に水が有るとでも?」

アサシン「クックック…お前はしばらく見ないうちに冒険の勘が衰えたな?木材があれば海水から蒸留出来る」

女戦士「フン!では任せる」

アサシン「少し休んで居ろ…遭難しかけて気が張って居たのだろう?」

情報屋「そういえば女戦士はしばらく寝て居なかったみたいね」

女戦士「これくらいどうという事は無い」

情報屋「少し休んで?どの道夜が明けないと何も出来ないのだし」

女戦士「では横になって来る」スタ
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:18:18.56 ID:KbfSVIxh0
『翌朝』


ザザー ザザー


女戦士「剣士と商人は私と共に気球で出るぞ…用意しろ」

剣士「おっけ!」

女戦士「商人は地図を持って現在地の特定をやるんだ」

商人「ハハ…買い出しには行かないのかい?」

女戦士「地床炉村を見つけたなら買い出しも良いが通貨が使えるものかどうか」

剣士「僕行った事有るんだ…木材が良い取引になる」

商人「それなら剣士の出番だ…木を植えれば良い」

剣士「シーーーーーッ!!ダメダメ…魔女にバレたら怒られる…乱用はダメなんだ」

商人「なんだそうだったのか…分かった…物々交換用に少し物資持って行く」

女戦士「急げ!剣士は早く球皮を膨らませろ」

アサシン「私は水を調達してくる…孤島に木材は有りそうなんだな?」

剣士「うん!!浜辺に沢山燃やせそうな物が打ち上げられてる」

アサシン「女オーク!空の樽を小舟に乗せる…手伝え」

女オーク「はい…」

女戦士「水の確保は任せた…夕刻までには戻るつもりだが船は出来るだけ早めに狭間に隠してくれ」

アサシン「海水の蒸留にすこし時間が掛かってしまうが終わり次第狭間に入る」

情報屋「私と魔女は留守番ね?食事でも用意しておくわ」

剣士「気球飛べるよ!!乗って」

女戦士「では行って来る…アサシン!留守は頼んだ」
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:18:49.43 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』


フワフワ バサバサ


女戦士「商人!地図と地形の比較はどうだ?」

商人「向こうに見える山が多分この山さ…今居る場所を特定するならもう少し地形を見たい」

女戦士「海岸沿いに飛ばせ…見失うな?」

剣士「分かってる…これ羅針盤の差す方向が東と西が反対だ…頭がこんがらがる」

商人「地図を逆さに見た方が良いね…全然違う地図に見える」

剣士「海側は霧が張ってて何も見えない…目印は遠くの山だけだ」

女戦士「…しかし不毛な地だ…木が無いとはな…」

剣士「低木は雪で隠れてしまっているね」

商人「川だ!!川が見える…だとすると此処ら辺りか?」ドタドタ

剣士「少し進路変えようか?」

商人「大丈夫!このまま海岸沿いに進んで…次の川を見つけたらほぼ位置が断定出来る」

剣士「太陽の位置と方角が合わない…南から太陽が昇る?」

商人「この機械の時計と太陽の位置を記録して欲しい…出来るね?」パサ

剣士「うん…時間は合ってるの?」

商人「合って無い…後で補正するんだ」

剣士「なるなる…緯度を割り出したいんだね?」

商人「太陽の位置がおかしいのは南極に近いからさ…今のままじゃ季節も分からない」

女戦士「ふむ…やはりこの内海が南極に位置したとするともう航海出来る海では無いな」

商人「そうなるね…外海に出ないといけない」

女戦士「目指すは流氷の行く先と言う事か…危険が過ぎるのだが」

商人「幸いフィン・イッシュへは外海から回り込める」

女戦士「内海を横断出来ないとなると相当な長旅になる…補給も宛てに出来んのでは…」

商人「兎に角現在地の確定と食料の確保を急ごう」


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871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:19:48.74 ID:KbfSVIxh0
『先日_洋上』


