他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき
Check
Tweet
844 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/20(土) 02:10:04.98 ID:yB7BZZD20
文才ある人ってどんな長文でも疾走感や没入感に満ちた文章に仕上げられるよね
大抵はグダグダした長文にならない様な長さで済ませるけど(笑)
言いたいことを簡潔かつ的確にまとめてるイメージ
845 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:03:11.45 ID:KbfSVIxh0
『海辺の祠』
情報屋「ここよ?これが何か分かる?」
魔女「リザードマンがこのように石を積むのぅ…これだけかいな?」
情報屋「他にもいくつかあるわ…大体同じ」
魔女「しかしリザードマンなぞ居る気配が無い…何じゃろうか?」
情報屋「魔女にも分からないかぁ…」
魔女「全部海辺の岩場に在るんけ?」
情報屋「そうよ…いくつもあるから不思議で」
魔女「海の中に何か住んどるやも知れんのぅ…」
情報屋「石を積む知性を持った魔物?」
魔女「人魚はもう絶滅したんかいのぅ?」
情報屋「伝説よ…もう何千年も昔だし」
魔女「人魚の様な水生の魔物はまだ居るかも知れんで一応気を付けて置いた方が良いな」
----------------
846 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:03:40.86 ID:KbfSVIxh0
『洞窟』
カーン カンカン ジュゥゥゥ
情報屋「鍛冶始めたのね」
女戦士「例の不足してるパーツを作っている…もう少し待ってくれ」
情報屋「急がなくて良いわ…ちゃんと動くかも分からないし」
女戦士「まぁ暇なのだ」
情報屋「それよりアサシン?海辺に在る小さな祠なんだけど何か知ってる?」
アサシン「石を積んであるやつの事か?」
情報屋「そう…いくつもあるんだけど」
アサシン「それはな…私の友が積んだ物だ…危ない物では無いから心配しなくて良い」
情報屋「共?この島で?」
アサシン「何年前だったか…私がこの島に初めて来た時にな…石化しかけたイルカが横たわって居たのだ」
情報屋「そのイルカが?」
アサシン「うむ…私のエリクサーを与えたら何度も訪れる様になってな…私が不在の時に石を置いて行く様になったのだ」
情報屋「そのイルカは今はどうして?」
アサシン「さぁ?姿を見なくなって1年程か…良い話し相手だったのだが残念だ」
魔女「死んでしもうたかいな?」
アサシン「だろうな?イルカも人間と同じ様に石化の病気には掛かるのだ…泳げなくなってしまったのだろう」
魔女「リリスがどこぞの海底に沈んどる訳じゃな?」
アサシン「どうにかしてやりたいんだが…」
情報屋「船に積んである器具…その一つが重力炉よ」
魔女「リリスを魔石にするんけ?」
アサシン「リリス程大きな物が入ると思うか?」
情報屋「バラバラに刻めば入るかもしれない」
魔女「そうじゃアサシンは全身エリクサーじゃな?もう石化せんのでは無いか?」
アサシン「私にやらせるつもりか?やっても良いがどの様に刻む?」
魔女「未来の持って居るインドラの刀じゃな…あの光に焼かれた傷口は再生せぬ」
アサシン「ほう?なんとかすれば手はある訳か」
魔女「じゃが肝心のリリスが何処に居るのか分からんのがな…」
アサシン「イルカにでも聞くか?クックック…」
847 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 08:04:17.47 ID:KbfSVIxh0
『夜』
サワサワ
魔女「どうじゃ?未来は?」
女戦士「商人達と共にキ・カイの遺跡を探索している様だ」
魔女「そうか…夜はあまり覗かぬ方が良いぞ?」
女戦士「何故だ?」
魔女「未来のプライベートを覗いてしまうで見ん方が良い」
女戦士「フフそうか…大人になったか」
魔女「しかし見て居ると感心するじゃろう?蟲を上手く使い居る」
女戦士「これが蟲使いか…」
魔女「まだまだ本領を発揮して居らぬ…蟲を自在に爆弾に変えれるで破壊力が測り知れん」
女戦士「金属に変性させるのだな?」
魔女「うむ…後は主のように時空を極めれば勝てる者は居らんじゃろうな」
女戦士「時空の修行はさせて居ないのか?」
魔女「早く勇者らの足跡を追いたかった様じゃで狭間に入るのを嫌がってのぅ…」
女戦士「何十年も自分と向き合うのはもう少し先か…」
魔女「既に勇者らと幾度か死線を潜って居るからある程度は習得して居る」
女戦士「あの時の森での事か…」
魔女「そうじゃ…あの時に未来は勇者に生き方をすべて学んだ…わらわも自分の限界を知ったわ」
女戦士「私は記憶が無い…」
魔女「そうじゃったな主は倒れて居ったな…森の中で何度も次元の置き換えを経験しとる」
女戦士「それは勇者の力か?」
魔女「次元が崩壊せんのは勇者の力じゃな…主は乱用してはイカン」
女戦士「勇者の眼か…」
848 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:04:55.78 ID:KbfSVIxh0
『数日後』
魔女「…商人の気球を改造しておるとな?」
女戦士「そうだ…気球で移動されるとなると何処に行くのか分からなくなる」
アサシン「クックック…こちらは無人島で足止め…どうしようも無いな」
魔女「ローグが戻ればキ・カイに行っても良いのじゃが」
女戦士「下手に移動するとすれ違いが起きる」
アサシン「石の上にも3年と言うが?」
魔女「ローグはいつ戻って来るのじゃろう?」
アサシン「千里眼で見えるだろう?」
魔女「交渉事ばかりで動く気配が無い」
アサシン「ではそういう事だ」
女戦士「動くなら未来が何処へ向かうのか見定めてからだな…こちらに来る可能性もある」
魔女「何かヒントは見えて居らんか?」
女戦士「ううむ…商人が誘導している様なんだが行き先がな…」
魔女「あ奴の行動癖からすると遺跡じゃとは思うんだが」
アサシン「すれ違い覚悟で商人ギルドへ行って見るか?」
女戦士「未来は妹と似てせっかちだ…気球の改造が済んだら直ぐに行動する筈」
魔女「うむ…入れ違いになるのは間違い無かろう」
女戦士「未来に貝殻を渡しておくべきだったな」
魔女「渡したのじゃがワザと置いて行き居った」
女戦士「フフ掴まりたくない訳か…」
魔女「困ったもんじゃ…」
アサシン「自立するという意思表示だ…ここは待つ一択」
女戦士「こうしよう…未来はきっと私を訪ねて来る…幽霊船を動かして呼び寄せよう」
アサシン「ふむ良い案だ…退屈しのぎにはなる」
魔女「そうじゃな…ちと目立って見ても良いな」
----------------
----------------
----------------
849 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:06:06.25 ID:KbfSVIxh0
『南の大陸の何処か上空』
シュゴーーーーー バサバサ
商人「だめだ現在地見失ってる…火山の噴煙も見えない」
女オーク「下は一面の雲…」
商人「ラヴおいで…地図に指さすから座標の近い所で教えて」
機械の犬「ワン!」パタパタ
商人「いくよ?」ツツツツ
機械の犬「ワン!」
商人「ここか…キ・カイの南西か…ハテノ村とは反対側に来てるか」
剣士「見えたぁぁ!!魔女の目が見えた…船に乗ってる」
商人「え!?それじゃ何処なのか分からない」
剣士「なんでスケルトンが船に乗ってる?」
商人「む!それは幽霊船じゃないか?女戦士は見えないかい?」
剣士「暗くなった…もう見えない」
商人「間違い無いな…狭間に出入りしてるんだ」
剣士「それでずっと見えなかったのか…」
商人「幽霊船はセントラルの沖でよく目撃されるらしい」
剣士「そっちに向かう…えーと女オーク!北東1時の方向」
女オーク「うん…」グイ バサバサ
剣士「千里眼!…よし見える…魔女はなかなか首を動かさない…イライラするなぁもう!!」
商人「場所が特定できればね」
剣士「雨は降って居なさそうだ…霧が濃い…どこだ?」
商人「今なら女戦士の目も見えるんじゃ無いかい?」
剣士「そうか…千里眼!…見える!戦ってる…相手は豪族だ」
商人「見方はどのくらい居そうだい?」
剣士「スケルトン以外の味方は見えない…あぁぁ魔女は何やってるんだよ…乗り込まれちゃうじゃないか」
商人「気になるなぁ僕も見たいよ」
剣士「まてよ?魔女が視線を動かさないのは魔女も千里眼使ってるという事だ…僕を見てる!」
商人「わかった…ちょっと待ってノートに書く」カキカキ
商人「これ見て」
剣士「うん…”現在地教えて”」
剣士「よし!千里眼!…よしよし動き始めた…やっぱり僕の行動監視してた」
商人「どう?周り見える?」
剣士「ビッグママが一人で戦ってる…だから魔女が助けに来てくれてるんだ」
剣士「居場所分かったよ…海士島だ!海士島で待つって」
商人「行けるね?」
剣士「大丈夫行った事ある」
850 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:06:32.90 ID:KbfSVIxh0
商人「なるほどそういう事だったか…最近の幽霊船の目撃は剣士を呼ぶ為だったのかも知れない」
剣士「ビッグママはずっと僕を呼ぶ為に?」
商人「セントラル沖でよく目撃される様になってるんだ…そこで待って居た可能性がある」
剣士「知らないで素通りしてた」
商人「豪族に狙われているから思う様に上陸出来ないんだろうね」
剣士「可哀そうだ…早く行ってあげないと…ローグさんはビッグママの事情を良く知ってる」
商人「敵だとすると厄介だね」
-----------------
『黄昏時_海上空』
シュゴーーーー バサバサ
商人「流氷がやっぱり西の方角に流れてる…」
剣士「なんか現在地がやっぱりズレてる様に思う…北に進んでる筈なのにまだ灯台の光が見えない」
商人「ラヴ…今の座標おしえて?」ツツツツ
機械の犬「ワン!」
商人「本当だ…また西にズレてる」
剣士「偏西風が止まってるからかな?」
商人「今ここの位置だからもっと東に進路変えないと」
剣士「なんでだろう?進路3時の方向に修正」グイ
商人「まてよ…まさか地軸が動いて北の方向が変わって無いか?」
剣士「え!?」
商人「ラヴ!何か分からないか?」
機械の犬「クゥ〜ン」
商人「そうだな情報が足りないか…」
剣士「可能性はある…地図を傾けて使った方が良いかも…」
商人「ゆっくり地軸が変わってるかもしれないんだね?」
剣士「どうやってそれを確認すれば良いだろう…」
商人「陸地が見えないと太陽の沈む方向が分からないね」
女オーク「剣士!東方向に灯台の光!」
剣士「灯台目指す」グイ バサバサ
-----------------
851 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:07:00.46 ID:KbfSVIxh0
『海士島』
フワフワ ドッスン
剣士「すっかり日が落ちた…今から宿取れるだろうか」
商人「兎に角人が集まってる所に行って見よう」
剣士「商人さんもハイディングの準備は良いよね?」
商人「うん…でもどうして?」
剣士「前にここに来た時も女オークが海賊王の娘に間違われて付け狙われたんだ…一応逃げる心構えは必要」
商人「分かった…でも隠れてばかりだと落ち合うのに手間取るから最小限で」
剣士「そうだね」
商人「万が一バラバラになったら飛空艇に集合で」
剣士「おっけ!行こう」
『広場』
メラメラ パチ
うあぁぁぁ寒ぶっ!なんでこんなに冷えるんだぁ?
暖を取るのに商船に戻った方が良さそうじゃわい
酒場が一杯で入れない!
剣士「…」キョロ
商人「剣士!待たせた…宿の納屋を貸してもらえる…今晩はそこで暖を取ろう」
剣士「大分混乱してそうだね」
商人「うん…今は真夏なのにやっぱり異常すぎる」
剣士「この辺りは年中暖かい筈だよね?」
商人「そうだよ」
852 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:07:28.22 ID:KbfSVIxh0
『納屋』
ガラガラ バタン
剣士「よく貸して貰えたね?ここなら個室だ」
商人「僕は闇商人だよ?割と伝手を持ってる」
剣士「宿の方はどうなってるの?」
商人「もう一杯さ…明日商船が出て行ったら部屋が空く…一応確保しておいた」
剣士「酒場も一杯で入れないらしい」
商人「魔女の目は千里眼で見えない?」
剣士「多分狭間の中…見えないよ」
商人「移動してるんだね」
剣士「うん」
商人「まだ寝るには少し早いから少し情報集めてくるよ…剣士はどうする?」
剣士「そうだなぁ…僕は女オークと一緒に船の様子見てこようかな」
商人「じゃぁ僕はなんとか酒場に入ってみる」
剣士「あとでここに集合で」
商人「うん…行って来る」ガラガラ バタン
『桟橋』
ギシギシ
剣士「商船2隻と豪族の船2隻…」
女オーク「沖の方に見える光も船よね?」
剣士「多分ね…3隻かな?待機してるんだね」
女オーク「幽霊船はこの桟橋に入ってくると思う?」
剣士「来ないだろうね…近くに停泊したまま小舟で来るんじゃないかな」
女オーク「それにしても霧が冷たい…」
剣士「君はこの異常気象はオークシャーマンの力だと思う?」
女オーク「多分そう…天候を操るのは見た事有るの」
剣士「地軸を動かせるとか…君が知る訳無いよね?」
女オーク「私は地軸というのが何なのか理解できない」
剣士「まぁ普通はそうだよね…研究者とか魔術に精通して無いとね」
女オーク「その地軸が動くというのは大変な事なの?」
剣士「僕も影響は詳しく分からない…でも4000年前は文明が滅ぶ程の影響が在ったらしいよ」
女オーク「どうやって滅んだのかしら?」
剣士「想像付かないよ…地震とか噴火とか津波かな?」
女オーク「今まで経験した事の無いくらい大きな災害だったのでしょうね?」
剣士「今まで?…そうだな一気に来るとは限らないのか…ゆっくりジワジワ滅んだ可能性もあるな」
もしも何年も冬が続いたら食料が無くなる
病気も冬の方が蔓延しやすい
住みやすい場所に移らないと何年かして衰退するのは考えられそうだ
853 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:07:58.22 ID:KbfSVIxh0
『納屋』
ガラガラ バタン
商人「はぁぁぁ暖かい…」
剣士「ランタンで湯を沸かしてるんだ」
商人「さすが旅慣れてるねぇ」
剣士「なにか情報はあった?」
商人「どうも霧のせいで商船の航海が滞っているらしい」
剣士「急に寒くなったからだね?」
商人「だろうね?海はまだ暖かいんだよ」
剣士「日の出の時間が違うとか方角が違うと言う話は出てない?」
商人「聞いてないなぁ…兎に角ゴタゴタしてる…豪族も内輪で揉めてたりね」
剣士「あーそれか…僕が要らない事をしたからだな」
商人「いつもそんな感じだから豪族はまぁ良いんだ…それよりこの島は燃料不足が深刻だよ」
剣士「え?」
商人「元々暖かいから暖を取るための木材とか石炭が無いんだ」
剣士「広場で燃やして居たのは?」
商人「ヤシの木だね…あっという間に燃えて無くなる」
剣士「寒さがいつまで続くかだよね…」
商人「う〜ん」
剣士「凌ぎでいくつかクヌギの木でも育ててこようか?」
商人「豪族が独り占めするのが目に見えてるんだ」
剣士「無いよりはマシでしょ…簡単だから少し植えて来るよ」
商人「そうかい?」
剣士「まぁ夜中に線虫もやりたかった事だし…行って来る」
商人「気を付けて」
854 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:08:28.13 ID:KbfSVIxh0
『翌日_広場』
ザワザワ
霧が晴れるまで出港出来ないってよ
そら流氷に当たったら沈没しかねんもんな
どうする?宿が無いぞ?
