のぞえり百合ss

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102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:44:30.74 ID:Rhsuo0T60
そんな真面目に答えてほしいわけじゃないのに。

ちょっとだけショック。

落ち込んだ反動で、距離を取り、顔が見えないように横に並ぶ。

せっかくいい雰囲気ができたと思ったのに。

自信あったんだけど。

しょげちゃうかも。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:44:59.62 ID:Rhsuo0T60
「うち、先に屋上行ってるね。」

ああ、うん。行ってらっしゃい。

さっさと希を送り出す。

こうも反応が薄いと恥ずかしい。私が痛い子みたいじゃない。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:45:25.19 ID:Rhsuo0T60
でも、もうちょっと取り乱してくれたってよかったんじゃないかしら。

希に対する不満を、羞恥心を消すために悶々と思い浮かべる。

そうしてしばらく考えてわかった。

私、彼女に嫉妬して欲しかったんだ。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:45:54.94 ID:Rhsuo0T60
終わり
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 21:13:11.73 ID:H7CUOnwJO
これは内心バクバクなのか本気で怒ってるのか
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 00:58:21.27 ID:3vNJXkP+0
一緒に屋上行けばいいのに先に行くってことは
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 01:10:57.88 ID:9eUAPjhJo
両方ですねわかります
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/18(火) 23:39:41.62 ID:PM689wAj0
『たった二秒の恋。』
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:40:11.44 ID:PM689wAj0
配られたプリントが回される。

彼女は毎回このタイミングでこちらを向くのだ。

いたずらっ子のように視線を上げて、ウチを見ると安心したように微笑むのだ。

いつからだろう、この笑顔に対する思いが変わったのは。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:40:45.48 ID:PM689wAj0
最初は隠れ蓑にする友達のつもりだったと思う。

狭い教室に集められてグループができた。

彼女は孤高だった。

立場や印象がそういう状況に彼女を追いやった。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:41:27.77 ID:PM689wAj0
普通とは違う見た目や、堂々とした態度は他人が近づきがたい雰囲気を出した。

対面する際に相手が緊張すれば彼女も緊張するのに決まっている。

それがまた固い印象の原因となった。

誰もが面倒臭がる責任も彼女に回ってきた。

優しい人に回ってくるのだ。

本当は周りとなんら変わらぬ女の子なのに。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:42:07.45 ID:PM689wAj0
そうして孤独を抱えた彼女は居場所を探していた。

同じ経験をしてきたからわかる。

お昼を一緒に食べようと誘った。

自分がぼっちに見られることを気にしたのか。

彼女を哀れに思ったのか。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:42:43.75 ID:PM689wAj0
らしくないと感じたけれど、何かがそんな気にさせたのだ。

傷を舐め合い、馴れ合った。当たり障りのない会話をした。

肩を寄せ合い、震えていた。次第に腹の中を見せ合うようになった。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:43:13.53 ID:PM689wAj0
彼女は心を開いてくれた。

彼女は私に居場所と安心を見出した。

ウチを見かけると柔らかい微笑みを浮かべるようになった。

あの微笑みを独占したくなった。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:43:43.33 ID:PM689wAj0
普通の女の子だと思っていた。だけれども、そんなことはなかったからだ。

彼女は高潔で、純粋で、快活で、美しい。

人間はこんな人に惹かれるのだ。

だんだんとウチは彼女がいなくなるのを恐れるようになった。
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:44:25.11 ID:PM689wAj0
ウチの居場所はあなただけ。

彼女への執着は愛と呼ぶべきなのか。

笑顔を返す。それを確認すると彼女は嬉しそうにくるりと前を向く。

ほら、あの可愛らしい彼女にはウチが必要なんだ。

二人だけの目のやり取り。たった二秒の恋。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:44:57.61 ID:PM689wAj0
終わり
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 00:11:29.20 ID:VTzKJwlEO
愛が重いのぞえり好き
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 21:35:46.31 ID:ruQhEjSM0
『プリクラ』
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:36:29.85 ID:ruQhEjSM0
「久しぶりだからどんなポーズしたらいいのかわからないわ。」

高校に入ってからは全然撮ってないし。バレると恥ずかしいから言わないけど。

この密室ではいちゃつくことが推奨されている。

親友だからといえば何でもできる。

カメラが大胆なことも可能にしてくれる。
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:37:18.70 ID:ruQhEjSM0
二人で遊びに行くのはいいけれど、プリクラは絶対に撮りたいと思った。

疲れた顔の希を誘ったら目を輝かせていた。

プリクラとか好きそうだもんね。

大事に大事にとって置いてくれそうだもの。
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:37:45.37 ID:ruQhEjSM0
四百円を入れて荷物を置く。

「とりあえずピースとかにする?」

高い声で機械が急かしてくる。じゅう!きゅう!