ザブ〜ン ギシギシ


海賊の頭「だぁぁぁ!!補給はまだ来んのか!!」

手下「へ…へい!!そろそろ地床炉村の略奪が終わって戻って来る筈なんすが…」

海賊の頭「あの手漕ぎのガレー船の野郎共…略奪品を手前ぇで持ち逃げしたんじゃあるまいな…ぐぬぬ」

手下「この帆船じゃ海流に逆らえないもんで待機するしか…」

海賊の頭「豪族共は陸でヌクヌクして居やがるだろうに何故俺らだけ酒にも女にもありつけ無ぇんだ!!」ドガッ

手下「それは頭が豪族に上納しないからで…」

海賊の頭「おいお前!!サメの餌になりたい様だな」スラーン

手下「いやいやいや!そろはご勘弁を…おいらが居なくなったら航海に支障が出ますぜ?」

見張り「お〜〜い!!大型の船が見えるぞぉぉぉ!!」

海賊の頭「何ぃ!!船旗は確認出来るか?」

見張り「海賊旗は立って無ぇ!!船影からすると噂の幽霊船に似てまさぁ!!」

手下「ど…どうしますかね?」

海賊の頭「俺が見る!!」ドタドタ

手下「なんで又この海域に来るんすかね?噂じゃ海賊王の娘はキ・カイに潜伏してるとか」

海賊の頭「知るかボケ!!豪族共の話を真に受けてんじゃ無ぇ!!」

見張り「浅瀬に向かってまさぁ!!甲板で作業しているのは…うお!!スケルトン!?」

手下「うひゃぁ…噂通り…」

海賊の頭「望遠鏡をヨコセ!!」グイ

見張り「大砲を積んで居ない様ですわ」

海賊の頭「間違い無ぇ…あの船にゃ見覚えがある…ちぃぃ気球を積んでいやがる」

手下「噂に聞く彗星の奴っすか?」

海賊の頭「分からん…下手に手出し出来んな…お宝を目の前に動けんとは…ぐぬぬ」

見張り「この霧のお陰でこっちに気付いた様子は無ぇっす」

海賊の頭「さぁ〜てどうしたもんか…おい手下!!例のアレ乗せて数人で小舟出せ」

手下「後を付けるんで?」

海賊の頭「手は出すな…チャンスを伺う」

手下「うひょぉ〜やる気っすね?」

海賊の頭「あの船にゃ10年前の貴族のお宝がどっさり乗って居る筈なんだ…みすみす見逃すつもりは無ぇ」

見張り「海賊王の娘の懸賞金も破格でしたね?」

海賊の頭「だはは生け捕り出来りゃ豪族共を黙らす事ぐらい出来る」

手下「おいら達だけでやるんすか?」

海賊の頭「いや…手漕ぎ船の野郎共を捨て駒にするつもりだ…奴らの帰りを待って動く…それまでは偵察だ」

手下「分かりやした…例のアレを持って小舟で待機しとくっす」

海賊の頭「合図は大砲だ…着弾を見て動け」
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:20:38.35 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』


ザブ〜ン ユラー


見張り「ガレー船が帰って来やしたぜ?」

海賊の頭「遅せぇんだボケが!!略奪品の載せ替えと伝令を出せ!」

海賊共「へ〜い!!」

海賊の頭「幽霊船は見失って居ないだろうな?」

見張り「奴ら霧が晴れた海岸線沿いににある島に向かっているみたいっす…霧の中のこの船に気付いた素振りは無いっすね」

海賊の頭「島だと?何か隠して居たのか?」

見張り「灯台の建築が止まったままの島っすよ」

海賊の頭「遠浅で船が寄れなかった孤島だな?しかし何故あんな孤島に…」

見張り「あの孤島なら霧の中からでも大砲の射程に入りますぜ?」

海賊の頭「ぐふふふ…気付かれない様に射程に入れろ…あの船を落とせばお宝はこっちの物だ」

海賊共「お頭ぁ…今晩やるんで?」

海賊の頭「相手は海賊王の娘だ…まずは様子を伺う」

海賊共「さすがお頭…相手の力量を知ってるんすね?」

海賊の頭「俺は奴らの戦い方を見たことがある…用心するのは気球から撃って来る爆弾と突然変わる天候だ」

見張り「天候が急に変わる?」

海賊の頭「そうだ…嵐に備えろ」

見張り「ガレー船の奴らを捨て駒にするって言うのは?」

海賊の頭「そりゃ簡単な話よ…特攻させて相手が上手なら俺らは逃げる…村の略奪品を持ってな!だはは」

海賊共「ガレー船の奴ら言う事聞きやすかね?」

海賊の頭「あいつ等は北方の海賊だ…女だけ与えておけば満足する阿呆ばかりだ」

見張り「なるほど…海賊王の娘と知ったら勝手に特攻すると…」

海賊の頭「負け戦には点で弱いが…大砲を当てて勝ちを演出すりゃしっかり働くだろうよ」

海賊共「うぉぉぉ!!頭ぁぁ一生付いて行きやすぜ!!」

海賊の頭「ぐっふっふっふ…ダーッハッハ!!兎に角今は略奪品の載せ替えを急げぇぇ!!」

海賊共「うぉぉぉぉ!!」ドタドタ
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:21:49.76 ID:KbfSVIxh0
『深夜』


シクシク メソメソ

殺しゃし無ぇからよ

大人しくしてりゃ良いんだ!

次は俺の番だ!勝手な事すんじゃ無ぇ!

俺はあいつらと違って優しいぜ?