豪族が占領しちまってるからなぁ…船で過ごすしかあるめぇ
商人「ダメだぁ毛皮が売り切れてる…」
剣士「昨夜は寒かったみたいだね?」
商人「そりゃ一人だと寒いよ…君達は良いね2人でさ?」
剣士「いくら商人さんでも女オークは貸さないよ」
商人「ハハ取る気は無いさ」
剣士「納屋は地べたが冷たかった…今日は宿に泊れそうだよね?」
商人「ダメかもしれない…商船が出て行って無いし」
剣士「今晩も納屋になる様ならヤシの葉でも重ねて休もう」
商人「そうだね…」
剣士「ここでずっと待ってるのもなんか苦痛だね」
商人「うん…千里眼はどう?」
剣士「ずっと狭間のままさ…何か作って商売でもしようかなぁ?」
商人「どうして急に?」
剣士「僕達もう金貨1枚しか持って居ないんだよ」
商人「女オークに渡した分も合わせて?」
剣士「うん…」
商人「僕もあんまり持ち合わせが無い…何が作れる?」
剣士「魔石は沢山持ってるからそれで何か出来ないかなってさ…」
商人「ハハ…あのね魔石を売れば早いと思うんだ…」
剣士「あれ?アハハハすっかり忘れてた…そういえばそうだね」
商人「う〜ん…そういう所まで女海賊に似たか…もしかしてカバンの中に虫が入ってたりしないよね?」
剣士「入ってるよダンゴムシ!ワームも居る!見たい?」
商人「えーと…又今度で良いハハハ」
情報屋「商人?あなた未来君ね?」
商人「え!?おおおおおお!!情報屋じゃないか…びっくりだ!いつからこの島に?」
855 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:08:54.21 ID:KbfSVIxh0
剣士「あ…情報屋さん?昔のままだ」
情報屋「フード被ったままだから分からなかったわ…やっと見つけた」
商人「見つけた?」
剣士「もしかして僕の事?」
情報屋「そうよずっと探して居たのよ」
剣士「ゴメン…直ぐにシャ・バクダに行けなかったんだよ…僕も探して居たんだ」
情報屋「え!?何の話?」
剣士「あれ?僕を探してたんじゃ?」
情報屋「そうよ?」
剣士「僕も情報屋さんを探しにシャ・バクダまで行ったんだけどすれ違ったみたい」
情報屋「ええと…ちょっと話が噛み合わないんだけど…兎に角行きましょ」
商人「情報屋ゴメン…僕ら魔女と女戦士を待ってるんだ…良かったら君も会ってみたら?」
情報屋「あの2人は来ないわ?」
剣士「どうして知ってるの?」
情報屋「私が迎えに来たからよ?」
剣士「あれ?もしかして情報屋さんも魔女と一緒に居た?」
情報屋「そう…だから迎えに来たのよ…早く行きましょう」
剣士「ハハなんだ始めからそう言ってくれれば良かったのに…」
商人「てっきり偶然バッタリかと思ったよ」
情報屋「あなた達の気球に私も乗れるわね?」
剣士「乗れる乗れる!」
情報屋「案内して?船まで私が誘導するから」
剣士「おけおけ!こっち」スタ
856 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:09:25.86 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』
フワリ シュゴーーーー
情報屋「やっと合流出来て安心した…宿にも酒場にも居なかったから」
商人「宿屋の納屋を借りて休んで居たんだよ…情報屋はどうやって海士島に?」
情報屋「昨夜遅くに気球で送って貰ったのよ」
商人「なるほど…それからずっと探して居たんだ」
情報屋「そうよ?寒くて皆フード被ってるから分からなかった」
商人「この寒さの原因って何か知ってる?」
情報屋「詳しくは分からない…そうそう未来君が見つけた呪符?魔女はそれを千里眼で見て以来ずっと何か調べてるわ」
剣士「見て居たんだね」
情報屋「私も海士島まで買いに来たのよ?」
剣士「直ぐ近くに居たんだ」
情報屋「未来君は一所に落ち着かないからずっとすれ違いっぱなし…やっと合流できたの」
商人「あ!情報屋?未来君は今剣士って名乗ってるんだ」
情報屋「そうなのね?」
剣士「まぁどっちでも良いよ」
情報屋「それで剣士君と商人に聞きたい事が山ほどあるんだけど…」
商人「話が相当長くなるな…集まってから情報交換した方が良いね」
情報屋「そうね…今は我慢する」
剣士「魔女はどうして幽霊船に乗ってるの?」
情報屋「それも話が長いわ…結論を言うと剣士君の先回りをする為」
剣士「え?どうして?」
情報屋「魔女が渡した貝殻を置いて行ったでしょう?だから捕まえられなかったのよ」
剣士「あーーーなんか貰った気がするなぁ…何処に置いたんだっけなぁ」
商人「興味が無い物はどこかに忘れて来るのは治らないかもねぇ…」
剣士「ハハまぁ良いじゃない合流出来たんだし」
857 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:10:01.77 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』
ザブン ギシギシ
剣士「ビッグママァ!!」ダダダ
女戦士「未来…」ツカツカ
剣士「ゴメンね…僕を探して居たんでしょ?」
女戦士「フフ…良く帰ったな?眼をよく見せろ」グイ
剣士「うん…」ジー
女戦士「…」ジワリ
剣士「爺いじに眼を舐められたよ…ビッグママも舐める?」
女戦士「その呼び方は止めろろ言っただろう…女戦士で良い」
剣士「そうだったね…ハッ!!これママのデリンジャー…」
女戦士「形見を私が使わせて貰っている」
剣士「見て!?僕も自分で作ったんだ!同じだよ」スチャ
女戦士「そうか…さすが私の妹の子か」
剣士「それから…女オーク来て!?」
女オーク「…」ウツムキ スタスタ
剣士「あの時のオークの子だよ…覚えているよね?」
女戦士「未来が世話になって居る様だな?」
女オーク「はい…あの時は御免なさい…」
女戦士「随分言葉が流暢では無いか?未来が教えたのか?」
剣士「うん!もう普通にお話出来るよ」
女戦士「それは良い…しかし随分たくましくなった」
商人「女戦士!10年振りだね…君は変わって居ないなぁ」
女戦士「お前は中々死なんな?生きていて何より…」
商人「ハハ…中々死ねなくてね」
剣士「この幽霊船に乗って居るのは3人?」
女戦士「私と魔女…情報屋にアサシンの4人だ」
剣士「アサシンさんも乗って居たのか…千里眼で見えなかった」
女戦士「豪族達に見られん様にしていてな…」
剣士「魔女は?」
女戦士「魔術の研究で忙しい様だ…折角だから顔を見せて行け」
剣士「うん…」
858 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:10:47.76 ID:KbfSVIxh0
『居室』
アブラカタブラ…
魔女「アーデモナイ…コーデモナイ…」ブツブツ
女戦士「魔女!未来を連れて来た…」
魔女「危ないで入って来るな言うたじゃろう…まぁ良い!話もしたかった所じゃ…ちと休憩するわい」
女戦士「幽霊船はフィン・イッシュに向かって良いのだな?」
魔女「うむ…書物がフィン・イッシュに保管してある…急ぎで調べたい」
剣士「例の呪符の事だね?」
魔女「そうじゃ…この異常気象は間違いなく古代魔術の影響じゃ…今の知識では影響が予測できぬ」
剣士「そんなに酷い状況かな?やっぱり…」
魔女「情報屋に話はまだ聞いて居らぬか?」
剣士「え!?何も?」
情報屋「皆揃ってから情報を交換しようと思って何も話して居ないわ…」
魔女「丁度よい!アサシンも呼んで来るのじゃ…ちと今後について話そうぞ」
女戦士「連れて来る…」ツカツカ
---------------
---------------
---------------
カクカク シカジカ
魔女「…オークの起源が他の星から来たという以外はほぼ情報屋の予測通りじゃな」
情報屋「そうね…精霊が産んだのではなく他の星からの外来者だったなんて…」
魔女「歴史はまず置いておくとしてまず今時点で分かって居る古代魔術の事じゃが…」
大きな特徴として天候を任意に操れるらしいというのが分かって居る
日蝕を起こし太陽を遮ったりも任意で出来る様じゃ
どの様に任意で操ったのかは謎のままだったのじゃが
例の呪符にヒントが在った
重力の魔方陣と時空の魔方陣…これらは現在の魔術書には記されて居らん
恐らく重力の魔方陣にて磁力を操作しているのじゃろうと思われる
859 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:11:24.21 ID:KbfSVIxh0
剣士「その魔方陣は解読できたの?」
魔女「出来て居らん…使う触媒が何なのか分からんのじゃ…方陣の交点も調べにゃイカン」
商人「それで急ぎでフィン・イッシュに…」
魔女「うむ…」
情報屋「4000年前の地軸の移動もオークシャーマンが関わって居そうだから…今の異常気象も同じかも知れない」
商人「影響がどの程度出るのか想像出来ない…」
情報屋「文明が完全に入れ替わるくらいってどう思う?」
剣士「子供が生まれない上に地軸の移動か…」
魔女「幸い状況が急変する程の速さでは無い様じゃでこれから対応を考えねばならぬ」
剣士「例えばどんな?」
情報屋「まず大洪水の備えね…船の確保と山間部への移動とかよ」
剣士「津波じゃなくて洪水?」
情報屋「地軸の移動で未踏の地が温暖になった場合氷が全部溶けるのよ…その結果大洪水になるのはどの伝承でも同じなの」
商人「ハハ海の水が増えるって言うのかい?」
情報屋「数十メートル増えただけでセントラルもキ・カイも水に浸かるわ?波で一気に浸食されて数年で無くなってしまう」
商人「海の水が数十メートル増えるなんてどんな量なんだよ…ありえない」
情報屋「不確かな伝承だけど100メートル程増えるという記録もあるの」
商人「100メートル!!馬鹿な…」
魔女「直ぐ増えるとは思うて居らんがそういうつもりで準備を考えねばならんのじゃ」
商人「だとするとセントラルもキ・カイも壊滅…シン・リーンの港町もだ」
剣士「僕の島も無くなっちゃう」
-----------------
860 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:12:03.09 ID:KbfSVIxh0
魔女「次にじゃ…ホムンクルスはいつ目覚めそうなのじゃ?」
商人「正直分からない…自己治癒で生体が育って来ているのは確かなんだ」
剣士「そうだ!魔女?…念話でオークシャーマンとお話出来ないの?」
魔女「わらわが知って居る念話は貝殻にエンチャントを掛ける術なのじゃ…貝殻を渡せば通じるとは思うが…」
剣士「居場所が分からない」
魔女「そもそも念話が使えたとして居場所が分からん者に通じるとは思わんが?」
剣士「あー千里眼と同じかぁ…」
魔女「ホムンクルスの存在をオークシャーマンに伝えたいのじゃな?」
剣士「そうだよ…そうすればオーク同士の戦争が回避出来るかも知れない」
魔女「わらわが思うにな?オークシャーマンは別の目的で天候を操って居る様に思うがのぅ…」
女オーク「戦争を有利に進める為では無いと?」
魔女「結果的にそうなって居るじゃろうが規模が大きすぎるとは思わんか?」
商人「地軸の移動ってまだ決まった訳じゃ無いよね?」
魔女「本当に西オークと東オークで争い合って居るんか?」
女オーク「本当よ?西オークは東オークの村を奪っているわ」
魔女「侵略して居るのじゃな?」
女オーク「そう…でもその後奪った村をどうしているのかまでは知らない」
商人「むむ!200人程度じゃ領地奪っても意味無いね…精々略奪か」
魔女「おぉそうじゃ!忘れておった…呪符に光の方陣もあったのじゃ…オークシャーマンは千里眼を使えんのか?」
女オーク「分からない…天候を変えるのは見て分かるからそれしか…」
剣士「まてよ?もし使えるとしたら君の眼を見通す事も出来るな…」
魔女「それが言いたいのじゃ…女オークの事をオークシャーマンは知って居る…じゃからすべて見通して居るやも知れん」
剣士「僕達は泳がされてる?」
魔女「その可能性も考えておいた方が良かろう」
剣士「狭間の外で見た事すべてか…ホム姉ちゃんを知ってるとしたら…」
商人「マズいな名も無き島に向かってる可能性はありそうだ」
剣士「大丈夫!移動の殆どが狭間の中だよ…場所が分かる訳無い」
魔女「ウンディーネが目覚める直前だと知ったして次に何をするじゃろうのぅ?」
剣士「まさかドリアード?」
魔女「そんな気がしてならん…」
--------------
861 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:12:31.04 ID:KbfSVIxh0
『荷室』
ガチャガチャ
情報屋「これよ?シャ・バクダ錬金に用いる天秤と重力炉」
商人「スゴイな…女海賊が持ち帰ったものを復元したんだ」
情報屋「でも動かし方が分からない…エネルギーの供給が何なのか謎なの」
商人「キ・カイの古代遺跡で見つけた物の中にウラン結晶を用いたエネルギー元があったんだ」
情報屋「ウラン結晶からどの様にエネルギーを?魔石の充填?」
商人「仕組みは良く分からない…研究すればこの機器にも使えるかも知れないね」
情報屋「そのエネルギー元はこの機器に使え無さそうなの?」
商人「大きすぎる…この機器は多分ここに何か入るんだろうけど…全然大きさが違うから新しいのを作らないとね」
情報屋「はぁぁ…道が長そう」
商人「でも良く組み立てたじゃない…天秤なんかこのまま使えそうだ」
情報屋「やってみたけど意味無いわ?エネルギーが無いと動かないのよ」
商人「この機器で何をしたいの?」
情報屋「賢者の石の生成よ?それがあればホムンクルスの完全な部品が作れる」
商人「僕も研究してるんだけどさ…錬金術で完成させるのはどうやら違うみたい」
情報屋「どの様に?」
商人「エリクサーの中で培養するんだ…錬金術で作るのは培養に必要な臓器の部品だけだよ」
情報屋「じゃぁ賢者の石は不要?」
商人「大量のエリクサーを作るのに必要なのかも…合計でエリクサーは樽で10杯以上必要になる」
情報屋「そういう事か…」
商人「培養させて大きくして…後は自己治癒でゆっくり成長する…だから時間が掛かるんだ」
情報屋「キ・カイ錬金術とはそもそも違う過程なのね…」
商人「僕のノートに生成の過程をメモしてあるから読んでごらんよ」
情報屋「ありがとう…見させてもらうわ」
-----------------
862 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:13:05.57 ID:KbfSVIxh0
『甲板』
ザブ〜ン ユラ〜
女戦士「未来…お前の刀を研いでやる」
剣士「ビッグママ…あ女戦士…なんか恥ずかしいなぁ」
女戦士「刀を貸してみろ」
剣士「うん…」ゴソゴソ
女戦士「ふむ…それほど傷んで居ないな」スラーン サワサワ
剣士「ねぇ女戦士?僕は剣士って名乗ってるんだ」
女戦士「フフ剣士か」
剣士「パパの刀は?持って居るんでしょ?」
女戦士「見たいか?何千年も経つと朽ちてしまう…仕方の無い事だ」
剣士「もう使えない?」
女戦士「打ち直せば使えない事も無いが刀身が折れて半分無く無くなって居てな…欲しのか?」
剣士「うん…そのままでも良い」
女戦士「分かった…出来るだけ形を残して使える様にしてやる」
剣士「パパの形見がそれしか無いからさ」
女戦士「そうだな…刀一本しか持って居なかったな」
剣士「後さぁ…ローグさんの事なんだけど」
女戦士「どうかしたのか?」
剣士「ローグさんて豪族になっちゃったんだよね?」
女戦士「そうだな」
剣士「海賊王の娘を捕らえようとしてるの知ってる?」
女戦士「フフそれを知って居るという事は何処かで会ったのだな?」
剣士「うん…セントラルでバッタリね」
女戦士「まぁそういう事だ…気にするな」
アサシン「女戦士!ちょっと来てくれ」
女戦士「どうした?」
アサシン「海流のせいか進路がどうも西にズレる」
剣士「あ!!アサシンさん…僕の飛空艇でも進路がすこし西にズレて居たんだ…羅針盤はアテにしない方が良いかも」
アサシン「霧が濃くて星が見えん…羅針盤以外に方向を示す物が無いのだが…」
女戦士「どの程度ズレが有るのか分からんが西に流れるなら見越して向かえば良い」
剣士「2時の方向を北と思って行けば大体良い所に行くよ」
女戦士「そんなにズレがあるのか?」
剣士「うん…気付いたら全然違う方向に行ってる」
女戦士「兎に角陸が見えるまではセントラル方面が良さそうだな…西に流されて丁度フィン・イッシュに行けるかもしれん」
アサシン「分かった…セントラル方面に修正する」
---------------
863 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:14:02.36 ID:KbfSVIxh0
『翌日』
ザブ〜ン ユラ〜
商人「昼間は霧が少し薄い…」
剣士「大きな流氷が流れて来なければ良いね」
商人「アサシン!どうして流氷が西に流れて行くのか知らないかな?」
アサシン「さぁな?外海に繋がる海峡に流れて行っているのではないか?」」
商人「フィン・イッシュの方か…」
アサシン「他に何も無いだろう?」
商人「外海に穴でも開けたんだろうか…」
剣士「僕外海の事あんまり知らないんだけど何があるの?」
商人「ずっと向こう側まで海らしいよ…そのずっとずっと向こう側に未踏の地さ」
アサシン「今航海している内海とは比べ物にならないぐらい広い海だという事だ…」
剣士「海以外に何も無い?」
商人「世界地図を見せてあげるよ…右端と左端をこうやって繋ぐと大きな海になるよね?」パサ
剣士「そういう事か…向こうに未踏の地しか無いから誰も行かないんだ」
商人「ちょっと説明しようか…」
こっちの地図がこの間キ・カイの遺跡で発掘した遺物から分かった地図だよ
この地図の一番北側…その当時の北極に当たる部分が
今僕達が航海している内海だと思われる…ほら陸地の形が類似してるよね?
4000年前の地軸の移動でほぼ90°回転したのが今の地図さ…こっちの地図
西側の海峡を越えてずーーっと向こう側に当時の南極だった島が有る…これが未踏の地
何があるのか誰も知らない
剣士「フィン・イッシュから外海の方面に航海はしないのかな?」
アサシン「龍神の眠りを妨げない様に外海に出るのは禁止しているそうだ」
剣士「龍神…」
アサシン「リヴァイアサンが海に住まうらしいが既に伝説の話だな」
商人「でもこうやって地図を比較してみると温暖になった内海周辺に人間が集まったのは良く分かる」
剣士「なるほど…本当だね陸地が内海に集中してる…」
情報屋「ちょっと口を挟むわ…地軸が変わって遠心力の掛かっている場所が変わって居るのかも知れない」
商人「え?」
情報屋「今までは遠心力が掛かって海水が多い状態…それが変わって海水が別の場所に流れてる」
商人「流氷は一緒に流されてる訳か…辻褄が合うな」
情報屋「もっと言うと偏西風は無くなったのじゃ無くて場所が変わったのね…偏西風が強いのは赤道上よ」
商人「信じたくないけど地軸が変わってる可能性はやっぱり高そうだなぁ」
-------------
-------------
-------------
864 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:14:44.04 ID:KbfSVIxh0
『居室』
…シン・リーンは夏から一転して冬になった様じゃ
エルフゾンビが居るシャ・バクダも冬に変わった様じゃな
その他の地域は?
盗賊が居るハテノ村かいの?ここはあまり変化が無さそうじゃのぅ
情報屋「夏になってる場所が何処にもないのが気にかかる…」
魔女「わらわ達の生活圏がすべて南半球に移動したのじゃろう…それで説明が付く」
情報屋「…海士島辺りが南極に移動したと考えるとそうなるわね」
魔女「その過程じゃと命の泉付近は赤道付近じゃな」
情報屋「ドラゴンの眼は覗けないの!?」
魔女「わらわはドラゴンをあまり知らぬ」
情報屋「もし海士島付近が南極に位置したとしてセントラルもキ・カイも緯度的に深刻な状況じゃ無さそう」
魔女「ちと寒い程度かいな?」
情報屋「これを狙ってやったとするとオークシャーマンはとても賢いかもしれない」
魔女「被害は最小限に抑えたという事かえ?」
情報屋「緯度的に影響が無いのは恐らくシン・リーンとフィン・イッシュ…ここは北半球から南半球に移っただけ」
魔女「シャ・バクダもあまり変化が無さそうじゃ」
情報屋「あそこはもうほとんど人が済んで居ないから除外」
魔女「なぜ地軸の移動をしたのじゃろうのぅ?」
情報屋「未踏の地の氷を解かす?…もしくは偏西風の方向を変える?」
魔女「前者は何か狙いが有るかもしれんな…偏西風の向きが変わると言うのはどういう事じゃ?」
情報屋「北西の風が南西に変わるという感じね?」
剣士「ああああああああ!!それだ…」ガバ
魔女「なんじゃ寝て居ったんじゃ無いんか…たまげたわ」
剣士「精霊樹の森に到達するドリアードの種子の向きを変えてる…」
魔女「なぬ?」
剣士「精霊樹がドリアードに浸食されそうなんだ…エルフ達が飛んで来る種子を全部焼いてる」
情報屋「オークシャーマンはそれを狙ってやってると言う事?」
剣士「千里眼が使えたとすると精霊樹も見てるし僕達がドリアードの種子と戦ってるのも見てる…色々変わり始めたのはその後からだ」
情報屋「冬にすれば種子は飛ばないというのも有りそうね」
剣士「命の泉周辺は雪と氷が沢山あるんだよね?それ溶けたら何処に行く?」
情報屋「多くはエルフの森ね」
剣士「洪水で洗い流すんだよ!種子も毒も全部…オークシャーマンはもうドリアードと戦い始めてる」
情報屋「ちょっと待って…オークシャーマンが戦う動機が分からない…どうして遠方に居るオークシャーマンが?」
剣士「女オークが言うには予言に従ってるって…」
情報屋「何千年も予言に従ってるなんて余程の動機が無いと説明が付かないわ」
魔女「言われてみればそうじゃな…どんな予言なのか知りたいのぅ」
--------------
865 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:15:14.66 ID:KbfSVIxh0
魔女「…それで重ねて聞くがオークシャーマンはエレメンタル魔法は使わんのじゃな?」
女オーク「見た事無いわ…呪いや呪符による強化で直接魔法で戦う様な事は一度も見て居ない」
剣士「睡眠魔法は使っていたけどね」
魔女「そういう補助的な術だけなのじゃろうな…能動的な破壊術は使わんのじゃろう」
女オーク「どうしてその様な質問を?」
魔女「エレメンタル魔法を使うエルフとは全く別物じゃで不気味なのじゃよ…何をするか読めんでな」
剣士「何処に居るのかも分からないしね」
魔女「わらわがドリアードの立場じゃったら何処に反撃すれば良いかも分からんで困ると思うのぅ」
剣士「何か他に動きがあると想定してる?」
魔女「うむ…実はな?セントラルでちと動きがあるのじゃ」
剣士「え!?」
魔女「貴族主導で大規模なスプリガン狩りじゃ」
剣士「あまりおかしい事じゃ無いと思うな…シン・リーンでもスプリガン狩りは珍しくない」
魔女「誰が主導しておるかと言う事じゃ…貴族達に主導する程力を持った者は居らんかった筈なのじゃ」
商人「…その話気になるな…確かにまとまった財力持ってる人は居ない筈」
魔女「異常気象で混乱していても指導力を発揮する者が急に現れたのは…おかしいじゃろう?」
剣士「網を張られてる?」
商人「見に行って見たいな…僕の商船もセントラルに来てる筈なんだ」
--------------
--------------
--------------
866 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:16:11.75 ID:KbfSVIxh0
『船首』
ザブン ギシギシ
情報屋「陸地よ!!前方に陸地が見えたわ!!」
女戦士「ふむ…霧が薄くなって来たな」
情報屋「現在地分かる?」
女戦士「海図を確認する…アサシンは何処だ!?」
アサシン「ここだ…メインマストに上がっている」
女戦士「地形で現在地を判断出来そうか?」
アサシン「う〜む…羅針盤は北を差しているのがどうにもおかしい…予定通りならセントラル付近の筈なのだが…」
情報屋「雪で陸地の地形が判別しにくいわ」
女戦士「まぁ良い…陸地沿いに西へ進路を変える…行き先はフィン・イッシュで良いな?」
アサシン「魔女はそう言って居たな」
女戦士「帆を60°で張り直して取り舵…スケルトンに命令するのだ」
アサシン「クックック…舵はお前がヤレ…私は見張りを続ける」
情報屋「でも陸地を見つけられて本当良かったわ…遭難しかねない」
タッタッタ
