果南「彦星が泣いた日」

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1 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:28:36.65 ID:k+nhhCuYO

 織姫と彦星のお話。

 一年に一度、天の川を隔てて出会える、想いは同じなのに一緒にはいられない二人。悲しいけどロマンチックなお話。七夕の度に夜空を見上げては何回も繰り返した。



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2 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:37:41.83 ID:Hp889MgaO

果南「千歌はさ、織姫と彦星どっちが好き?」

千歌「そりゃ〜、織姫さまでしょ」

果南「そかそか」

千歌「急にどうしたの、果南ちゃん?」

果南「別にぃ〜」

千歌「そう?」

果南「うん」

千歌「果南ちゃん、今日変だよ?挙動不審というか…」

果南「そ、そんなことないよ…//」

 そう言って果南ちゃんはバツが悪そうにそっぽを向いた。暗くてよく見えなかったけど、果南ちゃんの顔が少し赤くなっているような気がした。

3 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:38:47.75 ID:Hp889MgaO

千歌「にしても、ここで星空を見るのも何年目かな?」

 話を区切ろうと、昔の話を振る。けれど、果南ちゃんはそっぽを向いたまま黙り込んでいる。しばらくして。

果南「…」

果南「あ、あの……さ、千歌」

千歌「うん?」

果南「千歌はさ、なんで七夕のお願いをわたしと同じクラスになりたいなんて願ってたの?」

千歌「あー、あれ?そりゃ〜、果南ちゃんと一緒にいたいからだよ」

果南「一緒にいたい……か」

 わたしにとっては昔から当たり前なこと。気づけば果南ちゃんがそばにいて、ずっと、ずっと一緒にいたから。

4 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:39:37.51 ID:Hp889MgaO

千歌「まあ、それが出来ないのも最近はわかってきたけど」

果南「最近って、ふふっ」

千歌「もう!笑わないでよー!」

果南「ごめんごめん」

千歌「ふーんだっ」

 こんな会話をずっとずっとしていけたらいいなって。大袈裟な態度を取るわたしに果南ちゃんが聞いてきた。

5 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:40:26.31 ID:Hp889MgaO

果南「じゃあ、わたしの願い事知ってる?」

千歌「果南ちゃんの?」

果南「うん」

千歌「ん〜、人魚になりたい…?」

果南「千歌らしいな〜」

千歌「むっ!またバカにしたな〜?」

 いつもこれだ。うまい具合に手玉に取られるような。けど、決して嫌な気分ではない、温かくて優しい気持ち。

6 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:41:35.48 ID:Hp889MgaO

果南「…」クスッ

果南「千歌とずっと一緒にいられますように…」

千歌「へっ…?」

果南「これがわたしの願いだよ」

千歌「そ、そうなんだ。ふーん…」

果南「千歌とあんまり変わらないけどね」

千歌「な、なんでそう願ったの?」

果南「……そうだなー」

千歌「果南ちゃん?」


果南「千歌のことが、好きだからだよ」


千歌「ほぇ…?」

7 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:42:39.79 ID:Hp889MgaO

果南「いつ言おうかって、ずっと考えてた。でも、わたしは臆病だから勇気が出せなくて、こんなに遅くなっちゃった」

果南「わたしたちも、もう高三と高二。来年からはこうやって一緒に星を見られるかもわからない」

果南「だから、決めた。迷わないって。この想いがわたしの一方通行だったとしても伝え……わぶっ!?」

千歌「…」ギュー

果南「ち、千歌…?」

 何も言わずに抱きつく。果南ちゃんの言葉なんてお構い無しで強く、強く抱き締める。

8 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:43:28.39 ID:Hp889MgaO

千歌「遅すぎだよ、バカなん…!」ウルッ

果南「お待たせ…」ナデナデ

千歌「やっと天の川を越えられたのかな?」

果南「わたしが泳いだんだよ、千歌のとこまで」

千歌「なにそれ」

果南「千歌、好きだよ」

千歌「わたしも大好き、果南ちゃん」

 お互いに見つめ合いながら、わたしたちは今までの想いをぶつけるように、天の川の下で願いを込めた口づけを交わした。わたしたちが交わした、二人で一つの願い。『ずっと一緒にいられますように』と。

