星空みゆき「とうおるるるる……るんるん♪」

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469 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:52:54.54 ID:QUHUVAerO






ウルフルン「─────なんでだァアああああああッッッ!?」






470 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:54:53.24 ID:QUHUVAerO

現実世界ッ!


4プリ「」ガタガタガタガタガタガタ

キャンディ「」ガクガクガクガクガクガク

ポップ「」ブルブルブルブルブルブル

やよい「ね、ねえキャンディ、オオカミと七匹の子ヤギって、こんなお話だったっけェェ〜……?」ガタガタガタ

キャンディ「キャ、キャンディこんなお話知らないクル〜」ガタガタガタ

あかね「なんやこれ……メルヘンなはずの絵本がサイコホラーみたいになっとるやん。
これぜったい子どもに見せたらアカンヤツや……」ガタガタガタ

れいか「なお、大丈夫ですか? 顔色が真っ青ですが……」ガタガタガタ

なお「れれれれれいかこそかかかっかか体が、震えてるよっ!?」ガタガタガタ

471 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:56:34.13 ID:QUHUVAerO

ポップ「まさか、みゆき殿にこれほど強靭な精神力があるとは……。
きっと、物語の正しい筋書きを通すために恐るべきパワーを発しているのでござる」ガタガタガタ

あかね「冷静に分析しとる場合ちゃうで。これこのままじゃどうなってまうん? オオカミもう死にそうやん。序盤で死んだら話終わってまうやん」

ポップ「う、うむむ、やはり絵本に入って、みゆき殿の暴走を止めるしかないでござる。
このままだと物語そのものが恐ろしい結末を迎えてしまうでござるな……」

ポップ「皆の衆! やはりここはそなたらがなんとかするしかないでござる!」クルゥリィ



4プリ「」ドンビキィー



ポップ「あれェェッ!? さっきまでやる気に満ち溢れてたのになんでそんな遠くに引いてるでござるか!? 友だちでしょそなたら!」

472 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:57:33.77 ID:QUHUVAerO

あかね「イヤ……せやかて、なあ?」

やよい「わざわざ死にに行くみたいなモノだし……」

なお「無理無理無理ィィ!? ダメなの! あたしああいうの絶対無理なの!」ギュゥゥ

れいか「よしよし、なお」ナデナデ

キャンディ「キャンディまちがってたクル。みゆきはきっと助けなくてもなんとかなるクル〜」

ポップ「冷たい! なにこの手のひらの返しよう!? さっきまで熱いこと言ってた連中とは思えないでござるゥゥ!!」



「ほんとだわさ。仲間って言っても所詮その程度の関係かい?」

「これじゃあ俺たちのほうがまだ優しいオニ!」



なお「あ、あんたたちは!?」

やよい「バッドエンド王国!!」

473 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 19:59:11.84 ID:QUHUVAerO

マジョリーナ「あの本の気配を感じたと思ったら、ウルフルンに先を越されちまったわさ」

アカオーニ「このままアイツに手柄を取られてたまるかオニ! さあ始まりの絵本を渡すオニ!」バッ

れいか「あ、お待ちなさい! 手荒な行為は許しませんよ!」

ポップ「本を渡してはダメでござる!」バッ

れいか「わかってます!」

474 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:00:26.51 ID:QUHUVAerO

ガシィイイイイ

マジョリーナ「ええい、放しな小娘! これはあたしたちのモンだわさ……!」グイグイ

れいか「あなたたちに渡す道理などありません……!」グググ

やよい「ちょ、ちょっと二人とも、本をそんな風に引っ張ったらダメだよ?」オロオロ

あかね「なあ、アレ破いてもうたらどうなるん? もしかしてみゆき、ずっと出てこれなくなるんちゃうか?」

なお「こ、怖いこと言わないでよ!?」ブルッ


アカオーニ「なにやってるマジョリーナ! 俺に任せろオニ!」グイ


475 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:01:09.16 ID:QUHUVAerO

マジョリーナ「ま、待ちな! バカ力のあんたが引っ張ったらほんとに破け……」

アカオーニ「誰が『バカ』オニ!?」グイッ


ビリィィッッ


アカオーニ「あ」

マジョリーナ「あ」

れいか「」

3プリ「え?」

キャンディ「……破けちゃったクル〜」



ポップ「イヤイヤイヤなにやってんだおまえらァァァァ!?」



ビッカァアアアア────ッッ!!



なお「うわあなんだこの光────ッ!?」

476 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:01:52.28 ID:QUHUVAerO

あかね「破けたページから溢れてきとる!! な、何がどうなっとんのやァァァァ!?」

れいか「これは……私……私のせい……?」オロオロ

やよい「れいかちゃんしっかりしてェェ────ッッ!?」



────キャァアアアアアアアア!?



……………
………


ポップ「ひ、光が収まったでござる……皆の衆、大丈夫でござるか……?」

ポップ「……あれ、皆の衆?」


477 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:02:46.26 ID:QUHUVAerO

再び物語の中ッ!




みゆき「さあオオカミさん、ドアをノックしたら『ただいま〜♪ おかあさんですよ、ドアを開けてちょうだい♪』って言うんだよ! ね、わかった?」

ウルフルン「なんで俺がそんなこと……」

みゆき「オオカミさん、声」ニコォ

ウルフルン「ノックしてもしもお〜〜〜しで良かったかしらッ!?
だからそのスマイルはやめてとっても怖いのォォォ!?(夢の国のネズミ風)」


478 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:03:31.59 ID:QUHUVAerO


ウルフルン「あーテステス……よし、いっちょやったるかァァ」

トントン

ウルフルン「ただいまァァ〜ン♪ おかあさんですよォ?ドアを開けてちょうだァァ〜いン♪」


シィィ────ン


ウルフルン「……返事がねーな」

みゆき「あれぇ? おかしいなー? ここは子ヤギちゃんたちが『おかあさんの声だ〜』って言う所なのに」

みゆき「オオカミさん、リテイクゥ……!」びし

ウルフルン「あー? またやんのかよったく……」ゴホン

479 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:04:24.98 ID:QUHUVAerO

ウルフルン「ノックしてもしもお〜〜〜し? おかあさんよォォォン♪
今ならおみやげでテキーラ酒もあるわよぉん? だから開けてちょうだぁいんッ」ムホ

「なんでヨーロッパのおとぎ話にテキーラが出てくんねん!」

ウルフルン「は? そういうオメーはなんで関西弁……て誰だ!?」

みゆき「あれ? あかねちゃんの声だ」

「返事してんじゃあねーだわさこのスカタン! ストーリーがすすんじまうだわさッ!」

ウルフルン「ばあさんの声ッ!?」

480 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:07:08.26 ID:QUHUVAerO

「キャンディ、あんた結局ヒツジなの? それともヤギ?」

「キャンディヒツジさんでもヤギさんでもないクル〜!」プンスカ

「お、俺の体がこんなにちっこくなっちまったオニ!?」

「わあ、オニさんかわいい〜!」

「バッドエンド王国の皆さんまで来てしまうとは……それに私たちのこの格好は」



ギャーギャー!!
クルゥゥ



みゆき「み、みんなの声……もしかしてッ!?」


481 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/24(木) 20:08:32.33 ID:QUHUVAerO


バターンッッ!!


