勇者「集え!我らアリアハン高校野球部!」

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45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 20:52:56.83 ID:aeSz3VKQO
つづく
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 18:23:09.28 ID:ymIbT11YO
───1年黄組

勇者「このクラスに経験者が一人いるらしい」

武闘家「4人目か。まだまだ先は長そうだな」

魔法使い「うん。でも頑張ろ……ってあれ!?さっきの時間なかったことになってない!?」

勇者「名前は商人というらしい」

魔法使い(あれ?無視された?)

武闘家「商人だと!?」

勇者「知っているのか?」

武闘家「同じ中学だった。家が金持ちで欲しいものなら金に糸目をつけない男だ」

勇者「金持ちか。羨ましいぜ」

魔法使い(なかったことにするんだね?その体でいくんだね?了解)
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 18:36:46.42 ID:ymIbT11YO
武闘家「だが性格に難がある。ありがちなわがまま坊っちゃんだ。部活動に励む姿はどうも想像がつかん」

魔法使い「そんな人が野球をやっていたの?」

武闘家「野球は儲かるからな。観戦料をとったり選手のグッズを売ったり賭博したり」

勇者「商人の金の出どころは野球ってことか?」

武闘家「そう。やつの親は大手芸能プロダクション、ショニーズ事務所の社長だ」

魔法使い「ショニーズだって!?」

勇者「なんだそれ?」

魔法使い「イケメンタレントを使って野球リーグを作っている会社だよ」

勇者「プロのリーグとは違うんだな」

魔法使い「そりゃそうだよ。お客さんなんて女性ばかりだし、野球というよりイケメンを観に行くようなものだよ」

武闘家「あんなもの競技ではない。ただのエンターテイメントだ」

勇者「それでなんで商人が野球を?」

武闘家「やつ自身もスター選手に憧れ、父親のコネでショニーズ所属のタレントとして野球を始めた」

勇者「金や名誉のためか。不純だな」

武闘家「俺もやつは好かん」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 18:42:07.54 ID:ymIbT11YO
商人「あれー?武闘家じゃん。久しぶりー」

勇者「こいつか。軽そうなやつだ」

武闘家「今日は頼みがあってきた」

商人「なに?お金?」

武闘家「野球部に入ってくれ」

商人「え?やだよ。俺自分のチーム持ってるし」

武闘家「だそうだ」

勇者「仕方ない。諦めよう」

魔法使い「だんだん諦めるの雑になってきてない!?」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 18:49:28.73 ID:ymIbT11YO
商人「あっ!ルイーダちゃん!」

勇者「え?」

ルイーダ「どうも。苦労しているみたいね」

勇者「まあな。曲者しかいないよ」

商人「ルイーダちゃん、こいつらと知り合いなの?」

ルイーダ「クラスメイト」

勇者「お前商人と知り合いだったのか」

ルイーダ「私の常連客……というより金づるね」

商人「相変わらずキツいね。でもそこが可愛い!」

勇者「マゾかな?」

商人「ルイーダちゃん、今日のパンツの色は?」

ルイーダ「白」

商人「ウヒョォー!はい情報料」スッ

ルイーダ「どうも」

勇者「それが売る情報なのか……てか」

武闘家「……もうけたな」

勇者「ああ、タダで聞けた」

魔法使い(純白……)ゴクリ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 18:55:32.25 ID:ymIbT11YO
ルイーダ「やっぱり商人君も仲間に入れるの?」

勇者「そのつもりだったけどダメだってさ」

ルイーダ「そう。そんな気はしていたけど」

商人「ルイーダちゃん、今日お店行っていい?」

ルイーダ「あ、こら」

勇者「店?」

ルイーダ「そのことは公衆の面前で言うんじゃない。殺すわよ」

商人「ひっ、ゴメン」

魔法使い(パンツの色はいいの……?)

勇者「なあ、店ってなんだ?」

ルイーダ「詮索したら高くつくわよ」

勇者「なんだよ。別にいいよ。大して興味もねーし」

ルイーダ「……」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 19:03:18.86 ID:ymIbT11YO
───帰り道

ルイーダ「……」テクテク




魔法使い「……と言いつつ後をつけるんだね」

勇者「誤解するな。俺の帰り道だ」

武闘家「ならコソコソしないで堂々と歩け」

勇者「いやお前らこそなんでついてくるんだよ」

武闘家「今日は失敗続きだったからな。今後の部員勧誘方法を共に考えたいと思ってな」

魔法使い「僕も」

勇者「くそ、考えることは一緒かよ」

武闘家「ふっ、観念しろ」

勇者「仕方ない。絶対尾行バレるなよ」

武闘家「俺はそんなヘマはしない。気をつけるべきは魔法使いだ」

魔法使い「え?あ、うん」

勇者「じゃあ行くぞ」

武闘家「おう」

魔法使い「……」

魔法使い(本当に作戦会議だと思っていた僕って……)
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 19:04:29.79 ID:ubNrh6hLo
水商売ルイーダ
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/16(日) 19:13:36.64 ID:ymIbT11YO
───街中

勇者「おかしいな。いないぞ。ここを曲がったと思ったんだが」

武闘家「俺の目から逃れるとは……あの女只者じゃない」

魔法使い「ねえ、ここって……」

勇者「なんか……高校生が来るような場所じゃないな」

武闘家「ここで見失ったということは、この辺りの建物に入っていったということ」

勇者「商人が言っていた店ってこういうことかよ……」

武闘家「恥ずかしげもなく下着の色を言えるわけだ」

魔法使い「ルイーダさんが……?」

勇者「……見なかったことにしよう」

武闘家「ああ、他人が踏み込んでいい領域じゃない」

魔法使い「……」

勇者「じゃあまた明日。勧誘頑張ろうぜ」

武闘家「ああ」

魔法使い(結局作戦会議しないんだ……)
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 19:14:16.49 ID:ymIbT11YO
つづく
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 20:35:50.94 ID:scw1TXmz0

面白い
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 15:32:24.08 ID:PZeaSXSSo
賭博は某球団にとって不利益でしかなかったんですが
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:49:40.76 ID:lZL50EzVO
───次の日

ルイーダ「おはよう」

勇者「……おう」

ルイーダ「毎日気が滅入った顔で迎えられると気分がいいものじゃないわね」

勇者「……色々あるんだよ」

ルイーダ「早く野球部つくってくれないとこっちまで滅入ってきそうだわ」

勇者「だったら協力しろっての」

ルイーダ「仕方ないわね。また経験者の情報いる?」

勇者「金とるんだろ?」

ルイーダ「大した情報じゃないし、お昼奢ってくれたらいいわ」

勇者「結局とるんじゃねえか。まあ昼飯くらいなら……」シブシブ

ルイーダ「じゃあはい」スッ

勇者「役に立つ情報だろうな?」ペラッ



『勇者・武闘家・魔法使い:ストーカー癖あり』
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 22:58:01.54 ID:lZL50EzVO
勇者「ギョッ!?」

