のぞえり百合ss

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35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 23:26:35.55 ID:C1VvbYQo0
「希、そのイチゴジュース一口ちょうだい。」

「ええよ。」

頭の中は間接キスのことでいっぱいだけど、得意のポーカーフェイスで隠す。

イチゴジュースのパックを受け取る。

えい、と心の中でつぶやき口にストローを入れる。
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:27:09.42 ID:C1VvbYQo0
甘すぎる液体を吸いながら、視線は桜から離さない。

少しの癖とやましい気持ちでストローをチロチロ舐める。

何食わぬ顔でありがとう。無事にジュースを返す。

今日は一段と会話が少ない。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:27:42.78 ID:C1VvbYQo0
公園で花見をしながら、落ち着いた時間を過ごす。

もうすぐ散ってしまうとニュースで言っていたから、私が連れ出したのだ。

結婚したら今みたいにお花見をしたいな、なんて。

女子高生の方がよっぽど風流がわかっているわね。

お酒を飲むためだけに来ている大人たちを見ながら思う。
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:28:23.25 ID:C1VvbYQo0
風が吹き抜け、花びらが舞う。花吹雪が綺麗ね。

横に目をやると、隣に座る女の子は和の国の女神のよう。

やっぱり桜なんて見ている場合じゃないわ。

桜を着飾ったあなたは何より綺麗。

目に焼き付けながら、希の頭に手を伸ばす。
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:28:57.40 ID:C1VvbYQo0
「花びらついてるから、とってあげる。」

あなたが欲しくて手を伸ばしたのだけれど、難しいからこれで妥協。

一枚一枚ゆっくりと取る。そうすれば、長くあなたを見つめていられるから。

その間にもまた桜がつくから、何やってるのって感じだけれど。

希も気づいているのかわからないけど、なされるがままってことは嫌ではないのよね。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:29:40.60 ID:C1VvbYQo0


私たちってはたから見れば、同性のカップルに見えるかしら。

別にいいわ。春の陽気に当てられたのよ。考えるのはやめましょう。

「あの子供達、めっちゃ走っとるなぁ。」

希がとても優しい目をしていた。

向こうでは子供達が必死に走って遊んでいる。
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:30:10.08 ID:C1VvbYQo0
もし付き合うことになったとしても、私たちには子供はできない。

あなたとの子ども、いたら幸せだと思うわ。

とっても。

肌寒くなって来たのを実感した。

まだ四月上旬だしね。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:30:38.79 ID:C1VvbYQo0
ベンチに置いてある彼女の手を見る。

手、繋ぎたいわ。友達なら手を繋ぐのはよくあること。

だけど、いざやろうとすると勇気がいる。

いや、やるのよ。

手汗も大丈夫。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:31:16.35 ID:C1VvbYQo0
「えりち?」

「ちょっと冷えちゃったのよ。あと春のせい。」

ふふんと笑う彼女をぼんやりと見つめる。

胸が苦しくなる。

私、恋しているみたい。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:31:55.99 ID:C1VvbYQo0
終わり
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 00:29:31.58 ID:3TbomAc7O
あなたが神か
この距離感たまらねぇ
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 00:59:36.34 ID:d2ED702do
ここが新たな生きる希望か・・・
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 13:08:24.73 ID:T8bVDrVy0
『告白』
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:09:14.63 ID:T8bVDrVy0
今日のえりちは落ち着きがない。

何をするにも行動が早くて、ちょくちょく息を飲んでいる。

後、目を合わせてこない。いつもだったら熱っぽい視線をこれでもかと浴びせて来るのに。

今日は希と大事な話があるとか言って、みんなを帰らせた。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:09:48.92 ID:T8bVDrVy0
告白されるんだろうな。

えりち、ウチのこと好きっぽいし。

友達というには度がすぎるスキンシップでわかっていた。

あんなにされて気づかないほどバカではない。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:10:15.02 ID:T8bVDrVy0
告白への答えは決まっている。

