果南「彦星が泣いた日」

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18 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:53:37.18 ID:Hp889MgaO

果南「どうしよぉ…」

曜「いつも通り祝えばいいじゃん」

果南「でも、恋人同士になって初めての誕生日なんだよ?いつも通りじゃダメだよぉ…」ヘタリ

鞠莉「前のめりに伏せっちゃった」

果南「それよりさ。千歌がヤバいんだよ。どれくらいヤバいかって言うと…!」

曜「はいはい、ヤバいヤバい」

鞠莉「相変わらずちかっちラブね♪」

果南「適当に流すなッ!」

曜「今は誕生日の話でしょ?」

果南「…………はいぃ」

19 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:54:47.91 ID:Hp889MgaO

鞠莉「コロコロ表情が変わって大変そうね、果南」

曜「最近は特にね」ニヤニヤ

果南「うっさいなー…//」

鞠莉「じゃあ、マリーから提案!」

曜「はい、鞠莉ちゃん!」

鞠莉「確かにちかっちと果南にとっては初めてのラバーズ同士の誕生日よ。だけど、Aqoursと一緒に迎える初めての誕生日でもあるわ!」

果南「確かにそっか」

鞠莉「もちろん二人きりでお祝いするのも楽しいと思うけど、一度みんなでパーッと盛り上げてあげた方が良いと思います!!」

曜「千歌ちゃんも喜びそうだね♪」

果南「で、でもやっぱり二人でも祝いたいというか」

鞠莉「ノープロブレム!昼間にパーティーしたら、あとは二人の時間にすればいいわ!だーれも邪魔させないわ♪」

果南「だったらいいけど…」

20 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:55:55.81 ID:Hp889MgaO

曜「千歌ちゃんを襲う気かな…?」

果南「んなっ!?//」

曜「いや、襲われちゃうの間違いか」クスッ

果南「この……こ、くぅ…//バカ曜ォ!!!」ガバッ

曜「きゃあっ!そんな大袈裟な反応するってことはもしかして…!」

果南「う、うるさいうるさいうるさーい!!///」

鞠莉「ふふっ、ちかっちの誕生日が楽しみね♪」


 大好きな人と迎える誕生日。同じ人と祝うのに、いつもとは違う不思議な気持ち。そんな不思議でドキドキするこの気持ちが恋愛なのかな、なんて思ったり。まあ、そんなことを考えれるようになったのも千歌のおかげかな。
 一番近くで見てきたはずの相手なのに、初めて知ったりする表情。これからもたくさんたくさん知っていきたいな。

21 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:56:32.05 ID:Hp889MgaO

パンッ!パンッパンッ!!

