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勇者「集え!我らアリアハン高校野球部!」
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145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/04(木) 19:07:11.63 ID:02qW75C2O
勇者「お、噂をすれば盗賊」
盗賊「おう」
勇者「珍しいな。授業に出るのか?」
盗賊「いや、退部届を渡しにな」
魔法使い「え……」
勇者「退部届って……お前辞める気か?武闘家に脅されていただろ」
盗賊「もういいや。好きにしろって言っておいてくれ」
魔法使い「そんな、バコタさんがせっかく守ってくれたのに」
盗賊「もういいって言ってんだろ!」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/04(木) 19:15:13.89 ID:02qW75C2O
───部室
勇者「盗賊、部活辞めるってよ」
武闘家「なに?」
魔法使い「吹っ切れたような……もう全部どうでもいいって感じだった。何かあったのかも」
武闘家「……」
勇者「せっかくだしもう解放してやってもいいんじゃないか。あいつが決めたことなんだ」
武闘家「いや、俺が行く。俺に任せてくれ」
魔法使い「え?」
武闘家「やつは必ず連れ戻す」
魔法使い「でも君のやり方じゃ……」
武闘家「心配するな。任せてくれ」
戦士「じゃあ今日のメニュー終わり?やった」
武闘家「お前は下校時も買い食いしないよう俺の監視下に置く。一緒に来い」
戦士「!?」
魔法使い「大丈夫かなあ」
勇者「ま、武闘家に任せようぜ」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/04(木) 19:26:06.76 ID:02qW75C2O
───
戦士「そもそも居場所わかるの?」
武闘家「やつには発信機をつけてある。俺からは逃げられん」
戦士「怖っ!絶対まともな方法で連れ戻さない気だろ!?」
武闘家「お前が俺といるのは監視のためだけだ。口出しする権利はない。さっさと歩け」
戦士「はあ……こんな重りつけてちゃ歩くのも大変なんだよ」ドスンドスン
武闘家「俺は毎日それを使い鍛えている。今はお前にくれてやった分何もなくて気持ち悪いくらいだ」
戦士「毎日こんなの着けてたの……?ただのヤ○ザじゃなかったんだね」
武闘家「誰がヤクザだ……む」
戦士「どうしたの?」
武闘家「盗賊の動きが止まった」
戦士「ここから近い?近い?」
武闘家「この場所は……ナジミ高校か」
戦士「ナジミ高校って悪くてお馴染みの?なんでそんな場所に……?」
武闘家「……」
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 19:26:50.48 ID:02qW75C2O
つづく
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 18:44:59.65 ID:SGQnKFcKO
───ナジミ高校校門
盗賊「……その面、ようやく見つけたぜ」
スライム「なんだてめえ」
盗賊「アリアハン高校のもんだ」
一角兎「アリアハン?ひょっとしてバコタの連れピョン?」
大烏「あの野郎自分で歯向かう勇気もないのかよ。カッカッカー」
盗賊「……」
一角兎「まああんな弱っちい野郎じゃ歯向かう気も起きないピョン」
スライム「そうだそうだ」
大烏「ちょろかったぜ。2、3発ぶん殴っただけでブツを寄越してくれたんだからよ。カッカッカー」
盗賊「てめえら……!」
武闘家「落ち着け」ガシッ
盗賊「な……お前」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 18:53:21.78 ID:SGQnKFcKO
大烏「こいついつの間に」
スライム「なんだてめえ」
一角兎「仲間か。一人増えたところで……」
ドスーンドスーン
大烏「なんだ?地響き?」
戦士「あ、いた」ドスーンドスーン
スライム「で……でかい」
一角兎「あれの足音!?こっちに来るピョン!」
戦士「おいおい、喧嘩しにきたの?」ドスーンドスーン
盗賊「お前らどうして……」
大烏「あいつも仲間か!?」
一角兎「あんなやつ相手じゃ分が悪いピョン!」
スライム「にげろお!」タッタッタッ
盗賊「あ、待ちやがれ」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 19:02:58.90 ID:SGQnKFcKO
戦士「あれ?行っちゃった」
盗賊「くそ!恐れをなして校舎に逃げやがった。汚ねえ野郎共が」
武闘家「何をしているんだお前は」
盗賊「……関係ないだろ」
武闘家「問題を起こされては困るんだ」
盗賊「部は辞めたぜ。迷惑となんか思ってねえだろ」
武闘家「退部届は俺が預かっている。お前はまだ部員のままだ」
盗賊「ふざけんな!これじゃあなんのために……!」
武闘家「……」
盗賊「……あんな動画好きにしていいからよ。退部させてくれ」
武闘家「だったら消させてもらう」ピッ
盗賊「な……」
武闘家「好きにしただけだ。その上でお前と話す」
盗賊「……」
武闘家「バカなことはやめて帰ってこい」
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 19:13:26.24 ID:SGQnKFcKO
───ナジミ高校校舎裏
タッタッタッ
一角兎「はあ……はあ……」
大烏「まさかあんな大男が仲間にいたなんて」
スライム「やべえよ、やべえよ……」
一角兎「でもお前だって負けないくらいでかいじゃねえかピョン」
大烏「俺は身長があるってだけだよ。あっちは重量が違う。歩くたびに震動なんて人間じゃねえ。モンスターだ」
一角兎「一緒にいた男も結構強そうだったピョン」
大烏「むしろあっちのがやばい。二人組の小さい方は大きい方より強い法則を忘れたのか」
