のぞえり百合ss

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/13(木) 22:49:39.45 ID:PhYPsiSJ0
一回だけの愛のキス。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:50:33.23 ID:PhYPsiSJ0
つり革を掴む右手が痛む。でも、あなたがうとうとしていて危なっかしいから離せないのよね。

あと、三つか。我慢しましょ。

思わず頬がほころぶ。疲れからか、表情がうまくコントロールできない。

部活の後に生徒会を手伝ったから、疲れたんでしょうね。

紫の頭がフラフラしている。

こんな状態でよくバランスが取れるわね。

あっ。つむじ見えた。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:51:20.83 ID:PhYPsiSJ0
人の群れの中にいるのに誰も私たちを気にしないっていうのは嬉しい。

きっと私が性的マイノリティーとわかったらこうはならないわ。

どうしようかしらね。

電車がカーブに差し掛かる。希の頭が倒れてくる。

とっさに右腕で希の頭をキャッチする。左手を上げて腰を支える。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:52:03.28 ID:PhYPsiSJ0
「あっ。ごめんえりち。ちょっと寝ててな。」

驚いたような第一声。その割には続く言葉が舌足らずだ。

いい子ね。何も謝ることはないのに。

こんな姿のあなたが見られただけで、天にも昇る気持ちなのよ。

「そのまま寝ててもいいわよ。疲れたでしょう。体重かけてもいいから。」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:52:38.71 ID:PhYPsiSJ0
悪いからそんなことできないと言いながら、次第に体がこっちに寄りかかる。

可愛い。あなたのためならどんな重荷も背負えるのよ。知ってた?

腰に回した手で彼女を引き寄せる。

ダンスをするように。恋人を優しく抱くように。

こくりこくりと揺れる彼女。今ならどさくさに紛れて何かしても気づかなさそう。

頭の位置が正面に来るように調節する。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:53:30.06 ID:PhYPsiSJ0
興奮してきちゃった。期待と興味で。

唇をひたいに落とした。彼女の頭がふいと上がった時に。

私以外誰も知らない。一回だけの愛のキス。

あなたの唇が欲しかったけれど、それはできないわよね。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:54:07.45 ID:PhYPsiSJ0
私は自惚れではなく、その気になればこの娘を落とせる自信がある。

でも、あなたの幸せを願うから、決して告白なんてしないわ。

ビアンの人が胸を張って歩くには、まだまだ時間がかかりそう。

たくさんの苦労をしてきたあなたには、明るい陽の下を歩いてほしい。

そこには私の居場所はない。外から友人として見守るだけ。

それでいいの。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:55:24.18 ID:PhYPsiSJ0
だけど、それなのに、いいはずなのに、たまに自分が抑えられなくなる。

自分の弱さが嫌になる。結局私は、大人になったつもりの子供なのだ。

性別なんか関係ないって、大声で叫んで好きな子の手を取りたいのだ。

諦めたくて、諦めたくなくて、認めたくて、認めたくなくて、何が正解なのかわからない。

どうすればいいのよ。

今夜もきっとまくらを濡らすわ。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:56:01.74 ID:PhYPsiSJ0
だから、これはただのわがまま、自己満足。

世界の何より美しくて、ヘドがでるほど憎んだ行為。

未熟な私の最後のあがき。

「希。次で降りるからそろそろ起きて。」

愛しい人へ、心のこもった優しい声をかける。

悲しみが混じっていることには誰も気づかない。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 22:56:46.33 ID:PhYPsiSJ0
終わり
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 23:20:47.94 ID:S4yG/c/pO
神スレ確定

ベタだけど髪型交換とか好き
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 07:07:29.79 ID:wHbv66RY0
良いぞ
嫉妬しちゃう系の話はまあ定番よね〜
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 10:49:25.62 ID:aAUwqa8zO
楽しみ
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 20:58:37.40 ID:C1VvbYQo0
髪型交換しましょうよ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 20:59:18.53 ID:C1VvbYQo0
ウチは部屋の入り口の方を向いて読書中。

後輩に大和撫子がいると、先輩禁止とはいえ恥ずかしいところは見せたくないのだ。

一方でウチの集中力のほとんどを占める意中の人は窓の外を見つめている。

ウチからしたら、胸キュンもののかっこよさだけど、口から言葉が出るときはえりちはポンコツやな〜に自動翻訳される。

誰かが来ない限り決して言わないけど。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:00:02.78 ID:C1VvbYQo0
背中を向け合って座っている。互いに気のおけない間柄。