ルイーダ「昨日の帰りに可愛い女の子の後をつけていたらしいわよ」

勇者「あわ……あわわ……あれは……その」

ルイーダ「その子は怖くて怖くて夜眠れなかったらしいわ。可哀想に」

勇者「……悪かった」

ルイーダ「お昼で許してもらえるんだからラッキーよね」

勇者「気づいていたのか?それとも情報網から……?」

ルイーダ「詮索しない」

勇者「あんなところに入り浸るのやめろよ」

ルイーダ「あなたには関係ない」

勇者「……」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 23:08:23.04 ID:lZL50EzVO
───

魔法使い「今日はどうする?お昼休みに勧誘行く?」

勇者「悪い。俺ルイーダに昼飯奢んなきゃいけないから放課後にしようぜ」

武闘家「奢る?なぜだ?」

勇者「尾行バレていたんだよ。そんで俺だけペナルティ」

魔法使い「え……」

武闘家「俺の尾行がバレていただと……?」

勇者「バレバレだし見失うし変な場所見せられるし奢らされるし散々だよ」

魔法使い「なんか悪いね。僕が代わりに行こうか?」

勇者「いいって。元々俺が仕出かしたことだし」

魔法使い「まあ女の子と一緒にご飯食べられると思えば……」

勇者「あいつでそんな気分になるかよ。ただでさえ昨日のことが頭に残ってんだ」

武闘家「あまり考えるな。では俺たちだけで今後の方針を考えておこう」

勇者「悪いな」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 23:21:22.75 ID:lZL50EzVO
───昼休み・屋上

魔法使い「どうにかして経験者には入ってもらわないと」

武闘家「弱みを握って脅すというのは?」

魔法使い「ダメに決まっているじゃないか!?」

武闘家「策略を練るのは俺には向かん」プイッ

魔法使い「開始5秒で不貞腐れないでよ……」

武闘家「……む?」

魔法使い「どうしたの?」

武闘家「誰か来る!隠れろ!」

魔法使い「……なんで?」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/17(月) 23:37:09.71 ID:lZL50EzVO
ガチャ

盗賊「ここが屋上ッスか」

?「ああ。誰もいないからよく利用している」

盗賊「さすが先輩。物知りッスね」

?「まあな」シュボ

盗賊「俺、先輩にずっとついていくッス」

?「ふっ、俺なんてお前が思っているより小さい男だ」プハー

盗賊「何言ってんスか。そんなもん簡単に盗めるのは先輩しかいないッスよ」

?「俺が作ったピッキングツールさえあれば教員ロッカーから盗むくらいわけない」プハー

盗賊「さすがッスね。バコタ先輩」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 23:37:56.38 ID:lZL50EzVO
つづく
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 21:10:37.87 ID:PNqp07zKO
コソコソ

武闘家「あれはうちのクラスの盗賊か。クラスに顔を出さないと思ったら不良仲間とつるんでいたのか」

魔法使い「ねえ、なんで隠れたの?何もやましいことしていないのに」

武闘家「癖だ」

魔法使い「なんの!?」

武闘家「それよりやつらだ。タバコという上級生がバコタを盗んだらしいぞ」

魔法使い「……逆じゃないかな」

武闘家「見過ごせんな」スッ

魔法使い「関わるの?やめようよ」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/19(水) 21:17:41.37 ID:PNqp07zKO
盗賊「俺にも一本ください」

バコタ「お、吸えるようになったのか」

盗賊「試してみたいッス」

バコタ「いいぜ。ほら」シュボ

盗賊「……」ゴクリ

バコタ「……」

盗賊「……」プルプル

バコタ「やめとくか」

盗賊「くそ……やっぱり俺にはまだ無理ッス」

バコタ「こういうもんは怖い思いしてまで吸うもんじゃねえよ」プハー

盗賊「でもバコタ先輩は中学の頃から吸っているのに」

バコタ「だから無理に吸うもんじゃねえんだ。格好つけるためだけだってならやめておけ」プハー

盗賊「は、はい……ん?」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/19(水) 21:21:39.90 ID:PNqp07zKO
ガチャ

教師「こらー!バコター!俺のタバコを……またお前かー!」

バコタ「げ、やべ」

教師「お前というやつはー!停学だー!」

バコタ「ちっ……あれ?」

教師「どうした?」

バコタ「……なんでもないッス」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/19(水) 21:33:08.54 ID:PNqp07zKO
コソコソ

魔法使い「先生に見つかったみたい。停学だって」

武闘家「自業自得だ」

魔法使い「でも捕まったのはバコタさんだけだね。盗賊君は……?」

盗賊「危ねー……」ヒョコ

武闘家「!?」

魔法使い「ひっ」

盗賊「なんだお前ら。こんなところに隠れているやつらがいたのか」

魔法使い「いつの間に後ろに……」

盗賊「危機察知と逃げ足と気配を消すのには自信がある。俺は今まで悪さしても見つかったことがない」

武闘家「この俺の目から逃れただと……?」

魔法使い「昨日からその目あまり活躍していないよね」

盗賊「あーあ、これからどうするかな。バコタ先輩は捕まっちまったし……」

武闘家「バコタは口を割らなかったな」

盗賊「優しい人だからな。憧れるぜ」

魔法使い(この人不良だけどそんなに悪い人じゃないのかな)

武闘家「やつが帰る前に何かやれることがあるんじゃないか?」

盗賊「……」

武闘家「隠蔽とはいえお前を守ったんだ」

盗賊「……そうだな」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/19(水) 21:44:51.55 ID:PNqp07zKO
───校門

バコタ「……ふう」

バコタ「新学期早々停学か。そろそろ卒業も危ういかもな」

盗賊「バコタ先輩!」

バコタ「お前……」

盗賊「すみません。俺、また一人で逃げちまって……」

バコタ「あんな簡単に見つかっちまって、俺は格好悪いな」

盗賊「先輩は格好いいッス!」

バコタ「……」

盗賊「俺が今まで教師に目をつけられなかったのは、先輩が自分に目を向けさせていてくれたお蔭だってわかっているッス!」

バコタ「……悪いな。もう守ってやることも……」

盗賊「見ていてくださいッス!」シュボ

バコタ「お前それ、さっきの一本……」

盗賊「ゲホッゲホッ……どうッスか。俺だってもう一人前ッスよ!ゲホッオエッ」

バコタ「……ああ。何も心配いらねえな」

盗賊「今までありがとうございましたゲホッ!」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/19(水) 21:48:34.99 ID:PNqp07zKO
───