剣士「陸地見えたんだね?どの辺り?」
女戦士「海図と比較しているのだが…海流が逆を向いている」
情報屋「地軸が変わって海流まで変化して居るなら今までの海図は役に立たないかも知れないわ」
女戦士「うむ…私は海図を新しく描けるほど航海術には長けて居ない」
情報屋「盗賊が居れば…」
剣士「ねぇねぇ…おかしいよ?」
女戦士「うん?どうした?」
剣士「硫黄の匂いが風に乗ってる」
情報屋「どういう事?」
剣士「北の大陸の海付近には火山が無い筈」
女戦士「フィン・イッシュ付近は火山帯だ…どこぞの海賊が大砲を撃ったとも考えられるが」
剣士「いや違う…見えている陸地は南の大陸だよ…多分」
女戦士「な…んだと?」
情報屋「ちょ…もしかして」
剣士「これさ…海士島付近が南極点になってたとしたら羅針盤は何処に向かっても北を差すよね?」
情報屋「それね!!この霧も海がまだ暖かいから発生してる」
アサシン「クックック…では私達は行先の反対方向に進んで居たという事か」
剣士「太陽は!?」
アサシン「見ろ…霧の切れ目で明るい方向が分かるだろう」
剣士「…低い…今は朝なのか夕方なのか」
情報屋「時間も方角も分からない…これじゃ航海なんて出来ないわ」
女戦士「一度陸に上がろう…現在地が分からんのでは何処に行くにしても危険だ」
剣士「そうだね…停泊出来る所を探そう」
867 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:17:19.66 ID:KbfSVIxh0
『海岸沿い』
ザブーン ユラー
女戦士「これ以上陸に寄るのは座礁の危険がある」
情報屋「十分よ…陸の方は霧が掛かって居なくて視界が開けてる」
剣士「間違いない!ここは南の大陸だよ」
女戦士「どの辺りか分かるか?」
剣士「今まで使ってた地図で言うとキ・カイから大分西にズレた所だと思う」
女戦士「このまま陸地を右手に見ながら進めばキ・カイに着く訳だな?」
剣士「この辺りは海流が強くて船でキ・カイまで行くには沖まで出る必要があるらしいよ」
女戦士「…という事は地床炉村の辺りという事か…遠いな」
剣士「知って居るの?」
女戦士「通常の航路からは除外されている海域だ…海流が複雑で難破しやすいのだ」
情報屋「この状況で沖まで出るのは危険ね…陸地を見失う」
女戦士「そうだな…霧が晴れるまでどこかで停泊した方が良い」
アサシン「小さな島が見えている…そこに船を隠して気球で行動するのはどうだ?」
女戦士「何処だ?」
アサシン「見ろ…正面少し左…岩場もありそうだ…隠すには丁度良い」
女戦士「海図には乗って居ないな…」
アサシン「通常の航路では無いのだろう?あんな小さな島を書き込む意味も無かろう」
女戦士「賊が隠れ家にして居なければ良いが」
アサシン「ほう?隠れ家にしそうな条件が揃って居ると?」
女戦士「危険な海域の孤島…元々この辺りは海賊の縄張りなのだ」
アサシン「あの馬鹿共を恐れて居るのか?」
女戦士「馬鹿にするな…だが航海術は私の上を行く者も居る」
剣士「もう直ぐ日が暮れそうだよ…一先ずあの島で様子を見ようよ」
情報屋「賛成!落ち着いて作戦を練り直した方が良いわ」
女戦士「…」ジロリ
アサシン「何をためらう?こちらには魔女も居るのだ…怖い者なぞ無い」
女戦士「ううむ…どうも勘が働く…気のせいなら良いが…」
868 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:17:48.70 ID:KbfSVIxh0
『孤島』
ザザー ザザー
アサシン「スケルトン共!帆を畳んで碇を降ろせ」
剣士「暗くなる前に周りを少し見て来る…小舟降ろすよ」
女戦士「女オーク!お前も付いて行け」
女オーク「はい…」スタ
アサシン「…さて見た感じでは無人島の様だがまだ気になるか?」
女戦士「隠れるには丁度良い…それは海賊にも同じ条件だ」
アサシン「気にし過ぎだ…この霧ではまともに航海も出来ん」
女戦士「ふん!!」ジロリ
アサシン「魔女は居室に籠りっ放しなのか?」
情報屋「そうよ?危険な術を使って居るから居室には入るなと言っていたわ」
アサシン「ヤレヤレこちらの状況は意に介さずか」
女戦士「商人はどうしている?」
情報屋「何かの計算をしてるわ…地図を並べて居たから地軸の移動予測でもして居るのかと」
女戦士「そうか…水を補給しておきたかったのだ…雨が降らないから直に尽きる」
アサシン「それは明日私がやって置こう」
女戦士「孤島にそう簡単に水が有るとでも?」
アサシン「クックック…お前はしばらく見ないうちに冒険の勘が衰えたな?木材があれば海水から蒸留出来る」
女戦士「フン!では任せる」
アサシン「少し休んで居ろ…遭難しかけて気が張って居たのだろう?」
情報屋「そういえば女戦士はしばらく寝て居なかったみたいね」
女戦士「これくらいどうという事は無い」
情報屋「少し休んで?どの道夜が明けないと何も出来ないのだし」
女戦士「では横になって来る」スタ
869 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:18:18.56 ID:KbfSVIxh0
『翌朝』
ザザー ザザー
女戦士「剣士と商人は私と共に気球で出るぞ…用意しろ」
剣士「おっけ!」
女戦士「商人は地図を持って現在地の特定をやるんだ」
商人「ハハ…買い出しには行かないのかい?」
女戦士「地床炉村を見つけたなら買い出しも良いが通貨が使えるものかどうか」
剣士「僕行った事有るんだ…木材が良い取引になる」
商人「それなら剣士の出番だ…木を植えれば良い」
剣士「シーーーーーッ!!ダメダメ…魔女にバレたら怒られる…乱用はダメなんだ」
商人「なんだそうだったのか…分かった…物々交換用に少し物資持って行く」
女戦士「急げ!剣士は早く球皮を膨らませろ」
アサシン「私は水を調達してくる…孤島に木材は有りそうなんだな?」
剣士「うん!!浜辺に沢山燃やせそうな物が打ち上げられてる」
アサシン「女オーク!空の樽を小舟に乗せる…手伝え」
女オーク「はい…」
女戦士「水の確保は任せた…夕刻までには戻るつもりだが船は出来るだけ早めに狭間に隠してくれ」
アサシン「海水の蒸留にすこし時間が掛かってしまうが終わり次第狭間に入る」
情報屋「私と魔女は留守番ね?食事でも用意しておくわ」
剣士「気球飛べるよ!!乗って」
女戦士「では行って来る…アサシン!留守は頼んだ」
870 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:18:49.43 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』
フワフワ バサバサ
女戦士「商人!地図と地形の比較はどうだ?」
商人「向こうに見える山が多分この山さ…今居る場所を特定するならもう少し地形を見たい」
女戦士「海岸沿いに飛ばせ…見失うな?」
剣士「分かってる…これ羅針盤の差す方向が東と西が反対だ…頭がこんがらがる」
商人「地図を逆さに見た方が良いね…全然違う地図に見える」
剣士「海側は霧が張ってて何も見えない…目印は遠くの山だけだ」
女戦士「…しかし不毛な地だ…木が無いとはな…」
剣士「低木は雪で隠れてしまっているね」
商人「川だ!!川が見える…だとすると此処ら辺りか?」ドタドタ
剣士「少し進路変えようか?」
商人「大丈夫!このまま海岸沿いに進んで…次の川を見つけたらほぼ位置が断定出来る」
剣士「太陽の位置と方角が合わない…南から太陽が昇る?」
商人「この機械の時計と太陽の位置を記録して欲しい…出来るね?」パサ
剣士「うん…時間は合ってるの?」
商人「合って無い…後で補正するんだ」
剣士「なるなる…緯度を割り出したいんだね?」
商人「太陽の位置がおかしいのは南極に近いからさ…今のままじゃ季節も分からない」
女戦士「ふむ…やはりこの内海が南極に位置したとするともう航海出来る海では無いな」
商人「そうなるね…外海に出ないといけない」
女戦士「目指すは流氷の行く先と言う事か…危険が過ぎるのだが」
商人「幸いフィン・イッシュへは外海から回り込める」
女戦士「内海を横断出来ないとなると相当な長旅になる…補給も宛てに出来んのでは…」
商人「兎に角現在地の確定と食料の確保を急ごう」
---------------
---------------
---------------
871 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:19:48.74 ID:KbfSVIxh0
『先日_洋上』
ザブ〜ン ギシギシ
海賊の頭「だぁぁぁ!!補給はまだ来んのか!!」
手下「へ…へい!!そろそろ地床炉村の略奪が終わって戻って来る筈なんすが…」
海賊の頭「あの手漕ぎのガレー船の野郎共…略奪品を手前ぇで持ち逃げしたんじゃあるまいな…ぐぬぬ」
手下「この帆船じゃ海流に逆らえないもんで待機するしか…」
海賊の頭「豪族共は陸でヌクヌクして居やがるだろうに何故俺らだけ酒にも女にもありつけ無ぇんだ!!」ドガッ
手下「それは頭が豪族に上納しないからで…」
海賊の頭「おいお前!!サメの餌になりたい様だな」スラーン
手下「いやいやいや!そろはご勘弁を…おいらが居なくなったら航海に支障が出ますぜ?」
見張り「お〜〜い!!大型の船が見えるぞぉぉぉ!!」
海賊の頭「何ぃ!!船旗は確認出来るか?」
見張り「海賊旗は立って無ぇ!!船影からすると噂の幽霊船に似てまさぁ!!」
手下「ど…どうしますかね?」
海賊の頭「俺が見る!!」ドタドタ
手下「なんで又この海域に来るんすかね?噂じゃ海賊王の娘はキ・カイに潜伏してるとか」
海賊の頭「知るかボケ!!豪族共の話を真に受けてんじゃ無ぇ!!」
見張り「浅瀬に向かってまさぁ!!甲板で作業しているのは…うお!!スケルトン!?」
手下「うひゃぁ…噂通り…」
海賊の頭「望遠鏡をヨコセ!!」グイ
見張り「大砲を積んで居ない様ですわ」
海賊の頭「間違い無ぇ…あの船にゃ見覚えがある…ちぃぃ気球を積んでいやがる」
手下「噂に聞く彗星の奴っすか?」
海賊の頭「分からん…下手に手出し出来んな…お宝を目の前に動けんとは…ぐぬぬ」
見張り「この霧のお陰でこっちに気付いた様子は無ぇっす」
海賊の頭「さぁ〜てどうしたもんか…おい手下!!例のアレ乗せて数人で小舟出せ」
手下「後を付けるんで?」
海賊の頭「手は出すな…チャンスを伺う」
手下「うひょぉ〜やる気っすね?」
海賊の頭「あの船にゃ10年前の貴族のお宝がどっさり乗って居る筈なんだ…みすみす見逃すつもりは無ぇ」
見張り「海賊王の娘の懸賞金も破格でしたね?」
海賊の頭「だはは生け捕り出来りゃ豪族共を黙らす事ぐらい出来る」
手下「おいら達だけでやるんすか?」
海賊の頭「いや…手漕ぎ船の野郎共を捨て駒にするつもりだ…奴らの帰りを待って動く…それまでは偵察だ」
手下「分かりやした…例のアレを持って小舟で待機しとくっす」
海賊の頭「合図は大砲だ…着弾を見て動け」
872 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:20:38.35 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』
ザブ〜ン ユラー
見張り「ガレー船が帰って来やしたぜ?」
海賊の頭「遅せぇんだボケが!!略奪品の載せ替えと伝令を出せ!」
海賊共「へ〜い!!」
海賊の頭「幽霊船は見失って居ないだろうな?」
見張り「奴ら霧が晴れた海岸線沿いににある島に向かっているみたいっす…霧の中のこの船に気付いた素振りは無いっすね」
海賊の頭「島だと?何か隠して居たのか?」
見張り「灯台の建築が止まったままの島っすよ」
海賊の頭「遠浅で船が寄れなかった孤島だな?しかし何故あんな孤島に…」
見張り「あの孤島なら霧の中からでも大砲の射程に入りますぜ?」
海賊の頭「ぐふふふ…気付かれない様に射程に入れろ…あの船を落とせばお宝はこっちの物だ」
海賊共「お頭ぁ…今晩やるんで?」
海賊の頭「相手は海賊王の娘だ…まずは様子を伺う」
海賊共「さすがお頭…相手の力量を知ってるんすね?」
海賊の頭「俺は奴らの戦い方を見たことがある…用心するのは気球から撃って来る爆弾と突然変わる天候だ」
見張り「天候が急に変わる?」
海賊の頭「そうだ…嵐に備えろ」
見張り「ガレー船の奴らを捨て駒にするって言うのは?」
海賊の頭「そりゃ簡単な話よ…特攻させて相手が上手なら俺らは逃げる…村の略奪品を持ってな!だはは」
海賊共「ガレー船の奴ら言う事聞きやすかね?」
海賊の頭「あいつ等は北方の海賊だ…女だけ与えておけば満足する阿呆ばかりだ」
見張り「なるほど…海賊王の娘と知ったら勝手に特攻すると…」
海賊の頭「負け戦には点で弱いが…大砲を当てて勝ちを演出すりゃしっかり働くだろうよ」
海賊共「うぉぉぉ!!頭ぁぁ一生付いて行きやすぜ!!」
海賊の頭「ぐっふっふっふ…ダーッハッハ!!兎に角今は略奪品の載せ替えを急げぇぇ!!」
海賊共「うぉぉぉぉ!!」ドタドタ
873 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:21:49.76 ID:KbfSVIxh0
『深夜』
シクシク メソメソ
殺しゃし無ぇからよ
大人しくしてりゃ良いんだ!
次は俺の番だ!勝手な事すんじゃ無ぇ!
俺はあいつらと違って優しいぜ?
そんな顔すんなよ…お楽しみはこれからじゃ無ぇか
シクシク メソメソ
海賊共「略奪品の積み替え終わりやした!!」
海賊の頭「シケた村だったがこれで当面の食料は確保出来た訳だ」
海賊共「手漕ぎの男奴隷を50人程と女奴隷の30人程はどう配分するんすか?」
海賊の頭「男奴隷は要らん!女を全員こっちの船に移せ」
海賊共「女はもう手を付けられてますが…」
海賊の頭「あの馬鹿共…奴隷は高く売れるという事を分かって居ないな」
海賊共「どうしやしょう?」
海賊の頭「何度言わせるんだ!連れて来い!傷物じゃ値が下がる」ドガァ
海賊共「ひぃぃぃ…」ドタドタ
『翌朝』
ザブン ザブン
見張り「頭ぁ!!幽霊船に動きがありやした…気球の球皮が膨らんでるっす」
海賊の頭「何ぃ!!動きが早い」
見張り「陸に近付けないもんで気球使って補給かと」
海賊の頭「ようし!!気球が居ないとなれば動きやすい…ガレー船に作戦開始の伝令を出せ」
海賊の頭「お前等ぁぁ!!働けぇぇ大砲をすべて幽霊船に向けるんだぁぁ!!」
海賊の頭「錆びついた砲弾は全部撃ち尽くすぞ!!」
海賊の頭「幽霊船に当てた奴には褒美を出す!!しっかり稼げぇ!!」
海賊共「うぉぉぉぉ!!」ドタドタ
見張り「気球が動き出しやした…ゆっくり陸の方へ向かってるっす」
海賊の頭「1時間待て…1時間もすりゃ地床炉村の異常に気付いてこちらが疎かになる…グフフ俺にツキが回って来た」
海賊共「頭ぁ!!大砲は射程内ですがもう少し近づかないと中々当たりやせんぜ?」
海賊の頭「黙れ何とかして当てろぉ!!嵐に巻き込まれたらそれこそ何も出来んのだ」
見張り「嵐が来る空じゃ無いんすがねぇ…こんな寒い海で嵐が来るとはとても…」ボソ
海賊の頭「俺に意見しようってのか!?この船じゃ俺の言う事が絶対だ!!黙って見張りを続けろボケがぁ!!」
---俺はあの海賊王の娘率いる海賊団で何年も遠目に見て来たんだ---
---奴らの行動は常を逸している---
---これが成功すりゃ下剋上---
---失敗しても霧隠れ---
---こんなチャンスは滅多に無い…逃す物か---
見張り「ガレー船が動き始めやしたぜ?岩場を挟んで幽霊船の死角から行くんすね?」
海賊の頭「グフフフ奴ら捨て駒とは知らず…すべては俺の予測通り」
874 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:22:43.50 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』
ザブン ザブン
見張り「ガレー船がそろそろ幽霊船の死角から出ます」
海賊の頭「気球はもう何処に行ったか分からんな?」
見張り「地床炉村方面に向かったまま雲の中に消えたっす」
海賊の頭「ようし!!開戦だ!!お前等ぁぁ!!撃てぇ!!ガレー船には当てるなぁぁ!!」
海賊共「うおぉぉぉ!!」
ドーン ドーン ドーン ドーン
見張り「初弾角度浅い!!もう15度くらい上だ!!」
海賊共「15度…えっほ!えっほ!」ガラガラ
海賊の頭「砲弾急げ!!気付かれる前に撃ちまくれ!!」
ドーン ドーン ドーン ドーン
見張り「一発ヒットぉぉ!!今の角度を維持して少し右!!…ってあれ?目の錯覚か?当たって無い?」
海賊の頭「ちゃんと観測しろボケなす!!」
見張り「いや当たった筈なんすが…被害が無い…なんで?」
海賊の頭「どんどん撃て!」---ううむ…やはり常を逸しているか---
ドーン ドーン ドーン ドーン
見張り「ガレー船横切るっす」
海賊の頭「構わん!撃てぇ!!とにかく一発当てろぉ!!」
見張り「ガレー船から火矢を撃ってるっす」
海賊の頭「ほう?奴らも頭を使うか…反撃は無いのか?」
見張り「良く見えないっす…未だ幽霊船は無傷」
ドーン ドーン ドーン ドーン
見張り「ヒットぉぉ!!アレ?…又被害無し…もしかして実体が無いのか?」
海賊の頭「空の方も良く監視しておけ!大砲は休みなく撃て!!」
海賊共「へ〜い!!えっほえっほ」
見張り「ガレー船から小舟投下!乗り込む準備始めやした」
海賊の頭「さすが北方の海賊…だがここから相手が動くぞ?」
ドーン ドーン ドーン ドーン
見張り「よし!!2発ヒットぉぉ!!よしよし…幽霊船船体に穴が開いたぁ!!」
海賊の頭「撃て撃て〜〜い!!ガハハハハハ」
見張り「ガレー船の様子がおかしいっす…同士討ちを始めてるみたいっす」
海賊の頭「グフフやはりそうなるか…だがこちらが上手!大砲を休むな!!どんどん撃てぇ!!」
海賊共「うわぁぁぁ…竜巻が…ガレー船が巻き込まれる」
海賊の頭「構うな!!無視界でもそのまま大砲を撃ち続けろ」
ドーン ドーン ドーン ドーン
875 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:23:29.03 ID:KbfSVIxh0
見張り「幽霊船!甲板部大破!帆の炎上を確認…あ!!」チュドーン
海賊の頭「何事か!?」
見張り「ガレー船が爆発…何を撃ったんだ」ガクガク
海賊の頭「ええい!爆炎で何も見えん…上から降って来たのか?」
見張り「いえ…幽霊船から何か射出してるっす…これじゃ近づけない」
海賊の頭「例の奴は何をしているのだ…見えんか!?」
見張り「キラーマシンっすね?見当たら無ぇっす…アレ?船尾の方に人影…誰か乗り込んでる」
海賊の頭「よしよし上手く乗り込んだ様だ…大砲を休むな!!竜巻が収まり次第少し寄せる…碇を上げろ!」
海賊共「この船も現場に行くんで?」
海賊の頭「キラーマシンが直に制圧するだろう…ガレー船が撃沈された今この船で行くしかあるまいグフフフ」
ドーン ドーン ドーン ドーン
876 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:24:59.00 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』
フワフワ バサバサ
商人「あの煙はやっぱり地床炉村だよ…地図の位置と一致する」
剣士「どうする?降りる?」
女戦士「高度下げろ…上から様子を伺う」
剣士「おけおけ!」グイ バサバサ
商人「家屋の延焼範囲がおかしいな…略奪に有った後じゃないかな」
女戦士「分かって居る…まだ生き残りが居るやも知れん」
剣士「酷いな…オーガに襲われたのかな…」
女戦士「オーガは火を使わん…こんな事をするのは海賊共に決まって居る」
剣士「この村にはハーフオークも居た筈…そんな簡単に略奪されるなんて…」
女戦士「持って居る武器が違う…民兵如きが敵う訳が無い」
”女戦士…聞こえるかえ?”
女戦士「貝殻…何か有ったのか?」
”緊急事態じゃ…海賊から奇襲を受けて居る”
”わらわ一人では押さえ切れぬ故…今すぐに戻って来るのじゃ”
女戦士「なんだと…」ボーゼン
”海賊は巧妙にも霧の中からこちらを捉えて居る様じゃ…数が掴めぬ”
剣士「マズいな…ここからだと1時間くらい掛かる」
女戦士「兎に角引き返せ…魔女…1時間持たせられそうか?」
”早うせい!!わらわの魔力は無限では無いぞよ?」
剣士「くぅ…」ギリリ
”魔女!!通話は私がやるから迎撃を”
”脱出の準備をしておくのじゃ…大砲で狙われては凌ぐのに限界がある”
”分かったわ…女オーク!!来て!!ドーン ガラガラ”
”何度もしつこいのう…量子転移!”
”ザザーーーザザザ”
剣士「量子転移を使って居るのか…マズいよ…時空がズレる」
女戦士「無駄口はもう良い…急いで戻れ」
剣士「しまったぁぁ!!アダマンタイトを船に置いて来てる…狭間に入れない」
----------------
877 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:26:24.15 ID:KbfSVIxh0
女戦士「竜巻が2つ…その下に海賊船…ガレー級だな」
剣士「霧の中にも数隻居そうだ…砲弾が霧の中から飛んでる」
女戦士「商人!貝殻での通話は出来ないか?」
商人「応答しないよ…」
女戦士「それどころじゃないという事か…上手く凌いでくれて居れば良いが」
剣士「あああああ!!ダメだ!!そこはダメだよ…早く逃げて」
女戦士「千里眼だな?厳しそうか?」
剣士「砲弾の直撃を受けた…情報屋の眼はもう見えない…女オークも」
女戦士「魔女の眼はどうだ?」
剣士「魔女は視線を動かさないから情報量が少ないんだ…千里眼!」
女戦士「アサシンはどうした!」
剣士「今見てる…なんで水中に居るんだ?船から落ちたのか?みんなバラバラじゃないか…」
商人「霧の中にもう一隻海賊船が少し見える…大きい」
女戦士「ガレオン級…あれはセントラルの軍船を拿捕した物だ…一級装備を艦載している」
商人「あんな大きな船を見落としてたと言う事かい?」
女戦士「しまったな…可能性は考えて居たのだが今の海賊がそれ程動けるとは思って居なかった…乗って居るのは誰なのか」
剣士「やっとアサシンさんが船に戻った…酷い壊され様だ」
女戦士「戦況は?」
剣士「まだ乗り込まれて居ないけど大砲の的になってる…あぁぁ情報屋さんが折れたマストの下敷きになってる」
女戦士「このままいけば後20分で援護出来そうだ…商人!クロスボウの準備をしておけ」
商人「分かったよ」
女戦士「狙いはあのガレオン船だ…剣士!お前は例の爆弾を持って居るか?」
剣士「まだ作って無いよ…こんな事になるなんて思って無かった」
女戦士「お前は幻術が得意だったな?射程に入ったらガレオン船の海賊共を眠らせられるか?」
剣士「触媒を持って来ていない…」
女戦士「ええい!!何が出来る!?」
剣士「船を沈めて良いなら海虫を使役して船を腐らせられる」
女戦士「よし!それで良い…兎に角大砲を撃たせるな」
剣士「高度下げる…海虫の使役なら今できる」
女戦士「ヤレ!!」
----------------
----------------
----------------
878 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:27:58.82 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』
ダダダッ
アサシン「魔女!!無事だな?」
魔女「戻るのが遅いわたわけ!船に爆弾は乗って居ないのかえ?」
アサシン「有る」
魔女「爆弾であの海賊船を破壊するのじゃ…わらわは治癒に回る故迎撃は主がヤレ」
アサシン「情報屋はまだ助かりそうだ…女オークは何処だ?」
魔女「分からぬ…砲弾の直撃を受けて居るで無事という事は無いじゃろう」ノソノソ
アサシン「迎撃は任せろ…処置がすんだら援護頼む」ダダダ
魔女「失血が酷いのぅ…急所を痛めたんか…回復魔法!」ボワー
情報屋「…」グター
アサシン「そのマストをどうにかしないと圧迫死するぞ」
魔女「分かって居る…主は迎撃に専念せい…量子転移!」シュン
メリメリメリ ズドーン
魔女「さて女オークは何処に行ったかいな?」ノソノソ
情報屋「ぅぅぅ…」ピク
魔女「これ動くで無い…ちと安静にして居れ」
情報屋「ど…どうなったの?」
魔女「何とか凌いでおるがもう魔力が枯渇しておる…脱出するぞよ」
アサシン「2人とも伏せろ…あの船を沈める」
シュンシュンシュン ストストスト
情報屋「火矢…」
アサシン「消火してる暇は無い様だ…撃つぞ」チリチリ バシュン!!