分野にもよると思うけど、ウチは彼女の一番だろう。

そう考えると、嬉しくて嬉しくて目の前の本なんかどうでもよくなっちゃう。

ギーっと椅子の軋む音。

背筋を伸ばしているのかな。

あらら。ウチの髪の毛が遊ばれている。優しいタッチでおさげが踊る。

えりち体柔らかいなぁ。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:00:39.42 ID:C1VvbYQo0
「希〜」

「ん〜?」

ポンコツさんがウチのおさげで自分の顔を叩いている。アホやんなぁ。

もしかしてだけど、ウチのこと意識しているから、髪を顔に当てているのかな?

いや、ないか。

ウチもえりちのポニーテールに顔を突っ込んでいたいなぁ。

寝起きの朝とかに。好きな人の髪に。あっ、でもえりち寝るときは下ろしちゃうか。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:01:21.37 ID:C1VvbYQo0
「髪型交換しましょうよ」

返事をするやいなやえりちが立ち上がる。

ノリノリやん。

背後に立つと一つずつ丁寧にシュシュを外していく。

なんだか服を脱がされているみたい。反対に神聖な行為のようにも感じられる。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:01:59.73 ID:C1VvbYQo0
下ろした髪を手ぐしがつたう。

頭皮に当たる手が気持ちいい。

女の子同士ならよくある光景でも、ウチにとっては最高の時間。

手がスッと離れる。もう終わり?

「もうちょっと続けてな。」

彼女は、はいはい、といいながら手ぐしをかける。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:02:47.93 ID:C1VvbYQo0
ウチは目をつぶって身をまかせる。毎日こうしてくれたらいいのに。

毎日、この幸せがあったらいいのに。

「そろそろポニーテール作るわね。」

慣れた手つきで髪が集められる。この引っ張られる感覚、好きなんだよね。

毛量が多いから少し苦闘しているみたい。ちょっと申し訳ない。

ぎゅっとゴムが締められる。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:03:41.56 ID:C1VvbYQo0
「はい完成。可愛くできたわね。とっても美人よ。」

「当たり前やん。」

強がりながらも、照れてしまう。

あなたの髪型なのだから、可愛くないはずないんだよ。
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:04:12.90 ID:C1VvbYQo0
ウチがえりちに結ってもらったえりちの髪型。

彼女のものになったようで気分が良くなる。

この髪型は、ウチと彼女だけのものなの。

そして、この髪の影には彼女がいる。ウチの中にえりちがいる。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:04:46.68 ID:C1VvbYQo0
「次はウチが作ってあげる。ほら座ってお客さん。」

背中を押して、肩に触って座らせる。

えりちのゴムは今、ウチの頭にくっついているのですでに髪は下りている。

ただ、ポニーテールにしていたせいでストレートにはならない。

手ぐしでとかす。

髪のいい匂いがする。頭皮の匂いってしないもんやね。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:05:21.52 ID:C1VvbYQo0
「えりちなんのシャンプー使っているの?」

「亜里沙が買って来たやつよ。高坂家と同じやつ。」

ふーん。後でウチのシャンプー買わせよ。

髪の束をすくって匂いを嗅ぐ。ふりをしながら金髪にキスをする。

希パワーたーっぷり注入!はーい、ちゅっ♡!

ちょっとムキになったかな。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:05:48.15 ID:C1VvbYQo0
おさげを作ってそそくさとシュシュで髪を留める。

「できたよ。」

「ありがとう。みんなが来たら自慢するわ。」

いやいや。それは困る!真似しそうな子たちが何人かいる。

せっかくのウチらだけの髪型なのに。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:06:42.47 ID:C1VvbYQo0
「う〜ん。それはやめてほしいかな〜?」

「えーなんで?」

ぽかんとしちゃって。素直に鈍感なんだから。

そこが魅力の一つだけれど、ウチに気持ちが向いていないことを再認識させられる。

少しくらいその髪型を大切にしてほしいな。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:07:14.63 ID:C1VvbYQo0
一言言ってやろう。

「別の人に同じことして、その髪型変えられたら悲しいやんか。」

ちょっとの沈黙の後に、急ににっこり笑顔になる。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:07:45.33 ID:C1VvbYQo0
「そうね〜。」