やよい「あーみゆきちゃんだァァ〜! よかった〜! もう会えないかと思ったよ〜」ビェェ

みゆき「やよいちゃんッ!? その姿……か、かわいいっ!
じゃなくて、どうして『この世界に』……!?」

やよい「わたしだけじゃないよ……」

あかね「なんやうちらも」

なお「巻き込まれちゃったみたい。……はは」

れいか「すみません……私の責任です」

キャンディ「みんな子ヤギさんクル〜♪」

482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/24(木) 20:09:36.54 ID:QUHUVAerO

ウルフルン「なんでオメーらまでこっちに来てんだッ!? そんでもってなんでオメーらが子ヤギなんだよ!?」

マジョリーナ「ケェーッ! 抜け駆けは許さないよ!」

アカオーニ「オメーだけに手柄はやらねえオニ!」

みゆき「いち、にい、さん……うん、全部で七匹だね? そっか、みんなが子ヤギさん役なんだねー♪」

あかね「これもうオオカミと七匹の……なん? ヤギ要素ほぼ無いわ。ヒツジとオニと魔女が混じっとるやん」

キャンディ「だからキャンディヤギさんじゃないクル!」プクゥ

あかね「それはもうええっちゅうねん!!」

ウルフルン「なんなんだよ……このグレートにカオスな展開はよォォォ?」

483 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 07:41:10.75 ID:2fY9igp5O
寝落ちしてしまったので続きはお昼頃投下します。
484 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:20:40.28 ID:2fY9igp5O



みゆき「あーそっかぁ〜? みんなも物語の筋書きを通しに来たって」



全員「!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

みゆき「ことだよ……ねェェ〜? なんだか嬉しいなッ! みんなと一緒に絵本のお話をやれるなんて」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


あかね「み、みゆき? うちらは別に遊びに来たんとちゃうで?」

みゆき「えー? でもでも、みんな子ヤギさんの『役』でしょ?
『役』は決められた通りにこなさなきゃダメなんだよ?」

あかね「みゆき……?」

485 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:22:14.79 ID:2fY9igp5O

みゆき「だって、ここは『物語の世界』なんだもん。物語をハッピーエンドにするには、『正しい筋書き』を辿らなきゃあ……ね?
わかる? これは『正しいこと』なの。みんなハッピーになるために必要なことなんだよ♪」

やよい「みゆきちゃん、何言ってるの? 今のみゆきちゃん、なんだかこわいよ……」

なお「なんか、ヤバいよこれ。みゆきちゃんフツーじゃない」

れいか「もしかしたらですが、物語の世界に来たことで、みゆきさんの精神が何か影響を受けているのかもしれません」

ウルフルン「それってよぉ、ワリー方向にだよなあ? あれ見ればわかるぜぇイヤでもよォ」

アカオーニ「なんだオメー、ずいぶんげっそりしてるオニ」

486 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:24:52.51 ID:2fY9igp5O

みゆき「あ、そーだオオカミさんッ! ちょっと早くなったけど、みんなに姿を見られちゃったね。だから、早く『済ませちゃって』もいいよ?」

ウルフルン「はあ? なんの話だよ」

みゆき「もー、忘れちゃあダメだってば。『姿を現したオオカミはこどもたちを次々と食べてしまいます。助けておかあさん!
こどもたちの悲鳴をよそに、とうとうオオカミは六匹の子ヤギを丸のみにしてしまいました』……だよ?」



全員「!!!!」



みゆき「無事だったのは、柱時計に隠れていた末っ子だけでした……。んー、キャンディが一番ちっちゃいから、キャンディが末っ子だね? じゃあみんな、『キャンディ以外は全員オオカミさんのお腹に』─────」

あかね「ちょちょちょい待ちみゆきィィ! 落ち着かんかい!?」

なお「そ、そーだよッ! みゆきちゃん冷静になって!!」

みゆき「え? なにが?」キョトン

487 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:26:12.18 ID:2fY9igp5O

あかね「いくらなんでもあんな腹ん中入れるワケないやん! うちら下手したら死んでまうわ!」

みゆき「だいじょぶだよー。ここはファンタジーやメルヘンの世界なんだから。ちょっと狭いかもしれないけど、お腹に入ったくらいじゃあ死なないよ。たぶん」

あかね「『たぶん』じゃあないわァァ!? ほんまにやったらマジでアカンことになるわッッ!!」

れいか「みゆきさん、体格的に考えて私たちがオオカミさんのお腹に入るとは思えないのですが」

やよい「そ、そうだよね、何もそこまで『筋書き通り』にしなくてもいいんじゃないかな」

なお「うん、こればっかりは直球じゃなくてもいいと思う」

488 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:27:03.75 ID:2fY9igp5O

アカオーニ「だいたいなんでオメーの言う通りにしなきゃならねーオニ!?」

マジョリーナ「そうだわさ! そもそもあたしたちはこの絵本を『バッドエンド』にするために来たんだわさ!」

マジョリーナ「ハッピーエンドなんかこの手で『ぶち壊して』─────」


みゆき「─────え?」キロリ


マジョリーナ「………!!!」ゾワァ

ウルフルン「ば、ばか、オメー……」ゾク


489 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:29:02.26 ID:2fY9igp5O


みゆき「なあに? 『バッドエンド』? ハッピーエンドを『ぶち壊す』? ……って言ったのかなあ? 聞き間違いじゃあ無ければ。
……どうしてそんなこと言うのかなあ?
ダメだよそんな、カスみたいなことをのたまっちゃあ」ブツブツ


なお「……これは」

あかね「アカン……とてつもなくアカン気がする……」ゾク


490 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:31:25.09 ID:2fY9igp5O


みゆき「ねえ、魔女さん? 魔女さんは今子ヤギさんなんだよ?」

マジョリーナ「は……?」

みゆき「子ヤギさんは『食べられる』のが『役割』なの。それが決定されてるの。
……なのにあなたはそれを『無視』しようっての?
せっかく与えられた役割なのにッッ!?」

マジョリーナ「お、おまえ、何を」

みゆき「……ねェェ〜……? もしかしてみんなも『そう』思ってたり……するのかな? 役割や筋書きってのは『無視』しても構わない軽いものだって……」ワナワナ

やよい「みゆきちゃんッ! 思ってない! わたし全然そんなこと思ってないよォォォ!?」ガタガタ

491 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:34:07.46 ID:2fY9igp5O

みゆき「思ってるよね……。うん、きっと思ってるからそんなこと言えるんだよね……もう、しょうがないなあ。
『おかあさん』……悲しくなっちゃったなァァッッ!?」クワッ



