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貴虎「何? 再びISの世界へだと?」
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39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 21:30:29.47 ID:2OibMYGo0
それから、アリーナ控え室
貴虎(今回の実戦で分かったが、やはり俺にも隙は多い)
貴虎(遠距離はまだしも、飛行は早急に物にせねば……)
バッ
貴虎(っ、目隠し?)
「だーれだ?」
貴虎(……聞き覚えのない声だ。私と面識のない人間か?)
「はい、時間切れ」 パッ
楯無「ふふふっ」
貴虎「……すまないが、どこかで会ったことがあったか?」
楯無「……」
貴虎「……?」
楯無「それじゃあね」 スタスタ
貴虎(いや、本当に誰だ?)
貴虎(制服ということは、少なくとも、この学園の生徒であることは確かなはず……後で調べておくか)
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 21:40:18.99 ID:lCcFViUZO
それから、しばらく経って
貴虎(全校集会か……そういえば、この学園では、あまりしていた覚えがないな)
貴虎(さっきの女も、この中にいるのか……?) キョロキョロ
「それでは、生徒会長から説明をさせていただきます」
楯無「……」 コツコツ
貴虎(あの女、さっきの……まさか)
楯無「さてさて、今年はいろいろと立て込んでいて、ちゃんとした挨拶がまだだったね」
楯無「私の名前は更識楯無、君たち生徒の長よ」
貴虎(っ! あの女、この学園の生徒会長だったのか)
楯無「以後よろしく」 チラッ
貴虎「……?」
楯無「……ふふっ」 パチッ
貴虎(なぜ今ウィンクを……? あの女、よくわからん……)
楯無「では、今月の学園祭だけど……クラスの出し物を、みんなで頑張って決めるように」 バッ
扇子『締切間近』
貴虎(……まさか、わざわざ用意したのか? あの扇子……)
貴虎(一体何なんだ、あの女は……)
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 21:50:14.26 ID:2OibMYGo0
それから、教室
貴虎「……それで、このクラスの出し物の案だが……」
『呉島貴虎のホストクラブ』
『呉島貴虎とツイスター』
『呉島貴虎とポッキー遊び』
『呉島貴虎と王様ゲーム』
貴虎「全て却下だ!」
エーッ!
貴虎「内容も内容だが……まず、私ひとりに負担を強いるような出し物では、学園祭の意味がない」
「私はいいと思うけどなー。断言する!」
貴虎「そもそも、良し悪しを判断するレベルですらない」
「女子を悦ばせる義務を全うせよ!」
貴虎「そんな義務はない!」
「呉島貴虎は共有財産である!」
「「そうだそうだー!!」」
貴虎(何を言っているんだ、こいつらは……いかん、久しぶりに腹痛が……)
貴虎「……山田先生、この場を収めるのを手伝ってくれませんか」
真耶「えっ……? えーっと……」
真耶「わ、私は……ポッキーなんか良いと思いますよ……?」
貴虎(こいつに訊いた俺が馬鹿だった……)
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 21:59:28.35 ID:2OibMYGo0
貴虎「とにかく、何か別の意見を出せ。本気で学園祭をしたいのならな」
ラウラ「……メイド喫茶はどうだ?」
オォ……
ザワッ
貴虎「……何?」
ラウラ「客受けは良いだろう。それに、飲食店は経費の回収も行える」
シャル「……うん、いいんじゃないかな。貴虎には、執事か厨房を担当してもらえばOKだよね?」
「呉島くん……執事……イイ!」
「メイド服どうする?」
「あたし縫えるよ!」
「では、ご奉仕喫茶に決まりですね!」
「「賛成ー!!」」
貴虎(……まぁ、さっきまでのイカれた案に比べればマシか)
貴虎(……本当に、これでいいのか?)
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 22:10:03.57 ID:2OibMYGo0
それから、しばらく経って
貴虎(16時か……そういえば、ボーデヴィッヒが昼休みに『放課後、第4アリーナで待つ』と言っていたな)
貴虎(あいつの執着も懐かしい……それに、俺としても、ISの技術は上げておきたい。久しぶりに一戦交えるか……)
トントン
貴虎「ん?」 クルッ
楯無「やぁ!」
貴虎「……生徒会長か」
楯無「水臭いなぁ、楯無でいいよ」
貴虎「……私に何か用か?」
楯無「当面、君のISコーチをしてあげる」
貴虎「……コーチだと?」
楯無「そう。今日の君の実技テスト、見せてもらった……君、一見強そうだけど、意外と隙が多いよね」
貴虎「……よく見抜いているな」
楯無「そして君は、それを積極的に埋めようとしてる。頑張る男のコって素敵よ」
貴虎「……」
楯無「だから、それがちょっとでもマシになるように、私が鍛えてあげよう……という、お話」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 22:19:57.41 ID:2OibMYGo0
貴虎「……なるほど」
楯無「どう?」
貴虎「確かに、悪い話ではないな」
楯無「でしょ?」
貴虎「だが、遠慮しておく」
楯無「……どうして?」
貴虎「わからないからだ。果たして、本当に私を鍛えられるだけの力量があるのか……」
楯無「IS学園において、生徒会長の肩書きは……あるひとつの事実を証明してるんだよね」
貴虎「……何?」
楯無「生徒会長……即ち、全ての生徒の長たる存在は……」 ビシッ
楯無「『最強』であれ……とね」
貴虎「……つまり、お前がこの学園において最強だと?」
楯無「試してみる?」
貴虎「……いや、やめておく」
楯無「そう? てっきり、勝負でも仕掛けてくると思ったけど」
貴虎「私としても、自分の欠点を克服しなければと考えていたところだ。そこで、最強を自称するほどの実力者がコーチをしてくれるというのなら、断る理由はない」
楯無「なーんか言い方に棘があるけど……まぁ、いいか。それじゃあ、この話に乗ってくれるのね?」
貴虎「あぁ、よろしく頼もう」
貴虎(この女、実力も目的も計り知れない。まずは近づいて、何者なのかを把握すべきか……)
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 22:30:03.24 ID:lCcFViUZO
ところ変わって
ラウラ「あいつはどこに行ったんだ……宿敵[とも]失格だぞ」 テクテク
ラウラ「……もしや、避けられているのではないだろうな」 ピタッ
ラウラ「……まさかな」
アハハッ
ラウラ「ん?」 チラッ
「あっ、リコ。後ろにすっごい寝癖ついてるよ」
「えーっ!? どこどこ!? あーっ! 今日寝坊して、髪の毛セットして来れなかったんだよぉ……」
「ダメだよ、身だしなみはキチッとしないと。呉島くんに嫌われちゃうぞー?」
ラウラ「っ、身だしなみ……」
ラウラ(まさか、私も寝癖が……) サワサワ
ピョコッ
ラウラ(っー!) サッ サッ
ラウラ「……よし」
「ほう、お前もそんなことを気にするようになったか」
ラウラ「ひっ!?」 クルッ
千冬「フッ……年頃だな」 ニヤッ
ラウラ「ちっ、違うのです教官! 決して、そういう浮ついた気持ち……うっ!」 パコンッ
千冬「織斑先生と呼べ」
ラウラ「はい……」
千冬「そういえば、呉島だったら、部活棟の保健室の前で見たぞ」
ラウラ「……保健室?」
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/29(金) 22:30:44.32 ID:lCcFViUZO
今日はここまで
続きはまた明日
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/29(金) 22:36:27.62 ID:Ju+Anj4rO
乙
この貴虎にーさんが高校生くらいの体なの忘れてだーれだ?できる生徒会長デカイなって思ってしまった
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/29(金) 23:01:47.87 ID:Nt1+LsK50
楯無さんは身長164pで主任は180p。
つまり、こそこそっと主任の背後へ接近してから、つま先立ちで背伸びして少しピーンとした状態になりつつ目隠しした訳だ
楯無「(そ、そろそろ限界・・・)」
と、つま先立ちが限界になって時間切れと言うのも中々に可愛い(確信
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 20:01:04.09 ID:Cx16M7PWO
それじゃ、投下していく
カチドキ斬月のフィギュアーツ、みんなも予約しよう
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 20:01:34.53 ID:Cx16M7PWO
そのころ、 保健室
楯無「それじゃあ、ここに横になって」 ポンポン
貴虎「……何?」
楯無「ほらほら。お姉さんの膝枕、堪能させてあげるから」
貴虎「……それに何の意味がある?」
楯無「君、私が『最強』だってこと、疑ってるみたいだし……私の実力、知りたいでしょ?」
貴虎「それが、どう実力を知ることに繋がると言うんだ……」
楯無「いいからほら、やってみればわかるって」 グイッ
貴虎「っ!? よせ、やめろ!」
貴虎(というか、見た目以上に力が強いぞ、この女!)
楯無「いいからいいから〜」 ギュウーッ
貴虎「よくない!」 ジタバタ
ガーッ
ラウラ「貴虎、ここにいたの……かっ!?」
貴虎「ボーデヴィッヒ……!?」
ラウラ「……貴様、私の宿敵[とも]に何をしている?」
楯無「何って……見ての通り、膝枕」
ラウラ「……目標を撃破する」 ヴォン!
ラウラ「ハァッ!」 ダッ!
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 20:09:31.45 ID:Cx16M7PWO
楯無「……ふっ」 サッ
ガキン!
