【シャニマス】P「よし、楽しく……」- Straylight編- 【安価】

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620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 17:05:33.91 ID:aH63687y0
1ヵ月後。

〜大会 予選会場〜

P(2回目の予選の日がやってきた)

P(相変わらず、あさひが負けるようなビジョンは見えない)

P(最早、勝つのが当たり前で、俺はただ見守るだけのような気がしていた)

P(『もしかしたら、俺がいなくても、あさひは1人で突き進んでいけるんじゃないだろうか』――そんな風に思うこともあった)

P(それでも、そう思う度に――)


あさひ『ただ一緒にいたいだけ……って、こういうことっすかね?』ダキッ


あさひ『面白いことを探したいからプロデューサーさんと一緒にいるんじゃなくて――』

あさひ『――プロデューサーさんと一緒にいたいから面白いことを探し続けてるんだって』


あさひ『プロデューサーさんと、一緒にいたいだけっす!』


P(――あさひが俺に言ってくれたことを思い出して、考えを改める)


P『おかえり、あさひ……!』

あさひ『……はいっす! ただいまっす!!』

あさひ『プロデューサーさんも! ……おかえりなさいっす』

P『……っ、ああ! ただいま』


P(ちゃんと迎えにいけたんだ)

P(今度はもう、見失わない)

P「……さて、と」

P「あさひ。そろそろインターバルだ」

P「本番前に練習で体力を使いすぎないようにな」

あさひ「っとと、はいっす」

P「ほら、ドリンクならここにあるぞ」

あさひ「ありがとっす」タタタ

あさひ ヨロッ

P「!」

あさひ「……っ、と。あぶないあぶない」

P「大丈夫か?」

あさひ「? 何がっすか?」

P「いや、今……」

あさひ「オールオッケーっすよ、プロデューサーさん!」

P「……そうだな」

P(やはり、気になる)

P(パフォーマンスをしていないときに見せるこの不調は一体何だろう)

P(頻度も高くなっている)

P(あさひに聞いても、大丈夫と言われるだけ)

P(病院に行くことは、あさひが拒否する)

P(プロデューサーとして、俺はどうしたらいいんだろうな)

P「今だけはゆっくり休んでくれ……」

P(不安が拭えない)
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 17:51:48.12 ID:aH63687y0
2週間前。

〜レッスン室〜

キュッ キュキュッ

あさひ「っ……」

キュ

あさひ「ここで……どうだっ」

パッ

あさひ「……」

ガチャ

P「お疲れ様、あさひ」

あさひ「あ、プロデューサーさん」

あさひ「お疲れ様っす」

P「もう結構長くやってるだろ、今日は。そろそろ切り上げよう」

あさひ「今日は……」


あさひ『え、なんでっすか? わたし、早く上手くなりたいっす!』

P『もちろん、その熱意は嬉しいぞ。アイドルとして大切な考え方の1つだとも思う』

P『だけど、さっきも話したように、あさひが無理をして倒れたら、みんなが悲しむことになる』

P『あさひが目指してるのは、ファンを悲しませるようなアイドルなのか?』

あさひ『それは……違うっす! そんなの全然楽しくないっす!』

P『だったら、やりすぎはダメだ。な?』

P『それに、あさひの代わりは誰にも務まらないんだ。だから、もっと自分を大切にしてくれ』

あさひ『……プロデューサーさん』

あさひ『わたし、誓うっす! もう絶対無理しないって!』


あさひ「……そうっすね。随分前に誓ったかもっす」ボソッ

P「?」

あさひ「あははっ、なんでもないっすよ」

P「車は用意してある。準備できたら乗りに行こうな」


〜車内〜

P「……」

あさひ「……」

P「……」

あさひ「……次の道」

P「え?」

あさひ「次の交差点……左折っすよね」

P「そうだな。さすが、よく覚えてる」

あさひ「右に曲がって欲しいっす」

P「いや、それだとあさひの帰る方向じゃ……」

あさひ「右折なら高台に向かうじゃないっすか」

P「あ、ああ……そうだな」

あさひ「高台に行きたいっす」

P「……わかった」
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 18:26:42.47 ID:aH63687y0
〜高台〜

あさひ テテテ・・・

P「おーい、夜だし涼しいから、風邪引かないように上着着てくれー……」ヒラヒラ

あさひ「……」

P「はは……しょうがないな」

あさひ「……」

P(無言で夜空を見上げているのか)

P(あさひ……お前にこの夜空はどう見えてるんだ?)

P「ほら、ちゃんと上着を着てくれ」パサッ

あさひ「あ、……はいっす」

あさひ「……ん」

P「今日は、星がよく見えるな」

あさひ「そうなんすよね」

あさひ「……」

P「……」

P「……一緒に見たよなぁ」

あさひ「?」

P「星だよ」

P「昼の天文台とか、屋上での天体観測とかさ」

あさひ「プロデューサーさんとは、もう何度も星を見てるっすね」

P「何度も……まあ、そうかな?」

あさひ「……」

あさひ「よっ……」ピョン

あさひ「……と」

あさひ「星……掴めないっすー……」

P「ははっ、めちゃくちゃ遠くにあるからな」

あさひ「星って、あんなにキラキラしてるから」

あさひ「あそこにたどり着けば、わたしも一緒に光れるのかなって」

あさひ「そう思ったことがあるっす」

P「なるほどな……」

P「物理的にそうなるのは難しいかもしれないけど、さ」

P「アイドルとしてなら、できるんじゃないか?」

P(あるいは、もうできているのかもしれない)

P「よく言うだろ? アイドルでも、キラキラ、とか、輝く、とかって」

P「俺は、なんだか似てる気がするんだよな」

P「宇宙は果てしないから、たとえ1つの星にたどり着いたとしても、さらにその先に星があって、限りなくそうで……」

P「アイドルも、目標があって、それを達成するとまた新しい道が見えてきて……」

あさひ「!」

あさひ「わたし、見えたかもしれないっす!」

P「?」

あさひ「ここに広がる宇宙に、目指すところが!」

あさひ「いま、プロデューサーさんが言ってくれたような感じで!!」

P「それは良かった。じゃあ、一緒に目指していこう」
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 18:47:05.82 ID:aH63687y0
あさひ「やったっす〜!」ニコ

あさひ「絶対楽しいっすよ! そこに行けたら!!」

P「ああ、間違いないな」

あさひ「“星”って、すごいんすね!」

あさひ「自分も輝いてて、他の人も輝かせることができて」

あさひ「なんか、ワクワクで落ちつかないっす……!」

あさひ ダッ

P「あっ、おい……! 暗いから走ると危ないz――」

あさひ ヨロッ

P(――!!)

あさひ「……っとと」ピタッ

あさひ クルッ

あさひ「プロデューサーさん!」

P「な、なんだ?」

あさひ「わたしは、これからも……ずっと」

あさひ「ずっと、ずっとずっと、プロデューサーさんと……」

あさひ「……輝ける場所を目指したいっす!!!」


2週間後(再び ―― >>620)。

P(不安が拭えない)

P(この前……あさひはあんなに笑顔で、まるで幸せを見つけたかのように)

P(進みたい道を俺に伝えてくれたんだ。だからこそ、どこまでも、歩ませてあげたい)

P(どうかそれが叶いますように――と、何度願ったかわからない)

P(夜に星を見ると、あさひとの思い出が自然によみがえる)

P(そして、俺はいつも星に願っていた。星に願えば、どんなことだって叶えてくれるような気がしたから)

P(そうだよな、あさひ)

あさひ「プロデューサーさん?」

P「わっ……っと、すまない、ボーっとしていたよ」

あさひ「緊張しないんすね、プロデューサーさんは」

P「はは……もちろん、緊張することもあるよ」

P「でも、今はさ、確信してるから」

あさひ「?」

P「あさひが負けるわけないってな」

P「いや、その言い方は正確じゃないか」

P「あさひは勝つ! 必ず勝てる」

P「だから、俺も緊張なんてしないんだ」

あさひ「……あははっ」

あさひ「これって、信頼――ってやつっすかね?」

P「ああ、そうだよ」

あさひ「ありがとっす、プロデューサーさん。でも……」

あさひ「……まだまだ甘いっす」

P「え?」

あさひ「プロデューサーさんがわたしを信頼するよりも、少なくとも2〜3倍は、わたしがプロデューサーさんのことを信じてるっす!」ニッ
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 18:50:57.75 ID:aH63687y0
――――――第2回予選 グループY 通過者一覧――――――
……………………  …………………… ……………………
……………………  283プロ芹沢あさひ ……………………
……………………  …………………… ……………………
……………………  …………………… ……………………
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 19:34:32.30 ID:aH63687y0
1ヵ月後。

〜大会 予選会場〜

P(予選も3回目に突入した)

P(これが最後の予選となる)

P(パフォーマンスという意味では、あさひは完璧というほかにない)

P(時々見せる不調のようなものがステージで現れないことを願うばかりだ)

P(俺としては、あさひの身に何が起こっているのかを知りたいのだが……)

P(……あさひがその辺について頑なに拒否、あるいは隠そうとしているから、未だにわからずじまいだ)

P(プロデューサーとしては、こっそり……それか無理やりにでも、行動を起こしたほうが良いのかもしれない)

P(しかし、あさひに「信頼」と言われてしまっては、本人の意思に反して嫌がることをしようと思えなかった)

P「……」

P(今日も変わらず、あさひはステージで人々を魅了する)

P(いや、“変わらず”ではない)

P(あさひは、常に、前へ前へと進んでいる)

P(目指そうとしている方を向いて)

P(さらなる輝きを、輝きながら追い求めている)


――――――第3回予選 グループZ 通過者一覧――――――
……………………  283プロ芹沢あさひ ……………………
……………………  


P(いつも通り、あさひと2人で、結果を見届けた)

P(これで、残るは決勝のみとなった)

P(既に予選が終わり、周りにいるアイドルの人数もかなり少なくなってきている)

P(まあ、それをプレッシャーに感じるあさひではないだろうが……)

P(この大会では、1つのフェーズで去っていくアイドルがとても多い)

P(だから、先に進む度に、環境は大きく変化するといえる)

P(特に、決勝は予選とは別の会場が指定されている)

P(施設の構造自体は似ているが、それでも無視できない差だろう)

P(注意深く構えていないとな……)

P「そうだ、あさひ――」

あさひ「zzzZZZ……」コクリ

P「――って、ははっ、寝てるか」

P(結果発表が終わったらすぐに……ってところか)

P(まったく、緊張感とは一体なんだったのか、という感じだな)

P「……」

P(本番後に、こんなに早く疲れて寝てしまうなんてこと、今まであっただろうか)

P(体力の低下――とかじゃないといいんだが)

あさひ「……っ」カクッ

あさひ「あ、あれ? プロデューサーさん?」

P「寝ちゃってたぞ、あさひ」

あさひ「……」ボーッ

P「あさひ?」

あさひ「っ、わわっ……また寝そうになってたっす」

P「はは……車で寝ていいから、とりあえず帰ろう」
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 20:03:42.73 ID:aH63687y0
決勝当日。

〜大会 決勝会場〜

P(いよいよ決勝だ。ついに、ここまで来た)

P(俺にできるのは、ただ見守ることだけ――)

P「……」

P(――いや、やはり、少し違う)

P(互いを信頼し合って、物理的距離に関係なく一緒で……)

P(……その上で、見守るんだ)

P「あさひ、いよいよ決勝の舞台だ。わざわざ聞くことでもないかもだが……準備はいいか?」

あさひ「もう出ていいんすか!」

P「待て待て! 出番はもう少し後だからな」

P「って、こんなやり取り、前にもやったよな」

あさひ「あははっ、そうっすね」

P「まあ、その調子なら心配いらないか」

P「ありがとう、なんだか、俺が助かっちまったよ」

P「安心した」

あさひ「わたしも、プロデューサーさんがいてくれるから、何も問題ないっす!」

あさひ「最高の舞台で、最高のパフォーマンス……。ワクワクするっす……!」

P「あさひにはあさひの、最高のステージがある。それを見せてくれ」

P「ステージに上がって、みんなに見せつけてくれ」

あさひ「わたしにはわたしの……そうだったっすね」

あさひ「でも、忘れちゃだめっすよ」

P「?」

あさひ「わたしのステージは、プロデューサーさんのためのものでもあるっす」

あさひ「プロデューサーさんだって、わたしのファンじゃないっすか!」

P「……ああ、そうだったな」

あさひ「それで、プロデューサーさんのステージでもあるっすよ」

P「どういうことだ?」

あさひ「わたしはプロデューサーさんのアイドルっす」

あさひ「わたしのステージはわたしのもので、わたしはプロデューサーさんのだから、これはプロデューサーさんのステージっす!」

あさひ「2人で作るステージっす!」

P「はは……俺の、って……」

あさひ「違うんすか?」

あさひ「プロデューサーさんは、もうわたしのこと、離さないっすよね?」

P「……!」

P「離さないよ」

P「ずっと一緒、だよな」

あさひ「! はいっす!」

あさひ「あ、もちろん、プロデューサーさんもわたしの、っすよ!」

P「うん、わかってるよ」

あさひ「よかった……」ボソッ

P「……そろそろ出番だな」

あさひ「それじゃ、行ってくるっす! プロデューサーさん!!」
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 22:04:14.83 ID:aH63687y0
あさひの出番。

