のぞえり百合ss

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202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:51:24.50 ID:LMw5R4Ii0
彼女が渡る信号機が黄色くなる。

小走りの生徒が彼女に駆け寄りながら挨拶をする。

彼女は振り向きざまに返事をする。

あ、目があった。

一瞬かたまると、笑顔でこちらに小さく手を振る。
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:51:59.59 ID:LMw5R4Ii0
信号は赤になっている。

ウチも無視するわけにもいかないし、腰のところで手を振る。

声には出さずに口で「おはよう」。

彼女は何を思ったのか信号の向こう側で立ち止まる。

ウチにかまわず行けばいいのに。
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:52:34.89 ID:LMw5R4Ii0
道の端で待っている。

嬉しそうにこっちを見ていたけれど、ウチ以外の生徒の目に気づくと視線を逸らした。

こちらで数人信号待ち、向こうには一人。

ウチに挨拶してくれる子もいる。
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:53:07.09 ID:LMw5R4Ii0
それも嬉しい。だけどそれ以上に気になる声がする。

ウチの後ろでひそひそと話声が聞こえる。

もー。めっちゃ恥ずかしいわ。

信号待ちの人数が増える。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:53:38.62 ID:LMw5R4Ii0
えりちもソワソワと落ち着きがない。

若干赤くなっている。

今更ウチを置いて歩き出せないのだろう。

早く青になれ!お願いします!

念じた途端に青になる。
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:54:07.16 ID:LMw5R4Ii0
急ぎ足で近寄る。彼女もホッとした表情だ。

「何やってるん。」

「もうやらないわ。」

二人していつもより早足で道を歩く。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:55:24.50 ID:LMw5R4Ii0
終わり
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:59:48.94 ID:LMw5R4Ii0
他者視点の形も面白かったのでまたいつかやりたいと思います
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 22:38:45.10 ID:AWDDNRR5O
(ほら、生徒会長と副会長)

(道路を隔てて見つめ合ってたわよね?)

(朝から花園頂きました〜)
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 01:42:12.11 ID:uYLh2NXe0
『背中の文字』
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:42:50.21 ID:uYLh2NXe0
次の授業は小テストがある。

最後の詰め込み。ブツブツ唱える。

背中を指でなぞられる感触。
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:43:17.61 ID:uYLh2NXe0
「え」

すでに誰の仕業で何を書くのかもわかる。

こういうイタズラをされるのも悪くない。

けれども残念なことにテスト勉強中なのよね。

反応はしてあげられないわ。
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:43:45.90 ID:uYLh2NXe0
「り」

きっと私の背後で彼女が頬杖をつき、暇を持て余しているのだろう。

眠そうに目を開けて、徒然に指を走らす。

チャイムが鳴ればすごすごと自分の席に戻るのだろう。

振り向いてやりたい気もする。彼女が最後の一文字を書き終えたら。
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:44:12.25 ID:uYLh2NXe0
「ち」

制服に引っかからないように優しいタッチで描かれる。

二人きりだったら変な気分になってたかもしれないわ。

いや、ならないか。

読んでいない教科書を見つめる。
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:44:37.68 ID:uYLh2NXe0
ブラのホックがつままれる。

引っ張っては離されて背中に当たる。

制服にシワがついたら恥ずかしいわね。

希の爪もたまに肌に食い込んで痛いし。

抗議のつもりで背中を揺らす。
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:45:09.34 ID:uYLh2NXe0
「す」

ちょっとするとまた新たな文字が描かれる。

乙女心に予想する。

他に書くことがなかっただけかもしれないけど。

彼女が頬を染めながら書いているとは思えない。
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:45:37.66 ID:uYLh2NXe0
「き」

画数が多いわね。

教科書を睨みながら表情は崩さない。

でも、嬉しいことは否定しない。

振り返ったらニヤケ顔になるに違いない。
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:46:03.38 ID:uYLh2NXe0
「♡」

背中の文字も一種のラブレターと考えれば可愛いものね。

今度誰かにやろうかしら。

なんとも思っていないわよ、との意味を込めて音読の声を大きくする。

あの子かまってちゃんだから、悔しがるわね。
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:46:30.65 ID:uYLh2NXe0
突然、胸が鷲掴みにされる。