機嫌のよくなったえりちが抱きついて頭をブンブン振り回す。

危ないわ。顔を赤く染める前に危機を感じる。

落ち着いたかと思ったら、おでこを合わせて来た。
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:08:14.47 ID:C1VvbYQo0
急接近した無邪気な笑顔にどきりとする。

やめてよもう。

「今日はサボって帰っちゃいましょうか。」

好きな人に息がかかる距離でそんなこと言われて断わる方法、ウチは知らない。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:09:44.60 ID:C1VvbYQo0
終わり
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 21:15:52.36 ID:cFP2Xv18O
good
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:05:47.93 ID:qUBBu3nsO
お互いを好きすぎる感じが良いぞ
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 23:25:57.79 ID:C1VvbYQo0
私、恋しているみたい。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 23:26:35.55 ID:C1VvbYQo0
「希、そのイチゴジュース一口ちょうだい。」

「ええよ。」

頭の中は間接キスのことでいっぱいだけど、得意のポーカーフェイスで隠す。

イチゴジュースのパックを受け取る。

えい、と心の中でつぶやき口にストローを入れる。
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:27:09.42 ID:C1VvbYQo0
甘すぎる液体を吸いながら、視線は桜から離さない。

少しの癖とやましい気持ちでストローをチロチロ舐める。

何食わぬ顔でありがとう。無事にジュースを返す。

今日は一段と会話が少ない。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:27:42.78 ID:C1VvbYQo0
公園で花見をしながら、落ち着いた時間を過ごす。

もうすぐ散ってしまうとニュースで言っていたから、私が連れ出したのだ。

結婚したら今みたいにお花見をしたいな、なんて。

女子高生の方がよっぽど風流がわかっているわね。

お酒を飲むためだけに来ている大人たちを見ながら思う。
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:28:23.25 ID:C1VvbYQo0
風が吹き抜け、花びらが舞う。花吹雪が綺麗ね。

横に目をやると、隣に座る女の子は和の国の女神のよう。

やっぱり桜なんて見ている場合じゃないわ。

桜を着飾ったあなたは何より綺麗。

目に焼き付けながら、希の頭に手を伸ばす。
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:28:57.40 ID:C1VvbYQo0
「花びらついてるから、とってあげる。」

あなたが欲しくて手を伸ばしたのだけれど、難しいからこれで妥協。

一枚一枚ゆっくりと取る。そうすれば、長くあなたを見つめていられるから。

その間にもまた桜がつくから、何やってるのって感じだけれど。

希も気づいているのかわからないけど、なされるがままってことは嫌ではないのよね。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:29:40.60 ID:C1VvbYQo0


私たちってはたから見れば、同性のカップルに見えるかしら。

別にいいわ。春の陽気に当てられたのよ。考えるのはやめましょう。

「あの子供達、めっちゃ走っとるなぁ。」

希がとても優しい目をしていた。

向こうでは子供達が必死に走って遊んでいる。
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:30:10.08 ID:C1VvbYQo0
もし付き合うことになったとしても、私たちには子供はできない。

あなたとの子ども、いたら幸せだと思うわ。

とっても。

肌寒くなって来たのを実感した。

まだ四月上旬だしね。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:30:38.79 ID:C1VvbYQo0
ベンチに置いてある彼女の手を見る。

手、繋ぎたいわ。友達なら手を繋ぐのはよくあること。

だけど、いざやろうとすると勇気がいる。

いや、やるのよ。

手汗も大丈夫。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:31:16.35 ID:C1VvbYQo0
「えりち?」

「ちょっと冷えちゃったのよ。あと春のせい。」

ふふんと笑う彼女をぼんやりと見つめる。

胸が苦しくなる。

私、恋しているみたい。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 23:31:55.99 ID:C1VvbYQo0
終わり
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 00:29:31.58 ID:3TbomAc7O
あなたが神か
この距離感たまらねぇ
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 00:59:36.34 ID:d2ED702do
ここが新たな生きる希望か・・・
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 13:08:24.73 ID:T8bVDrVy0
『告白』
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:09:14.63 ID:T8bVDrVy0
今日のえりちは落ち着きがない。