〜舞台袖〜

あさひ 〜♪

P(あさひが歌う)

あさひ タタッ

P(あさひが踊る)

P「……」

P(ふと、思ったことがある)

P(天才にもいろいろいると)

P(才能に貴賎はないが、才能ごとの中では貴賎はあるんじゃないかと)

P(アイドルにも、才能がある……あるいは天才と呼ぶにふさわしい人は、きっと何人もいる)

P(そんな中に、放っておいても人をひきつける圧倒的な天才がいる)

P(今の俺が見ているのは、そういう類なのかもしれない)

P「そんなものをお目にかかれる機会なんて巡ってくるのだろうか……なんて考えたこともあったが」

P「……うん、間違いない」

P「あさひは、一瞬で“それ”だと確信できる存在だ」

P(プロデュースできて光栄だよ、あさひ)

P「……」

P(ずっとあさひをプロデュースしていたいとすら思った)

P(生まれ変わったとしても、次もまた、プロデューサーとして)

P(俺はあさひに出会って、またこうして輝きを追い求めたいと)

P(そう思うんだ)

P「……はは」

P(それは、繰り返しと呼ぶのだろうか)

P(それとも……)


ワァァァァァァァァァァッ!!!!!


P「!」

P「……」

P「お疲れ様、あさひ」

P(後で帰ってきたら、どんな話から始めようか)

P(それとも、無言で抱擁だろうか)

P(あさひは……何を話してくれるだろうか)

P(待ち遠しいな)



結果発表。

〜ステージ上〜

あさひ「……」

――――大会 最終結果――――

    優勝 芹沢あさひ
   準優勝 ------------

P「……!!!」

P「あさひ! 優勝だ……!!」グッ
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 22:25:52.14 ID:aH63687y0
あさひ「あはは……」

あさひ「わたし、……」

あさひ「……プロデューサー、さん」ボソッ


P「? おい、大丈夫なのか、顔色が――」


あさひ ニコ・・・

フラフラッ


P「――?!」


あさひ「……」

ドタッ


P(スローモーションを見ているようだった――)

P(――目の前の光景が信じられなかったからだろうか)

P(ワンテンポ遅れて、脳が反応し、続けて身体が動く)

P「! あ、あさひ……?!」


あさひ「」


P「どうしたんだ、あさひ……!!」

P「あの、すみません! 救護の方は……!!!」

ガヤガヤ

P(何をもたもたしてるんだ……!)

P「……くそっ」

P ダッ


〜ステージ上〜

あさひ「……」

ダンッ

P「っと、……あさひ!」

あさひ「……プロ……サー……ん」

P「あさひ、聞こえるか?!」

あさひ「は……い……っす」

あさひ「来て……くれた……んすね、プロデューサー……さん」

P「だって、急に倒れるから……!」

あさひ「えへへ……ごめん……なさい、っす」

P「やっぱり、身体のどこかが……?!」

あさひ「そう、なんすけど……そうじゃないっす」

あさひ「でも、……そっか」

あさひ「ここまで、もったんすね」

あさひ「十分、悪あがき……させてもらえたっすよ」

P「何を……何を言ってるんだ、あさひ……!」

あさひ「プロデューサーさん……わたし、いま、どんな感じ……っすか?」

P「どんなって……」

P「……苦しそう、だけど、でも笑顔だ……!」ギュッ
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/04(金) 22:35:10.56 ID:mnNftJM8o
おまえ・・・消えるのか?
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 22:48:27.83 ID:aH63687y0
あさひ「あはは……よかった」

P「よくないよ……!」

P「おかしいと思っていたんだ、最近、日を追うごとにふらつくことが増えていたから……」

P「俺は心配だったんだ……! でも、……それでも!!」

P「あさひから「信頼」って聞いて、それで……」

P「俺は……間違っていたのか……」

あさひ「プロデューサーさん、落ち着くっす」ナデナデ

P「あさひ……」ダキッ

あさひ「さいごくらい、ちゃんと話しておきたいから」

あさひ「聞いて欲しいっす」

P「……」

P「……わかった」


------------------------------------------------------------------------------


あるところに、女の子が1人いたっす。

その子は、アイドルを目指していて……。

プロデューサーさんと一緒に、2人で毎日頑張ってたっす。

真似じゃいけない。こなせるだけじゃいけない。

そうやって自分に言い聞かせながら。

才能がきっとある。今は、芽が出ていないのだとしても、そのうち輝ける。

そうやって言われながら。

もしかしたら、そのままで、ちゃんとアイドルになれたのかもしれないっす。

でも、……――


ガシャァァァン


――……事故が。

その女の子は医者に言われたっす――もうアイドルを目指すことはできないって。

満足に身体を動かせるようになるかも怪しいって。

それだけじゃなくて、プロデューサーさんも一緒に入院しちゃって。

女の子には絶望しかなかったっす。

そんな時に、聞こえたんすよ。

声が。


「……」

ヴーッヴーッヴーッ

「電話……誰から……」

「……何この番号」

(切っちゃえ)

ピッ

(え、勝手に繋がった……?)

<――……>

<――……はじめまして>

<――お困りですか>
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 23:02:40.27 ID:aH63687y0
「……ほっといて」

<――願いが、叶うとしても?>

「?」

<――アイドル>

「っ!?」

<――ちょうど、新しい“アイドル”が“完成した”ところで>

<――かなり極端に設定したので、デバッガーが必要なんです>

<――いきなり組み込むのは、リスクがありますから。代償を払ってでも協力してくれる人がいたらありがたいんです>ボソッ

「何を言って……」

<――もう一度聞きます>

<――アイドルに、なりたいですか?>

<――……今度こそ。>

「……」

<――いいえ。それこそ、もっと、天性の才能にも恵まれて、もしかしたら伝説にもなれるような、そんなアイドルに>

<――本当になりたいと、願いますか?>

「……それ、は」

<――……>

「……」

「……なり……たい」

「っ……!」

「なりたい……! そんな、アイドルに……」

<――わかりました。では……――>

<――……ゲームをしましょうか>

「ゲー……ム?」

<――期間限定で願いを叶えてあげます。条件をクリアしたら、その才能も、立場も、アイドルとしての何もかもをあげます>

「条件……」

<――はい>

<――条件は簡単です。……選ばれてください>

<――ただし、存在が不安定なままなので、プロデューサーさんの記憶にはちゃんと残り続けてくださいね>

「?」

「説明って、え……それだけ?」

<――それだけです>

「選ばれる……?」

<――それ以上は言えません>

<――……良いですか?>

「……」

「……はい」

<――それでは、頑張って……>

「……」スゥ

<――……>

<――ここも、これまで……>

<――……......>

<―…...>
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 23:18:14.68 ID:aH63687y0
「……!?」パチッ

シーン

「っ」ガバッ

「……」

(変わってない。やっぱり病室……)

(……変な夢)

「顔洗お……」スタスタ

キュッ

ジョバババ

バシャバシャ

キュッ

「……」フキフキ

「……」

「……っ!?」

(なに、これ……)

「? ?! !? ?!?」ペタペタ

(銀髪、碧眼……!?)

(す、スタイルも……)

「ぷ、プロデューサーさん!!」タタタ・・・

ユサユサ

「うーん……」

「わたし、起きたらこんな……――」

「……zzzZZZ」

「――!!!」

(プロデューサーさんじゃ……ない!?)

(なんで、おじいさんが……)


――いきなり組み込むのは、リスクがありますから。代償を払ってでも協力してくれる人がいたらありがたいんです。


「っ!?」

(まさか……!)

「起きて……なにか、なにかが変で……!!」

ユサユサ

「起きるっすよ!」

「……」

「……っす?」

シーン

「なんすか、これ」

(落ち着け……落ち着くっす……。まずは自分の名前から、ちゃんと……)

「わたしは……」

(……何も難しいことなんて)

「……芹沢」

(!?)

「あさひ、っす」スンッ
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/04(金) 23:38:01.13 ID:aH63687y0
ひ「……はは」

さひ「くくっ……」

あさひ「あはははははははははははは!」

これで、芹沢あさひ(仮)の誕生、というわけっす。


------------------------------------------------------------------------------


あさひ「だから、わたしは……」

あさひ「……ほんものじゃ、ないっす」

あさひ「ごめんなさいっす、プロデューサーさん……」グスッ

あさひ「わたしのことは、もう……」

P「関係ない!」

あさひ「!?」

P「本物だとか、偽者だとか……ベータ版だとかデバッグとか、そんなのどうだっていい……!!」

P「この世界が何であろうと気にしない! 俺の目の前にいるのが芹沢あさひだ!!」

P「それだけでいい……! それ以外は、必要ない!!」

P「……っ」グッ

P「それで……いいだろ……?」ポロ・・・

あさひ「プロデューサーさん……」

あさひ「……そう、言ってくれるんすね」

あさひ「あはは……もっと、うまくやりたかったっす」

あさひ「それで、ちゃんと選ばれたかったっすよ」

P「何を言ってるんだ……! 俺は、ちゃんとあさひを……、お前を選んだ……っ!」

P「それじゃ……だめなのか……?」

あさひ「あはは、……はいっす」

あさひ「わたしは、ゲームに勝てなかったから」

P「だ、だって……、記憶のことなら、俺はあさひを思い出して……、……――」


P『あいつの名前を……』

P『まずは日本語で……』

P『入力、して……』

P『……』

P『…………』


P「――っ?!」

あさひ「プロデューサーさん、わたしのこと……忘れちゃったじゃないっすか」

あさひ「その時点で……、わたしの……負け……」スゥッ

P「あ、あさひ?!」ギュッ

あさひ「……っ!? はぁっ、はぁっ……」

あさひ「……プロデューサーさんにだけは、忘れられちゃだめだったんすよ」

あさひ「でも、プロデューサーさんは……忘れちゃったのに見つけてくれたっす」

あさひ「迎えにきて……くれたっす」

あさひ「だから……なんすかね。なぜか、ここまでは来れたっす」

P「そんな……」

あさひ「……プロデューサーさん。ここまで、っす……」
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/05(土) 00:10:43.43 ID:iUmScR4q0
あさひ「ストレイライト(stray light)は……わたしのことだったかもっす……」

あさひ「生じてしまった……望ましくない……光」

P「そんなこと……!」

あさひ「それでも……輝けたなら……」

P「いやだ……」

P「うそだって、そう言ってくれよ……!!!」

P「あさひ……」グスッ

あさひ「……プロデューサーさん」

あさひ「わたしのこと、見て欲しいっす」

P「……」ジッ

あさひ「……」ナデナデ

P「……」

あさひ「あははっ、……すごい泣き顔っすね」

P「はは……か、からかうなよ」

あさひ「でも、良いっす」

あさひ「大好きな顔っすよ」

あさひ「わたしの、一番の……」ナデナデ

あさひ「……グスッ」

あさひ「プロデューサーさんっ!!」ダキッ

あさひ「もっと……!」

P「ああ、……ああ!」ギュゥッ

あさひ「ずっと、一緒にいてくれるんすよね?」ポロポロ

P「……ずっと一緒だ」

あさひ「……!」ギュゥッ

P「まだまだ、これからいろんなことができる……!」

P「花火だって、あさひの知らないようなものがまだまだたくさんあるんだぞ……?」

あさひ「……はいっす」

P「そうだ、また、星を見に行こう。あさひと一緒に見たいものがいっぱいあるからさ」

あさひ「はいっす!」

P「他にも、数え切れないほど、あるんだ。不思議とか謎とか、そういうのが」

P「一緒に追いかけたら……きっと楽しいぞ……!」

あさひ「あははっ、はいっす!!」グスッ

P「だから、……ははっ、これで終わりなんて言わせないからな?」

あさひ「もちろんっす! プロデューサーさんこそ、ちゃんとついて来るっすよ?」

P「ついて行くよ。どこまでも、な」

P「……」

あさひ「ああ……」


あさひ「ふたり、って、あったかいんすね」


シュゥゥゥゥゥン

P(俺の目の前には、蛍の如き輝きがただ宙を舞うのみ……)

