のぞえり百合ss

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135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:55:32.00 ID:ruQhEjSM0
あと十分で家を出ないといけない。

選んだ服は三パターン。

スカートは決まっている。ちょっと短いやつ。

靴とストッキング。髪留め。つけて行くアクセも決めている。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:56:00.93 ID:ruQhEjSM0
上に何を着るかが決まっていない。

春だから明るめにしようかな。でも派手すぎない組み合わせ。

そうこうしていて鏡とクローゼットの前を行き来すること四十分。

決められない。

思わずベットにダイブ。

「えりち〜。助けて〜。」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:56:36.40 ID:ruQhEjSM0
携帯のアラームがなる。家を出る時間。

よし。これで行こう。気張らない。無理しない。

お気に入りの組み合わせ。

急いで着替える。脱いだ服はそのままに。

持って行くものは昨日作って置いた。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:57:06.39 ID:ruQhEjSM0
十五分早めに家を出るつもりだったけど、ギリギリ。

遅刻したらなんて言い訳しよう。

服も特別おしゃれなわけでもない。

えりちにしか見せんからいいかと思って。

心の中でファッションに対する言い訳もする。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:57:36.28 ID:ruQhEjSM0
きっとこのセリフを言うことはない。

あの人「可愛いわね」と「似合ってるわ」しか言わないから。

言ってきまーす。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:58:09.57 ID:ruQhEjSM0
終わり
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 22:03:40.58 ID:sdiiT50NO
良いものを早いペースで投下しまくっててしゅごい
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 22:44:31.89 ID:ruQhEjSM0
最後誤字しました。台無しになっててごめんなさい。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 00:42:46.66 ID:g7AUCTxP0
まあそんなものはそれまでの出来に比べたら些細なことだ
と言ってもあんたは気にするだろうから次気を付けりゃええわ
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 01:32:02.24 ID:6EvA2SK90
終わりか、
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 05:18:42.21 ID:eae5memTO
地の文メインでこれだけ引き込まれるのはすごい
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 14:28:40.59 ID:jvkrm/x1O
言ってきますでも間違ってないんじゃないかってぐらいいい…
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 21:37:31.73 ID:KjNw33A50
『覗き見』
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:38:01.33 ID:KjNw33A50
何やら真剣にスマホを見ながら打ち込むJK。

せっかくウチと一緒なんだからなんか喋らないのかなぁ。

カッカッカッカ。ブーブー。

煩わしい。マナーモードにして。
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:38:30.14 ID:KjNw33A50
相手は誰かな。彼氏だったら嫌だな。

恋人でなくとも、二人の時間が誰かに取られるのは嫌。

たとえLINEの相手が彼女の友人でも嫉妬する。

ここにいないのにウチから彼女を取らないで。
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:38:58.08 ID:KjNw33A50
「なぁ、えりち何しとんの?」

「LINE。」

見ればわかるわ。ポンコツ野郎。

スマホを取り上げてやりたいけれど、怒られそうだからやらない。

ひま。スマホに焼き餅妬くなんて。

愛しののんたんが寂しそうやん。構ってよ。
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:39:26.09 ID:KjNw33A50
彼女の顔に微笑が浮かぶ。

「何笑ってるん?」

「ん〜。ちょっとね。」

何がちょっとなのか。こっちに全然集中してくれないし。

覗いちゃおうかな。いやーでも良心が痛むなぁ。
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:40:04.68 ID:KjNw33A50
ちらりと見るだけ。文は読まない。

アイコンも小さくて見えないから。

少し無理な体勢をして画面を盗み見る。

ポンコツは気づかない。

一行の会話。たまに長文。スタンプなし。人らしきアイコン。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:41:04.89 ID:KjNw33A50
随分と盛り上がっているようで。

ウチとのLINEだと、もっとわけのわからんロシアンスタンプ使うくせに。

やっぱり見なければよかった。

惨めになるだけだ。
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:41:36.37 ID:KjNw33A50
あとどのくらいかかるのかな。

勝手に帰ったら、なんで何も言わずに帰っちゃったのよって言われる。

あなたのこんな姿が見たくないからだよ。

出かける約束とかを取り付けていたらどうしよう。

とられたくないなぁ。
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:42:04.44 ID:KjNw33A50
時間潰そ。タロットカードを取り出す。