みゆき「なんて! 頭の悪い子たちでしょうッ! ガボッ! あなたたちにはこの物語が、そんな程度の低い存在に見えるの? ガボガボ」



やよい「あヒィイイイイイ─────ッッ!!」ビクゥーン 

れいか「みゆきさんッ! みんなを困らせてはいけませんよ!? それに今のあなたは普通ではあr」

ハッピー「当て身」トン

れいか「はぅ……」パタリ

なお「れいかァァ─────ッ!?」

492 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:35:45.06 ID:2fY9igp5O

あかね「みゆきッ……いつのまに変身したんやッ!?」

ハッピー「ここは空想の世界……『やろうと思えばできないことはない』んだよ?」

ハッピー「連続当て身」トトトン


あかね「そんなんあり……か……」パタリ

なお「筋が通ってない……」ドサ

やよい「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ」バタ


ハッピー「さて」クルゥリィ

ウルフルン「ヒィイイイイイッッ!?」

アカオーニ「こ、こ、こ、コイツ、マジでヤベーやつオニ!?」

493 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:38:35.45 ID:2fY9igp5O

マジョリーナ「あ、あたしゃ付き合ってられないよッ!? 今日はさっさと帰る」

トトン

アカオーニ「おふぅ」ドサ

マジョリーナ「だわ……さ」ドサ


ハッピー「こォォォれで準備はオッケー……。だね、オオカミさん?
ちゃんと食べやすいように『静かに寝かしつけてあげた』からさ、ホラ、ぐいっといっちゃっていいよ? 『カービィ』みたいに」スタスタ

ウルフルン「」ガタガタガタガタ

494 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:39:55.38 ID:2fY9igp5O

ハッピー「あ、カービィじゃ吸い込みになっちゃうよね? でも、三匹の子豚のオオカミさんの肺活量ならいけるんじゃあないかな。うん、いけるよいける。……だから」スタスタ

ウルフルン「……お」




ハッピー「がんばってハッピーエンドにしようね? オオカミさん♪」ハッピー♪




ウルフルン「俺のそばに近寄るなああ─────ッ!!」




←TO BE CONTINUED……////
495 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/25(金) 13:40:43.41 ID:2fY9igp5O
以上で前半終わりです
後半はウルフルンさん大活躍
というか主役です
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 16:44:39.88 ID:DqU4cSqFo
乙乙
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 18:41:12.04 ID:oG3mpCA2O

みゆきちゃんは物語の筋書きという「過程」をちゃんと大切にするなんて偉いナァ
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 19:37:52.50 ID:yHfrTld/0

「過程」を大事にするのはボスとの対比かな
499 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:44:48.91 ID:sqxeY/bJO
そろそろ投下します
ハグプリが終わってしまった……
もう夢も希望もねえ……
スマプリ終わった時も同じこと言ってたよ
それがプリキュアロス
500 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:48:13.13 ID:sqxeY/bJO




これは現実?

それともただの幻想?

地滑りに会うように

現実から逃れることができない

さあ目を開けて

空を見上げてみよう




501 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:48:47.56 ID:sqxeY/bJO



【Rapsodia Parte2】



502 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:49:54.36 ID:sqxeY/bJO


ウルフルンは元からバッドエンド王国の一員と言うわけではなかった。

彼も昔から拗れていたわけではなかったし、人並みに幸運を追いかけていた時期もあった。

それが『当然』だと思っていたし疑問にも思っていなかった。
そしていつか自分も幸福になれると信じて生きていたのだ。

しかし、時を経るにつれて彼もこう思うようになる。
『この世には如何なる努力や行動をもってしても変えられない定めというものがある』と。

ウルフルンが人生に絶望し、泥沼に沈むかのように『漆黒』に染まるのに時間は掛からなかった。

ウルフルンは思う
『生まれてきた者には平等に報われる機会があるはず』ではないのかと。
そうでない自分は、果たして生きている意味があるのか?
苦しむために生きているのか?
なんのために生まれたのか?

まるで世界から爪弾きにされているような疎外感を自覚し、生きる意味を失ったウルフルンの胸中に生まれたのは





世界に対する『怒り』の炎だった





503 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:50:40.17 ID:sqxeY/bJO


チク……タク……
  チク……タク……


ウルフルン「─────ハァアッ!?」ガバァッ

ウルフルン「ハーッ! ハーッ! ────うぶ、ぐ、げほっふぉっっ!!」

ウルフルン「────お、俺は……『どうなった』? ……いや、ちがう! そうじゃあねェェ!!」


ウルフルン「『気づいた』!? いつ気を失ったんだ!? それに『アイツ」』も何処に行きやがったッ!?」

504 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:52:31.18 ID:sqxeY/bJO

ウルフルン「……ウブッ!? う、ぐぐ……。な、なんだ……? 
気分がわりい……。吐き気も……
『体が重てえ』」

ウルフルン「まるで……『無理矢理リンゴを何個も丸のみした』みてーだ。
……丸のみ?」


チク……タク……
……ガサ


ウルフルン「!!」ガバァッ


チク……タク……


ウルフルン「……」

ウルフルン「おまえか……? そこ……その、『柱時計の中』か?」


チク……タク……


505 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:53:16.28 ID:sqxeY/bJO


…………


よく…… も……


ウルフルン「……!」


よくも……
やってくれたな……クル



ドグシャアァアアッッ!!


ウルフルン「隠れてこそこそしてんじゃあねェ────ぞッッ!!
『そこに居るか』って聞いてんだよボゲがァァ────ッッ!!?」


ウルフルン「ハァ、ハァ……くそったれがよ……」


メェエエエエエエ……クル


ウルフルン「なんだっ!?」


506 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:55:20.50 ID:sqxeY/bJO


キャンディ「メェエエエエエエエ……。メェエエエエエエエエエエエ……クル」


ウルフルン「妖精……何?なんだ? それは……その鳴き声。
……まさかヒツジか? それとも……」

キャンディ「よくもキャンディのお姉ちゃんたちを食い殺してくれたなああああああクル!
メェエエエエエエエ〜〜〜〜〜クル!!」

ウルフルン「ヤギッッ!! そうだ末っ子……オメーの役割は確かッ!!」


無事だったのは、柱時計に隠れていた末っ子だけでした……。んー、キャンディが一番ちっちゃいから、キャンディが末っ子だね?