ラウラ「何っ!?」
貴虎(防いだ……ISの攻撃を、扇子一本で)
扇子『最強』
貴虎(しかも、文字が変わっている……一体、何本持っているんだ……)
ラウラ「……くっ」 ピカーン
楯無「うん、素直でよろしい。じゃあ貴虎くん、そろそろ始めようか」
貴虎(この女、実力は本物か……掴み所がないのが、逆に恐ろしいな)
貴虎(だが、確かにこれなら……俺の弱点を補強できるかもしれん)
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 20:19:37.91 ID:Cx16M7PWO
それから、グラウンド
シャル「あれ、貴虎?」
セシリア「今日は第4アリーナで、ラウラさんと決闘と聞いていましたけど……」
楯無「そのことだけど……私がこれから、貴虎くんの専属コーチをするから、よろしくね」
シャル「えっ……生徒会長が、コーチ?」
セシリア「貴虎さん、どういうことですの!?」
貴虎「お前たちと同じだ。自分の欠点を埋めるため、より技術の高い人間に教えを請う」
楯無「まぁまぁ、これも貴虎くんのためと思って」
楯無「そう、みんなにも協力してほしいことがあるの」
シャル「協力……ですか?」
楯無「時間もないし、早速始めましょうか」
楯無「シャルロットちゃん、セシリアちゃん。シューターフローで円状制御飛翔[サークル・ロンド]、やって見せてよ」
セシリア「射撃型のバトルスタンスは、貴虎さんの役に立ちますの?」
貴虎「むしろ、それこそが私の隙だ。そこを補うことで、より強くなれる」
シャル「……これ以上、貴虎が強くなる必要はあるの?」
貴虎「誰にでも、成長は必要だ」
セシリア「……わかりましたわ。貴虎さんが、そこまでおっしゃるなら……」 ピカーン
シャル「……うん、やろう」 ピカーン
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 20:30:40.05 ID:Cx16M7PWO
シャル「じゃあ、始めます」 フワッ
セシリア「貴虎さん。どうぞ、しっかりとご覧になってくださいな」 フワッ
グルッグルッ……
シャル「いくよ、セシリア!」 チャキッ
セシリア「構わなくてよ!」 ガチャッ
シャル「えいっ!」 ダン! ダン!
セシリア「はっ!」 サッ
セシリア「はぁっ!」 バシュン!
ダン! ダン!
バシュン! バシュン!
貴虎「円状制御飛翔[サークル・ロンド]……複数のISが輪を描いて飛び回り、射撃と機体の制御を学ぶ訓練か」
楯無「射撃と高度なマニュアル機体制御を同時に行っているんだよ。しかも、回避と照準の両方に意識を割きながら」
楯無「だからね……」 サッ
貴虎(っ、なぜ近くに寄って……)
楯無「わ・か・る?」 フゥー
貴虎「っ!? 耳に息を吹きかけるな!」
楯無「弱いの?」
貴虎「そういう問題ではない!」
ギャーギャー
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 20:40:04.31 ID:Cx16M7PWO
シャル「はぁっ! ……って、貴虎!?」
セシリア「何してますの!?」
シャル「もう! ……ととっ」 グラッ
セシリア「なんてことを……あっ」 グラッ
セシリア「ああっ、きゃあ!」 グイッ
シャル「ちょっと!? うわぁっ!」 グイッ
ヒューン……
セシリア「きゃぁぁああああ!!」 ドーン!
シャル「うわぁぁああああ!!」 ドーン!
貴虎「何をやっているんだ、あいつらは……」
楯無「次は貴虎くんの番よ」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 20:40:39.44 ID:Cx16M7PWO
セシリア「まったくもう……参りますわよ」 ピカーン
貴虎「……変身」 ピカーン
セシリア「貴虎さん、その……アレは着けませんの? 何というか、あのメロンのような……」
貴虎「今回は不要だ。始めよう」
セシリア「それでは……」 フワッ
貴虎「……」 フワッ
グルッグルッ……
楯無「よし、じゃあ射撃開始!」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 20:50:32.91 ID:Cx16M7PWO
貴虎(無双セイバー、ガンモード……) ピカーン
ガシッ
カチッ
貴虎「……」 バキュン!
セシリア「はっ!」 サッ
バシュン!
貴虎「っ……」 サッ
貴虎(なるほど、これは……はたで見るほど、容易ではないな)
バキュン!
バシュン!
シャル「これって、貴虎が射撃の隙を埋めたいって言ったからですか?」
楯無「うん、そうだね。でも……それだけじゃあないんだな〜」
楯無「射撃能力で重要なのは、面制圧力だよね? けれど、貴虎くんの装備……あの刀は、弾数がたった4発しかない上に、威力もそれほど高くない」
楯無「つまり、必要なのは……一撃で突破する力。あるいは、一点に集中して撃ち込む力」
楯無「貴虎くんも筋はいいけど、まだ扱い切れてない点が目立つ。だから、あえて……」
シャル「……近距離で叩き込む」
楯無「鋭いね」 バッ
扇子『見事』
シャル「……貴虎も、もどかしそうですね。実戦なら、あの間合いは近接で取りに行ってるでしょうから」
楯無「そのための訓練だよ」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 21:00:04.97 ID:Cx16M7PWO
それから、しばらく経って
貴虎の自室前
テクテク
貴虎(少し疲れたな……だが、良い訓練だった。あの女、コーチとしてはレベルが高い)
貴虎(俺の弱点を正確に見抜き、的確なメニューを与える……なるほど、確かに『最強』を自称するだけの実力はありそうだ)
貴虎(これなら、短期間でも成長が期待できる。明日に疲れを残さないよう、今日は早めに休むか……) ガチャ
楯無「おかえりなさ〜い!」
貴虎「……うわぁぁああああ!?」
貴虎(どうやって俺の部屋に……そもそも、なんだその格好は!?)
貴虎(裸にエプロン1枚……!! いや……見えないだけで、下着は着けているはず!)
楯無「ご飯にします? お風呂にします? それとも……」
楯無「わ・た・し?」
貴虎「……部屋を間違えたようだ」 バタン
『1025』
貴虎(……あぁ、わかっていたとも。本当は、間違えてなどいないと……)
ガチャ
楯無「おかえり! 私にします? それとも……」
楯無「わ・た・し?」
貴虎(せめて選択肢をくれ)
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 21:10:03.63 ID:Cx16M7PWO
貴虎「……ここで何をしている? どうやって入った? まず服を着ろ!」
楯無「えっ……?」 ウルウル
貴虎「……?」
楯無「特別コーチだから……寝食を共にして……波長を合わせていくの……」 シュルッ
貴虎「必要ない。そして脱ごうとするな!」
楯無「……ふふっ、じゃーん! 水着でしたー!」
貴虎「……」
楯無「貴虎くんは反応かわいいねー! もしかして、あんまりこういうの慣れてない?」
貴虎「今すぐ出て行け!」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 21:20:04.12 ID:Cx16M7PWO
ところ変わって
箒「……」 テクテク
『感謝する。私のことを、そこまで想ってくれて』
箒「……ふふっ」
箒「っ、いかんいかん」
箒(貴虎はああ言っていたが、いつまた忘れてしまうかもわからない……目を離していると心配だ)
箒(聞くところによると、あいつは今日から特訓を始めたらしい。疲れているだろうし、部屋から出ないかもしれないな)
箒(そうだ。だからこうして、私が夕食の弁当を持っていく。何もおかしいことはない)
箒「……ふふっ」
箒(貴虎……喜んでくれるだろうか)
『1025』
コンコン
貴虎『っ、誰だ?』
箒「わ、私だ。差し入れを持ってきたのだが、入ってもいいか?」
貴虎『篠ノ之……!? 少し待ってくれ!』
箒(……どうかしたのか?)
楯無『もぉー、何するの貴虎くーん?』
箒(っ、女の声?)
楯無『あっ、わかった! 浮気がバレるから必死なんだー!』
貴虎『少し黙っていろ!』
箒「っ……!」 イラッ
バンッ
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 21:29:35.49 ID:Cx16M7PWO
貴虎「あっ」
楯無「いやんっ」
箒「……何をしているんだ、貴虎?」
貴虎「……見ての通りだ」
箒「私には、そいつの服を無理やり脱がしているようにしか見えないが?」
貴虎「違う、逆だ! 服を着せようとしているんだ」
箒「何がどうなれば、女子の服をお前が着せることになると言うのだ!」
貴虎(もっともすぎて反論できん)
箒「まさか、お前がそんなやつだったとは……女子を連れ込み、あろうことか、ハレンチ極まりない行為をしおって!」 ピカーン
貴虎「誤解だ! 俺はそんなことはしていない!!」
箒「恥を知れぇ!!」 ブンッ
貴虎(っ、無双セイバー!) ピカーン
ガキンッ!
楯無「ひゅー、貴虎くんやるぅ!」
箒「くっ……まだまだ!」 ブンッ
楯無「それと、ごめんね。今、貴虎くんに危害を加えられると……お姉さん、ちょっとだけ困っちゃうなー」 ピカーン
ブンッ
ガキィィ……!
箒「なっ……!?」
箒(刀が……天井に、弾かれた!)
楯無「勝負あり、ね」
貴虎(また面倒事が増えた……この女に近づいたのは失敗だったか?)
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 21:40:20.77 ID:Cx16M7PWO
翌日、放課後
貴虎「……」 グルッグルッ
貴虎(昨日、絶対に解かなければならない誤解は解いた。だが……)
箒『貴虎……お前、そいつには随分と甘いな?』
貴虎(あいつとの関係にヒビが入ったのは、俺の思い違いではないだろうな……)
楯無「重心の座標、速度も安定……オッケー、基礎は完璧だね。それじゃあ、そこで瞬時加速[イグニッション・ブースト]してみようか」
楯無「シューターフローの円軌道から、直線軌道にシフト。相手の弾幕を一気に突破して、零距離で銃撃!」
貴虎「……」 ドウッ
カチャッ
バキュン!