ピカーーーーチュドーン!! ザバーーーー
アサシン「クックック…ありえない威力だな…この爆弾は」
魔女「これでこの浜辺に近寄り難くなったじゃろう…今の内に小舟で脱出じゃ」
アサシン「船を捨てるつもりか?」
魔女「仕方あるまい…大砲の的になっておる」ノソノソ
ドコーン!! ドコーン!! パラパラ
879 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:29:30.80 ID:KbfSVIxh0
アサシン「…その様だ…情報屋!背負ってやる」
情報屋「女…オークを助けてあげて…多分荷室の方に落ちて行ったから」
魔女「わらわが行くで小舟で待って居れ…」ノソノソ
バシュン! グサリ
魔女「はぅぅぅ…」ガク
アサシン「何ぃ!!船尾から誰か乗り込んで…」
情報屋「キ…キラーマシン…どうして」
キラーマシン「…」ウィーンガチャ
アサシン「ええい!アレは厄介だ…」スラーン チャキリ
魔女「アサシン何とかせい…わらわでは勝てぬ」
アサシン「こいつの弱点は何処だ?関節か?」
魔女「電撃じゃが触媒を用意して居らぬ…10分耐えるのじゃ…魔石と触媒を探して来る」ノソ
アサシン「情報屋…マストの陰に隠れて居るのだ」ドサリ
情報屋「はぁはぁ…」ズリズリ
アサシン「さぁて…一体か」---突き落とすのが一番なんだが…どうする?---
キラーマシン「…」ウィーン バシュン バシュン
アサシン「早い…」ヒラリ ダダ
カーン カーン キーン
キラーマシン「プシュー」ガチャコン ガチャコン
アサシン「流石に機械相手では不利か…バックスタブ!」ジャキン
キラーマシン「プシュー」ブン! ザクリ
アサシン「う…深いな」ヨロ
キラーマシン「ウィーーーン」バシュン バシュン
アサシン「効いて居ないか…」ヒラリ ピョン
キラーマシン「プシュー」ガチャコン ガチャコン
アサシン「スケルトン共ぉ!!来い…こいつを海に突き落とせ」
スケルトン「カタカタカタ…」ドタドタ
キラーマシン「…」ブン ブン
スケルトン「カタカタカタ…」バラバラ ドサリ
アサシン「スケルトンでは力不足か…あの海に浮いている海賊の死体は使えるか?…動け不死者共!!我に従え!!」
バシャ バシャ
アサシン「ちぃぃ…従う数が少ない…」
880 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:30:31.82 ID:KbfSVIxh0
ドコーン ドコーン パラパラ
アサシン「ナムサン…向こうからは構わず大砲を撃って来るか」タジ
キラーマシン「…」ウィーンガシャ ウィーンガシャ
アサシン「不死者の使役も宛てに出来ん…どうする?魔女!!まだか?キラーマシンは相性が悪い」
情報屋「お…女オーク?無事だったのね?」
女オーク「ヴヴヴヴヴ…グルルル」
情報屋「え!?まさか…」
アサシン「しまった…女オークが居る事を忘れていた…」
女オーク「ガァァァァ…」ズルズル ズルズル
アサシン「頭部が半分欠損…即死か」
情報屋「最悪…」
アサシン「魔女はどうした!?返事をするのだ!!」
情報屋「ダメ…魔女も倒れてる」
アサシン「不死者共ぉ!!キラーマシンを海に突き落とせ!!」
女オーク「ヴヴヴヴヴ!ガァァァァ」ズドドド
情報屋「アサシン!なんて非道を…」
アサシン「黙れ!小舟に落とすぞ?受け身はなんとかしろ」グイ ポイ
情報屋「あぁぁぁぁぁ…」ドサ
アサシン「魔女!!」シュタ
魔女「…」グター
アサシン「失血で気を失ったのか…仕方無いここは一旦引く」グイ ダダダ
---------------
881 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:32:03.91 ID:KbfSVIxh0
『小舟』
ジャブジャブ
情報屋「女オークがキラーマシンと素手で戦ってる…素手で勝てる訳…無いのに」ポロポロ
アサシン「見るな…もう女オークは居ない」
情報屋「最悪の展開よ…あぁ!!腕が切り落とされた…」プルプル
アサシン「見るなと言っている…それより魔女の失血が酷い…応急処置をしろ」
情報屋「…」ゴソゴソ
アサシン「急所にボルトが刺さって居る様だが…心臓の位置を変えているのだな…」
情報屋「こんな体の真ん中の傷をどうやって止血するのよ…」
アサシン「私のエリクサーを使え…兎に角出血が収まれば良い」
情報屋「早く気球戻って来て…お願い」プルプル
アサシン「まだ気を抜くな…生きている海賊共が島に上陸しようとしている」
ドーン ドーン ドカーン
情報屋「大砲がキラーマシンに直撃…女オークも何処かに飛んだ」
アサシン「もう良い…浜辺に着いたら岩場まで走れ…行けるか?」
情報屋「無理ヨ…足が折れているわ」
アサシン「這ってでも行くんだ…浜辺で囲まれては戦いにならん」
情報屋「最悪の最悪…急にこんな事になってしまって」
アサシン「私達が平和ボケしていたツケだ…女戦士の勘は正しかったのだ」
情報屋「船はまた買えば良いけど…女オークはもう帰って来ない」
アサシン「まだ言うのか?済んだ事はもう考えるな…これぐらいの死戦は経験して来ただろう」
情報屋「あ!!見て…霧の向こうから大型の海賊船…」
アサシン「あれが本隊か…中々にやる物だ」
ザワザワザワ ドロロ
アサシン「むむ!!海の下で何か動いている」
情報屋「大砲が止んだ…なにか様子がおかしい」
アサシン「あの海賊船は傾いて居る様に見える…どうした?気球が間に合ったのか?」
情報屋「空にはまだ見えない」
アサシン「あれに掴まる前に身を隠すぞ…船を降りろ…肩を貸す」グイ
情報屋「痛い!!…」
アサシン「ちと辛抱しろ…行くぞ」ジャブジャブ
情報屋「ひぃひぃ…」ヨタヨタ
--------------
--------------
--------------
882 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:33:37.56 ID:KbfSVIxh0
『岩場』
アサシン「この岩陰に身を隠すんだ…むん!!」ドサリ
情報屋「はぁはぁ…もう動けない…おえっ」ゲロゲロ
アサシン「島に上陸した海賊は同士討ちを始めている…どうなって居るのか」
情報屋「きっと魔女の幻術よ…お陰で助かってるわね」
アサシン「あの海賊船も一向にあの位置から動かんな」
情報屋「もうあんなに傾いてる」
アサシン「船底に穴でも開いたか?」
情報屋「望遠鏡は持って居ないの?」
アサシン「持ってくる機転が利かなかった…持ち物は装備一式だけだ」
情報屋「そういえば思い出した事があるわ…」
アサシン「大事な事か?」
情報屋「あなたも聞いて居た筈…10年前の光る夜の時にまだ子供だった未来君が言った言葉」
アサシン「クックックそんな昔話を覚えている訳が無かろう」
情報屋「乗ってた船が壊される夢を見たって…あの時私がなだめたのよ」
アサシン「あぁ…予言の話か…悪い夢でも見たのだろうと思って居たが」
情報屋「他にも沢山意味の分からない事を言っていたわ…ずっと忘れてた」
アサシン「今の状況には適さない話だ…今は生き抜く事を考えろ」
情報屋「あの時の話と附合点が多いからちょっと気になってね」
アサシン「しかし魔女が目を覚まさん事にはどうにも動けんな」
情報屋「気球を待つしか無い様ね」
アサシン「2人はここで隠れて居ろ…私は周囲を警戒する」スック
情報屋「待って!私はもう動けない…一緒に居てくれないとダメよ」
アサシン「そうも言って居られん…キラーマシンを送り込んだ海賊が潜んで居るかも知れんのだ」
情報屋「え!?」
アサシン「キラーマシンが単騎で乗り込む訳が無かろう…何処かに潜んで居る筈だ」
情報屋「海賊の狙いは幽霊船でしょう?逃げた私達を追って来ると?」
アサシン「海賊王の娘にどれだけの懸賞金が掛かっているか知らないのか?」
情報屋「…そうだったわね」
アサシン「ローグの奴も随分高値の懸賞金を掛けた物だ…まったく」
情報屋「あ!!見て…私達の気球よ…海側から来る」
アサシン「おぉ…間に合ったか…奴らが海賊船を止めたんだな?」
情報屋「きっとそうね」
アサシン「私達が逃れて居るのは千里眼で見えて居る筈だ…隠れて待とう」
--------------
883 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:34:45.39 ID:KbfSVIxh0
『貨物用気球』
フワフワ ドッスン
女戦士「よし!無事だな?早く気球に乗れ」
アサシン「助かった…私も深手を負って体が動かしにくかったのだ」
女戦士「被害甚大だ」
情報屋「剣士は?」
女戦士「勝手に気球から降りて船に居る…」
情報屋「女オークがやられて…」
女戦士「知って居る…剣士はそれきり一言も話をしない」
アサシン「迂闊だった…済まない」
女戦士「済んだ事だ…何も言うまい」
情報屋「これからどうするの?」
女戦士「あの大型の海賊船はもう航海能力が無い…あと数時間で海へ沈む」
アサシン「まさか救助するつもりじゃあるまいな?」
女戦士「恐らく地床炉村の人々が奴隷にされている…捨て置けまい」
アサシン「こっちには動かせる船も無いのだぞ?」
女戦士「気球が有るでは無いか…一先ず救助を優先してこの島でキャンプを張る」
アサシン「…これは休めんな」
女戦士「不死者が休むなぞたわけた事を言うな…キャンプ構築はお前が使うゾンビにやらせろ」
情報屋「私達の船はもう安全?」
女戦士「剣士が守って居る限り安全な筈だ…既に魔女を超える力を持って居る様だ」
アサシン「大型の海賊船は剣士が沈めた?」
女戦士「それ以外に考えられるか?」
アサシン「それもそうだ…」
女戦士「海賊共はなぜ沈没したのか分かって居ないだろうから次の手を打ってくる事も考えられる…急いで再構築だ」
商人「気球を飛ばすよ…早く乗って」
フワフワ フワフワ
884 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:35:50.79 ID:KbfSVIxh0
『幽霊船』
フワフワ ドッスン
女戦士「商人!積み荷の確認をして来い…エリクサーの樽が無事なら持ってくるんだ」
商人「おけ分かった…」タッタッタ
アサシン「私は警戒で良いか?まだ近くに海賊が居るかもしれん」
女戦士「見つけ次第殺して使役しろ」
情報屋「大型の海賊船の船首が持ち上がり始めたわ」
女戦士「直に船体が2つに割れて沈没する…小舟に乗った海賊共で溢れるから…それまでに迎撃準備を整える」
情報屋「霧の向こう側に他の海賊船が控えて居ないかしら」
女戦士「居るかもしれんがこちらに近付けばあの海賊船の二の舞だ」
情報屋「そういう事ね…剣士は何処へ?」
女戦士「さぁ?そっとしておいてくれ…海虫の使役で十分仕事はこなしているのだから」
情報屋「海虫…海の中の虫を使役して海賊船を沈没させたのね」
女戦士「海を支配して居ると言っても過言では無いかもしれん」
情報屋「ちょっと剣士を探して来る」
女戦士「…」ジロリ
情報屋「そっとしておくから心配しないで」
885 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:36:36.01 ID:KbfSVIxh0
『壊れた居室』
ヴヴヴヴ ドサリ ピチャ
剣士「動いたらダメだよ…方陣の中から出ないで」
女オーク「ガァァァ…」ズルズル
剣士「今楽にしてあげるから…もう少し抱っこさせて」グイ
女オーク「ヴヴヴヴ…」ピクピク
剣士「君の魂は今何処にあるかな?浄化が済んだら僕に掴まってね…」
女オーク「グルルルル…」ノソ
剣士「ダメだって方陣から出たら…」ゴソゴソ
ガチャリ ギーーー
情報屋「…ぁ」---バラバラの体を集めて居るのね---
剣士「情報屋さんかぁ…見て居たんだ君の眼を」
情報屋「そう…助けられなくてゴメン」
剣士「体は大丈夫?」
情報屋「私はもう平気よ…少し足が痛むだけ」
剣士「線虫!」ザワザワ ニョロリ
情報屋「ぁ…」ゾワワ
剣士「僕は心配いらないから部屋を出て行ってもらって良いかな?」
情報屋「私も女オークがこんな風になってしまって悲しいわ」
剣士「ゴメン…早く術を唱えてあげたいんだ…出て行って」
情報屋「…」スタ
ガチャリ ギーーー
886 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:37:44.48 ID:KbfSVIxh0
剣士「なんでかなぁ?涙が出ない…ただ心が寂しい」
女オーク「ヴヴヴヴ…」ズルズル
剣士「行くよ?しっかり掴まって…浄化魔法!」シュワーーー
女オーク「アガ…」サラサラサラ
剣士「おいで!僕の所へ…」
灰「…」サラサラサラ
剣士「…」
剣士「……」
剣士「楽になったかい?君は何処に行ったんだい?」
灰「…」
剣士「さぁて…僕の仕事は終わった」
---こんなに仲良くなれる人は多分一生現れないと思う---
---なぜなら僕はもう子供の頃に戻れないから---
---あの時を一緒に過ごせたからこんなに仲良くなれたんだ---
---僕はもう失いたくない---
剣士「今から君を救いに行くよ」
---量子転移は使うてはイカン---
剣士「魔女は何回も使っていたじゃないか…僕にだって出来るさ」
---次元の狭間に迷うぞよ?---
剣士「うるさいなぁ…僕の記憶に魔女の言葉が焼き付いてる」
剣士「危険なのは知ってるさ…でも僕は失いたく無いんだよ」
剣士「こんなに仲良くなれる人はもう一生現れない…だから僕は行く」
剣士「魔女に見つかる前に早く行かないと…今行くよ!!」
剣士「あの時のあの時間!!次元は僕の物だ!!量子転移!!」シュン
ガチャリ ドタドタ
情報屋「剣士!?剣士!!?」
-----------------
-----------------
-----------------
887 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:38:15.44 ID:KbfSVIxh0
『光の中』
あれ?…
次元が僕の物にならない
手も…足も無い
ここは何処だ?
僕の意識だけか?
女オーク?何処にいる?
お〜い!!誰か居ないのかい?
もう一回…あの時のあの時間!来い!!量子転移!!
…
…
…
マズいなぁ…さてはここは次元の狭間だな?
次元からバンされたのか
せめて君が居たらここでも良いのに…
誰か返事してよ
おーい!!
仕方ないなぁ…ここに居てもしょうがないし歩いてみるかぁ…
-------------
-------------
-------------
888 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:38:44.59 ID:KbfSVIxh0
『次元の狭間』
何処まで行っても果てが無い…
どのくらいの時間が過ぎたのか分からなくなった
僕は只君を失いたく無かっただけなのに
全てを失った様だ
有るのは僕の記憶だけ
確かに覚えてる
只そこにどうやっても行く事が出来ない
はぁぁぁ疲れたな…眠りたい
心の穴も開いたままで辛い
君の無惨な姿の記憶を消してしまいたい
どうやったら消せる?
楽しかった記憶を思い返しても結局最後に君を失う
悲しい…
パパ…助けて
---自分の次元を強く持つんだ---
分かってるよ…でもどうしても記憶にたどり着けない
やり残した事が沢山合ったんだ
そうさ…僕がやらなきゃいけない事を放り出して
この次元の狭間に来てしまった
僕は何処に行けば良いの?
---------------
---------------
---------------
889 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:39:17.96 ID:KbfSVIxh0
『記憶』
僕「あれ?…ここは…」
僕「パパ?…ここどこ?」
僕「魔女?…何処に居るの?」
僕「あれ?記憶が…」
僕「僕何してたんだっけ…」
僕「誰も居ないの?」
---こっち---
僕「誰?」
---目を覚まして---
僕「ホム姉ちゃん?」
---僕だよ---
僕「僕?」
-------------
-------------
-------------
そうだった…僕は何度もこの次元の狭間に迷い込んだ
自我を取り戻すのは記憶の向こう側の僕なんだ
どうすれば思い出させられるんだろう…
記憶の向こう側の僕が思い出さないと意味が無いんだ
僕は僕の次元を放棄して良いのだろうか…
眠りたい…
890 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:39:56.82 ID:KbfSVIxh0
『瞑想』
そこに居るのは誰?
”重なって”
見つけた!君は誰?
”僕だよ”
助けて欲しいんだ…ここから出たい
”分かって居るさ…君は僕だろう?”
良かった…僕が迎えに来た
”これで何度目だったかな”
何度目?
”そうかまた忘れてしまったんだ”
覚えて居ない…記憶に無いよ
”今度こそ次元を強く持つんだよ…さぁ”
どうしたら良い?