ウルフルン「末っ子のヤギだッ! 末っ子は隠れていたから助かった! オオカミに食われなかったんだッ!」

507 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:55:59.01 ID:sqxeY/bJO

ウルフルン「そして他の……他の『きょうだい』たちはッ!!」グイッ



メェエエエ……
メェエエエエエエエ〜〜〜〜……
メェ……



ウルフルン「俺の『腹の中』だァァ────ッ!?
ちくしょう夢じゃねえ『現実』だッ!?
俺の腹の中にヤギになったプリキュアとマジョリーナたちが居やがるんだッ!!」



キャンディ「アイツはズル賢い奴クル。子ヤギたちを騙して家の中に入ってしまったクル。
そしてアイツはッ!」

キャンディ「七匹の子ヤギを一匹一匹と食べ始めたクル。
唯一助かったのは末っ子のキャンディクル!!」

508 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:56:47.62 ID:sqxeY/bJO



キャンディ「怒ったのは留守にしてたおかあさんヤギクルゥゥゥゥゥ!!
おかあさんはハサミを持ってオオカミを探しだすとオオカミのヤツのハラワタ引きずり出して」



キャンディ「かわりに石をつめて池に沈めました。クル」



ウルフルン「!!」

キャンディ「ぜんぶ『筋書き』通りクル〜」

ウルフルン「こ、こいつ……!?(そうだ……俺は『知ってる』!! 誰よりもこの続きを知ってるだろーが!! 改めて言われるまでもねえ、俺は……ッ!)」

ウルフルン「アイツ……そうだアイツはッ!? 何処に行った!? この後俺はッ! アイツにッ!」


キャンディ「おかあさんが戻って来るぞォォォォォォ!! ハサミを持って。
キャンディたちのおかあさんがァァァァ!! クル」


509 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 11:57:38.89 ID:sqxeY/bJO


キャンディ「おかあさんヤギは昼寝をしていたオオカミのおなかをチョキンチョキン」

キャンディ「内臓のかわりに石をつめこんで糸でじょうずにぬいましたぁああああああクル」

ウルフルン「おい! テメーは何勝手に話進めてんだ? それ以上読むんじゃねえェ────ッ!!」

ウルフルン「……!(いやまて、そもそもおかしいぜこりゃあ……。『コイツはなんでこんなことしてる』?
アイツじゃああるめーし、なんで『筋書き通り』にしようとしてやがるんだ!?)」


メェエエエエエエエエエエエ
  エエエエエエエエエエエエエ〜〜〜〜〜


ウルフルン「!!」ガバッ


510 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:00:31.36 ID:sqxeY/bJO


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「……ッ」ゴクリ


……チョキ
……チョキ、チョキン


────てメェエエエエエエエエエエエ……


ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


ウルフルン「来んのかッ! このヤロウッッ!!」


ママー
助けてママー


ウルフルン「お、俺の腹……!? うるせぇぇ───ぞッ! 静かにしやがれッ!?」

キャンディ「まだ生きてるクル!! おねえちゃんたちはおなかの中で生きてるクル〜!」

ウルフルン「テメーも黙ってろッ! アイツがもう近くに……ハッ!?」バッ



511 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:01:36.07 ID:sqxeY/bJO



シィィーン……



ウルフルン「ア……アイツの気配がねえッ!? ヤロウ何処に行った!? ……く、来るならとっとと来やがれくそったれがよォォォ!!」



────ヂョギン



ウルフルン「づっ!?」


ヂョギリ ヂョギ……


ウルフルン「────」

ウルフルン「(まさか……『ウソ』だろ? ちょっと……『ほんのちょっとだけ』……
……目を離しただけでッ!?)」ガタガタ





ハッピー「てめェエエエエエエよくもッ!
よくもわたしのこどもたちをォオオオオオオ!!」ウシャァアアアア





ウルフルン「うおおおおおおおおお!?」グバッ




ドグシャアァアアッッ!!

512 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:02:22.58 ID:sqxeY/bJO

ウルフルン「おおおおおおおおおッッ!?」グググ

ハッピー「てめェエエエエエエ何ガードしてんだァァァァァァ!?
筋書きどおりハラワタぶちまけさせろォオオオオオオッッ!!」ギリギリギリ

ウルフルン「やめろちくしょぉおおおおおッッ!! そんなことしたらッ! 俺はァアッ!」

ハッピー「『覚悟』してハッピーエンドォオオオオオオにッ! なるんだよォオオオオオオ!?
テメーの内臓ぶっこぬいて石突っ込んだあと、池の底に叩ッ込めば」

ハッピー「みんな! みィイイイイんなッ! ウルトラハッピーィイイイイエンドになるんだからああああああああ!!」ギリギリギリ

ウルフルン「何がハッピーエンドだッ!? 俺が! 俺だけがッ!!『バッドエンド』だろーがちくしょぉおおおおお!!?」ギリギリギリ

513 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:03:13.18 ID:sqxeY/bJO

ウルフルン「ぐううおあああ!!」ガギンッ

ハッピー「しゃらくせェエエッ! ボゲェエエエエエエ!!」ドグォンッ

ウルフルン「うおおおおコイツは家の中で跳躍をッッ!?」


ハッピー「この狭い家の中! 斜面とか崖を走らせたら、おかあさんヤギにかなうものはいないよォオオ─────ッ!!」グワッ


ママー
ママー ウウー
はやくたすけてー


ハッピー「待っててねェエエエエエエ!? わたしのかわいい子ヤギちゃんたちッ!!
はやくそのクソッタレオオカミの腹ァアかっさばいて助けてあげるからねェエエエエエエ!!」ギャァァァス


ウルフルン「(ドアッッッ!!……ダメだ遠いッ!! すぐに追いつかれちまう!? 逃げられねえ!? 死、こ、殺され……)」


514 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:03:55.95 ID:sqxeY/bJO


ジョーカー『あなた、また昔にもどりたいんですか?』


ウルフルン「……!!」


ジョーカー『ま! そこまで心が『再起不能』では見込みも薄いでしょう! どうぞ落ち着くまでゆっくりと休んで下さいね〜? ……永遠に』



永遠に



────オオカミは『始末』される

『悪役』はオオカミだ

いつだってオオカミだ

だってしょうがねえじゃねーか

そういう『役割』なんだからよ

ずーっと前から決まってたじゃねーか

……でもよォ、俺だってな、最初っから……

最初っから……『諦めて』なかったんだぜ?
せめてフツーの……フツーの終わり方だけでもってよ

ああそーだよ、誰にも言わねーけど、ほんとは……

ほんとは、俺は……




515 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:04:41.45 ID:sqxeY/bJO



ウルフルン「────誰が戻るかッ諦めるかァァアアアア!? 俺はまだ終わっちゃいねェエエエエエエ!!」グワッ



ドッグォオアアアア─────!!