魔法使い「……ねえ。何あれ」

武闘家「茶番というやつではないか?」

魔法使い「停学だったらいつでもまた会えるよね」

武闘家「そうだな」

魔法使い「タバコ吸って一人前とか頭おかしいのかな」

武闘家「そうだな」

魔法使い「なんで彼の背中を押したりしたのさ」

武闘家「これでいいんだ」

魔法使い「何がだよ」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/19(水) 21:54:40.42 ID:PNqp07zKO
───

盗賊「……ん?」

武闘家「無事別れはできたようだな」

盗賊「ああ、お前のお蔭だ。ありがとよ」

武闘家「そんなことはいい。それよりこいつを見てくれ。どう思う?」スッ

盗賊「ん?」



『俺にも一本ください』



盗賊「!?」

魔法使い「こ、これは……」

武闘家「……」



『見ていてくださいッス!』シュボ



盗賊「まさかこれ……」



『ゲホッゲホッ……どうッスか。俺だってもう一人前ッスよ!ゲホッオエッ』



魔法使い「盗撮じゃないか!?」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/19(水) 21:59:34.57 ID:PNqp07zKO
盗賊「……」

武闘家「現場はきっちり押さえた。これを教師に見せればお前も晴れて停学だ」

魔法使い「いつの間に……」

盗賊「……俺を売るのか?」

武闘家「野球部に入れ」

魔法使い「!?」

盗賊「は?なんで俺が……」

武闘家「いいんだな?バコタが身を呈して守った全てが台無しになるぞ」

魔法使い「脅迫じゃないか!?」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/19(水) 22:06:14.36 ID:PNqp07zKO
盗賊「くそ、わかったよ」

武闘家「いい子だ」

魔法使い「なんてことを……君にはプライドがないの?」

武闘家「そんなものは目的を達成する上ではゴミ同然」

魔法使い「いやそれあのときと状況違うし意味おかしいよ!格好よく言ったつもりだろうけど滅茶苦茶格好悪いよ!」

武闘家「策略を練るのは俺には向かん」

魔法使い「嘘つけ!手慣れてるだろ!」

武闘家「弱みを握って脅すだけ。簡単だろう?」

魔法使い「黒い……ここの人たち皆黒いよおおおおおお!」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 22:06:45.64 ID:PNqp07zKO
つづく
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 22:21:14.06 ID:ajtbq5/yO
エジンベア高校は大都会の高校なんだろうか?
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 22:42:22.35 ID:1M82eN3x0

バコタ捕まるとこもやるんか
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 17:25:12.55 ID:VbMtHnlYO
そういやゲームではほぼ名前だけのキャラだったよな
何のために登場したんだ?
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 22:47:47.54 ID:UxUGQJGyO
───屋上

ガチャ

勇者「……あれ?誰もいない」

勇者「昼休みには誰かいるって言ってたのに」

勇者「おいおいガセネタか?ジュース奪っておいてそりゃねえぞ」

ガチャ

魔法使い「あ、勇者君」

勇者「あれ?お前らも来たのか」

武闘家「なぜお前がここに?」

勇者「前にルイーダから昼休みに経験者の誰かがいるって聞いたから、どんなやつか見ておこうと思って」

魔法使い「ああ、多分盗賊君のことじゃないかな」

勇者「盗賊ってうちのクラスのか?何かあったのか?」

魔法使い「実は……」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 22:54:18.55 ID:UxUGQJGyO
───

勇者「へえ、一人ゲットしたか。俺のいない間によくやった」

魔法使い「褒められたもんじゃないよ。ほとんど犯罪なんだから」

武闘家「犯罪であろうと、やつにはあれくらいしなければならなかったんだ」

魔法使い「え?」

武闘家「やつは居場所を失っていた。道標を失い孤独になり、暗闇が残るだけになった」

魔法使い「……」

武闘家「だから無理矢理にでも引き入れなければ、やつはどんどん闇へ堕ちていき……手遅れになる」

魔法使い「武闘家君……」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 23:05:12.36 ID:UxUGQJGyO
武闘家「俺はやつを救うために野球部を利用したんだ……すまない」

魔法使い「でも君バコタさんが捕まる前から盗撮していたよね。最初から脅す気だったよね」

武闘家「盗賊はリードオフマンの適性が当てはまると思うのだが、どう思う?勇者」

魔法使い「無視!?」

勇者「話だけ聞くとそうみたいだな。経験者なんだしいいじゃねえか」

武闘家「俺の目に狂いはない」

魔法使い「……」

勇者「そんでその盗賊はどこ行ったんだ?」

武闘家「馴れ合うのが嫌いらしい。根っからの一匹狼だと言っていた」

魔法使い「おもいっきり先輩にベタベタしていたけどね」

勇者「おいおい、そんなんで大丈夫か?」

武闘家「部が成立したら姿を見せるだろう。逃げられはしない。問題ない」

魔法使い「チームスポーツなんだよなあ……」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 23:25:07.07 ID:UxUGQJGyO
武闘家「これで4人集まった。校長に届を出せばいいのだな?」

勇者「でも申請するには本人のサインがないと認められないぜ」

武闘家「くっ、不覚。名前を書かせ忘れた」

勇者「まあ早く部にしたいところだよな。部室が欲しいよ」

武闘家「ああ。部にならなければ活動もままならない。学校に残っているかわからんが放課後探しにいくか」

魔法使い「それより他の人を勧誘しに行かない?盗賊君を当てにしてもちょっと不安だよ」

勇者「うーん、まあいいか。どうせ集めなきゃなんないし」

武闘家「簡単に捕まりそうなやつがいればだが」

魔法使い「戦士君誘わない?彼なら入ってくれるかもよ」

勇者「あいつか……うーん」

魔法使い「戦力云々は置いておいてさ、とりあえず部員は欲しいじゃない」

武闘家「役に立たないだけならまだしも、あんな肉塊が入ってきたら部室が狭くなる」

魔法使い「君登場時そんなクズキャラだったっけ?」

勇者「仕方ない。一応誘っとくか」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 23:25:39.30 ID:UxUGQJGyO
つづく
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 23:54:16.80 ID:ER09oNAnO
どうなるかな
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:14:03.95 ID:qRkWH0+MO
───放課後