スライム「ちげえねえ……ん?」
?「お前たち、何をやっている」
スライム「げえっ!あなたは!」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 19:24:05.13 ID:SGQnKFcKO
───ナジミ高校校門
盗賊「……ピッキングツールを奪うために、バコタ先輩を襲撃しやがったんだよ」
戦士「え……」
武闘家「……」
盗賊「俺は取り戻さなきゃなんねえ。バコタ先輩のピッキングツールとプライドを」
武闘家「……」
盗賊「そのためにお前らを巻き込むわけにはいかねえんだ!もう俺とは関わらないでくれ!」
武闘家「……バコタがお前に取り戻すよう頼んだのか?」
盗賊「んなわけねえだろ。先輩はむしろ関わるなと言った」
戦士「それって……」
武闘家「そうだろう。お前の身を案じてのこと」
盗賊「どうだかな。今の先輩は腑抜けちまっているからよ」
戦士「でもそれって君が俺たちにしていることと同じなんじゃない?」
盗賊「……」
武闘家「それがわからないほどお前もバカじゃあるまい」
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 19:30:20.42 ID:SGQnKFcKO
盗賊「だったら泣き寝入りしろってのか」
武闘家「誰がそんなことを言った」
盗賊「え?」
戦士「そうだよ。あいつらを説得してさ」
盗賊「説得すれば反省してすんなり返してくれる連中だと思ってんのか?甘いんだよ」
戦士「うう……」
武闘家「誰が説得しろと言った」
盗賊「え?」
武闘家「こいつを見てくれ。どう思う?」スッ
盗賊「なんだよ。もう嫌な予感しかしねえぞ……」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 19:37:49.85 ID:SGQnKFcKO
『アリアハン?ひょっとしてバコタの連れピョン?』
『あの野郎自分で歯向かう勇気もないのかよ。カッカッカー』
『まああんな弱っちい野郎じゃ歯向かう気も起きないピョン』
『そうだそうだ』
『ちょろかったぜ。2、3発ぶん殴っただけでブツを寄越してくれたんだからよ。カッカッカー』
盗賊「……」
武闘家「……」
戦士「結局盗撮じゃないか!?」
武闘家「これとバコタの証言があればやつらは停学、いや警察沙汰かな」
盗賊「お前……いつの間に」
戦士「この人だけは信じちゃいけない……」
?「盗撮とは味な真似してくれる」
盗賊「!?」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 19:38:46.39 ID:SGQnKFcKO
つづく
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 20:16:52.30 ID:20g8hFmD0
シリアスになりそうでならなかった
やっぱりモンスターも登場するのか
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 17:22:26.36 ID:M//gMGMho
これモンスターも擬人化してんじゃないの?
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/06(土) 19:35:15.21 ID:Ukc9WnuXO
武闘家「……何者だ」
一角兎「この方は俺たちの番長、夢爺さんだピョン!」
大烏「夢爺さんが来たからにはそっちの大男でも終わりだぜ!多分……」
戦士「ひっ、なんで俺!?」
夢爺「ピッキングツールを盗ませたのは俺だ。だからそれが残っていると非常に厄介なんだ。消してくれないか?」
盗賊「ふざけんな!返しやがれ!」
夢爺「それはできない」
盗賊「てめえ……!」
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/06(土) 19:41:26.52 ID:Ukc9WnuXO
武闘家「ならばどう出る?力づくか?」
盗賊「待て。お前らは関係ない」
戦士「でも……」
盗賊「俺は元々そんな盗撮動画で脅す気なんかねえよ」
武闘家「……」
夢爺「ほう?」
戦士「そっか。盗撮も脅迫も犯罪だもんね」
武闘家「違う」
戦士「違う!?」
盗賊「……」
武闘家「こんな汚いやり方をバコタが望まないからだ」
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/06(土) 19:51:31.55 ID:Ukc9WnuXO
盗賊「……お前に何がわかるんだ」
武闘家「一度話した。どういう男かは大体わかる」
盗賊「なに?」
武闘家「一昨日俺はバコタと会い、お前の現状を話してきた」
盗賊「え……」
武闘家「お前からは言えないだろう。そこでお前のことをよろしくと言われたよ」
盗賊「なんで……バコタ先輩」
武闘家「……」
盗賊「俺は先輩に見捨てられたのか……」
武闘家「……お前はあのとき、タバコが吸えたことでバコタに一人前と認められたと思っているのか?」
盗賊「……」
武闘家「タバコなど手段に過ぎない。あの行動の本質はお前が見せた、バコタに頼らずとも進んでいくという意思表示のはずだ」
盗賊「……」
武闘家「やつはお前の新しい居場所を守るために、この件に関わらせたくなかったんだ」
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/06(土) 20:00:54.00 ID:Ukc9WnuXO
盗賊「先輩……」
武闘家「……」
盗賊「……」
武闘家「ここで暴力沙汰を起こしてはやつの思いを無駄にする。だからといって脅迫という手段もやつは望まない」
盗賊「じゃあどうしろってんだよ!」
夢爺「はっはっは。面白いな。お前たち」
盗賊「ああ?」
夢爺「だったら俺がその答えをやろう。野球でけりをつけようじゃないか」
盗賊「なに?」
スライム「やきゅう?」
一角兎「どうしたんですか。夢爺さん。なんで野球なんか……?」