反射的に背筋が伸びる。

体をひねる。

突っ伏した希の頭にチョップを入れた。
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 01:47:19.55 ID:uYLh2NXe0
終わり
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 04:40:03.20 ID:HMXG0771O
これが百合の迷路かぁ
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 07:58:57.70 ID:Um9afLqA0
やっぱいちゃいちゃ路線をこう、交えてくれると幸せですね、ええ
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 23:59:03.43 ID:aw7cWfZ2o
イチャイチャすきぃ・・・
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 00:43:46.56 ID:1tULC7NO0
『アイス』
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:44:34.78 ID:1tULC7NO0
駅のそばにある某アイスクリーム屋にて。

スモールのダブルをコーンで注文。

ウチは新作のやつ。えりちはチョコとキャラメルリボン。

店の奥で秘密の密会。
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:45:21.34 ID:1tULC7NO0
席に着くとまず、相手が何味を頼んだのかを聞く。

「美味しそうね。」

テキトーな感想を言いながら、自分の方が美味しいと確信したドヤ顔。

冒険心を忘れちゃあかんよ。えりちいっつもそれやん。

ウチの怪しげな紫色は見た目から気合が入っているのだ。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:45:47.27 ID:1tULC7NO0
えりちが上の方から一口。

こちらを見ながらうんうん頷く。

一口が大きいなぁ。

ウチはせっかくなので定員さんがつけてくれたスプーンでいただく。

最初は硬くてすくいづらい。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:46:25.64 ID:1tULC7NO0
「えりちの味見させて。」

はいと出されたアイスをカプリ。

今更新しいコメントも出ない。

「希のも頂戴。」

スプーンであげると少ないだろうから直接かじってもらう。

歯型がついた。容赦ないなぁ。
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:47:02.99 ID:1tULC7NO0
互いの感想を言いながら自分のアイスを頬張る。

彼女はもう二個目に突入。

えりち、鼻の頭にアイスついてる。

さっと拭い去るところをウチは見ていた。
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:47:29.05 ID:1tULC7NO0
溶けたアイスが垂れてくる。

仕方ないから舐め取る。

その間にも反対側から垂れてくる。

この格闘がささやかな楽しみ。
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:48:06.19 ID:1tULC7NO0
うちもやっと二つ目に突入。スプーンは余計だからやめた。

えりちはコーンを大切そうに食べている。

もうアイスないやん。

ウチは唇を押し付け、溶けたアイスを舐める。

これは溶けていくアイスを上手く食べる技なのだ。

でもえりちと一緒の時にしかやらない。行儀悪い気がするから。
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:48:53.51 ID:1tULC7NO0
食べ終わった彼女はウチのアイスを見つめている。

ゆっくりと味わうメリットはここにある。

見せつけるように、わざとらしくぺろぺろ舐める。

彼女の羨ましそうな顔!と思ったらそうでもない。

だが、溶けたアイスはコーンと一緒に食べられて美味しい。

その点えりちはまだまだ甘いやん。
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:49:37.79 ID:1tULC7NO0
手についたベトベトをさっと舐める。これが難点。

ちゅっと音が出る。見られた。

手を舐めるところを目撃される。

「手、洗ってくるから荷物見てて。」

普段はこんなことしないんよ。言い訳するのも見苦しいのでトイレに逃亡。
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 00:50:24.66 ID:1tULC7NO0
終わり
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 12:38:20.56 ID:JZNOURkgO
のんたんえっろ
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 16:28:22.02 ID:V/RphAkzO
これもうせっく…
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 23:17:00.56 ID:dMKwlmVH0
『ファン』
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:17:30.88 ID:dMKwlmVH0
一人でいる時の彼女はキョロキョロと落ち着きがない。

こちらから話しかけない限り、不安そうに縮こまっているのだ。

会話では愛想をよくしてくれる。

でも、どことなくよそよそしく感じる。
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:18:05.37 ID:dMKwlmVH0
言うなればアイドルモードなのだ。

話せば面白いし、可愛いし、性格もいい。

だけど彼女が打ち解けてくれる気配はない。

もちろん彼女は人気があるのでぼっちでいることは少ない。

たまに彼女のそんな姿を見ると目が離せなくなってしまう。
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:18:49.64 ID:dMKwlmVH0
絢瀬さんが教室に戻ってきた。