ハッピー「何イィィィッッッ!?」

ウルフルン「出口がねーなら『作る』!! 壁に穴を空けるくれーのパンチならよォオ〜!
わけねーんだぜ〜コラァアッッ!!」

ウルフルン「筋書きも物語も関係ねえッ! 俺は、『俺だけの未来』を掴むんだァア─────ッ!!」ドォアッッ

ドドドド……

516 : ◆glcA4RogLg [saga]:2019/01/27(日) 12:05:38.08 ID:sqxeY/bJO



ハッピー「……逃げちゃったァア〜〜〜……。ダメだよオオカミさんん……『逃げる』なんて筋書きは」

ハッピー「はじめから用意されてねェエエエエエエぞッッ!!? 逃がさねェエ────からなド畜生がアアッ!!」ダダッ



517 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:10:19.52 ID:sqxeY/bJO



現実世界



ポップ「なぜ……? みゆき殿だけではく、キャンディや他の者まで筋書きを辿ろうとしているでござる?」ガタガタ

ポップ「まさか……」ハッ

ポップ「世界の修正力? 本が破けた事でバラバラになった物語が、再び元に戻ろうとしているでござるかッ!?」

ポップ「みゆき殿の精神力が物語の修正に大きく影響を及ぼしているならば……
世界の修正力とみゆき殿の精神力……それが他の者にまで及んでいる……!? こ、こんな事態になるとはッ!?」

518 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:10:56.19 ID:sqxeY/bJO

ポップ「このままでは暴走によって大きく物語が変わってしまうでござる! そればかりか皆が帰ることすら……」

ポップ「……いやまて、あのオオカミだけが、みゆき殿の精神力の影響を受けていない。もしかしたら、あの者ならば……」

ポップ「敵とはいえ……皮肉でござるな……」

519 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:12:56.29 ID:sqxeY/bJO


--


ウルフルン「アイツは『池』ッ! 池に俺を沈めるのが最終目的!!
だったら池から離れちまえば捕まったとしても時間が稼げる!」ダダダ

ウルフルン「まあもっとも『森林』ならよォオ〜? オオカミの独壇場だぜッ! このまま逃げきってやらぁああ〜!」ダダダ

ズグン……

ウルフルン「おォうフッ!?」ドォアッッ

ズグン……ズグン

ウルフルン「いッッッ……『イテェ』!! 鈍い痛みが腹の底から捻切るように襲ってきやがるううううううおああああああああ!!?」

520 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:13:42.89 ID:sqxeY/bJO


ウルフルン「ま……まさかっ!?」さっ


ママァア〜ウウゥウー
ママァア〜


ウルフルン「腹の中のッ! ガキどもが……ッ!? 『暴れて』やがるのかァアア────ッ!?」ズグズグ


521 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:14:44.26 ID:sqxeY/bJO


ボゴォッッ!!


ウルフルン「おぐぅあああああッッッお、おお〜……!?」ボゴォオ

ウルフルン「フゥウッ、フーッや、やめ、暴れるんじゃねえッグアアアアアオオオオ!?」ボッグォン

ウルフルン「ああああぎぃいいいおおおおおおおお!?!?」ジタバタァ



ウルフルン「ウギャアアアアアアアァアア────ッ!!」ゴロゴロ



522 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:16:09.79 ID:sqxeY/bJO


「ああ、かわいそうに……みんな、はやく外に出たがってるんだね?」


ウルフルン「ハァ、ハァ。……あ、あ?」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ハッピー「でも安心して? おかあさんが……今……出してあげるからッ!!」シャキィイイン


ウルフルン「……や、やめ、やめ」


グサァアアア────ッ!!


ウルフルン「グオワァアアアアアア──────ッ!!?」ブシャァアア


523 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:18:01.89 ID:sqxeY/bJO


ウルフルン「グオワァアアアアアア──────ッ!!?」ブシャァアア


ハッピー「動かないでッ!? 手元が狂っちゃったら……お腹のこどもたちまで死んじゃうから……ァアアッ!!」クワッ

ヂョギン!
ヂョギンッ!!
ヂョギリ

ウルフルン「アイィイイイイギャアアアアアアアアアッ!!!」ゲホォオオ





ウルフルン「ウグァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア───────ッッッ!!!」





524 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 12:19:44.87 ID:sqxeY/bJO
ちょっと休憩
ウルフルンさんアナスィより酷い目に会ってるけど大好きだよ
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 13:39:19.55 ID:/7OB2igF0
完全にボヘミアン・ラプソディ戦
526 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 18:47:47.54 ID:x67c+fQDO
続きを投下します
527 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 18:48:56.26 ID:x67c+fQDO

ブチブチブチ!!


ウルフルン「ガァアアアアアア……!?」ビクビク


ウルフルン「(イテェ……! 体が焼けるみてーだ……! バラバラに引き裂かれるゥゥゥゥゥ……!!)」

ウルフルン「(また……ダメなのかよォオ……結局、頑張ったって、努力したって『筋書き』は変えられねえ……!)」

ウルフルン「(腹ァア引き裂かれて、石を突っ込まれて、池にドボンされておしまい……。
ハッピーエンドだ。
……ハハハ、ほんと、よくできてんじゃあねーか? 筋書きってのは……)」

528 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 18:49:52.83 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「(物語は『絶対』だった。俺はまたダメだった。
何回やってもこうだ。仕方ねえ、腹ァくくるしかねーよ、『覚悟』ってやつさ……)」



ウルフルン「(……覚悟?)」ハッ



俺は何を『覚悟』するんだ?
物語の結末を? 変えられねえ筋書きってヤツをか?

あれ? じゃあ、俺は今まで『覚悟』したのか?
ただ決まっている結末に怯えて、筋書きから尻尾向いて逃げてただけなんじゃあねーのか?

さっきもそうだ、まだ終わってねーとか言っときながら、『アイツ』から……母親ヤギっつー死神からただ逃げ出しただけで……
俺は『戦っていねー』

ケツまくって逃げただけ

……イヤ、ちげーだろ、そこはよォオ

俺は結末が怖くって、ただ何もせずに受け入れんのがイヤで!
バッドエンド王国に入ったんじゃあねーのか!?

529 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 18:54:11.99 ID:x67c+fQDO

幸福なんて、ハッピーエンドなんて大層なもんはいらねえ。ただ、『どうしよーもねえマイナスをなんとかしたかっただけだ』!!

なのによ、俺はまだ、始まってすらいねーのに!
スタートラインにすら立ってねーのに!
何が覚悟だ!? 腹ァアくくるしかねーだァア!?


ウルフルン「(そうだ……今さら腹ァ裂かれた程度の事、俺は何回も、何回も何回も何回も!!繰り返してきてんだろォーがよ……!? なにを今さら……ビビッちまってんだ!?)」

ウルフルン「(恐れるのは退くことだ……この痛みから逃げるな! 『立ち向かう』んだよォオッ!!)」


ウルフルン「腹ァアくくるってのは……」カッッ


ガシィイッッ


ハッピー「えっ?」


ウルフルン「こういう事だァア──────ッッ!!」グバァアアッ


ブチッシャァアア─────ッッ!!