”重なって…声のする方へ”
891 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:40:46.65 ID:KbfSVIxh0
『声』
---------------
---------------
---------------
??「どうしたの?泣いているのね?」
??「外が騒がしい様じゃ…ちぃと離れるぞよ」
??「これ読ませておいて良いの?」
??「危険は無さそうじゃから良いのでは無いかのぅ」
??「文字が読めない筈なのに内容が分かるのかしら」
??「さぁのぅ…では頼んだぞよ」
僕「ぅぅぅ…僕は…僕は…何処から来たんだ?」
??「どんな物語だったの?」
僕「うわぁぁぁ…頭に記憶が流れて来る」ブルブル
??「ほら落ち着いて…こっちにいらっしゃい」
僕「僕は誰だ!?」
---見つけた---
---あの時の僕に次元を託す---
僕「うわぁぁぁぁ!!嫌だ!!死んじゃダメだ」バタバタ
??「コラコラ暴れない…皆の迷惑でしょう?」
僕「はぁはぁ…」
??「何を見たのかお話出来る?」
僕「未来の記憶を見た…まだはっきり覚えてる」
??「よしよし…私が聞いて進ぜよう」
僕「ここは何処?今はどの時点?」
??「混乱していそうね…まずゆっくりスープでも飲みましょう…ずっと食事していないでしょう?」
僕「ダメだよ僕にそんな余裕は無い…記憶が在るうちにやれる事を…」
??「ダメよ飲みなさい」グイ
僕「う…うむむ」ズズー ゴクリ
892 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:41:50.51 ID:KbfSVIxh0
『あの時の記憶』
ザワザワ ガヤガヤ
情報屋「どう?落ち着いた?」
子供「僕は大丈夫だよ…それよりここはシャ・バクダ遺跡の地下だね?」
情報屋「落ち着いて居ないじゃない…そうここは遺跡の地下よ…皆ここに避難しているの」
子供「そうか思い出したぞ…僕は冒険の書で未来を見たんだった」
情報屋「う〜ん…やっぱり混乱している様ね」
子供「どうして今まで忘れて居たんだ?」
情報屋「冒険の書で何を見たのか教えて貰える?」
子供「話すと長いよ…そして複雑なんだ」
情報屋「これもこの冒険の書の調査の一つなのよ…長くても良いからお話してみて?」
これから10年分の僕が経験する記憶のすべてが頭に流れ込んで来た
僕は破壊された僕達の船の中で取り返しの付かない事をしてしまった
そうだ…その直前に情報屋さんとも会って居るんだ
情報屋「え!?10年後の私に会ってる?」
子供「そうだよ最後に情報屋さんの声が聞こえた」
情報屋「へぇ?それは興味心身…もっと詳しく聞かせて?」
子供「何処から話そう…そうだこの10年間で何が起こるか先に話すよ」
情報屋「ふむふむ…あなたが見たのは予言という事ね?…少し待って?メモを取るから」ゴソゴソ
子供「僕はこの後魔女に引き取られる…それから」
カクカク シカジカ
-----------------
-----------------
-----------------
893 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:43:37.97 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』
情報屋「ふむふむ…それで次元の狭間という所に幽閉されたという事ね」メモメモ
子供「僕は確信した事がある…この世界は記憶で構成されている…それが多分夢幻なんだ」
情報屋「それは魔女とお話した方が良さそうね」
子供「話したら頭が整理出来たよ」
情報屋「信じられない話ばかりだけど良く出来たお話だわ」
子供「事実だよ」
情報屋「それから未来君の口調も子供とは思えない」
子供「だから事実なんだ…信じられない?」
情報屋「何か裏付けられる事は出来る?」
子供「魔法が使える」
情報屋「それは今まででも使えていたでしょう?」
ノソノソ
魔女「これ未来…情報屋を困らせて居る訳では無いじゃろうな?」ノソノソ
情報屋「あ!!魔女…未来君は冒険の書で予言を見たと言って居るの…このメモを見て?向こう10年間で起こる事を話してくれた」
魔女「ほう?未来を見たとな?どれどれ」
子供「本当の事なんだ…僕は未来に戻って過ちを正したい」
魔女「随分細かい予言なのじゃな…」ヨミヨミ
情報屋「魔女はどう思う?」
魔女「これ未来…主は未来を見たのか?それとも未来から来たのかえ?」
子供「未来で量子転移を使った…次元の狭間に迷って声のする方に来たら僕は冒険の書を読んで居た」
魔女「10年も戻ったという訳じゃな?」
子供「多分そうなる…魔女これを見て!線虫!」ニョロ ポトン
魔女「むむ…」
子供「アレ?どうして成長しない?」
894 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:44:41.86 ID:KbfSVIxh0
魔女「その術は何処で覚えたのじゃ?剣士に教わったんか?」
子供「もっと上手に使える筈なんだ」
魔女「幻術の印と訳書をこのメモ書きに記してみよ」パサ
子供「そんなの簡単さ…えーとアレ?文字を思い出せない」
魔女「ふむ…そういう事じゃ…主は未来から来たのでは無い様じゃのう」
子供「…どうして…記憶はハッキリしている」
魔女「主の次元はここに在る…恐らく冒険の書に記された別の次元を見たのじゃろう」
子供「夢だと言ってる?」
魔女「早い話がそうじゃ…じゃがな?蟲使いの素質は認める…良い幻術使いになろうて」
子供「ちょっと待って!僕は元の次元で過ちを正したい」
魔女「こう言えば分かるかの?10年経てば元にも戻るやも知れんな」
子供「そんな…」
魔女「それから言うて置く…その記憶は時が経てば直に無うなる筈じゃ…大事な事は今の内に何かに記せ」
子供「くっ!!僕は僕の次元を守る」
魔女「主は一人じゃぞ?わらわ達皆の次元に調和されるのは時間の問題じゃ」
子供「もう良い!!魔女とは話さない」プン
魔女「精々寝ん事じゃな…それから次元の成り立ちを理解したのは評価してやる」
子供「!!?」
---魔女は僕が未来から来たことを否定していない---
---変えようの無い理に従えと言って居るんだ---
895 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:45:52.57 ID:KbfSVIxh0
『勇者の像』
ガヤガヤ ガヤガヤ
気球が無いとどうにも効率悪いでやんす
ソリでも作ってシカに引かせろ
オアシス砦までの往復なら行けるんすが
向こうに避難民は集まって居るのか?
へい…近隣の村から避難して来てるっすね
食料の移送をなんとかせんと餓死者が出やすぜ?
ガヤガヤ ガヤガヤ
子供「…」ジーーーー
ローグ「未来君は横にならんで良いんすか?」
子供「…」ギロリ
ローグ「おろろ?どうしたんすか怖い顔をして」
子供「ローグさんは味方?」
ローグ「何を言ってるんすか…ずーっと味方でやんすよ」
子供「ビッグママは何処?」
ローグ「頭は外で避難民保護隊を組んで走り回っているっす」
子供「僕に話しかけてくれるのは情報屋さんとローグさんだけだよ」
ローグ「済まんでやんす…皆忙しいもんで…寂しい思いしてるんすね」
子供「僕はいつまで此処に隠れて居るの?」
ローグ「そうっすねぇ…シン・リーンかフィン・イッシュから気球が来れば安全な場所に移動できるかもっすね」
子供「安全な所でヌクヌクするつもりは無いよ」
ローグ「一緒に働きたいでやんすか?」
子供「少し違う…僕がやらなきゃいけない事をやりたい」
ローグ「今はちーっと辛抱っす…食料も後3日で尽きるもんすから力を蓄えて置いて下せぇ」
子供「そうだ…小麦の種が少し欲しい」
ローグ「何に使うでやんすか?」
子供「育てる」
ローグ「外は雪が積もって居るでやんすよ?」
子供「良いんだ…育てて見るから少し持って来て」
ローグ「分かりやした…ちっと待ってて下せえ」
---成長魔法は魔力があれば使える筈---
---回復魔法より簡単さ---
896 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:46:47.47 ID:KbfSVIxh0
『遺跡下層_隠し通路』
ピチョン ピチョン
情報屋「…やっぱりこの台座は木の根と癒着してる…どういう仕組みなの?」ゴソゴソ
子供「居た!!」
情報屋「あら?未来君?ダメじゃないここは立ち入り禁止にしているのよ?」
子供「情報屋さんは立ち入ってるじゃない」
情報屋「私は遺跡の調査よ…ここはいつ崩れるか分からないから危険よ?」
子供「大丈夫…10年後もこの場所は健在だよ」
情報屋「フフ調査の邪魔はしない様にね」
子供「この石造…ホム姉ちゃんだよね」
情報屋「信じられないでしょう?未来君の仲良しだった人が石造になるなんて」
子供「頭は何処に行ったの?」
情報屋「行方不明…」
子供「良く探したの?」
情報屋「瓦礫に埋もれているだろうから探すのに人出が必要なのよ…もう瓦礫か石造の一部かの判別も難しいと思うわ」
子供「ホム姉ちゃんの頭の中にある金属片の事だよ」
情報屋「あぁ…超高度AIユニットという奴ね…商人が必死に探していたけど見つからなかった」
子供「商人さんは見かけないけど何処へ?」
情報屋「何日か前に商隊に混ざってセントラルへ向かったわ…心臓が悪いと言うのに無理してね」
子供「大丈夫さ…10年後も商人さんは生きている」
情報屋「フフそうだったわね」
子供「情報屋さんは僕の言った事信じてる?」
情報屋「勿論信じて居るわよ?」
子供「そう…なら良い」---君も記憶が徐々に無くなって行くんだよ---
情報屋「もう夜の筈よ?寝ていらっしゃい?」
子供「眠れないんだ…ねぇここの台座に記されている文字読める?」
情報屋「文字?あぁぁコレね…古代文字でアーカイブって書いて居るのよ」
子供「どういう意味?」
情報屋「それを解き明かす為に調査しているの…触って壊さない様に」
子供「何の金属で出来ているんだろう」コンコン
情報屋「ああああああ!!ダメダメ!!古い物は崩れやすいから触っちゃダメ」
子供「10年後もこのままだよ」
情報屋「又それか…そうそう10年後を知って居るならこの遺跡の謎も知って居たりしないの?」
子供「他にも沢山秘密の部屋を発見したって言ってた」
情報屋「他には?」
子供「うーん…この遺跡の話はあまり聞いて居ないんだよ…というか僕に興味が無かった」
情報屋「フフ何でも知って居る訳では無い様ね」
897 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:47:30.70 ID:KbfSVIxh0
子供「僕が知ってる事以外知らないよ…あれ?おかしな事言ってるな」
情報屋「でも不思議…この間までの未来君とは別人とお話しているみたい」
子供「僕は僕だよ…ちょっと僕もホム姉ちゃんの頭の中を探して見ようかな」
情報屋「怪我しない程度になら良いわ」
子供「ワームを使役出来るかな?…試してみよう」
情報屋「虫を使う気?さすが女海賊の子ね」
子供「ママも不思議と蟲を使役してたよね…出でよワーム!我に従え…この部屋にある金属を探せ…」
情報屋「フフご自由に」---両親を失って少し現実逃避気味なのね---
子供「来た来た…あぁぁ小さいなぁ…今の僕じゃこんなもんか」ニョロリ
子供「ねぇこの部屋ってさ…立ち入り禁止であまり人が来ないんだよね?」
情報屋「そうよ?どうして?」
子供「隅の方で種を植えても良いかな?」
情報屋「種?構わないけど散らかさない様に」
子供「よし!土も水気も良さそうだ…」ゴソゴソ
ピカー
情報屋「光の石ね?それは明るくて助かる」
子供「種育てるから驚かないで…成長魔法!」ザワザワ グングン
情報屋「えええ!!?未来君…あなた…」
子供「う〜ん質はあまり良くないけど食べるには十分か…」
情報屋「スゴイ…剣士はこんな事もあなたに教えて行ったのね」
子供「収穫手伝って貰える?」
情報屋「盗賊かローグを呼んで来るわ…食料難と寝床が同時に解決する」
子供「魔女には内緒でお願い…理を超えた事をしようとすると怒るから」
情報屋「ここで待って居るのよ?」タッタッタ
---分かって来たぞ…今の僕は上位魔法が使えないだけだ---
---基本魔法を工夫すればなんとかなる---
898 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:48:09.99 ID:KbfSVIxh0
『数分後』
スタスタ スタスタ
マジっすか?そらスゴイでやんす
秘密は守って…未来君を尊重するのよ?
分かってるでやんすよ…あっしは未来君を信じるでやんす
ローグ「うはぁぁ…黄金色の麦」
情報屋「未来君?ローグを連れて来たわ」
子供「うん!収穫手伝って…それから水が足りなくて良い品質の麦にならないから水が欲しい」
ローグ「雪を溶かした水なら十分あるでやんす…収穫終わったら取って来るっすよ」
子供「おけおけ…さっさと収穫済ませよう」ザクザク
情報屋「遺跡の調査どころじゃ無くなったわ」ザクザク
子供「もう少し広い場所は無いのかな?」
情報屋「通路なら使っても良いわ」
子供「う〜ん…まぁ遺跡の中じゃしょうがないかぁ…」
ローグ「いやいやこれでも十分助かるっすよ…脱穀して樽1杯分くらいは有りそうでやんす」
子供「よ〜し!今日は麦を沢山収穫しよう」ザクザク
---------------
---------------
---------------
899 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:48:48.42 ID:KbfSVIxh0
『翌日』
ガヤガヤ ガヤガヤ
今日はパンの配給が有るらしい
うほーそりゃ久しぶりのまともな食い物だ
麦の補給が合ったという事はシン・リーンから物資が届いたのか
さぁな?おい配給が来たぞ…並べ並べ
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「随分賑やかだな…何か有ったのか?」
情報屋「あら盗賊…狩りから戻って居たのね」
盗賊「おぅ…狩りもラクじゃ無ぇ…ちっと寝るわ」
情報屋「パンとワインが有るわ…食べてから寝て」
盗賊「分かってるじゃ無ぇか…どこで手に入れたんだ?このワイン」
情報屋「オアシス砦に残って居た物よ…大事に飲んで」
ローグ「盗賊さん!!狩りの方はどうっすか?」
盗賊「おぉローグか…いやいやデカい虫の討伐が大変でよ…シカ肉は2頭分しか調達出来んかった」
ローグ「でかい虫とはサンドワームの事っすかね?」
盗賊「サンドワームなら食えるから良いが…残念ながらデカイ毒グモだ…こいつの毒にやられて中々上手く狩りが進まん」
情報屋「それで魔女が呼び出されて行った訳ね」
盗賊「まぁそんな所だ」グビ
ローグ「アサシンさんも頭も忙しそうっすね…何か聞いていやせんか?」
盗賊「俺も顔合わせて無ぇんだ…しかしいつになったら補給が来るのか」
情報屋「フィン・イッシュからはそろそろ来ても良い筈」
ローグ「ちと気になったんすが虫は未だにドリアード目指して北上してるんすかね?」
盗賊「んな事知るか!!」
ローグ「羽虫は全部焼かれたんすよね?」
盗賊「あんま見無ぇな…てか地べたを行く虫しか見て無ぇが…」
情報屋「エルフの森の方はどうなって居るの?」
盗賊「奥の方がどうなってるか知らんが火災が収まる感じは無いな…そこらじゅうで火柱が立ってる」
ローグ「まだ落ち着きそうにないっすね」
盗賊「俺らはハッキリ言って難民な訳よ…シン・リーンかフィン・イッシュからの応援待ちだ」
情報屋「森を挟んで向こう側のシン・リーンから来るとは思えないのだけれど…」
盗賊「来るなら迂回して来るんだろ…ところでよ?未来はどうしてるんだ?」
情報屋「あぁその件なら…例の隠し通路の奥で何かしてるわ」
盗賊「良いのか?あそこは崩れるかも知れんぞ?」
ローグ「姉さんと剣士さんが居なくなって寂しい思いをしてるんすよ…仲の良かったホムンクルスさんの傍に居たいんじゃないすかねぇ…」
情報屋「そうね…言動も急におかしくなって」
盗賊「ちっと心配だな…情報屋!お前が母親役をヤレ」
情報屋「もうやって居るわ…急に大人ぶって居るから少し困惑しているの」
盗賊「まぁそういう年頃か…あぁぁダメだ俺はちと寝る」
情報屋「さて…下に行って未来君の様子を見て来る」スタ
ローグ「何かあったら又呼んで下せぇ…外のキャンプに居るでやんす」
900 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:49:51.25 ID:KbfSVIxh0
『隠し部屋』
ガッサ ガッサ
子供「ワームが集まってる…絶対のこの下に埋まってる」ガサゴソ
ワーム「…」ニョロニョロ
子供「…有った!!コレだ」ゴソゴソ
子供「…」---これがホム姉ちゃんの記憶---
いや…精霊の記憶
ずっと昔の精霊は活動を停止する前に夢幻を作ったと聞いた
ホム姉ちゃんも同じ様に夢幻を作った可能性はある
この場所で…
同じ様に…
その夢幻を冒険の書から覗けるのじゃないか?
僕の記憶も
他の人の持つ記憶も全部
本当は夢幻の出来事なんじゃないか?
今のこの瞬間も
本当はホム姉ちゃんが記録している記憶
この小さな金属の中でずっと記録を続けているんじゃないか?
スタスタ
情報屋「未来君居るのぉ〜?」
子供「え!?あぁ…居るよ」スック
情報屋「あなた寝て居ないでしょう?少し横になりなさい」
子供「えーと…僕は寝なくても大丈夫なんだ…瞑想出来るから」
情報屋「じゃぁ瞑想して体を少し休めなさい」
子供「平気だよ」
情報屋「ダメ!こっちに来るのよ」グイ
子供「分かった分かった…行くから引っ張らないで」ヨタヨタ
---この体は小さくて大人の女の人にも敵わない---
---でも知ってる…魔力の集中はこの体の方が良い---
901 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:50:45.31 ID:KbfSVIxh0
『添い寝』
んががが〜すぴ〜〜
子供「…」ジーーーー
子供「…」---このまま動かないで居れば寝たと思ってくれるだろうか---
子供「…」---でも動くのを我慢するのも中々に苦痛だ---
子供「…」ギンギン パッチリ
モゾモゾ
情報屋「眠れないの?こっちにいらっしゃい?抱っこしてあげるから」
子供「今昼間でしょ?眠れる訳無いじゃ無いか」
情報屋「あなたずっと寝て居ないのよ?」
子供「ねぇ情報屋さん」
情報屋「うん?」
子供「盗賊さんの事好きだよね?」
情報屋「急に何を言い出すのよ」
子供「僕知ってるんだ」
情報屋「知ってるって…何を?」
子供「昨日話したよね?これから子供が生まれ無くなるって」
情報屋「あぁその話ね」
子供「10年経っても情報屋さんには子供が生まれないんだ…悔やんで居たよ」
情報屋「馬鹿な事言わないの!!怒るわよ」
子供「僕が変えてあげる…だから今子供作って」
情報屋「なっ…寝なさい!!」
子供「今しかチャンスが無いんだ…ドリアードが動き出す前に早くしないと…簡単さ…エッチするだけだよ」
情報屋「未来君あなたねぇ…大人の真似事はもう止めなさい」
子供「やっぱり僕を信じていないんだね」
情報屋「あ…そういう意味じゃないの」
子供「僕は眠れないから少し散歩してくるよ」スック
情報屋「ちょっと…」
子供「僕を信じて?僕は向こうに行くから今…子供を作って」
情報屋「そんな事出来る訳…」
子供「僕の魔法の力を見たよね?僕は未来から来たんだ…僕の言葉を信じて」
情報屋「ちょ…それは…」
子供「じゃぁ行くよ…今なら盗賊さんと2人きりだ…上手くやって」スタタ
---こんな方法でしか未来を変えられないのかな---
---変えたとしても元通り修正されてしまうのだろうか---
902 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:51:35.33 ID:KbfSVIxh0
『遺跡外_キャンプ』
ガヤガヤ ガヤガヤ
シャ・バクダ街の方はまだ使える資材が残ってる
3班はもう一回シャ・バクダ向かって回収行ってくれぇ
オアシス砦までの整地に応援が欲しい
ダメだ今居る人員でなんとかしろ
ガヤガヤ ガヤガヤ
ローグ「ああ!!未来君…丁度良かった」
子供「ローグさん…やっとみつけた」
ローグ「未来君に回復魔法をお願いしたいんすよ…魔女さんが居ないもんで」
子供「え?あぁぁ困ったな触媒のミネラルが無いんだよ」
ローグ「そうなんすか…エリクサーも薬草も枯渇しちまいやした」
子供「賢者の石はどうしたの?」
ローグ「商人さんが持って行ってしまったんすよ」
子供「じゃぁエンチャントの掛かった角は?飛空艇に沢山乗ってた筈」
ローグ「全部燃えちまいやした」
子供「雪の上じゃ薬草も育たないなぁ…」
ローグ「物資不足で止血用の包帯もまともに確保出来んでやんす」
子供「…」---線虫を試してみるか---
ローグ「困りやしねねぇ…」ウロウロ
子供「僕が出来る事をやってみるよ」
ローグ「そら助かるっす…ほんで何する気なんすか?」
子供「虫を使うんだ…内緒にしてて?皆嫌がるから」
ローグ「傷を癒す虫が居るってこっすか?」
子供「線虫っていう目に見えない位小さな虫だよ…ワームの一種だね」
ローグ「ほええ?付いて来てくだせえ…こっちっす」
子供「皆には僕が何をしてるのか教えなくて良いから」
ローグ「へい!わかりやした」
903 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:52:20.32 ID:KbfSVIxh0
『テントの中』
ぅぅぅぅ…血が止まらねぇ
あぁ動かないで強く押さえておいてください
止血用の縄をもっと持って来て!