「二人でハート作りましょ!」

手でハートの片割れを作って二人で合わせる。
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:38:47.57 ID:ruQhEjSM0
シャッターが切られるまでの時間が妙に小っ恥ずかしい。

せっかくのプリクラなのに何だか普通ね。

普段の写真と変わりないわ。

はいっちーず!
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:39:26.05 ID:ruQhEjSM0
次の撮影まであと五秒?

今度は早いわね。

「えりち。腕組も!」

言いながら腕を取られて密着する。これちょっと恥ずかしいわね。

カップルみたいじゃない。悪くないけど。

キメ顔するのもちょっとあれね。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:40:06.59 ID:ruQhEjSM0
とっさに希の髪にキス。欲望に忠実に。意外と悪くないじゃない。

希は特に気にしていない様子。次どうするか決めるので手一杯みたい。

もうちょっと大胆に行こうかしら。

強引に希を抱き寄せる。顔を寄せ合い笑顔を作る。

「ん。」

「ほら、希も笑って。」

これはどう?まだ許容範囲内?
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:40:46.79 ID:ruQhEjSM0
はいっちーず!

あのポーズを何秒もさせるんじゃないわよ。

急に恥ずかしくなってくる。いや、親友ならあるいは。

後悔してきたわ。顔赤くならないかしら。

「えりち。そんまま動かないで。」

プリクラって白くなるし大丈夫か。
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:41:25.89 ID:ruQhEjSM0
ウケ狙いのとってないし、ワシワシMAXがそろそろくるかしらね。

少し身構える。

はいっちーず!

後ろというより、斜め後方から顔に柔らかい感触。髪がちょっと当たる。

片目に映る彼女の顔。
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:41:59.34 ID:ruQhEjSM0
「らくがきせんでええの?」

あんまりに素っ気なく言うから、当然のことのように思える。

確かに友達同士ならこういうプリもあるけど。

さっき抱きついたせいで、どういうつもりかなんて問いただせない。

平気な顔している。何のフォローもなくペンを持つ彼女。

何だか癪だからハートをいっぱいつけてやった。

これ、誰かに見せられないわね。
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:42:27.73 ID:ruQhEjSM0
終わり
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 21:53:20.42 ID:ruQhEjSM0
『言い訳』
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:53:46.23 ID:ruQhEjSM0
十時に待ち合わせ。

お昼を一緒に食べてウィンドウショッピングに行く予定。

気に入ったものがあれば買う。

お揃いのアクセとか買いたいなぁ。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:54:21.87 ID:ruQhEjSM0
遊びに行くだけだけど、見方を変えれば立派なデートやん?

今回のデートの目標は手を繋ぐこと。

これは多分すぐ達成できる。

女の子同士で手を繋ぐのは割とよくあるし、ウチらは花も恥じらう女子高生だし。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:54:54.48 ID:ruQhEjSM0
重要なのはいつまで繋いでいられるか。

ランチのお店を出た後に手を繋げるか。

面倒臭いと思われないかな。

必死に繋いできて気持ち悪いと思われたら。

とにかく、手を握れるだけでも万々歳。そのあとはそのあと。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:55:32.00 ID:ruQhEjSM0
あと十分で家を出ないといけない。

選んだ服は三パターン。

スカートは決まっている。ちょっと短いやつ。

靴とストッキング。髪留め。つけて行くアクセも決めている。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:56:00.93 ID:ruQhEjSM0
上に何を着るかが決まっていない。

春だから明るめにしようかな。でも派手すぎない組み合わせ。

そうこうしていて鏡とクローゼットの前を行き来すること四十分。

決められない。

思わずベットにダイブ。

「えりち〜。助けて〜。」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:56:36.40 ID:ruQhEjSM0
携帯のアラームがなる。家を出る時間。

よし。これで行こう。気張らない。無理しない。

お気に入りの組み合わせ。

急いで着替える。脱いだ服はそのままに。

持って行くものは昨日作って置いた。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:57:06.39 ID:ruQhEjSM0
十五分早めに家を出るつもりだったけど、ギリギリ。