千歌「えへへ…//」

果南「千歌、せーの!」

『誕生日おめでとぉーーー!!!』

千歌「ありがと、みんな」ニコッ

22 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:57:14.95 ID:Hp889MgaO

ルビィ「こ、これルビィからのプレゼントです!」

千歌「うわぁ、ありがとう!……ん?腹巻き?」

ルビィ「果南さんが千歌ちゃんは夜クーラーつけてお腹冷やしちゃうって言ってたから…」

千歌「ちょ!?果南ちゃん!!///」

果南「だって、ほんとの事だし」

千歌「むぅーっ!」

23 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:58:03.39 ID:Hp889MgaO

曜「まあまあ!わたしからはこれだよ〜!」

千歌「おおーっ!……ワンピースだ〜!」

曜「そう!白ベースで薄くオレンジ色を…」

千歌「みかん!」

曜「失敬!みかん色を配色したデザインです!」

千歌「うわぁ…きれい!」

千歌「で、でも、わたしに似合うかな〜?」

果南「似合うに決まってる、可愛いもん」

千歌「果南ちゃんはあてにならないもん」

果南「なっ!?」

曜「大丈夫!バッチリ千歌ちゃんに似合うって!曜ちゃん印のお墨付き!」

千歌「そう?ありがとね、よーちゃん♪」

曜「ヨーソロー!」ビシッ

24 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:58:51.61 ID:Hp889MgaO

花丸「マルはこれ!」

千歌「小説かな?」

花丸「恋愛小説ずら。主人公とヒロインが千歌ちゃんと果南ちゃんにそっくりだからマルのオススメずら!」

千歌「おー!どんなお話?」

花丸「それは読んでのお楽しみ、ずら♪」

千歌「気になる〜!」

25 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:59:40.97 ID:Hp889MgaO

鞠莉「次は私ね!」

千歌「おー……何が出てくるんだろ」

鞠莉「マリーからは、これ!」

千歌「わぁ!オルゴールだ!きれ〜い…!」

鞠莉「小原家特注の世界にひとつのちかっちだけのオルゴールでぇす!!」

千歌「一気に触りづらくなったんだけど!?」

鞠莉「大丈夫大丈夫!とりあえず蓋開けてみて!」

千歌「むむむっ……えいっ」パカッ

~♪

千歌「あっ!ダイダイだ!」

鞠莉「ちかっちたちのデビュー曲だもんね!オルゴールにしてみました!」

千歌「嬉しい!ありがと、鞠莉ちゃん!」

鞠莉「シャイニー♪」

26 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:00:38.64 ID:Hp889MgaO

梨子「鞠莉さんの後だと見劣りしちゃうな…」

曜「というか、あのオルゴールわたしたちも欲しいよね」

梨子「うん」

千歌「あはは…梨子ちゃんは何を用意してくれたの?」

梨子「わ、私はこれ!」スッ

千歌「ヘアピン!イルカのマークだ!」

梨子「意味は……まあ、分かるよね?」ニコッ

千歌「うん、ありがと♪」

善子「えっ、被った……」

千歌「……ほぇ?」

27 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:01:31.03 ID:Hp889MgaO

善子「えと……これ」スッ

千歌「ヘアピン…」

善子「…」

梨子「あ、あちゃー…」

千歌「いや!いやいやいや!柄も形も違うし!大丈夫、大丈夫だよ!善子ちゃんッ!」

善子「なんか、リリーもごめん…」

梨子「え、えぇ!?よっちゃん!?」

花丸「ヨハネよっ!のボケも無いなんて…」

善子「ボケじゃないわ!!」

りこまる「ボケじゃないの!?」

善子「んなっ!?」

28 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:02:30.88 ID:Hp889MgaO

花丸「まあ善子ちゃんは置いといて」

善子「置くな!」

ダイヤ「わたくしですか」

千歌「わくわく♪」

ダイヤ「あまり期待しないでください。たいしたものではありませんから…」

ルビィ「ほんとかな〜?」ニヤニヤ

ダイヤ「ルビィ…?」

ルビィ「きゃー!お姉ちゃんこわーい!」

ダイヤ「全く………ま、まあたいしたものかもしれませんが、わたくしの私物ですし、喜ぶかは…」

千歌「私物?ダイヤさんのモノをくれるの?」

ダイヤ「こちらですわ」スッ

千歌「……ふぇ?お?おー?おー!?」

29 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:03:23.39 ID:Hp889MgaO

ダイヤ「当時集めていたμ'sの記事をまとめたわたくしのスクラップ帳ですわ。わたくしは、もう頭に叩き込んでますから千歌さんにあげようかと…」

千歌「い、いーの?後からなしとかダメだよ?」

ダイヤ「か、構いませんよ!わたくしからの誕生日プレゼントです♪」

千歌「ありがとー、ダイヤさん!いや、ダイヤちゃん!」ギュー

ダイヤ「ぴぎゃっ!?//き、急に飛び付かないでください!」

千歌「嬉しかったから、つい〜♪大切にするね!」

ダイヤ「……はい」ニコッ

30 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:04:38.03 ID:Hp889MgaO

果南「…」ムスッ

鞠莉「ちかっち〜?お姫様がご機嫌斜めよ〜」

果南「だ、誰がお姫様だ!//」

鞠莉「嬉しいクセに〜」ニヨニヨ

千歌「ウチの子がご迷惑を」ペコッ

鞠莉「いえいえ」

果南「千歌ぁ〜?」

千歌「あはは!」


 楽しいと思う時間はあっという間で。この瞬間がずっと続けばいいのになんて、よくある常套句を思い浮かべながら、みんなの笑顔を、果南ちゃんの笑顔を見つめた。
 普通なわたしの、普通な日常の中の、特別な1ページ。このみんながいて果南ちゃんがいたから、今のわたしはあるんだ。普通なわたしが輝けるんだ。

31 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:05:04.87 ID:Hp889MgaO




 ───────────でも、そんな普通なわたしを神様は特別にしたんだ。



32 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:06:04.27 ID:Hp889MgaO

果南「わたしからの千歌の誕生日プレゼント無しにしよっかな〜?」

千歌「…」

曜「そんな意地悪な恋人でいいの〜?」

果南「千歌が悪いんだもん!」

梨子「あはは…」

ルビィ「あ、あれ?千歌ちゃん?」

千歌「う、うぅ……」

花丸「も、もしかして…」

善子「泣いて、る?」

果南「へ?」

33 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:06:58.49 ID:Hp889MgaO

千歌「う、うぅ……ぐっ」プルプル

鞠莉「な〜かした、な〜かした!」

梨子「そんな古典的な…」

ダイヤ「とにかく素直になさいな、果南さん?」

果南「ご、ごめんね千歌。意地悪しちゃって」

千歌「ぐっ……うぅ」プルプル

果南「でも、渡すタイミングって言うかさ…」



千歌「………………………………痛い」



果南「え?」

千歌「うっ」パタリッ

果南「ちょっ……千歌っ!?」

34 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:07:38.15 ID:Hp889MgaO

千歌「痛い…!痛いよぉ……!」

曜「千歌ちゃん!?」

千歌「うぐっ……う、うぅ〜〜〜〜〜!!!」バタバタ

ダイヤ「ど、どこが、どこが痛むのですか!?」

千歌「お、おなかが……うっ」

梨子「千歌ちゃん、しっかり!」サスサス

鞠莉「と、とにかく救急車を!親御さんにも連絡を入れて!」

ダイヤ「わたくしがかけます!」

35 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:09:48.84 ID:Hp889MgaO

善子「わ、私たちも何か…」オロオロ

ルビまる「…」コクコク

鞠莉「じゃあ、ここまでのルートの確保をお願い!まだ学校にも生徒や先生がいるはずだから、先生と協力して学校がパニックにならないように伝えて!」

善子「わ、わかった!ルビィ、花丸行くわよ!」

ルビィ「う、うん」

花丸「千歌ちゃん…」

果南「千歌っ、千歌っ!」

千歌「うぅ……くっ」

果南「しっかりしてよぉ…」グスッ

千歌「かな、んちゃ……」


 痛みに耐えきれなくなったわたしは、果南ちゃんが泣きじゃくる顔を最後にわたしの意識はそこで切れた。


36 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:11:25.95 ID:Hp889MgaO


 今、何してるんだっけ?

 今日は千歌の誕生日で、みんなでプレゼントを渡して、ケーキを食べて、その後は二人で過ごそうって。そんな楽しい一日だったはず。

 隣で曜が何も言わずにわたしの手を握ってくれている。千歌の一番の大親友であり、わたしの可愛い妹分の一人。いつもわたしたちを支えてくれている曜も今は、強ばった表情を浮かべ握った手からも不安さを感じた。

37 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:11:57.26 ID:Hp889MgaO

ルビィ「千歌ちゃん、大丈夫だよね?」グスッ

ダイヤ「大丈夫、大丈夫です」ナデナデ

善子「…」

梨子「大丈夫?」

善子「……うん」

 千歌の、リーダーの異変。この状況が千歌の存在が、わたしたちAqoursにとってどれだけ大きかったのかを露呈させた。みんな不安が拭えない。

38 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:12:53.11 ID:Hp889MgaO

鞠莉「こっちです!」

花丸「焦らないでくださいね…」

 千歌の家族を鞠莉たちが連れてきてくれた。おばさんは東京にいるのか、姿は見えなかった。

美渡「千歌は!?」

果南「まだ手術中で…」

志満「千歌ちゃん…」

美渡「あのバカ千歌…!」

千歌パパ「すまん、果南ちゃん。あまり状況が把握できてないんだが、千歌はどうして倒れたんだ?」

果南「それが…」

 おじさんたちに千歌の倒れた経緯を伝えた。まだ原因がわからない今、みんなの表情は暗いままだった。手術中と書かれた赤いランプが不気味に光り、わたしたちの不安をつのらせた。