私にはわかる。彼女はクラスメイトと話す時には純粋な笑顔を見せないのだ。

彼女は苦笑いをしながら談笑していたグループを離れ、親友の元へ向かう。

背後から絢瀬さんの腰に手を回して抱きつく。

一言二言かわすとその状態のまま席まで行く。

歩きづらそうに大きく揺れながら進む。
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:19:17.03 ID:dMKwlmVH0
着席後は自身の両の指を絡ませ、絢瀬さんの肩にかける。

手の上に頭を乗せ、べったりと密着している。

パーソナルスペースが極端に近いのだ。

彼女は絢瀬さんに何やら囁く。

恋人に甘えるように。
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:19:55.64 ID:dMKwlmVH0
意中の人は授業の用意をしながら生返事。

会話が途切れたところで彼女が息を吹きかける。

身をよじる絢瀬さんを嬉しそうにからかう。

私たちにはあの笑顔が向けられることはない。
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:20:32.80 ID:dMKwlmVH0
呆れて前を向いた絢瀬さんのポニーテールを触りながら、真面目な表情で話しかける。

なんの話をしているのかな。

勉強?遊び?やっぱり部活?

二人の間に何があるのかは誰にもわからない。

女同士で付き合ってるのではないかとの噂もある。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:21:29.38 ID:dMKwlmVH0
私はあり得ると思う。火のないところに煙は立たない。

ほら、見えにくいところで手をつないでいる。

やましいから隠しているのだろう。勝手にそう解釈している。

それにしても外でやっちゃだめでしょ。

ファンの中にはそれを見て、悲しむバカがいるんだから。
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:22:01.91 ID:dMKwlmVH0
終わり
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 01:24:23.17 ID:sTmZLDpcO
他者視点でのイチャイチャっぷりも良い…
でも当然喜ぶファンばかりじゃないか
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 08:52:15.34 ID:wL8pMmaO0
喜ぶファン(俺ら)
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 18:24:24.71 ID:VTVQ2FX/0
『ポッキーゲイム』
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:25:02.56 ID:VTVQ2FX/0
μ’sの中で私に敵うものはいないチカ。

クラスでまたまたまた流行っているポッキーゲイム。

誰かが買ってくるたびに大会が開催される。

最初は恥ずかしいから断ったけれど、10人くらい集まって来ちゃって結局やる羽目に。
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:25:33.90 ID:VTVQ2FX/0
みんなとっても喜ぶし、相手の頬を赤く染めるのは楽しかった。

さらに、ポッキーはチョコと勝利の蜜を与えてくれる。

あくることなくポッキーを買ってくる彼女たち。

無敵の私に挑んでくる乙女たちを撃退し続けた。
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:26:02.44 ID:VTVQ2FX/0
向かう所敵なしの私は当然、部活にポッキーを持って行った。

一年生は咥えたポッキーを相手の口に当てただけで降参した。

真姫はトマトになっていた。

二年生は危なかった。海未が止めに入らなければことりに負けていたかもしれない。

あの子底が知れなくて怖いのよね。
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:26:30.28 ID:VTVQ2FX/0
にこは感謝の言葉責めで撃破。

「〇〇の〜なところ好きよ。」は数々の戦いで編み出した必殺技なのであった。

後輩たちは私に対する敬意を再確認したようだった。

ファンたちはクールビューティーに惚れ直した。

確実にみんなの好感度が上がっている。学校を歩く足も軽やかになる。

これが自己実現ってやつかしら?理想の姿と現実の姿が重なって行く。
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:27:10.82 ID:VTVQ2FX/0
残るはラスボス。ミーティングが終わった後、仕掛けた。

ポッキーを隠し持ち、対面座位になるように彼女の膝に座る。

すでに勝負は決まったも同然だ。

「希。ポッキーゲイムしましょう。」

メンバーの視線が集まり、期待が増して行くのを感じるわ。
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:27:40.51 ID:VTVQ2FX/0
「え〜。普通に嫌やな〜。」

いきなり心を折りにくるパンチが入る。そこまで言うことないじゃない。

希が腰を支えてくれないから落ちないように肩を掴む。

何度か勝負のお願いをしても曖昧な返答しかしない。
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:28:43.75 ID:VTVQ2FX/0
強硬手段ね。強引に片手を首にかけて抱きしめ、もう片方の手でポッキーの箱を取り出す。