貴虎「……」 スタッ
楯無「オッケー、中々いいね。貴虎くん、飲み込みが早くて教えやすい」
貴虎(……今は訓練に集中しよう。篠ノ之ことは、また後で考えればいい……)
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 21:40:50.17 ID:Cx16M7PWO
それから、しばらく経って
貴虎(もうこんな時間か……今日は部屋へ戻る前に、食堂で食べていくとしよう)
鈴「……あっ、貴虎! こっちこっち!」
貴虎「凰? ……あぁ」
貴虎(全員集まっているな……あいつも) チラッ
箒「……」
貴虎「……」
ラウラ「お前も、これから夕食か?」
貴虎「あぁ、まぁな」
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 21:50:08.44 ID:Cx16M7PWO
シャル「……貴虎、なんか疲れてる?」
貴虎「……そう見えるか?」
鈴「そんなに特訓って厳しいの?」
貴虎「……いや、体はそこまで疲れていない」
貴虎(むしろ、精神的には振り回されてばかりだ……どうも俺は、あの女のようなタイプは苦手かもしれん)
シャル「その……頑張ってる男子って、僕はカッコいいと思うな」 チラッ
貴虎「……そうか」
セシリア「コ、コホン……貴虎さん? もし、あの部屋にいるのが辛いなら……仕方なく、人助けということで、わたくしの部屋にいらしても構いませんわよ?」
鈴「はぁ!? ちょっとセシリア、待ちなさいよ!」
鈴「貴虎、アンタあたしの部屋に来なさいよ。トランプあるわよ」
ラウラ「待て、トランプなら私の部屋にもあるぞ」
セシリア「わたくしの部屋にはタロットカードだってありますわ!」
貴虎「断る。部屋を移動する気は毛頭ない」
貴虎(そもそも、お前たちの部屋の売りはカードゲームしかないのか)
箒「……」 チラッ
貴虎「……ん?」
箒「……花札はどうだ、貴虎?」
貴虎「っ……あぁ、悪くない……」
箒「っ……そうか……」
シャル(……あれ? なんで箒だけ反応が違うんだろう?)
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 22:00:21.66 ID:Cx16M7PWO
その夜、貴虎の部屋
貴虎(結局、篠ノ之とこいこいに興じてしまった……) シャコシャコ
貴虎(あまり会話はなかったが、少しは打ち解けたか……) ブクブク
ペッ
貴虎「……フッ」
楯無『貴虎くーん』
貴虎(っ、この声は……なぜ俺のベッドルームから……) ガチャ
楯無「ふふっ……って、あれ〜? どうして目隠ししてるの、貴虎くん?」
貴虎「どうせ、またおかしな格好をしているのだろう? 何度も同じ手は食わん」
楯無「え? ちゃんと着てるわよ?」
貴虎「……何?」 パッ
貴虎「着てないじゃないか!」 バッ
楯無「着てるじゃない、シャツ」
貴虎「裸にシャツしか羽織らないやつがいるか! しかも、それは私のシャツだ!!」
楯無「ほら、観念して目を開けなさい!」
貴虎「断る!」
楯無「これ以上抵抗するなら、無理にでも開けるわよ?」 グイッ
貴虎「やめろ!」 ググッ
ギャーギャー
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 22:10:07.45 ID:Cx16M7PWO
そんなこんなで、数日後
貴虎(学園祭か……懐かしいな。昔は実行委員長など務めたものだ)
貴虎(もっとも、執事服を着るのは初めてだが……)
シャル「いらっしゃいませ」
貴虎「こちらへどうぞ、お嬢様」
「うっそ、あの呉島くんの接客が受けられるの?」
「しかも執事の燕尾服!」
「写真も撮ってくれるんだって。ツーショットよ、ツーショット!」
「さすが呉島くんだ!」
貴虎(しかし……なぜ、そんなに俺と写真を撮りたがる? それも、みんな……)
鈴「ちょっと、そこの執事。テーブルに案内しなさいよ」
貴虎「凰か……珍しい格好をしているな」
鈴「2組は中華喫茶やってるのよ」
貴虎「それでチャイナドレスか。なかなか似合っている」
鈴「っ、そ……それは、まぁ……嗜みっていうか……」
鈴「とにかく、案内しなさいよ!」
貴虎「あぁ。それでは、お嬢様……こちらへどうぞ」
鈴「お、お嬢様……」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 22:20:24.94 ID:Cx16M7PWO
貴虎「ご注文は、何にいたしましょう?」
鈴「うーん、そうね……んん?」
鈴「この『執事にご褒美セット』って何よ?」
貴虎「……内容がわからないものは、頼まない方がいい」
鈴「いや、だから聞いたんでしょうが」
貴虎「私のオススメは、ケーキセットだ」
鈴「ん……? コラ、なんか誤魔化そうとしてるでしょ?」
貴虎「……まさか、あり得ん」
鈴「……じゃあ、この『執事にご褒美セット』ひとつね」
貴虎「……かしこまりました」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 22:29:36.29 ID:T/v12n7v0
貴虎「……お待たせいたしました、お嬢様」 コトッ
鈴「う、うん……」
貴虎「……」
鈴「……って、なんで一緒に座ってるのよ?」
貴虎「……」
鈴「いや……まぁ、別にいいけど……」
貴虎「……」
鈴「で、これはどういうセットなの?」
貴虎「……食べさせ合う」
鈴「……はい?」
貴虎「……執事と食べさせ合う、セットだ」
鈴「な、何よそのセット!? 客が、執事にお菓子を食べさせるって……」
貴虎「あぁ……企画したやつを見つけ出し、必ず説教してやる」
鈴「い、いや……でも、まぁ折角だし……ついでだし……」 モジモジ
鈴「ご褒美、あげようかしらね」 ヒョイ
鈴「はい、あーんしなさいよ」
貴虎「……」 パクッ
貴虎「はぁ……」 ポリポリ
鈴「それで……食べさせてあげたんだから、あたしも……」
貴虎「……口を開けろ」 ヒョイ
鈴「あーん」 パクッ
鈴「うん……なんか、いいかも……」 ポリポリ
貴虎(……物好きな客というのは、案外多いものだな)
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/30(土) 22:30:20.88 ID:T/v12n7v0
今日はここまで
続きはまた明日
けど、明日は舞台斬月のライブビューイングに行くから、あんまり投下できないかも
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 20:31:32.47 ID:+g2kNPHkO
それじゃ、投下していく
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 20:32:12.81 ID:+g2kNPHkO
それから少し経って
貴虎(客足が絶えないのはいいが、休めないのは考え物だな)
トントン
貴虎「ん?」
礼子「ちょっといいですか?」
つ『名刺』
貴虎(巻紙礼子……? スーツということは、外部の人間か)
貴虎「私に何か用か?」
礼子「はい。呉島さんの斬月に、ぜひ我が社の装備を使っていただけないかなぁと思いまして」
貴虎「必要ない。斬月は完成している」
礼子「まぁ、そう言わずに」 ガシッ
礼子「こちらの追加装甲や、補助スラスターなどいかがでしょう? さらに今なら、もうひとつ、脚部ブレードも付いてきます」
貴虎「いらん。私も、まだ仕事が残っている。失礼する」
礼子「……ちっ」
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 20:40:27.34 ID:+g2kNPHkO
貴虎(さて、次の客は……)
楯無「ジャジャーン!」 バッ
扇子『神出鬼没』
貴虎(……いつか来るだろうとは思っていたが、まさかメイド服とはな……)
楯無「うふふふ……ときに貴虎くん、生徒会の出し物『観客参加型演劇』に協力しなさい!」
貴虎「断る。そんな暇はない」
楯無「とにかく、お姉さんと来る!」 ガシッ
貴虎「断ると言っただろう!」
楯無「はい、決定〜!」
貴虎「っ、相変わらずの馬鹿力め!」 ズルズル
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 20:41:18.19 ID:+g2kNPHkO
それから、更衣室
楯無「じゃあ、これに着替えたらステージに来てね。それと、大事なのは……」 ゴソゴソ
楯無「はい、王冠」 ゴトッ
貴虎「まず内容を説明してくれ」
楯無「大丈夫、大丈夫! 基本アドリブのお芝居だし、必要な指示はこっちからも出すから」
貴虎(何が大丈夫なんだ……)
楯無「それじゃあ、よろしくね。貴虎くん」
貴虎「……」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 20:50:07.07 ID:+g2kNPHkO
そして、ステージ
「さぁ、幕開けよ!」
ガー
「むかーしむかし……あるところに、シンデレラという少女がいました」
パッ
貴虎(その説明で、なぜ俺にスポットライトが当たる? 本当に意味がわからん、あの女は……)
「否……それはもはや名前ではない」
貴虎「……何?」
「幾多の武闘会を抜け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰塵を纏うことさえ厭わない、地上最強の兵士たち……」
貴虎「……」
「彼女らを呼ぶに相応しい称号……それが灰被姫[シンデレラ]!」
貴虎(……もう、ついていけん)
「王子の冠に隠された軍事機密を狙い、少女たちが舞い踊る!!」
キャー!
バンッ!
貴虎(っ、ステージに灯りが……)
「今宵もまた、血に飢えたシンデレラたちの夜が始まる……」
鈴「ふっ、もらったぁ!」 ブンッ
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 21:00:13.11 ID:+g2kNPHkO
貴虎(後ろか) サッ
ダンッ
鈴「ちっ、外した……その王冠、よこしなさいよ!」
貴虎(よくわからんが……とにかく、やってくる相手を倒せばいい、ということか)
貴虎(それならば、話が早い)
貴虎「いいだろう、かかってこい」 グッ
鈴「はぁっ!」 ブンッ
貴虎「……」 サッ
ガシッ
鈴「あっ」
貴虎「ハッ!」 グイッ
鈴「きゃっ!」 ドテン
貴虎(まずはひとり……ん?)
ピッ
貴虎(っ、レーザーポインター!?) サッ
パンッ!
貴虎(この射撃精度……オルコットに違いない)
貴虎(上手[かみて]の塔の上か) ダッ
鈴「待ちなさい!」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 21:10:05.65 ID:k0zBGhHkO
少し前
楯無「今回、貴虎くんが被っている王冠を獲った人には……」
楯無「貴虎くんと同居する権利をプレゼントしようと思うの」
箒「!」
セシリア「!」
鈴「!」
シャル「!」
ラウラ「!」
シャル「で、でも……そんなことって……」
楯無「大丈夫……生徒会長権限で、可能にするわ」
シャル(そもそも、僕たちが貴虎に勝てるの……?)