39 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:14:10.07 ID:Hp889MgaO

 どれくらい時間が経ったか。ランプが消え、扉が開いた。一斉に視線がそこに集まった。

かなみと「千歌っ!」

 ほぼ同時にわたしと美渡姉が駆け寄る。千歌は薄目を開けながら、笑顔を見せた。少し、安心する。

美渡「大丈夫か?」

千歌「…」ニコッ

美渡「そうか…」

看護婦「すみません。一旦、病室の方に送りますので」

美渡「あっ、すみません」

千歌パパ「先生、ウチの娘の容体は…」

医師「少しこちらへ…」

 おじさんとお医者さんがこそこそ話しているのが見えたが構わずに、千歌を連れていく看護婦にわたしたちはついていった。

40 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:15:05.91 ID:Hp889MgaO

病室

看護婦「高海さん、まだ意識がはっきりしてない状態ですので、あまり刺激しないようお願いします。しばらくすれば、落ち着いてくると思いますので」

志満「わかりました」

看護婦「では、失礼します」

果南「千歌…」ギュッ

千歌「…」ギュッ

ダイヤ「……果南さん」

果南「うん?」

ダイヤ「とりあえず、千歌さんの無事は確認出来たので、わたくしたちはここを出ようと思うのですが」

鞠莉「そうね。病室にこんな大勢いたら、ちかっちも疲れるだろうし」

果南「そっか。うん、わかった」

美渡「ごめんな、みんな。心配してくれてるのに気を使わせて」

ダイヤ「いえ。お気になさらないでください。何か分かればまた連絡をしていただけると」

美渡「分かった。ありがとね」

41 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:16:15.59 ID:Hp889MgaO

鞠莉「果南は…」

果南「残る」

鞠莉「…わよね。他には?」

曜「わたしも残る」

鞠莉「オーケー。じゃ、あとのみんな…」

ルビィ「あ、あのぉ…」

花丸「ルビィちゃん…?」

ルビィ「ルビィも、ルビィも残ります」

ダイヤ「ルビィ?」

ルビィ「お願い、お姉ちゃん」

ダイヤ「…」

ダイヤ「わかりましたわ。気を付けて帰って来なさい」

ルビィ「うん…!」

42 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:17:11.47 ID:Hp889MgaO

善子「大丈夫なの?バス止まっちゃうわよ?」

志満「そこは任せて。ウチが責任持って送り届けるから」

ダイヤ「よろしくお願いします」ペコッ

梨子「曜ちゃん、ルビィちゃん、果南さん。あとはよろしくね」

果南「うん。気を付けて帰ってね」

バタンッ

千歌「……なん、ちゃ」

果南「千歌…」

曜「無理しないでいいからね。ゆっくりでいいから」

ルビィ「うん、うんっ」

千歌「…」コクリ

志満「そういえば、お父さんは?」

美渡「さっき先生と話してたけど」

43 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:18:14.89 ID:Hp889MgaO

ガララッ

千歌パパ「すまん、母さんを迎えに行っていた」

千歌ママ「千歌っ」

 おばさんが到着してから、千歌が落ち着くまでゆっくり話しかけたり、撫でたりしながら時間を過ごしていった。しばらくしてから、少しずつ千歌が話せるようになってきた。

44 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:19:41.53 ID:Hp889MgaO

千歌「あはは、ごめんね……みんな」

果南「大丈夫?お腹はもう痛くない?」

千歌「今は、よくわかんないかな…」

美渡「気分悪くないか?喉乾いてんならなんか買ってくるけど…」

千歌「えへへ…美渡姉が優しいや」

美渡「バカ言ってんじゃねぇよ。……で、いるか?」

千歌「うん、お願い」

美渡「ん」

ガララッ

志満「美渡ったら…」

千歌ママ「とりあえずは一安心、なのかしら?」

曜「そうだと、思います」

千歌パパ「…」

45 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:20:37.02 ID:Hp889MgaO

果南「そういえば、おじさん?」

千歌「ん?どうした、果南ちゃん?」

果南「先生と何か話してましたよね?千歌のこと何か聞いたんですか?」

千歌パパ「ああ…」ウツムキ

千歌ママ「…」ピクッ

千歌パパ「とりあえず、検査入院ということでしばらく学校……は今は夏休みだから関係ないけど、練習の方はお休みしなきゃなって」

曜「そうですか…」

ルビィ「みんなにも伝えておきますね」

果南「お願いね、ルビィ」

ルビィ「うん」

46 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:21:14.76 ID:Hp889MgaO

千歌「そっかぁ、しばらく練習できないかぁ…」

志満「無理はしちゃダメだよ、千歌ちゃん?」

千歌「うん。ありがと、志満姉」

千歌パパ「千歌も意識がはっきりしてきたし、みんなも帰って大丈夫だぞ」

曜「そうですね」

ルビィ「そうします」

志満「じゃあ、私が送って来るね」

千歌パパ「おう」

果南「わたしは…」

47 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:22:07.45 ID:Hp889MgaO

ガララッ

美渡「ただいまっ…と」

美渡「千歌?わかんなかったから、お茶とスポドリ買って来たけどどっちがいい?」

千歌「うーん……じゃあ、お茶で」

美渡「分かった。コップに入れるからな」

千歌「ありがと」

千歌「果南ちゃん?」

果南「千歌…」

千歌「心配してくれてありがと。けど、疲れちゃったでしょ?今日は帰って休んでよ」

果南「でも…」

千歌「果南ちゃん」

果南「……わかった」

48 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:22:38.29 ID:Hp889MgaO

志満「果南ちゃんもね。じゃあ、三人とも行きましょうか」

曜「うん」

ルビィ「よろしくお願いします」ペコッ

果南「…」

志満「果南ちゃん?」

果南「ちょっと待って、志満姉」

志満「えっ?うん…」

果南「千歌、これ…」スッ