勇者「またいないってよ」

魔法使い「まだ他の部活に狙われているのかな」

武闘家「メッキはすぐに剥がされる。あの人気も長くは続かんだろう」

勇者「探しにいくか。あんだけ目立つならすぐ見つかると……」



「キャー!」



勇者「なんだ?」

魔法使い「女の人の叫び声だ」

武闘家「事件か。行くぞ」

勇者「やれやれ。さっさと解決して仕事に戻りますか」

魔法使い(僕たちって一体……)
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:24:12.10 ID:qRkWH0+MO
───調理室

勇者「この辺りから聞こえたぞ」

武闘家「中の部屋が騒がしい。ここで間違いない」

魔法使い「調理室……?」

ガラッ

魔法使い「誰か出てきた」

調理部員「た、助けて」

勇者「何があったんだ?」

調理部員「彼が……」

勇者「彼?」

武闘家「おい……あれは」



戦士「はあ……はあ……」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:36:33.25 ID:qRkWH0+MO
魔法使い「戦士君!?なんで彼が!?」

武闘家「なんて光景だ。部屋中血まみれではないか」

勇者「見ろ。包丁持っていやがる。あいつの仕業だ」



戦士「う、うおおおおお!」ブルン



勇者「鍋の熱湯ぶちまけてきた!」

武闘家「避けきれ……!」

ビシャア

魔法使い「ぎゃあああああ!」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:52:06.70 ID:qRkWH0+MO
勇者「熱いいいいい!」

武闘家「水!水!」タッタッタッ



戦士「うおおおおお!」ヒュン



魔法使い「今度は包丁だ!?」

勇者「武闘家危ねえ!」

ザクッ

武闘家「か……」

タラー

武闘家「……間一髪」

魔法使い「包丁投げて壁に……僕らに水を使わせない気だ」

勇者「それどころか武闘家殺されかけたぜ。野郎……」

武闘家「やつの本性が見えてきたな。散々バカにされて発狂したか」

勇者「まずいな。戦士の手元にはまだ熱湯が残されている。迂闊に近づけないぜ」



戦士「はあ……はあ……」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:56:52.47 ID:qRkWH0+MO
?「僕が行く。君たちは下がれ」

勇者「ん?」

魔法使い「誰?」

調理部員「遊び人君逃げて!体験入部中のあなたが怪我でもしたら……」

勇者「遊び人?」

遊び人「先輩もそこから動かないでください。彼は調理部の体験入部仲間だ。僕が止めてみせます」

調理部員「遊び人君……」

勇者「遊び人……どこかで聞いたような」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 23:57:30.38 ID:qRkWH0+MO
つづく
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 23:58:27.23 ID:UdMBfaBLO
やめろ遊び人!
やつの尻を撫でて止めるつもりか!?
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:12:26.25 ID:6HDDXniXO
遊び人「戦士君、落ち着いて」テクテク

勇者「おい、そんな悠長に……」

遊び人「大丈夫だから」テクテク

武闘家「あの怪物は高熱の全体攻撃と全てを切り裂く殺傷攻撃を使い分けてくる。近づいては危険だ」

遊び人「僕を信じて」テクテク



戦士「うおおおおお!」ブルン



魔法使い「来たよ!極熱熱湯シャワーアタックだ!」

遊び人「……」テクテク

武闘家「あんな素人の動きでは避けようがない!」

ビシャア

魔法使い「ああ……」

勇者「まともに浴びち……ん?」

遊び人「僕にはかからなかったよ。ラッキー」

武闘家「バカな。あれほどの飛沫を浴びなかっただと?」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:17:41.22 ID:6HDDXniXO
遊び人「さあ戦士君」スッ

ペタッ

勇者「なんだ?札を戦士に貼ったのか?」

戦士「あ……あ……」

遊び人「眠れ」

戦士「う……」バターン

勇者「!?」

武闘家「な……」

戦士「」 ピクピク

遊び人「ふう」

勇者「大人しくなったと思ったら倒れた……?」

魔法使い「何あれ……なんの呪術だよ」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:29:14.38 ID:6HDDXniXO
調理部員「あ、ありがとう遊び人君」

遊び人「先輩の美しい肌が荒れずに済んで何よりです」ニコッ

調理部員「やだもう……」ポー

勇者「キザなやつだな」

武闘家「だがそれを裏付けるあの甘いマスク。女はひとたまりもあるまい」

魔法使い「そんなどうでもいいことより一体君は何をしたの!?あの戦士君を止めるなんて」

遊び人「彼の傷口に絆創膏を貼ったのさ」

勇者「は?絆創膏?」

遊び人「血が止まってようやく落ち着いたようだ。疲弊していたからそのまま眠ったんだ」

勇者「どういうことだよ。じゃあこの部屋の血は全部戦士のなのか?」

魔法使い「こんな大量の血が一人分なわけないよ。さすがに被害者は出たって」

遊び人「いいや。他の部員の先輩方は無傷で避難させたはずだよ」

勇者「じゃあ一体……」

武闘家「ペロッ……これはケチャップ!」

魔法使い「んなベタな……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:36:36.39 ID:6HDDXniXO
遊び人「彼は絶望的に料理が下手だった。包丁を滑らせて指を切り、慌てた拍子に滑って近くにあった大量のケチャップを撒き散らせ、熱湯消毒をしようとして鍋を滑らせてしまったんだ」

魔法使い「いやおもいっきり鍋を投げてきたじゃないか」

遊び人「滑らせてしまったんだ」

武闘家「俺の顔に包丁まで投げてきた」

遊び人「滑らせてしまったんだ」

魔法使い「……」

武闘家「……」

勇者「料理が下手ってレベルじゃねえぞ。なんだよこの惨状」

武闘家「不器用にも程がある」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:46:50.40 ID:6HDDXniXO
遊び人「君たちは戦士君の知り合いのようだね。僕はここを片付けなきゃならないから彼を保健室に連れていってやってくれないか?」

勇者「いいけど別に知り合いじゃねえぞ」

遊び人「そうなのか。君は良い人だ。また会いたいね。僕は1年緑組の遊び人」

勇者「1年青組の勇者だ。そっちが魔法使いと武闘家」

遊び人「覚えておくよ」

調理部員「遊び人君もまだ体験入部中なのにありがとう」

遊び人「先輩だけに後始末させるわけにはいきませんよ。男として」

調理部員「遊び人君……正式に調理部に入ってくれないかな?」

遊び人「すみません。ここも本当に居心地が良かったのですが、他の部も体験してみたいので」

調理部員「そう……ならせめて連絡先を交換させて」

遊び人「喜んで」ニコッ

調理部員「やった!」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:57:27.46 ID:6HDDXniXO
魔法使い「……」