ハッピー「じ、自分でッ! 自分のおなかを引き裂いた!?」

530 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 18:57:46.72 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「ぐぅううォオお……。やっぱ、い、イテェ〜なあァア〜……? 
自分でかっさばくてのはよォオ〜?」ブシャァアア

ウルフルン「け、けどよ……俺ァ『覚悟』したぜ……? 筋書きが変えられねーのは仕方ねー。だが、痛みが来るってのをわかってるなら……」ドクドク

ウルフルン「耐えられんだよォオオオオッ!! そうよ、『逆に』考えたんだよッ! 『腹がかっさばかれてもいいじゃあねーか』ってなァァアアアア!?」ブシャッッ

ハッピー「─────!!」

531 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 18:58:35.95 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「ゲボッお、お陰でよ……? 腹ン中に溜まってるモン」

ウルフルン「全部引き出せるぜェエエエエエエ良かったじゃねえかぁ手間が省けてよォオ────ッ!?」ブチブチブチ


ズルズルッ!
ドシャァア────ッ!!


あかね「」
やよい「」
なお「」
れいか「」
アカオーニ「」
マジョリーナ「」


ハッピー「みんな……」

ウルフルン「へ、へぇぇへへッ!? 腹ン中がスッキリ……したぜェエエ!? 何より……」

532 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 18:59:41.22 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「俺はッ! ようやく『ゼロ』に戻れたんだ! やっと『スタートライン』にッ! 筋書きを覚悟することでェエエッ!!」グバッ

ハッピー「オオカミさん……自分で自分のお腹を引き裂くなんて、今までと違う……」

ハッピー「物語に怯えていた。あのオオカミさんとは違うッ!!」

ウルフルン「言ったろ……!? 『真の覚悟』はとっくに出来たんだよォォ……。
筋書きは変えられなくったってな、俺自身が……『俺が変われば』済むって話……ッ!?」ウプ

ウルフルン「グボッゲホゥオッッ!? は、は……。あんましチンタラしてらんねーな……
次に行かしてもらうぜ……」ズチャ

533 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:00:40.31 ID:x67c+fQDO

ハッピー「それは……!?」

ウルフルン「解ってんだよ俺は……!! 何百年も、おんなじ結末を迎えてたんだぜ……!!
テメーよりも遥かに……『覚悟』決める下地は出来てたはずなんだよォォォォォォ!!」

グチャグチャグチャ

ウルフルン「ハッ……ハァ、ハ、石を突っ込んだオオカミは……池にドボンするんだ……。
わかるか? 違いはテメーによってじゃあねぇ。そうだ、俺が……」


ウルフルン「俺が池に突っ込むっ!! ただしこの『青っぱな』と一緒にだッ!!」グチャァアア


ハッピー「オオカミさん!? 自分から飛び込んだッ!?」


ドボォォオオオン!!



534 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:03:06.31 ID:x67c+fQDO



……………
………




────水……そうだ水だ……

オオカミは『水』によって終わるんだ。いつだってそうなんだ
赤ずきんのオオカミは『井戸に落とされて溺れ死に』
三匹の子ぶたのオオカミは『煮えた大鍋に落ちて死ぬ』

水は俺にとっちゃ運命なんだ。避けられねー終わりだ!!


だが俺はあえてそこに飛び込むッ!!


自棄なんかじゃあねえッ!!
俺がスタートラインに立つ切っ掛けにするためだ!!


恐怖とは!! 乗り越えるために存在するッ!!
俺は水という恐怖を、結末を乗り越える!!



ウルフルン「出でよアカンベェェエエ────!!」カッッ



535 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:03:57.91 ID:x67c+fQDO


アカンベェ「アカンベェェエエ!!」


ハッピー「青い鼻のアカンベェ!?」

ウルフルン「池の水……そのものをアカンベェにしてやったぜ……!! 俺は池に落ちた……『筋書き通り』だ!! だが、そこで終わっちゃいねェエエエエエエ!!」



ウルフルン「今度はテメーを倒すんだッ!! キュアハッピー!! 物語の続きは母親ヤギの死で完結する! それが俺の筋書きだ!! そして本当の始まりだァアアアア!!」


アカンベェ「アカンベェェエエ────ッ!!」グワッ


ハッピー「くぅうっっ!?」サッ


ガギィイイイイイン!!


ウルフルン「オオオオ……!! き、気合い入れろよなァァアアアア!? ここがテメーと俺の」

ウルフルン「正念場なんだからよオオオオおおああああああああああッッッ!!」ゴァアア

アカンベェ「ベェエエエエエエエエ!!!!」ズドドドド

536 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:04:45.12 ID:x67c+fQDO

ハッピー「二体による同時攻撃ッ!? ……だけど」

ハッピー「(オオカミさんは既に『満身創痍』。ハラワタぶちまけながら戦ってる。
おそらく長くは戦えない……。それにこのアカンベェ)」

ハッピー「パワーもスピードも、明らかに劣るッ! 『問題はない』ッ!!」ドゴォアッ

ウルフルン「ぶげっっ!!」ベゴォ

アカンベェ「ベボォオオッッ!?」ドゴォアッ

ズギュゥゥゥン!!

537 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:06:06.15 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「─────ガ、ハッッ!!……さすがに『効いた』ぜ……ェエエ〜!!
キュアハッピー……オメーがやっぱり一番つえー。他と違って……敵を『ブッ殺せる』殴りかたを知ってる……!」ゲホォオ

アカンベェ「ベ、ェエ〜」ググ

ウルフルン「おう……オメーも初陣がこんなんでワリーなぁ?
でもよ……オメーは『プリキュアをブッ殺す』ために産み出された……特注なんだぜ……
しっかり……働いてもらうぜッ!!」

アカンベェ「アカンベェ!!」コクリ

ハッピー「あまり効いてない……!?」

ウルフルン「水から作ったアカンベェだぜッ! パンチやキックじゃあダメージが通りにくいってのは理解できっかァアアアア!?」

アカンベェ「ウォオオオオオオオオオオ!!!」

ハッピー「水のボディ!! 物理じゃあ通らない! だったら……」

ハッピー「浄化の力を! プリキュアの浄化の力によって、アカンベェを倒すまでだよッ!」ガッ

538 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:06:54.19 ID:x67c+fQDO



ハッピー「ウゥルトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ
トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ



ハッピー「HAPPYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
YYYYYEAHHHHHHHHHHHHHHHH─────ァアアアアアッッッ!!!」ドッッグァオォォーーーーン



ウルフルン「『使ったな』……? ハッピーシャワー」



ハッピー「ハッ……!?」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


ウルフルン「俺は『待ってた』……オメーが切り札を切る瞬間をな……。いや、待つだけじゃあなかったな。
オメーが攻撃の意思を持つための努力はしたつもりだぜ」


アカンベェ「アカンベェ〜」ニヤリ


ハッピー「そんなッ……!! ハッピーシャワーが効かない!?」

539 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:07:48.13 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「『青っぱなに浄化の力は効かない』。ジョーカーの野郎にはすこーしだけ感謝……しなくっちゃあな。
おっと、こんなこと言ったら余計に付け上がらせるだけか?」



ウルフルン「だが、依然、問題ねえ。『筋書き通り』だ」ニヤリ



540 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:09:06.18 ID:x67c+fQDO



ウルフルン「ウルァアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアア───────ッッッ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ

アカンベェ「アッッッカンンンンンンベエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ────────ッッッ!!!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ

ハッピー「きゃああああああああああ!?」ズギューン



541 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:12:17.88 ID:x67c+fQDO



ウルフルン「勝てるッ! 俺は勝てるぞッ!? 運命にッ! 筋書きを越えることができるッ!
俺だってやりゃあ出来るんだッ!」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ

ウルフルン「こいつでとどめだッ! これで俺たちの筋書きが完成する!!」グアッ



「違うな。台本は『こちら』が握っている」



───ドォォォォン!!!