夢爺「こいつらはアリアハン高校の野球部だからだ」
武闘家「!?」
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/06(土) 20:13:01.12 ID:Ukc9WnuXO
戦士「あれ?俺たち身分を明かしていないはずだよね」
盗賊「どういうことだ」
大烏「カッカッカー。夢爺さんは予知夢を見ることができるんだよ」
一角兎「近い未来に起こることは必ず当たるピョン」
戦士「嘘……」
盗賊「そんなバカな」
武闘家「しかし俺たちのことを知っていた。夢で今の状況も予習済みというわけか」
夢爺「会話の内容など大して覚えちゃいないがね。アリアハン高校野球部と揉めたことははっきりと覚えている」
大烏「でも夢爺さん、野球で勝負なんて無理ですよ。俺たち全然やったことないし」
武闘家「なるほど。こちらの状況も夢のどこかで知ったということか」
スライム「え?」
夢爺「ふっ、まだ部になって日が浅く人数も道具も揃わない。ブランクだらけの集まりだったかな?」
一角兎「そうか。じゃあ運動神経良さそうなの集めりゃ勝ち目はありそうピョン」
夢爺「向こうの人数が集まらず不戦勝という可能性もあるが。ふっ」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/06(土) 20:21:22.47 ID:Ukc9WnuXO
武闘家「それでも経験者の俺たちが有利なのは変わりない。真意はなんだ」
夢爺「あえて言うならお前だ」
武闘家「……」
夢爺「お前の思考は危険だ。そっちの盗賊君が泣き寝入りしたとしても、お前はどう出るかわからない。だからあえてお前たちの土俵に乗ってやる」
盗賊「くだらねえ。そんな挑発に───」
武闘家「いいだろう」
盗賊「……おい。勝手に」
武闘家「俺たちが勝てばピッキングツールを返してもらう」
夢爺「俺たちが勝てば動画を消してもらう。契約成立だな」
武闘家「日時と場所はこちらで指定させてもらう」
夢爺「ああ。どうぞ」
武闘家「2週間後日曜日の正午。場所は……追って連絡する」
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 20:22:48.84 ID:Ukc9WnuXO
つづく
>>158
全員人間です
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 20:30:13.51 ID:lJVfpsaLo
武闘家の頼もしさは異常
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 21:27:15.88 ID:rLuykDkmo
夢爺って盗賊の鍵くれる爺さんか
若返りすぎじゃないですかねぇ
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/07(日) 03:13:27.54 ID:q2R9g0OgO
ルイーダも元はおばちゃんだからセーフ
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 21:11:28.60 ID:/3m5y+I90
試合がナジミの塔攻略だとすると、まだ旅立ってもないんだよな
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/10(水) 19:38:28.03 ID:Zr4TUXhEO
───アリアハン高校・1年緑組
生徒「遊び人君ならさっき向こうで女子と話していたよ」
勇者「おう、ありがとな」
魔法使い「また女……」
勇者「あいつ女のことしか頭にないのか。野球部は恋愛禁止にしようかな」
魔法使い「いいね。男なら部活一筋だよ」
勇者「でもそうなると俺もできないな。やめた。お前も自由に彼女つくれよ」
魔法使い「……無理だよ。モテないし。僕なんかどうせ三十路越えても綺麗な身体のままなんだ」
勇者「でもせっかくの高校生活、部活一筋ってのもどうなんだ」
魔法使い「……じゃあ勉強も頑張るよ」
勇者「お前がそれでいいならいいけど……」
魔法使い「あ、いたよ!」
遊び人「今度よかったら一緒に勉強でもしないかい?」
ルイーダ「……はい?」
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/10(水) 19:45:09.67 ID:Zr4TUXhEO
魔法使い「ルイーダさん!?」
勇者「よりによってあいつかよ。怖いもの知らずだな」
魔法使い「ルイーダさん美人だから……」
勇者「ちょっと面白そうだし様子見てみるか」
遊び人「一目見たときからわかったよ。君は真面目なタイプだってね」
ルイーダ「……」
遊び人「図書館デートも悪くないよね」
ルイーダ「結構よ」
遊び人「僕が勉強教えてあげるからさ」
ルイーダ「あなたに教わることは何もないわ」
遊び人「まあ知らなければ無理もないね。僕はこの学校でも一番成績がいいはずだよ」
ルイーダ「はあ……」
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/10(水) 19:57:06.97 ID:Zr4TUXhEO
コソコソ
魔法使い「ルイーダさんはなびかない。当然だよね」
勇者「さすが鉄仮面。スキだらけのやつとは一味違うな」
魔法使い「好き!?なんで僕がルイーダさんを好きだってわかったの!?」
勇者「しかしあいつも頭が良かったのか。優秀な血統だこと」
魔法使い「ね、ねえ……ルイーダさんには黙っていてくれない?」
勇者「でも今あいつ学校で一番って言ったよな。賢者よりも……?」
魔法使い「学校で一番好きだって本人に知られたら恥ずかしいよお」
勇者「高校に入ってから抜いたのか」
魔法使い「ルイーダさんで抜いたことも知ってたの!?」
勇者「賢者もどきのくせにやるじゃねえか」
魔法使い「賢者モードになったらやらないよ!?」
勇者「うるせえな。見つかっちまうだろ」
魔法使い「武闘家君に頼み込んで撮ってもらったルイーダさんの隠し撮りブロマイドが!?」