そんな顔すんなよ…お楽しみはこれからじゃ無ぇか

シクシク メソメソ


海賊共「略奪品の積み替え終わりやした!!」

海賊の頭「シケた村だったがこれで当面の食料は確保出来た訳だ」

海賊共「手漕ぎの男奴隷を50人程と女奴隷の30人程はどう配分するんすか?」

海賊の頭「男奴隷は要らん!女を全員こっちの船に移せ」

海賊共「女はもう手を付けられてますが…」

海賊の頭「あの馬鹿共…奴隷は高く売れるという事を分かって居ないな」

海賊共「どうしやしょう?」

海賊の頭「何度言わせるんだ!連れて来い!傷物じゃ値が下がる」ドガァ

海賊共「ひぃぃぃ…」ドタドタ


『翌朝』


ザブン ザブン


見張り「頭ぁ!!幽霊船に動きがありやした…気球の球皮が膨らんでるっす」

海賊の頭「何ぃ!!動きが早い」

見張り「陸に近付けないもんで気球使って補給かと」

海賊の頭「ようし!!気球が居ないとなれば動きやすい…ガレー船に作戦開始の伝令を出せ」

海賊の頭「お前等ぁぁ!!働けぇぇ大砲をすべて幽霊船に向けるんだぁぁ!!」

海賊の頭「錆びついた砲弾は全部撃ち尽くすぞ!!」

海賊の頭「幽霊船に当てた奴には褒美を出す!!しっかり稼げぇ!!」

海賊共「うぉぉぉぉ!!」ドタドタ

見張り「気球が動き出しやした…ゆっくり陸の方へ向かってるっす」

海賊の頭「1時間待て…1時間もすりゃ地床炉村の異常に気付いてこちらが疎かになる…グフフ俺にツキが回って来た」

海賊共「頭ぁ!!大砲は射程内ですがもう少し近づかないと中々当たりやせんぜ?」

海賊の頭「黙れ何とかして当てろぉ!!嵐に巻き込まれたらそれこそ何も出来んのだ」

見張り「嵐が来る空じゃ無いんすがねぇ…こんな寒い海で嵐が来るとはとても…」ボソ

海賊の頭「俺に意見しようってのか!?この船じゃ俺の言う事が絶対だ!!黙って見張りを続けろボケがぁ!!」


---俺はあの海賊王の娘率いる海賊団で何年も遠目に見て来たんだ---

---奴らの行動は常を逸している---

---これが成功すりゃ下剋上---

---失敗しても霧隠れ---

---こんなチャンスは滅多に無い…逃す物か---


見張り「ガレー船が動き始めやしたぜ?岩場を挟んで幽霊船の死角から行くんすね?」

海賊の頭「グフフフ奴ら捨て駒とは知らず…すべては俺の予測通り」
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:22:43.50 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』


ザブン ザブン


見張り「ガレー船がそろそろ幽霊船の死角から出ます」

海賊の頭「気球はもう何処に行ったか分からんな?」

見張り「地床炉村方面に向かったまま雲の中に消えたっす」

海賊の頭「ようし!!開戦だ!!お前等ぁぁ!!撃てぇ!!ガレー船には当てるなぁぁ!!」

海賊共「うおぉぉぉ!!」


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「初弾角度浅い!!もう15度くらい上だ!!」

海賊共「15度…えっほ!えっほ!」ガラガラ

海賊の頭「砲弾急げ!!気付かれる前に撃ちまくれ!!」


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「一発ヒットぉぉ!!今の角度を維持して少し右!!…ってあれ?目の錯覚か?当たって無い?」

海賊の頭「ちゃんと観測しろボケなす!!」

見張り「いや当たった筈なんすが…被害が無い…なんで?」

海賊の頭「どんどん撃て!」---ううむ…やはり常を逸しているか---


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「ガレー船横切るっす」

海賊の頭「構わん!撃てぇ!!とにかく一発当てろぉ!!」

見張り「ガレー船から火矢を撃ってるっす」

海賊の頭「ほう?奴らも頭を使うか…反撃は無いのか?」

見張り「良く見えないっす…未だ幽霊船は無傷」


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「ヒットぉぉ!!アレ?…又被害無し…もしかして実体が無いのか?」

海賊の頭「空の方も良く監視しておけ!大砲は休みなく撃て!!」

海賊共「へ〜い!!えっほえっほ」

見張り「ガレー船から小舟投下!乗り込む準備始めやした」

海賊の頭「さすが北方の海賊…だがここから相手が動くぞ?」


ドーン ドーン ドーン ドーン


見張り「よし!!2発ヒットぉぉ!!よしよし…幽霊船船体に穴が開いたぁ!!」

海賊の頭「撃て撃て〜〜い!!ガハハハハハ」

見張り「ガレー船の様子がおかしいっす…同士討ちを始めてるみたいっす」

海賊の頭「グフフやはりそうなるか…だがこちらが上手!大砲を休むな!!どんどん撃てぇ!!」

海賊共「うわぁぁぁ…竜巻が…ガレー船が巻き込まれる」

海賊の頭「構うな!!無視界でもそのまま大砲を撃ち続けろ」


ドーン ドーン ドーン ドーン
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:23:29.03 ID:KbfSVIxh0
見張り「幽霊船!甲板部大破!帆の炎上を確認…あ!!」チュドーン

海賊の頭「何事か!?」

見張り「ガレー船が爆発…何を撃ったんだ」ガクガク

海賊の頭「ええい!爆炎で何も見えん…上から降って来たのか?」

見張り「いえ…幽霊船から何か射出してるっす…これじゃ近づけない」

海賊の頭「例の奴は何をしているのだ…見えんか!?」

見張り「キラーマシンっすね?見当たら無ぇっす…アレ?船尾の方に人影…誰か乗り込んでる」

海賊の頭「よしよし上手く乗り込んだ様だ…大砲を休むな!!竜巻が収まり次第少し寄せる…碇を上げろ!」

海賊共「この船も現場に行くんで?」

海賊の頭「キラーマシンが直に制圧するだろう…ガレー船が撃沈された今この船で行くしかあるまいグフフフ」


ドーン ドーン ドーン ドーン
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:24:59.00 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』


フワフワ バサバサ


商人「あの煙はやっぱり地床炉村だよ…地図の位置と一致する」

剣士「どうする?降りる?」

女戦士「高度下げろ…上から様子を伺う」

剣士「おけおけ!」グイ バサバサ

商人「家屋の延焼範囲がおかしいな…略奪に有った後じゃないかな」

女戦士「分かって居る…まだ生き残りが居るやも知れん」

剣士「酷いな…オーガに襲われたのかな…」

女戦士「オーガは火を使わん…こんな事をするのは海賊共に決まって居る」

剣士「この村にはハーフオークも居た筈…そんな簡単に略奪されるなんて…」

女戦士「持って居る武器が違う…民兵如きが敵う訳が無い」


”女戦士…聞こえるかえ?”