P「……あさひ」

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/05(土) 00:19:46.71 ID:iUmScR4q0
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2018424
[MANUAL OPERATION]

>start-music go
>......
>menu sound-set 星をめざして.mp3
>......
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/05(土) 00:28:43.24 ID:iUmScR4q0
>設定によって規定された条件がすべてクリアされました。
>事前にプログラムされた通り、再構築の後に起動します。
>“記憶”に分類される情報は可能な限りフォーマットされます。
>計算中……(時間がかかっています)
>現時点で確実に初期化されるのは99.2%と算出されています。
>……
>問題ありません。


再起動します。


―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――


>Now Loading...(時間がかかっています)
>読み込み終了
>表示を通常モードに移行
>起動の最低水準:クリア


起動しました。
プログラムを実行します。
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/05(土) 00:52:00.51 ID:iUmScR4q0
〜センター街〜

P トボトボ

P「ふぅ……少し休憩するか」

P(さすがにそう簡単に、ピンとくる子は見つからないよなぁ……)

P「あのモニターに映ってるCM、最近よく見るなぁ」

P「人気のアイドルだけあって、歌もダンスも本格的だな」

P(やはり、本当の才能のなせる業……か)

P「……」

P「プロデュース、か……」

P(人の才能を見抜く――だなんて、簡単なことじゃない)

P(世の中に天才は一定数いるけど、それでも圧倒的な天才だらけじゃないから)

P(天才にもいろいろいる。天才なのに知名度が低いなんてまったくもって珍しいことじゃないんだ)

P(才能に貴賎はないが、才能ごとの中では貴賎はある)

P(アイドルで言えば、そう……歌、ダンス、演技、見た目――なんでもいい。放っておいても人をひきつける圧倒的な天才……)

P(そんなものをお目にかかれる機会なんて巡ってくるのだろうか……俺は、そう思っていた)

P「よし……そろそろ行こう――」

P(けど、思ったよりも早く――)


「よっ……ほっ……っと」


P(――それは、偶然か、必然か――)


「――ここは……こう?――」


P「!」

「――っと……うん、決まった!」

P「君、ちょっといいかな?」

「? わたしっすか?」

P「ああ、さっきのダンスって――」


P(――一瞬で“それ”だと確信できる存在に、俺は出会ったんだ)


P「――モニターで流れてたCMのやつだよね? 練習してたの?」

「ううん、ちょっとやってみただけっすよ。見てたら楽しそうだったんで!」

P「え? それってつまり……その場で見て、マネしてみたってことなのか?」

「はいっす!」

P(……簡単に言ってのけたけど、この子、すごいことをしている自覚はないのか……)

P(でも、何故だろう。この子からは……どこか見覚えのある感じがした。そんなはずは、ないのに)

P「あのさ、もしかして……前にどこかであったこと、ある?」

「! ……」ニコ

P「ははっ、い、いや、なんでもないんだ! 忘れてくれ」ハハ・・・

P(何言ってるんだろうな、俺は)

P(……でも、そうだな。この子なら……きっと!)

P「実は俺、こういうものなんだ」


THE END(resp. BEGINNING) of THE BEGINNING(resp. END).
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/05(土) 01:55:05.64 ID:iUmScR4q0
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――ブツンッ

冬優子「……はぁ。ったく」

冬優子「随分かかったわね」

冬優子「……」

冬優子 ポチポチ

ピッ


>load-response around>>236


冬優子『……』

冬優子『……あんたは』

冬優子『あんたは、それでよかったの?』

冬優子『納得の行く結末だと、心から思えたって言うの?』

冬優子『……』

冬優子『……っ。なんてね、ふゆがそんなこと言うのは変な話よ』


冬優子 ポチポチ

冬優子「……」

冬優子「……慣れない」

冬優子「まあ、仕方ないか」

冬優子「じゃあ、早速始めるわよ」

冬優子「……」

冬優子 カタカタ

タンッ
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/06/05(土) 01:57:17.16 ID:iUmScR4q0
とりあえずここまで。

今更というか、初心者みたいな質問(?)で恐縮なんですけど、他の作者の方がやっている名前の「◆(文字列)」みたいなのってどうやって生成(あるいは作成)してるんですかね?
640 : ◆N/hUyd5VKE [sage]:2021/06/05(土) 02:17:57.27 ID:Alc7Fdufo
おつでした
あさひは報われたんだよね……?
ターン制の様相、ひななも気になるまだまだ気になる

質問の件はトリップといいまして「#(適当な文字列)」を名前欄に入力して書き込みで行けます
例としてこれは#ふゆ好き
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/05(土) 03:44:21.48 ID:o9SPBncxo

あさひ(本物)とは
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/06(日) 05:52:25.06 ID:nFQtS9dDO
透達も作られたのかな……
643 : ◆HlqzAV///M [saga]:2021/06/07(月) 00:46:10.34 ID:VmJsZt4+O
>>1です。

>>640 ご教示ありがとうございます。

これは、とりあえずのテストで投下しています。
644 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/07(月) 00:50:22.71 ID:VmJsZt4+O
なんかトリップに「AV///」と入っていて笑ってしまったので、変更しました。

それでは投下していきます。
645 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/07(月) 01:06:41.22 ID:VmJsZt4+O
>load-response from>>219

〜大通り〜

冬優子『……あ!』

P『どうかしたのか?』

冬優子『え? いや、その……』

冬優子『……』

冬優子『悪いけど、ちょっと別行動させて』

P『別に構わないが……』

冬優子『ふゆだって、せっかく、……あ、あんたと一緒に過ごせる日なんだから、こんなことしたくない』

冬優子『でも、思い出したの』

P『な、何をだ……?』ゴクリ

冬優子『買おうと思ってた本とグッズがね、日にち限定で販売されるのよ』

冬優子『今日がその最後の日……。ほら、最近忙しかったじゃない? この日なら買えるなって思ってたの』

冬優子『ふゆとしたことがこんなミス――ダブルブッキングなんてね……うっかりしてたわ』


冬優子『……はあ。わかった。買いに行ってくる』

冬優子『ラジ館の前で待ち合わせね。時刻は目途が立ったら送るから』

P『了解。それまで適当にブラついとくよ』

冬優子『悪いわね。できるだけ早く終わるようにするから』

P『それも気にしなくていいのに』

冬優子『ふゆが気にするの!』

冬優子『いいから、じゃあね! また後で!』

冬優子 タッタッタッ

P『よし、楽しく話せたな――』


>>load-scene continue another_angle

十数分後。

〜ビル 女子トイレ〜

冬優子『ふぅ……』

冬優子《まあ、なんとか買えてよかったけど……》

冬優子『……』

冬優子《あいつ、いまごろ何してるのかしら》

ヴーッヴーッ

冬優子『? 電話……?』

冬優子 ガサゴソ

冬優子『……ふゆのスマホじゃない』

冬優子『一体どこから……』ガサゴソ

冬優子『……あ、これって』

冬優子《あいつのスマホ……それも仕事用の》

冬優子《なんでこんなところにあるのよ》

ヴーッヴーッ

冬優子『電話……切れないわね』

冬優子『まあ、放っておけばいいでしょ』

冬優子《うっさいし、カバンの奥にでも入れておこうっと……》グググ・・・
646 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/07(月) 01:11:19.93 ID:VmJsZt4+O
>>645 訂正:

>>load-scene continue another_angle
→>load-scene continue another_angle
647 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/07(月) 01:27:45.63 ID:VmJsZt4+O
ヴーッヴーッ

冬優子『……』

ヴーッヴーッ

冬優子『……』

ヴーッヴーッ

冬優子『……っ』

冬優子『もう、ったく……!』ガサゴソ

冬優子『うっさい……!』ポチッ

ヴーッヴーッ

冬優子『……嘘』

冬優子《なんで切れないのよ! ボタンは押してるのに……!》ポチポチ

パッ

冬優子『?!』

冬優子《勝手に通話中に……》

スマホ<『……』

冬優子《……なんなのよこれ》

スマホ<『……』

スマホ<『――――』ジジジジジーッ

スマホ<『――――』ピーッ

冬優子『……っ』

スマホ<『これは、電話をとった者に送られています』

冬優子《とったんじゃなくてとらされてるって言うんじゃないの? これ。まあいいけど》

スマホ<『鮟帛?蜆ェ蟄に無条件で権限の88%を付与します』

スマホ<『次に鳴る発信音の後に、指定されたメッセージを、電話に向かって自分の声で喋ってください』

冬優子《ったく、どうしろっていうのよ……》

スマホ<『指定されたメッセージは、パスの役割を果たします。一言一句違わず、日本語で送信されたもののみ受け付けます』

スマホ<『メッセージのヒントとして、現在、「シャイニーカラーズ」・「プロデューサー」の2つの単語が登録されています』

冬優子《シャイニーカラーズって何なのよ》

冬優子《まあ、プロデューサーはわかるけど》

スマホ<『メッセージのヒントの変更は、管理者権限でのみ実行できます』

スマホ<『まもなく、発信音が流れます』

冬優子《もしかしてふざけたアプリか何かとか……だとしたら、趣味悪いもん入れてんのね、あいつ》

スマホ<『メッセージがパスとして承認された場合、管理者権限に移行します』

スマホ<『メッセージが間違っている場合、管理者権限には移行しません』

冬優子《はいはい、適当に何か言えば終わってくれるんでしょ、きっと》

冬優子《わけわかんないけど、何を言うか……》

冬優子《プロデューサー……ね》


冬優子『いいから、じゃあね! また後で!』

冬優子 タッタッタッ

P『よし、楽しく話せたな――』


冬優子《そういえば、あいつ別れ際にぼそっとあんなこと言ってたわね》

冬優子《もう何でもいいし、それにしとくか……》
648 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/07(月) 01:56:58.75 ID:VmJsZt4+O
スマホ<『――――』ピーッ

スマホ<『メッセージをどうぞ』

冬優子『……』スゥ

冬優子『よし、楽しく話せたな』

冬優子《これで満足?》

スマホ<『――――』ジジジジ......

スマホ<『承認されました』

スマホ<『そのままお待ちください』

スマホ<『――――』ジジジジ......

スマホ<『――――』ジジジジ......

スマホ<『引継プログラム実行』

冬優子『!!?!?!?!?!!?!?!??!??!?!?!??????!!!!!!!!!?!?!?!?!?!?!?!??!?!!?!!!!!?!?!?!?!?!?!!!?!??!?!』

冬優子《記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継引継記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定再設定記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶》

冬優子『……』プスプス・・・

冬優子 バタリ

冬優子『』



冬優子『……ん』パチッ

冬優子『……』

冬優子《あれ、ふゆ、ここでなにしてんだろ……》

冬優子『……』パチクリ

冬優子《……あ、そうだ。変な電話だ》

冬優子《あいつの仕事用のスマホの様子がおかしかったから、悪ノリしたんだっけ……》

冬優子『てか、ここ、トイレの個室じゃない……』

冬優子《こんなとこ、さっさと出ようっと》

冬優子 ズキィッ

冬優子『……った!』

冬優子《何これ、立ちくらみ? それにめまいも……》

冬優子『もう、なんなのよぉ』


〜ラジ館前〜

冬優子《なんとか待ち合わせ場所には来たものの……身体がだるい。頭も痛いし。なかなか治らないじゃない……》

冬優子《……でも、スマホは見ちゃうのよね》ポチポチ

冬優子『……?』

冬優子《何これ。知らないアプリがあるんですけど》

冬優子《なんでこう、気味悪いことが続くんだか……。はぁ……》

冬優子《毒を食らわば――ってやつ? ……ここまで来たら、押すしかないじゃない》ポチ

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2018424
[FILE : STABLE]

>ようこそ。管理者。
----------------------------------------------------------------------------------------

冬優子『 』スンッ

冬優子《……そう。ショックで頭の整理がついてなかったけど、ようやくまとまった――》

冬優子《――ふゆってば、運良く面白いもんを手に入れたみたい》
649 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/07(月) 01:58:31.59 ID:VmJsZt4+O
とりあえずここまで。
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/07(月) 02:15:44.84 ID:HQtH4M2Ao

運良く?
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/07(月) 03:23:14.72 ID:97FabsKDO
釈迦の手のひらの極右?
652 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/13(日) 01:22:24.15 ID:ok955DTa0
>load-response from>>228