勇者「それ以上はやめろ。ツッコミがいなくなる」
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/10(水) 20:05:18.48 ID:Zr4TUXhEO
ルイーダ「……」
遊び人「あれ?信じてない?」
ルイーダ「はあ……わかったわ。じゃあ勝負しましょう」
遊び人「僕と勉強で?構わないよ」
ルイーダ「勉強じゃない。野球で」
遊び人「野球……?」
ルイーダ「彼らに勝ったらどこへでも行ってあげるわ。映画でもホテルでも」
遊び人「彼らって?」
ルイーダ「そこの物陰で見ている彼らよ」
勇者「ギョッ!?」
魔法使い「バレていた……っていうかホテルって」ゴクリ
遊び人「君たちは……」
勇者「バレちまったらしょうがねえ。昨日ぶりだな」スッ
遊び人「誰だっけ?」
勇者「初めまして。勇者です。俺たちは野球部だ」
遊び人「野球部……だと?」
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/10(水) 20:12:29.26 ID:Zr4TUXhEO
勇者「勧誘する手間が省けたぜ。俺たちが勝ったら野球部に入れ。その代わりお前が勝ったらルイーダを好きにしろ」
ルイーダ「あなたに利用されているみたいな言い方はやめて」
勇者「どうだ?お前も経験者なら条件は五分だ」
遊び人「……」
魔法使い「ルイーダさんはそれでいいの!?だって負けたら……」
ルイーダ「ええ。彼が勝ってくれるから」
勇者「……一応信頼されているのか?」
遊び人「わかった。受けて立つよ」
魔法使い「!?」
勇者「一打席勝負だ。俺が投げるからお前が打て」
遊び人「ああ。構わないよ」
魔法使い「絶対に負けられない戦いだよ!」
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/10(水) 20:13:03.05 ID:Zr4TUXhEO
つづく
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 13:38:47.95 ID:861iuN5co
とうとう魔法使いまで…
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/11(木) 22:14:21.80 ID:wSy57TBtO
───グラウンド
勇者「あいつ遅いな。準備があるとか言ってたけど」
魔法使い「女子の応援要請してたりして……」
勇者「俺はその方が燃えるな。ギャラリー全員俺のファンにしてやるよ」
魔法使い「どこからそんな自信が……」
勇者「じゃあ前みたいにキャッチャー頼むな」
魔法使い「大丈夫なの?今度は本当に負けられないんだよ」
勇者「心配すんなって。俺だって成長したんだ」
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/11(木) 22:20:36.59 ID:wSy57TBtO
遊び人「お待たせ」
勇者「なんだ。女子呼ばないのか」
遊び人「いつでもどうぞ」スッ
魔法使い(あ……この期に及んでまだ変化球何投げるのか知らない)
勇者「心配そうな顔すんなって魔法使い。変化球なんか投げないから」
魔法使い「……え?」
勇者「俺の人生を捧げてきた野球がこんなチャラチャラしたやつに負けるかよ!」ピュッ
魔法使い「まるで成長してねええええええええ!?」
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/11(木) 22:27:34.75 ID:wSy57TBtO
遊び人「……」ブン
カキィン
勇者「……え?」
ヒューン
魔法使い「ちょ……」
ヒューン
ポトッ
遊び人「……」
魔法使い「ホ……ホームラン……」
勇者「嘘だろ……」
遊び人「これで一周すればいいかな。ホームランでも回らなきゃアウトだから」タッタッタッ
魔法使い「僕の秘策まで見破られている!?」
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/11(木) 22:34:32.28 ID:wSy57TBtO
遊び人「僕の勝ち」スタッ
魔法使い「そんな……」
遊び人「彼女は返してもらうよ」
魔法使い「ルイーダさんは誰のものでもないんだよお」
遊び人「……」
魔法使い「頼むよお……ルイーダさんを取らないでよお……」
遊び人「……」
魔法使い「僕の大切な人なんだよお……」
遊び人「……君にとっても?」
勇者「え?俺?」
遊び人「どうなの?」
勇者「……」
遊び人「……」
勇者「……そうだよ」
魔法使い「ええええええ!?なにそれええええええ!?」
遊び人「……」
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 22:35:12.36 ID:wSy57TBtO
つづく
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/13(土) 17:20:22.23 ID:cVeHhvxWO
───物陰
遊び人「よし!さすが兄貴。完勝だ」
遊び人「やっぱり何も問題なしか。あの才能が羨ましいよ」
遊び人「でもこれであの生意気な子も……」
ルイーダ「ごめんなさい。生意気なのは生まれつきなの」
遊び人「!?」
ルイーダ「勝負をお兄さんに任せて高みの見物はどんな気分かしら?」
遊び人「な……」
ルイーダ「何も感じることはないでしょうね。これがあなたのやり方だから」
遊び人「……気づいていたのか」
ルイーダ「お兄さんがあなたに扮していたこと?それなら知っていた、の方が正しいかしら」
遊び人「知っていたって……君は一体」
ルイーダ「だからあなたが勝負前に何を準備していたのかも」
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/13(土) 17:25:41.71 ID:cVeHhvxWO