女戦士「貝殻…何か有ったのか?」


”緊急事態じゃ…海賊から奇襲を受けて居る”

”わらわ一人では押さえ切れぬ故…今すぐに戻って来るのじゃ”


女戦士「なんだと…」ボーゼン


”海賊は巧妙にも霧の中からこちらを捉えて居る様じゃ…数が掴めぬ”


剣士「マズいな…ここからだと1時間くらい掛かる」

女戦士「兎に角引き返せ…魔女…1時間持たせられそうか?」


”早うせい!!わらわの魔力は無限では無いぞよ?」


剣士「くぅ…」ギリリ


”魔女!!通話は私がやるから迎撃を”

”脱出の準備をしておくのじゃ…大砲で狙われては凌ぐのに限界がある”

”分かったわ…女オーク!!来て!!ドーン ガラガラ”

”何度もしつこいのう…量子転移!”

”ザザーーーザザザ”


剣士「量子転移を使って居るのか…マズいよ…時空がズレる」

女戦士「無駄口はもう良い…急いで戻れ」

剣士「しまったぁぁ!!アダマンタイトを船に置いて来てる…狭間に入れない」



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877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:26:24.15 ID:KbfSVIxh0
女戦士「竜巻が2つ…その下に海賊船…ガレー級だな」

剣士「霧の中にも数隻居そうだ…砲弾が霧の中から飛んでる」

女戦士「商人!貝殻での通話は出来ないか?」

商人「応答しないよ…」

女戦士「それどころじゃないという事か…上手く凌いでくれて居れば良いが」

剣士「あああああ!!ダメだ!!そこはダメだよ…早く逃げて」

女戦士「千里眼だな?厳しそうか?」

剣士「砲弾の直撃を受けた…情報屋の眼はもう見えない…女オークも」

女戦士「魔女の眼はどうだ?」

剣士「魔女は視線を動かさないから情報量が少ないんだ…千里眼!」

女戦士「アサシンはどうした!」

剣士「今見てる…なんで水中に居るんだ?船から落ちたのか?みんなバラバラじゃないか…」

商人「霧の中にもう一隻海賊船が少し見える…大きい」

女戦士「ガレオン級…あれはセントラルの軍船を拿捕した物だ…一級装備を艦載している」

商人「あんな大きな船を見落としてたと言う事かい?」

女戦士「しまったな…可能性は考えて居たのだが今の海賊がそれ程動けるとは思って居なかった…乗って居るのは誰なのか」

剣士「やっとアサシンさんが船に戻った…酷い壊され様だ」

女戦士「戦況は?」

剣士「まだ乗り込まれて居ないけど大砲の的になってる…あぁぁ情報屋さんが折れたマストの下敷きになってる」

女戦士「このままいけば後20分で援護出来そうだ…商人!クロスボウの準備をしておけ」

商人「分かったよ」

女戦士「狙いはあのガレオン船だ…剣士!お前は例の爆弾を持って居るか?」

剣士「まだ作って無いよ…こんな事になるなんて思って無かった」

女戦士「お前は幻術が得意だったな?射程に入ったらガレオン船の海賊共を眠らせられるか?」

剣士「触媒を持って来ていない…」

女戦士「ええい!!何が出来る!?」

剣士「船を沈めて良いなら海虫を使役して船を腐らせられる」

女戦士「よし!それで良い…兎に角大砲を撃たせるな」

剣士「高度下げる…海虫の使役なら今できる」

女戦士「ヤレ!!」


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878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:27:58.82 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』


ダダダッ


アサシン「魔女!!無事だな?」

魔女「戻るのが遅いわたわけ!船に爆弾は乗って居ないのかえ?」

アサシン「有る」

魔女「爆弾であの海賊船を破壊するのじゃ…わらわは治癒に回る故迎撃は主がヤレ」

アサシン「情報屋はまだ助かりそうだ…女オークは何処だ?」

魔女「分からぬ…砲弾の直撃を受けて居るで無事という事は無いじゃろう」ノソノソ

アサシン「迎撃は任せろ…処置がすんだら援護頼む」ダダダ

魔女「失血が酷いのぅ…急所を痛めたんか…回復魔法!」ボワー

情報屋「…」グター

アサシン「そのマストをどうにかしないと圧迫死するぞ」

魔女「分かって居る…主は迎撃に専念せい…量子転移!」シュン


メリメリメリ ズドーン


魔女「さて女オークは何処に行ったかいな?」ノソノソ

情報屋「ぅぅぅ…」ピク

魔女「これ動くで無い…ちと安静にして居れ」

情報屋「ど…どうなったの?」

魔女「何とか凌いでおるがもう魔力が枯渇しておる…脱出するぞよ」

アサシン「2人とも伏せろ…あの船を沈める」


シュンシュンシュン ストストスト


情報屋「火矢…」

アサシン「消火してる暇は無い様だ…撃つぞ」チリチリ バシュン!!