武闘家「さっきから見すぎだぞ魔法使い。嫉妬か?それともそっちの気があるのか?」

勇者「あの先輩結構可愛いもんな」

魔法使い「ち、違うし!羨ましいなんて少ししか思ってなくもないこともないわけじゃないし!」

武闘家「お?お……うん?」

魔法使い「そうじゃなくてあの遊び人君、どこかで見たことがある気がするんだ」

勇者「俺も名前をどこかで……あ!」

武闘家「どうした?」

勇者「ルイーダメモだ……あいつ野球経験者だ」

武闘家「なに?では魔法使いが見たというのも?」

魔法使い「うーん、それとは違うような。野球とは関係ない場所で見たような……」

勇者「まあそのうち思い出すだろ。それより勧誘したいところだが戦士を運ぶのが先だ」

武闘家「3人でやっと運べそうなサイズだからな」

魔法使い「でも彼が経験者だってわかって良かったよ。顔見知りにもなれたし今度誘ってみよう」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 14:58:43.63 ID:6HDDXniXO
つづく
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 15:47:59.98 ID:uSzXig1Vo
遊び人イケメンかよ
武闘家とか戦士は公式絵でもしっくりくるけど魔法使いは爺さんだよな
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/22(土) 16:12:19.50 ID:k7Y3gNTSO
なにこれおもしろい
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 19:43:17.59 ID:7ZJlbrM/0
そっちの意味の遊び人ってか
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 09:52:41.79 ID:0oFIyq4A0
ドラクエ3の職業だけで、9人集まるか疑問なんだが・・・
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:01:55.91 ID:pZk8ZFnNO
───保健室

戦士「うーん……」パチリ

保健教諭「おお戦士、意識が戻ったか。失神してしまうとは情けない」

戦士「……そうか。また保健室のお世話になっちゃったか」

勇者「まったく。料理してあんな暴れるやつ初めて見たぜ」

戦士「君たちは?」

武闘家「覚えていないか。よほどの興奮状態だったのだろう」

魔法使い「僕たちは調理室で気を失った君を運んできたんだよ」

戦士「そうか……ありがとう。迷惑をかけたね」

魔法使い「迷惑なんて……」

戦士「いいんだ。この身体だから色々求められるんだけど、何をやってもすぐに化けの皮が剥がれて見限られてきた」

勇者「……」

戦士「ただでかいだけの戦士が必要とされたことなんて一度もない。部活はもう諦めるよ」

勇者「じゃあ野球部入れよ」

戦士「え?」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:13:28.85 ID:pZk8ZFnNO
勇者「俺たちは野球部だ」

戦士「でも……」

勇者「必要とされたいんだろ?俺たちはお前を必要としている。ちょうどいいじゃんか」

戦士「でも……でも……」

勇者「野球経験者なんだろ?」

戦士「でも俺絶対また下手こくし……」

保健教諭「そんなの関係ねえ!」

戦士「え?」

保健教諭「そんなの関係ねえ!こいつらはお前の事情を知った上で必要と言ってくれた!自分だけじゃ飽きたらず、その心意気まで裏切るのか!」

魔法使い(言えない。数合わせで必要なんて言えない)

保健教諭「諦めるなんて言葉を使うのは全ての可能性が消えたときだ。お前にはまだいくらでも可能性が残っているだろ」

戦士「先生……」

保健教諭「何度でも挑戦してみろ。その度お前が傷つき倒れても、俺が何度だって復活させてやる」

戦士「……俺、部活がしたいです」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:23:30.75 ID:pZk8ZFnNO
───

勇者「やれやれ。モブのくせに出番欲しさに重要キャラのふりしたおっさんはタチが悪いな」

魔法使い「でもこれでちゃんと部員が揃ったよ。とうとう野球部ができるんだ」

武闘家「ああ。早速申請しに行こう」

戦士「……」

戦士(……あれー?野球部ってこれからつくるの?俺って頭数揃えるために利用されたの?)

勇者「そんなことないぞ戦士」

戦士「なんで俺の考えていることわかったの!?絶対そう思っていたからだろ!」

魔法使い「ま、まあまあ。それより戦士君はどれくらい野球経験があるの?」

武闘家「魔法使いも知らないと言っていたな。これだけ目立つ男なのに知られていないとは」

戦士「ああ、俺って昔はチビだったから。身長伸びたのは最近なんだ」

勇者「最近伸びてそんなに!?」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:33:17.08 ID:pZk8ZFnNO
戦士「目立たなかったけど野球は中学までやっていて、それなりにできたとは思うんだ」

武闘家「お前がそれなりに……?信じられんな」

魔法使い「まさか……急激に身長が伸びたからうまく動けなくなったとか?」

戦士「うん。その上成長期だから腹も減るでしょ。引退してからは食べた分横にもでかくなって、自分の身体の感覚じゃなくなったんだ」

勇者「それ全部ぜい肉かよ」

武闘家「なるほど。その肉を筋肉に変えてやれば少しはまともになるかもしれん」

勇者「よし、お前毎日筋トレしろ。それから基本練習で身体の使い方を覚えるんだ」

魔法使い「まずは有酸素運動で余分な脂肪を落とした方がいいかも。ランニングから始めよう」

戦士「え?やだよ。疲れるし」

勇者「……」

武闘家「……」

魔法使い「……」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:39:03.03 ID:pZk8ZFnNO
戦士「それより今日は野球部発足記念に皆でラーメン食べに行こうよ」

武闘家「……なるほど。その身体を手に入れた代償に相当な怠け者に育ってしまったらしいな」

勇者「努力もせずに誰にも必要とされないなんて嘆いていたのかよ」

戦士「お勧めのラーメン屋なら任せておいてよ」

魔法使い「やれやれ。もう面倒見きれないや☆」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 20:41:19.76 ID:pZk8ZFnNO
つづく
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:10:53.56 ID:UVull3G90
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:11:55.04 ID:oRWJ2+I3O
あかんやんけ!
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 20:41:06.62 ID:oVPW8a97O
───校長室