49 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:23:35.61 ID:Hp889MgaO

千歌「これは……開けてもいい?」

果南「うん」

千歌「…」パカッ

千歌「イルカの……ネックレス?」

果南「う、うん。こんなタイミングで渡すのもどうかと思ったけど、わたしからの誕生日プレゼント…」

千歌「ありがとう、嬉しい」ニコッ

果南「い、一応わたしとのペアネックレス…ていうか」

果南「わたしのが、みかんのネックレス」スッ

千歌「……なんでわたしがそっちじゃないの?」

果南「そ、それは…その……//」

美渡「こほんっ」

ちかなん「あっ」

50 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:24:29.59 ID:Hp889MgaO

美渡「イチャイチャすんのはいーが、また今度な」

果南「ごめん、美渡姉…」

美渡「…」グイッ

果南「わわっ」

美渡「ありがとな」ボソッ

果南「……うんっ」

志満「もういいかしら?」ニコッ

果南「うん、大丈夫!」

志満「じゃあ、お父さんたちよろしくね」

千歌パパ「おう」

果南「千歌」

千歌「なーに、果南ちゃん?」

果南「誕生日、おめでとう」

千歌「……ありがと」ニコッ

 千歌たちに別れを告げて、わたしたち三人は病室をあとにした。志満姉に送ってもらい、曜とルビィにもお礼を言って、わたしは家に帰った。

51 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:25:26.11 ID:Hp889MgaO

バタンッ

千歌パパ「……ふぅ」

千歌ママ「…」

美渡「お前、果南に愛されてんなぁ」ニヤニヤ

千歌「とーぜんだよ」

美渡「愛想つかされないようにしろよな」

千歌「ないない。果南ちゃん、わたしラブだもん」

美渡「おアツいこって」

千歌「ふふん」

千歌ママ「……ねぇ、あなた?」

千歌パパ「……なんだ?」

千歌ママ「嘘、ついてるでしょ?」

千歌パパ「…」

52 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:25:59.07 ID:Hp889MgaO

千歌「嘘…?」

美渡「どういうことだよ、父さん」

千歌ママ「あなた、変わってないもんね。嘘をつく時やごまかす時に顔をうつむかせる癖…」

千歌パパ「……はぁ」

千歌パパ「母さんには敵わないな、全く…」

美渡「嘘って、何が嘘なの?」

千歌パパ「…先生を呼ぼう。千歌本人が聞かなきゃならない」

千歌「わたしが…?」

千歌ママ「…」

53 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:26:33.69 ID:Hp889MgaO

ガララッ

医師「お待たせしました」

美渡「せ、先生!千歌は大丈夫なんですよね?」

医師「……今からお話します」

医師「高海千歌さん」

千歌「はい…」

医師「あなたは……」

 そこで聞かされた真実に、わたしは…。

54 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:27:42.75 ID:Hp889MgaO

一週間後

千歌「こんちか〜!」

曜「退院おめでとう、千歌ちゃん!」

千歌「ありがと、よーちゃん!」ニコッ

梨子「ほんとによかったわ、無事で」

善子「ほんとよ!この堕天使ヨハネを心配させるなんてギルティーよ!」

千歌「ごめんね〜!でも善子ちゃん、わたしのことすごい心配してくれたんだってね!ありがとう♪」ギュー

善子「や、やめなさいってば!くっつくな〜!//」

花丸「照れてるずら、照れてるずら」

鞠莉「ヨハネはちかっちのこと大好きだもんね〜」

果南「ほほ〜う?」

善子「いらんこと言うな!//」

55 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:28:18.88 ID:Hp889MgaO

ルビィ「千歌ちゃん?ほんとにもう平気なの?」

千歌「あっ、うん!大丈夫大丈夫!」

ダイヤ「全く、人騒がせなんですから」

果南「まあ、そうだよね」

千歌「いやー、申し訳ない」

果南「まさか『盲腸』だったなんて」

千歌「あっ!今、盲腸バカにしたな!痛いんだぞ〜!めちゃくちゃ痛いんだぞ〜!!」

56 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:29:42.72 ID:Hp889MgaO

ルビィ「盲腸ってなんだっけ?」

花丸「臓器の名前だったり、虫垂炎のことを盲腸って言ったりするずら」

千歌「そうそう。さすが花丸ちゃん!」

善子「千歌は手術で切除したの?それとも薬?」

千歌「最初に倒れた時に、お医者さんの判断で切除したみたいだよ。時々ちょっと痛むけど、前ほどじゃないよ」

善子「そうなんだ。でも、切除すると大腸がんになるリスクもあるんじゃなかったかしら?」

57 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:30:08.75 ID:Hp889MgaO

千歌「よく知ってるね」ニヤニヤ

善子「あっ、いや」

ルビィ「ほんとに」ニヤニヤ

善子「だ、だから」

曜「なんでかな〜?」ニヤニヤ

善子「う、うぅ」

果南「ほほ〜〜〜ん??」

善子「うにゃ〜〜〜〜〜!!!///」

58 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:30:49.47 ID:Hp889MgaO

梨子「CYaRon組三連弾…」

鞠莉「プラス果南ね♪」

花丸「でも、ほんと詳しいね?どうしてずら?」

善子「そ、それは…」

8人「それは?」

善子「し、心配だったからお腹が痛む病気を片っ端からネットで調べたというか、なんというか…」

8人「(善い子だ…)」

果南「…」ナデナデ

善子「い、いきなり無言で撫でるな〜!//」

59 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:31:16.67 ID:Hp889MgaO

千歌「と、言う訳で善子ちゃんがいい子だということを再認識したところで〜?」

千歌「今日も練習頑張るぞ〜!おー!」

7人「おー!」

善子「私を置いて話を進めるな〜!」

 屋上に続く階段を一歩一歩踏みしめてかけ上がる。やっぱりわたしの居場所はここなんだなと改めて思った。どんな困難も乗り越えて行ってやるんだ。果南ちゃんと、みんなと一緒に。