ウルフルン「」

アカンベェ「」



542 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:13:12.14 ID:x67c+fQDO



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


「正直な感想を言おう。『お前はよくやった』
一瞬とはいえ……私を本気にさせたのだからな」

「だが、悲しいかな、しょせんお前は『兵士』だ。あくせくがんばった所で、筋書きに抗うことくらいしかできん」

「全てを支配し、思うがままに操れるのは『帝王』たる私だけだ。
……私は『兵士』ではない。」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



ウルフルン「────ハッ!?」

アカンベェ「!?」

ハッピー「あれ……?」パチクリ



543 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:15:34.29 ID:x67c+fQDO


ウルフルン「────なんだ……? オッ……俺はッ!? 今何をした!? キュアハッピーに……そうだ!
確かにッとどめをさしたはずだッ!」

アカンベェ「アカンベェ……?」

ウルフルン「とどめの一撃を! 叩き込んだ……それは解る!
だが『やっていない』!俺たちは『やっていない』! 『やったのにやってない』!
何かがおかしい……何かがッ!?」

ハッピー「あれ? わたし……オオカミさんに倒された……はずだった? あれ?」



ハッピー「……………………あれ? わたし?」



ウルフルン「……!!」

544 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:17:37.89 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「そうかっやっぱりオメーなんだな!? この奇妙な感覚の正体は!
『オメーが引き起こした』」



ドグォオオアッッッ!!



アカンベェ「ベ、ェエ……」ポッシュゥウン

ウルフルン「バカな……何が……」ドグォオ

ハッピー「わたしは……何もやってない……?」コォオオオオオ

ウルフルン「……オメーは……」

ウルフルン「後ろ……オメーの……『側に立っている奴』は……誰だ?」

ハッピー「え?」

545 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:18:33.87 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「……そう……か。そんなのがいるんじゃ『勝てねえ』よなァア〜……。
それじゃあ……最初から勝てねえって」ゴホッ

ウルフルン「訳だったのに……何故か…『スゲーいい気分』だ……。
生きていて良かったってのは……」


ウルフルン「こういう気分だったのか」フラッ


ドバァアア───ン!!
ゴポポポポポ……


ハッピー「オオカミさん!?」


546 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:20:42.88 ID:x67c+fQDO


ウルフルン「結局筋書き通り……オオカミは池の底に沈んで終わりってか」

ウルフルン「(変わらねー結末……ワルモノの死で完成する物語。
何百年も変わらねー決まりきった定めってヤツには、俺なんかが逆立ちしたって敵わねーのかもなあ)」

ウルフルン「でもよ、キュアハッピー」

ハッピー「あ……」

ウルフルン「そんな腐るだけだった俺が、はじめて本気で『運命』ってヤツに立ち向かおうと思ったのは……ある意味オメーのおかげなのかもな」

ハッピー「!!」

ウルフルン「オメーと戦って俺は気づけた……荒療治だったが……こういうのも悪くねーと思う。
……そうだな、俺ァ……」


547 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:23:49.28 ID:x67c+fQDO




ウルフルン「オメーと出逢うために、何百年も童話の中をさ迷ってたのかもしれねえ」フッ




ハッピー「─────オオカミさんッッ!!」ダッ




ザブゥウンッッッ!!


………………
…………
………
……


548 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:25:16.32 ID:x67c+fQDO


ハッピー「げほっ!ごほッ……!!」ハァハァ

ウルフルン「……」グッタリ

ハッピー「ハァ、ハァ……」

ウルフルン「……なんで、助けた……」

ウルフルン「俺は敵だぜ……しかもオメーの命を狙った……『殺し合った』仲だ。
それをオメー……どうかしてるんじゃねーのか」

ハッピー「……」

ウルフルン「オメーは何がしてーんだ。俺を殺せばハッピーエンドだ、オメーの望んでいたな……。
俺を助けるってことは筋書きには書いてねぇ。
『ハッピーエンドじゃなくなる』んだ。あのままほっときゃあ良かったのによォ?」

ハッピー「ほっとけるわけ、ない……」

ウルフルン「ああ?」


549 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:26:46.41 ID:x67c+fQDO


ハッピー「あなたも、わたしと同じ。
『心の底でハッピーエンドを望んでいる』から。
……そんな人を、……殺せるわけないッ!!」


ウルフルン「俺が、ハッピーエンドになりたい……?」

ハッピー「そうだよ。辛いことも、苦しいことも、全部ひっくるめて」

ハッピー「それでも何とかしたいってがんばってる。……あなたは、ただ『幸せ』になりたかったんだって、わたし、気づけた……」

550 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:27:43.57 ID:x67c+fQDO

ハッピー「気づいたから、こう思ったの。筋書き通りに死ぬ運命のオオカミさんだって、幸せを望むことは間違ってないって」

ハッピー「なにも、なにも変わらない。幸福を求めるわたしとなにも変わらないんだって!」

ウルフルン「……」

ハッピー「バッドエンドなんて望んでない。あなたは幸せになりたいオオカミさん。
わたしと同じ、『マイナスをゼロに』したいだけの人」

パァアアア……



みゆき「だから、あなたはもう怖くない」ス……



ウルフルン「おれが、オメーと同じ……?」

みゆき「うん、だからいっぱい、お話しよ? 戦いは終わりにして、どうすればいいか……ハッピーエンドになれるか、一緒に考えよ? オオカミさん!」

551 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:28:48.11 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「……」

『マイナスをゼロにしたいだけ』

ウルフルン「(……そうかい、こいつも……)」

バッドエンドを怖れていた。
だから俺を殺そうとした。
なんてこたねーんだ。こいつも恐怖を乗り越えようと、必死こいて足掻いてただけだったってわけか
なにも変わらねー……
『俺たちはなにも変わらねぇ』



ウルフルン「ウルフルンだ」



みゆき「え……?」

ウルフルン「『オオカミさん』なんてかわいい名前じゃあねぇ……。俺は『ウルフルン』。
オオカミのウルフルン」

ウルフルン「そしてオメーはなんだ? キュアハッピー?」

552 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:30:25.66 ID:x67c+fQDO

みゆき「……わたしは」


みゆき「わたしは星空みゆき! プリキュアの星空みゆきだよ!」パアッ


ウルフルン「みゆき」

みゆき「ウルフルン!」


ウルフルン「(人間の名前なんてはじめて覚えた気がする……)」


ウルフルン「……オメーは」

マジョリーナ「こんなところで油売ってたのかい!? ほら、とっとと帰るだわさ!」

ウルフルン「へ!? ばーさん!?」

みゆき「魔女さん!?」

アカオーニ「作戦は失敗オニ! もうこの世界はハッピーエンドオニ! おら、掴まれオニ!」

553 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:31:22.00 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「ま、待て! 俺はまだこいつに用があって」