ピカーーーーチュドーン!! ザバーーーー


アサシン「クックック…ありえない威力だな…この爆弾は」

魔女「これでこの浜辺に近寄り難くなったじゃろう…今の内に小舟で脱出じゃ」

アサシン「船を捨てるつもりか?」

魔女「仕方あるまい…大砲の的になっておる」ノソノソ


ドコーン!! ドコーン!! パラパラ
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:29:30.80 ID:KbfSVIxh0
アサシン「…その様だ…情報屋!背負ってやる」

情報屋「女…オークを助けてあげて…多分荷室の方に落ちて行ったから」

魔女「わらわが行くで小舟で待って居れ…」ノソノソ


バシュン! グサリ


魔女「はぅぅぅ…」ガク

アサシン「何ぃ!!船尾から誰か乗り込んで…」

情報屋「キ…キラーマシン…どうして」


キラーマシン「…」ウィーンガチャ


アサシン「ええい!アレは厄介だ…」スラーン チャキリ

魔女「アサシン何とかせい…わらわでは勝てぬ」

アサシン「こいつの弱点は何処だ?関節か?」

魔女「電撃じゃが触媒を用意して居らぬ…10分耐えるのじゃ…魔石と触媒を探して来る」ノソ

アサシン「情報屋…マストの陰に隠れて居るのだ」ドサリ

情報屋「はぁはぁ…」ズリズリ

アサシン「さぁて…一体か」---突き落とすのが一番なんだが…どうする?---

キラーマシン「…」ウィーン バシュン バシュン

アサシン「早い…」ヒラリ ダダ


カーン カーン キーン


キラーマシン「プシュー」ガチャコン ガチャコン

アサシン「流石に機械相手では不利か…バックスタブ!」ジャキン

キラーマシン「プシュー」ブン! ザクリ

アサシン「う…深いな」ヨロ

キラーマシン「ウィーーーン」バシュン バシュン

アサシン「効いて居ないか…」ヒラリ ピョン

キラーマシン「プシュー」ガチャコン ガチャコン

アサシン「スケルトン共ぉ!!来い…こいつを海に突き落とせ」

スケルトン「カタカタカタ…」ドタドタ

キラーマシン「…」ブン ブン

スケルトン「カタカタカタ…」バラバラ ドサリ

アサシン「スケルトンでは力不足か…あの海に浮いている海賊の死体は使えるか?…動け不死者共!!我に従え!!」


バシャ バシャ


アサシン「ちぃぃ…従う数が少ない…」
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:30:31.82 ID:KbfSVIxh0
ドコーン ドコーン パラパラ


アサシン「ナムサン…向こうからは構わず大砲を撃って来るか」タジ

キラーマシン「…」ウィーンガシャ ウィーンガシャ

アサシン「不死者の使役も宛てに出来ん…どうする?魔女!!まだか?キラーマシンは相性が悪い」

情報屋「お…女オーク?無事だったのね?」

女オーク「ヴヴヴヴヴ…グルルル」

情報屋「え!?まさか…」

アサシン「しまった…女オークが居る事を忘れていた…」

女オーク「ガァァァァ…」ズルズル ズルズル

アサシン「頭部が半分欠損…即死か」

情報屋「最悪…」

アサシン「魔女はどうした!?返事をするのだ!!」

情報屋「ダメ…魔女も倒れてる」

アサシン「不死者共ぉ!!キラーマシンを海に突き落とせ!!」

女オーク「ヴヴヴヴヴ!ガァァァァ」ズドドド

情報屋「アサシン!なんて非道を…」

アサシン「黙れ!小舟に落とすぞ?受け身はなんとかしろ」グイ ポイ

情報屋「あぁぁぁぁぁ…」ドサ

アサシン「魔女!!」シュタ

魔女「…」グター

アサシン「失血で気を失ったのか…仕方無いここは一旦引く」グイ ダダダ



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881 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:32:03.91 ID:KbfSVIxh0
『小舟』


ジャブジャブ


情報屋「女オークがキラーマシンと素手で戦ってる…素手で勝てる訳…無いのに」ポロポロ

アサシン「見るな…もう女オークは居ない」

情報屋「最悪の展開よ…あぁ!!腕が切り落とされた…」プルプル

アサシン「見るなと言っている…それより魔女の失血が酷い…応急処置をしろ」

情報屋「…」ゴソゴソ

アサシン「急所にボルトが刺さって居る様だが…心臓の位置を変えているのだな…」

情報屋「こんな体の真ん中の傷をどうやって止血するのよ…」

アサシン「私のエリクサーを使え…兎に角出血が収まれば良い」

情報屋「早く気球戻って来て…お願い」プルプル

アサシン「まだ気を抜くな…生きている海賊共が島に上陸しようとしている」


ドーン ドーン ドカーン


情報屋「大砲がキラーマシンに直撃…女オークも何処かに飛んだ」

アサシン「もう良い…浜辺に着いたら岩場まで走れ…行けるか?」

情報屋「無理ヨ…足が折れているわ」

アサシン「這ってでも行くんだ…浜辺で囲まれては戦いにならん」

情報屋「最悪の最悪…急にこんな事になってしまって」

アサシン「私達が平和ボケしていたツケだ…女戦士の勘は正しかったのだ」

情報屋「船はまた買えば良いけど…女オークはもう帰って来ない」

アサシン「まだ言うのか?済んだ事はもう考えるな…これぐらいの死戦は経験して来ただろう」

情報屋「あ!!見て…霧の向こうから大型の海賊船…」

アサシン「あれが本隊か…中々にやる物だ」


ザワザワザワ ドロロ


アサシン「むむ!!海の下で何か動いている」

情報屋「大砲が止んだ…なにか様子がおかしい」

アサシン「あの海賊船は傾いて居る様に見える…どうした?気球が間に合ったのか?」

情報屋「空にはまだ見えない」

アサシン「あれに掴まる前に身を隠すぞ…船を降りろ…肩を貸す」グイ

情報屋「痛い!!…」

アサシン「ちと辛抱しろ…行くぞ」ジャブジャブ

情報屋「ひぃひぃ…」ヨタヨタ


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882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:33:37.56 ID:KbfSVIxh0
『岩場』