60 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:32:12.05 ID:Hp889MgaO

高海家

千歌「あづ〜い……」

しいたけ「わふぅ……」

梨子「(怖い怖い怖い怖い怖い!)」ブルブル

梨子「ち、ちちち、千歌ちゃん?早いとこ歌詞を完成させてくれるとありがたいんだけどな〜、なんて」

千歌「そうだね。素麺でも食べよっか」

しいたけ「わんっ」

梨子「話聞いてた?」

61 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:32:44.05 ID:Hp889MgaO

千歌「Aqoursで流し素麺大会とかしたいね!絶対楽しいよ、うん!」

梨子「楽しいかもしれないけど、歌詞…」

千歌「あー、でも、花丸ちゃん麺類苦手なんだっけ。じゃあ、素麺の代わりに何か流そうかな?」

梨子「…」

千歌「花丸ちゃんが好きなもの…のっぽパン!?」

梨子「千歌ちゃん!!!」

千歌「はいっ!」

梨子「次の予選まで時間無いんだから、早く歌詞完成させないと大変だよ!」

千歌「はいぃ…」

62 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:33:29.93 ID:Hp889MgaO

梨子「……焦ってるのはわかるけど、最近千歌ちゃん話聞いてないこと多いよ。練習中もずっと騒いでるし」

千歌「そりゃあ、考えるより体や口を動かす方がわたしには向いていますので…」

梨子「もう。とにかく、曲のイメージも歌詞によって変わってくるんだからしっかりしてね?」

千歌「はーい…」

サーッ

美渡「あっ、しいたけここにいたんだ。散歩行くぞ〜」

しいたけ「あうっ」

梨子「…」ビクビクッ

千歌「しいたけ、またね〜」

63 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:34:26.87 ID:Hp889MgaO

梨子「あっ、お邪魔してます、美渡さん…」

美渡「……ん」

美渡「まあ、行って来るから」

千歌「うん、気を付けてね」ニコッ

美渡「おう」

トンッ

千歌「じゃあ、やりますか〜」

梨子「うんうん」

千歌「うおおおおお!!!」

梨子「スゴい気合い…!これくらいいつも頑張れば歌詞も…」

千歌「……ほぇ?」←流し素麺大会計画中

梨子「…」ゴゴゴゴゴ

千歌「いや、やっぱ楽しいかなって。夏らしいことすればそれっぽい歌詞も浮かぶかなって…」

梨子「……千歌ちゃん?」ニコニコッ

千歌「ひぃっ!?」ビクッ

梨子「真面目に考えなさいッ!!!」

千歌「うわ〜ん!ごめんなさ〜〜い!!」

64 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:34:56.69 ID:Hp889MgaO

高海家前・砂浜

梨子「……ということがありまして」

果南「あはは、千歌らしいっていうかなんというか」

梨子「それはそうかもですけど、少しは自分が作詞担当だという自覚を持って…」

果南「まあまあ、梨子?せっかくの夏だし、根詰めるのもよくないじゃない?時々パーッと遊ばないと!」

梨子「確かにそうですけど…」チラッ

65 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:36:00.69 ID:Hp889MgaO

千歌「んじゃ〜、いっくよ〜!」

ようまりよし「来〜いっ!」

千歌「水面よーしっ!いけ〜!」ポチャッ

鞠莉「シャイニー♪」サッ

ようよし「ああっ!」

鞠莉「ん〜!美味しいッ!ジャパニーズソーメンスタ〜イル!」

曜「次こそは…!」

善子「この堕天使ヨハネに供物を…!」

千歌「じゃあ、次いくよ〜」ポチャッ

鞠莉「ゲ〜チュッ♪」サッ

ようよし「あーっ!」

鞠莉「冷たくて美味しい〜♪」

曜「なんでそんな箸使い上手いのさ!」

善子「そうよ!というか、場所変わりなさいよ!最後尾とか絶対不利じゃない!」

66 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:36:33.75 ID:Hp889MgaO

鞠莉「しょうがないですね〜?じゃあ、善子先頭で!」

善子「見てなさいよ〜?あと、ヨハネっ!」

曜「その次わたしだからね〜」

鞠莉「ちかっち〜!次お願〜い!」

千歌「おっけ〜!」

善子「おら〜っ!」ツルッ

曜「流れてきた!ていっ!」ツルッ

鞠莉「も〜らいっ♪」サッ

ようよし「なんで〜?」

鞠莉「ん〜、デリシャス♪」

67 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:37:08.46 ID:Hp889MgaO

梨子「ほんとに流し素麺してるし…」

果南「なんか憧れるよね、流し素麺って」

梨子「果南さんは混ざらないんですか?」

果南「ん〜、またあとで」

梨子「そうですか」

果南「梨子こそ、混ざらないの?」

梨子「私は……聞いてたいんです」

果南「聞く?」

68 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:38:15.17 ID:Hp889MgaO

梨子「東京に住んでて、聞こえてくるのは都会の雑踏や機械音、あわただしく過ぎていく日常の音。落ち着かないような早いノーツで刻んでる」

梨子「けど、ここは東京では聞けなかった音がたくさんある。波の音、風の音、鳥の声、人の声…その一つ一つが重なって、まるで一つの音楽のように感じる」

梨子「そして、Aqoursのみんな。9人それぞれが違う想いを抱いているのに、一つになった時にはとっても素敵な音になる。千歌ちゃんが教えてくれた音です」

梨子「だから、私は………はっ!?///」

果南「…」ボーッ

梨子「いや、あのっ、ちょっと……忘れてくださいぃ//」

果南「……あははっ、音かぁ」

梨子「果南さ〜ん//」

果南「まあまあ。わたしは梨子みたいに音楽に詳しくないからよくわかんないけど、確かにその……気持ちって言うのかな?わかる気がする」

梨子「気持ち…?」

果南「うん…」チラッ

69 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:38:57.38 ID:Hp889MgaO

ダイヤ「…」フラフラ

ルビィ「お姉ちゃん、頑張れ〜!」

花丸「そのまままっすぐずら〜!」

ダイヤ「ま、まっすぐ?まっすぐですわね?」

ルビィ「ああ、違うよ〜、お姉ちゃ〜ん!」

花丸「まっすぐずら〜」

ダイヤ「違うのですか?まっすぐなのですか?」

ルビィ「もう少し、もう少しだよ〜!」

花丸「まっすぐまっすぐずら〜!」

70 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:39:39.49 ID:Hp889MgaO

ダイヤ「もう!二人とも真面目に誘導してください!!」

ルビィ「え、えぇ!?も、もうちょっとそっち!」

ダイヤ「そっちじゃわからないでしょ!?」

ルビィ「ルビィから見て右がこっちだからお姉ちゃんから見たら…いや、目隠ししているから目は無くて…」

ダイヤ「目は無くなってませんわよ!?」

花丸「もぐもぐ……まっひゅぐじゅら〜」

ダイヤ「花丸さんはさっきからまっすぐしか言っていないではないですか!というか、物を食べながら指示しないでください!」

花丸「問題!マルは何を食べてるでしょうか?」

ダイヤ「知りませんわよッ!!」

71 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:40:22.73 ID:Hp889MgaO

果南「こうやってみんなで遊んで、活動してさ。わたしの見る風景も少しずつ変わっていって、なんか楽しいんだ」

果南「千歌や曜、ダイヤや鞠莉と過ごしてきた小さな頃の思い出も大事だけどさ。こうやって日々変わっていく風景を見るのも楽しいし、嬉しいなって」

果南「言ってることめちゃくちゃだけど、梨子やみんなに出会えて良かったってそう思うんだ」ニコッ

梨子「果南さん…」

果南「ラブライブに向けて頑張ろうね!」

梨子「はい!」

72 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:41:21.50 ID:Hp889MgaO

梨子「……と、言っても」

果南「ん?」

梨子「一番嬉しい変化は千歌ちゃんとの関係性…ですよね、果南さん?」ニヤニヤ

果南「んなっ!?///」

梨子「千歌ちゃんから聞きましたけど、待たせ過ぎるのもダメだと思いますよ?」

果南「それはまあ…うん」

梨子「今だって、ほら…」

果南「え?」

千歌「…」ムスゥ

73 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:42:06.81 ID:Hp889MgaO

曜「ち、千歌ちゃん!こんな間隔で流されたら対応しきれないって!」

善子「次から次に……なのに、取れないッ!」ツルッ

鞠莉「嫉妬スライダー??」

果南「あ、あははっ…」

梨子「お話はこれまでですかね?じゃあ、私はルビィちゃんたちのとこ行ってきますね!」スクッ

果南「う、うん」

果南「……じゃあ、わたしも行きますか」

千歌「…」ジトッ

74 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:42:51.55 ID:Hp889MgaO

果南「な、なにさ?」

千歌「……チューして」

果南「へ?今、なんて?」

千歌「チュー!して!!」

果南「ちょっ?はいっ!?」

千歌「浮気した」

果南「してないし!」

千歌「とにかく、チュー!」