希を抱きしめて安定性を保ったまま袋を破り一本引き抜く。

箱と袋はふんふん言っている花陽に渡した。

チョコの部分を咥えて肩に手を置きなおす。チョコは譲れないのよ。
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:29:15.49 ID:VTVQ2FX/0
照れているのか困り顔の彼女。

意外と弱いかも知れないわね。

「んほひ」

「やりたくない。アホなことはやめて。」

顔を背けてしまう。でももう後に引けないのよ。観念しなさい。
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:34:01.10 ID:VTVQ2FX/0
このままではポッキーがふやけてしまうわ。

彼女の頬に手を添える。グイグイとこちらを向かせようとする。

ポッキーの端を口元に寄せる。んむー。

「やってやりなさいよ。」

にこ、ナイスアシストよ。諦めたように彼女はポッキーを咥える。
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:35:06.45 ID:VTVQ2FX/0
ぽりぽりと食べ進める。すぐに鼻が当たりそうになる。

嫌に緊張した。私なにやっているんだろうって。

唇にポッキーを当てたまま、動けなくなる。

どうしよう。

目が逢う。

閉じられる。

触れるのを感じる。吸い付くように張り付く。柔らかく潰れる。

余韻を味わうようにゆっくりと唇を離す。
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:35:36.78 ID:VTVQ2FX/0
コツンと頭をぶつける。相手の目を直視できない。

「ごめんなさい。」

「だから嫌だって言ったのに。」

口の中のわずかに残ったポッキーを集めて飲み込む。

心地いい。彼女のそばから離れられなくて。酔いしれたようにぼーっとする。
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:36:03.92 ID:VTVQ2FX/0
「いい雰囲気のところ悪いけど、練習いくわよ。」

部長の声に照れ笑いを浮かべ立ち上がる。

自分の荷物を手に持って、彼女の方を盗み見る。

花陽のポッキーをムシャムシャ食べている。

おどけたようにメンバーにタッチしながら部室を出る。

あーあ。
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 18:36:45.12 ID:VTVQ2FX/0
終わり
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 19:08:40.98 ID:c0NZIjLUO
それをみてまわりがギャーギャー騒がないようなふうふっぽさがたまらなくイイ、イイ
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 21:06:35.04 ID:DXR11iarO
天狗なえりちがのんたんにしてやられたのかと思った
でも照れ隠しなのかも
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 22:59:33.40 ID:BVgzbA3wO
しっかり目を閉じてするのが良いね
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 10:58:03.21 ID:yQGbY/a60
『お邪魔しまーす』
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 10:58:37.59 ID:yQGbY/a60
「お邪魔しまーす。」

ウチに続いて彼女が部屋に入る。傘をたたんで立てかける。

二人が立つには狭い玄関。カバンを置き、彼女の肩を借りて濡れた靴と靴下を脱ぐ。

爪先立ちで洗面所に向かう。そこででタオルを取り出す。

玄関で突っ立っている彼女にそれを投げる。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 10:59:10.53 ID:yQGbY/a60
足を拭いて靴下を干す。彼女のも受け取って横に並べる。

二人で並んで手を洗う。ハンドソープを譲り合う。

二つのブレザーをハンガーにかける。今日は天気雨だったからそんなに濡れていない。

リビングに行き、椅子に座って向かい合う。
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 10:59:42.38 ID:yQGbY/a60
「お菓子ある?私カントリーマウムあるわ。三つ。」

彼女は足をぶらぶらと揺らしながらカバンを漁る。餌付けされたんやろうなぁ。

ウチもバイト先でもらった煎餅がある。

「えりち飲み物いる?」

「水でいいわよ。」

煎餅をカウンターに置く。ウォーターサーバーからコップに水を注ぐ。

テーブルまでコップを運ぶ。彼女が煎餅を持って行く。
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 11:00:38.59 ID:yQGbY/a60
歩くたびにペタペタと音がなる。

席について足を揺らす。カントリーマウムの分け方を話しながら相手の足を軽く蹴る。

しっとりすべすべ。ちゃんとケアしてるやん。

とりあえず煎餅を食べる。えりちには不評みたい。
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 11:01:12.25 ID:yQGbY/a60
彼女はカントリーマウムを食べて席を立つ。