アサシン「この岩陰に身を隠すんだ…むん!!」ドサリ

情報屋「はぁはぁ…もう動けない…おえっ」ゲロゲロ

アサシン「島に上陸した海賊は同士討ちを始めている…どうなって居るのか」

情報屋「きっと魔女の幻術よ…お陰で助かってるわね」

アサシン「あの海賊船も一向にあの位置から動かんな」

情報屋「もうあんなに傾いてる」

アサシン「船底に穴でも開いたか?」

情報屋「望遠鏡は持って居ないの?」

アサシン「持ってくる機転が利かなかった…持ち物は装備一式だけだ」

情報屋「そういえば思い出した事があるわ…」

アサシン「大事な事か?」

情報屋「あなたも聞いて居た筈…10年前の光る夜の時にまだ子供だった未来君が言った言葉」

アサシン「クックックそんな昔話を覚えている訳が無かろう」

情報屋「乗ってた船が壊される夢を見たって…あの時私がなだめたのよ」

アサシン「あぁ…予言の話か…悪い夢でも見たのだろうと思って居たが」

情報屋「他にも沢山意味の分からない事を言っていたわ…ずっと忘れてた」

アサシン「今の状況には適さない話だ…今は生き抜く事を考えろ」

情報屋「あの時の話と附合点が多いからちょっと気になってね」

アサシン「しかし魔女が目を覚まさん事にはどうにも動けんな」

情報屋「気球を待つしか無い様ね」

アサシン「2人はここで隠れて居ろ…私は周囲を警戒する」スック

情報屋「待って!私はもう動けない…一緒に居てくれないとダメよ」

アサシン「そうも言って居られん…キラーマシンを送り込んだ海賊が潜んで居るかも知れんのだ」

情報屋「え!?」

アサシン「キラーマシンが単騎で乗り込む訳が無かろう…何処かに潜んで居る筈だ」

情報屋「海賊の狙いは幽霊船でしょう?逃げた私達を追って来ると?」

アサシン「海賊王の娘にどれだけの懸賞金が掛かっているか知らないのか?」

情報屋「…そうだったわね」

アサシン「ローグの奴も随分高値の懸賞金を掛けた物だ…まったく」

情報屋「あ!!見て…私達の気球よ…海側から来る」

アサシン「おぉ…間に合ったか…奴らが海賊船を止めたんだな?」

情報屋「きっとそうね」

アサシン「私達が逃れて居るのは千里眼で見えて居る筈だ…隠れて待とう」



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883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:34:45.39 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』


フワフワ ドッスン


女戦士「よし!無事だな?早く気球に乗れ」

アサシン「助かった…私も深手を負って体が動かしにくかったのだ」

女戦士「被害甚大だ」

情報屋「剣士は?」

女戦士「勝手に気球から降りて船に居る…」

情報屋「女オークがやられて…」

女戦士「知って居る…剣士はそれきり一言も話をしない」

アサシン「迂闊だった…済まない」

女戦士「済んだ事だ…何も言うまい」

情報屋「これからどうするの?」

女戦士「あの大型の海賊船はもう航海能力が無い…あと数時間で海へ沈む」

アサシン「まさか救助するつもりじゃあるまいな?」

女戦士「恐らく地床炉村の人々が奴隷にされている…捨て置けまい」

アサシン「こっちには動かせる船も無いのだぞ?」

女戦士「気球が有るでは無いか…一先ず救助を優先してこの島でキャンプを張る」

アサシン「…これは休めんな」

女戦士「不死者が休むなぞたわけた事を言うな…キャンプ構築はお前が使うゾンビにやらせろ」

情報屋「私達の船はもう安全?」

女戦士「剣士が守って居る限り安全な筈だ…既に魔女を超える力を持って居る様だ」

アサシン「大型の海賊船は剣士が沈めた?」

女戦士「それ以外に考えられるか?」

アサシン「それもそうだ…」

女戦士「海賊共はなぜ沈没したのか分かって居ないだろうから次の手を打ってくる事も考えられる…急いで再構築だ」

商人「気球を飛ばすよ…早く乗って」



フワフワ フワフワ
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:35:50.79 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』