───少し前
遊び人『頼む兄貴!』
賢者『……』
遊び人『また僕の代役をお願い』
賢者『……今度は何?』
遊び人『野球だよ』
賢者『野球……?』
遊び人『野球で勝負を挑まれた。兄貴なら問題ないでしょ?』
賢者『……』
遊び人『兄貴なら……』
賢者『……』
遊び人『頼むよ』
賢者『ん……いいよ』
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/13(土) 17:40:01.00 ID:cVeHhvxWO
───
勇者『───』
魔法使い『───』
賢者『……あの人たち?』
遊び人『そう。僕の彼女を奪っておいて勝ったら返すなんて言うんだ』
賢者『……』
遊び人『じゃあコンタクト入れるよ』
賢者『ん……』
遊び人『髪型も変えて……』サッサッ
賢者『……大丈夫?』
遊び人『うん。どこからどう見ても僕だ』
賢者『じゃあ行ってくる』
遊び人『任せたよ』
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/13(土) 17:49:32.46 ID:cVeHhvxWO
───現在
遊び人「君は一体……?」
ルイーダ「気になるじゃない。全国一の天才がなぜこの学校にいるのか。調べさせてもらったわ」
遊び人「なに?」
ルイーダ「簡単なことよね。あなたと同じ学校にいるだけの話ですもの」
遊び人「……関係ないよ。兄貴には兄貴の、僕には僕の理由がある」
ルイーダ「そうかしら。まあいいわ。私にはどうでもいい」
遊び人「君は何を……どこまで知っているんだ」
ルイーダ「私を陥れようとした人に答える必要はないわ」
遊び人「……」
ルイーダ「あんなやり方で一体何人の女の子を騙してきたのかしら」
遊び人「……」
ルイーダ「あなたにとっての一番の幸運はなんでもできるお兄さんの存在かしら」
遊び人「幸運?冗談じゃない。僕の一番の不幸だよ」
ルイーダ「それは野球を辞めたきっかけでもあるから?」
遊び人「な……」
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/13(土) 17:56:35.07 ID:cVeHhvxWO
賢者「すごいね。そんなことまで知っているんだ」
遊び人「兄貴!」
ルイーダ「……」
魔法使い「え?え?」
勇者「お前、賢者だったのか」
賢者「ゴメン」
遊び人「……」
賢者「遊び人もゴメン。彼らを連れてきちゃった」
遊び人「……どうせもう全部バレてたんだ。隠しても意味ないよ」
賢者「……」
魔法使い「じゃあ勝負は反則負け?僕たちの勝ちだ!ルイーダさんを守れた!」
ルイーダ「私はこうなると思っていた。無意味な勝負だったかしら」
勇者「俺を信頼していたわけじゃないのね」
ルイーダ「だってあなたのことまだよく知らないもの」
勇者「よく言うぜ」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/13(土) 18:03:09.93 ID:cVeHhvxWO
魔法使い「遊び人君、なんでこんなことを……?」
遊び人「……」
勇者「俺たちは何がなんだかわからないままここにいるんだ。ちゃんと話してくれよ」
ルイーダ「説明してあげたら?反則で勝負を台無しにされた彼らには聞く権利がある」
遊び人「……」
賢者「……遊び人は昔野球少年だったんだ。他のことは目もくれないような」
勇者「お前が?」
遊び人「……」
賢者「でも……」
遊び人「……」
賢者「……」
遊び人「……いいよ。僕が話す。兄貴の知らないことも」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 18:03:46.35 ID:cVeHhvxWO
つづく
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 18:14:14.33 ID:iDmt0vKFo
乙
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 18:18:09.14 ID:wxgvyZFnO
遊び人「ポジションはキャッチャーだったんだけど、バッターのおしりをつい撫でてしまって…………」
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 08:14:09.28 ID:Mx7kb4hHO
遊び人「そしたらもう歯止めが効かなくなってバッターのバットを奪って審判のケツ穴に挿入してたんだ……無意識にね」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/15(月) 19:05:56.06 ID:bXNy42ntO
遊び人「僕らが生まれ育ったのはガルナ。僕はそこで野球を始めた」
遊び人「所属したチームはそこそこの強豪だった。でも頑張って、なんとかレギュラーになることができた」
遊び人「楽しかったよ。僕の努力が認められたようで」
賢者「……」
遊び人「ある大事な試合前に僕は体調を崩した」
遊び人「どうしても穴を空けるわけにはいかず、兄貴に代役を頼んだ。チームメイトにも内緒にしてね」
魔法使い「ん?でも賢者君って一回しか野球をしたことないって」
遊び人「その一回が僕の代役で出た試合なんだ」
魔法使い「え?」
賢者「……」
遊び人「僕の試合は何度か見に来ていた。それでルールも覚えたらしい」
魔法使い「だからって無茶な。ルールを覚えても実際にできるかは別問題だよ」
遊び人「兄貴はその試合で大活躍。相手エースをいとも容易く打ち崩し、僕らが一度も勝ったことのない相手に勝ってしまった」
魔法使い「!?」
勇者「なんだと……」
遊び人「さっき君も対戦して打たれただろ。あれがなんの練習もしていない素人のバッティングなんだよ」
勇者「マジかよ……」
賢者「……」
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/15(月) 19:29:41.28 ID:bXNy42ntO