占うか。

やっぱりやめておこう。
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:42:32.22 ID:KjNw33A50
終わり
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 04:31:43.48 ID:UFU+0qv/O
のぞみんかーわーいーいー
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 04:57:10.08 ID:l/tEEHosO
乙女のんたんも良い
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 23:21:08.66 ID:ZDottIZQ0
『傘』
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:22:00.06 ID:ZDottIZQ0
一度浸水した革靴は乾きにくい。

靴底に手を触れて確かめる。濡れてるわ。

替えはないのでそのまま足を入れる。

傘は持ってきてない。学校のを借りるのも面倒だ。

希の傘に入れてくれるよう頼んでおいた。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:22:35.86 ID:ZDottIZQ0
そのまま彼女の家に泊まり込もうと思っているが、まだ伝えていない。

「希。傘持つわよ。」

「ありがと。」

靴を履くのに邪魔だろうから持ってあげる。

希と歩くときは車道側。エスカレーターでは前に立つ。

男性のマナーらしいけれど、女の子が喜ぶなら私もやるわ。
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:23:12.07 ID:ZDottIZQ0
彼女が靴を履き替えるのを少し待ってから二人で歩き出す。

傘は私が持ったまま、それをさして希を招き入れる。

少女がはにかみながら入ってくる。

彼女はカバンを前に抱えて濡れないようにする。

私の下で小さくなるその姿はとても可愛らしい。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:23:39.21 ID:ZDottIZQ0
彼女が靴を履き替えるのを少し待ってから二人で歩き出す。

傘は私が持ったまま、それをさして希を招き入れる。

少女がはにかみながら入ってくる。

彼女はカバンを前に抱えて濡れないようにする。

私の下で小さくなるその姿はとても可愛らしい。
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:24:17.17 ID:ZDottIZQ0
彼女の傘なのに持ち主が濡れてしまっては申し訳ない。

自分の左半身が濡れる。

しかし、これは彼女の家でシャワーを借りる口実なのだ。

「えりち濡れてるやん。」

「傘を借りているんだから、これくらいさせて。」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:24:45.59 ID:ZDottIZQ0
彼女は少し困った顔。

いいのよ、好きにさせてくれれば。

二人で雨の中を歩く。たまにある水溜りを避けて進む。
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:26:32.10 ID:ZDottIZQ0
ふと手に温かいぬくもり。

見れば、傘を持つ手に重なる希の手。

振り払うわけにもいかず、じんわりとした温もりを感じる。

傘を握る力が強くなる。

「手。かなり冷たくなってる。傘持つの変わろうか?」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:27:30.98 ID:ZDottIZQ0
悪いけど、一度やり始めたら最後までやり抜く主義なのよ。

それにどうやら体もあったかくなってきたみたい。

あなたの家に着くまでこのままでいいわ。

そろそろ言わなきゃね。

「お願いがあるんだけど。」

「ん?」

「希の家でシャワー借りていいかしら?」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:28:12.85 ID:ZDottIZQ0
終わり
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:28:53.26 ID:ZDottIZQ0
連投はミスだから意味はないです
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 01:22:52.44 ID:xdaN/Ynj0
大丈夫ちゃんと察しているから
GOODだぞ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 11:12:46.78 ID:W45eJ6oBO
この後どうなったか
妄想が捗る
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 13:00:51.97 ID:aS5AcdE80
『休憩時間』
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 13:01:30.03 ID:aS5AcdE80
「はーい。十分休憩。水分補給忘れないでね。あと体を冷やしちゃダメよ。」

キリのいいところで体を休める。みんなうだうだ言いながらもいい顔してる。

肩で大きく息をしながらスポーツドリンクに手を伸ばす。

濡れた体が努力を証明してくれる。達成感が気持ちいい。

口いっぱいにドリンクを貯めて飲み込む。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:02:05.18 ID:aS5AcdE80
一直線にこちらに向かってくる人影。

隣に体を投げ出し、座り込む彼女。

息も絶え絶えで苦しそう。

喋るのも辛そうだから声はかけない。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:02:46.43 ID:aS5AcdE80
余裕のない呼吸。はぁはぁと熱っぽい吐息にどきりとする。

汗で張り付いた髪。しっとりとした腕。

彼女の体温が汗の気化した湿気とともに伝わってくる。

彼女の生気を強く感じながら、その生き生きとした美に酔う。

タオルで自分の汗を拭く。
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:03:26.32 ID:aS5AcdE80
スポーツドリンクを彼女のひたいにあてがう。