果南「わ、わかったから…。あとでこっそりしたげるから、ね?」アセアセ

千歌「ダメ、いま!」

果南「今っ!?」

千歌「んっ」メトジッ

75 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:43:44.53 ID:Hp889MgaO

果南「今って、みんなもいるのに…」

千歌「…」

曜「な、なんかドキドキするね…!」

鞠莉「キ〜ス!キ〜ス!」

善子「小学生か!」

梨子「面白いことになってるわね」クスッ

花丸「そのまま千歌ちゃんにまっすぐずら〜!」

ダイヤ「千歌さんにまっすぐって、え?」アセアセ

ルビィ「お、お姉ちゃん!目隠し取らな……くていいから、えっ、えーっと左だよ!」

果南「(この状況でか…)」

千歌「ん〜…」

果南「(はぁ…しょうがないか)」

76 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:44:30.85 ID:Hp889MgaO

果南「い、いくよ…?」

千歌「うん」

果南「…」ソーッ

チュッ

果南「///」カァァ

5人「おーっ!」

ダイヤ「な、なに?何が起きてますの?」

千歌「…」

千歌「♪」ガシッ

果南「んっ!?ちょっ……んぅっ!!?///」

千歌「ちゅるっ、れろ」

5人「なっ!!?///」

77 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:45:07.07 ID:Hp889MgaO

果南「/////」

千歌「ぷはっ!」

果南「…」ボーッ

千歌「ん〜っ!満足♪」

果南「う、うぅ…///」ヘタリ

善子「さ、サキュバス……//」

鞠莉「あはっ、あははははっ///」

曜「な、なんだろう…。この行き場のない気持ち……」

花丸「か、過激ずら…」

梨子「曜ちゃん、大丈夫?私たちもする?」

曜「なっ!?なに言ってんの!?///」

梨子「冗談だよっ、冗談」クスッ

ルビィ「二年生、しゅごい…」

78 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:45:44.17 ID:Hp889MgaO

千歌「さあっ!次はみんなで海で遊ぼ〜!」

曜「ああっ!待ってよ、千歌ちゃ〜ん!」

千歌「待たな〜い!」

曜「好き勝手して〜!ほら、果南ちゃん起きて!」

果南「きゅ〜……///」

曜「あっ、ダメだこりゃ」

梨子「とりあえず、パラソルのとこで寝かしてあげましょ」

曜「そ、そだね」ヒキッ

梨子「あれ?なんで引いてるの、曜ちゃん…」

曜「さっきの発言があるので…」カマエ

梨子「だ、だから冗談だってば曜ちゃ〜〜〜ん!!!」

79 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:46:25.69 ID:Hp889MgaO

ダイヤ「………ていっ」ブンッ

ダイヤ「…」シュルッ

しいたけ「…」ジーッ

ダイヤ「…」チラッ

キャッキャッ

ダイヤ「しいたけさん、お隣失礼します」スワリ

しいたけ「わふっ」ポンッ

ダイヤ「………ぐすっ」

80 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:46:53.63 ID:Hp889MgaO






「あははっ!冷た〜い!」
「やったな〜?とりゃー!!」

美渡「…」ジーッ

美渡「………ちっ」

美渡「バカ千歌…」

81 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:47:29.88 ID:Hp889MgaO

松月

千歌「いただきまーす!あーんっ!」パクッ

千歌「ん〜!おいし〜!!」

果南「みかん尽くしだねぇ…」

千歌「みかんどら焼きに、タルトに、みかんショート…!あむっ……ん〜、しあわへ〜……」モグモグ

果南「ふふっ。幸せそうにしてる千歌を見てたら、わたしも幸せになるよ」ニコッ

千歌「えへへ〜」

82 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:48:08.78 ID:Hp889MgaO

果南「じゃあ、ちょっと乾杯しよっか」

千歌「え?なんで?」

果南「みんなでお祝いはしたけど、この前のラブライブ地区大会への願掛けも込めて、さ」スッ

千歌「……うん!」スッ

ちかなん「乾杯っ」コンッ

果南「んくっ………ぷはっ」

果南「そういえば、もう曲は出来たの?」

千歌「うん!この前みんなで東京に行った時にアイデアが浮かんで、梨子ちゃんと一緒に考えて……で、あと少しだよ!」

果南「へぇ〜。いつもは梨子に急かされてやってるのに、珍しい」

千歌「むぅ〜!わたしだってやる時はやるんだよ!」

果南「はいはい」クスッ

千歌「もーう!」プクー

83 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:49:13.69 ID:Hp889MgaO

果南「ごめんごめん!で、どんな曲なの?」

千歌「んとね〜、わたしたちの未来を行くんだって曲でね!タイトルも決まったの!」

果南「ふ〜ん。どんなタイトル?」

千歌「『MIRAI TICKET』!」

果南「『MIRAI TICKET』かぁ…」

千歌「自信作だよ!絶対に次に行ける!」

果南「そっか!なら、わたしも千歌の自信作に見合う振り付けしっかり考えなきゃね!」

千歌「それなら梨子ちゃんに曲のサンプルもらいに行ったらいいかも。イメージ、大事でしょ?」

果南「そだね。あとで梨子んち寄ってから帰ろっかな」

千歌「うんうん」

果南「…」

84 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:50:16.13 ID:Hp889MgaO

千歌「あー……ん?どしたの、果南ちゃん?」ピタッ

果南「う、ううん、なんでもない。頑張ろうね♪」

千歌「うん!」ニコッ

果南「…」ニコッ

 梨子にピアノコンクールを優先させた千歌。わたしたちAqoursは予選を8人で歌い、見事に地区大会に進出することが決まった。
 
 μ'sを追いかけていたわたしたち。けれど、それはμ'sの光であってわたしたちの光ではない。μ'sとは違う道を進んで、自分たちの光で輝こうと千歌を中心に、わたしたちAqoursはやっと『スタート』した。

 けれど、最近思う。ずっと千歌を見てきたからこそわかる違和感。今の千歌はすごい。わたしたちを引っ張って、自分が成し遂げたいものを必死に追いかけてる。でも、どこか焦っているような、危なっかしいような感覚に陥る。

 わたしの思い違いだよね、千歌?

85 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:51:04.99 ID:Hp889MgaO

地区大会会場

千歌「さあ、行くよ!」

千歌「1!」

曜「2!」

梨子「3!」

花丸「4!」

ルビィ「5!」

善子「6!」

ダイヤ「7!」

果南「8!」

鞠莉「9!」

Aqours「…」

『10〜!!!』
『頑張って〜!!!』

86 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:51:43.55 ID:Hp889MgaO

千歌「……今、全力で輝こう!」

千歌「『0』から『1』へ!」

千歌「Aqours…!」

Aqours「サ〜ンシャイン〜〜〜!!!」

87 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:52:20.88 ID:Hp889MgaO

ライブ終了後

曜「やりきった〜!」

ルビィ「ルビィ、ミスしなかったよ!」

ダイヤ「よしよし、えらいでちゅね〜!」ナデナデ

よしまる「シスコン…」

ダイヤ「やかましいっ!」

鞠莉「またやってるよ…」

梨子「ライブ後なのに元気だね…」

千歌「…」

88 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:53:17.03 ID:Hp889MgaO

果南「ほんとにね。千歌も終わった瞬間走り出すし…」

曜「びっくりしちゃったよ」

ルビィ「うゆ」

果南「もーう、千歌?ちゃんと汗拭かなきゃ風邪引いちゃうよ?はい、タオル!」パサッ

千歌「…」

89 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:54:04.91 ID:Hp889MgaO

果南「ちょっと、千歌?無視はどうな……の」

千歌「…」グッタリ

果南「う、嘘でしょ!?千歌?千歌っ!?」ユサユサッ

花丸「な、なんで?どうして?」

梨子「疲れてるんだよね?それだけだよね?」アセアセ

ダイヤ「今は救急車を!」

鞠莉「ちかっち、なんで…」

90 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:55:27.25 ID:Hp889MgaO

曜「美渡姉たち探してくる!確か会場にいたはずだから!善子ちゃん、手伝って、早く!」ダッ

善子「なんなのよ!なんなのよ!!」ダッ

果南「千歌!ねぇ、千歌!返事してよ!」ウルッ

ルビィ「か、果南ちゃん、落ち着いて…」

果南「だって、だってぇ……」グスッ

ルビィ「大丈夫、だから…」ギュッ

果南「ちか、ちかぁ……」

 わたしの思い違いだって。そうだって思ってたのに。その時の千歌は完全に気絶していた。まるで人形のように力はなく、わたしの力で揺れるだけ。

 もう、嫌だ。こんなの嫌だよ。千歌。疲れただけなんでしょ?疲れて寝てるだけなんでしょ?あとで膝枕でもなんでもしてあげるからさ、早く起きてよ。

 千歌っ!!!