ごめんなさいだ。

ウチもこの娘を支えてあげたい。

だけど、そんな関係には慣れないよ。

この友情が愛情に変わることはないよ。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:10:45.59 ID:T8bVDrVy0
ごめんね。ウチが弱いからここまでさせてしまった。

友人だったら、きっぱり諦めさせるべきだったのに。

そうすれば、余計な気を使わせることもなかっただろう。

ウチにとっては初めて築けた固い絆。

それを壊してしまうのではないかと思うと怖くて、言い出せなかった。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:11:12.15 ID:T8bVDrVy0
その結果として、あなたに期待をさせてしまった。

執着されるのは心地よかった。

大切にされて、愛情を受けるのは幸せだった。

何年も欲しかったものだから。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:11:56.91 ID:T8bVDrVy0
だけど、このままではいけない。

あなたのために。そして自分のために。卑怯になる、勇気を出す。

あなたの気持ちを知っていながら。

あなたを利用するだけして捨て去る。

私は非道の行いをする。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:12:24.87 ID:T8bVDrVy0
どうか許さないで。

憎んで憎んで、そして、できたら忘れてください。

あなたは素敵な人です。

くるりとあなたがこちらを向く。

覚悟を決めた表情だ。

「ねぇ、希。」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:12:52.39 ID:T8bVDrVy0
終わり
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 17:21:43.65 ID:RwNEV38PO
辛い…
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 20:05:14.42 ID:T8bVDrVy0
『帰り道』
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:05:54.56 ID:T8bVDrVy0
帰り道。

ポンコツはにこっちに感化されてスクールアイドルの話をしている。

なんでえりちが自慢げなの。

「いや、ウチそんな話されても知らんし」

拗ねる。つまんない話しないで。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:06:24.00 ID:T8bVDrVy0
話題がにこっちに移る。

にこにこうるさい。そんなに好きか。

このポンコツ。もっとウチのこと見てよ。

「何拗ねてるの?あ、昨日にこがね。これ面白いから希も気にいるわ。にこがアルパカでナポレオンしたの!!」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:07:32.70 ID:T8bVDrVy0
他人のことそんな夢中でウチに話さないで。

早く帰りたい。

そんな嬉しそうにしないで。笑顔にならないで。

口を開かないで。えりちかおうち帰れ。

ウチ以外と一緒に帰らないで。ウチ以外と楽しそうにしないで。

他の人の名前出さないで。ウチしか見ないで。

ウチのこと好きになって。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:08:06.16 ID:T8bVDrVy0
あれ。ウチって意外と重いな。

というかえりちのこと好きなのかな。

学校に通うのはえりちに会いたいから、生活の中心は結構えりち。

これってもしかするのかな。

まさかね、ウチに限って。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:08:36.80 ID:T8bVDrVy0
ああ、もう。にこっちのことはわかったから。

足を止める。

えりちが数歩前を歩く。

確かめよう。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:09:09.86 ID:T8bVDrVy0
「わしわしMAX!!」

「ちょおおおぉぉ!」

えりちの背中に顔を埋める。がっちり胸を掴んで離さない。

あかん。ウチの心臓、壊れてる。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:09:36.99 ID:T8bVDrVy0
えりちがプンスカ何か言っているが、聞こえてこない。

あかんなぁ。あかんわ。

これが恋かぁ。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:10:09.70 ID:T8bVDrVy0
終わり
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:12:29.98 ID:Ja0bhOstO
乙女やんね
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 23:49:13.54 ID:T8bVDrVy0
『洗面室』
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:49:49.38 ID:T8bVDrVy0
希は洗面室で服を脱いでいる。

お風呂は先にいただいたから、私はおとなしく待っている。

亜里沙に今日は止まっていくと連絡したら、希のところだとすぐ見抜かれた。

そんなに頻繁に来ているかしら。

希がお風呂場に入った音がする。リビングにいると聞こえるのよね。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:50:18.24 ID:T8bVDrVy0
洗面室に向かい、そこにある洗面台で化粧を落とす。