9 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:44:00.63 ID:Hp889MgaO

千歌「果南ちゃ〜ん!」ギュー

果南「はいはい」ニコッ

善子「…」

花丸「もぐもぐ」

善子「わからない…」

花丸「ごくんっ。何がずら〜?」

善子「あの二人よ。本当に付き合ってるのよね?」

花丸「また言ってるずら?あの時全員で見たでしょ?」

10 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:45:04.79 ID:Hp889MgaO

──

─────

──────────

千歌『果南ちゃんとお付き合いすることになりました♪』

果南『あはは…』ポリポリ

5人『ええぇーーーーー!!?』

曜『マジなの…?』

千歌『マジ…!』

ルビィ『お、おつ、おつつ、おうっ、おうっ!』アセアセ

花丸「焦りすぎてアシカさんの鳴き声みたいになってるよ、ルビィちゃん!」

鞠莉『Oh!めでた〜い!!』

果南『あ、ありがと、みんな…!』

11 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:46:09.71 ID:Hp889MgaO

ダイヤ『確かにめでたいですが…』

千歌『ダイヤさん…?』

ダイヤ『あなたたちはそれがどういうことかちゃんと分かっていますよね?』

千歌『……もちろんだよ。でも、結局はお互いがお互いを諦めないことだと思うの』

千歌『どんな困難があっても、諦めない。わたしは果南ちゃんと一緒にいることを諦めないもん』

果南『千歌…』

ダイヤ『ふふっ』

ダイヤ『心配なさそうですわね。お幸せに』

千歌『ありがと、ダイヤさん!』

12 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:47:15.67 ID:Hp889MgaO

ダイヤ『ただし!節度ある交際を!この学舎で不純異性……違った、不純同姓交遊は認めませんッ!』

果南『する気ないよ、学校じゃ…』

ダイヤ『なら、いいですが…』

曜『学校じゃあ……ね?ぷぷーっ!』クスッ

果南『こらー!//』ガシッ

曜『あだだだだっ!助けて千歌ちゃ〜ん!』

千歌「あははっ」

梨子『それにしても果南さん』

果南『梨子…?』

梨子『見てる感じ、千歌ちゃんにリードしてもらってる感じじゃないですか?』ニヤニヤ

果南『ぐっ』

梨子『いつも千歌ちゃんのお姉ちゃん的な存在の果南さんも、実際は乙女だったんですね♪』

果南『こ、こんのぉ〜』

千歌『そうなんだよー。昨日は彦星がわたしでみたいなこと言ってたのにキs…』

果南『うわぁ、うわぁー!!///』

善子『ヨハネ堕天ッ!……って、あれ?』

──────────

─────

──

13 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:48:39.25 ID:Hp889MgaO

花丸「あっ!その時、善子ちゃん遅れて来たんだった」

善子「ちょっとォ!?ていうか、私はヨハネ!」

花丸「はいはい、ヨハネヨハネ〜。あーむっ」

善子「雑ゥ!!」

花丸「んくっ。まあまあ。でも、実際あの二人は付き合ってるし」

善子「言われてもねー。ずら丸、まだのっぽパンある?」

花丸「あるよ〜。なにがいい?」

善子「甘いヤツ」

花丸「甘いのは〜、はいっ」スッ

善子「ありがと。よっ、と」パカッ

花丸「善子ちゃんはパカッて開ける派なんだ」

善子「あのギザギザで開けちゃうと、開けたとこがひらひらして邪魔じゃない?」

花丸「そうかな〜?」

14 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:49:50.19 ID:Hp889MgaO

千歌「果南ちゃん撫でて〜!」

果南「も〜う…」ナデナデ

花丸「仲良しさんずら〜」

善子「やっぱり、いつも通り過ぎて付き合ってる感じなんてしないわね。あーむっ」

花丸「でも、グイグイ行くのは千歌ちゃんらしいよ」

善子「へぇー」

花丸「果南さんは意外と乙女なんだって。デートとかで手を繋ぐと真っ赤になっちゃうんだって」

善子「見てみたいわね。そんな果南…」

善子「…って、なんでそんなこと知ってんのよ!」

花丸「ちかひゃんがいっへはずら〜」モグモグ

善子「のろけまくりのリア充めぇ〜!」

善子「てかっ、ちゃんと食べてから喋りなさい!」

花丸「ごくんっ。善子ちゃんって、やっぱり真面目だよね…」

善子「お寺の子が何言ってるのよ……あと、ヨハネ!」

15 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:50:51.91 ID:Hp889MgaO

果南「二人でなんの話してたの?」

千歌「ふにゃ〜」

善子「まるで猫ね」

花丸「二人が本当に付き合ってるのかって、善子ちゃんが言い出すからマルが説明してあげてたずら」

千歌「むっ!失敬な!わたしと果南ちゃんはラブラブだよ!」

果南「ラブラブって。あはは…」

善子「なんて言うかやっぱり、私にはいつものじゃれ合いをしてるようにしか見えないっていうか…」

善子「あっ!別にバカにしてるとかじゃないのよ!」

果南「ありがと。やっぱり善子は良い子だね」ナデナデ

善子「バっ、撫でるな!//」

花丸「照れてるずら、照れてるずら〜」

16 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:51:44.88 ID:Hp889MgaO

果南「あはは〜……ぐへっ!?」

千歌「むぅ…」グイーッ

果南「ち、千歌?ネクタイを引っ張るのはやめてほしいかなって思うんだけども…」

千歌「果南ちゃん、こっち向いて」

果南「だから、ネクタイから手を……んっ!!?//」

善子「へっ!?/////」カァァ

花丸「おーーーっ!」

千歌「……ぷはっ」

17 : ◆6/2mKHzyrM :2018/07/07(土) 17:52:35.95 ID:Hp889MgaO

千歌「ほら、わたしたち付き合ってる」ニコッ

かなよし「あわあわわ…///」パクパク

花丸「大胆ずら〜」

かなよし「いきなりキスするなーーーっ!!!///」

千歌「あのね?果南ちゃんのキスの味は…」

花丸「ふむふむ!」

果南「ば、バカ千歌ー!!!///」カァァ

善子「堕天してる……//」

 どうしようもないくらい果南ちゃんが愛しくて。毎日が楽しくて。Aqoursのメンバーともラブライブに向けて努力して。一日一日があっという間に過ぎていった。

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