91 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:56:15.13 ID:Hp889MgaO

 しばらくして、荒々しくドアが開かれた。

バアンッ!

6人「ッ!?」ビクッ

曜「み、美渡姉…落ち着いて……」

美渡「うるせぇ!!!」

ようよし「ひぃっ!」ビクッ

92 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:56:59.03 ID:Hp889MgaO

果南「…」ウツムキ

美渡「……千歌を放せ、果南」

果南「…」

美渡「……どけ」トンッ

果南「…」

千歌「…」

美渡「……千歌、だから言ったじゃんかぁ」ボソッ

美渡「おい、お前ら」キッ

曜「み、美渡姉…?」

美渡「千歌は……もう、返してもらう」

梨子「返すって、どういう…」

93 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:57:48.69 ID:Hp889MgaO

美渡「話はあとだ。とりあえず、病院行くから」

美渡「んしょっ…」ダキッ

美渡「……なんでこんな軽いんだよ、バカ千歌」ボソッ

ダイヤ「わ、我々も行きましょう」

鞠莉「行くわよ、果南!」

果南「…」

鞠莉「果南ッ!!」

ルビィ「鞠莉ちゃん!ルビィが連れてくから怒鳴らないであげて!」

鞠莉「る、ルビィ…」アセアセ

花丸「とにかく行かなきゃ」

曜「……千歌ちゃん」

94 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:58:28.27 ID:Hp889MgaO

病室

千歌「……はっ」パチッ

 白い天井。ライブの途中から記憶が曖昧…ってことはわたし、やっちゃったのかぁ。美渡姉、みんなに当たってないかな?一番心配してくれたのは美渡姉なんだけど、申し訳ないなぁ。

 身体、やっぱり限界だったんだな。みんなの前では誤魔化してきたけど、頭と身体は別々なんだってよくわかった。

 さすがに、もう誤魔化しはきかないよね。どうやって、みんなに伝えようかな。よーちゃん、泣いちゃうかな?梨子ちゃんもかな?みんなかな?

 果南ちゃんは……大丈夫かな?

 あの日、『特別』になってしまったわたしを。

 みんな、許してくれるかな?

95 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 18:59:18.21 ID:Hp889MgaO

美渡「今日までのことは千歌本人が決めたことだ。だから、話も千歌から聞け。そのあと、お前らがどうするかは話は別だが…」

美渡「私は、もうお前らとは関わらせたくない」キッ

8人「…」

美渡「じゃあな」

果南「…」

曜「果南ちゃん、大丈夫?」

果南「……もう、わかんない」

曜「……うん」

梨子「開けるよ?」

曜「お願い…」

96 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:00:07.11 ID:Hp889MgaO

ガララッ

千歌「あっ、みんな!」

善子「よ、良かった!無事だったのね!」

ルビィ「心配したよ〜」ウルッ

千歌「いやー、ごめんごめん」

梨子「具合は平気?」

千歌「うん、今はへーき」

鞠莉「そっか…」ホッ

97 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:00:47.23 ID:Hp889MgaO

ダイヤ「あ、あの…」

千歌「ん?ダイヤさん、どうしたの?」

ダイヤ「美渡さんが、千歌さんから話を聞けと…」

千歌「あー、話、ねぇ〜」

曜「なんか、千歌ちゃん変だよ…?」

千歌「そうかな?どうして?」

花丸「ヘラヘラしすぎというか…」

千歌「それはいつものことじゃ〜ん」

98 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:01:32.69 ID:Hp889MgaO

果南「………千歌」

千歌「………ん?」

果南「やっぱり、嘘、ついてるよね?」

千歌「…」

千歌「果南ちゃんは、やっぱりわたしのこと大好きだね」

果南「…」

99 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:02:12.75 ID:Hp889MgaO

曜「そういうのいいから、千歌ちゃ「死ぬんだ」

曜「え…?」



千歌「死ぬんだ、わたし」ニコッ



 その笑顔はとても可憐で、寂しそうで。諦めたように、悟った表情をわたしたちに向ける。

 千歌が………死ぬ?