血が止まらないのは毒のせいですね
看護師「子供がここに入って来てはダメよ!」
ローグ「あぁ済まんです邪魔にはならん様にするんで勘弁して下せぇ」
看護師「誰なんですかこの子は」
ローグ「親の死に目に合うってのもあるっすよね?」
看護師「う…怪我人に触ってはダメよ?」
子供「うん…何もしないよ」
ローグ「ちーっとお祈りしやすんで目を瞑ってくれやんす」
子供「思ったより状況悪いや…皆毒に掛かってる」ヒソ
ローグ「大型の虫があちらこちらで暴れてるらしいっすわ」ヒソ
子供「虫か…」
ローグ「早い所その線虫って奴を頼んます」
子供「おけおけ…線虫」ニョロニョロ
---なんとか使える---
---質が悪いのはどんぐりのせいだ---
---もっと質の良いどんぐりが必要だ---
子供「終わったよ…行こうか」
ローグ「ええ!?もう?」
子供「これ以上僕には何も出来ない…大丈夫さ…線虫を離しておいたから勝手に毒を食べてくれるよ」
ローグ「未来君がそう言うなら…じゃぁ失礼しやした〜」ノシ
看護師「…」ジロジロ
--------------
904 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:53:35.90 ID:KbfSVIxh0
ローグ「何かした感じには見えやせんでしたが怪我はこれで治るんで?」
子供「2日くらいで全快すると思うよ…怪我人はあそこに運ばれるんだよね?」
ローグ「そーっすね」
子供「じゃぁ線虫も食べ物に困らない」
ローグ「へぇ?訳が分からんす…」
子供「分からなくても良いさ…結果だけ見て居れば良い」
ローグ「う〜ん…やっぱり未来君は剣士さんと森に行ってから人が変わっちまったみたいっすね」
子供「おかしい?」
ローグ「おかしいというか…大人になりやしたねぇ…あっしは嬉しいでやんす」
子供「パパと一緒に森か…ほとんど話をしなかったのに一生分空気で語らったのかな」
ローグ「居なくなって寂しいっすよね?」
子供「そうでも無いよ…僕の記憶の中に確かに居るのを理解したから」
ローグ「そんな言葉が未来君から出て来るのが不思議なんす…やっぱり未来君…」
子供「うん?」
ローグ「未来から来たと言うのは本当なんすね?」
子供「ローグさんにはまだ話して居ない筈…」
ローグ「情報屋さんから詳しく聞きやした…何かを変える為に此処に居るんすね?」
子供「まぁ…そうなるのかな」
ローグ「ロマンっすねぇ…海賊ってのはロマンなんすよ」
子供「ハハ海賊?どうして急に海賊なんて」
ローグ「頭もあっしも…元は海賊…大海原でお宝…いやロマンを追い求める海賊なんす」
子供「海賊は嫌いだよ…僕の未来を奪ったのも海賊さ」
ローグ「取り返しゃ良いんすよ…その為に此処に居るんすよね?」
子供「取り返す…そうか…もう一度やり直すと考えれば良いか」
ローグ「ところで未来君…10年後のあっしはどうなってるんすかね?」
子供「…」ジロリ
905 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:54:19.71 ID:KbfSVIxh0
ローグ「ななな…なんすかその眼は」
子供「僕達を裏切って敵になったよ」
ローグ「ええええええええええ!?ちょちょ…詳しく教えて下せぇ」
子供「敵に塩を送っちゃう事になるんだけどなぁ…」
ローグ「本当に敵なんすか?このあっしが…」
子供「…」ジロリ
ローグ「そんな眼で見ないで下せぇ…あっしは裏切ったりしやせんぜ?」
子供「ローグさんはビッグママにエッチな事沢山したよね?」
ローグ「ギクーーーッ」ピタリ
子供「これで分かるでしょ…僕の言ってる事が本当だって」
ローグ「いやいやいや…それとこれとは話が別な訳でして…」
子供「本当に敵になっちゃうんだ…だから話せない」ジロリ
ローグ「あっしは裏切らない事を誓いやす」ビシ
子供「ダメだよ嘘は…僕知ってるんだから」
ローグ「じゃぁこう言うのはどうすか?今話して置けば裏切らなくなるかも知れやせんぜ?」
子供「…」ジロリ
---そうだな…言われてみれば未来を変える可能性はある---
---話したとしてもその内記憶が無くなると言うのもある---
---可能性を試してみるか---
906 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:55:15.65 ID:KbfSVIxh0
『キャンプ詰め所』
カクカク シカジカ
----------------
----------------
ローグ「…てことはあっし一人だけ単独で行動してる訳っすね?」
子供「そうだよ…崩壊した貴族達になり替わって豪族として暗躍してる」
ローグ「なんで一人だったのかちっと引っかかりやすが…」
子供「ローグさんはビッグママのエッチな体が大好きなんだよね?」
ローグ「そんな事口に出さ無ぇでくだせぇ」
子供「豪族になったローグさんはビッグママを捉えて自分の物にしようとしてる」
ローグ「ちょちょちょ…本人の前で図星を言わんで欲しいんすが…」
子供「ほらやっぱり」ジロリ
ローグ「ちっと待って下せぇ…こう考えられやせんか?」
子供「何さ…」
ローグ「未来君の話す未来の予言を…あっしだけが信じて行動していやせんか?」
子供「え?どういう事?」
子供が生まれ無くなる事
その原因がドリアードの中に居るアダムに原因がありそうな事
地軸の移動で沿岸部に人が生活できなくなる事
今まで話してくれたこと全部を聞いて今…
あっしが何を考えて居るか分かりやすか?
子供「ローグさんの頭の中の事は分からないよ…言ってよ」
豪族となって資金力を持ったなら
あっしは人流を安全な場所に誘導するっす
シン・リーンとフィン・イッシュは地熱で安全なんすよね?
907 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:56:11.08 ID:KbfSVIxh0
子供「じゃぁビッグママを捕らえる為に法外な懸賞金を賭けているのはどう説明するのさ」
ローグ「その豪族っていう輩達のコントロールっすね…こういうのはアサシンさんが上手い」
子供「そんな…僕の思い違いだって言うの?」
ローグ「あっしは誓って裏切りやせん…信じて下せぇ」
子供「じゃぁもうビッグママの体に悪戯しない?」
ローグ「ちょちょちょ…それは違う話しでやんす」
子供「どうやって信用すれば良いのさ…僕は未来を見て来たんだ」
ローグ「あっしの体の中に流れている血は全部…頭の血なんす」
子供「知ってるさ…それが何だって言うんだよ」
ローグ「血の盟約は知らんのですか?あっしは頭に血の盟約で忠誠を誓っているでやんす」
子供「ふ〜ん」ジロ
ローグ「それからもう一つ腑に落ちないのが…この話を知って居る情報屋がどうして行動しなかったのか…っすね」
子供「あぁ…それはね…この歴史に抗う記憶はどんどん失われて行くんだ」
ローグ「意味が分からんのですが…」
子供「何日かするとすっかり忘れてしまうんだよ…きっと僕も同じさ…多分それがこの世界の理」
ローグ「何かに書き残して忘れないようにすれば良いんすね?」
子供「その書き残した物が何だったのか忘れてしまわなければね」
ローグ「よ〜し…な〜んかやる気が出て来やしたぜ?あっしもロマンの一角を握ってるっす」
子供「ハハ…ロマンねぇ」
---何だろう…この人はどうしても悪い人に思えない---
---血が繋がっているからなのか?---
---ドワーフの血…邪心に浸されない血---
908 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:58:35.11 ID:KbfSVIxh0
『雪原』
サクサク ギュギュ
子供「なんだ…そんなに深い雪じゃないや」ガッサ ガッサ
ローグ「な〜にしてるでやんすか?」
子供「別に?」ザクザク
ローグ「掘ったらすぐに砂が出てくるんすよ」
子供「うん…」
ローグ「何か探し物でやんすか?」
子供「何か植えられないかと思ってさ…」
ローグ「10年後のこの場所はどうなってるんすか?」
子供「森だね…きっと精霊樹の影響で木が生える」
ローグ「10年後を目指して今から何か出来やせんか?」
子供「え…あぁ…」
---そうだ忘れかけてた…何か行動しないと---
子供「10年後はこの辺りが戦場になってる」
ローグ「そんなに戦争が長引くんすね」
子供「あー…セントラルとフィン・イッシュの戦争じゃない…それはもっと南部の方だよ」
ローグ「じゃぁ何の戦争なんすか?」
子供「精霊樹を守る為にエルフ達が戦ってる…僕に今何が出来るだろうか」
ローグ「ドリアードを今なんとか出来んもんすかね?」
子供「そんな…どうやって?又あのミサイルって奴が飛んで来るのが落ちだよ…って」
子供「あああああああああああああ!!」トーイメ
ローグ「どうしたんすか急に…」
909 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:59:02.90 ID:KbfSVIxh0
虫達は誰の命令で動いて居るんだ?
オークシャーマンか?
いや…北の大陸に来ているとは思えない
そうだ…フィン・イッシュから船と気球を譲り受けて初めて北の大陸に来る
ならどうして虫が勝手に動き出す?
本能?
いや違う…本能は生存する為の物だ
待て待て…虫にとってドリアードは生存の危機という事か?
でもそんな複雑な因果をどうして虫が知ってるんだ?
待てよ…虫はドリアードを敵とみなす事を大昔に命令されて居たとしたら…
これがオーク族に伝わる予言だとしたら…
予言は成立する
もしかして命令したのは大昔に戻ってドリアードを封じたママとオークシャーマンじゃないのか?
暁の墓所にあった壁画は虫を持ったママらしき人物が記されて居た
もしもそんな事が出来るなら…10年後に向けて僕も虫に命令が出来る筈
ローグ「…聞いていやすか?お〜い!!」ペシペシ
子供「ローグさん…僕の友達の子ウルフは見かけて居ない?」
ローグ「精霊樹の森に行ったと思うんすが戻って来んすねぇ…避難民優先で子ウルフを追い出したのはマズかったっすね」
子供「それは良いんだ…ウルフを嫌がる人も多かったみたいだし仕方が無い」
ローグ「戻ってくると良いんすが…」
---よし!旅に出るぞ---
910 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 08:59:55.00 ID:KbfSVIxh0
『遺跡の中』
ガサガサ ゴソゴソ
子供「どんぐりとキノコはこの位で良いか…水は雪が有るから要らないっと」ゴソゴソ
情報屋「居た居た!探したのよ!もう…何をしているの?」
子供「んん?別に?」ゴソゴソ
情報屋「盗賊!!ここの資材置き場に隠れていたわ」
盗賊「おぉこんな所でかくれんぼしてたのか…まぁ無事なら良い…ちと顔見せてみろ」グイ
子供「何さ…」
盗賊「う〜む…大分目にクマが張ってんな」
情報屋「でしょ?休んでって言っても言う事聞かないのよ」
盗賊「まぁこれぐらいなら酒飲んで寝りゃ一発で治る…心配すんな」
子供「僕は大丈夫だって言ってるじゃない…それより子供作った?」
盗賊「どわっ…何言い出しやがる」
情報屋「ちょっと未来君!怒るわよ?」
盗賊「まぁズケズケとした態度は母親似って訳かヌハハ気に入った!!お前が心配する程俺らの仲は悪く無ぇぞ?」
情報屋「盗賊!!子供の前で何言うのよ」
盗賊「…ところでお前何やってんだ?」ジロジロ
子供「ちょっとね…」
盗賊「その袋見せてみろ…」グイ
子供「ああ!!」
盗賊「なんだ種ばっかりじゃ無ぇか」
子供「返してよ!!」グイ
盗賊「何か企んでる感じでは無い様だ…情報屋!お前が心配し過ぎなんだ自由にさせてやれ!!」
情報屋「もう!人の気も知らずに…」ブツブツ
盗賊「未来…お前もそろそろ大人だ…大概の事は自分で出来るな?まぁ自由にヤレ!困ったら俺ん所に来い」
子供「うん…ありがとう」
子供「そうだ!情報屋さんの遺跡調査のノート…見たいんだ…見せて貰って良い?」
情報屋「構わないけれど…難しいわよ?」
子供「良いよ…暇つぶしさ」
情報屋「じゃぁこっちにいらっしゃい…」グイ スタスタ
-------------
911 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:00:58.01 ID:KbfSVIxh0
情報屋「コレよ?見るのは良いけれど落書きはダメよ?」パサ
子供「僕もメモするから紙とペンが欲しい」
情報屋「壁際の机にあるわ…読み終わったらそのノートも机に置いておいてね」
子供「分かったよ」
情報屋「じゃぁ私は遺跡の調査に行って来るから読み終わったら寝るのよ?」
子供「分かった分かった…うるさいなぁ…」パラパラ
やっぱり読めない…記憶の欠落が起きてる証拠だ
僕があまり気に掛けない記憶から順に無くなって行ってる
あれから2日経った
いつまで記憶を保持できるのか…
子供「あった!!コレだ…良し!!図解が記されている」メモメモ
ドリアード遺跡の場所はシャ・バクダの北か…
確か入り口は狭間に隠されてるとか言っていたな
…なるほど食虫植物特有の形をして居るのか
この形はジャガイモの根だ
中が空洞になっているんだな?その奥に核がある
よしよし…これなら地図に出来る
ローグ「未来く〜ん!!」タッタッタ
子供「あ…ローグさん」
ローグ「マズイ事になったっすよ…ウルフ討伐隊が編成中なんす」
子供「どういう事?」
ローグ「どうも燃えているエルフの森から逃れて来たウルフ達がその辺をうろつき始めたらしいんす」
子供「雪の中をウルフがうろつく訳無いよ」
ローグ「ウルフも餌が無いんすよ」
子供「雪の中に餌なんか無いじゃないか」
ローグ「あっしらがソリを引かせてるシカでやんす」
子供「あ〜そういう事か…シカが襲われてるのか」
ローグ「未来君のお友達の子ウルフも危ないでやんす」
子供「そんな事言われてもなぁ…」
ローグ「剣士さんみたいに遠吠えで呼んだり出来ないんすか?」
子供「う〜ん…やった事無い…まぁでもなんとかするから心配しなくて良いよ」
ローグ「それなら良いっすが…」
---遠吠えなんかで呼ばなくても僕が行ったら向こうが見つけてくれるよ---
912 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:01:51.88 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「未来君何処に行ったか知らない?」
盗賊「見て無ぇぞ?その内戻ってくんだろ」モグモグ
情報屋「配給の食事持って来たのに…」
盗賊「心配すんなって!あいつは剣士と同じであんま食わ無ぇんだ」モグモグ グビ
情報屋「私の書物も何か写してやりっ放し…」
盗賊「書物に興味あるなんざ大したもんだ」
情報屋「やりっ放しよ…直ぐに飽きたみたい」
盗賊「ヌハハまぁ男ってのはそんなもんだ…ほんで何を写してたんだ?」
情報屋「多分ドリアード遺跡の地図を作ろうとしてた様ね」
盗賊「なんで又ドリアード遺跡なんかに興味持ったんだろうな?」
情報屋「そっか盗賊は未来君が予言を見たという話を聞いて居ないのね?」
盗賊「なんだそりゃ?」
情報屋「例の冒険の書を読んで未来の予言が記されて居たと言うのよ」
盗賊「ほう?んでどんな予言なんだ?」
情報屋「10年後に起こる大厄災の事とか色々よ」
盗賊「ドリアードがなんか関係すんのか?」
情報屋「未来君はドリアードの中に復活したアダムが真の敵だと思ってるわ」
盗賊「…」モグモグ グビ
情報屋「どうして何も言わないのよ…」
盗賊「俺もそう思って居るからだ」モグモグ
情報屋「盗賊…あなたまで…」
盗賊「あのとち狂った第3皇子のガキ…まだドリアードん中に居んだろ…どう考えてもありゃ正気じゃ無ぇ」
情報屋「それはそうだけど…」
盗賊「もうちっと未来の声を聞いてやれば良かったな…そんな大事な事をなんで俺に隠してんだ?」
情報屋「別に隠して居た訳じゃ無いわ…みんな忙しくてすれ違ってただけよ」
盗賊「さぁて!!飯も食ったし…今晩はウルフ討伐だ」ゲフー
情報屋「うん気を付けて…」
盗賊「まぁ未来の事は心配し過ぎるな…あいつはもう大人で…勇者の血を引く者だ」
情報屋「…忘れてた…特別な何かを持って居たのよね」
盗賊「じゃ…行って来るな」ノシ
913 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:02:31.84 ID:KbfSVIxh0
『深夜』
バタバタ ドタドタ
情報屋「どう?居ない?」ハァハァ
ローグ「外にも居ないっす…キャンプは全部確認したでやんす」フゥフゥ
情報屋「遺跡の何処を探しても居ない…他に心当たりは無いの?」
ローグ「ウルフ狩りが編成されてるのを未来君に教えたでやんす…もしかしたら子ウルフを探しに行ってるかもっす」
情報屋「一人で森へ行ったと言うの?しかも徒歩で…」
ローグ「いやいやいやエルフの森じゃなくて精霊樹の森っすよ」
情報屋「ここから結構距離があるじゃない…しかも雪が降ってる」
ローグ「あわわ…マズい事教えちまった様ですわ」
情報屋「足跡辿るのもこの雪じゃもう無理ね…ソリはもう無いの?」
ローグ「ウルフ討伐隊が乗って行ってるっす…シカも一頭も居ないっす」
情報屋「歩いて探しに行くわ…ローグも来て」
ローグ「分かりやした…10分で準備するっす」
『10分後』
シンシン サラサラ
ローグ「遅くなりやした…防寒は完璧っす」
情報屋「じゃぁ行きましょう」サクサク
ローグ「情報屋さん…あっし未来君と少し話したんすがね?未来から来たのは多分本当っすね」
情報屋「…」サクサク
ローグ「未来君は何かを変える為に一人で戦ってるんす」
情報屋「あの子…もう帰らないつもりで出て行った様よ」
ローグ「どういう事っすか?」
情報屋「あの子の荷物が全部無いのと…どんぐりを沢山袋に詰めて居たの」
ローグ「マジっすか…」
情報屋「…もっと話を聞いてあげれば良かった…」ググ
ローグ「未来君は歴史の先回りをしようとしてるっす…行き先は多分ドリアード遺跡」
情報屋「一人じゃ危険過ぎるわ…私達が生還出来たのもエルフの助けがあったお陰なのよ」
ローグ「あっしは行った事無いんすがそんなに危険なんすか?」
情報屋「小さな子供一人がやすやすと冒険できる場所では決して無いの」
ローグ「早まらなきゃ良いんすが…」
情報屋「急ぎましょ…」サクサク
-----------------
-----------------
-----------------
914 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:03:34.04 ID:KbfSVIxh0
『精霊樹の森』
アオ〜〜ン ワンワン
子供「雪の中じゃ音が吸い込まれて遠くまで届かないや」
子供「ここに来たら匂いで直ぐに見つけて貰えると思ったんだけどなぁ…」
ドスン ドスドス
子供「む!」---枝から雪が落ちた---
子供「…」---エルフだな?僕を伺ってる---
子供「あぁぁぁダメだぁぁぁ凍えるぅぅ…死ぬぅぅ」キョロ
子供「…」キョロ
子供「な〜んか一人芝居するのも馬鹿みたいだ」サクサク
子供「…」クンクン
子供「…」---獣の匂いだ---
子供「ちょっとマズイかも…」スラーン ピカー
子供「何処に居るんだ?僕は怖く無いぞ!?」キョロ
グルルル ゥゥゥゥ
子供「ウルフの群れか…」
ウルフ「ガウルルル」ダダダ
子供「この光る剣が怖いかい?」ブン ブン
ウルフ「ゥゥゥゥ」タジ
子供「ごめんごめん仕舞うよ」スチャ
ウルフ「ガウルルル」ノソノソ
子供「怖がらなくて良い…怪我してるんだろ?おいで」
ウルフ「グルルル…」
子供「こうすれば分かるかい?線虫!」ニョロ モソモソ
ウルフ「ギャフンギャフン」ピョン ダダダ
子供「驚かせたらごめんね…何匹居るのかな?」クンクン
子供「5匹?離れにもう一匹居るな」
子供「君達は家族だね?僕は何もしないよ…僕は友達を探しに来たんだ」
子供「僕は森の言葉があまり分からないから君の言う事も良く分からないんだ」
子供「よっこら」ドッスン
子供「出ておいでよ傷なら治してあげるから」
ワンワン シュタタタ
915 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:04:04.54 ID:KbfSVIxh0
子供「ああ!!子ウルフ!!探して居たんだよ…なんで直ぐに出てこないんだよ」
子ウルフ「ワフワフ!!」
子供「群れの言う事に逆らえない?なんだそうだったのか」
ウルフ「ガウルルル…」ノソノソ
子供「おいでおいで!!」
子供「え?毒の治療でこの森に来たんだって?」
子供「精霊樹の恵みが欲しいのか…大丈夫僕が治せるよ」
子供「線虫!」ニョロリ
--------------
--------------
--------------
『ウルフの群れ』
ガウルルル アオ〜〜〜ン
子供「…そうだったんだ…精霊樹の葉には毒消しの効果が合ったんだ…へ〜」
子供「エルフが精霊樹を守ってて中々分けて貰えない…な〜んだ順番待ちな訳か」
子供「毒に侵されてるのはやっぱり虫のせい?」
子供「なるほど…虫が所構わず暴れ回ってる訳ね…人間の村も同じなんだよ」
子供「食べ物は向こうの森の方が充実して居るよね?」
子供「だから戻るって…ちょちょちょ…もう行くの?」
子供「実はさ…今ウルフ討伐隊が出てて危ないよ?」
子供「知ってるって…だったらわざわざ危ない所に行かなくても良いじゃない」
子供「仲間に順を伝える必要があるって…そうか順番待ちになってるのか」
子供「じゃぁやっぱ虫を何とかしないとコレ終わらないね」
子供「ちょちょ待ってよ…僕もこの森に用が無くなった…虫の所に案内してよ」
子供「ダメって何でさ…良いじゃん毒を治してあげたんだし…」
子供「人間が来る所じゃ無いのは分かってるよ…僕はそこに入った事もあるんだ」
子供「いや本当さ…白狼の血も流れてる」
子供「マジマジ…だから本当だって…じゃなきゃこんなに話せる訳無いじゃない?」
子供「冷たいなぁ…じゃぁ勝手に付いて行くから案内だけして」
子供「大丈夫さ付いて行けるよ…ちょちょ…だから行動が早すぎる…待って待って」
シュタタ シュタタ
916 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:05:05.77 ID:KbfSVIxh0
『オアシス砦』
ドスドスドス ズザザー
ヘラジカ「オエッオエッ…ブモモー」
盗賊「おうお前等〜ちっと休憩だ」
民兵「へ〜い…」ゾロゾロ
アサシン「遅いぞ…」
盗賊「ソリ2台で民兵乗せてウルフ狩りってどういうこった?多すぎだろ」
アサシン「お前はウルフ狩りと聞いて来たのか?」
盗賊「ナヌ?違うのか?」
アサシン「私はウェアウルフ狩りの討伐隊を編成したつもりなのだが…」
盗賊「おいおいおいマジか…全然格が違うじゃ無ぇか…民兵じゃ無理だ」
アサシン「だからお前を指名して呼んだのだ」
盗賊「半端な弓じゃ倒せんぞ?」
アサシン「首を落とせ」
盗賊「待て待て俺にやらせる気か?ウェアウルフは狂犬病も持ってんだぞ?」
アサシン「エンチャントの角は持って来ただろうな?」
盗賊「持って来ちゃ居るがよ…マジで俺が倒す予定でいるんか?」
アサシン「私も居るがそれでは不服か?」
盗賊「お前は病気なぞ怖くないかもしれんが俺は生身だ…ちったぁ考えてくれ」
アサシン「作戦はこうだ…」
民兵には弓でけん制させる
私は正面からウェアウルフと向き合って動きを止めてやる
お前はハイディングからバックスタブで首を落とせ
盗賊「ウェアウルフの首周りは熊並みだぞ?一発で落とせるか自信が無ぇ」
アサシン「落とし損じても私が止めを刺す…問題無かろう」
盗賊「お前簡単に言うけどよ…ウェアウルフはエルフ並みに飛び回るぞ?」
アサシン「手負いだ…私の草薙の剣で石化が進んでいる筈だ」
盗賊「なるほど…今までお前が単騎でやっていた訳か…今晩止めを刺したいんだな?」
アサシン「ウェアウルフは病気の原因にもなって居るのだ…犯された動物は食いたくても食えん」
盗賊「肉が配給されないのはそのせいか…」
アサシン「人員が揃い次第出発する…体を温めて置け」
917 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:05:48.68 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』
ドスドスドス スーーー
支給されたのが弓と矢筒だけだ
これでウェアウルフ討伐なんてどうかしてる
お前作戦聞いて居ないのか?