遅刻したらなんて言い訳しよう。

服も特別おしゃれなわけでもない。

えりちにしか見せんからいいかと思って。

心の中でファッションに対する言い訳もする。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:57:36.28 ID:ruQhEjSM0
きっとこのセリフを言うことはない。

あの人「可愛いわね」と「似合ってるわ」しか言わないから。

言ってきまーす。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 21:58:09.57 ID:ruQhEjSM0
終わり
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 22:03:40.58 ID:sdiiT50NO
良いものを早いペースで投下しまくっててしゅごい
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 22:44:31.89 ID:ruQhEjSM0
最後誤字しました。台無しになっててごめんなさい。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 00:42:46.66 ID:g7AUCTxP0
まあそんなものはそれまでの出来に比べたら些細なことだ
と言ってもあんたは気にするだろうから次気を付けりゃええわ
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 01:32:02.24 ID:6EvA2SK90
終わりか、
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 05:18:42.21 ID:eae5memTO
地の文メインでこれだけ引き込まれるのはすごい
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 14:28:40.59 ID:jvkrm/x1O
言ってきますでも間違ってないんじゃないかってぐらいいい…
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 21:37:31.73 ID:KjNw33A50
『覗き見』
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:38:01.33 ID:KjNw33A50
何やら真剣にスマホを見ながら打ち込むJK。

せっかくウチと一緒なんだからなんか喋らないのかなぁ。

カッカッカッカ。ブーブー。

煩わしい。マナーモードにして。
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:38:30.14 ID:KjNw33A50
相手は誰かな。彼氏だったら嫌だな。

恋人でなくとも、二人の時間が誰かに取られるのは嫌。

たとえLINEの相手が彼女の友人でも嫉妬する。

ここにいないのにウチから彼女を取らないで。
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:38:58.08 ID:KjNw33A50
「なぁ、えりち何しとんの?」

「LINE。」

見ればわかるわ。ポンコツ野郎。

スマホを取り上げてやりたいけれど、怒られそうだからやらない。

ひま。スマホに焼き餅妬くなんて。

愛しののんたんが寂しそうやん。構ってよ。
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:39:26.09 ID:KjNw33A50
彼女の顔に微笑が浮かぶ。

「何笑ってるん?」

「ん〜。ちょっとね。」

何がちょっとなのか。こっちに全然集中してくれないし。

覗いちゃおうかな。いやーでも良心が痛むなぁ。
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:40:04.68 ID:KjNw33A50
ちらりと見るだけ。文は読まない。

アイコンも小さくて見えないから。

少し無理な体勢をして画面を盗み見る。

ポンコツは気づかない。

一行の会話。たまに長文。スタンプなし。人らしきアイコン。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:41:04.89 ID:KjNw33A50
随分と盛り上がっているようで。

ウチとのLINEだと、もっとわけのわからんロシアンスタンプ使うくせに。

やっぱり見なければよかった。

惨めになるだけだ。
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:41:36.37 ID:KjNw33A50
あとどのくらいかかるのかな。

勝手に帰ったら、なんで何も言わずに帰っちゃったのよって言われる。

あなたのこんな姿が見たくないからだよ。

出かける約束とかを取り付けていたらどうしよう。

とられたくないなぁ。
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:42:04.44 ID:KjNw33A50
時間潰そ。タロットカードを取り出す。

占うか。

やっぱりやめておこう。
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 21:42:32.22 ID:KjNw33A50
終わり
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 04:31:43.48 ID:UFU+0qv/O
のぞみんかーわーいーいー
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 04:57:10.08 ID:l/tEEHosO
乙女のんたんも良い
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 23:21:08.66 ID:ZDottIZQ0
『傘』
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:22:00.06 ID:ZDottIZQ0
一度浸水した革靴は乾きにくい。

靴底に手を触れて確かめる。濡れてるわ。

替えはないのでそのまま足を入れる。

傘は持ってきてない。学校のを借りるのも面倒だ。

希の傘に入れてくれるよう頼んでおいた。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:22:35.86 ID:ZDottIZQ0
そのまま彼女の家に泊まり込もうと思っているが、まだ伝えていない。

「希。傘持つわよ。」

「ありがと。」

靴を履くのに邪魔だろうから持ってあげる。

希と歩くときは車道側。エスカレーターでは前に立つ。

男性のマナーらしいけれど、女の子が喜ぶなら私もやるわ。
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:23:12.07 ID:ZDottIZQ0
彼女が靴を履き替えるのを少し待ってから二人で歩き出す。