遊び人「兄貴は昔からなんでもできた。だから試合を壊さない程度の代役もそれなりにできるんじゃないかって、浅はかな子供の考えで頼んだんだ」
魔法使い「本当に天才なんだ……」
遊び人「僕も兄貴凄いとしか思わなかった。兄貴を自慢したくてしょうがなかった」
勇者「兄弟いないからわかんねえけど、そういう気持ちになるんだろうな」
遊び人「そこまではよかった」
魔法使い「え?」
遊び人「その日から周りの僕を見る目が変わった。やたらと持ち上げ、僕さえいればどこにも勝てるという空気が出来上がった」
遊び人「初めてチヤホヤされたこともあり、舞い上がってしまったよ」
遊び人「求められていたのは僕じゃないのにね」
賢者「……」
遊び人「その後の試合は当然求められた結果が出ず、プレッシャーに押し潰され大敗」
遊び人「それからは一度もまともな状態で試合に挑めなかった」
遊び人「僕の成績に関係なく、全ての敗戦のスケープゴートになった」
遊び人「期待に応えられない人間はどうなると思う?陰口から始まりイジメへと繋がっていくのさ」
魔法使い「そんな、イジメなんて……」
遊び人「悲しかったよ。でも厄介なことに、同時に悔しいという感情もあることに気づいてしまった」
遊び人「僕が今までしてきた努力はなんだったんだろう」
賢者「……」
遊び人「僕は兄貴に嫉妬していたんだ」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/15(月) 19:43:59.33 ID:bXNy42ntO
遊び人「チームメイトからのイジメと兄貴への妬み。もう自分じゃどうすることもできない流れに飲み込まれるしかなかった」
遊び人「僕は野球を辞め、不登校になり、しばらく引きこもるようになった」
魔法使い「遊び人君が引きこもり……?」
勇者「全然結びつかないな」
遊び人「出席日数も足りなくなってきて、学校には行かなければならない。でもガルナから離れたかった」
遊び人「祖父母のいるアリアハン地方に転校させてほしいと親に頼んだよ」
遊び人「でも親は仕事上転勤はできない。精神が不安定の僕を祖父母に任せるのは困難だと判断された」
遊び人「ところが兄貴と一緒ならという条件で認めてくれた。誰からも信頼されている兄貴とならね」
遊び人「……兄貴は文句一つ言わずついてきてくれたよ」
賢者「……」
遊び人「僕が兄貴のことをどう思っているかも知らずに」
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/15(月) 19:55:18.26 ID:bXNy42ntO
遊び人「正直兄貴と一緒にいるのは嫌だったよ」
遊び人「でも兄貴は昔から僕の言うことはなんでも聞いてくれた」
遊び人「そんな兄貴を利用して思いっきりやりたいことをやってやろうと思った。さっきみたいに僕に変装してもらってね」
賢者「……」
魔法使い「それで女の子を……」
遊び人「ナンパだけじゃない。受験もそうさ。僕の代わりに受けてもらったんだ。兄貴は推薦で合格していたから運よく受験日が空いていたしね」
魔法使い「そんなことを……」
勇者「賢者と同じアリアハンを受けたのも、近くにいてずっと利用しようとしたからか」
遊び人「……兄貴と一緒の高校も本当は嫌だった」
魔法使い「え?」
遊び人「でもそれ以上に……」
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 20:06:24.79 ID:WBKtvVGTo
ナンパして孕ませた女の子も兄貴に押し付けそう
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/15(月) 20:07:10.61 ID:bXNy42ntO
遊び人「……野球が嫌いだ。全ての原因の野球が」
勇者「……」
遊び人「この学校を選んだのは野球部がなかったから」
魔法使い「あ……」
遊び人「だからアリアハン地方で野球部がない高校を探した」
遊び人「ここの他にナジミ高校も該当したが、イジメ問題も多そうな学校だったから当然除外。結果的にアリアハンしか選択肢はなかった」
遊び人「なのにいつの間にか野球部は存在していて僕を誘いに来る。不条理な世の中は僕を追い詰めてどうしたいのだろうね」
勇者「……」
魔法使い「でもだからって……」
遊び人「間違えていると言いたいんだろ?わかっているさ」
遊び人「僕がこうなってしまった原因は野球と兄貴。そうやって言い聞かせることが、壊れそうな僕を支えてくれた」
遊び人「それを大義名分に兄貴を逆恨みしていた哀れなピエロだってね」
勇者「……」
魔法使い「……」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 20:11:56.98 ID:fgf3R4Xk0
畜生行為を被害者ぶって語る精神
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/15(月) 20:12:47.77 ID:bXNy42ntO
遊び人「これで僕の話は終わり。満足したかい?」
勇者「……」
遊び人「それじゃあ」
勇者「待てよ」
遊び人「もういいだろ。話せることは話したよ。隠し事してても彼女の前では無意味だろ」
勇者「俺とお前の勝負がまだ終わってねえだろ」
遊び人「え……?」
魔法使い「勇者君?」
賢者「……」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/15(月) 20:21:29.05 ID:bXNy42ntO
遊び人「僕の反則負けで決着はついたはずだよ。名前なら貸すから勝手に入部でもさせておけばいい」
勇者「納得してねえよ。俺はお前と勝負したいんだ」
遊び人「……」
勇者「野球が嫌いなら別に入部しなくていいよ。でも勝負を途中で投げ出してそれでいいのか?」
遊び人「……」
勇者「ずっとこんなこと続けんのか?」
遊び人「……」
勇者「嫌なものから逃げてちゃお前はピエロのままだぞ。後悔してんなら、今の自分を変えたいならお前の力で、本気でぶつかってこいよ」