短期戦で即引き上げらしい
盗賊「お前等ちゃんと話聞いてたんか?」
民兵「接近戦は2人でやるんですよね?」
盗賊「まぁそうなる…仕留めそこなった場合は即退却な?」
民兵「成功した場合次の作戦に入ると言ってましたが…何か聞いてますか?」
盗賊「シャ・バクダ経由で巡回だとよ…夜行動物の実態調査らしい」
民兵「あぁ夜中にシカが出て来てるって話聞きますね」
盗賊「だから弓と矢の支給な訳よ…早い話狩りだ狩り」
民兵「あ!!先行のソリが止まった…」
盗賊「うへぇ…なんだありゃ…なんで人骨が吊るされてんだよ」
民兵「ひぃぃぃ…」タジ
---------------
『森の近くの廃村』
アサシン「ここから徒歩で廃村に入る」
アサシン「廃村に到着したら建屋の陰に隠れて合図を待て」
アサシン「ウェアウルフの餌には手を出さない様に」
アサシン「それから何があっても声を出すな…以上行くぞ」スタ
盗賊「ちょっと待て…なんで人骨が吊るされてんのよ」
アサシン「黙れ…もう作戦は開始している」
盗賊「むぐぐ」---何だよあいつ!何も説明しないで---
アサシン「…」--付いて来い---
民兵「…」ガクブル
盗賊「…」---お前等腰抜かすなよ?---
アサシン「…」---配置について待機---
民兵「…」ゴクリ
盗賊「…」---何が起こるってんだ?---
ガチャリ ギー
人「ヴヴヴヴ…」ズルズル
民兵「!!?」---誰か出て来た---
人「ガァァァ…」ヨタヨタ
盗賊「…」---あの野郎ここの犠牲者を使役して餌にしてんな---
民兵「…」---誰か住んで居たのか?---
918 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:06:41.68 ID:KbfSVIxh0
『10分後』
民兵「…」タラリ
人「ヴヴヴヴヴ…ガァァァ」ヨタヨタ
盗賊「…」---うーさぶ!!---
アサシン「…」---来るぞ---
盗賊「!?」キョロ
シュタタ シュタタ ピョン
ウェアウルフ「ガウルルル!!」ガブリ
人「ガァァァ…」ズザザ
ウェアウルフ「ガウガウ!!」ガブガブ
民兵「…」---ひえぇぇぇ---
アサシン「撃て!!盗賊行くぞ!!」ダダ
盗賊「お…おう!!ハイディング!」スゥ
民兵「あ…当たれ!!」ギリリ シュン
シュンシュンシュン グサグサグサ
ウェアウルフ「!!?ウガァァァ」シュタタ
アサシン「行かせん!!むん!!」ブン ザクリ
ウェアウルフ「グルルル…」タジ
盗賊「リリース!バックスタブ!!」ジョキリ
ウェアウルフ「!!?」ヨロ
盗賊「浅い!!」スタ
アサシン「ハートブレイク!」ズン!!
ウェアウルフ「ガフガフ…」ピクピク
盗賊「これでも倒れ無ぇか…おら!追撃!!」ブン スパ
アサシン「ふん!!」ブン スパ
盗賊「アサシン下がれ…動き出す前に距離取るぞ」ダダダ
アサシン「民兵!!弓で追撃しろ」ダダダ
シュンシュンシュン グサグサグサ
アサシン「撤収だ!全員ソリまで引け」
民兵「は…はい…」ダダダ
919 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:08:18.98 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』
盗賊「出すぞ!!早く乗れぇ」パシン
ヘラジカ「オエッ…ブモモ…ゲヒゲヒ」ドスドスドス
盗賊「お前等後方に弓撃つ準備しておけ…ウェアウルフが追って来るかもしれん」
民兵「ははは…はい」ブルブル
盗賊「おい!アサシン!!行先どうすんだ!?」
アサシン「次の作戦に移る…進路は北だ」
盗賊「こりゃ作戦成功なんか?」
アサシン「首を半分落としているのだ直に死ぬのは明白」プルプル
盗賊「ん?なんだお前どっか具合おかしいのか?」
アサシン「今倒したウェアウルフはな…私の旧友なのだ…そして吊るされて居た人骨はその娘…お前も知って居る人物だ」
盗賊「なんだと!!?ウェアウルフの知り合いなんか居無ぇぞ?」
アサシン「あの娘は私達の仲間になりえた…エリクサーの効果をもっと早く知って居れば仲間だった筈だ」
盗賊「誰よ?」
アサシン「女海賊に知り合う前の私の助手だったと言えば思い出すか?」
盗賊「シャ・バクダの宿屋の娘か!」
アサシン「ウエァウルフは遺伝性の病気なのだ…そして生きた血肉を食らわないと正気を失う…私と同じだな」
盗賊「宿屋の娘には随分世話になった…あの人骨がそうだったのか」
アサシン「血肉を食らう必要がある故に私と同行出来なかった…代わりに女海賊が同行するようになったのだ」
盗賊「でも何で吊るされてんだよ」
アサシン「簡単な話だ…ウェアウルフだと知られて村人に吊るし上げられたという事だ」
盗賊「なるほど…食料不足で生きた血肉を食えなくなったもんだから人を襲ったんだな?」
アサシン「エリクサーの事さえ知って居れば誰よりも優秀だった筈…そしてその父も優秀な男だった」
盗賊「思い出した…コブラ酒が好きだったな」
アサシン「私がワインを飲むのと同じ…喉の渇きを癒すのに好んだのがコブラ酒だ」
盗賊「宿屋でコブラ酒頼んだら毎回あの娘が持って来たな」
アサシン「身内だった者に手を掛けるのは心苦しい…私が正気を失った時はお前も同じ思いをするだろう」
盗賊「言うな…考えたくも無ぇ」
アサシン「シャ・バクダはもう終わりだ…私が守りたかったものはすべて無くなった」
盗賊「まだだ…まだ民が残って居る」
アサシン「気休めか?少し休みたいと願っては居るが眠る事も出来ない…永遠の命とは残酷だ」
盗賊「言葉も無ぇ…」
ドスドスドス スーーー
920 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:08:50.64 ID:KbfSVIxh0
『シャ・バクダ街での記憶』
ワイワイ ガヤガヤ
おい!!イカさますんじゃ無ぇ!!
何言っているの?何処がイカさまなのよ!
勝負は勝負!きっちり払ってもらうわ
だぁぁぁなんだこの女!!
盗賊「だぁぁやっと着いたぜ腰が痛てぇの何の…おい馭者!!俺はここで降りるぜ?」
馭者「へい旦那ぁ!!お疲れぃ!!」
盗賊「荷物は後で別の奴に取りに行かせるからよ…まぁ適当にやってくれ」
馭者「あいよ!!」
盗賊「じゃぁな!!」ピョン スタ
ドン! パシ!!
盗賊「おい何懐探ろうとしてんのよ」グイ
ごろつき「イテテ済まねぇ…そんなつもりじゃ無かったんだ…よそ見しててぶつかった悪い悪い」
盗賊「気を付けろぃ!!」スッ
盗賊「…」---早速酒代が手に入った儲け儲け---
盗賊「ふぅぅぅ…まず飲んでっか」ノッソ ノッソ
921 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:09:43.79 ID:KbfSVIxh0
『宿屋』
カラン コロン
店主「いらっしゃいませ…お一人様ですか?」
盗賊「この風体見て誰だか分からんか?」
店主「ハテ?あ〜あの時の…ハハハ」
盗賊「いい加減顔パスじゃ無ぇのか?」
店主「仕事ですので…お一人様でよろしかったですね?」
盗賊「あぁそうだ…まず酒が飲みてぇコブラ酒ボトルで頼む…グラスは一つで良い」
店主「かしこまりました…お部屋でお飲みになりますか?」
盗賊「いや隣の酒場で飯も食って来る…金は有るからよ…誰か女一人付けてくれ」
店主「直ぐに手配しますのでお待ちください…お代は先になりますが…」
盗賊「おうそうだったな」ジャラジャラ
店主「ありがとうございます」
盗賊「じゃ隣行ってるから頼むわ」ノシ
『酒場』
ガヤガヤ ガヤガヤ
マスター「いらっしゃいませ」
盗賊「よーー久しぶりだな…元気してたか?」
マスター「ハハ揉め事はご勘弁…飲んで行きますか?」
盗賊「宿屋で頼んで来たからよ…適当にツマミ頼むわ」
マスター「ハイハイ…他のお客さんの迷惑にならない所に座って下さいね」
盗賊「まぁそう言うなや…カウンターなら問題無いだろ?」ドシ
ポロロン♪ ラララー♪
盗賊「おぉ丁度良かった演奏始まったな…演奏終わったらあの女呼んでくれ」
マスター「はぁ…又揉め事になる気がしますが…」
盗賊「大丈夫だよ…今日の俺は機嫌が良い」
宿屋の娘「コブラ酒をお持ちしました…どうぞ…っておいお前か」ギロ
盗賊「お前は無いだろ…まぁ元気そうだな」
922 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:10:22.66 ID:KbfSVIxh0
宿屋の娘「はい!!コレ!!メモ!!酒!!」ドン パサ
盗賊「一人女付けてくれと頼んだんだが…まさかお前か?」
宿屋の娘「お前にお前って呼ばれたく無いんだけど…私で悪いか?」ストン
マスター「あのーー揉め事だけはご勘弁を…ここの所続いてまして」
宿屋の娘「早くメモは隠せよ」
盗賊「そうだったな」ゴソゴソ
宿屋の娘「何してんだよ」
盗賊「何してるってメモを隠してるんだろが」
宿屋の娘「そうじゃ無ぇよ…チップ!!女付けたらチップ払うだろ」
盗賊「宿屋で払ってる」
宿屋の娘「そんなん聞いて無ぇよ!チップ払わないと騒ぐよ?」
マスター「あのーー宿屋の娘さん…分かってますよね?」
宿屋の娘「あらマスターさん…ちゃんと心得て居ますのでお気になさらず…」ニコ
盗賊「なんだお前態度が全然違うじゃ無ぇか…」
宿屋の娘「金持ってんだろ?出せよ…」ズボ ゴソゴソ
盗賊「勝手に懐探るな」
宿屋の娘「…これ何?」
盗賊「だぁぁロックピックだ触るなボケが」グイ
スタスタ
女盗賊「あらあら盗賊?仲が良さそうね?」ズイ
宿屋の娘「あ…これは失礼しました…お騒がせしていたならお許しください」ペコリ
盗賊「やっと帰って来て疲れてんだ…癒してくれい」
女盗賊「帰ってきたならまず初めに私に挨拶に来るのが礼では無くって?」
盗賊「だから来たんだろが…酒用意したぞ…お前も飲め」
女盗賊「まだ演奏があるから控えておくわ…あなたが飲めば良いのよ」キュポン グイ
盗賊「んぐ…んぐ…げふげふ」
宿屋の娘「…」ニマー
盗賊「げふげふ…おま…ゆっくり飲ませろ」ゲフー
女盗賊「説明して貰おうかしら?女性を同伴してどうするつもりだったの?」
盗賊「んあ?そら楽しく飲む為だろ」
女盗賊「私じゃ役不足と言いたいのね」
盗賊「なんでそうなるんだよ…久しぶりに帰って来ていきなり喧嘩売ってんのか?」
マスター「あのーーー困るんですよね…大きな声を出されると」
--------------
--------------
--------------
923 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:11:15.84 ID:KbfSVIxh0
『廃墟』
シンシン…
盗賊「…」---屋根がすっ飛んで行ったのか---
盗賊「…」---このカウンターで良く揉め事が起きたな---
盗賊「…」---どっかに酒残って無ぇのか?---
盗賊「…」---何もかも変わっちまった---
盗賊「…」---もう何も残っちゃ居無ぇ---
ドンッ
盗賊「!!?」---瓶?---
アサシン「中身が少し残って居る…これはサボテン酒だ…飲んでみるか?」
盗賊「おぉ!!良い物見つけたな?」
アサシン「…」キュポン
盗賊「グラスは全部割れてる」
アサシン「…」グビ ゴクリ
アサシン「飲め」
盗賊「…」グビグビ プハー
盗賊「何だこの感覚…」
アサシン「痛みだ」
盗賊「こりゃ心が痛いのか?」
アサシン「…」グビ
アサシン「空しいだろう?」
盗賊「そうだな…」
盗賊「お前の妹も…宿屋の娘も…良い女だった」
アサシン「…」グビ ゴクリ
アサシン「酔えん」
盗賊「俺は酔えるだけマシか…」グビグビ
民兵「ウルフだぁ!!ウルフの群れに囲まれて居る!!」
盗賊「何ぃ!!」ガタ
アサシン「ウルフなぞどうという事もあるまい…奴らもシカ狩りなのだよ」スック
盗賊「民兵共!!狩ったシカを早くソリに積め!!」
アサシン「クックック…引き上げるとするか」
924 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:12:30.65 ID:KbfSVIxh0
『帰路』
ズルズル ドサリ
盗賊「よし…獲物を積んだな?民兵は徒歩で後方警戒しながら付いて来い」
民兵「ウルフ10匹程に囲まれています」
盗賊「大人数の人間には襲い掛かって来ない筈だ…警戒しながら引き上げる」
民兵「一人ウルフに襲われて怪我をしているのでソリに乗せて下さい」
盗賊「マジか…この人数になんで遅い掛かって来るんだ?」
民兵「一匹白狼が混ざっていて狩ろうとした様です」
盗賊「こっちが仕掛けた訳か…しゃー無ぇ怪我人は乗れぇ!!出発するぞ!!」
盗賊「しかし白狼とは珍しい…エルフの森の深部から出て来てんのか」
民兵「あの毛皮は高級品なんで…」
盗賊「明るくなって来た…お前等ぁ!!急げ…早い所帰って寝るぞ」
民兵「はい…」ハァハァ
------------
------------
------------
『遺跡地下_勇者の像前』
ガヤガヤ ガヤガヤ
シカ肉の配給だぞ?
おぉぉ久しぶりの肉
ダメだ!女子供が先だ
やったぁぁお肉だお肉ぅぅ
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「…なんだ情報屋も居無ぇのか…何処行っちまったんだ?」
民兵「盗賊さんこれで解散ですね?」
盗賊「そうだ!食って寝ろ…どうせ夜になったら又狩りだ」
民兵「じゃぁ失礼します」タッタッタ
盗賊「ローグも居無ぇって事は未来探してどっか行ってんな…ったく世話の焼ける」
盗賊「寝てる場合じゃ無ぇってか…」モグモグ
盗賊「…しかし行先も分からんのに動き様も無ぇ…寝るか!!」ドタリ
盗賊「…」---いつまでこんな生活をするのか---
盗賊「…」グゥ
んががが すぴー zzz
925 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:13:26.79 ID:KbfSVIxh0
『数時間後』
パシン パシン!
情報屋「起きて盗賊!!」ユサユサ
盗賊「んぁ?…んんん…水くれ水」
情報屋「未来君が見つからないの…ウルフ討伐の方では見て居ない?」
盗賊「あぁ昨夜の狩りはウルフ討伐じゃなくてウェアウルフ討伐だった」
情報屋「そう…」ガックリ
盗賊「お前何処行ってたのよ」
情報屋「精霊樹の森を探しに行ってたわ」
盗賊「手がかり無しか?」
情報屋「ウルフの群れの足跡を見つけたわ…ローグが言うにはウルフの群れに混ざってるんじゃないかって」
盗賊「まぁ単独で行動するより安心っちゃ安心だわな」
情報屋「何言ってるのよ!あんな小さな子供いつ食べられてもおかしくないわ」
盗賊「ウルフがエルフを食うなんざ聞いた事無いがな」
情報屋「あの子は人間よ?あなた心配じゃ無いの?」
盗賊「心配っちゃ心配だがよ…俺も未来と同じ年頃から一人でやってきた訳よ…自分で何とかやると思ってる」
情報屋「もう!!一人でドリアードをどうにかしようなんて無茶よ」
盗賊「…」ギロ
情報屋「その眼は何か考えが在る眼…何?」
盗賊「そういや昨夜ウルフの群れに一匹白狼が混ざって居たらしい」
情報屋「それよ!!」
盗賊「場所は旧シャ・バクダの廃墟…白狼に弓を当てた者が居る」
情報屋「えええ!!?」
盗賊「行くぞ」スック タッタッタ
926 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:14:06.74 ID:KbfSVIxh0
『ヘラジカのソリ』
オエッ オイン ブルルルル
ローグ「遅くなりやしたぁぁぁ!!」ダダダ ピョン
盗賊「白狼を射った場所を聞き出せたか?」
ローグ「へい!!養羊場のあった辺りだそうでやんす」
盗賊「よし急いで行くぞ…情報屋はエリクサー持って来たな?」
情報屋「少しだけだけれど…」
ローグ「狩り用の矢で撃たれたとなると子供じゃ死んでるかも分からんす」
情報屋「嫌な事言わないで」
盗賊「くそでかいヘラジカを麻痺させる毒だ…子供だとどうなるか分からん」
ローグ「未来君は毒消しの魔法を使うんで上手く乗り切ってくれれば良いんすが…」
情報屋「獣じゃ無くてよりにもよって人間にやられるなんて…」
ドスドスドス スーーーー
『養羊場跡地』
情報屋「見て!!血痕と屍…あぁぁぁ」
盗賊「早合点するな…あれは食われた子ジカの亡骸だ」
ローグ「まだ新しいっすね…昨夜食われた感じでやんす」
盗賊「なるほど…ウルフの食事中を民兵が弓を射かけたんだな…この周辺を探せ」
情報屋「別の血痕!!あったわきっとあれよ」サクサク
盗賊「どこだ?」
情報屋「こっちよ…」サクサク
ローグ「ありゃ出血が多いんじゃないすか?」
盗賊「足跡が複数…民兵の出血痕だ…こりゃ違う」
盗賊「ここから弓で狙うとなると20メートルの範囲内…探せ!」
ローグ「向こうの小屋じゃないすかね?」サクサク
情報屋「あったぁ!!小屋の影にも血痕…こっちの方が多いわ」
盗賊「その辺に未来が倒れて居ないか?」
情報屋「探してる…」キョロキョロ
盗賊「ふむ…ウルフの食事中に1匹だけ離れている白狼だけ狩ろうとした訳か…」
ローグ「盗賊さん!!小屋の中にどんぐりの殻がいくつか落ちていやす…未来君に間違い無いっす」
情報屋「居ない…居ない…何処にも居ない…」オロオロ
盗賊「どこかに血痕が続いて居ないか?」
情報屋「無いわ…その小屋の周辺だけよ」
盗賊「未来は回復魔法も使える…そこで処置したという事だ」
盗賊「俺は周囲の建屋の中を見回って来る…お前等2人で足跡探ってくれ」
ローグ「わかりやした…」サクサク
-------------
-------------
-------------
927 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:15:09.07 ID:KbfSVIxh0
『夕刻』
ドスドスドス スーーーー
ヘラジカ「オエッ ブモモモー」ガフガフ
盗賊「情報屋!もういい加減にしとけ…資材乗せて帰るぞ」
情報屋「…」トボトボ
ローグ「手がかり無しっす…」
盗賊「未来はハイディングを自在に使う…探せると思うか?」
ローグ「無理っすね…」
盗賊「探しても居ないという事は無事って事だ…毒矢もなんとか切り抜けてるだろう」
情報屋「どうして何も言わないで…」プルプル
盗賊「未来が仲間に選んだのは俺達じゃなくてウルフだってだけの話…気にすんない」
情報屋「あの子の事…子ども扱いし過ぎて居たのかしら」シュン
盗賊「だから気にすんなって…早く乗れ」
ローグ「一人でドリアードん所行っちまいやせんかね?」
情報屋「狭間の中にある入り口は探せないと思うわ…それに地図も忘れて行ったみたいだし」
盗賊「じゃぁ行く気ならもう一回戻って来る可能性が高いな」
情報屋「地図は私が預かっておく…」
盗賊「お前昨日からずっと寝て居ないな?一旦戻って寝ろ」
情報屋「眠れる訳無い…ハッ!!あの子…強い動機があって眠らなかったのね…」
盗賊「気付くのが遅せぇよ…もう大人の道を歩いてる…未来の道をな」
---------------
---------------
---------------
928 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:15:34.36 ID:KbfSVIxh0
『夢』
??「あれ?…ここは…」
??「パパ?…ここどこ?」
??「魔女?…何処に居るの?」
??「あれ?記憶が…」
??「僕何してたんだっけ…」
??「誰も居ないの?」
---こっち---
??「誰?」
---目を覚まして---
??「ホム姉ちゃん?」
---僕だよ---
??「僕?」
??「僕は…僕は…違う…ここじゃない」
--------------
--------------
--------------
929 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:16:29.57 ID:KbfSVIxh0
『大木の洞』
クーン ペロペロ
子供「ぅぅん…ハッ!!」ガバ
子ウルフ「ワンワン!!キュゥゥン」ペロペロ
子供「ここは…何処?僕はどうして…いてて」スリスリ
…そうだ…ウルフの群れに紛れて森に入ったんだ
出血がひどくて気を失った…なんで洞の中に居るのか記憶が無い
待てよ…思い出せ思い出せ…僕は何の為に此処にいる?