フワフワ ドッスン


女戦士「商人!積み荷の確認をして来い…エリクサーの樽が無事なら持ってくるんだ」

商人「おけ分かった…」タッタッタ

アサシン「私は警戒で良いか?まだ近くに海賊が居るかもしれん」

女戦士「見つけ次第殺して使役しろ」

情報屋「大型の海賊船の船首が持ち上がり始めたわ」

女戦士「直に船体が2つに割れて沈没する…小舟に乗った海賊共で溢れるから…それまでに迎撃準備を整える」

情報屋「霧の向こう側に他の海賊船が控えて居ないかしら」

女戦士「居るかもしれんがこちらに近付けばあの海賊船の二の舞だ」

情報屋「そういう事ね…剣士は何処へ?」

女戦士「さぁ?そっとしておいてくれ…海虫の使役で十分仕事はこなしているのだから」

情報屋「海虫…海の中の虫を使役して海賊船を沈没させたのね」

女戦士「海を支配して居ると言っても過言では無いかもしれん」

情報屋「ちょっと剣士を探して来る」

女戦士「…」ジロリ

情報屋「そっとしておくから心配しないで」

885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:36:36.01 ID:KbfSVIxh0
『壊れた居室』


ヴヴヴヴ ドサリ ピチャ


剣士「動いたらダメだよ…方陣の中から出ないで」

女オーク「ガァァァ…」ズルズル

剣士「今楽にしてあげるから…もう少し抱っこさせて」グイ

女オーク「ヴヴヴヴ…」ピクピク

剣士「君の魂は今何処にあるかな?浄化が済んだら僕に掴まってね…」

女オーク「グルルルル…」ノソ

剣士「ダメだって方陣から出たら…」ゴソゴソ


ガチャリ ギーーー


情報屋「…ぁ」---バラバラの体を集めて居るのね---

剣士「情報屋さんかぁ…見て居たんだ君の眼を」

情報屋「そう…助けられなくてゴメン」

剣士「体は大丈夫?」

情報屋「私はもう平気よ…少し足が痛むだけ」

剣士「線虫!」ザワザワ ニョロリ

情報屋「ぁ…」ゾワワ

剣士「僕は心配いらないから部屋を出て行ってもらって良いかな?」

情報屋「私も女オークがこんな風になってしまって悲しいわ」

剣士「ゴメン…早く術を唱えてあげたいんだ…出て行って」

情報屋「…」スタ


ガチャリ ギーーー
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:37:44.48 ID:KbfSVIxh0
剣士「なんでかなぁ?涙が出ない…ただ心が寂しい」

女オーク「ヴヴヴヴ…」ズルズル

剣士「行くよ?しっかり掴まって…浄化魔法!」シュワーーー

女オーク「アガ…」サラサラサラ

剣士「おいで!僕の所へ…」

灰「…」サラサラサラ

剣士「…」

剣士「……」

剣士「楽になったかい?君は何処に行ったんだい?」

灰「…」

剣士「さぁて…僕の仕事は終わった」


---こんなに仲良くなれる人は多分一生現れないと思う---

---なぜなら僕はもう子供の頃に戻れないから---

---あの時を一緒に過ごせたからこんなに仲良くなれたんだ---

---僕はもう失いたくない---


剣士「今から君を救いに行くよ」


---量子転移は使うてはイカン---


剣士「魔女は何回も使っていたじゃないか…僕にだって出来るさ」


---次元の狭間に迷うぞよ?---


剣士「うるさいなぁ…僕の記憶に魔女の言葉が焼き付いてる」

剣士「危険なのは知ってるさ…でも僕は失いたく無いんだよ」

剣士「こんなに仲良くなれる人はもう一生現れない…だから僕は行く」

剣士「魔女に見つかる前に早く行かないと…今行くよ!!」


剣士「あの時のあの時間!!次元は僕の物だ!!量子転移!!」シュン


ガチャリ ドタドタ


情報屋「剣士!?剣士!!?」


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887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:38:15.44 ID:KbfSVIxh0
『光の中』


あれ?…

次元が僕の物にならない

手も…足も無い

ここは何処だ?

僕の意識だけか?

女オーク?何処にいる?

お〜い!!誰か居ないのかい?

もう一回…あの時のあの時間!来い!!量子転移!!







マズいなぁ…さてはここは次元の狭間だな?

次元からバンされたのか

せめて君が居たらここでも良いのに…

誰か返事してよ

おーい!!

仕方ないなぁ…ここに居てもしょうがないし歩いてみるかぁ…


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888 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:38:44.59 ID:KbfSVIxh0
『次元の狭間』


何処まで行っても果てが無い…

どのくらいの時間が過ぎたのか分からなくなった

僕は只君を失いたく無かっただけなのに

全てを失った様だ

有るのは僕の記憶だけ

確かに覚えてる

只そこにどうやっても行く事が出来ない

はぁぁぁ疲れたな…眠りたい

心の穴も開いたままで辛い

君の無惨な姿の記憶を消してしまいたい

どうやったら消せる?

楽しかった記憶を思い返しても結局最後に君を失う

悲しい…

パパ…助けて


---自分の次元を強く持つんだ---


分かってるよ…でもどうしても記憶にたどり着けない

やり残した事が沢山合ったんだ

そうさ…僕がやらなきゃいけない事を放り出して

この次元の狭間に来てしまった

僕は何処に行けば良いの?


---------------

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889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:39:17.96 ID:KbfSVIxh0
『記憶』


僕「あれ?…ここは…」

僕「パパ?…ここどこ?」

僕「魔女?…何処に居るの?」

僕「あれ?記憶が…」

僕「僕何してたんだっけ…」

僕「誰も居ないの?」


---こっち---


僕「誰?」


---目を覚まして---


僕「ホム姉ちゃん?」


---僕だよ---


僕「僕?」


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そうだった…僕は何度もこの次元の狭間に迷い込んだ

自我を取り戻すのは記憶の向こう側の僕なんだ

どうすれば思い出させられるんだろう…

記憶の向こう側の僕が思い出さないと意味が無いんだ

僕は僕の次元を放棄して良いのだろうか…

眠りたい…
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:39:56.82 ID:KbfSVIxh0
『瞑想』



そこに居るのは誰?