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 21:11:01.47 ID:k0zBGhHkO
戻って、ステージ
セシリア「貴虎さんが、こちらに……一旦、隠れましょう」 サッ
セシリア(今日は何がなんでも、勝たせていただきますわ……!)
貴虎「ここにいたか」
セシリア「っ!? 貴虎さん、どうしてここが!?」
ガシッ
貴虎「ハッ!」 グルッ
セシリア「きゃあっ!」 ドテッ
貴虎(これでふたり……襲撃を待つより、こちらから探しに行くのも手か)
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 21:20:06.27 ID:cidF2URE0
貴虎(さて、どこにいる……)
シャル「貴虎、こっちこっち!」 ササッ
貴虎「デュノア?」
シャル「こっちから抜けて、逃げられるよ」
貴虎「……お前は、敵ではないのか?」
シャル「え? えっと……あはは」
貴虎「……まぁいい、感謝する。また後で会おう」
シャル「あっ……ちょっと待って!」
貴虎「どうした?」
シャル「その……できれば、王冠を置いていってくれると嬉しいな」
貴虎「……それが狙いか」
シャル「え!? いや、そういうわけじゃ……」
貴虎「冒頭のナレーションは『冠を狙い』……そして、凰も『王冠をよこせ』と言っていた」
貴虎「思えば、オルコットもこれに照準を合わせていた……つまりこれは、私の王冠の争奪戦というわけだ」
「ピンポーン! その通り!」
貴虎(あの女……どこから見ている?)
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 21:30:11.55 ID:cidF2URE0
「王子様にとって、国とは全て。その重要機密が隠された王冠を失うと……」
ビリッ!
貴虎「何っ!?」
「自責の念によって、電流が流れます!」
貴虎(あの女……っ!)
「あぁ、なんということでしょう! 王子様の国を想う心は、そうまでも重いのか!」
「しかし、私たちには見守ることしかできません……あぁ、なんということでしょう!!」
貴虎(決めたぞ。このゲームの最終目標は、あの女を倒すことだ)
セシリア「そこまでですわ。神妙になさって!」
鈴「諦めなさいよ!」
貴虎(あいつら……もう少し強めに投げておくべきだったか)
貴虎「いいだろう、3人まとめて相手をしてやる……!」
シャル「えぇ!? ちょっと、僕は……」
貴虎「ハッ!」 グイッ
鈴「ひゃあっ!」 バンッ
貴虎「フッ!」 グルッ
セシリア「きゃあっ!」 ドテッ
貴虎「ハァッ!」 グルン!
シャル「なんで僕までぇ!?」 ドテン!
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 21:40:16.07 ID:cidF2URE0
貴虎(さて、次は誰だ……っ!) ピクッ
貴虎(気配を感じる……今度は下手[しもて]の塔か) ダッ
タタタッ
貴虎「……」 スタッ
ラウラ「待っていたぞ」
貴虎(ボーデヴィッヒか……さっきの3人より手こずりそうだな)
ラウラ「王冠は私がいただく……!」 チャキッ
貴虎「かかってこい」 グッ
ラウラ「ハッ!」 ブンッ
貴虎「……」 サッ
ラウラ「ハァッ!」 ブンッブンッ
貴虎「お前だけ、ナイフを2本も使うのは……」 サッ
ドンッ
ラウラ「何っ!?」
貴虎「ずるいな」 パシッ
貴虎「これで対等な勝負だ」 チャキッ
ラウラ「小癪な……ハァッ!」 ブンッ
貴虎「……」 ブンッ
ガキィィ……!
ガキン!
貴虎「ボーデヴィッヒ」 ガキンッ
ラウラ「なんだ!」 ガキンッ
貴虎「足元が留守だぞ」
ラウラ「っ!?」
貴虎「ハッ!」 ガッ!
ラウラ「足が……!!」
ガシッ
グイッ
貴虎「ハァッ!」 グルッ
ラウラ「ぐぅっ……!」 ダンッ
貴虎「そこでしばらく休んでいろ」
ラウラ「フッ……さすが宿敵[とも]だ……」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 21:50:02.38 ID:cidF2URE0
貴虎(残るはひとり……どこにいる……)
箒「貴虎!」
貴虎「……お前もデュノアと同じか」
箒「何?」
貴虎「戦わずに、この王冠を手に入れようと、そういう魂胆だろう?」
箒「……」
貴虎「単刀直入に聞きたい。なぜ、お前たちはこの王冠を狙う?」
箒「っ、それは……それはだな……」
箒「あの……その……」
貴虎「……?」
ラウラ「王冠は私がいただく!」 バッ
貴虎(っ! もう復活したか……!)
箒「そうはさせん!」 チャキッ
ガキン!
ラウラ「どういうつもりだ……!」
箒「邪魔をするな、ラウラ!」
ラウラ「こっちのセリフだ!」
ジリッ……
ラウラ「まずはお前から排除してやろう」
箒「やれるものならな……!」
キンッ!
ガキィッ!
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 22:00:10.19 ID:cidF2URE0
貴虎(狙う相手を間違えているぞ……まぁいい、このまま同士討ちをしてくれれば……)
「さぁ! ただいまから、フリーエントリー組の参加です!」
「王子様の王冠を目指して、頑張ってくださーい!!」
貴虎(……あの女ぁっ!)
「呉島くん、大人しくしなさーい!」
「私と幸せになりましょう、王子様!」
「王冠をちょうだい!」
「くれしー、待ってよー」
貴虎「……いいだろう。だが、覚悟しておけ」 スッ
貴虎「今の私は、少々頭にきている……手加減はできんぞ!」 グッ
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 22:00:52.70 ID:cidF2URE0
貴虎「ハァッ!」 ブンッ
「キャー!」 ドテッ
貴虎「はぁ……はぁ……」
「すごーい! 呉島くん、もう100人斬り達成!」
「呉島くん、はやーい!」
「呉島くん、ゼツリーン!」
「さすが呉島くんだ!」
貴虎「誤解を招く言い方をするな!」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 22:10:06.23 ID:cidF2URE0
「呉島くん、ちょっと疲れてる!」
「今がチャンス!」
「私も投げてー!」
貴虎(多勢に無勢か……というより、生身の女子相手に本気が出せん……!)
貴虎(一旦どこかに隠れて、体力を回復するか……) ダッ
礼子「呉島さん、こっちへ」 サッ
貴虎「お前は……」
礼子「早く!」
貴虎「……」
タタタッ
スタッ
貴虎(ここは……ステージ地下の更衣室か)
礼子「ここなら、見つかりませんよ」
貴虎「……礼を言う前に、ひとつ聞きたい。外部の人間であるお前が、なぜここに入れた?」
礼子「はい。この機会に斬月をいただきたい、と思いまして」
貴虎「……何?」
礼子「いいから、とっとと寄越しやがれよぉ!」 ブンッ
貴虎「っ、お前は何者だ?」 サッ
礼子「私かぁ? 企業の人間になりすました……」 グシャッ
礼子「謎の美女だよぉ!」 ガシン!
礼子「ほら、嬉しいかぁ?」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 22:20:05.68 ID:cidF2URE0
貴虎「……変身」 ピカーン
礼子「待ってたぜぇ……そいつを使うのをよぉ!」
礼子「喰らえ!!」 バシュン!
貴虎「……」 サッ
ドカーン!
礼子「ほう? やるじゃねぇか」
貴虎(無双セイバー……) ピカーン
貴虎「喋っている暇があるなら、さっさとかかってこい」 チャキッ
礼子「言うじゃねぇか……これ見てビビんなガキがぁ!」 ピカーン
貴虎「それがお前のISか」
礼子「そうさ、アラクネだよ。コイツの毒はキツいぜぇ?」
礼子「そらよ!」 バシュバシュバシュン!
貴虎「……」 ドウッ
ドカーン!
礼子「ハッハッハッハッ!」バシュバシュバシュン!
貴虎「誰だか知らんが、中々やるな」 サッ サッ
礼子「あぁ? 知らねぇのかよ」
礼子「秘密結社『亡国機業[ファントム・タスク]』がひとり、オータム様って言えば……わかるかぁ?」 ブンッ
貴虎「秘密なら、堂々と口にするな」 ガキン!
オータム「何も知らずに死んでくのは可愛そうだからなぁ? 冥土の土産に教えてやるよ!」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 22:30:19.72 ID:cidF2URE0
貴虎(面倒な……だが、ちょうどいい機会だ) ピッ
貴虎「新しい力を試してやる……」 カチャ
ガチャッ
キュイン
『イチゴ』
ジジジジ……
ヒュゥゥ……
オータム「あ? なんだぁ?」
ガチャッ
キュイーン
『ロックオン』
プォォォ……
ザシュッ
『ソイヤッ!』
ヒューン
ズボッ
『イチゴアームズ!』
ガシャッ
キュイィィィン……
『シュシュッと! スパーク!!』
ガシャン!
キンキン!