遊び人「……」
賢者「……」
魔法使い「勇者君……」
遊び人「……ふう」
勇者「……」
遊び人「君も相当しつこいね。わかったよ」
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 20:22:23.81 ID:bXNy42ntO
つづく
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 20:58:04.78 ID:JiDNNM3B0
ピエロなんだよなぁ
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 21:25:27.63 ID:ehcThc9sO
遊び人だししゃーない
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:04:41.66 ID:vDj/EPtMO
───グラウンド
ルイーダ「……この勝負は私は関係ないのよね」
魔法使い「当たり前だよ!もし遊び人君が難癖つけてきても僕が守るから」
賢者「それは大丈夫だと思うよ」
魔法使い「あれ?賢者君も見ていくの?」
賢者「ん……」
魔法使い「そういえば賢者君はどうして遊び人君と入れ替わっていることを僕たちに明かしたの?」
賢者「……」
魔法使い「……?」
勇者「そろそろ始めるぞ。キャッチャーについてくれ魔法使い」
魔法使い「あ……うん」タッタッタッ
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:09:30.84 ID:vDj/EPtMO
ルイーダ「……この勝負のためでしょ」
賢者「……」
ルイーダ「この勝負の結末があなたの望みだから、あなたは彼らを連れてきた」
賢者「本当になんでもわかっているんだね」
ルイーダ「なんでもってわけじゃないわ。神様じゃあるまいし」
賢者「……ミステリアス」
ルイーダ「いいお兄さんよね。あなた」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:17:36.03 ID:vDj/EPtMO
勇者「いくぜ」
遊び人「ああ」スッ
勇者「おりゃ!」ピュッ
魔法使い「速い!これが勇者君の本気!?」
バシィ
遊び人「!?」
魔法使い「ストライクだよ」ピュッ
勇者「どうだ」パシッ
遊び人「……なるほど。大口を叩くだけある」
勇者「へへ。恐れ入ったか」
遊び人「だが打てない球じゃない」スッ
勇者「じゃあ打ってみろよ!」ピュッ
遊び人「はっ!」キィン
魔法使い「ファール。追い込んだ」
遊び人「くっ」
勇者「よっしゃ。三振狙うぜ」
遊び人「そんなダサい終わり方はごめんだ」スッ
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:24:18.90 ID:vDj/EPtMO
勇者「おりゃ!」ピュッ
遊び人「はっ!」キィン
魔法使い「またファール……でもタイミングが合ってきている」
勇者「粘るねえ」
遊び人「ふふ……よし」
魔法使い(笑った?何か掴んだ……?)
勇者「おりゃ!」ピュッ
魔法使い「うっ、考えなしに何度も同じ球じゃ……!」
遊び人「はっ!」ブン
コン
コロッコロッ
魔法使い「打った!でも緩いピッチャーゴロだ。打ち取った!」
ルイーダ「純粋に勝負を楽しんでいた野球少年」
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:30:53.37 ID:vDj/EPtMO
遊び人「いいや。僕の勝ちだね」
魔法使い「え?」
遊び人「グラウンドは荒れている。あれなら確実に、ボールが彼の元に届く前にイレギュラーするはず」
魔法使い「まさか最初からそれを狙って!?」
遊び人「ちゃんと整備されていないグラウンドでラッキーだ」
コロッコロコロッ
魔法使い「まずい。すでに不規則な動きだ。どこへ転がるんだ!?」
コロコロッコロッ
ルイーダ「厳しい環境の中で少年の心は揺れ、どこへ向かうのか迷い続けた」
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:35:24.82 ID:vDj/EPtMO
タンッ
パシッ
遊び人「……え?」
勇者「おお、イレギュラーバウンドしたボールがちょうど俺の手の中に。ラッキー」
遊び人「嘘……」
勇者「ピッチャーゴロで俺の勝ちだよな。お前は魔法使いみたいな屁理屈言わないだろ」
魔法使い「あ、あれは君を助けたんじゃないか!?」
ルイーダ「そして行き着いた先は新たな場所」
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:41:16.69 ID:vDj/EPtMO
遊び人「ツキが彼に向いていたのか……」
ルイーダ「ツキがどうのという話ならあなたに向いているんじゃないかしら」
遊び人「だって負けてしまったんだよ」
ルイーダ「彼の中にあなたの幸運がある。私はそう思う」
勇者「勝った勝った!初めて俺が勝ったんだ!」
魔法使い「どうなるかと思ったよまったく」
勇者「喜べよ。初めて実力で勝ったんだぞ」
魔法使い「運の要素が強かったよ。実際狙ったところに打たれたんだから」
勇者「勝ちは勝ちだろ!」
遊び人「……」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:47:56.55 ID:vDj/EPtMO
ルイーダ「偶然だと思う?」
遊び人「……」
ルイーダ「それを確かめられるのはあなた自身しかいない」
遊び人「……」
ルイーダ「まあ私は関係ないから。これで失礼するわ」テクテク
遊び人「……」
勇者「もう帰るのかよ。相変わらず冷めたやつだな」
魔法使い「でもそんなルイーダさんを勇者君も好きなんだよね……」
勇者「は?なんの話だ?」
魔法使い「だってさっき大切な人だって」
勇者「ああ、あいつはいずれ野球部のマネージャーにするからな。大切な戦力だろ」