音を聞くために。

メイク落としを顔に広げてなじませる。

シャワーの音が絶え間なく続く。希は頭から洗う派なのだ。

リンスも流して、希がタオルを泡だてている隙に洗顔を終える。

スッピンを見せるのは若干の抵抗があるけれど、洗面室にとどまるためには仕方がない。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:50:43.64 ID:T8bVDrVy0
自分の歯ブラシを取り出して、歯磨き粉を探す。

わずかにタオルが擦れる音が聞こえる。

「希〜。歯磨き粉がもうないんだけど〜。」

そこにいる希の声が聞きたくて、わざわざここで文句を言う。

今、向こうでは裸の彼女が自分の体を擦っている。

そう考えると官能的だった。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:51:14.12 ID:T8bVDrVy0
「え〜。後で買いに行くから、頑張って絞り出して。」

言われることはわかっていたのですでに歯磨き粉を絞ってある。

シャコシャコと鳴らせながら洗濯カゴを見つめる。

さすがにまずいのではないか。

バレたらここには来れなくなってしまう。

まずいでしょうよ。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:51:40.15 ID:T8bVDrVy0
でも本当はもう決めている。視界に入った時に。

希が湯船に入るのがわかった。気の抜けた声も聞こえてくる。

口をゆすぐ。

洗濯カゴに引っかかっているパンティーを持ち上げる。

希の歌が聞こえる。機嫌がいいのね。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:52:08.62 ID:T8bVDrVy0
鼓動が早くなる。

だめよ。それはいけない。

息が荒くなる。フー、フー、フー、フー。

これはダメ。信頼を裏切ることになる。

じっと動けなくなる。

頭の中では同じことが回り続ける。

一度すれば何度もしたくなる。フーフーフーフー。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:52:35.53 ID:T8bVDrVy0
「えりち〜。歯磨き粉のついでにさ〜、アイスも買いたいな〜。」

とっさに、俊敏にパンティーを元の場所に戻す。

危ないところだった。

「いいわよ。」

名残惜しい。あんなに耐えたのに、何も残らない。

手の匂いを嗅ぐ。無臭ね。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:53:02.96 ID:T8bVDrVy0
罪悪感がこみ上げて来て洗面室を出る。

瞬きをしなかったのか目がしょぼしょぼする。

どんだけ興奮してたのよ。はぁ。

もうここには来ないようにしようかしら。

どうせ来ちゃうのでしょうけど。

早くアイス食べたいわ。

あ、歯を磨いた後だった。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:53:46.55 ID:T8bVDrVy0
深夜だから、ごめんなさい。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 13:11:13.94 ID:/jgvK4fG0
『チョコレイト』
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:11:37.17 ID:baQvRpkPO
悪くない
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:11:48.54 ID:/jgvK4fG0
食べさせてあげると、ンフーと満足げにする。

あざといなぁ。めちゃくちゃ可愛いわ。妹ができたみたい。

構ってやりたくなるから頬をムニムニと押す。

目を細めてされるがままのこの子は甘え方がわかってるんやね。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:12:40.59 ID:/jgvK4fG0
「もう一ついる?」

「やぶさかでもないわ。」

偉ぶって、生意気なこと言うのも年下のようで可愛らしい。

ヒナのように口を開けて待機している。美人さんが台無しやん。

「のほひ。ははく。」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:13:07.12 ID:/jgvK4fG0
ウチの千円をなんだと思っているんだ。

もうちょっと感謝してもいいんじゃない?

態度への不満と、チョコへの嫉妬で鼻を摘まみ上げる。

鼻高いなぁ。羨ましい。

「ん!何すんのよ。」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:13:38.46 ID:/jgvK4fG0
上機嫌だったのが一転。

期待していたチョコの代わりに不快な攻撃がやって来たので語気が荒くなる。

そんなに怒んなくてもええやん。

まだまだお子さんやんね。

折れてあげよ。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:14:08.37 ID:/jgvK4fG0
「ごめんな。ちょっと魔が差してん。うちのぶんも一個あげるから。」

えりちの視点がすっとチョコの箱に注がれる。

何もらうか決めてるんだな。

その必死さとやらしさに愛情がこみ上げる。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:14:38.57 ID:/jgvK4fG0
「そう。なら、これにするわ。もう決めたからね。」