オータム「おうおう、随分と可愛らしい姿になったじゃねぇか!」
貴虎(そうだ。私にしては可愛すぎる……そんな理由で、一度は採用を見送ったアームズ)
貴虎(だが……これなら身軽に、こいつの懐に入り込めるかもしれん)
貴虎「いくぞ……!」 チャキッ
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/31(日) 22:30:45.62 ID:cidF2URE0
今日はここまで
続きはまた明日
87 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 19:59:12.83 ID:zLdtmU2Z0
それじゃ、投下していく
それと、名前を思い出したんで今回からつけていく
88 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 19:59:52.87 ID:zLdtmU2Z0
ところ変わって
真耶「ロッカールームに、未確認のIS反応です!」
千冬「やはり、学園祭を狙ってきたか。しかし、単騎とは……」
千冬「山田先生、敵の増援に警戒。一般生徒には、避難命令を」
真耶「了解しました」
千冬(貴虎……)
89 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 20:00:36.00 ID:zLdtmU2Z0
ステージ
鈴「ったく、貴虎はどこに行ったのよ……」
箒「引き際を心得ているやつだ」
ラウラ「ふん、貴様たちが私と宿敵[とも]の邪魔をするから……」
セシリア「だいたいシャルロットさん、あなたはどうして戦わないんですの?」
シャル「そんなこと言ったって、貴虎に勝てる気しないし……」
ブーッ ブーッ
シャル「ん?」
真耶『ロッカールームに、未確認のIS出現。斬月と交戦中』
箒「っ!」
真耶『専用機持ちは、ただちにISを展開、状況に備えてください』
ラウラ「了解!」
ピカーン
千冬『オルコットと凰は哨戒につけ!』
鈴「はい!」 ドウッ
オルコット「はっ!」 ドウッ
千冬『篠ノ之、デュノア、ボーデヴィッヒは、呉島の援護。ロッカールームへ向かえ!』
箒「わかりました」
デュノア「よし、行こう!」
90 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 20:10:05.83 ID:zLdtmU2Z0
そのころ、上空
鈴「右舷前方、クリア」
セシリア「こちらも異常ありません」
真耶『高速で移動中のISを捕捉』
千冬『ふたりとも、油断するな』
セシリア「わかりました」
鈴「食い止めるわよ」
ゴォォォ……!
鈴「っ、IS反応確認! 急行します!」
セシリア「……っ!? そんな、まさか……」
セシリア(あれはBT2号機、サイレント・ゼフィルス……!)
鈴「どうしたの、セシリア!? 撃って!」 バシュン! バシュン!
セシリア「……あっ、はい!」 ダンッ! ダンッ!
???「……」 ガキン! ガキン!
鈴「っ!? 何よ、アイツ!」
セシリア「ならば、こちらも……!」 ドンッ! ドンッ!
???「……」 キィィィ……!
ドガーン!
鈴「そんな……!」
91 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 20:20:06.40 ID:zLdtmU2Z0
セシリア「今のは、BT兵器のフレキシブル……! そんなこと……」
セシリア「現在の操縦者では、わたくしがBT適正の最高値のはず……それが、どうして……」
???「……」 ガチャン! ガチャン!
鈴「ビットが!」
シュゥゥ……
ゴォォォ……
鈴「セシリア、危ない! 逃げて!!」
セシリア「くぅ……っ!」 ビューン
バキュン! バキュン!
???「……」 ドウッ
92 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 20:30:10.30 ID:zLdtmU2Z0
そのころ、更衣室
オータム「オラァッ!」 ブンッ
貴虎「……」 サッ
貴虎「ハッ!」 ザンッ
オータム「ちっ……」
貴虎「フッ!」 ザシュッ
オータム「っ!」
貴虎「ハァ!」 ズバッ
オータム「このガキ……っ!」
貴虎「ハァッ!」 ズバァ!
オータム「ぬぁああ!!」 バタッ
オータム(こいつ、こっちの手を全部弾いた上に追撃してきやがる……!)
貴虎「どうした? 秘密結社とやらの実力は、この程度か?」
オータム「っ! 調子に乗るなよガキィ!!」 バシュッ
バッ
貴虎(っ! 蜘蛛の糸が、ネット状に広がって……) ギリッ
貴虎(身動きが……!) ギリッ
オータム「やっぱガキだなぁ……蜘蛛の糸を甘く見るからそうなるんだぜぇ」
オータム「ハッ! 楽勝だぜ、まったくよう!!」
貴虎「……」 ザクッ
93 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 20:40:12.54 ID:8xQUvu8VO
オータム「さぁて、斬月をいただくかねぇ。テメェには用がねぇから、殺してやるよ!」
「あら、そういうのは困るわ」
オータム「何っ!?」 バッ
楯無「貴虎くん、私のお気に入りだから」
貴虎「……来たのか」
オータム「……テメェ、どこから入った? 今、ここは全システムをロックしてんだぞ……」
楯無「私はこの学園の生徒会長……故に、そのように振る舞うのよ」
オータム「ハァ? 何言ってんだテメェ……喰らいやがれ!」 ザンッ
グサァ……
オータム「っ!? 手応えがない、だと……?」
楯無?「うふふ……」 ドロォ……
バシャッ
オータム「コイツは……水か……!?」
「ご名答。水で作った偽物よ」
オータム「っ!」 バッ
楯無「はっ!」 ズバッ
オータム「ちっ……」
楯無「あら、浅かったわ。そのIS、なかなかの機動性を持ってるのね」
オータム「何なんだよ、テメェはよぉ!?」
楯無「更識楯無、そしてIS『ミステリアス・レイディ』よ。覚えておいてね」
貴虎(これが、この女のIS……ちょうどいい、性能を見せてもらおう)
94 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 20:50:35.01 ID:zLdtmU2Z0
オータム「今ここで殺してやらぁ!」 バババババッ!
バシャッ
ポチャッ
楯無「ふふっ、なんていう小物発言かしら」
貴虎(水の盾か。随分と高い防御力だが、どういうカラクリだ?)
オータム「くそっ、ガキが……調子づくな!」 ドウッ
バシャッ
楯無「そんな攻撃じゃあ、この水は破れないわ」
オータム「ただの水じゃない……何なんだ!?」
楯無「あら、鋭い。この水はISのエネルギーを伝達するナノマシンによって制御されてるのよ……すごいでしょ?」
楯無「ところで知ってる? この学園の生徒会長というのは『最強』の称号だということを」
オータム「知るか!」 ガシッ
楯無「……」
オータム「ハハハッ! 最強だと? 笑わせんなよ!」 バババババッ!
ドカーン!
楯無「っ……」
貴虎「……」
楯無「……貴虎くん、ここはお姉さんにお任せ」
オータム「ハッ、余裕ぶるんじゃねぇよ」 ガシッ
楯無「っ……動けなくなっちゃった」
オータム「今度こそ、もらったぜ……!」 キィィィ……!
95 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 21:00:21.23 ID:zLdtmU2Z0
楯無「……ねぇ? この部屋、暑くない?」
オータム「ハァ?」
楯無「気温じゃなくて、人間の体感温度が」
オータム「何言ってやがる?」
楯無「不快指数っていうのは、湿度に依存するのよ……湿度、高くない?」
オータム「えっ……?」
楯無「霧は隙間から、装甲の中まで入り込む」
オータム「っ!?」
楯無「そう、その顔が見たかったの。己の失策を知った、その顔をね……ふふっ」 パチンッ
ボン! ボン!
ドガーン!
オータム「ぐぁぁああああ!!」
楯無「ミステリアス・レイディ……霧纏の淑女を意味するこの機体は、水を自在に操るのよ。エネルギーを伝達する、ナノマシンによってね」
貴虎(この女……やり方はスマートだが、性格が良いとは言えないな……)
楯無「ところで貴虎くん、そろそろ起きたら? 君、とっくに動けるようになってるでしょ?」
貴虎「……気づいていたのか」
斬月『装備展開:イチゴクナイ』
貴虎(あいつの『アラクネ』という発言から、糸による攻撃は予測できた。このアームズを選んだのは、正解だったな)
貴虎(もっとも、狙った不意打ちは、この女が来たせいで決まらなかったが)
楯無「お姉さんのこと知りたそうだったから、見せてあげたのよ。だから……今度は貴虎くんのいいところ、見せて欲しいな」
貴虎「……いいだろう。そろそろ、新しい装備を試そうと考えていたところだ」 カチャッ
96 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 21:10:11.77 ID:zLdtmU2Z0
ガチャッ
キュイン
『マンゴー』
ジジジジ……
ヒュゥゥ……
楯無「前から思ってたけど、君の装備って面白いよね」
ガチャッ
キュイーン
『ロックオン』
プォォォ……
ザシュッ
『ソイヤッ!』
ヒューン
ズボッ
楯無「特にそこが」
貴虎「……よく言われる」
ガシャッ
キュイィィィン……
『マンゴーアームズ!』
ガシャン!
ガァン!
『ファイト・オブ・ハンマー!!』
貴虎(以前使ったときは、葛葉紘汰に土をつけられたが……あの戦いから、このアームズのコツは掴んでいる)
斬月『装備展開:マンゴパニッシャー』
97 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 21:20:12.21 ID:zLdtmU2Z0
オータム「まだ……まだだ!!」
貴虎「その意気だ。ハッ!」 ブンッ
オータム「ぐっ……!」
貴虎「フンッ!」 ガンッ
オータム「がぁっ!」
貴虎「ハァッ!」 ガァン!
オータム「ぐぁああ!!」 バタッ
オータム「チクショウ……!」 ダッ
楯無「貴虎くん、追いかけて!」
貴虎「……」 ダッ
バァン!
貴虎(っ、何者かが天井を……)
???「迎えに来たぞ、オータム」 ニヤッ
オータム「テメェ、私を呼び捨てにするんじゃねぇ!」
貴虎(新手か。なんだ、あのISは……?)
98 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 21:30:06.02 ID:zLdtmU2Z0
オータム「くそっ……っ!?」 ピタッ
ラウラ「貴様、逃がさん」 サッ
シャル「往生際が悪いよ」 ガチャッ
箒「これまでだな」 チャキッ
バシュン! バシュン!
ラウラ「っ!? ビットか!」
???「……」 ズバッ
パンッ
オータム「くっ……!」
ラウラ「AICを無効化しただと……!?」
???「この程度か、ドイツのアドバンスド」
ラウラ「っ! 貴様、なぜそれを知っている!?」
???「言う必要はない」 ピピッ
???「っ、スコールか……わかった」
???「迎撃態勢が整い過ぎた。帰投するぞ、オータム」 ドウッ
バシュン! バシュン!