何をするにも行動が早くて、ちょくちょく息を飲んでいる。

後、目を合わせてこない。いつもだったら熱っぽい視線をこれでもかと浴びせて来るのに。

今日は希と大事な話があるとか言って、みんなを帰らせた。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:09:48.92 ID:T8bVDrVy0
告白されるんだろうな。

えりち、ウチのこと好きっぽいし。

友達というには度がすぎるスキンシップでわかっていた。

あんなにされて気づかないほどバカではない。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:10:15.02 ID:T8bVDrVy0
告白への答えは決まっている。

ごめんなさいだ。

ウチもこの娘を支えてあげたい。

だけど、そんな関係には慣れないよ。

この友情が愛情に変わることはないよ。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:10:45.59 ID:T8bVDrVy0
ごめんね。ウチが弱いからここまでさせてしまった。

友人だったら、きっぱり諦めさせるべきだったのに。

そうすれば、余計な気を使わせることもなかっただろう。

ウチにとっては初めて築けた固い絆。

それを壊してしまうのではないかと思うと怖くて、言い出せなかった。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:11:12.15 ID:T8bVDrVy0
その結果として、あなたに期待をさせてしまった。

執着されるのは心地よかった。

大切にされて、愛情を受けるのは幸せだった。

何年も欲しかったものだから。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:11:56.91 ID:T8bVDrVy0
だけど、このままではいけない。

あなたのために。そして自分のために。卑怯になる、勇気を出す。

あなたの気持ちを知っていながら。

あなたを利用するだけして捨て去る。

私は非道の行いをする。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:12:24.87 ID:T8bVDrVy0
どうか許さないで。

憎んで憎んで、そして、できたら忘れてください。

あなたは素敵な人です。

くるりとあなたがこちらを向く。

覚悟を決めた表情だ。

「ねぇ、希。」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 13:12:52.39 ID:T8bVDrVy0
終わり
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 17:21:43.65 ID:RwNEV38PO
辛い…
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 20:05:14.42 ID:T8bVDrVy0
『帰り道』
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:05:54.56 ID:T8bVDrVy0
帰り道。

ポンコツはにこっちに感化されてスクールアイドルの話をしている。

なんでえりちが自慢げなの。

「いや、ウチそんな話されても知らんし」

拗ねる。つまんない話しないで。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:06:24.00 ID:T8bVDrVy0
話題がにこっちに移る。

にこにこうるさい。そんなに好きか。

このポンコツ。もっとウチのこと見てよ。

「何拗ねてるの?あ、昨日にこがね。これ面白いから希も気にいるわ。にこがアルパカでナポレオンしたの!!」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:07:32.70 ID:T8bVDrVy0
他人のことそんな夢中でウチに話さないで。

早く帰りたい。

そんな嬉しそうにしないで。笑顔にならないで。

口を開かないで。えりちかおうち帰れ。

ウチ以外と一緒に帰らないで。ウチ以外と楽しそうにしないで。

他の人の名前出さないで。ウチしか見ないで。

ウチのこと好きになって。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:08:06.16 ID:T8bVDrVy0
あれ。ウチって意外と重いな。

というかえりちのこと好きなのかな。

学校に通うのはえりちに会いたいから、生活の中心は結構えりち。

これってもしかするのかな。

まさかね、ウチに限って。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:08:36.80 ID:T8bVDrVy0
ああ、もう。にこっちのことはわかったから。

足を止める。

えりちが数歩前を歩く。

確かめよう。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:09:09.86 ID:T8bVDrVy0
「わしわしMAX!!」

「ちょおおおぉぉ!」

えりちの背中に顔を埋める。がっちり胸を掴んで離さない。

あかん。ウチの心臓、壊れてる。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:09:36.99 ID:T8bVDrVy0
えりちがプンスカ何か言っているが、聞こえてこない。

あかんなぁ。あかんわ。

これが恋かぁ。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 20:10:09.70 ID:T8bVDrVy0
終わり
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:12:29.98 ID:Ja0bhOstO
乙女やんね
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 23:49:13.54 ID:T8bVDrVy0
『洗面室』
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:49:49.38 ID:T8bVDrVy0
希は洗面室で服を脱いでいる。

お風呂は先にいただいたから、私はおとなしく待っている。

亜里沙に今日は止まっていくと連絡したら、希のところだとすぐ見抜かれた。

そんなに頻繁に来ているかしら。

希がお風呂場に入った音がする。リビングにいると聞こえるのよね。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:50:18.24 ID:T8bVDrVy0
洗面室に向かい、そこにある洗面台で化粧を落とす。