100 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:02:59.93 ID:Hp889MgaO

善子「な、何を言ってるの、あなた…」

花丸「そ、そうずら。冗談は善子ちゃんだけでいーよ…」

千歌「あはは、参ったなー」

ダイヤ「嘘、でしょう?」

鞠莉「いつもみたいにイタズラなのよね?そうよね?」

千歌「嘘じゃないよ、ダイヤさん、鞠莉ちゃん」

101 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:03:37.97 ID:Hp889MgaO

ルビィ「そんな、そんな…」ウルウルッ

梨子「だ、だって盲腸だったって…」

曜「手術して治ったって…」

千歌「それは嘘。善子ちゃん、実はニアピンしてたんだ」

善子「えっ…」

千歌「覚えてる?善子ちゃんが言ったこと…」


善子『そうなんだ。でも、切除すると大腸がんになるリスクもあるんじゃなかったかしら?』


善子「大腸がん……」

千歌「そゆこと」

102 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:04:21.76 ID:Hp889MgaO

花丸「でも確か、今わかったなら早期発見で…」

千歌「違うんだ、もう遅いの」

千歌「病気がわかったのは、誕生日のあの日」

曜「そ、そんなのって…」ヘタリ

ダイヤ「腫瘍を取り除くことは…?」

千歌「…」ニコッ

千歌「わたし、お腹が痛いのは女の子のそれだろうって思って我慢してたんだ」

千歌「大事な時期だったし、リーダーなのにみんなの足引っ張っちゃダメだって」

千歌「あの日言われたの。別の場所にも転移が始まってるって。もう手遅れだったんだ」

鞠莉「やめて、やめてよ…」グスッ

千歌「そこで言われたの…」

103 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:04:53.73 ID:Hp889MgaO

──

─────

──────────

医師『あなたは………ガンです』

美渡『…………は?』

千歌ママ『うそ……』

千歌パパ『くっ…』

千歌『ガン……ですか』

医師『大腸がんです。この年代ではかなりレアなケースですが、間違いありません』

千歌『そうですか…』

美渡『な、なんとかなるんだろ?ガンは発見が早ければ治す ことができるんだろ?』

医師『……申し訳ありません。他の場所に転移が始まっております。おそらく発症したのは、もう少し前からかと』

美渡『そんな、そんなのって…』

104 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:06:10.85 ID:Hp889MgaO

千歌ママ『む、娘は今からどうすればいいんですか?』

医師『延命治療をするか、それとも…』

千歌パパ『延命…。娘はあとどれだけの命なのでしょうか?』

千歌ママ『あなた…!』キッ

千歌パパ『……どうなんでしょう?』

医師『来年の誕生日を迎えられるかどうか…』

千歌ママ『うぅ…』ヘタリ

千歌『来年…』

美渡『嫌だ、嫌だ嫌だっ!』ガシッ

医師『…』

千歌『美渡姉…』

105 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:06:58.57 ID:Hp889MgaO

美渡『なんで…なんでこいつなんだよ…。治せよ…。代わりにでもなんでもなるから、妹を…いもうとを……!』グスッ

医師『申し訳ありません…』

美渡『うあ、あ、あっ……。うわぁ、あっ、あああああああああああああああっ!!!』

千歌パパ『…』

千歌『……先生?』

医師『なんでしょう?』

千歌『じゃあ、なりふり構わず頑張るのもわたしの自由ってことですよね?』

医師『…』

千歌ママ『千歌、なに言ってるの?』

千歌『わたしは…今を全力で生きたい』

美渡『千歌…』

千歌『死ぬことがわかってても、わたしはやれることを最後までやり遂げたい』

千歌『Aqoursのみんなと…!』

千歌パパ『千歌…』

106 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:07:46.57 ID:Hp889MgaO

美渡『なんで、なんでそんな無茶しようとすんだよ!全力で生きるんなら、家族や友だちとゆっくり時間を過ごせよ!』

千歌『ありがと、美渡姉。こんなに優しい美渡姉いつ以来だろうね』ニコッ

美渡『くだらねえこと言うなよ!お前は苦しんででも、その道を選ぶってのかよ!ざけんな!』グスッ

千歌『苦しくて、辛いけど…わたしは、輝きたいんだよ。Aqoursと、果南ちゃんと…!』

美渡『………くっ』

千歌ママ『ちょっと、美渡?』

美渡『わたしは反対だからな』

バタンッ

107 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:08:23.00 ID:Hp889MgaO

千歌『美渡姉、ごめんね…』

医師『では、延命治療は受けない…ということですね?』

千歌『はい。どうせ死ぬならやりたいこと全部やって満足して………死にたい』

千歌ママ『………うっ』グスッ

千歌パパ『…』ダキッ

千歌ママ『なんで、なんでウチの子なの…』

医師『わかりました。あなたのご判断に従います。しかし、無理はしないでくださいね?』

千歌『あっ、ごめんなさい。無理はします』ペコッ

医師『…』

108 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:09:00.34 ID:Hp889MgaO

千歌『無理をしてでも、叶えなきゃいけないんです。でも、無茶はしません。定期的にこちらに来させてもらいますので、よろしくお願いします』

医師『……強いですね、高海さん』ニコッ

千歌『わたし一人じゃ弱かったです。でも、みんながいたからわたしは強くなれたんです。なんにもなかったわたしがこんなにも…』

千歌『だから、みんなにお返ししなきゃ…!』ニコッ

医師『応援していますよ』

千歌『ありがとうございます』ペコッ

──────────

─────

──

109 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:09:26.87 ID:Hp889MgaO

千歌『無理をしてでも、叶えなきゃいけないんです。でも、無茶はしません。定期的にこちらに来させてもらいますので、よろしくお願いします』

医師『……強いですね、高海さん』ニコッ

千歌『わたし一人じゃ弱かったです。でも、みんながいたからわたしは強くなれたんです。なんにもなかったわたしがこんなにも…』

千歌『だから、みんなにお返ししなきゃ…!』ニコッ

医師『応援していますよ』

千歌『ありがとうございます』ペコッ

──────────

─────

──

110 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:09:57.71 ID:Hp889MgaO

千歌『無理をしてでも、叶えなきゃいけないんです。でも、無茶はしません。定期的にこちらに来させてもらいますので、よろしくお願いします』

医師『……強いですね、高海さん』ニコッ

千歌『わたし一人じゃ弱かったです。でも、みんながいたからわたしは強くなれたんです。なんにもなかったわたしがこんなにも…』

千歌『だから、みんなにお返ししなきゃ…!』ニコッ

医師『応援していますよ』

千歌『ありがとうございます』ペコッ

──────────

─────

──

111 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:10:36.07 ID:Hp889MgaO
>>109はミス
112 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:11:11.95 ID:Hp889MgaO
>>110もやな、申し訳ない
113 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:12:12.83 ID:Hp889MgaO

千歌「…だから、わたしはみんなと夢を追いかけることを選んだんだ」

千歌「大好きなみんなと一緒にって…」

曜「…」ダキッ

千歌「よーちゃん…」

曜「千歌ちゃん…ちかちゃん……!」ギュー

千歌「…」ナデナデ

千歌「果南ちゃん…?」

果南「…」ウツムキ

千歌「ごめん、みんな。果南ちゃんと二人きりにさせてくれる?」

梨子「………うん」

ダイヤ「わかりましたわ…」

114 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:13:12.71 ID:Hp889MgaO

千歌「ライブ終わりで疲れただろうし、今日は帰っていいからさ。気を付けて帰ってね?」

善子「…」

花丸「善子ちゃん、行こ?」

善子「……うん」

千歌「あっ、最後にみんな!」

7人「…」

千歌「Aqoursは……続けてね」ニコッ

7人「…」


 誰も、返事が出来なかった。そういうことを自信を持って返答できるのは、千歌だけだったから。そんな千歌からの願いがわたしたちにのしかかる。

 わたしを除いたみんなはなんとも言えない空気を最後に、千歌の病室をあとにした。

115 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:13:54.59 ID:Hp889MgaO

バタンッ…

千歌「…」

果南「…」ウツムキ

千歌「果南ちゃん。ハグ、してくれる?」

果南「…」ギュー

千歌「えへへっ、安心する」

果南「…」

千歌「……みんなに意地悪言っちゃった。Aqoursを続けてね、なんて。今のわたしが言っちゃったら呪いみたいなものになるのに…」

千歌「まあ、死ぬんだから呪いってのもあながち間違いじゃないのか。あはは…」

果南「…」

千歌「…」

116 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:14:31.73 ID:Hp889MgaO

千歌「織姫と彦星のお話」

果南「…」ピクッ

千歌「再現、しちゃったね」

果南「………ばか」

千歌「やっぱり、織姫はわたしで…」

千歌「叶わない恋に焦がれて、さ」

千歌「川の向こうから、果南ちゃんを見つめることしか、できなくなっちゃう…」グスッ

果南「……ばかっ」

千歌「やっと、やっとお願い事、叶った、のに…」

千歌「引き離されちゃうなんて…やだよぉ……」

果南「ばかぁ…!」グスッ

千歌「かなんちゃあん……」

果南「ちかぁ……」

117 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 19:15:17.26 ID:Hp889MgaO


 抱き締めた身体は、今にも壊れてしまいそうで。なんで、気付かなかったんだろう。わたしの大好きな人のことなのに。

 ううん、違う。大好きだからこそ、目を反らしたんだ。千歌が苦しむのを見たくないから。

 こんなになるまで頑張った千歌に、わたしは何をしてあげればいいんだろうか。

 優しくしてあげる?

 怒ってあげる?

 一緒に泣いてあげる?

 そのどれもが、手遅れのように感じた。どうしようもないこの気持ちをわたしはどう整理すればいいかわからなかった。

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