ラウラ「くっ……!」
オータム「ちっ……!」 ダッ
ガチャッ
ピッ……ピッ……ピッ……
ダダダダダッ
シャル「っ、ISが自立して!」
箒「まさか、爆弾か!?」
貴虎「っ、離れろ!」 ダッ
シャル「貴虎!?」
99 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 21:40:07.22 ID:zLdtmU2Z0
貴虎(このアームズの必殺技は、パワーを利用してエネルギーを『投げる』もの。それを応用すれば……)
ザシュッ
ジャキン
『ソイヤッ!』
貴虎(一か八かだ……!) ガシッ
『マンゴーオーレ!!』
キンッ!
ゴォォォ……!
貴虎「はぁぁ……ハァッ!!」 ブンッ
ヒュゥゥ……
ピッ、ピッ、ピピピピ……
オータム「はっ……? 嘘だろ……」
ドガーン!!
モクモク……
箒「爆煙でよく見えん……!」
ラウラ「仕留めたか……?」
貴虎「……いや、逃げられた」
シャル「そんな……」
貴虎(亡国機業[ファントム・タスク]……またいつか、相見えるかもしれんな……)
100 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 21:40:38.38 ID:zLdtmU2Z0
それから、ところ変わって
真耶「ISアラクネは、コアを抜き出して破壊。もう一機は、イギリスで強奪されたブルー・ティアーズ2号機『サイレント・ゼフィルス』のようです」
千冬「亡国機業[ファントム・タスク]という輩か」
真耶「はい。他にも幾つかのISを強奪しているらしく、次のターゲットが斬月だったようです」
千冬「狙う相手を間違えたな」
真耶「そんなこと言って、念のため、更識さんに警護をお願いしてたじゃないですか。先生、心配じゃなかったですか?」
真耶「本当は、ご自分でしたかったとか……」
千冬「馬鹿を言うな。それが更識の役割だ」
101 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 21:50:06.53 ID:zLdtmU2Z0
それから、貴虎の部屋
楯無「というわけで、お姉さんは貴虎くんの警護のため、近くにいたってわけ」
貴虎「それならそうと最初から言え」
楯無「それじゃ意味ないじゃない」
貴虎「それに、警護というわりには、必要のない行動も多かったように思えるが?」
楯無「んー、例えば?」
貴虎「……言わずともわかるだろう」
楯無「えー? お姉さん、わかんなーい。貴虎くん、教えて?」
貴虎「だから、その……扇情的な格好のことだ!」
楯無「やーん、貴虎くんのエッチ!」
貴虎(この女……っ!)
楯無「ふふっ」
貴虎「……」
楯無「……更識家は昔から、この手の裏工作……暗部に強いのよ」
貴虎「……そうか」
楯無「でも、当面の危機は去ったようだし、私も少しは気が休まるわ……まとわりついて、ごめんね」
貴虎「……やり方はどうあれ、私のための行動だったのだろう? なら、それはもう構わん」
楯無「……私が近くにいなくなると、寂しい?」
貴虎「いや、まったく」
楯無「……」
貴虎「……」
102 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 22:00:18.65 ID:zLdtmU2Z0
楯無「……ところで、これなーんだ?」
つ『王冠』
貴虎「あぁ、そんなものもあったな……」
楯無「そう! これをゲットした人が、貴虎くんと同じ部屋に暮らせるっていう、素敵アイテム」
貴虎「……何?」
楯無「うふふっ」
貴虎「……そんな話は聞いていない」
貴虎(というか、篠ノ之たちはそんなものを血相変えて取りに来ていたのか?)
楯無「うん。だって女の子にしか言ってないし〜」
貴虎「ふざけるな」
楯無「なんにしても、ゲットしたのは……わ・た・し」
貴虎「知らん、そんなものは無効だ」
楯無「これからもよろしくね、貴虎くん」
貴虎「無効だと言っているだろう!」
ギャーギャー
貴虎(まったく、面倒な女と知り合ったものだ)
貴虎(依然、葛葉紘汰との連絡も取れないまま。それに加え、謎の秘密結社まで……考えることが増えていく)
貴虎(だが、俺のやることは変わらない。決して諦めず、自分のすべきことをしていくだけだ)
貴虎(元の世界へ戻る、そのときまで!)
103 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/01(月) 22:01:20.32 ID:zLdtmU2Z0
今回はここまで
次回は『第三話 タッグマッチトーナメント』
新年度始まって忙しいから、少し間が空くと思う
あと、アニメの茶番回は飛ばすかも
それはそれとして、貴虎とお似合いのヒロインって誰だろう
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/01(月) 22:50:19.03 ID:XlGXS5Ex0
貴虎兄さん本編でさっぱり浮いた話無かったからなあ…
女の子とイチャイチャ出来そうにない、というのは偏見だろうか?
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/02(火) 00:33:35.44 ID:CAzOebmFO
乙
イチャイチャしたらどこぞのレモンが女の子に襲いかかりそう
高校生っぽいデートとか似合わなそう
夜景の見えるホテルのレストランでもミッチと食事してそう
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/04(木) 21:09:14.68 ID:99c7sDBao
貴虎兄さん某レモンのように我が強くて個性的なのに好かれるけど、そばにいて癒やしてくれそうな女性がお似合いなんじゃない?
映画では結構一途な一面もあったし、恋人ができたらかなり大事にしそう
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/06(土) 05:20:17.26 ID:NtbydqfNO
むしろ恋人を大事に思いすぎてもっと平和のために頑張ろう!って仕事ばかりして恋人ほったらかしにしそう
108 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 19:59:13.16 ID:Jo4N+vyq0
それじゃ、続き投下していく
思ったより早く書き上がった
109 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 20:00:10.51 ID:Jo4N+vyq0
『第三話 タッグマッチトーナメント』
貴虎(いかん。調査に熱中しすぎて、つい遅くなってしまった) テクテク
貴虎(だが結局、亡国機業[ファントム・タスク]に関する情報は一切得られなかった)
貴虎(なるほど、だてに『秘密結社』ではないということか)
貴虎(こう思っては不謹慎だが、また相対する機会が訪れれば、何か情報が……っ!) ピタッ
貴虎「……誰だ?」 クルッ
???「……」 コツコツ
貴虎「……織斑?」
貴虎(あの顔は確かに……いや、よく見ると少し幼いか?)
???「あぁ、確かに私は織斑だ」
貴虎(……本物の織斑が、そんなことを言うものか)
貴虎「……何者だ?」
???「この間は、オータムが世話になったな」
貴虎「オータムだと……!」
貴虎(そうか……こいつは、あのとき乱入してきたISの……)
貴虎(それにしても……まさか本当に、再び向こうからやって来るとはな)
???「私の名前は、織斑マドカだ」
貴虎「……あいつの妹か?」
マドカ「あぁ。確かに、織斑千冬は私の姉だとも」
貴虎(この言い方……信用できん)
貴虎「私に何の用だ?」
110 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 20:10:14.45 ID:Jo4N+vyq0
マドカ「特に用はない」
貴虎「……何?」
マドカ「ただ……今後、お前の存在が私の邪魔にならないよう……」 スッ
貴虎(っ、銃だと……!)
マドカ「お前の命をもらう」 バンッ!
貴虎(無双セイバー!) ガシッ
ブンッ
ガキン!
マドカ「ほう、本当に刀で弾くとは……だが、いつまで保つかな?」 バンッ! バンッ!
貴虎「試してみろ。弾が切れるまで」 ガキン! ガキン!
貴虎「だが、私も黙っていると思うな……」 ガチャッ
キュィィン……
バキュン!
マドカ「フッ……」 ピカーン
ガチャン
ヒュゥゥ……!
貴虎(っ、ビットか)
バシュン!
ドカーン!
貴虎(さすがに、もう無双セイバーのみで相手をするのは難しいか)
貴虎「いいだろう。お前がその気なら、相手になってやる……変身」 ピカーン
マドカ「……」 ドウッ
111 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 20:20:03.78 ID:Jo4N+vyq0
貴虎(見たところ、こいつのISはオルコットのものと同じタイプ……)
貴虎(遠隔操作によるビットから砲撃を行い、それを軸に戦う機体か) ピッ
貴虎(ならば、自ずと戦術も決まる……) カチャ
ガチャッ
キュイン
『メロン』
ジジジジ……
ヒュゥゥ……
マドカ「来たか……」
ガチャッ
キュイーン
『ロックオン』
プォォォ……
ザシュッ
『ソイヤッ!』
ヒューン
ズボッ
『メロンアームズ!』
ガシャッ
キュイィィィン……
『天・下・御・免!!』
ガシャン!
テレレン
貴虎「いくぞ……!」 ドウッ
112 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 20:30:02.82 ID:Jo4N+vyq0
マドカ「……」 バシュン! バシュン!
貴虎(メロンディフェンダー!) サッ
ガキン! ガキン!
貴虎(鬱陶しいな……こいつを投げて、すべてのビットを落としてやる) グッ
ザシュッ
ジャキン
『ソイヤッ!』
ギュオギュオギュオギュオ……
キィィィン……!
『メロンスカッシュ!!』
貴虎「ハァッ!」 ブンッ!
ヒュォォ……!
キンッ!
ボンッ!
ドガーン!
マドカ「何っ!?」
マドカ(6機のビットが、全滅だと……!)
貴虎「これで、お前を守るビットはなくなった」 パシッ
貴虎「覚悟しろ……」 ジャキッ
貴虎「ハァッ……っ!?」 ビクッ
貴虎(なんだ……今、一瞬だが、斬月の動きが止まったような……)
マドカ「面倒だ……!」 ドウッ
113 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 20:40:06.75 ID:Jo4N+vyq0
貴虎「っ……逃すか!」 バキュン!
マドカ「フッ……」 サッ
バシィン!