…虫だ…虫に命令しなきゃ
大丈夫…ちゃんと覚えてる…僕は未来から来た
子供「マズいな…寝てしまった…僕の記憶は少し無くなってる筈…何を忘れたのか自分じゃ分からない」
子ウルフ「クーン…」
子供「僕はどれくらい寝てた?」
カサカサ
子供「!!?」クンクン
子供「何か居る…1人…この感じはエルフだ」
子ウルフ「ワン!ハッハッハ」フリフリ
子供「リンゴと木の実…根っこも在る…ごちそうじゃないか」
子供「…そうか僕はエルフに助けられたんだね?」ガブリ モグモグ
子供「遠くから僕を見てるな…とりあえずこの洞なら安全か」モグモグ
子供「子ウルフ?木の実を食べても良いよ…ほら」
子ウルフ「ガフガフ」バクバク
ギャァギャァ バサバサ
子供「鳥が騒いでる…どうしたんだ?…え?森の奥で戦闘してる?」
子ウルフ「クーン…」
そうか…森の外だと分からなかった
エルフ達は森の中でずっと戦っていたんだ
そうだエルフゾンビさんがそんな事言ってたな
これからドリアードに森を侵食されて行く
僕の知らない所で戦いはずっと続いて居たんだ
子供「どうにかしないと…食べ終わったら行こうか」モグモグ
930 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:17:41.20 ID:KbfSVIxh0
『エルフの森_浅部』
ヨタヨタ ズルズル
子供「くそう!!右足が動かない…なんで麻痺毒が抜けないんだ…線虫!」ニョロリ
子ウルフ「クーン…」
子供「あのエルフ…遠くからずっと付いて来る…僕を見て助けないなんて絶対性格の悪いエルフだ」プン
子供「ああああああ!!ダメだぁぁぁ!!足が動かないぃぃ!!誰か助けてぇぇぇ!!」
子供「…」
子供「……」
子供「疲れるだけか…行こう」ヨタヨタ
カサカサ キシャーーーッ
子供「うわぁ!!毒グモか!!」ズザザ
毒グモ「シャーーー!!」カサカサ
子供「よしよし良く来たね…探してたんだよフフフフ…毒グモ!我に従え!」
毒グモ「!!?」ピタリ
子供「君にお願いがあるんだ…僕を乗せてよ…」
シュン グサ!!
毒グモ「キシャーーーー!!」ピクピク コテン
子供「あぁぁぁぁ…何するんだ馬鹿エルフ!!あ〜あ折角使役したのに…」
毒グモ「シュゥゥ…」ピクピク
子供「矢を抜いてあげる…」ズボ
毒グモ「…」ピクピク
子供「あぁぁどうしよう…虫に線虫は効かない…回復用の触媒も無い」オロオロ
エルフ(危ないからそこを離れなさい!)シュタ シュタ
子供「違うんだ…僕は蟲使いなんだ…余計な事しないで欲しい」
エルフ(…やっぱり…森の言葉を理解できる人間か)
子供「何の話さ…あぁぁ毒グモ死んじゃったよ!!可哀そうに」
931 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:18:50.60 ID:KbfSVIxh0
エルフ(お前は何処から来た?シン・リーンの者か?)
子供「まぁそうなるのかな…蟲使いの魔術師だよ」
エルフ(ではその姿は仮の姿なのだな…何用で森へ?)
子供「虫を使役しに来たのさ…虫が混乱しているから…ねぇ姿を見せてよ」
エルフ(…)ピョン クルクル シュタ
子供「君が僕を助けてくれたんだよね?木の根美味しかったよ…ありがとう」
エルフ(…)ジーーーー
子供「この森が今危険なのは知ってるさ…用が済んだら直ぐに森を出る…」
エルフ(…)ジロジロ
子供「何だよ気持ち悪いなぁ…君は男?女?エルフなのになんで髪の毛無いの?」
エルフ(私はエルフの戦士だ…それだけ)
子供「ふ〜ん…まぁ良いか…僕の目的は虫を使役して混乱を治める事だよ…勝手に森に立ち入るけど問題ない?」
エルフ(ある…これより先は激戦区だ…人間が立ち入って生きて帰る事は出来ない)
子供「敵はマンイーターとかスライムとかだね?スプリガンもか…」
エルフ(何故人間がそれを知って居る!まさか密通者が居るのか?…ダークエルフがまだ暗躍していると…)
子供「ちょちょちょ…難しい話は分からない…でもね?僕は蟲を使役して倒したい相手はドリアードなんだよ」
エルフ(…怪しい…お前を拘束する)グイ
子供「いててて…拘束してどうする気?」
エルフ(…会話は終わりだ…大人しくするんだ)
子供「丁度足が動かなくて困ってた所さ…エルフが一緒ならそっちの方が良いや」
エルフ(…)ジロリ
子供「フフおっぱいあるね…あ!!子ウルフ置いて行かないで?」
エルフ(…)シュタタ ピョン ピョン
子供「ちょちょ…置いて行かないでって言ってるじゃない!!」
932 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:20:28.86 ID:KbfSVIxh0
『少し奥』
シュタタタ
子供「はぁぁ楽ちんだぁ…」グター
エルフ(…)ギロ
子供「あれ?君脇腹を怪我して…線虫!癒せ」ニョロリン
エルフ(!!?)ポイ
子供「うわぁぁぁ…」ゴロゴロ ズザザザ
エルフ(何をした!!大人しくして居ろと…」バタバタ
エルフ(体に虫が…このぉ!!)ビシバシ
子供「大丈夫だよ…その虫は傷を癒してくれる…癒えたら勝手に排泄されるから」
エルフ(私の体を汚すな!)ビシバシ
子供「叩いても無駄さ…分裂して増えるだけだ」
エルフ(本当に傷を癒すだけなんだな?)モゾモゾ
子供「うん…驚かせてゴメンよ…それよりさ?拘束するって…紐か何かで縛ったりしないの?すぐ逃げられちゃうよ?」
エルフ(小さな人間が私から逃れられる物か)
子供「いやいや今逃れたじゃん」
エルフ(…)ジロリ
スプリガン「キシャァァァ…」
エルフ(ハッ!!スプリガンがここまで南下してる…)ピョン クルクル シュタ
子供「そいつは燃やさないとダメだよ…火炎魔法使える?」
エルフ(うるさい!!)シュタタ グイ
子供「あらら?何…逃げるの?」
エルフ(お前を連れ帰るのが優先だ)
子供「ちょい待って!魔石回収したい…僕に任せてみて?逃げたりしないから」
エルフ(…)ジロリ
子供「スプリガンは簡単なんだ…飛び回ってる蝿を使役するだけで何も出来なくなる…蝿虫!我に従え」ブーン ブンブン
エルフ(ぁ…)ポカーン
子供「こいつは自分の周りの蝿を爆発させるしか能が無い…取り上げてしまえば簡単に倒せる」スラーン ブン ザクリ
スプリガン「シュゥゥゥ…」ドサリ
子供「ちょっと待ってて…えーと硫黄は何処にしまったっけな…有った有った…火炎魔法!」ボウ メラメラ
子供「よしよし魔石一個ゲット!!…これで火に困らないヌフフフ」
エルフ(お前…何者か?)
子供「さっき言ったじゃない…シン・リーンの魔術師だって…あぁぁ10年後の話だけど」
子ウルフ「ワンワン!!」シュタタ
子供「おぉぉ追い付いたかヨシヨシ」ナデナデ
------------
933 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:21:37.08 ID:KbfSVIxh0
メラメラ パチ
子供「そろそろ消しても良いかな…」ゲシゲシ
エルフ(…)ジーーーー
子供「やっぱり足の調子悪いなぁ…火を消すの手伝ってよ」ヨロ
エルフ(…)スタスタ ガッサ ガッサ
子供「なるほど…濡れた葉っぱ被せた方が早いか」ガッサ ガッサ
エルフ(…)ジーーー
子供「何さ?ちゃんと火は消した…森のルールはしっかり守ってる」
ギャァギャァ バサバサ
子供「む!鳥が落ち着かない様子だ…何か起こる」
エルフ(日が落ちる…トロールの目覚め)
子供「戦いの合図か…君は戦士だったね?行かなくて良いのかい?」
エルフ(…)ジーーーー
子供「そうか…僕をどうするか迷ってるんだね…置いて行っても構わないよ」
エルフ(そこの木の洞から動かないと約束出来るか?)
子供「アハハなんか全然拘束する気無いんだね?置いて行ったらここに止まる訳無いじゃない」
エルフ(…)ジーーーー
子供「木に縛り付けたら?そしたら逃げないよ」
エルフ(その子ウルフを連れて行く…ここに止まって居ない場合子ウルフとはもう会えないと思え)
子供「ええええええ!!卑怯だ!!」
エルフ(お前はどの道足が不自由でこれより先を一人で行くのは危険だ…私が戻るまで木の洞の中で待て)
子供「ちゃんと帰って来る?」
エルフ(フフ…)シュタタ ガシ
子ウルフ「クゥ〜ン」ジタバタ
子供「ちょ…待って…」
シュタタタ ピョン ピョン
---------------
934 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:22:43.71 ID:KbfSVIxh0
子供「エルフって本当に行動が意味不明だ…何なんだよもう!!」ゲシゲシ
子供「んぁぁぁいつまで記憶があるかも分からないのに時間のムダだぁ!!」
子供「…」ボー
子供「何するかなぁ…」
子供「焚火なんかしたらトロール怒るだろうしなぁ…」ドテ
子供「ててて…でもなんで足動かないんだ?」ドスドス
足に感覚が無い…やっぱ麻痺しか考えられない
どうして線虫で麻痺毒が治せないんだ?
あれ?毒じゃなくてもしかして神経切れた…のか?
矢は背中を抜けて腹まで貫通してた…神経が切れた可能性は在る
だとすると線虫じゃ時間が掛かる…回復魔法で加速しないと
マズいな…切れたまま放置してると壊死するかもしれない
触媒のミネラルは鉱物…こんな所にある訳無い
変性で物質変換するなら…するなら…
子供「あぁぁぁマズイマズイ…知ってる筈の記憶が欠落してる」
子供「あんまり使わない記憶から消えて行くんだ…」
ブーン ブンブン
子供「うるさいなぁこの蝿!!」シッシッ
子供「あぁゴメン僕が使役してたんだ…そうだ!!ここで虫たちに命令しよう」
子供「蝿虫達!!近くに居る他の虫達を集めて来て…出来るだけ沢山」
ブーン ブンブン
935 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:23:39.83 ID:KbfSVIxh0
-----------------
命令する!!
羽虫はドリアードの胞子を食らって繁殖しろ
甲虫はスプリガンの樹液を吸って繁殖しろ
蜻蛉はアルラウネを食らって繁殖しろ
蜘虫はマンイーターを腐らせろ
飛蝗はケシの実を食らい尽くせ
線虫はスライムの毒を食らって繁殖しろ
よしよし…ここからが本番だ
ダンゴムシはドリアードの内部の老廃物を食らって繁殖しろ
ワームはドリアードの根を住処とし共存関係を作れ
全ての虫は個体数を増やして僕の命令を待て
この命令は繁殖する子孫にも継続する
子供「フフフフ…今に見てろよ?虫の繁殖サイクルは早いんだ…直にすべての虫が僕の命令どおりに動く」
子供「まだまだ命令するからどんどん虫を連れて来て」
----------------
----------------
----------------
936 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:24:49.77 ID:KbfSVIxh0
『深夜』
ドドドドド ドーン
子供「ボルケーノの音か…そんなに遠く無いな」
子供「森の声が無いからきっとバラバラで戦って居るんだろうなぁ」
良く考えてみるとエルフの森が主戦場になるのは仕方の無い流れだ
人間は子供を産めなくすることで20年もすればほぼ絶滅する
寿命の長いエルフの駆逐を先行させるのは理にかなっった話だ
さすがホム姉ちゃんと同じくらい賢いアダムって所だ
でもね…僕が阻止するよ
シュタタタ ズザザー
子供「ん?あのエルフもう帰ってきたのかな?」ムク
子ウルフ「クゥ〜ン」スタタ
エルフ(ハァハァ…ここを移動する…もうここは安全じゃない…ゲフゲフ!!)
子供「うわ…なんでそんな切り傷…毒にも掛かってる」
エルフ(ミノタウロスとオークが加わっての乱戦…マンイータやスプリガンだけが敵じゃない…はぁはぁ…掴まって!)
子供「まず傷の応急処置を…」
エルフ(もうそこまで来てる…早く掴まって!)グイ
子供「あわわ…」ヨロ
ヒュルヒュルヒュル ザクリ!
子供「オークの大斧…」
エルフ(揺れるよ!!…)ピョン ピョン シュタタタ
子供「線虫!エルフの傷を癒せ!」ニョロニョロ モゾモゾ
エルフ(後ろを見てて)シュタタ
子供「茶色のオーク2体!」
エルフ(このままだと掴まる!虫でも何で使え!)
子供「魔石…魔石…よし!!火炎魔法!」ボウ
エルフ(撃ち続けて…)シュタタ
子供「なんだこの魔石!弱いなぁ…火炎魔法!火炎魔法!」ボウ ボウ
エルフ(ちぃぃぃ…距離が開かない)シュタタ
子供「そうだ爆弾があった…火魔法!」チリチリ ポイ
ドーン!! パラパラ
937 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:26:25.89 ID:KbfSVIxh0
エルフ(!!よし…オークが止まった…木の上に出る…しっかり掴まって)ピョン ピョン シュタ
子供「片方のオークは爆弾で負傷したみたい」
エルフ(ハァハァ…)フラ
子供「戻って行くよ…諦めたみたいだ」
エルフ(お前は回復魔法は使わないのか?)フラ
子供「触媒が無いから今は使えない…シカの角で作った薬は在る…居るかい?」
エルフ(口の中へ…)フラリ
子供「そうかもう片方の腕が折れてるんだね?ちょっと待って…ほら?」グイ
エルフ(むぐ…雪を口の中に)
子供「…」グイグイ
エルフ(夜明けまで此処に隠れる)
子供「降ろして良いよ…ちゃんと木には掴まっておく」
エルフ(フフ…)ヨッコラ
子供「腕に添え木をしてあげようか?」
エルフ(バランスが取り難くなるから要らない)
子供「でも痛いよね?そのままだと」
エルフ(気にするな…私は戦士だ)
子供「まぁ線虫が癒してくれてるから骨なら2〜3日で治るかな」
エルフ(お前の足はどうした?)
子供「これは多分神経が何処かで切れてる…麻痺状態だよ…経験が無いからどのくらいで治癒するか分からない」
エルフ(その足で森の奥に行くのは止めて置け)
子供「あれ?連れて行くんじゃ無かったの?」
エルフ(そういう状況では無くなった)
子供「そっか…じゃぁこれからどうするかなぁ…」
エルフ(虫の使役はもう良いのか?)
子供「う〜ん…もっと使役しておきたいんだけど…この状況見たらさすがに危ないかな〜なんてさ」
エルフ(私は腕が回復するまで戦線離脱になる…森を出ると言うなら外まで案内する)
子供「お?性格悪いエルフだと思ってたけどそうでも無さそうだね?」
エルフ(…)ギロ
子供「でもそうだなぁ…一回戻って足の治療をした方が良さそうだなぁ」
エルフ(ところでお前はどうして森の言葉を理解できる?)
子供「僕はハーフエルフの子供だよ…ハーフのハーフだから人間の血が濃い」
エルフ(そうか…森で声を聞いた事が在ったのか)
子供「あ!!そうだ…キノコ持ってたんだ…これにも体力回復効果がある…居る?」ゴソゴソ
エルフ(お前は不思議な人間だな…いやクォーターエルフか)
子供「どんぐりもあるよ?」カリ モグ
エルフ(フフ…)
子供「食べなよ」ポイ
エルフ(随分質の悪いどんぐりだ…)カリ モグ
子供「冬なんだからしょうがないさ」モグモグ
938 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:28:22.29 ID:KbfSVIxh0
『夜明け』
チュンチュン バサバサ
エルフ(鳥達が安全だと言っている…森の外まで送ろう)グイ
子供「ゴメンね腕痛いのに無理させちゃて」
エルフ(休息して随分ラクになった…さぁ掴まれ…行くぞ)ピョン シュタ
子ウルフ「ワンワン」シュタタ
エルフ(森を出た後はどうするつもりか?私は森の外をこのまま出る訳には行かない)
子供「う〜ん…遺跡に帰っても触媒が無いしなぁ」
エルフ(遺跡?)
子供「精霊樹にお願いしてエリクサー少し分けて貰おうかな」
エルフ(お前にそんな事が出来るものか!)
子供「精霊樹の所に知り合いのエルフが居るんだよ…その人に頼んでみる」
エルフ(他に知り合いのエルフが居ると…まぁ良い…私は森の端までだ…その後は自力で行け)
子供「わざわざありがとね…ウルフも僕の友達だから何とかなるよ」
エルフ(フッ…エルフなら当然だ)
子供「この足さえ自由だったらもう少し頑張れたんだけどなぁ…」
エルフ(エルフは足が命だ…足を引きずって森に入る様な事はしない事だ)
子供「気を付けるよ…てか弓で撃たれたのは背中なんだけどね」
エルフ(???)ピタリ キョロ
子供「どうしたの?何か居る?」
939 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:28:49.95 ID:KbfSVIxh0
エルフ(静かに…鳥達が居ない)キョロ
子供「…」クンクン
子ウルフ「ガルルル…」シュタタ
子供「風下!!」
エルフ(しまった!!他のオークがまだ居た…掴まって!)シュタタ
子供「子ウルフ!!戻れ!!」
エルフ(昨夜の爆弾を準備しろ!)
子供「あと2個!!」
エルフ(後ろ警戒して!)
子供「見えた…大きな茶色のオーク…武器は持って無い」
エルフ(オークロード…ダメだ!!石を投げて来る)シュタタ
子供「煙玉…あった!!火魔法!」チリチリ ポイ
モクモクモクモク
子供「適当に石投げ始めたよ」
エルフ「当たったら終わりと思って!逃げる方向変える…掴まれ」シュタタ
子供「距離開いた…向こうの方が遅い」
ヒュン ゴツン!!
子供「うがっ…」クラクラ
エルフ「ちぃぃぃ耐えて…ハァハァ」シュタタ
子供「パクパク」---あれ?声が出ない---
---あれ?目の前が赤い---
---あれ?なんで?---
---なんで?---
---何が起きた?---
940 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:29:22.98 ID:KbfSVIxh0
『次の記憶』
僕「パクパク」
エルフ「パクパク」
---聞こえないよ…何?---
『その次の記憶』
僕「パクパク」
エルフ「パクパク」
---それだよ…それを精霊樹に届けて---
『最後の記憶』
僕「パクパク」
他のエルフ「パクパク」
---ここは何処だ?---
---僕はどうなった?---
--------------
--------------
--------------
941 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:29:59.16 ID:KbfSVIxh0
『夢の中の声』
御所の中で眠って居たのだ
何故そこに居たのかは聞いて居ない
遺跡から通じる通路が在るのかもしれない
良く調査してみてくれ
眠って居るだけだ…心配しなくても良いだろう
エリクサーは期待しないで欲しい
分かって居るさ
奴の分だけは確保してやる
私も忙しい身だ
済まないがもう戻るとする
--------------
--------------
--------------
942 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 09:30:48.98 ID:KbfSVIxh0
『気球』
フワフワ バサバサ
子供「ぅぅん」パチ
子供「…」---寒い---
魔女「んん?目を覚ました様じゃな?寒うないか?」
子供「寒い…」ポケー
魔女「これ精鋭兵!暖が足りぬ…もうちっと温くせい」
精鋭兵「ハッ!」ドタドタ
子供「なんか夢を見てた…」
魔女「覚えておるか?」
子供「んんん何だっけな…大事な夢な気がしたんだけどなぁ…」
魔女「それは夢幻を見てるやも知れぬ」
子供「ビッグママは?」
魔女「寝ぼけて居るんか?この間分かれて来たじゃろう」
子供「そうだっけ…頭がボヤボヤする」
魔女「気圧のせいじゃろう…直にシン・リーンじゃから辛抱せい」
精鋭兵「姫様…シン・リーンが見えて参りました」
魔女「姫様はやめいと何度言わせるのじゃ?わらわは魔女じゃ」
精鋭兵「失礼しました…」
子供「んんん…何かおかしいなぁ」
魔女「主は毎日そんな事言うて居るな?何もおかしゅう無いが?」
子供「坊主のエルフと一緒だった気がするんだけど…」
魔女「だから言うたじゃろう…坊主にするエルフなぞ居らん…それはエルフにとって屈辱なのじゃ」
子供「屈辱ねぇ…変な夢だなぁ」
----------------
----------------
----------------
夢幻の平行編
完
943 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/11/20(土) 09:37:36.94 ID:KbfSVIxh0
つづき
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1637368468/
1389.73 KB
Speed:0.6
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
新着レスを表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)