校長「よくぞ戻った。勇者よ」

勇者「校長先生に言われた通り仲間を集めてきました」

校長「うむ。野球部を正式な部活動と認めよう」

勇者「やった」

校長「だが野球は9人で行う競技。あと5人揃えなければ公式戦への道は閉ざされたままじゃ」

勇者「わかってますって。この調子で集めちゃいますよ」

校長「うむ。その意気じゃ」

魔法使い「あの、なんとなく空気を壊すからやめようかと思ったんですが」

校長「なんじゃ?」

魔法使い「顧問の先生がいないんじゃ……」

戦士「な……」

武闘家「くっ、不覚」

勇者「お前それ早く言えよ!」

魔法使い「むしろなんで誰も気づかなかったの!?申請書にも書く欄絶対あったよね!?」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 20:46:51.16 ID:oVPW8a97O
校長「顧問か。ふむ」

勇者「ええ……先生も探さなきゃならないんですか」

校長「それなら話はすでについておる」

魔法使い「そうなんですか!?」

校長「うむ。野球部復活の件はわしから依頼したもの。それくらいはしなくてはな」

武闘家「助かったな」

勇者「ああ。それでなんて先生ですか?」

校長「謎のマントマスク先生じゃ」

魔法使い「!?」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 20:54:04.41 ID:oVPW8a97O
勇者「謎のマントマスク先生か。知らないな」

戦士「でもどこか優しそうな感じはするね」

魔法使い「どこがだよ!明らかにおかしいよ!なんだよ謎のって!?」

武闘家「風情があるではないか」

魔法使い「マントマスクがか!?」

校長「謎のマントマスク先生はお主らの前にはあまり現れん。だが公式戦には同行させるから心配するな」

勇者「ならよかった」

魔法使い「よかないよ!全然知らない人が顧問ってそれで成り立つの!?」

校長「連絡事項があるときくらいは会えるじゃろ。そのときに挨拶せい」

勇者「わかりました」

魔法使い「……」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/25(火) 20:54:44.49 ID:7/heQifVO
オルテガかカンダタか
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:02:51.61 ID:oVPW8a97O
───野球部部室前

勇者「……やったな」

武闘家「ああ。とうとう手に入れた」

戦士「これが俺たちの部室になるんだね」

魔法使い「不安だ……」

勇者「まだそんなこと言ってんのか。校長だって心配するなって言ってただろ」

魔法使い「あの校長先生もなかなか信用できないよ」

武闘家「もうその辺にしておけ。せっかくの記念の瞬間なのに空気が悪くなる」

魔法使い「そうだった。ゴメン」

勇者「じゃあまず部長の俺から入るぞ」スッ

武闘家「待て。いつお前が部長になった」ガシッ

勇者「立ち上げたのは俺だ。申請書にも書いちゃったし。あ、副部長は魔法使いな」

魔法使い「いいけど……おや?空気が」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:15:13.18 ID:oVPW8a97O
武闘家「納得がいかん。長というからには一番実力のある者がやるべきだ」

勇者「あの勝負はただの一打席勝負。野球全てで負けたわけじゃない」

武闘家「だったら今度は俺が投げる。お前が打席に立て」

勇者「いやもう提出しちゃったし」

武闘家「今ならまだ間に合う!早く勝負しろ!間に合わなくなっても知らんぞ!」

勇者「いや知らないのはこっちだし」

戦士「いい加減にしろよ!なんで二人が争ってるの!」

魔法使い「そうだよ。落ち着いて」

戦士「俺だって(楽な練習メニュー組むために)部長やりたい!」

勇者「は?」

武闘家「寝言は寝て言え豚」

魔法使い「出荷されたいの?」

戦士「うう……うう」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:25:28.90 ID:oVPW8a97O
ガチャ

盗賊「うるせえな。眠れねえだろが」ヌッ

勇者「!?」

武闘家「お……お前……」

魔法使い「中にいたの……?」

勇者「記念の瞬間が……」ガクッ

盗賊「せっかくいい場所がものになったってのに、こうもうるさいのか?」

武闘家「貴様許さんぞ!なぶり殺しをじわじわしてやる!」

盗賊「くだらねえ。誰が先に入っても同じだろうが」

武闘家「あ?貴様も停学にしてやろうか?あの先輩と同じように」

盗賊「バコタ先輩のこと言ってんのかー!?」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:36:53.87 ID:oVPW8a97O
ガタッ

戦士「おや?まだ中に誰かいるの?」

盗賊「いや俺しか……ってなんだこのデカブツは。狭くなるからお前は入るなよ」

戦士「皆酷いよ!俺だって好きででかくなったわけじゃないよ!」

勇者「不摂生でデブったんだろうが」

戦士「……そんなことより物音がしたんだけど」

勇者「なに誤魔化してんだよ」

武闘家「戦士の証言だけなら怪しいが俺も聴こえた」

戦士「……」

勇者「だがしかし誰もいないみたいだが……」キョロキョロ

盗賊「窓の外だ!何かいる!」

魔法使い「ええっ!?」

戦士「の、覗き!?」

勇者「誰だ!」ガラッ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:41:20.30 ID:oVPW8a97O
シーン


勇者「誰もいない……ん?なんだこの紙」ヒョイ

武闘家「置き手紙か?何が書いてある?」

勇者「えーと……」




『精一杯頑張った君たちへ。野球部発足おめでとう。これからの君たちの健闘を祈ります。謎のマントマスク先生』
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:52:22.65 ID:oVPW8a97O
武闘家「謎のマントマスクだと!?」

戦士「連絡事項ってこういうやり方なの?」

魔法使い「結局姿見せないじゃん!どう関われと!?」

武闘家「俺たちも手紙を置いてやり取りするしかあるまい」

魔法使い「文通か!」

盗賊「誰だ?」

勇者「俺たちの顧問。きっと恥ずかしがり屋なんだ」

魔法使い「ポジティブだねえ!」

盗賊「かなり怪しいが、ずかずかと生徒の中に踏み込んでこないだけ気楽でいい」

勇者「だからってタバコは吸うなよ」

武闘家「心配しなくてもそいつは吸えない」

盗賊「……ちっ」

武闘家「あと皆、ロッカーの中に貴重品は入れておくな」

盗賊「どういう意味だそりゃあ!?」

魔法使い「なんでおめでたい日にこんなギスギスしているんだろう……」

戦士「ねえ、ラーメン───」

魔法使い「黙れよ!」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/25(火) 21:53:08.39 ID:oVPW8a97O
つづく
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 16:30:42.08 ID:F2kAR7a/o
魔法使い過労死しそう
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 20:42:13.49 ID:m8KKET8fO
───次の日