ニヤニヤと待っているのは食べさせてほしいからなんだろうか。

仕方ないのでえりちの口元へ運んであげる。

と見せかけて、自分の口をわざとらしく開ける。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:15:09.79 ID:/jgvK4fG0
「あー!」

彼女が素っ頓狂な声を張り上げる。

何も考えてないんだろうね。知性が感じられない。

なんでも人任せにしたらあかんよ。

ひょいとチョコを与える。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:15:42.87 ID:/jgvK4fG0
んもー。希は信用ならない。とかなんとか抜かしながら自分のチョコを守ろうとする。

ウチもそこまでがめつかないわ。

次から次へとチョコを口へ運ぶ。

もはやチョコの味よりも食べることが目的と化しているんじゃないか。

時たまこちらの顔色を伺っては口角を上げている。

そこまでされると、買って来た甲斐があるなぁ。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:16:13.71 ID:/jgvK4fG0
いつのまにか最後の一つ。ばつの悪そうな顔で言う。

「ごめんなさいね。食べ過ぎちゃったかもしれないわ。」

わかっていたけどね。

しょうがないなといった態度でウチも一言。

「えりちが食べさせて。そうしたら許すわ。」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:16:39.89 ID:/jgvK4fG0
親指と人差し指でつままれたチョコが近づく。

逃げられないように、指ごとほうばる。

さっと、指を引っ込めた彼女は謝りながら手を体の後ろに隠す。

こちらもごめんねと事故のふりをしてごまかす。

このために買って来た。甘いチョコレイト。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:17:14.08 ID:/jgvK4fG0
終わり
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:19:28.45 ID:/jgvK4fG0
>>78
自分としては百合っぽくなくて後悔したから、そう言って貰えると助かります。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 19:18:59.51 ID:vxKkBf23O
えりちかわええなぁ
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 20:28:45.67 ID:vRIieZLfO
いいですね
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 14:14:09.89 ID:sWKhA8lyO
たしかにパンツに手を出すのは微妙なラインかもね
俺は別に問題ないかなって思うけど
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 19:40:35.24 ID:Rhsuo0T60
『私ね。告白されちゃったのよ。』
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:41:08.39 ID:Rhsuo0T60
「なんやえりち今日はテンション高いなぁ。」

んふふ。わかっちゃうかしら。

私お昼休みに後輩から告白されたのよね。

もちろん生徒会長兼スクールアイドルだし、話したこともない子だから断ったけど。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:41:36.29 ID:Rhsuo0T60
でも、他人に好意を向けられて嫌な人なんていないわ。

自信がつくし、単純に嬉しい。

あの子には申し訳ないけれど、上手く断れたと思う。

それにあの子も初めから成功するとも思ってなかったみたい。

自慢みたいに言いふらすのも悪いから、心に留めておくだけにするけど。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:42:02.36 ID:Rhsuo0T60
しかし、私ってそんなに魅力的かしら?

いや、でも、告白されたってことはね。

この学校に来てからもう何回か経験しているし。

やっぱりそうなのかもしれないわねぇ。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:42:31.19 ID:Rhsuo0T60
やり場のないこの気持ち。隣にはいつもの彼女。

「希。」

きりりとした表情で呼びかける。声のトーンもいつもより低く。

「なぁに?えりち。」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:43:02.70 ID:Rhsuo0T60
反応した希。そのブレザーに手をかけ、そのまま手を下に滑らせる。

ゆっくりと。相手の体をなぞるように。確かめるように。

一歩前に踏み出して彼女の視界を埋める。

唇同士が20センチ。

彼女は驚いて目を見開き、目線を下に落としてしまう。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:43:31.39 ID:Rhsuo0T60
照れてる照れてる。

わざと小さな声でささやきかける。

「私ね。告白されちゃったのよ。」

髪を撫で付けながら、途中で触れた耳をいじる。さわりさわりと指で囁く。

「なんて返事したらいいかしら。」

慌てるに違いないわ。私だってこんなことされたら動転するもの。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:43:58.10 ID:Rhsuo0T60
数秒黙った彼女はなんでもないといった風にこちらを見上げる。