傘は私が持ったまま、それをさして希を招き入れる。

少女がはにかみながら入ってくる。

彼女はカバンを前に抱えて濡れないようにする。

私の下で小さくなるその姿はとても可愛らしい。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:23:39.21 ID:ZDottIZQ0
彼女が靴を履き替えるのを少し待ってから二人で歩き出す。

傘は私が持ったまま、それをさして希を招き入れる。

少女がはにかみながら入ってくる。

彼女はカバンを前に抱えて濡れないようにする。

私の下で小さくなるその姿はとても可愛らしい。
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:24:17.17 ID:ZDottIZQ0
彼女の傘なのに持ち主が濡れてしまっては申し訳ない。

自分の左半身が濡れる。

しかし、これは彼女の家でシャワーを借りる口実なのだ。

「えりち濡れてるやん。」

「傘を借りているんだから、これくらいさせて。」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:24:45.59 ID:ZDottIZQ0
彼女は少し困った顔。

いいのよ、好きにさせてくれれば。

二人で雨の中を歩く。たまにある水溜りを避けて進む。
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:26:32.10 ID:ZDottIZQ0
ふと手に温かいぬくもり。

見れば、傘を持つ手に重なる希の手。

振り払うわけにもいかず、じんわりとした温もりを感じる。

傘を握る力が強くなる。

「手。かなり冷たくなってる。傘持つの変わろうか?」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:27:30.98 ID:ZDottIZQ0
悪いけど、一度やり始めたら最後までやり抜く主義なのよ。

それにどうやら体もあったかくなってきたみたい。

あなたの家に着くまでこのままでいいわ。

そろそろ言わなきゃね。

「お願いがあるんだけど。」

「ん?」

「希の家でシャワー借りていいかしら?」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:28:12.85 ID:ZDottIZQ0
終わり
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 23:28:53.26 ID:ZDottIZQ0
連投はミスだから意味はないです
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 01:22:52.44 ID:xdaN/Ynj0
大丈夫ちゃんと察しているから
GOODだぞ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 11:12:46.78 ID:W45eJ6oBO
この後どうなったか
妄想が捗る
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 13:00:51.97 ID:aS5AcdE80
『休憩時間』
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 13:01:30.03 ID:aS5AcdE80
「はーい。十分休憩。水分補給忘れないでね。あと体を冷やしちゃダメよ。」

キリのいいところで体を休める。みんなうだうだ言いながらもいい顔してる。

肩で大きく息をしながらスポーツドリンクに手を伸ばす。

濡れた体が努力を証明してくれる。達成感が気持ちいい。

口いっぱいにドリンクを貯めて飲み込む。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:02:05.18 ID:aS5AcdE80
一直線にこちらに向かってくる人影。

隣に体を投げ出し、座り込む彼女。

息も絶え絶えで苦しそう。

喋るのも辛そうだから声はかけない。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:02:46.43 ID:aS5AcdE80
余裕のない呼吸。はぁはぁと熱っぽい吐息にどきりとする。

汗で張り付いた髪。しっとりとした腕。

彼女の体温が汗の気化した湿気とともに伝わってくる。

彼女の生気を強く感じながら、その生き生きとした美に酔う。

タオルで自分の汗を拭く。
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:03:26.32 ID:aS5AcdE80
スポーツドリンクを彼女のひたいにあてがう。

何も言わないが、翡翠の目が感謝を伝えてくれる。

彼女も自前のドリンクを手に持つ。

その気だるげな動きが色っぽい。

ドリンクを飲み、大きく一息。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:04:44.42 ID:aS5AcdE80
遅れてありがとうの言葉。

彼女はタオルを取り出して、顔、首、わき、胸、腹を拭く。

タオルが彼女の体を撫でるのをじっと見る。

疲れのせいで遠慮を忘れていた。
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:05:19.36 ID:aS5AcdE80
「そんなにじろじろ見ないで。なんだか恥ずかしいやん。」

弾かれたようにドリンクを飲む。

「別に減るもんじゃないでしょ。それに希っていい体してるから、見てたっていいじゃない。」

軽口叩いてごまかす。堂々と言ってしまえば怪しまれないものだ。

ほら、本人も照れはいるけれどまんざらでもなさそう。
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:05:59.12 ID:aS5AcdE80
と思ったらタオルを投げつけてきた。

顔でしっかりキャッチ。痛くはないけど心臓に悪いのよね。

「すけべ会長。」

ニコニコしながら彼女が立ち上がる。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:06:42.27 ID:aS5AcdE80
背を向けられたのをいいことにタオルの匂いをちょっとかぐ。

湿っているだけね。

あと少ししたら私も行こう。
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:07:21.29 ID:aS5AcdE80
すぐそこで放心状態のにこにタオルを投げる。

びくっとなる小さな体。ちょっと悪いことしたわね。

でも、友達のタオルを大事そうにずっと握っていたら不審じゃない?