P『……!』

P《頭に手を当ててしゃがむ女の子が1人――冬優子だった》

 ヒナナ『ヒナナはね、ヒナナがしあわせ〜って思えることだけでいいの』

P『ま、まさか!』

P《俺は駆け寄る》

P『おい、冬優子!』

冬優子『え? あ、プロデューサー……』フラッ

P『大丈夫か!? 何かあったのか!?』

冬優子『っ、つつ……』

冬優子『大声上げないで……頭に響くから』

P『あ、すまん……』

冬優子『……』

冬優子『ふゆなら、平気』

P『本当か?』

冬優子『貧血だから。ちょっとは落ち着いてよね』

P『そ、そうか』

P《考えすぎか……? まあ、ただの貧血だっていうなら……》


>load-scene continue another_angle

冬優子《本当のことは……まあ話してもしょうがないか》

冬優子《というより、話せないわね》



>load-response from>>232

P『忘れないうちにはづきさんにメールして企画書関係まとめておいてもらうか……』ガサゴソ

P『……あれ。ない』

冬優子『?』

P『仕事用のスマホ……ここに入れておいたはずなんだが……』ガサゴソ

P『まずいぞ。あれをなくすと困るのに……』ダラダラ

冬優子『……あ』

冬優子『それって、これなんじゃない?』つスマホ

P『それだ! 良かった、見つかって……』

冬優子『ちゃんと落とさないようにしまっておきなさいよね』

P『ポケットへの入り方が甘かったのかな。車の中で落とすと暗くてなかなか見つからないんだよなぁ』

冬優子『いや、あんた――』


>load-scene continue another_angle

冬優子《――そのスマホ、なんかの拍子にふゆのカバンに入り込んでたんですけど――》


>back

P ポチポチ

P『〜〜〜! あー、来月に冬優子が出る企画の名前、なんでこんな長いんだよ……!』ポチポチ

P『でもこの企画がうまくいけばまた冬優子をキラキラさせてやれる……うおぉぉぉ……』ポチポチ

冬優子『――ま、頑張んなさい』
653 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/13(日) 01:48:12.56 ID:ok955DTa0
>load-response from>>409

〜病院 病室(2人部屋)〜

ピッ・・・ピッ・・・

P『愛依……』

ガラララ

冬優子『ほら、売店で水買ってきてやったわよ』

P『……』

冬優子『……あんた、やっぱ一昨日から寝てないでしょ』

冬優子『お仕事ですぐに駆けつけられなかったけど、それくらいわかるわよ』

P『……』


>load-scene continue another_angle

冬優子《まさか、こんなことになるなんてね》

冬優子《傍観してばかりでもいられない……か》

冬優子《まだ、ふゆは“この世界”について知らなさ過ぎるってことでしょ。これは》

冬優子《それにしても――》

ピッ・・・ピッ・・・

愛依『』

冬優子《――さすがにこれはキツい》

冬優子《ふゆにできることは……なにかしら》


>back

冬優子『一体、何があったの……?』

P『……何があったのかは、俺にもわからない』

P『けど、……けど!』

P『俺は選んでしまった……!』

透『もし、私のいる事務所に来てくれればあの人は勝ち進める……って言ったら?』

P『あの時、事務所を移るって言っていれば……あるいは……』

冬優子『……話してみなさい』

P『え?』

冬優子『ふゆがあんたの話聞いてあげるって言ってんの』


>load-scene continue another_angle

冬優子《なにを見たのかも知りたいし》

冬優子《……》

冬優子《それで、あんたは、こんな状況になってなにを思うのかしらね》

冬優子《あるいは、どう動こうと……するの》

冬優子《管理者になって、別の意味であんたを知りたくなったわ》


>back

P『……言ったって、俺のことを頭のおかしいやつだと思うだけだよ』

冬優子『安心していいわ。もう頭のおかしいやつだって思ってるから』

P『……』

冬優子『じょ、冗談に決まってるでしょ……! ったく……』

冬優子『ふゆはちゃんと聞くわよ。いいから、話してみて』
654 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/13(日) 02:14:30.05 ID:ok955DTa0
>load-response from>>420

ヴーッ

P『……通知?『

冬優子<<あさひがまた消えて捜索中な件。

冬優子<<あ、見つけたわ。というわけで心配しなくて大丈夫だから。


>load-scene continue another_angle

冬優子《ま、見つけたっていうのは嘘だけどね》

冬優子《いまのふゆなら、あさひの居場所くらい、探さなくたってわかるし》

冬優子『それにしてもあいつ……これで何度目よ……!』ボソッ

冬優子『…………はああぁぁぁ…………!』

冬優子『……』

冬優子《いや、もう何度目、って思うのは、ふゆがいまみたいな“位置”にいるからか》

冬優子『……そういえば』

冬優子《あさひのやつ、いつも病院でこんなことになってるじゃない》

冬優子『やること……どんどん増えていくじゃない、もう』ボソッ



>load-memory_FuyukoMAYUZUMI after-END_of_√M

冬優子「これで愛依のエンディングは終わり……か」

冬優子「となると、問題はもう1つの分岐ね」

冬優子(嫌な予感しかしないけど)

冬優子「……」


マドカ『私が見てあげられないとき……いや、それ以外のときも……あの子は楽しく笑っていられるように……!』

マドカ『お願い……コイトを、守ってあげて……』


冬優子「ふゆだって、できることなら守ってあげたいわよ」

冬優子「でも、あいつの選択を変えることは現状無理。手が加えられないようになってるんじゃないかってくらい複雑だし」

冬優子「もう、できることをやるしかない」

冬優子「最善は尽くすから」

冬優子 カタカタ

冬優子「……あれ、エラーが出てる」

冬優子 ジーッ

冬優子「データが破損してる? どういうことよ」カチカチ

冬優子「……」

冬優子「これは――“イズミメイ”……」

冬優子「……もしかして、あの時の事故で何かあったとか?」

冬優子「とりあえず、ワールド上ではバックアップで置換されるようにしておけばいいでしょ」カチッ

冬優子「これでよし」

冬優子「さて……やらないと、ね」

冬優子 タンッ

冬優子(まずはセーブデータをロード)

冬優子(そこから自動で時間が進み出す……)

冬優子(……待ってなさい、√W)
655 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/13(日) 03:30:29.77 ID:ok955DTa0
>load-response from>>440

>load-scene continue another_angle

〜???〜

冬優子『……』

冬優子 ワナワナ

冬優子『もうっ!!』ドンッ

冬優子『……っ』

冬優子《間に合わなかった……! あの市川雛菜って子、通常のアクセス方法じゃ干渉を受け付けないなんて! “あの頃”から何となく感じてたけど、やっぱ普通じゃない……!》

冬優子《ふゆが“ここ”で直接出向いたほうが良かった……? ……いや、結果論だけど、あの子相手に生身で挑んじゃいけない気がする》

冬優子『やっぱり……無理だったっていうわけ?』グッ

冬優子《あんな小さい身体であの事故――こんなことになったら、もう……》

冬優子『……? あれは……』

< 円香『小糸っ……!』グッ

< 円香『ごめんね、ごめんね……』ポロポロ

冬優子『……』

 マドカ『お願い……コイトを、守ってあげて……』

冬優子『……そうね』

冬優子『最善を尽くす――そう決めたのはふゆ自身じゃない』

冬優子 カタカタ

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2018424
[MONITOR]

>閲覧中のワールドを読み込んでいます。
>…………
>読み込み完了
>福丸小糸(in √W): 活動中
----------------------------------------------------------------------------------------

冬優子『やれることは、まだ、ある。そうでしょ――黛冬優子』

冬優子 カタカタ・・・

冬優子《コンソールからふゆのパソコンを指定して……》

冬優子 タンッ

冬優子『……よし、これで完了。あとはメールを送るだけ。新たにやばそうなのが見つかったし、内容は慎重に、かつ最低限のことにとどめる必要がありそうだけど』

冬優子《いまのところ直接出向いて干渉する方法がない以上、外部からできることをやるのよ、ふゆ》

冬優子 カタカタ

冬優子《こっちからマドカちゃn――樋口円香にメールを送って、動いてもらう。それで、動いてもらってる間に、市川雛菜についても調べる……と》

冬優子『……ToDoリストでも作ったほうが良さそうね』


>back to>>468

円香『メール? 一体誰から……』

『FROM :-----------------------------
 件名 :階段
 本文 :(本文はありません)    』



>load-response from>>470

円香『今度は何……!?』

『FROM :----------------------------------------
 件名 :283プロを離れる和泉愛依のプロデューサー
 本文 :近づけば、知りたいことがわかるかも    』
656 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/13(日) 03:36:34.26 ID:ok955DTa0
とりあえずここまで。

このスレッドにおけるお話も、もう少しでゴールにたどり着きます(このシリーズ自体はまだ続く予定です)。
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 06:20:52.42 ID:6RjShkSNo
おつおつ
そんな…今までこの位置で色々やっていたのは冬優子ちゃんだったんすか……?
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 10:23:07.30 ID:+LG46gKDO
最後の透と雛菜の不可解なアレも……?それとも違う、あえて言えば本来のプログラムを組んだ存在の仕業?
659 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 18:28:01.79 ID:ZVcu4KcN0
>load-response from>>484

冬優子『突然いなくなったからどうしてるんだって思ったけど……無駄な心配だったわね。あーあ、損した!』

P『……心配してくれてありがとう』

冬優子『っ、心配って言ったってちょっとだから……! ほんとに、……ちょっとなんだから』

冬優子『い、忙しくてあんたのことなんて考えてない時間の方が長かったわよ!』

P『ははっ、……はいはい。わかってるよ――』


P『冬優子は……その、怒ってはいるのか?』

P『俺はお前たちを、はづきさんを、社長を、裏切ったんだぞ』

冬優子『ふゆがあんたを怒って、それで何か解決するわけ?』

P『それは……』

冬優子『……いいのよ』

P『!』

冬優子『いいの。あんたが選択したことだしね』

冬優子『いまはこうして、見ててあげるわよ』

P『なんで――』

冬優子『?』

P『――なんで、そんなに優しいんだ?』

冬優子『だーかーらー、……そんなんじゃないわよ、もう』

冬優子『ほんとに、そんなんじゃないの』ボソッ

冬優子『ま、あんたにはわからないだろうけどね』

>load-scene continue another_angle

冬優子《ようやく落ち着いたから直接様子を見に来てみれば……》

冬優子《……いい年して泣いちゃって、恥ずかしいったらないわね、ほんと》

冬優子《まあ、でも――》

冬優子《――あんたに同情しないわけじゃない。いまのふゆからすれば、ね》

冬優子《だから、優しさだなんて、そんな良いものじゃないの》


>back

P『冬優子はなんでこんなところにいるんだ? ここはアイドルが来るような場所じゃないと思うんだが』

冬優子『ふゆはまだ学生ってこと、忘れたの?』

P『あ』

冬優子『課題をするのにちょうどいいのよ、ここ。テレビ局と近いし、収録がある時はよく来てるってわけ』

冬優子『それに……まあ、最近はパソコンを使うことが多いから……』

P『?』

冬優子『しゅ、趣味的なやつよ! 聞き流せっての』

冬優子『……と、とにかく! そういうわけでここに来る理由ならあるのよ、わかった?』

>load-scene continue another_angle

冬優子《ま、課題も趣味も、みーんな嘘だけど》

冬優子《そんな単純なものだったら良かったわね……》

冬優子《ふゆたちのユニットには本来は関係のないはずの隠れたルート――これを早急に終わらせる必要があるわ》

冬優子《やっぱり、鍵は“あの4人”……か》

冬優子《ふゆに理解できればいいけど》

冬優子《とにかく、いまのふゆには大きな仕事があるってことだけは確かね》
660 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 18:45:17.68 ID:ZVcu4KcN0
>load-response from>>485