音を聞くために。

メイク落としを顔に広げてなじませる。

シャワーの音が絶え間なく続く。希は頭から洗う派なのだ。

リンスも流して、希がタオルを泡だてている隙に洗顔を終える。

スッピンを見せるのは若干の抵抗があるけれど、洗面室にとどまるためには仕方がない。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:50:43.64 ID:T8bVDrVy0
自分の歯ブラシを取り出して、歯磨き粉を探す。

わずかにタオルが擦れる音が聞こえる。

「希〜。歯磨き粉がもうないんだけど〜。」

そこにいる希の声が聞きたくて、わざわざここで文句を言う。

今、向こうでは裸の彼女が自分の体を擦っている。

そう考えると官能的だった。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:51:14.12 ID:T8bVDrVy0
「え〜。後で買いに行くから、頑張って絞り出して。」

言われることはわかっていたのですでに歯磨き粉を絞ってある。

シャコシャコと鳴らせながら洗濯カゴを見つめる。

さすがにまずいのではないか。

バレたらここには来れなくなってしまう。

まずいでしょうよ。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:51:40.15 ID:T8bVDrVy0
でも本当はもう決めている。視界に入った時に。

希が湯船に入るのがわかった。気の抜けた声も聞こえてくる。

口をゆすぐ。

洗濯カゴに引っかかっているパンティーを持ち上げる。

希の歌が聞こえる。機嫌がいいのね。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:52:08.62 ID:T8bVDrVy0
鼓動が早くなる。

だめよ。それはいけない。

息が荒くなる。フー、フー、フー、フー。

これはダメ。信頼を裏切ることになる。

じっと動けなくなる。

頭の中では同じことが回り続ける。

一度すれば何度もしたくなる。フーフーフーフー。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:52:35.53 ID:T8bVDrVy0
「えりち〜。歯磨き粉のついでにさ〜、アイスも買いたいな〜。」

とっさに、俊敏にパンティーを元の場所に戻す。

危ないところだった。

「いいわよ。」

名残惜しい。あんなに耐えたのに、何も残らない。

手の匂いを嗅ぐ。無臭ね。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:53:02.96 ID:T8bVDrVy0
罪悪感がこみ上げて来て洗面室を出る。

瞬きをしなかったのか目がしょぼしょぼする。

どんだけ興奮してたのよ。はぁ。

もうここには来ないようにしようかしら。

どうせ来ちゃうのでしょうけど。

早くアイス食べたいわ。

あ、歯を磨いた後だった。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 23:53:46.55 ID:T8bVDrVy0
深夜だから、ごめんなさい。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 13:11:13.94 ID:/jgvK4fG0
『チョコレイト』
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:11:37.17 ID:baQvRpkPO
悪くない
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:11:48.54 ID:/jgvK4fG0
食べさせてあげると、ンフーと満足げにする。

あざといなぁ。めちゃくちゃ可愛いわ。妹ができたみたい。

構ってやりたくなるから頬をムニムニと押す。

目を細めてされるがままのこの子は甘え方がわかってるんやね。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:12:40.59 ID:/jgvK4fG0
「もう一ついる?」

「やぶさかでもないわ。」

偉ぶって、生意気なこと言うのも年下のようで可愛らしい。

ヒナのように口を開けて待機している。美人さんが台無しやん。

「のほひ。ははく。」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:13:07.12 ID:/jgvK4fG0
ウチの千円をなんだと思っているんだ。

もうちょっと感謝してもいいんじゃない?

態度への不満と、チョコへの嫉妬で鼻を摘まみ上げる。

鼻高いなぁ。羨ましい。

「ん!何すんのよ。」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:13:38.46 ID:/jgvK4fG0
上機嫌だったのが一転。

期待していたチョコの代わりに不快な攻撃がやって来たので語気が荒くなる。

そんなに怒んなくてもええやん。

まだまだお子さんやんね。

折れてあげよ。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:14:08.37 ID:/jgvK4fG0
「ごめんな。ちょっと魔が差してん。うちのぶんも一個あげるから。」

えりちの視点がすっとチョコの箱に注がれる。

何もらうか決めてるんだな。

その必死さとやらしさに愛情がこみ上げる。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:14:38.57 ID:/jgvK4fG0
「そう。なら、これにするわ。もう決めたからね。」