何も言わないが、翡翠の目が感謝を伝えてくれる。

彼女も自前のドリンクを手に持つ。

その気だるげな動きが色っぽい。

ドリンクを飲み、大きく一息。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:04:44.42 ID:aS5AcdE80
遅れてありがとうの言葉。

彼女はタオルを取り出して、顔、首、わき、胸、腹を拭く。

タオルが彼女の体を撫でるのをじっと見る。

疲れのせいで遠慮を忘れていた。
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:05:19.36 ID:aS5AcdE80
「そんなにじろじろ見ないで。なんだか恥ずかしいやん。」

弾かれたようにドリンクを飲む。

「別に減るもんじゃないでしょ。それに希っていい体してるから、見てたっていいじゃない。」

軽口叩いてごまかす。堂々と言ってしまえば怪しまれないものだ。

ほら、本人も照れはいるけれどまんざらでもなさそう。
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:05:59.12 ID:aS5AcdE80
と思ったらタオルを投げつけてきた。

顔でしっかりキャッチ。痛くはないけど心臓に悪いのよね。

「すけべ会長。」

ニコニコしながら彼女が立ち上がる。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:06:42.27 ID:aS5AcdE80
背を向けられたのをいいことにタオルの匂いをちょっとかぐ。

湿っているだけね。

あと少ししたら私も行こう。
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:07:21.29 ID:aS5AcdE80
すぐそこで放心状態のにこにタオルを投げる。

びくっとなる小さな体。ちょっと悪いことしたわね。

でも、友達のタオルを大事そうにずっと握っていたら不審じゃない?

仕方のないことなのよ。

「さぁそろそろ再開しましょうか!」

各々が元気な声をあげる。
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:08:09.06 ID:aS5AcdE80
終わり
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 15:20:33.90 ID:Va4zNde4O
周りからみたらバレバレだけど本人たちは気づいてないやつ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 15:24:24.88 ID:xdaN/Ynj0
いいね

のぞえりSSだけど他者視点があっても良いんじゃないか
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 22:59:50.77 ID:aS5AcdE80
『結ばれた口』
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:00:31.77 ID:aS5AcdE80
最近、絵里から希へのスキンシップが減った気がする。

気づいたのかな。あいつがビアンだってこと。

何があったか知らないけれど、変化があったのは間違いない。

別に気まずくなったり、避けるようになったわけでもない。

スキンシップが減っただけ。

それだけだけれど、察しがつく。
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:01:03.12 ID:aS5AcdE80
確かにあいつの視線やボディタッチには時折疑問に思うことがあるけど。

でもみんな確信を持っているわけでもないし、まして友人に対して同性愛者なのかなんて聞けるわけがない。

幸いにもあいつの視線は絵里に向かっていることが多い。

だからみんなその違和感も個性だと割り切っている。
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:01:32.06 ID:aS5AcdE80
それを誰かが不快そうにしていたこともない。

ただ、自分には関係ないとは言わないまでも、二人の間で完結していてほしいと思っている。

誰も口には出さない。そんな関係。
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:01:59.14 ID:aS5AcdE80
「えりち〜。膝枕して〜。」

「いいわよ。どうぞ。」

あいつのお願いも素直に聞く。

そこに戸惑いは見られない。

春の日差しの中、絵になる二人。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:02:26.46 ID:aS5AcdE80
彼女の性的指向を忘れてしまう。きっとそれがいいことなのに。

「まぶしい。」

「はいはい。」

絵里が希の目の上に手を置く。

息もピッタリ。私にはああいうことあまりないわね。ちょっぴり羨ましい。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:03:01.43 ID:aS5AcdE80
リラックスした空気を邪魔できず、雑誌をひたすらに眺める。

ちらりと彼女たちを伺う。

窓の外に視線を送る絵里。

じっと動かない希。

美しく儚い彼女たちだけど、どことなく悲しい気持ちになる。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:03:29.67 ID:aS5AcdE80
親友なのに、誰よりも近くにいるのに、決して心を開くことはないのだろう。

互いに卒業まであと少しの間、寄り添っているのだろう。

あいつはいつか打ち明けるのかな。

私に何ができるのかな。
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:04:01.73 ID:aS5AcdE80
絵里の手が微動する。