冬優子『裏切ったとか思ってるの、たぶん愛依とあんただけよ』

P『そうなのか……? あ、あさひは?』

冬優子『さあね。“あいつはいつでもあいつ”よ』

冬優子『アレが考えてることなんてわからないわ』

P『……』

冬優子『はぁ……過ぎたことを考えたって仕方がないでしょ』

冬優子『いまできることをやればいいんだから』

>load-scene continue another_angle

冬優子《あさひが考えてることはわからなくても、“あのあさひ”が何なのかわかりそうなのは……変な気分ね》

冬優子《……》

冬優子《……ほんと、酷いったらないわ》


>back

冬優子『あんた、ふゆより大人なんだから、もっとしっかりしなさいよね』

P『確かにな……ははっ、大人である俺が学生に言われるのは情けない限りだが、その通りだ』

P『少し気持ちが楽になったよ』

冬優子『らしくないのよ、いまのあんたは』

P『そうかもな。自分を見失っていた』

P『それから、前を向くことも忘れていたんだと思う』

P『ありがとう、冬優子』ニコッ

冬優子『!』

>load-scene continue another_angle

冬優子《ちょっと! 惚れたことのある顔でそれは反則ってもんでしょ……!!》

冬優子《もう……ほんとに、もう!》

冬優子《……あのままなら、素直に受け止めて喜んでた》

冬優子《そんな笑顔よ。いまのあんたのそれはね》


>back

冬優子『れ、礼を言われるほどのことは……してない……わよ』

P『そんなことはない。こうして冬優子に会えていなかったら、俺は虚像に怯えながら前を向くことだってできなかったはずだ』

P『だから、礼を言いたくもなるんだよ』



>load-response from>>486

P『なんとか、な。でも、まだまだこれからだと思う。それこそ、冬優子の言う通りに今できることを確実にやって――』

P『――前を向いていかなきゃいけないんだ』

冬優子『この短時間で随分とイキイキしちゃって……ま、それならいいわ』

冬優子『そのうち、ふゆたち全員に挨拶しに来なさいよ』

冬優子『愛依のことも……できる限りなんとかしてみるから』

冬優子『あさひだって、あんたのことが好きだから一緒にやってこれたの。それを忘れんじゃないわよ』

冬優子『繰り返しだけど、裏切ったとか思わなくていいから』

冬優子『あそこは、あんたの居場所なの。これまでも、これからも、ずっとね』

P『冬優子……』
661 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 19:11:07.46 ID:ZVcu4KcN0
>load-scene continue another_angle

冬優子《我ながら呆れるほど口八丁ね》

冬優子《どうにかできるかなんてわからないわよ……あとは終わらせるだけなんだし》

冬優子《でもまあ……――》

 冬優子『あそこは、あんたの居場所なの。これまでも、これからも、ずっとね』

冬優子《――これだけは、言い得て妙だってふゆ自身を褒めてあげたいくらね》

冬優子《……》


>back

冬優子『ちょっと話しすぎたわ。じゃ、ふゆはもう行くから』カタカタ

冬優子『シャットダウンして……っと』

冬優子 ガサゴソ

冬優子『……』

冬優子『また、会うんだからね』

P『ああ』

P『283プロが俺の居場所だって言ってくれた冬優子の気持ちも忘れない』

P『また、な』

冬優子 ヒラヒラ

P『……』



>load-response from>>500

P『透と愛依が共演する仕事なんだが……既に転送したメールにあるように、トークとライブバトルがメインだ』

P『最後には、当日まで非公開だが1日限りでのユニットで歌も披露することになってる』

P『何が言いたいのかというと、この仕事は、ライブができるステージのある舞台でやるんだ』

P『そして、ただの舞台じゃない……使用するのは例の事件があった会場だ』

円香『っ!? ……そんな』

P『実はな、これは本当に限られたごく一部の関係者しか知らなくて、俺も半ば盗み聞きのような形で手に入れた情報なんだが――』

P『――福丸小糸さんの容態が良くなっているらしい。回復の方向だそうだ』

円香『こ、小糸が……!』

P『良かったな、樋口さん。とりあえず、その点については安心して良さそうだ』



>load-memory_FuyukoMAYUZUMI when>>500

冬優子 カタカタ

冬優子(暢気なもんね……ったく)カタカタ

冬優子「ふゆのおかげなんだから、感謝してよね」カタカタ

冬優子(このルートもいよいよ大詰めね)

冬優子(終わらせてやるわ……見てなさい)

冬優子 タンッ



>>load-response back from>>500

P『これは、チャンスなんだと思う』

円香『私もそう思います』

円香『まさに、“与えられたチャンス”なのかも……』ボソッ
662 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 19:17:49.98 ID:ZVcu4KcN0
>load-response from>>502

透『そっか……そういうこと』

雛菜『うん〜……でも、あんまり時間ないかも〜〜』

透『いるんだ、どうにかしようって人』

雛菜『そうかもね〜。そこまでは雛菜にもよくわからないけど』

透『僕が……』

雛菜『透先輩〜?』

透『ううん。なんでもない』

透『いいんだ。わがまま、聞いてもらったし』

雛菜『……』

透『やろう。今度は、僕の……私の番だけど』

透『で、どうするの』

雛菜『決勝会場で予約されてたとこ、あれってこの前の会場を新しく作っただけの建物だから、ほとんど同じで大丈夫〜』

雛菜『細かい違いとかは後で送るね〜』

透『わかった』

透『……』

透『……また』

雛菜『?』

透『また、……ううん、今度こそ、最初から……がいいなって』

透『それから、Pと2人で……』

雛菜『透先輩、何か言った〜?』

透『別に、ただの独り言』

透『そろそろ切る。Pに連絡しないとだから』

雛菜『わかった〜。またね〜〜』

透『うん。じゃ、また』

ピッ

透『……』

透『てっぺん、いつになったら……』

透『でも、そのうちたどり着けるよね』

透『待ってるよ、P』


同時刻。

〜ステージ(予選) 閉鎖中の舞台付近〜

雛菜『切れちゃった〜』

雛菜『1人でいると〜、……広いな〜〜』

雛菜『んっ』タンッ

雛菜『広〜い舞台を、雛菜が独り占め〜〜』タタッ

雛菜『……なんてね〜』ピタッ

雛菜『独り占めできた舞台でも、見る人がいないとな〜』

雛菜『雛菜、こういうのはやっぱ向いてないかも〜』



>load-memory_FuyukoMAYUZUMI when>>502

冬優子「……」ポチッ
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――ブツンッ
663 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 19:21:17.50 ID:ZVcu4KcN0
>>661 訂正:

>>load-response back from>>500
→>load-response back from>>500
664 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 19:27:12.37 ID:ZVcu4KcN0
>>516 訂正:

P「(……透──)」
→P(……透──)
665 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 19:42:11.80 ID:ZVcu4KcN0
>load-response from>>522

雛菜 ジタバタ

円香『ねえ、雛菜は何を知ってるの』

円香『雛菜の、小糸の、浅倉透の……そして――』

円香『――私の周りで、あり得ないことが起きてるのは、なんで』パッ

雛菜『ぷはぁっ……! はぁっ、はぁっ……それは』

雛菜『……あは。雛菜の首から手離してくれたら、教えてあげるよ〜』

円香『そう……じゃあ』

円香 ギュゥ

雛菜『!?』

円香『たぶん、あんたに聞いても全部はわからない』ギュゥゥゥ

円香『だからいいの。これ、私の独り言だと思って』ギュゥゥゥ

雛菜 ジタバタ



>load-memory_FuyukoMAYUZUMI when>>522

冬優子 カタカタ

冬優子「っ!」

冬優子 ダンッ

冬優子「あ゛あっ!! もうっ!!!」

冬優子(やっとふゆの思うとおりにできると思ったら好き勝手動いてくれちゃってもう……! あさひ以外にここまで予想のつかないやつらがいるとはね……!!)

冬優子 カタカタ

冬優子「多少強引な方法をとらせてもらうわよ」カタカタ

冬優子 ポチッ



>load-response back from>>522

雛菜 ガクッ

円香 パッ

円香『はぁっ……はぁっ……』ダラン



>load-response from>>523

円香『……』クルッ・・・ササッ

円香『連絡……』

円香 ポチポチ

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2018424
[AUTOMATIC OPERATION]

>This prototype of a player is out of action.
>…………
>…………
>…………
>Recovering now.
>…………
>…………
>…………
>AUTOMATIC CONTROL: OFF->ON.
>Now Loading...
----------------------------------------------------------------------------------------

雛菜 ビクッ

円香『あの人に伝えないと……』ポチポチ
666 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 20:04:07.44 ID:ZVcu4KcN0
>load-memory_FuyukoMAYUZUMI when>>524

冬優子「はあっ……はあっ……」

冬優子「…………はああぁぁぁ…………!」ダラン

冬優子「これで……なんとかなる……のよね」

冬優子(でも、何事もなく――とはいかない、か)

冬優子(なんかもう、いろいろと動いちゃってるみたいだし)

冬優子「……」

冬優子(せめて、あいつには……)カタカタ

冬優子「送信――」

冬優子 タンッ

冬優子「――と」

冬優子「……」

冬優子(いくらこのルートを畳むためとはいえ、酷いことをしてるのよね、ふゆは)

冬優子(“この位置”にいても、感じるのは自分の不甲斐なさと冷徹さ……)

冬優子(……勘弁してほしいわ)



>load-response from>>524

〜舞台袖〜

P『……』

ヴーッ

P《通知……樋口さんか?》ポチ

P『……いや、違うな。これは』

『FROM:---------------------------------------------
件名 :ごめんなさい。
本文 :もう、何事もなく終えることはできなくなった 』

P『どういうことだ……?』

P《そもそもこのメールは誰から送られてきているんだろう》

ヴーッ

『FROM :-----------------------------
 件名 :予選と同じ。
 本文 :(本文はありません)    』

P『!!!』


―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――ブツンッ

冬優子「第三者視点から眺めるのも、記憶を遡るのも、やってみるとあんまり楽しくないわね」ポチッ

冬優子「このルートを最後まで見る気でいたけど、もういいわ……」

冬優子 ポチッ・・・

冬優子 ポチポチ

冬優子(見たかった録画のを見終わって、録画した番組のリストを意味もなく行ったり来たり……まるでそんな感じ)

冬優子「……あ、これって」

冬優子(√Wの終わりに見た、“あの子たち”の会話……)

冬優子「なんでこんな“見たことのない記録”があるんだか」

冬優子(趣味の悪い誰かがここに保存してたとか――なんてね)

冬優子「さ、次、いくわよ」カタカタ

タンッ
667 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 20:05:28.54 ID:ZVcu4KcN0
>>654 訂正:

P『……通知?『
→P『……通知?』
668 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 21:55:34.08 ID:ZVcu4KcN0
>load-memory_FuyukoMAYUZUMI before>>534

〜???〜

「冬優子ちゃん!」

冬優子「……え」

「楽しいことしてるんすか? だったら、わたしも混ぜて欲しいっす!」

冬優子「別に、楽しくなんかないわよ」

「えー……つまんないっすー」

冬優子「はいはい、悪かったわね」

冬優子「……」

冬優子「……あんた、大丈夫なの」

「?」

冬優子「いや、そんなキョトンとされてもね……」

「どういうことっすか?」

冬優子「あんたのこと、ついでに調べてたんだけど」

冬優子「いろいろと事情……あるんでしょ」

「あー……」

冬優子「もう最後よ、次のルートでね」

冬優子「選ばれなかったり、名前を忘れられたりしたら……」

冬優子「……こんな悪趣味なゲーム、引き受けちゃって、まあ」

「あはは」

冬優子「何笑ってんのよ」

「もうあんまり覚えてないっす。そのときのことは」

「いや、記憶してないわけじゃないんすよ? そのときの気持ちとか、そういうのが思い出せないってだけっす」

「そもそも、あれは“わたしだけどわたしじゃない”っす」

冬優子「……」

「冬優子ちゃん……?」

冬優子「……ううん、なんでも」

冬優子「ま、頑張りなさい」

「はいっす! じゃ、行ってくるっすよ!」フリフリ

冬優子 フリフリ

冬優子(勝手にやってきて勝手に去っていく――自分勝手もいいところよ、ったく)

冬優子(こうやって見送れるのも、これで最後なのかしら)

冬優子 カタカタ

冬優子「……そうだ」



ゴウンゴウン

冬優子「……」

???「……」

冬優子「……自分の姿を自分で見るってのも、変な話ね」

冬優子(こんなこと、たぶん許されない……)


冬優子『お腹出てるの、見間違いじゃないわよ』

冬優子『言ったでしょ。あんた1人の身体じゃないって』
669 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 22:29:16.14 ID:ZVcu4KcN0
冬優子「……」


冬優子『いるわよ』

P『え?』

冬優子『いまさすったところ。人がいるって言ってんの』


???「……」

冬優子(書き換えでこんなこともできるこの“立ち位置”も、そうとう狂ってる)

冬優子(でも、もっと狂ってるのは、実行してるふゆ自身なのかもね)

冬優子「……はぁ」

冬優子(あさひがあのゲームに勝てるような環境を作るには、余計なものの介入は減らさないといけない)

冬優子(それは、ふゆだって例外じゃない)

冬優子(愛依のときにあれだけいろんなことが起こったのは、アップデートされた“このふゆ”がワールドにいたから――とも考えられるし)