貴虎「バリアだと……!?」
マドカ「……」 ゴォォォ……
貴虎「待て!! ……くっ」 ピカーン
貴虎「逃げ足の速いやつだ……!」 スタッ
貴虎(さらなる情報を手に入れる、千載一遇のチャンスだったというのに……)
貴虎(……終わったことを嘆いても仕方ない。今は、新たに手に入った情報を整理しよう)
貴虎(織斑マドカ。あいつが何者かを知るには……やはり、他ならぬ織斑に聞くのが一番か)
貴虎(……さっきの不調は、俺の気のせいか……?)
114 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 20:40:50.14 ID:Jo4N+vyq0
そのころ、ところ変わって
簪「……」ピッ ピッ
ウィーン ウィーン
簪(各駆動部の反応が悪い……どうして……)
簪(コアの適正値も上がらない……タイプが向いてないの……?)
簪「……はぁ……」 ピッ
簪「帰って、ライダーでも見よ……」 スクッ
スタスタ
楯無「……」 コソッ
楯無(簪ちゃん……)
115 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 20:50:14.72 ID:Jo4N+vyq0
次の日、教室
貴虎(昨夜の襲撃から、特に斬月に変化はない)
貴虎(だがそれは、俺が斬月を展開していないため、わからないというだけだ)
貴虎(あれは気のせいだったのか……それとも、また何か面倒な問題が発生し始めたのか……)
箒「……貴虎?」
貴虎「っ、篠ノ之か」
箒「どうした、難しい顔をして」
貴虎「……いや、何でもない」
箒「そうか……その、もし何かあれば、なんだ……私に相談してくれても、構わないから……な?」
貴虎「……あぁ、ありがとう」
貴虎(そう簡単に相談できることではないが……まぁ、悩み過ぎるのも良くないか)
貴虎(できれば、杞憂であってくれればいいが……)
ガラッ
タタタッ
薫子「やっほー! 呉島くん、篠ノ之さん」
貴虎(こいつは、確か……)
貴虎(……誰だったか。会ったことがある気はするが)
貴虎(新聞部の腕章をつけているということは、何かの折にインタビューでも受けたか?)
116 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:00:02.69 ID:Jo4N+vyq0
次の日、教室
貴虎(昨夜の襲撃から、特に斬月に変化はない)
貴虎(だがそれは、俺が斬月を展開していないため、わからないというだけだ)
貴虎(あれは気のせいだったのか……それとも、また何か面倒な問題が発生し始めたのか……)
箒「……貴虎?」
貴虎「っ、篠ノ之か」
箒「どうした、難しい顔をして」
貴虎「……いや、何でもない」
箒「そうか……その、もし何かあれば、なんだ……私に相談してくれても、構わないから……な?」
貴虎「……あぁ、ありがとう」
貴虎(そう簡単に相談できることではないが……まぁ、悩み過ぎるのも良くないか)
貴虎(できれば、杞憂であってくれればいいが……)
ガラッ
タタタッ
薫子「やっほー! 呉島くん、篠ノ之さん」
貴虎(こいつは、確か……)
貴虎(……誰だったか。会ったことがある気はするが)
貴虎(新聞部の腕章をつけているということは、何かの折にインタビューでも受けたか?)
117 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:04:11.60 ID:Jo4N+vyq0
ごめん間違えた
118 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:04:42.34 ID:Jo4N+vyq0
箒「あぁ、黛先輩……お久しぶりです」
貴虎(黛? ……あぁ、思い出した。確か、新聞部の部長だったか)
貴虎(そうだ……だいぶ前だが、取材を受けた覚えがある。もう5年も前の……)
貴虎(……いや、この世界では、まだ1年も経っていないのだったな)
箒「どうかされましたか?」
薫子「いやー、ちょっとふたりに頼みがあって」
箒「頼み? 私と貴虎にですか?」
薫子「うん、そう。あのね、私の姉って出版社で働いてるんだけど……」
薫子「専用機持ちとして、ふたりに独占インタビューさせてくれないかな?」 ガサガサ
薫子「あっ、ちなみにこれが雑誌ね」 パサッ
箒「どうも……」 ペラッ
貴虎「篠ノ之。すまないが、私はあまり雑誌を読まなくてな……良し悪しの判別ができない」
貴虎「どういう内容のものか、確認してくれ」
箒「あぁ、これは……んん?」 ペラッ ペラッ
箒「えっと、あの……この雑誌、ISと関係なくないですか?」
貴虎「そうなのか?」
箒「見ろ、こんな感じの……」 ペラッ
貴虎「……ジャンルが異なる、ということか?」
薫子「んん? あれ? もしかして、ふたりはこういう仕事、初めて?」
薫子「えっとね、専用機持ちって、タレント的なこともするのよ。アイドルっていうか、主にモデルだけど」
貴虎「……スポーツ選手が、ファッション誌のグラビアを飾るようなものか?」
薫子「そうそう、それよ」
119 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:13:12.33 ID:Jo4N+vyq0
鈴「なになに、何の話?」 ヒョコッ
箒「いや、雑誌の取材を依頼されてな……」
貴虎「凰、お前は経験あるか?」
鈴「もちろん! モデルなら、あたしの写真、見せてあげるわよ」 ピッ
鈴「ほらこれ!」 バッ
貴虎「……なるほど、なかなかよく撮れている」
鈴「ふふん! そうでしょう、そうでしょう! 」
貴虎(こうして見ると、普段は気にならないが……確かに、凰は可愛らしい顔立ちをしている)
鈴「あっ、こっちのは、去年の夏のイベントのときのやつでね……」 ピッ ピッ
キーンコーンカーンコーン
薫子「あっ……じゃあ、放課後また来るから!」
鈴「でねでね、こっちが……イタッ!」 ガンッ
千冬「とっとと2組に帰れ」
鈴「うぅ、はい……」 スタスタ
千冬「さて……今日は近接格闘戦における効果的な回避方法と、距離の取り方についての理論講習を始める」
貴虎(……まぁ、また後で考えればいい。今は授業に集中しよう……)
120 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:13:44.88 ID:Jo4N+vyq0
そのころ、4組の教室
簪「……」 ピッ ピッ
「ねぇねぇ聞いた? 今度、専用機持ちだけのイベントがあるらしいよ。でね……」 ヒソヒソ
「ウチのクラスの簪さん、出るらしいよ」 ヒソヒソ
簪「……」 ピタッ
「簪さんの専用機、まだ完成してないんじゃない?」 ヒソヒソ
「間に合えばいいけど……」 ヒソヒソ
簪「……」 ピッ ピッ
121 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:24:52.14 ID:Jo4N+vyq0
それから、剣道場
箒「はっ! はっ!」 ブンッ ブンッ
貴虎「ここにいたか」
箒「貴虎……どうかしたか?」
貴虎「あの新聞部の言っていた話だ。まだ答えていないだろう?」
箒「断る。見世物など、私の主義に反する」
貴虎「やはり、お前もそうか」
箒「お前もその口だろう?」
貴虎「あぁ」
タタタッ
薫子「やっほー、お待たせ!」
薫子「それでね、取材の件なんだけど……」
貴虎「そのことだが、悪いが今回は……」
薫子「ジャン!」 ピッ
貴虎「……それは?」
薫子「三ツ星レストランのディナー招待券! これが報酬よ」
薫子「もちろんペアで!」
箒「っ!!」
貴虎「いらん、その程度の報酬……」
箒「受けましょう!」 パシッ
貴虎「篠ノ之!?」
122 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:33:02.91 ID:Jo4N+vyq0
薫子「やったー! ありがとうー!」
貴虎「篠ノ之、お前……」
薫子「じゃあ、決まりね。日曜日に取材だから、よろしく」
貴虎「待て、まだ話は……!」
薫子「そいじゃねー!」 ピューッ
貴虎「……篠ノ之、さっきと言っていることが違うぞ」
箒「……私は、柔軟な物事の考え方をしているのだ」
貴虎(報酬に釣られただけだろう……物は言いようだな)
箒「それより、貴虎。お前、今これを『その程度の報酬』と言わなかったか?」
貴虎「……」
箒「まさか、お前の家は大層な……」
貴虎「お前には関係のないことだ」
箒「……そうだな」
貴虎「……」
箒「……んんっ……あー、コホン。ところで、だな……このディナーだが……」
箒「もちろん、一緒に行くのだろうな……?」
貴虎「……報酬は受け取ってしまった。なら、それを無駄にすることもない」
箒「っ、そうか! そうだな!」 ニコッ
貴虎(……まぁ、篠ノ之がいいなら、別に構わない……かもしれんな)
123 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:41:01.89 ID:Jo4N+vyq0
その夜、簪の部屋
簪「……」 ジー
敵『この女がどうなってもいいのか!?』
ヒロイン『っ……』
主人公『たとえ変身できなくても……俺は刑事で、仮面ライダーだ!』 チャキッ
敵『お前、何しやがる……!?』
主人公『俺を信じろ』
ヒロイン『……もちろんです。バディですから!』
簪「……ふふっ……」
簪(いつか、私のところにも、来てくれるって思って……)
簪(私を見てくれる……私を助けてくれる、ヒーローが……)
簪「……」
124 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:42:03.16 ID:Jo4N+vyq0
後日、インタビュー当日
渚子「どうも。インフィニット・ストライプスの副編集長、黛渚子よ。今日はよろしく!」
貴虎「呉島貴虎だ」
箒「篠ノ之箒です」
渚子「えーっと……それじゃあ、先にインタビューから始めましょうか」 ピッ
渚子「最初の質問いいかしら? 呉島くん、女子校に入学した感想は?」
貴虎(いきなりそこか……まぁ、回りくどくなくていい)
貴虎「特に思うことはない。何処だろうと、私は自分の成すべきことをするだけだ」
渚子「成すべきこと……具体的には?」
貴虎「私自身の成長、また背負うべき責務など……だ」
渚子「……ぷっ、あははっ! 妹の言ってたこと、本当なのね!」
貴虎(一体どういうことを言ったんだ、あいつは……)
125 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 21:50:02.03 ID:Jo4N+vyq0