ベットに背を預けて座る彼女。煎餅美味しいのにもったいない。

「こっち来て、希。」

ゆっくりと立ち上がりお菓子のゴミを捨てる。

スマホをいじる彼女の横に座り込む。わざわざ隣に来たのに何かあるわけでもない。
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 11:01:42.14 ID:yQGbY/a60
どちらともなく口を開く。自分たちの作詞の話。

いまいち恥ずかしくて他の人には相談できない。

彼女がゴロンと横になる。投げ出された脚がウチの脚の上に重ねられる。

太ももを揉み揉みマッサージ。いい筋肉している。
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 11:02:12.20 ID:yQGbY/a60
「スカートにシワついちゃう。えりち。立って。」

億劫で後回しにしていたけど、ダメやんね。

「すぐ帰るからいいわよ。」

本人がそう言うならいいかな。

一人で過ごすには広い部屋。ゆっくりしていってほしいなぁ。口には出さないけど。
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 11:02:45.80 ID:yQGbY/a60
目の前の脚を眺める。

「えりち足の爪伸びてるやん。切ってあげようか?」

自分でやると言うが、やらなさそうなので爪切りを持って来た。

パチンパチンと音が響く。ちょっと足が強張っている。小さいけど刃物だからね。

はい終わり。落ちた爪を集めてゴミ箱へ。
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 11:03:15.51 ID:yQGbY/a60
「少し寝てもいい?」

「ベット使ってええよ。」

昼寝をすると一人でいる時間が増えるから一緒に寝ない。

うとうとしている彼女。髪留めを受け取ってテーブルへ。

課題でもやろうかな。眠る彼女に目をやる。

やっぱり本でも読もうかな。ベットの脇に座り込む。何時に帰っちゃうのかな。
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 11:03:44.44 ID:yQGbY/a60
終わり
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 14:43:12.18 ID:z3wn+jpjO
そのまま泊まっちゃえ
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 15:49:21.88 ID:szWXQ1Kso
この夫婦感最高
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/01(月) 06:38:38.77 ID:6bF8K+3I0
『お弁当』
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:39:11.99 ID:6bF8K+3I0
最近お昼を一緒に食べないことが増えた。

ユニットで集まるらしい。

ユニットでの練習がひと段落した後も、お昼には弁当を持って部室に行ってしまうようになった。

ウチはクラスの子と関わることが増えた。別に居心地の悪さは感じない。

でも、彼女が教室を出て行くときに胸が締め付けられる。

ウチ一人が置いてきぼりにされたようで、疎外感を感じる。

なんで行ってしまうの?ウチと一緒じゃ嫌?もしかしてウチのこと避けてる?
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:39:52.81 ID:6bF8K+3I0
LINEのやりとりも減った気がする。

ちょっと前までは夜遅くまでした長電話のおかげで寂しくならなかった。

前はよくお弁当を食べさせあったりしたよね。

変に周りの目を気にしてあなたは嫌がったけれど、好きなおかずがあるときは積極的だった。

ウチの機嫌が良くなるから。
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:40:20.82 ID:6bF8K+3I0
始めは互いの箸に口をつけないように気をつけてたよね、

自分の箸で触れたものは相手にあげなかった。

いつからか全く気にしなくなったけれど。いや、ウチは今でも気にしている。

向かい合って食べているとあなたの視線はお弁当に集中する。

ウチが見つめていると顔を上げて照れたようにはにかむ。

食べてる姿が好きなだけで、大食いとか思っているわけではないよ。
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:41:11.44 ID:6bF8K+3I0
毎日一緒にいるのに話題が尽きることもない。

今となっては何を話していたのかあまり覚えていないけれど。

ウチのお弁当をよく褒めてくれた。

その言葉を期待して無理に早起きなんてしちゃってさ。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:41:38.60 ID:6bF8K+3I0
えりちのお弁当が羨ましいと言うと、自慢げに家族の話をするのだ。

亜里沙ちゃんはピーマン苦手らしい。

そう話すお姉さんはピーマンの肉詰めをドヤ顔で食べていた。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:42:04.73 ID:6bF8K+3I0
どうしてもお弁当が作れないときは一緒に購買まで行った。