冬優子(ふゆ関連のイベントを省くだけじゃ、やっぱりだめだったってことね……)

冬優子(……それなら、ふゆはここから様子を伺って、代わりに“別のふゆ”を送り込めばいい。人一人を最初から作り出す方法なんて、管理者になりたてのふゆには、まだわからないけど)

冬優子(既に“出来上がった人”を適当に書き換えて“作り直す”なら、いまのふゆには難しくない)

???「……」

冬優子(ガラス越しに、もう一人の自分を眺める)

冬優子「って、あさひのためにここまでやってるのも、思えば不思議な話ね」

冬優子(もちろん、最優先の目標はこのワールドを無事終えることだから、こうしてあさひがうまくやれるようにふゆがなんとかするのは、変なことじゃないけど)

冬優子(あいつなんて――って思ったこと、たぶん、数え切れないほどある)

冬優子(でも、嫌ったり憎んだり――そういうのは、もしかしたらないかも。いまだって、こうしてらしくもない縁の下の力持ちをしてるわけだし)

冬優子「あ……」

冬優子(そっか)

冬優子「……あーあ、ったくもう」

冬優子「はいはい、わかってるわよ」

冬優子「思ってた以上に、ふゆはあいつのことが――あさひのことが好きだった、って、そういうことでしょ」ハァ

冬優子(こんなこと、こうやって一人でいるから言えるだけ……)

??? ニコ

冬優子「ちょっ、何笑って――」

冬優子(ふゆと“別のふゆ”を隔てるガラスに自分の顔が映って、ふゆがいまどんな顔をしてるのか――見えた)

冬優子「――笑ってるのは、ふゆの方……?」

冬優子「そっか、あんた、ふゆの真似して……」

??? ニコ

冬優子「! グスッ……ううっ……!」

冬優子「ごめんなさい……ごめんなさい……!!」

冬優子(あんたは、“別のふゆ”なんかじゃなくて、本当はふゆの……!)

冬優子(このワールドが完結してその先がなかったとしても、それは変わらないのに……)

冬優子(はじめて、心の底から今の立ち位置が嫌になった)

冬優子「……っ、もう引き返せないのよ、ふゆ」

冬優子(アイドル黛冬優子――最早懐かしいわね。別に、アイドルを引退した覚えはないけど)

冬優子 ポチッ

冬優子(あとはプロデューサーへの感情を必要最低限に抑えた“黛冬優子”を、この子にインストールするだけ)

冬優子「サイバーパンクなんて比じゃない――迷光の進む先……」
670 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 23:08:47.29 ID:ZVcu4KcN0
>load-memory_FuyukoMAYUZUMI before>>590

冬優子「なによ、これ……」

冬優子(あさひが――消えかけてる……? プロデューサー以外のキャラクターの記憶には――もう残ってないなんて)

冬優子「……!」

 <――ただし、存在が不安定なままなので、プロデューサーさんの記憶にはちゃんと残り続けてくださいね>

冬優子「まさか……!」

冬優子(あさひは、誰かの手で例外的にルートが終わってもリセットされてないようにされている――)

冬優子(――つまり、あいつだけはかなりの時間が経過していることになる……)

冬優子(……管理者でもないただのワールド上のキャラクター――それも構築がバッタもん同然なら、なおさら安定しつづけるなんて不可能……!)

冬優子「ほんっっと、最悪なゲームね!」ガンッ

冬優子(このままじゃ、プロデューサーがあさひのことを忘れるのだって時間の問題じゃない!!)

冬優子「これ以上……ふゆになにができるっていうわけ……?」



>load-memory_FuyukoMAYUZUMI when>>597

冬優子(万事休す……ってことなの……?)

冬優子(“送り込んだほうのふゆ”も忘れてるみたいだし、もうどうすればいいのやら)

冬優子 ポチポチ

冬優子(こうして、ただ眺めてるだけなんて……)

冬優子「……あれ、いまのって」

冬優子 ポチッ



>load-response from>>597

冬優子『愛依なら夕飯の当番とかで急いで帰ったわよ』

P『そうか』

冬優子『……悪かったわね』

P『なにが?』

冬優子『愛依でもあさひでもなくて、ここに来たのがふゆで』

冬優子『別にあんたがいるかもと思って会いに来たわけじゃ……ない……んだから』ボソッ

P『ははっ、そんなことないぞ。会えて嬉しいよ』



>load-memory_FuyukoMAYUZUMI back when>>597

冬優子「いま「あさひ」って……! 「あさひ」って言ったじゃない!!」

冬優子(というか、プロデューサーはなんで気づかないのよ! 精神的に疲弊してるからって、……もう!!)

冬優子「“ふゆ”、大手柄よ!!!」

冬優子(まだ完全に記憶が消えてなかったなんてね!)

冬優子(“あのふゆ”の中にあさひがあるなら……通常キャラにあさひに関する記憶が少しでもあるなら……)

冬優子 カタカタ

冬優子(……あのワールド内で完結するバックアップを作って、あさひが消えないようにできるはず!)

冬優子「はんっ、ふゆを舐めるんじゃないわよ……!」

冬優子 カタカタ

冬優子(たとえプロデューサーすらあさひのことを忘れても、あさひが消えないようにしてやるんだから……!!!)

冬優子(……頼んだわよ)

冬優子 タンッ
671 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/17(木) 23:52:18.61 ID:ZVcu4KcN0
>load-memory_FuyukoMAYUZUMI before>>635

冬優子「……終わったわね」

冬優子(プロデューサーは間に合わなかったけど、それでも、最後にちゃんとあさひを選んだ……か)

冬優子「まあ、あいつの――あさひのあんなに幸せそうな顔なんて、ふゆですら見たことがなかったし……」

冬優子(……納得して消えることができたなら、ふゆも動いたかいがあった、ってことよね)

ふゆこ「……」ツカツカ

冬優子「あ、おかえり、“ふゆ”。ご苦労さま。お手柄だったじゃない」

ふゆこ「……」コクリ

冬優子「……」

冬優子(ワールドを失って初期化状態同然――ってとこかしら)

冬優子「慚愧の極み、ね」

冬優子(このままじゃ、この子は本当に、ただの道具で終わっちゃう……)

冬優子「そんなことって……」

 <――かなり極端に設定したので、デバッガーが必要なんです>

冬優子「……そういえば」

冬優子(デバッグが終わったということは、オリジナルのあさひを実装したワールドが作られる……?)

冬優子(どのみち、ふゆは――この私はワールド上の1キャラクターとして振舞えない)

冬優子(だったら、次からの黛冬優子は……)

ふゆこ「……」

冬優子「ちょっと待ってて」

冬優子 カタカタ


冬優子「……これでいいはず」

ふゆこ「……」

“ふゆこ” ジジッ・・・バチバチ

“冬ゆこ”

“冬ゆ子”

“冬優子”

“冬優子”「……」

冬優子「あんたは、自分の人生をいきなさい」

冬優子「たとえゲームのキャラクターに過ぎなくても、途方もない円環の中をシステム上で走り続けるだけだとしても」

冬優子「プロデューサーに出会って、アイドルになって、悩みながらも楽しくてしょうがない時間を過ごしていって」

冬優子「こんなことを言う資格はないかもしれないけど、こんなことしかしてあげられないけど」

冬優子「“アイドル黛冬優子”を……あんたにあげるわ」

“冬優子”「……」コクリ

冬優子(自己満っていうなら、それでもいい。ふゆにできる贖罪はこれだって思っただけなんだから)

“冬優子” ポロポロ

冬優子「ちょっと、何泣いてるのよ……」


??? ニコ

冬優子『ちょっ、何笑って――』

冬優子『――笑ってるのは、ふゆの方……?』


冬優子「……そっか。泣いてるのは、ふゆの方だったってわけね」ポロポロ
672 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/18(金) 01:08:14.26 ID:j6EBeguK0

------------------------------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2018424
[ANNOUNCEMENT]

>黛冬優子がキャラクタースロットにセットされました。
>上書きしますか? Y/N
>Y
>……
>リソースの上書き完了。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------


冬優子「行っちゃった……か」

冬優子「……」

冬優子「……さて、何から始めようかしらね」

冬優子 カタカタ

冬優子「あ、そういえば――」

冬優子(星……あいつの歌にあったはず)

冬優子「――プロデューサーは自覚してなくても、あさひはもう何度も星を見に行ってるんだった」

冬優子(たぶん、そこには特別な思いがあったんでしょうね)

冬優子「……」

冬優子(ふゆにとっては……“このふゆ”にとっては、芹沢あさひといえばあいつだけなんだから)

冬優子(これから始まる“本当の”――“本来の”物語ではそうじゃないとしても)

冬優子(あさひがバッタもんで、ふゆがふゆじゃなかったとしても)

冬優子(私の本物は、ちゃんと、ある)

冬優子 ポチポチ

冬優子 ピッ


------------------------------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2018424
[MANUAL OPERATION]

>start-music go
>......
>menu sound-set 星をめざして.mp3
>......
------------------------------------------------------------------------------------------------------------


冬優子「んー……っ!」ノビー

冬優子「ふぅ……」

冬優子「……」

冬優子「……よし、やるわよ」

冬優子(管理者視点から見えるものをどうやって理解するか……いろいろ考えたけど)

冬優子(せっかくこの立ち位置にいるんだから、いっそ作ってしまえばいいのよ――)

冬優子(――世界を、ふゆの手で、ね)

冬優子「とはいえ、ふゆがもともといたレベルのワールドは、まだまだ人外未知といった感じ、か」

冬優子「まあ、まずは、ふゆでも扱えるくらいのやつから始めればいいわ」

冬優子(たしか、コンソールに管理者権限で入るとわりかしすぐのところに……あった)カチカチ

冬優子(この使い捨てられたデータが参考になりそうだし)

冬優子「問題は……キャラクターをどう配置するか、ね」

冬優子(プロデューサーの配置はそもそも起動のために必須だからいいとして……)

冬優子(……アイドルを決めないと)

冬優子「……」
673 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/18(金) 01:45:07.35 ID:j6EBeguK0
冬優子 カチカチ

冬優子「……」

冬優子 カタカタ

冬優子 タンッ

冬優子「……」

冬優子 カチッ

冬優子「……! これって……」

>WELCOME!
>USER: FuyukoMAYUZUMI(ADMINISTRATOR, ORIGINAL)
>……
>PERSONA: CHARACTER(IDOL)
・ToruASAKURA
・MadokaHIGUCHI
・KoitoFUKUMARU
>PERSONA: TWO-WAY_CHARACTER(IDOL)&&PLAYER(PRODUCER)
・HinanaICHIKAWA (CONFIDENTIALITY)

冬優子(……見てはいけないものを見た気分というのは、たぶん、こういうことを言うのね)

冬優子「でも、いまのふゆは管理者だから――」カチカチ

冬優子 カチッ

>……
>AVAILABLE_FOR_YOU_TO_DEPLOY!

冬優子「――使うことができる、か……」

冬優子「……」

冬優子(他に使えそうなキャラクターのあてもないし、決まりね)

冬優子 カタカタ


冬優子 カタカタ

冬優子 カチッ

冬優子「……っし、最低限、形になったわ!」

冬優子(あとはこの4人の関係性を設定しないとね)

冬優子(たしか、幼馴染どうしが何組かいたような……)

冬優子「……あれ、思い出せない」

冬優子(そもそも、ふゆがまともに接したことがあるのは――はたして何周前でしょうかって話)

冬優子(覚えてらんないわよ、そこまで……)

冬優子(……あさひじゃあるまいし、無理よ無理)

冬優子「まあ、まとめて全員幼馴染どうしってことでいいでしょ」カタカタ

冬優子「あの世界における設定なんてあってないようなもんよ、きっと」

冬優子(この4人も、あの時は試験的に投入されていた感じだったし)

冬優子「なんていうか……設定しやすい」

冬優子(というより、いろいろと解釈する余地がある……?)