戦士「ひぃー……ひぃー……」ドスンドスン



勇者「やってるな」

武闘家「ふん。なぜ俺があんなやつのために」

勇者「そう言うなって。あいつを鍛えるのはお前が適任だ」

武闘家「だからといって余計なものを摂取しないよう見張りも兼ねるのは……苦行だ」

魔法使い「まあまあ。勧誘は僕と勇者君で行ってくるからさ」

武闘家「ふう。いつになったらまともな活動ができるのか」

戦士「ぜえ……ぜえ……あと何周走ればいいの……?」ドスンドスン

武闘家「俺の気が済むまでだ」

戦士「絶対ゴールないですやん!?」

勇者「こっちは大丈夫そうだな」

魔法使い「大丈夫なのかなあ……」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 20:48:50.03 ID:m8KKET8fO
───放課後・1年緑組

生徒「遊び人君ならいないよ」

勇者「帰ったか?」

魔法使い「前さ、色んな部を体験してみたいとか言ってなかった?」

勇者「そうだったな。今日もどこかでやってるかも」

魔法使い「前は調理部だったし、運動部にいる線は薄そうだね」

勇者「かもな。文化系の部がある棟に行ってみよう」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 20:53:42.33 ID:m8KKET8fO
───文芸部部室前

ガラッ

遊び人「ではお世話になりました」

魔法使い「あ、いた。文芸部を体験していたみたい」

勇者「ちょうど出てきてくれてよかったな。おーい、遊び人」

遊び人「ん?誰だい?」

勇者「忘れたのかよ。一緒に戦士助けただろ」

遊び人「えーと……?」

勇者「ほら、調理室で……」

遊び人「調理室……ああ。いつぞやの」

勇者「会ったの昨日だぞ……」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 20:59:10.06 ID:m8KKET8fO
文芸部員「待って」

遊び人「ん?」

文芸部員「文芸部には入ってくれる気ない?」

遊び人「すみません。ここも本当に居心地が良かったのですが、他の部も体験してみたいので」

文芸部員「そう……じゃあせめて……他の皆には内緒で」

遊び人「連絡先交換ですね。わかります」ニコッ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 21:15:19.05 ID:m8KKET8fO
魔法使い「……なんか、思っていたような人とは違う気がする。僕たちのことも覚えていなかったし、良い人に見えたのは女の人が傍にいたからなんじゃ……」

勇者「体験入部しまくってんのも女目当てか」

魔法使い「まさか学校中の女子とお近づきになるつもり……?」

勇者「いや、そうとは限らないぜ。文芸部の中見てみろよ」

魔法使い「結構な人数いるね。女の人ばかりだけど」チラッ

勇者「連絡先を交換したのは今出てきた彼女だけっぽい。ただ、ルックスは彼女が飛び抜けて一番だな」

魔法使い「そういえば調理部のあの人も美人さんだった。人を選んでいるとか……?」

勇者「おいおい、それじゃああいつが好みの女残して連絡先交換しているってのか?戦士が暴れていたあの状況でそんな余裕あるのか?」

魔法使い「だよね。考えすぎだよね」



遊び人「ふふ。運よく狙っていた彼女だけと交換できた。ラッキー」スタスタ



勇者「あ、行っちまった」

魔法使い「案の定僕たちは忘れられたね」

勇者「追うぞ」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 21:29:35.61 ID:m8KKET8fO
───

勇者「見失った。どこ行ったんだ?」

魔法使い「はあ……やっとまともな人が出てきてくれたと思ったのに」

勇者「俺は野球ができれば女たらしでも気にしないけどな」

魔法使い「部室に女の子連れ込まれたらどうすんの」

勇者「……悪くないな」

魔法使い「何言ってんの……って前!危ない!」

勇者「え?」

ドン

勇者「痛っ!」ドサッ

?「うっ」ドサッ

魔法使い「ああ、チョメチョメな妄想して歩くから」

勇者「悪い。大丈夫か?」スッ

?「ん……大丈夫」ガシッ

魔法使い「すみません。うちの勇者君が……あれ?」

?「……」

勇者「なんだよ。お前遊び人じゃん。そんな格好してどうしたんだ?」

魔法使い「違うよ……遊び人君じゃない」

勇者「え?」

?「……」

魔法使い「中学MVPの賢者君!?君もアリアハンに!?」

賢者「……」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 21:30:39.12 ID:m8KKET8fO
つづく
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 22:06:16.42 ID:HVc9TAc90

遊び人とはなんだったのか
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 22:29:55.65 ID:Yy/90YYUO
遊び人?
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 23:28:47.49 ID:p2UqDS51O
勇者「知り合いか?」

魔法使い「僕らガリ勉の間じゃ有名人だよ。全国模試では常にトップでついた異名がM(Moshi)V(Victory)P(Perfect)なんだ」

勇者「そりゃすげえな」

賢者「ん……魔法使い君か」

魔法使い「僕を覚えているの?」

賢者「模試のとき一度話した」

魔法使い「僕も覚えている……でもそれは君が有名人だからだ。昔一回、全国各地から色んな人が集まる模試のとき会って挨拶程度しか喋っていないのに覚えているなんて……」

賢者「一度覚えたら忘れないんだ」

勇者「天才ってやつだな」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 23:39:13.71 ID:p2UqDS51O
魔法使い「どうして君が?もっと偏差値高い学校に行けたでしょ」

賢者「受験日が大事な用と重なっちゃって。ここには推薦で入ったんだ」

勇者「うわあ、運はないんだな」

魔法使い「でも君の地元ってガルナだよね。かなり離れているのにわざわざここに?」

賢者「中学の途中でこっちに引っ越したんだ」

魔法使い「そうなの?まあ、うちの学校も進学コースの銀組だったら割と偏差値高いけど、それでも勿体ないと思うな」

賢者「今さら編入も面倒だしどうでもいいよ」

勇者「すげえ感覚だな。それより気になってんだが、お前遊び人と顔そっくりだけど関係あるのか?」

賢者「……双子の兄弟」

魔法使い「そうなの!?」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 23:47:11.07 ID:p2UqDS51O
勇者「へえ、双子でも全然違うもんだな。かたやプレイボーイでかたや全国一の天才とか」

賢者「……」

勇者「同じ顔してんだから眼鏡とったり髪型変えてお洒落したらお前も絶対モテるぜ」

賢者「面倒くさい」

勇者「勿体ない」

魔法使い「そうか……僕が遊び人君を見たことがあると感じたのは賢者君と見間違えたからなんだ」

勇者「リストにはなかったし、お前は野球やっていないんだよな?」

賢者「ん……一回だけなら」

勇者「まあ遊び程度なら誰でもあるわな」

魔法使い「あ、遊び人君追わなきゃ」

勇者「そうだった。じゃあな。今度勉強教えてくれよな」タッタッタッ

賢者「……」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:54:33.18 ID:p2UqDS51O
つづく
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 04:49:37.76 ID:w7pLeYg5O
賢者が仲間になりたそうにこちらを見ている
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:18:21.63 ID:bzXBekRjO
───部室