マジョリーナ「何があったかしらないけど長居は無用だわさ! プリキュア! 次こそ覚悟するだわさッ!」

みゆき「待って! わたしもまだウルフルンとお話したいの! だから」

あかね「みゆきッ! 無事かぁ!? ってバッドエンド王国の連中が集まっとるやん!?」

なお「やっぱり、物語をハッピーエンドにしたみゆきちゃんを狙ってるんだよ!」

れいか「そうはさせません。さあみゆきさん、こちらに来てください!」

やよい「なんか途中から記憶がフッ飛んでるんだけど……お、思い出さなくてもいいよね? せっかくハッピーエンドなんだし!」

キャンディ「クル〜……キャンディなんにも覚えてないクル〜……?」

みゆき「みんなッ!? なにもこんなタイミングで来なくても……」

あかね「もう、危ないからはよこっち来んかい!」グイ

みゆき「あっ……!」クル

554 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:32:43.52 ID:x67c+fQDO



みゆき「オオカミさ……『ウルフルン』ッ!!」



ウルフルン「!!」


みゆき「……また、会おうねッ!」


ウルフルン「……ケッ」


シュンッ


れいか「どうやら帰ったようですね……」

あかね「全く、みゆき一人で突っ走ったらあかんねんで?」

やよい「でも、無事で良かったよ……」

なお「みゆきちゃん、どこか怪我とかしてない?」

みゆき「う、うん。だいじょぶだよなおちゃん? だいじょうぶだから……」


みゆき「(ウルフルン……)」


555 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:34:31.01 ID:x67c+fQDO


バッドエンド王国




ジョーカー「散々な目に会ったようですねえ?」

ウルフルン「……」

ジョーカー「ですが、キュアハッピーの抹殺に失敗したのは事実。これをどうピエーロ様に伝えれば良いのやら」

ウルフルン「勝手にしやがれ。……だが、これだけは言っとくぜ」

ジョーカー「……なんでしょうかあ?」

ウルフルン「キュアハッピーを倒すのは『俺だけだ』。俺だけがアイツを倒せる。
他じゃあ絶対無理だオメーも含めてな」

ジョーカー「ほう……それは面白いですねえ」

556 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:36:20.28 ID:x67c+fQDO

ウルフルン「ジョーカー、オメー人間のことはどう思ってんだ?」

ジョーカー「はいぃ? なんですか急に?」

ウルフルン「別に……ただ、たまには俺からも忠告しようってな、ありがたく受け取っておきな……。
『あんまし舐めてっと痛い目に遭うぞ』
……これだけだ。じゃーな!!」スタスタ

ジョーカー「……何を愚かなことを」



ウルフルン「(俺は『納得』はしていねー……。
『理解』はできても俺はアイツに! みゆきに勝てちゃあいねーんだッ! それは俺のプライドが許さねーッ!)」



ウルフルン「俺が納得するまで付き合ってもらうぜ。 なあ? みゆきよぉ……」



557 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:38:09.28 ID:x67c+fQDO


ポップ「一時はどうなるかと思ったでござるが、なんとかなったでござるな!」

みゆき「うん」

キャンディ「クル〜? みゆきどうしたクル? なんか上の空クル」

みゆき「なんでもないよ? キャンディ」

ポップ「しかし……物語はハッピーエンドで終わったでござるが、『結末』はずいぶん変わったでござる……」

キャンディ「クル〜♪ みんなハッピーエンドクル〜♪」

みゆき「……そうだね」ニコ


558 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:39:01.12 ID:x67c+fQDO


池に落ちたオオカミは、おかあさんヤギに助けられます

『もう悪いことはしないで、いっしょにお話しましょう?』
おかあさんヤギはやさしくオオカミに語りかけました

それを聞いたオオカミは黙って背を向けて、どこかへ行ってしまいました

おかあさんヤギはその背中を、見えなくなるまでずっと見ていました

おしまい





←TO BE CONTINUED……////
559 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/01/27(日) 19:40:14.31 ID:x67c+fQDO

以上で今日の投下は終わりです



闘い=理解!


560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 19:58:58.30 ID:/7OB2igF0

これは人間賛歌
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 21:40:21.82 ID:654dWeBVo
乙乙!
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 23:14:45.57 ID:hvnFlrNgO

池の中に飛び込むのはジョナサンを思い出すなぁ
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 06:59:48.88 ID:iC3hjBNr0
待機という過程は吹き飛び、投稿されたという結果だけが残るッ!!
564 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/04/10(水) 22:01:16.79 ID:Ra9zvTzNO
みなさん、お久しぶりです

今から投下します

もうすぐアニメでドッピオが出てくるので……書き溜めを解放する時が……来た……
565 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/04/10(水) 22:02:45.08 ID:Ra9zvTzNO

黄瀬やよいは幼い頃から漫画やイラストを描くことが大好きな少女であった。

彼女の家は母親との二人暮し、母子家庭である。

母親はキッズファッションの会社に勤める美しく
優しい女性で、やよいのことを大事に考えてくれる人だった。
父親はいない、やよいがまだ五歳の頃に他界している。
そのことについては殆ど思い出せないが、気持ちの整理は着いているし、たぶん自分はたくさん悲しんだのだろうなと何となく今ではそう思っている。
566 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/04/10(水) 22:03:32.27 ID:Ra9zvTzNO

そんな一見普通の中学生に見える彼女にも悩みがあった。中学二年生になるまで『親友』という言葉とは無縁の生を送っているということだ

『友だち』はいると自分では思う
しかし心の内面を共有できる仲間だとか、そういったワイワイするものはなかなか作る機会が無かった。
引っ込み思案で人見知りというのも理由ではあるが、何より同年代の子と比べて明らかに『オタク』だからだ。

いつの時代でもオタクはなかなか理解されない。そして自分の趣味が理解されないことほど悲しい事はない。
『理解されないことを恐れるから近付かない』
それはある種の諦めにも似た考えであった。

567 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/04/10(水) 22:04:11.80 ID:Ra9zvTzNO

だからこそありのままの自分を受け入れてくれたみゆきを含めるプリキュアメンバーに対する信頼は篤く、『自分も親友のために頑張れる』という気持ちが湧いてくるのだ。

それがやよいのプリキュアとして戦う意志の源である

568 : ◆S0pw.EDnyA [saga]:2019/04/10(水) 22:05:17.57 ID:Ra9zvTzNO



【Casa dei cartoni animati】……イタリア語で漫画家を意味する



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