ピシャリと手を叩かれる。

「ま、えりちはモテるからなぁ。忙しくて付き合うことはできないとかでええと思うよ。」

あれ。なんか思っていたのと違う。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:44:30.74 ID:Rhsuo0T60
そんな真面目に答えてほしいわけじゃないのに。

ちょっとだけショック。

落ち込んだ反動で、距離を取り、顔が見えないように横に並ぶ。

せっかくいい雰囲気ができたと思ったのに。

自信あったんだけど。

しょげちゃうかも。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:44:59.62 ID:Rhsuo0T60
「うち、先に屋上行ってるね。」

ああ、うん。行ってらっしゃい。

さっさと希を送り出す。

こうも反応が薄いと恥ずかしい。私が痛い子みたいじゃない。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:45:25.19 ID:Rhsuo0T60
でも、もうちょっと取り乱してくれたってよかったんじゃないかしら。

希に対する不満を、羞恥心を消すために悶々と思い浮かべる。

そうしてしばらく考えてわかった。

私、彼女に嫉妬して欲しかったんだ。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:45:54.94 ID:Rhsuo0T60
終わり
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 21:13:11.73 ID:H7CUOnwJO
これは内心バクバクなのか本気で怒ってるのか
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 00:58:21.27 ID:3vNJXkP+0
一緒に屋上行けばいいのに先に行くってことは
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 01:10:57.88 ID:9eUAPjhJo
両方ですねわかります
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/18(火) 23:39:41.62 ID:PM689wAj0
『たった二秒の恋。』
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:40:11.44 ID:PM689wAj0
配られたプリントが回される。

彼女は毎回このタイミングでこちらを向くのだ。

いたずらっ子のように視線を上げて、ウチを見ると安心したように微笑むのだ。

いつからだろう、この笑顔に対する思いが変わったのは。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:40:45.48 ID:PM689wAj0
最初は隠れ蓑にする友達のつもりだったと思う。

狭い教室に集められてグループができた。

彼女は孤高だった。

立場や印象がそういう状況に彼女を追いやった。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:41:27.77 ID:PM689wAj0
普通とは違う見た目や、堂々とした態度は他人が近づきがたい雰囲気を出した。

対面する際に相手が緊張すれば彼女も緊張するのに決まっている。

それがまた固い印象の原因となった。

誰もが面倒臭がる責任も彼女に回ってきた。

優しい人に回ってくるのだ。

本当は周りとなんら変わらぬ女の子なのに。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:42:07.45 ID:PM689wAj0
そうして孤独を抱えた彼女は居場所を探していた。

同じ経験をしてきたからわかる。

お昼を一緒に食べようと誘った。

自分がぼっちに見られることを気にしたのか。

彼女を哀れに思ったのか。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:42:43.75 ID:PM689wAj0
らしくないと感じたけれど、何かがそんな気にさせたのだ。

傷を舐め合い、馴れ合った。当たり障りのない会話をした。

肩を寄せ合い、震えていた。次第に腹の中を見せ合うようになった。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:43:13.53 ID:PM689wAj0
彼女は心を開いてくれた。

彼女は私に居場所と安心を見出した。

ウチを見かけると柔らかい微笑みを浮かべるようになった。

あの微笑みを独占したくなった。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:43:43.33 ID:PM689wAj0
普通の女の子だと思っていた。だけれども、そんなことはなかったからだ。

彼女は高潔で、純粋で、快活で、美しい。

人間はこんな人に惹かれるのだ。

だんだんとウチは彼女がいなくなるのを恐れるようになった。
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:44:25.11 ID:PM689wAj0
ウチの居場所はあなただけ。

彼女への執着は愛と呼ぶべきなのか。

笑顔を返す。それを確認すると彼女は嬉しそうにくるりと前を向く。

ほら、あの可愛らしい彼女にはウチが必要なんだ。

二人だけの目のやり取り。たった二秒の恋。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:44:57.61 ID:PM689wAj0
終わり
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 00:11:29.20 ID:VTzKJwlEO
愛が重いのぞえり好き
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 21:35:46.31 ID:ruQhEjSM0
『プリクラ』
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:36:29.85 ID:ruQhEjSM0
「久しぶりだからどんなポーズしたらいいのかわからないわ。」