わざわざついてこなくても良かったのに。

今は一人で階段を降りる。お弁当を作る頻度も減った。
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:42:50.67 ID:6bF8K+3I0
キューティーパンサーは部室に集う。混ざりに行けばいいのに足が重い。

三年組になったら真姫ちゃんが部室に来づらくなってしまうかもしれない。

それに、えりちに会いに行くのが怖くて。

ウチが彼女に好意を持っていることを知られた可能性もある。

彼女ノンケっぽいし。気持ち悪いと思われたら。
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:43:18.09 ID:6bF8K+3I0
お昼に一緒にいないだけ。それなのに、彼女に話しかける以前に戻ったようだ。

もう一度、小さな勇気を出してみようかな。

明日、昼食に誘おう。

にこっちにも一言お願いしておこ。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 06:43:49.18 ID:6bF8K+3I0
終わり
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 07:10:56.96 ID:auMayUYb0
病んでる感じも良いっすね
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/01(月) 07:57:43.59 ID:6bF8K+3I0
『保健室』
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 07:58:12.92 ID:6bF8K+3I0
「保健室行くわよ。あとで先生には言っておいてあげるから。」

今日の希は具合が悪そう。時期的にも生理かしらね。

無理して頑張ってしまう子だから、あからさまに辛そうにはしないけれど。

生理の時は私が世話を焼いている。一番そばにいるし。

頼られるのは気分が良い。
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 07:58:43.59 ID:6bF8K+3I0
えーとかうーとか呻く彼女を立ち上がらせて連れて行く。

手を握って廊下を歩く。彼女はゆっくり進む。

この手に下心がないわけではない。これくらいの報酬があってもいいでしょう?

彼女がどんな顔をしているのか、わからないから後ろは振り向かない。抵抗しないならいいのよね。
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 07:59:09.90 ID:6bF8K+3I0
保健室までの道。いろんなことを考える。

彼女の手を握っていると頭の回転が速くなる。

大抵はどうでもいいことばかりだけれど。

今日は彼女に特製ボルシチ作ってあげようかしら。あったまるのよ。

材料は希の家に一度帰ってから買い出しに行きましょう。

また行くからちょっと多めに買おうかしら。おやつも買って彼女の家におこう。
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 07:59:35.54 ID:6bF8K+3I0
保健室に到着。先生に話を通してベットを借りる。

生徒会やっていると先生と親密になれるのよ。

授業前までここにいよう。

「ありがとな。えりち。」

好きでやっているのだからいいのよ。
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 08:00:06.85 ID:6bF8K+3I0
布団の下から手が出て来る。それを優しく両手でとる。

少し顔の青い彼女が満足そうにこちらを見る。

死に際に立ち会っているみたいになっちゃったわね。

外から見えないように医療用カーテンを閉める。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 08:00:33.38 ID:6bF8K+3I0
生理中の彼女は私を頼る。というか甘えてくれる。

それが嬉しくてこの時期が好き。本人には言えないけど。

彼女の頭を撫でる。心地よさそうに目を閉じる。

寝てる人がいるとつい撫でたくなるのよねぇ。可愛い妹がいるせいかしら。
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 08:01:17.14 ID:6bF8K+3I0
スマホを確認。もうちょっとしたら行かなきゃ。

布団の上に頭ごと倒れかかる。彼女は何も言わない。

「私もここで寝て行っていい?」

「だめ。」

今度は私の頭が撫でられる。これって幸せな気持ちになれるのね。
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 08:01:51.99 ID:6bF8K+3I0
彼女と目があうと自然と笑みがこぼれる。嫁にこないかしら。冗談よ。

「そろそろ行かんと。ウチを遅刻の言い訳にしちゃダメだからね。」

動きたくないわね。頭をポンポン、急かされる。

思いを振り切るように勢いよく立ち上がる。
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 08:02:26.86 ID:6bF8K+3I0
「放課後迎えに来るから。」

「うん。」

先生に挨拶して保健室を出る。

早足で教室に戻る。素早く授業の用意をする。自分と彼女の帰り支度もしておく。
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 08:03:20.36 ID:6bF8K+3I0
あと2時間もあるのね。
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 08:03:47.78 ID:6bF8K+3I0
終わり
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