彼女は外に視線を向けたままだ。

無表情のまま。

絵里の手の隙間から一筋の雫が零れ落ちる。

希の口がぎゅっと結ばれる。

いたたまれなくなった。

少しの間、席を外そう。
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:04:38.16 ID:aS5AcdE80
終わり
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 03:59:37.20 ID:Gh0yDAj3O
主観よりも更に切ない…
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 12:19:21.58 ID:k6YPvAkV0
神スレを見つけてしまった
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 13:50:42.18 ID:wSQe4NMBO
他者視点でも〜なんて言っておいてなんだがつらい
それがいいんだけど
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 21:49:14.01 ID:LMw5R4Ii0
『信号』
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:49:50.17 ID:LMw5R4Ii0
通学路には信号機がある。一分にも満たない待ち時間の。

ホームルームの前になると生徒たちの列ができるようになる。

模範的な生徒会委員としては余裕を持った時間で登校するけど。

ウチの歩く少し前方にスタイルのいい金髪。

声をかけるのにはためらわれる距離感。
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:50:27.06 ID:LMw5R4Ii0
彼女はよく挨拶をし、また同様にされる。

生徒会長として顔が知られており、さらには母校のスターなのだから当然だ。

一緒にいると黄色い声を聞くことも少なくない。
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:50:54.63 ID:LMw5R4Ii0
生徒会長、おはようございます。

絢瀬先輩、おはようございます!

ええ、おはよう。

と、ここからでも多少聞こえる。
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:51:24.50 ID:LMw5R4Ii0
彼女が渡る信号機が黄色くなる。

小走りの生徒が彼女に駆け寄りながら挨拶をする。

彼女は振り向きざまに返事をする。

あ、目があった。

一瞬かたまると、笑顔でこちらに小さく手を振る。
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:51:59.59 ID:LMw5R4Ii0
信号は赤になっている。

ウチも無視するわけにもいかないし、腰のところで手を振る。

声には出さずに口で「おはよう」。

彼女は何を思ったのか信号の向こう側で立ち止まる。

ウチにかまわず行けばいいのに。
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:52:34.89 ID:LMw5R4Ii0
道の端で待っている。

嬉しそうにこっちを見ていたけれど、ウチ以外の生徒の目に気づくと視線を逸らした。

こちらで数人信号待ち、向こうには一人。

ウチに挨拶してくれる子もいる。
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:53:07.09 ID:LMw5R4Ii0
それも嬉しい。だけどそれ以上に気になる声がする。

ウチの後ろでひそひそと話声が聞こえる。

もー。めっちゃ恥ずかしいわ。

信号待ちの人数が増える。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:53:38.62 ID:LMw5R4Ii0
えりちもソワソワと落ち着きがない。

若干赤くなっている。

今更ウチを置いて歩き出せないのだろう。

早く青になれ!お願いします!

念じた途端に青になる。
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:54:07.16 ID:LMw5R4Ii0
急ぎ足で近寄る。彼女もホッとした表情だ。

「何やってるん。」

「もうやらないわ。」

二人していつもより早足で道を歩く。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:55:24.50 ID:LMw5R4Ii0
終わり
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:59:48.94 ID:LMw5R4Ii0
他者視点の形も面白かったのでまたいつかやりたいと思います
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 22:38:45.10 ID:AWDDNRR5O
(ほら、生徒会長と副会長)

(道路を隔てて見つめ合ってたわよね?)

(朝から花園頂きました〜)
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 01:42:12.11 ID:uYLh2NXe0
『背中の文字』
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:42:50.21 ID:uYLh2NXe0
次の授業は小テストがある。

最後の詰め込み。ブツブツ唱える。

背中を指でなぞられる感触。
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:43:17.61 ID:uYLh2NXe0
「え」

すでに誰の仕業で何を書くのかもわかる。

こういうイタズラをされるのも悪くない。

けれども残念なことにテスト勉強中なのよね。

反応はしてあげられないわ。
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:43:45.90 ID:uYLh2NXe0
「り」

きっと私の背後で彼女が頬杖をつき、暇を持て余しているのだろう。

眠そうに目を開けて、徒然に指を走らす。

チャイムが鳴ればすごすごと自分の席に戻るのだろう。

振り向いてやりたい気もする。彼女が最後の一文字を書き終えたら。
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:44:12.25 ID:uYLh2NXe0
「ち」

制服に引っかからないように優しいタッチで描かれる。

二人きりだったら変な気分になってたかもしれないわ。

いや、ならないか。

読んでいない教科書を見つめる。
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:44:37.68 ID:uYLh2NXe0
ブラのホックがつままれる。