仕方のないことなのよ。

「さぁそろそろ再開しましょうか!」

各々が元気な声をあげる。
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 13:08:09.06 ID:aS5AcdE80
終わり
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 15:20:33.90 ID:Va4zNde4O
周りからみたらバレバレだけど本人たちは気づいてないやつ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 15:24:24.88 ID:xdaN/Ynj0
いいね

のぞえりSSだけど他者視点があっても良いんじゃないか
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 22:59:50.77 ID:aS5AcdE80
『結ばれた口』
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:00:31.77 ID:aS5AcdE80
最近、絵里から希へのスキンシップが減った気がする。

気づいたのかな。あいつがビアンだってこと。

何があったか知らないけれど、変化があったのは間違いない。

別に気まずくなったり、避けるようになったわけでもない。

スキンシップが減っただけ。

それだけだけれど、察しがつく。
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:01:03.12 ID:aS5AcdE80
確かにあいつの視線やボディタッチには時折疑問に思うことがあるけど。

でもみんな確信を持っているわけでもないし、まして友人に対して同性愛者なのかなんて聞けるわけがない。

幸いにもあいつの視線は絵里に向かっていることが多い。

だからみんなその違和感も個性だと割り切っている。
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:01:32.06 ID:aS5AcdE80
それを誰かが不快そうにしていたこともない。

ただ、自分には関係ないとは言わないまでも、二人の間で完結していてほしいと思っている。

誰も口には出さない。そんな関係。
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:01:59.14 ID:aS5AcdE80
「えりち〜。膝枕して〜。」

「いいわよ。どうぞ。」

あいつのお願いも素直に聞く。

そこに戸惑いは見られない。

春の日差しの中、絵になる二人。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:02:26.46 ID:aS5AcdE80
彼女の性的指向を忘れてしまう。きっとそれがいいことなのに。

「まぶしい。」

「はいはい。」

絵里が希の目の上に手を置く。

息もピッタリ。私にはああいうことあまりないわね。ちょっぴり羨ましい。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:03:01.43 ID:aS5AcdE80
リラックスした空気を邪魔できず、雑誌をひたすらに眺める。

ちらりと彼女たちを伺う。

窓の外に視線を送る絵里。

じっと動かない希。

美しく儚い彼女たちだけど、どことなく悲しい気持ちになる。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:03:29.67 ID:aS5AcdE80
親友なのに、誰よりも近くにいるのに、決して心を開くことはないのだろう。

互いに卒業まであと少しの間、寄り添っているのだろう。

あいつはいつか打ち明けるのかな。

私に何ができるのかな。
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:04:01.73 ID:aS5AcdE80
絵里の手が微動する。

彼女は外に視線を向けたままだ。

無表情のまま。

絵里の手の隙間から一筋の雫が零れ落ちる。

希の口がぎゅっと結ばれる。

いたたまれなくなった。

少しの間、席を外そう。
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 23:04:38.16 ID:aS5AcdE80
終わり
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 03:59:37.20 ID:Gh0yDAj3O
主観よりも更に切ない…
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 12:19:21.58 ID:k6YPvAkV0
神スレを見つけてしまった
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 13:50:42.18 ID:wSQe4NMBO
他者視点でも〜なんて言っておいてなんだがつらい
それがいいんだけど
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 21:49:14.01 ID:LMw5R4Ii0
『信号』
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:49:50.17 ID:LMw5R4Ii0
通学路には信号機がある。一分にも満たない待ち時間の。

ホームルームの前になると生徒たちの列ができるようになる。

模範的な生徒会委員としては余裕を持った時間で登校するけど。

ウチの歩く少し前方にスタイルのいい金髪。

声をかけるのにはためらわれる距離感。
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:50:27.06 ID:LMw5R4Ii0
彼女はよく挨拶をし、また同様にされる。

生徒会長として顔が知られており、さらには母校のスターなのだから当然だ。

一緒にいると黄色い声を聞くことも少なくない。
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:50:54.63 ID:LMw5R4Ii0
生徒会長、おはようございます。

絢瀬先輩、おはようございます!

ええ、おはよう。

と、ここからでも多少聞こえる。
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