”重なって”


見つけた!君は誰?


”僕だよ”


助けて欲しいんだ…ここから出たい


”分かって居るさ…君は僕だろう?”


良かった…僕が迎えに来た


”これで何度目だったかな”


何度目?


”そうかまた忘れてしまったんだ”


覚えて居ない…記憶に無いよ


”今度こそ次元を強く持つんだよ…さぁ”


どうしたら良い?


”重なって…声のする方へ”
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:40:46.65 ID:KbfSVIxh0
『声』


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??「どうしたの?泣いているのね?」

??「外が騒がしい様じゃ…ちぃと離れるぞよ」

??「これ読ませておいて良いの?」

??「危険は無さそうじゃから良いのでは無いかのぅ」

??「文字が読めない筈なのに内容が分かるのかしら」

??「さぁのぅ…では頼んだぞよ」


僕「ぅぅぅ…僕は…僕は…何処から来たんだ?」

??「どんな物語だったの?」

僕「うわぁぁぁ…頭に記憶が流れて来る」ブルブル

??「ほら落ち着いて…こっちにいらっしゃい」

僕「僕は誰だ!?」


---見つけた---

---あの時の僕に次元を託す---


僕「うわぁぁぁぁ!!嫌だ!!死んじゃダメだ」バタバタ

??「コラコラ暴れない…皆の迷惑でしょう?」

僕「はぁはぁ…」

??「何を見たのかお話出来る?」

僕「未来の記憶を見た…まだはっきり覚えてる」

??「よしよし…私が聞いて進ぜよう」

僕「ここは何処?今はどの時点?」

??「混乱していそうね…まずゆっくりスープでも飲みましょう…ずっと食事していないでしょう?」

僕「ダメだよ僕にそんな余裕は無い…記憶が在るうちにやれる事を…」

??「ダメよ飲みなさい」グイ

僕「う…うむむ」ズズー ゴクリ
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:41:50.51 ID:KbfSVIxh0
『あの時の記憶』


ザワザワ ガヤガヤ


情報屋「どう?落ち着いた?」

子供「僕は大丈夫だよ…それよりここはシャ・バクダ遺跡の地下だね?」

情報屋「落ち着いて居ないじゃない…そうここは遺跡の地下よ…皆ここに避難しているの」

子供「そうか思い出したぞ…僕は冒険の書で未来を見たんだった」

情報屋「う〜ん…やっぱり混乱している様ね」

子供「どうして今まで忘れて居たんだ?」

情報屋「冒険の書で何を見たのか教えて貰える?」

子供「話すと長いよ…そして複雑なんだ」

情報屋「これもこの冒険の書の調査の一つなのよ…長くても良いからお話してみて?」


これから10年分の僕が経験する記憶のすべてが頭に流れ込んで来た

僕は破壊された僕達の船の中で取り返しの付かない事をしてしまった

そうだ…その直前に情報屋さんとも会って居るんだ


情報屋「え!?10年後の私に会ってる?」

子供「そうだよ最後に情報屋さんの声が聞こえた」

情報屋「へぇ?それは興味心身…もっと詳しく聞かせて?」

子供「何処から話そう…そうだこの10年間で何が起こるか先に話すよ」

情報屋「ふむふむ…あなたが見たのは予言という事ね?…少し待って?メモを取るから」ゴソゴソ

子供「僕はこの後魔女に引き取られる…それから」


カクカク シカジカ

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893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 08:43:37.97 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』


情報屋「ふむふむ…それで次元の狭間という所に幽閉されたという事ね」メモメモ

子供「僕は確信した事がある…この世界は記憶で構成されている…それが多分夢幻なんだ」

情報屋「それは魔女とお話した方が良さそうね」

子供「話したら頭が整理出来たよ」

情報屋「信じられない話ばかりだけど良く出来たお話だわ」

子供「事実だよ」

情報屋「それから未来君の口調も子供とは思えない」

子供「だから事実なんだ…信じられない?」

情報屋「何か裏付けられる事は出来る?」

子供「魔法が使える」

情報屋「それは今まででも使えていたでしょう?」


ノソノソ


魔女「これ未来…情報屋を困らせて居る訳では無いじゃろうな?」ノソノソ

情報屋「あ!!魔女…未来君は冒険の書で予言を見たと言って居るの…このメモを見て?向こう10年間で起こる事を話してくれた」

魔女「ほう?未来を見たとな?どれどれ」

子供「本当の事なんだ…僕は未来に戻って過ちを正したい」

魔女「随分細かい予言なのじゃな…」ヨミヨミ

情報屋「魔女はどう思う?」

魔女「これ未来…主は未来を見たのか?それとも未来から来たのかえ?」

子供「未来で量子転移を使った…次元の狭間に迷って声のする方に来たら僕は冒険の書を読んで居た」

魔女「10年も戻ったという訳じゃな?」

子供「多分そうなる…魔女これを見て!線虫!」ニョロ ポトン

魔女「むむ…」

子供「アレ?どうして成長しない?」
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