引っ張っては離されて背中に当たる。

制服にシワがついたら恥ずかしいわね。

希の爪もたまに肌に食い込んで痛いし。

抗議のつもりで背中を揺らす。
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:45:09.34 ID:uYLh2NXe0
「す」

ちょっとするとまた新たな文字が描かれる。

乙女心に予想する。

他に書くことがなかっただけかもしれないけど。

彼女が頬を染めながら書いているとは思えない。
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:45:37.66 ID:uYLh2NXe0
「き」

画数が多いわね。

教科書を睨みながら表情は崩さない。

でも、嬉しいことは否定しない。

振り返ったらニヤケ顔になるに違いない。
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:46:03.38 ID:uYLh2NXe0
「♡」

背中の文字も一種のラブレターと考えれば可愛いものね。

今度誰かにやろうかしら。

なんとも思っていないわよ、との意味を込めて音読の声を大きくする。

あの子かまってちゃんだから、悔しがるわね。
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:46:30.65 ID:uYLh2NXe0
突然、胸が鷲掴みにされる。

反射的に背筋が伸びる。

体をひねる。

突っ伏した希の頭にチョップを入れた。
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:47:19.55 ID:uYLh2NXe0
終わり
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 04:40:03.20 ID:HMXG0771O
これが百合の迷路かぁ
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 07:58:57.70 ID:Um9afLqA0
やっぱいちゃいちゃ路線をこう、交えてくれると幸せですね、ええ
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 23:59:03.43 ID:aw7cWfZ2o
イチャイチャすきぃ・・・
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 00:43:46.56 ID:1tULC7NO0
『アイス』
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:44:34.78 ID:1tULC7NO0
駅のそばにある某アイスクリーム屋にて。

スモールのダブルをコーンで注文。

ウチは新作のやつ。えりちはチョコとキャラメルリボン。

店の奥で秘密の密会。
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:45:21.34 ID:1tULC7NO0
席に着くとまず、相手が何味を頼んだのかを聞く。

「美味しそうね。」

テキトーな感想を言いながら、自分の方が美味しいと確信したドヤ顔。

冒険心を忘れちゃあかんよ。えりちいっつもそれやん。

ウチの怪しげな紫色は見た目から気合が入っているのだ。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:45:47.27 ID:1tULC7NO0
えりちが上の方から一口。

こちらを見ながらうんうん頷く。

一口が大きいなぁ。

ウチはせっかくなので定員さんがつけてくれたスプーンでいただく。

最初は硬くてすくいづらい。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:46:25.64 ID:1tULC7NO0
「えりちの味見させて。」

はいと出されたアイスをカプリ。

今更新しいコメントも出ない。

「希のも頂戴。」

スプーンであげると少ないだろうから直接かじってもらう。

歯型がついた。容赦ないなぁ。
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:47:02.99 ID:1tULC7NO0
互いの感想を言いながら自分のアイスを頬張る。

彼女はもう二個目に突入。

えりち、鼻の頭にアイスついてる。

さっと拭い去るところをウチは見ていた。
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:47:29.05 ID:1tULC7NO0
溶けたアイスが垂れてくる。

仕方ないから舐め取る。

その間にも反対側から垂れてくる。

この格闘がささやかな楽しみ。
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:48:06.19 ID:1tULC7NO0
うちもやっと二つ目に突入。スプーンは余計だからやめた。

えりちはコーンを大切そうに食べている。

もうアイスないやん。

ウチは唇を押し付け、溶けたアイスを舐める。

これは溶けていくアイスを上手く食べる技なのだ。

でもえりちと一緒の時にしかやらない。行儀悪い気がするから。
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:48:53.51 ID:1tULC7NO0
食べ終わった彼女はウチのアイスを見つめている。

ゆっくりと味わうメリットはここにある。

見せつけるように、わざとらしくぺろぺろ舐める。

彼女の羨ましそうな顔!と思ったらそうでもない。

だが、溶けたアイスはコーンと一緒に食べられて美味しい。

その点えりちはまだまだ甘いやん。
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:49:37.79 ID:1tULC7NO0
手についたベトベトをさっと舐める。これが難点。

ちゅっと音が出る。見られた。

手を舐めるところを目撃される。

「手、洗ってくるから荷物見てて。」

普段はこんなことしないんよ。言い訳するのも見苦しいのでトイレに逃亡。
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