ニヤニヤと待っているのは食べさせてほしいからなんだろうか。

仕方ないのでえりちの口元へ運んであげる。

と見せかけて、自分の口をわざとらしく開ける。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:15:09.79 ID:/jgvK4fG0
「あー!」

彼女が素っ頓狂な声を張り上げる。

何も考えてないんだろうね。知性が感じられない。

なんでも人任せにしたらあかんよ。

ひょいとチョコを与える。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:15:42.87 ID:/jgvK4fG0
んもー。希は信用ならない。とかなんとか抜かしながら自分のチョコを守ろうとする。

ウチもそこまでがめつかないわ。

次から次へとチョコを口へ運ぶ。

もはやチョコの味よりも食べることが目的と化しているんじゃないか。

時たまこちらの顔色を伺っては口角を上げている。

そこまでされると、買って来た甲斐があるなぁ。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:16:13.71 ID:/jgvK4fG0
いつのまにか最後の一つ。ばつの悪そうな顔で言う。

「ごめんなさいね。食べ過ぎちゃったかもしれないわ。」

わかっていたけどね。

しょうがないなといった態度でウチも一言。

「えりちが食べさせて。そうしたら許すわ。」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:16:39.89 ID:/jgvK4fG0
親指と人差し指でつままれたチョコが近づく。

逃げられないように、指ごとほうばる。

さっと、指を引っ込めた彼女は謝りながら手を体の後ろに隠す。

こちらもごめんねと事故のふりをしてごまかす。

このために買って来た。甘いチョコレイト。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:17:14.08 ID:/jgvK4fG0
終わり
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:19:28.45 ID:/jgvK4fG0
>>78
自分としては百合っぽくなくて後悔したから、そう言って貰えると助かります。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 19:18:59.51 ID:vxKkBf23O
えりちかわええなぁ
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 20:28:45.67 ID:vRIieZLfO
いいですね
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 14:14:09.89 ID:sWKhA8lyO
たしかにパンツに手を出すのは微妙なラインかもね
俺は別に問題ないかなって思うけど
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 19:40:35.24 ID:Rhsuo0T60
『私ね。告白されちゃったのよ。』
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:41:08.39 ID:Rhsuo0T60
「なんやえりち今日はテンション高いなぁ。」

んふふ。わかっちゃうかしら。

私お昼休みに後輩から告白されたのよね。

もちろん生徒会長兼スクールアイドルだし、話したこともない子だから断ったけど。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:41:36.29 ID:Rhsuo0T60
でも、他人に好意を向けられて嫌な人なんていないわ。

自信がつくし、単純に嬉しい。

あの子には申し訳ないけれど、上手く断れたと思う。

それにあの子も初めから成功するとも思ってなかったみたい。

自慢みたいに言いふらすのも悪いから、心に留めておくだけにするけど。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:42:02.36 ID:Rhsuo0T60
しかし、私ってそんなに魅力的かしら?

いや、でも、告白されたってことはね。

この学校に来てからもう何回か経験しているし。

やっぱりそうなのかもしれないわねぇ。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:42:31.19 ID:Rhsuo0T60
やり場のないこの気持ち。隣にはいつもの彼女。

「希。」

きりりとした表情で呼びかける。声のトーンもいつもより低く。

「なぁに?えりち。」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:43:02.70 ID:Rhsuo0T60
反応した希。そのブレザーに手をかけ、そのまま手を下に滑らせる。

ゆっくりと。相手の体をなぞるように。確かめるように。

一歩前に踏み出して彼女の視界を埋める。

唇同士が20センチ。

彼女は驚いて目を見開き、目線を下に落としてしまう。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:43:31.39 ID:Rhsuo0T60
照れてる照れてる。

わざと小さな声でささやきかける。

「私ね。告白されちゃったのよ。」

髪を撫で付けながら、途中で触れた耳をいじる。さわりさわりと指で囁く。

「なんて返事したらいいかしら。」

慌てるに違いないわ。私だってこんなことされたら動転するもの。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 19:43:58.10 ID:Rhsuo0T60
数秒黙った彼女はなんでもないといった風にこちらを見上げる。

ピシャリと手を叩かれる。

「ま、えりちはモテるからなぁ。忙しくて付き合うことはできないとかでええと思うよ。」

あれ。なんか思っていたのと違う。
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