高校に入ってからは全然撮ってないし。バレると恥ずかしいから言わないけど。

この密室ではいちゃつくことが推奨されている。

親友だからといえば何でもできる。

カメラが大胆なことも可能にしてくれる。
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:37:18.70 ID:ruQhEjSM0
二人で遊びに行くのはいいけれど、プリクラは絶対に撮りたいと思った。

疲れた顔の希を誘ったら目を輝かせていた。

プリクラとか好きそうだもんね。

大事に大事にとって置いてくれそうだもの。
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:37:45.37 ID:ruQhEjSM0
四百円を入れて荷物を置く。

「とりあえずピースとかにする?」

高い声で機械が急かしてくる。じゅう!きゅう!

「二人でハート作りましょ!」

手でハートの片割れを作って二人で合わせる。
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:38:47.57 ID:ruQhEjSM0
シャッターが切られるまでの時間が妙に小っ恥ずかしい。

せっかくのプリクラなのに何だか普通ね。

普段の写真と変わりないわ。

はいっちーず!
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:39:26.05 ID:ruQhEjSM0
次の撮影まであと五秒?

今度は早いわね。

「えりち。腕組も!」

言いながら腕を取られて密着する。これちょっと恥ずかしいわね。

カップルみたいじゃない。悪くないけど。

キメ顔するのもちょっとあれね。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:40:06.59 ID:ruQhEjSM0
とっさに希の髪にキス。欲望に忠実に。意外と悪くないじゃない。

希は特に気にしていない様子。次どうするか決めるので手一杯みたい。

もうちょっと大胆に行こうかしら。

強引に希を抱き寄せる。顔を寄せ合い笑顔を作る。

「ん。」

「ほら、希も笑って。」

これはどう?まだ許容範囲内?
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:40:46.79 ID:ruQhEjSM0
はいっちーず!

あのポーズを何秒もさせるんじゃないわよ。

急に恥ずかしくなってくる。いや、親友ならあるいは。

後悔してきたわ。顔赤くならないかしら。

「えりち。そんまま動かないで。」

プリクラって白くなるし大丈夫か。
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:41:25.89 ID:ruQhEjSM0
ウケ狙いのとってないし、ワシワシMAXがそろそろくるかしらね。

少し身構える。

はいっちーず!

後ろというより、斜め後方から顔に柔らかい感触。髪がちょっと当たる。

片目に映る彼女の顔。
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:41:59.34 ID:ruQhEjSM0
「らくがきせんでええの?」

あんまりに素っ気なく言うから、当然のことのように思える。

確かに友達同士ならこういうプリもあるけど。

さっき抱きついたせいで、どういうつもりかなんて問いただせない。

平気な顔している。何のフォローもなくペンを持つ彼女。

何だか癪だからハートをいっぱいつけてやった。

これ、誰かに見せられないわね。
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:42:27.73 ID:ruQhEjSM0
終わり
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 21:53:20.42 ID:ruQhEjSM0
『言い訳』
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:53:46.23 ID:ruQhEjSM0
十時に待ち合わせ。

お昼を一緒に食べてウィンドウショッピングに行く予定。

気に入ったものがあれば買う。

お揃いのアクセとか買いたいなぁ。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:54:21.87 ID:ruQhEjSM0
遊びに行くだけだけど、見方を変えれば立派なデートやん?

今回のデートの目標は手を繋ぐこと。

これは多分すぐ達成できる。

女の子同士で手を繋ぐのは割とよくあるし、ウチらは花も恥じらう女子高生だし。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:54:54.48 ID:ruQhEjSM0
重要なのはいつまで繋いでいられるか。

ランチのお店を出た後に手を繋げるか。

面倒臭いと思われないかな。

必死に繋いできて気持ち悪いと思われたら。

とにかく、手を握れるだけでも万々歳。そのあとはそのあと。
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