渚子「さて、それじゃあ……篠ノ之さんには、お姉さんの話を」
箒「っ……」
渚子「お姉さんから専用機をもらった感想は? どこかの国家代表候補生になる気はないの?」
箒「……紅椿は、感謝しています」
箒「ですが……今のところ、代表候補生に興味はありません。勧誘は多いですが」
渚子「オーケーオーケー! それじゃあ、呉島くんと篠ノ之さんって、どっちが強いのかしら?」
貴虎「私だ」
渚子「そうなの?」
箒「はい。というより、貴虎に勝った人を、私は見たことがありません」
渚子「あら、すごいわね! さすがヒーロー」
貴虎「ヒーローになるつもりはない。私はあくまで、自分の成長の結果として、強くなっただけだ」
渚子「面白い! じゃあそんな呉島くんに、戦場での心得を聞こうかしら」
貴虎「常に相手を見て、基礎に立ち返ることだ。相手の実力も、己の実力も、どちらも見誤ってはならない」
貴虎「あとは、そうだな……重要なのは、決して諦めないことだ」
渚子「あら、意外。なんていうか、もっと現実主義的なのかと思ってた」
貴虎「現実を見ることは大事だ。だが、それと同じように……希望を捨てないことも、また重要だ」
貴虎「この世界には、理由のない悪意などいくらでも転がっている。私もかつて、それに屈したことがあった」
貴虎「戦いに意味など求めても無駄だと……現実を見たつもりで、絶望を受け入れたことがな」
126 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 22:00:15.86 ID:Jo4N+vyq0
箒「……」
貴虎「だが、ある男に出会い、考えを改めた」
貴虎「どんな悪意にも、諦めずに戦い続ければ……必ず、そこに活路は拓けると」
貴虎「どんな苦難にも、絶望せず立ち向かえ。そうすれば、いつか必ず、そこに希望は生まれる」
貴虎「それが私の、戦場での心得だ」
渚子「イエース! カッコいいわよ!」
箒「貴虎……」
渚子「それじゃ、撮影に移りましょ!」
127 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 22:01:05.35 ID:Jo4N+vyq0
それから、スタジオ
貴虎「……」
渚子「ワーオ! 呉島くん、スーツめちゃくちゃ似合ってる!」
貴虎「……そうか」
渚子「すごいわ……なんか、すごく着慣れてるって感じ! 自然な雰囲気がステキよ」
貴虎(着慣れている……そうだろうな)
貴虎(はっきり言って、俺としても……IS学園の制服より、こちらの方がスタンダードだ)
「お待たせしましたー。篠ノ之さん、入りまーす」
箒「た、貴虎……待たせた……」
貴虎「ドレスか。よく似合っている」
箒「っ!? そ、そうか……!」
箒(貴虎が褒めてくれた……!!) ニヤニヤ
128 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 22:10:02.80 ID:Jo4N+vyq0
箒「貴虎も……似合ってるな」
箒「その、なんだ……悪くない、ぞ……」
貴虎「……ありがとう」
箒「いや……悪くない、というか……似合い過ぎる、というか……」
箒(……冷静に見ると、本当にすごいな。まったく違和感がない……)
箒(言わない方がいいが、貴虎は少し老け顔だし……知らない人が見たら、30代だと思われても、不思議ではないな……)
貴虎(……何となく、篠ノ之の考えていることが予想できるぞ……)
パンパンッ
渚子「はーい、それじゃあ撮影始めるわよ!」
貴虎(このソファーに座ればいいのか?) スッ
箒「……」 スッ
渚子「ふたりともー、もっとくっついて」
貴虎「……こうか?」 スッ
渚子「うーん、ダメダメ! もっともっと!」
貴虎「……篠ノ之、少し我慢しろ」 スッ
ピタッ
箒(っ!? 貴虎が、くっついて……!)
貴虎(少し近すぎたか……?)
貴虎(まずいな……パーティーなどに出席したときも、ここまで女とくっついたことはなかった……)
貴虎(そのせいか、適切な距離がわからない……!)
129 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 22:19:33.24 ID:Jo4N+vyq0
パシャッ
渚子「そうそう、オトナな感じでいくわよ」
渚子「じゃ次! 呉島くん、篠ノ之さんの腰を抱いて!」
貴虎「……何!?」
渚子「だから、腰を抱いて!」
貴虎「……本気で言っているのか?」
渚子「早く!」
貴虎「……」 スクッ
箒「……」 スクッ
貴虎「……篠ノ之?」 チラッ
箒「……」 ソッ
貴虎「っ……」 ギュッ
箒「あっ……」
パシャッ パシャッ
渚子「いいねいいねー!」 パシャッ
渚子「はい次! 篠ノ之さん、呉島くんの首に腕を絡めて!」
貴虎(まだ続くのか……まずい、緊張して汗が……)
渚子「さぁ、やって!」 パチンッ
130 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 22:29:10.82 ID:Jo4N+vyq0
箒「……」 ギュッ
貴虎(っ……必然的に、篠ノ之と見つめ合う形に……)
箒「貴虎……」
貴虎「っ、篠ノ之……」
貴虎(なぜ、そんな潤んだ瞳をしている……どうして、そんな顔で俺を見る……!?)
パシャッ パシャッ
渚子「んー! いい画が撮れたわ!」
箒「終わった、のか……?」
貴虎「っ!」 バッ
箒「っ、貴虎……」
貴虎「すまない、篠ノ之」
箒「いや……」
箒(そんな、飛び退くように離れなくても……)
渚子「お疲れ様! その服はあげるから」
渚子「本当、今日はありがとね!」
「お疲れ様でーす」
貴虎「……帰るか」
箒「……あぁ、そうだな……」
131 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/07(日) 22:30:02.93 ID:Jo4N+vyq0
今日はここまで
続きはまた明日
132 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/08(月) 19:58:21.49 ID:0inOOLUQ0
それじゃ、投下していく
133 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/08(月) 19:59:31.88 ID:0inOOLUQ0
テクテク
貴虎「……」
箒「……」
貴虎(静かだ……いや、確かに俺と篠ノ之は、普段からあまりうるさく会話はしないが……)
貴虎(だが、この沈黙は……明らかに、いつものそれとは違う……)
貴虎「……」
箒「……」
箒(あんなに至近距離で見つめ合って……もし、ふたりきりだったら……)
箒(キ……ス……とか……っ!?)
ガツン!
箒「痛っ!」 グラッ
貴虎「っ、篠ノ之!」 ガシッ
箒「うっ……大丈夫だ」
貴虎「どうした? 足を挫いたか?」
箒「大したことない。つまづいただけだ」
貴虎「……ヒールが取れているぞ」
箒「なーに、ならもう片方のヒールも……」 バッ
貴虎「横着するな」 パシッ
箒「あっ……」
貴虎「タクシーを呼んでやる」
134 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/08(月) 20:09:14.98 ID:0inOOLUQ0
箒「いや、わざわざそんな……必要ない」
貴虎「その足で歩けば、さらに痛めるぞ」
箒「でも……」
貴虎「……仕方ない」 スッ
箒「貴虎……?」
貴虎「おぶってやる。背中にのれ」
箒「……」 スッ
貴虎「……いくぞ」 スクッ
テクテク
箒「貴虎……ありがとう」
貴虎「気にするな。私も、別に気にしていない」
貴虎(そうだ、気にするな……背中の感触とか……)
貴虎(昔、光実にもやってやっただろう……それと何も変わらない……)
貴虎(気にするな……気にするな……!)
135 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/08(月) 20:10:06.46 ID:0inOOLUQ0
その夜、IS学園
貴虎「……」 テクテク
貴虎「……ん?」
千冬「……」 テクテク
貴虎(織斑……そうだ、あの事を聞かねば……)
136 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/08(月) 20:20:02.63 ID:0inOOLUQ0
貴虎「織斑」 ピタッ
千冬「何度言わせる、織斑先生だ」 ピタッ
貴虎「聞きたいことがある。妹はいるか?」
千冬「……それを聞いてどうする?」
貴虎「お前の妹を名乗る者に会った。その真偽を確かめたい」
千冬「……お前は、私のことを昔から知っているだろう」
貴虎「……あぁ」
貴虎(そうか……そういえば、この世界では、俺と織斑は幼馴染だったか)
千冬「その上で、その質問を私に投げかけると言うのだな?」
貴虎「……覚悟の上だ」
貴虎(この反応……何か事情があるのは、間違いない)
貴虎(ならば……ここで引き下がるわけにはいかん)
千冬「そうか……なら、はっきり言っておこう」
千冬「私に家族はいない」
貴虎「……そうか」
貴虎(事情はわからんが、話す気はなさそうだ……まぁ、いい)
貴虎(あの織斑マドカという女は、まともな存在ではない……それが分かれば十分だ)
千冬「……」
137 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/08(月) 20:29:15.04 ID:0inOOLUQ0
次の日、1組の教室
真耶「この度、各専用機持ちのレベルアップを図るために、全学年合同のタッグマッチを行うことになりました」
千冬「各国でISの強奪が相次ぎ、先の文化祭でも、専用機が狙われる事件が発生した」
貴虎「……」
千冬「そこで専用機持ちは、より練度を上げる必要がある。以上」
貴虎(タッグマッチか……技術を上げる良い機会だ。だが……) チラッ
貴虎(あのとき感じた斬月の不調が、また起きないとも限らない……注意を怠らないでおこう)
138 :
◆QNL99VWo9I
[saga]:2019/04/08(月) 20:30:02.08 ID:0inOOLUQ0
それから、昼休み
シャル「た、貴虎! お弁当作り過ぎちゃったんだけど……よかったら、どうかな?」
貴虎「弁当を……? ありがたいが、いいのか?」
シャル「うん、もちろんだよ」
貴虎「では、是非いただこう」
シャル「じゃあ、屋上に行こうか」
貴虎「構わん、行こう」
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