勇者「くそ、結局あいつ見つからなかった」

魔法使い「今日はもう無理っぽいからグラウンド整備でもしようかと思って切り上げてきたんだ」

武闘家「そうか。なら俺も加わろう」

戦士「俺も?」

武闘家「お前は走っていろ。誰が休んでいいと言った」

戦士「!?」

勇者「あと4人集めりゃいいだけなのに先が長いぜ」

盗賊「人数が揃ったとしても、まだ問題はあるだろ」

勇者「うお、お前いたのか」

武闘家「よほど部室が気に入ったようだな」

盗賊「お前らさえいなけりゃ言うことないんだがな」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:32:28.33 ID:bzXBekRjO
魔法使い「それより問題って?」

盗賊「道具がねえだろ。そういうの全部備品でまかなえるのか?」

勇者「たしかにな。一応布の練習着とひのきのバットだけは用意されたが」

魔法使い「ひのきのバットって……まともに飛ばせないじゃないか」

戦士「布の練習着って……すぐ破けちゃうじゃないか」

武闘家「お前だけだ。痩せろ」

盗賊「ケチな校長だ。本気で復活させたいならまともな道具をよこせってんだ」

勇者「あの五千円で買えるとしたらボールか。ボールはいくつも必要になるから用意しとかないとな」

魔法使い「道具がなきゃ練習もできないね……」

勇者「俺は自前のグローブと銅のバットを持ってるぞ。お前らグローブは?」

魔法使い「昔のならあるけど、もう小さくてはめられないよ」

戦士「同じく」

武闘家「俺は助っ人の際は借り物でやっていた」

盗賊「売っ払った」

勇者「こりゃ前途多難だわ」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:41:27.61 ID:bzXBekRjO
ガタッ


勇者「!?」

盗賊「窓の外で音が……」

戦士「ということはまさか」

勇者「先生そこにいるのか!?」ガラッ

シーン

勇者「くそ、また逃げられた。手紙だけ置いてある」

魔法使い「なんで頑なに姿見せないんだろう……」

武闘家「それは考えるだけ無駄だ。手紙の内容は?」



『霊感的な何かが働き、君たちが何かを欲していると気づきました。必要なあれはロッカーに入れてあります。使ってください。謎のマントマスク先生』
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:47:14.82 ID:bzXBekRjO
勇者「相変わらず可愛い字だぜ」

武闘家「ロッカーに……?」

魔法使い「まさか僕たちの会話聞いていたの?内容めっちゃ噛み合っているけど」

盗賊「偶然だろ。ロッカーに入れておいたんなら俺たちが来るより早く忍び込んでいたってことだ」

戦士「何入ってんだろ」

魔法使い「いや野球道具以外に何があるの」

武闘家「む……」ガコガコ

勇者「鍵掛かってんじゃん」

盗賊「ダメだ。全部開かねえ」ガコガコ

魔法使い「マントマスクゥー!」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:53:27.06 ID:bzXBekRjO
勇者「先生が鍵持ってんのか。とんだドジっこだな」

武闘家「仕方あるまい。この旨手紙に書き記しておこう」

魔法使い「面倒だなあ……」

勇者「道具の件は先生が手紙に気づくまで保留だな」

魔法使い「ちゃんと届くの……?」

勇者「さあな」

魔法使い「……」

盗賊(鍵……まてよ。バコタ先輩のあれがあれば)

勇者「じゃあグラウンド整備でもするか」

盗賊「用事思い出したから帰るわ」ガチャ

魔法使い「え、一緒にやらないの?」

武闘家「いつものことだ。放っておけ」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 23:00:09.56 ID:bzXBekRjO
───

盗賊「えっと、先輩の家はたしかこの辺……」キョロキョロ

盗賊「……ん?」



タッタッタッ

「簡単だったな」

「ああ」

「早く持って帰ろうぜ」

タッタッタッ



盗賊「……」

盗賊「あの制服……ワルでお馴染みナジミ高校のやつらか」

盗賊「っとそれより先輩の家……あ!」


バコタ「うう……」


盗賊「バコタ先輩!?」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 23:07:05.58 ID:bzXBekRjO
バコタ「お、お前……どうして」

盗賊「怪我してるじゃないッスか!何が……」

バコタ「……俺としたことが油断していた。ピッキングツールを奪われちまった」

盗賊「なぬ!?」

バコタ「複数で急に後ろから襲いかかってきやがった」

盗賊「さっき通り過ぎたやつらか。ナジミッスね。顔覚えていますよ」

バコタ「……」

盗賊「俺も行きます。取り返しましょう」

バコタ「やめろ。やつらは危険だ」

盗賊「やられっぱなしでいろって言うんスか!」

バコタ「そうだ」

盗賊「……」

バコタ「この件は忘れろ。関わるな」

盗賊「奪われたのはピッキングツールだけじゃなかったみたいッスね。幻滅しました」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 23:08:07.74 ID:bzXBekRjO
つづく
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/04(木) 18:29:59.59 ID:Bp9pPgIpO
───次の日・1年黄組

勇者「頼むって」

商人「だからやだって。部活なんかやってもなんのメリットもないじゃん」

勇者「皆で同じ目標に向かって頑張れば、同じ思い出が共有できて楽しいぞ」

商人「くだらないね。女の子にモテるってんなら考えてやってもいいけど」

勇者「ぜ、全国大会に出られれば……」

商人「じゃあ全国に行けたら入ってやるよ」

勇者「……」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/04(木) 19:00:59.61 ID:02qW75C2O
───

勇者「くそ、ダメだったか。あいつを引き入れりゃ道具とかカンパしてもらえると思ったのに」

魔法使い「やっぱり商人君は難しいよ」

勇者「こうなったら弱みを握って……」

魔法使い「武闘家君と同じ思考じゃないか!?ダメだよ!」

勇者「でもなあ……」

魔法使い「そんなことで入ってもらってもチームがまとまらないよ。だったら経験者じゃなくてもやる気のある人の方がいい」

勇者「たしかにそうなんだが」

魔法使い「大体盗賊君だってまだ仲間というより被害者だからね」

勇者「あいつ、なんだかんだいって馴染んでいるように見えたけどな」

魔法使い「僕もそれは思っていた。彼の場合は寂しがり屋なだけなのかも」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 19:03:32.19 ID:pncH+LHro
部活って勝てればいい派と楽しくやれればいい派と分かれるよね
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