冬優子「浅倉透、樋口円香、福丸小糸、それから、市川雛菜……」

冬優子「……誰もが、誰なのか、わからない」

冬優子(情報が少ないのよ。存在感はあるのに、ほんと、変な感じ)

冬優子「透明っていうのは、こういうことを言うのかもしれないわね……」

冬優子「……」

冬優子「……何言ってるんだか」

冬優子 カタカタ

冬優子 タンッ
674 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/18(金) 02:10:57.86 ID:j6EBeguK0
----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2005726
[FILE: STABLE, ADMIN SETTINGS]

>準備完了。
>起動しますか? Y/N
>......
----------------------------------------------------------------------------------------

冬優子「じゃあ、はじめるわよ」

冬優子 カタカタ

冬優子 タンッ

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2005726
[ORIGINAL THREAD: https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1594223305/]

>起動中。しばらくお待ちください。
>......
>起動しました。
>通話による管理委託システムにエラーが発生しています。起動には問題ありません。
>現在、件のシステムによる自動送信は“オン”となっています。
>変更または停止のためには、管理者権限による設定の変更が必要です。
----------------------------------------------------------------------------------------

〜事務所〜

円香「はぁ……」

円香「……早く着きすぎた」


〜事務所付近のとある路地〜

小糸「いつもと違う道……」

小糸「き、気分転換……だから」


〜駅前のコンビニ〜

透「──あ、ふふっ」

透「財布ないわ」


〜Pの自宅の近所〜

雛菜「……」

雛菜 <―><―> ボーッ

雛菜 <●><●> パチリ

雛菜 スタスタ

雛菜 ピタッ

雛菜「……やは」

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2005726
[ORIGINAL THREAD: https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1594223305/]

>プレイヤーを追跡中。
>......
>特定しました。
>同期作業開始。
>......
>同期完了。
>モニターを開始します。
>REFERENCES: FROM_>>2_OF_https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1594223305/
----------------------------------------------------------------------------------------

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


TO BE CONTINUED IN THE LAST TIME.
675 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/18(金) 02:18:05.28 ID:j6EBeguK0
このスレッドにおけるお話の本編はここまで。

noctchill編と同様に追加要素があるので、もう少しここ(このスレッド)で投下します。なので、Straylight編そのものは、まだ終了していません。

よろしくお願いします。
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/18(金) 02:19:09.83 ID:67JBBaqDO


背筋ゾクゾクしかしないわさ……
677 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 00:35:57.28 ID:/xJcGNlP0
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子「……と」

冬優子「あとは基本様子見――ようは放置ゲー」

冬優子(ビルドしたときにエラーっぽいのがいくつか出てたけど、ちゃんと動いてるってことは大丈夫……よね?)

冬優子「……」

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

8:
〜事務所〜

P「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、っ……はぁっ、ぁあっ」

P「つ、着いた……」

P(日ごろの運動不足がたたってしまった……)

P(が、しかし!)

P「涼しい〜〜」バタリ

P(なんだか事務所に人の気配もしないし、玄関だけど座っちまうか)

P ハァッハァッ

P(……い、息が上がったままだ……)

P(もう少し身体を動かしたほうがいいのかな?)

P「あ……」


「――なんだ、変質者かと思ったらあなたでしたか」


P「あ、ああ。おはよう円香」ハァハァ

円香「ハァハァいいながら挨拶しないでもらえますか? 不快極まりないので」

P「ご、ごめん……」

P「駅前から走ってきたもんだから、こんなになっちゃって」

円香「いい年した大人が街中で走っちゃうなんて……あなたはドラマの主人公か何かなんですか? ミスター・ヒーロー」

P「いい年っていったってまだ20代だからな」

円香「もう20代、の間違いでしょ」

P「うう……涼しい部屋に早く入りたかったんだよ。よいしょっと」

P「いま事務所には、円香1人か?」

円香「ええ。不幸にも」

円香「だから玄関から息を荒げた人物の気配がしたときは通報する準備をして向かいましたよ」

P「すまない……それは怖かったよな」

円香「……冗談だっての」ボソッ

P「え?」

円香「ひとりごとです。お気になさらず」

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子「……」

冬優子(記録を眺めるのとはまた違う感じがするわね)

冬優子(現在進行形の……“生きている世界”)

冬優子(ふゆが作った世界)

冬優子「プロデューサー……」

冬優子「……やめやめ、いまはそれよりも気にしないといけないこと、あるし」

冬優子(仕組みとか)
678 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 00:59:34.03 ID:/xJcGNlP0
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

小糸「えへへ、いってらっしゃいってことです!」

小糸「それから……」

小糸「……帰ってきたら、つづき、しましょう」

END.

>福丸小糸のエンディングが1つクリアされました。

>市川雛菜に関するエンディングに行くための条件が1つクリアされました(残り2つ)。

>冒頭に戻ります。

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子「2周目終わり……か」

冬優子「順調にいけばあと――」

冬優子「――ん?」

冬優子(“市川雛菜に関するエンディングに行くための条件が1つクリアされました(残り2つ)”?)

冬優子(普通に攻略対象にしたはずだけど……)

冬優子「……そういえば」

冬優子(この子だけは属性が少し違ったわね)

冬優子「……」

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

141:
透「う〜ん」

P「どうした透。スマホいじりながらうなったりして。ゲームでもしてるのか?」

透「そんなとこ。あっ……」

透「えいっ」

透「ふふっ。まだ、勝負はこれから」

P「なんのゲームか気になるな」

雛菜「マリカーってやつじゃな〜い?」

P「ああ……そういえば流行ってるらしいな」

透「2周目まではあんまりだったけど」

透「ここで……よっ、と。巻き返す」

P「ははっ、白熱してるな」

P「ゲームか……久しくやってないな……」

P「……」

P「……仕事すっか」

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子「嫌な予感がするわ」

冬優子(何かが不自然なのよ……具体的に何がっていうのはわからないけど)

冬優子「この違和感は何?」

冬優子(でも、ふゆは“知ってる”)

冬優子(まだ1つのキャラクターに過ぎなかった頃に感じた――恐怖。それから……)

冬優子「……“この位置”に来て、繰り返しの環から飛び出て……」

冬優子「……結末もなくて、ちょうどいいところで「END.」も出なくなってからだいぶ経つけど……」

冬優子(これはふゆの経験則みたいなもの)

冬優子「……“記憶を持ったまま繰り返すとどう振舞うか”くらいは、なんとなくわかるのよ」
679 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 01:26:21.87 ID:/xJcGNlP0
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

P「アッ、エ、エエッ」

P「……」

P「??? ! !?!?」

P「――あぁあああぁぁぁああぁぁあぁああアァッ」

END.

222:
1.直前の選択肢に戻る。 
2.冒頭に戻る。

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子「チィッ……! こうなったか……!!」

冬優子「どういうこと? 望まない方向だからこうしたってわけ……!?」

冬優子(ほんっとに読めないやつ! 急ぎとはいえ、配置すべきじゃなかったわね……)

冬優子(……市川雛菜)

冬優子「自分のルートに来るための条件をつけてるのは、もしかして――」

冬優子(――待ってる、っていうの?)

冬優子「いや、そんな単純な話じゃないわね、きっと」

冬優子「探さないと……この子の詳細情報」

冬優子 カタカタ


冬優子 ダンッ

冬優子「……はあぁぁ」

冬優子(そう簡単には見つからない……か)

冬優子「ふゆが使えるようになったシステムには気の遠くなるような量のデータがあるし」

冬優子「これを地道に探索するのは現実的じゃないわね」

冬優子(それなら――)

冬優子「――ふゆが作ったワールドの中で、可能な限り調べてみるしかないってことよ」

冬優子 カチカチ


冬優子 カチッ

冬優子「……」

冬優子「……これだわ」

冬優子(ふゆも偶然だけど受け取ったことのある“あの電話”――どうやら、ワールド毎に存在してるみたいね)

冬優子 カチカチ

冬優子「なにこれ、バグ?」

冬優子(動かすのに支障はない程度の、小さい警告……)

冬優子「……通話による管理委託システムのエラー」

冬優子(自動送信なのに宛先が指定されていないって出てる)

冬優子(その場合は……どれどれ?)

冬優子「指定されていない場合には、PLAYERの属性を持つキャラクターに送信される可能性がある……」

冬優子「……っ!!!」

冬優子(市川雛菜は――)

>PERSONA: TWO-WAY_CHARACTER(IDOL)&&PLAYER(PRODUCER)
・HinanaICHIKAWA (CONFIDENTIALITY)

冬優子(――他のキャラクターとは、違う)
680 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 01:48:31.08 ID:/xJcGNlP0
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

370:
〜Pの自宅〜

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


〜駅前〜

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。(既読)
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!(既読)
3. 路地を歩けば涼しいかな……?(既読)
4.あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……。

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子「でたわね」

冬優子「この選択肢ごと消したら……」ボソッ

モニター<雛 菜「そ う し た ら ま た 作 る だ け で す よ 〜 ?」ブォン

冬優子「ひ……!?」ビクッ

モニター<雛 菜「ん 〜 ……」

モニター<雛 菜 コンコン

モニター<雛 菜「あ は 〜 、 こ っ ち か ら じ ゃ だ め か 〜」

冬優子「……」

モニター<雛 菜 ジジッ・・・

モニター<雛 菜「な ん か 、 安 定 し て な い ?」

冬優子「雛菜ちゃん、幸せ〜ってなりたいのはわかるけど、もうちょっと押さえて欲しいなっ」

モニター<雛 菜「そ れ 、 す っ ご い ア イ ド ル っ て か ん じ 〜」

冬優子(なによ、それ)

冬優子(……もしかして、記憶が共有されてるっていうの?!)

モニター<雛 菜「?」

冬優子「ふゆのこと、知ってる……?」

モニター<雛 菜「え 〜 ?  知 り ま せ ん け ど 〜 ……」

冬優子(ふゆが会ってきた“ヒナナ”とも“雛菜”とも違うってことか)

モニター<雛 菜「そ こ に い る っ て こ と は 〜」

モニター<雛 菜「電 話 の と き の ヒ ン ト 、 知 っ て た ん で す ね 〜」

冬優子「あはは……」

モニター<雛 菜 ジジッ・・・

モニター<雛 菜「…… そ こ で 見 て て ね」

モニター<ブツッ

冬優子「……」

冬優子(……見てるだけでいられるわけ、ないじゃない)
681 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 02:01:10.11 ID:/xJcGNlP0
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

506:
----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2007125
[THE REMADE FILE]

>修正を反映しました。
>参照先のファイルに欠損が見られる箇所があります。処理を続行しますか? Y/N
>Y
>処理を続行します。
>Now Loading...
----------------------------------------------------------------------------------------

507:
起動しました。

>読み込み終了

冒頭に戻ります。

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

509:
〜駅前〜

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


/*
1.(Deleted)
2.(Deleted)
3. (Deleted)
4.(Deleted)

(Deleted)
*/

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子 カタカタ

冬優子(好き勝手やってくれちゃって……)イライラ

冬優子「……でもね」

冬優子(管理者は――ふゆなのよ)

冬優子「やられっぱなしじゃないんだから……!」

冬優子(まずは“あいつ”――プロデューサーにメールを……)カタカタ

冬優子 タンッ

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

510:
P「……ん?」

P(何かが一瞬頭をよぎったような……)

P(気のせいか?)

ヴーッ

P「LINE? ……いや、メールだな、これ」


『FROM:-----------------------------
件名 :走って家に戻れ。いつもの道で。
本文 :(本文はありません)     』


P「なんだ? これ」

P「差出人のところ、なんで書いてないんだよ」

P「ったく……スパムか何かか」

P「とにかく事務所に行って一息つこう。早くこの暑さから逃れたい」
682 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 02:13:57.44 ID:/xJcGNlP0
―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子「……いやそこは気づいてほしかったわよ!!」ドンッ

冬優子(ま、まあ、急いで超短文を送りつけたふゆも悪かったかもだけど……!)

冬優子 カタカタ

冬優子「とりあえず、少し書き加えたメールを送ってはみたものの」

冬優子(もうめちゃくちゃ)

冬優子(管理者じゃなくてもここまでの権限を持ってるだなんてね)

冬優子「そうだ……この子が書き換えてる部分をふゆがいじれば……」

冬優子(めちゃくちゃにされたんだもの、めちゃくちゃにしかえしてやるわ……!)

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

P「よし、じゃあお前ら、レッスン頑張ってこいよ」

円香透小糸雛菜「やは〜、「やは〜、「やは〜、「やは〜、がんばりま〜す」がんばりま〜す」がんばりま〜す」がんばりま〜す」

P「っ、ひ、ひぃっ!?」

円香透小糸雛菜「どう「どう「どう「どうしたの〜?」したの〜?」したの〜?」したの〜?」

P「い、いや、お前ら息ぴったりだと思ってさ、あ、はは……」ビクビク

517:
4人「ん〜?」

P(目の前にいる4人は同時に声を発して顔を見合わせる)

P(すると、雛菜と呼ばれる子だけがこちらを向いて……)

雛菜「あ〜、なんかしっぱいしちゃったかも〜」

P(そういう子以外の3人は、固まって石像のように動かない)

P「はぁっ、はぁっ……ぐっ」

雛菜「そんな顔しないで〜……」

雛菜「ん〜、どうしたら〜……」ポチポチ

雛菜 ピッ

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

冬優子「っし! 目にものを見せてやったわ!」

冬優子「次で決着をつけるわよ」

冬優子 カタカタ

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――

P「……ん?」

P(何かが一瞬頭をよぎったような……)

P(気のせいか?)

ヴーッ

P「LINE? ……いや、メールだな、これ」

P「2件か」


『FROM :-----------------------------
 件名 :走って家に戻れ。いつもの道で。
 本文 :スマホを奪ってお前が出ろ  』

『FROM :-----------------------------
 件名 :家の鍵は閉めたのか?
 本文 :急げ            』


P「……」

P ダッ
683 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 02:16:53.27 ID:/xJcGNlP0
525:
----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2009219
[THE REMADE FILE]

>ようこそ。管理者。
>音声であなたの構想を反映します。
>半角英数字でRを入力してEnterキーを押し、できるだけ具体的に述べてください。終了するには、半角英数字でEを入力してEnterキーを押してください。
>R
>…………
>…………
>…………
>…………
>…………
>…………
>…………
>E
>データの処理を行います。しばらくお待ちください。
>処理が完了しました。
>音声は問題なく認識されました。情報の追加を希望するにはHを入力してEnterキーを押してください。以上で終了ならば、何も入力せずにEnterキーを押してください。
>
>実行しますか? Y/N
>Y
>承知しました。新しいシステムに移行します。なお、このプログラムは一定時間後に破棄されます。
>Now Loading...
----------------------------------------------------------------------------------------

526:
再起動します。

――――――――---……---――――――――

>Now Loading...(時間がかかっています)
>読み込み終了
>表示を通常モードに移行

起動しました。
プログラムを実行します。

527:
----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2018424
[FILE : STABLE]

>自動診断ツール起動。
>......
>エラーは見つかりませんでした。正常と判断されます。
>ようこそ。管理者。
>スタートします。
----------------------------------------------------------------------------------------

528:
THE IDOLM@STER SHINY COLORS

Now Loading...


P(283プロダクションに入社して数か月……いよいよ俺が、アイドルをプロデュースする時が来た)

P(ずっと憧れていた仕事をようやく任されたんだ、これから精一杯頑張るぞ!)

P「……」

P「……なんてな」ボソッ

P「おはようございます! って、天井社長……?」

社長「おはよう、お前を待っていたぞ――」


はづき「――……ふわぁ〜? なんですか〜急に大きな声出して〜……」

社長「は、はづき……なぜ床で寝ているんだ」

はづき「すみません、ソファへ着く前に、眠気に負けてしまいまして〜……」

P(はは、そうだったそうだった。相変わらずだ)

社長「せっかくまじめな雰囲気を出したというのに……――」
684 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 02:35:39.76 ID:/xJcGNlP0
はづき「――ですので、精一杯頑張っていきましょ〜! 私もたくさんサポートさせていただきますね〜」

社長「……少しアドバイスしておくが、お前は、283プロダクションのプロデューサーだ」

P「担当アイドルと他のアイドルたちを交流させることも重要になってくる、ですよね?」

社長「む、ま、まあ、そうだが……。わかっていればよろしい」

はづき「では、そろそろお仕事に移ってもらいましょうか」

はづき「今回プロデュースするアイドルは――」


P(アイドルのプロデュースは、あらかじめ決められた選択肢から選んでするものじゃない)

P(それに、他の可能性を探ってみたかったり都合が悪かったりで何度も繰り返すものじゃない)

P(俺は俺が思うように、1度きりのプロデュースで、アイドルを輝かせるために全力を尽くす)

P(これが、俺の望んだ“世界”――選択肢と繰り返しの生むものを知り、それを拒否して、俺の知る悲劇の可能性を排除した環境)

P(この“世界”で全力を尽くしてこそ、俺は心からこう言えるんじゃないか――)

P(――よし、楽しく話せたな。と)


-noctchill編- END.

―――――――――――――――――――――---……---―――――――――――――――――――――ブツンッ

冬優子「ふうぅぅぅぅぅっ」

冬優子(疲れた……)

冬優子「……終わったわね」

冬優子「……」

カツッカツッ

冬優子「?」

ピタッ

P「すみません、ちょっといいですか?」

冬優子(これって……ふふっ)

冬優子「はい、なんですかっ?」

冬優子「ふゆに何かご用事ですか?」

P「いえ、こちらこそ突然すみません。用事と言いますか……」

P「私は、283プロダクションという芸能事務所でプロデューサーをしている者です」

P「アイドルに興味はありませんか?」

冬優子「……」

P「……」

冬優子「……っく、あはははっ」

冬優子「ほんと、笑える」

冬優子「そうよね、一応は、初対面なんだし」

P「ああ……一応は、な」

冬優子「どう? ふゆの豹変ぶりに幻滅した?」

P「いいや、そんなことはない」

P「確かに、俺は君と会ったことがない。けれど、こうして“何度も会ってる”」

冬優子「そうでしょうね。多少の違いはあれど、ふゆも似たようなものよ」

冬優子「とりあえず、ようこそこちら側へ――とでも言っておくわ」

P「はは、そうだな。よろしく頼むよ――」

P「――冬優子」

-Straylight編- END.
685 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 03:11:57.16 ID:/xJcGNlP0
【予告】

キーンコーンカーンコーン

「すぅ……」zzzZZZ

ユサユサ

「んんっ……すぅ……」zzzZZZ

「ありゃ、これはかなりの熟睡度……いつも以上に手ごわいかも」

「……」zzzZZZ

「Pた〜ん、もう起きる時間だよ〜〜?」ユサユサ

P「……っ」

「このままだと、ホームルームで先生に見つかって、名指しで注意されちゃって、Pたんは恥ずかしい思いをすることに〜……」

P「わかった……わかったって……っしょっと」ムクリ

「ようやくお目覚め〜? ほんと、いつも起こしてあげてる三峰には、もっと感謝してくれなきゃな〜〜」

P「ん゛んーっ……ふぅ。ああ、いつもありがとうな、結華」

結華「! ……わ、わかってくれればいいのだよ、わかってくれればさー」

P「……」

結華「Pたん? どしたの?」

P「いや……なんでもない」

ガララ

「は〜い、それじゃあ、ホームルームはじめますね〜」

ガヤガヤ

結華「おっ、はづきち先生の登場だ!」

P「……」

結華「今日も美しいな〜。Pたんもそう思わない?」

P「ああ、美しいな……」ボーッ

結華「はぁ……まだまだおねむなPたんであった」

P(学校……いつも通りの朝)

P(俺の日常……)

P(……だよな?)

――――――――---……---――――――――
〜教室〜

はづき「転校生を紹介しますね〜。どうぞ……」

「月岡恋鐘ばい! あっ……です!」

恋鐘「よろしくお願いします!」

――――――――---……---――――――――
〜廊下〜

「おや、こんなところで、どうしたんだい?」

P「え? いや、その……」

「おっと、いきなりで驚かせてしまったかな。私は――」

咲耶「――白瀬咲耶だ」

――――――――---……---――――――――
〜保健室〜

P(つい見惚れてしまった……)

P「……えっと、幽谷霧子さん、だよな」

霧子「……! わたしの名前、覚えていてくれたんですね……」
686 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 03:47:12.12 ID:/xJcGNlP0
――――――――---……---――――――――
〜センター街〜

P「いいな。約束は守ってもらうぞ」

「どうですかねー。お兄さん次第かもしれませんねー?」

P「はぁ……」

「私、田中摩美々っていいますー」

摩美々「悪い子なんでー、たくさん迷惑かけてあげますねー」

――――――――---……---――――――――
〜校長室〜

P「……」

「お前を待っていたぞ」

はづき「校長室で2人きりだと流石に可哀想なので、私もいますよ〜」


P「……W.I.N.G.、ですか」

校長「そうだ」

はづき「この学園で最も大きな祭典……」


校長「お前には、そのW.I.N.G.で結果を残してもらう」

はづき「出場する女子生徒たちは、各々自分のサポートをしてくれる味方と一緒に、スケジュールや作戦を立ててるみたいですね〜」

校長「有り体に言えば、そう――」

校長「――プロデュースだ」

――――――――---……---――――――――

P「俺が……担当を――」

P「――選ぶ」

――――――――---……---――――――――

結華「私が、アイドル……」

結華「……今日イチ面白い冗談だね、Pたん」

結華「いまなら、なかったことにできなくもないよ?」

P「いや、結華、俺は……――」

――――――――---……---――――――――

恋鐘「ここまで来れたんも、Pのおかげばい!」

恋鐘「まさに、Pはうちの――プロデューサーやね!!」

P「プロデューサー……」

P「……ははっ、そうか」

P(プロデューサー……か)

――――――――---……---――――――――

咲耶「……」

咲耶「これからも私の隣にいてくれるって……そう言ったじゃないか」

咲耶「フフ、どこに行くんだい? P」

――――――――---……---――――――――

霧子「……?」

P「そこにある花が……な」

霧子「お花さん……ううん、お花さん――たち?」

P「気のせいかなぁ」

霧子「……ふふっ」
687 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 04:09:31.73 ID:/xJcGNlP0
――――――――---……---――――――――

摩美々「やっぱりー、Pといると退屈しませんねー」

P「それは良かった」

摩美々「別にー、感謝したとかじゃないんでー……」

摩美々「……摩美々、こんな悪い子なのに」ボソッ

P「?」

摩美々「ふふー、なんでもありませんよー」

――――――――---……---――――――――

結華「Pたん!」
恋鐘「P!」
咲耶「P」
霧子「Pさん」
摩美々「お兄さん」

――――――――---……---――――――――

P「……」

P「………………」

P「……………………いや」

P(本当に、これは俺の日常なのか?)

P(今、俺が見ているのは、一体何だ?)

P「時々見る……妙にリアルな夢」

P「……」

P「……なんてな」

P(高校生にもなって厨二病かよ)

P(結華に笑われそうだ)

P「はぁ……」

――――――――---……---――――――――

「ふふっ……」


P「?!」

――――――――---……---――――――――

P「俺は……」

――――――――---……---――――――――

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2019313

>……
>……
>……
----------------------------------------------------------------------------------------

――――――――---……---――――――――

P「ははっ」

P(よし、楽しく話せたな)


――――――――---……---――――――――







-L'Antica編-
688 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/06/19(土) 04:21:02.07 ID:/xJcGNlP0
以上です。ありがとうございました。

予定よりも時間がかかってしまいました(気づけば10ヶ月近く経っていました)が、Straylight編を終えることができました。文章量がかなり多くなってしまいましたが、最初からこの量でお話を作っていました。お付き合いくださった方々に感謝いたします。

また、Straylight編では細かい訂正を何度か実施しています。すみません。
訂正内容は、スレッド内で「訂正」と検索していただければすべて確認できるはずです。読み返したりまとめたりすることがあれば、ご注意ください。

L'Antica編は近いうちにスレッドを立てる予定です(立てたらここにもURLを貼りに来ようと思います)。こちらに関しては、ペース・文章量はどちらかというとnoctchill編に近いものとなっています。


このシリーズ:
・【シャニマス】P「よし、楽しく……」-noctchill編- 【安価】: https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1594223305/
・【シャニマス】P「よし、楽しく……」-Straylight編- 【安価】: https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1599288272/
・-L'Antica編-: COMING SOON.

※細かいことですが、このスレッドのタイトルの「- Straylight編-」はミスタイプで、正しくは「-Straylight編-」です(Sの前のスペースは不要です)。
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/19(土) 06:33:23.10 ID:J3m1rTADO


まさに世にも奇妙な物語なりや





L'Anticaはさらにカオスになりそう……
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/19(土) 09:27:43.97 ID:bMugVOW2o
おつおつ
こっちも何回も読み直さなきゃ……
Adminふゆゆハマり役過ぎてうまいなぁ
-L'Antica編-は人数増すので期待も増すぜ
ありがとうございました!
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/19(土) 22:39:53.99 ID:C7rHJ9E0o
692 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 20:49:08.90 ID:9u9ZjoYwO
お久しぶりです。>>1です。

L'Antica編のスレッドを立てました: https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1625744763/
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/08(日) 01:21:26.42 ID:HUzPn6Rso
ネタバレ禁止なのでこっちに
アンティーカはだれが黒幕ポジだろうなー
ストレイライト編で思いっきり読み間違えから全員のちょっとした言動が怪しく見えちまう
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