魔法使い「え?それだけ?」
勇者「それだけだぞ」
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:52:10.25 ID:vDj/EPtMO
賢者「僕も帰るよ」
勇者「おう。じゃあな」
遊び人「……兄貴、あの」
賢者「いい顔してたよ」
遊び人「!?」
賢者「久しぶりに見た」
遊び人「兄貴……ゴメン」
賢者「何も謝ることはしてないから大丈夫だよ」
遊び人「……」
賢者「じゃ」スタスタ
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/16(火) 19:57:33.48 ID:vDj/EPtMO
勇者「あいつ、お前の考えていたこと全部わかっていたんだろうな」
遊び人「……」
勇者「まああいつくらい頭が良ければ当然か」
魔法使い「その上で全部受け止めていてくれたんだね」
遊び人「……本当に敵わないよ」
魔法使い「遊び人君、それであの……勝負のことなんだけど」
遊び人「運という僕の得意分野でも負けた。完敗だと認めざるを得ない」
魔法使い「じゃあ」
遊び人「どうやら僕の幸運は野球部にあるらしい。入部させてくれ」
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/16(火) 19:58:12.31 ID:vDj/EPtMO
つづく
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/16(火) 20:07:31.38 ID:FQ8fd81WO
賢者は入らないん?
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/16(火) 20:32:26.24 ID:D+z8SC58o
乙
これギャグSSじゃなかったっけ?
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/16(火) 21:10:47.61 ID:ddbhQgd5o
そういや野球で運パラメータ強いって最強じゃね?
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/16(火) 23:15:28.10 ID:70KKG/dg0
賢者いれなきゃ9人にならない
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/17(水) 08:30:26.49 ID:Pcv3dg7eO
メソとキャシャリンも誘ってあげてキャシャリンは元エースだし
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 14:54:23.51 ID:xRw/o5SnO
───部室
勇者「ようこそ野球部へ」
遊び人「……僕なんかを勧誘に来るなんておかしいと思っていたけど、人数が揃ってなかったんだね……」
勇者「賢者も一緒に入ってくれたらすげえ戦力になっただろうな」
魔法使い「今度誘ってみない?」
遊び人「僕は反対だよ。兄貴が入ってきたらまた惨めな思いをしなくちゃならない」
勇者「情けねえなあ。好きなことで負けたくないって気概はないのか」
遊び人「君たちはまだ兄貴のことを知らないからそんなこと言えるんだ。圧倒的な才能の差というものを」
魔法使い「たしかに……素人なのにいきなり初球でホームランなんてね」
遊び人「素人どころか僕だってホームランなんて打ったことないよ」
魔法使い「僕も……」
勇者「俺はうまけりゃ全然構わないけどな」
遊び人「兄弟がいなければわからない問題さ。兄貴に憎しみはないけど、さすがに同じチームではいられないよ」
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 15:06:14.38 ID:xRw/o5SnO
勇者「あいつ自身はどう思ってんだろ」
遊び人「昔誘ったことあるけど面倒くさいって断られたよ」
勇者「本人がやりたくないならしょうがないか」
魔法使い「でも遊び人君のことはちゃんと応援してくれる」
勇者「みたいだな。自分を嫌っているやつを応援ってなかなかできないぜ」
遊び人「まあ、そういう人なんだよね。自分の小ささを思い知らされたよ」
魔法使い「僕なんとなくわかったけど、賢者君は遊び人君にもう一度野球をやってほしかったんだよね」
勇者「昔の遊び人に戻ってほしかったんだな」
魔法使い「妬まれている本人から昔の君に戻って、なんて言われても逆効果だったろうし」
遊び人「……」
魔法使い「心の底では野球が嫌いになりきれてなかった。それもわかっていたから」
勇者「俺たちに託した、か」
遊び人「僕だって今までの僕とは違う。兄貴の思いに応えるためにも、これから生まれ変わったNEW遊び人をお見せするよ」
勇者「そいつは楽しみだ」
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 15:15:10.35 ID:xRw/o5SnO
ガチャ
武闘家「ん?皆揃っていたか」
盗賊「……」
勇者「おう盗賊」
魔法使い「おかえり」
盗賊「……ふん」
武闘家「そちらも遊び人を仲間にできたようだな」
遊び人「初めまして。話には聞いているよ。武闘家君?それからそっちが盗賊君かな」
武闘家「……俺は初めてではないが」
遊び人「え?ゴメン。覚えていない」
魔法使い「どうなってんのこの人の記憶力……」
勇者「幸先不安なNEW遊び人だぜ」
魔法使い「戦士君は?」
武闘家「監視が手間になるから家まで送り届けてきた」
遊び人「戦士……?」
勇者「さすがにそこは覚えておいてやれ」
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 15:27:18.93 ID:xRw/o5SnO
武闘家「戦士の家に行って家族と少し話をしてきた」
勇者「へえ。どんな家庭だったんだ?」
武闘家「あの体型と性格からわかると思うが、かなり甘やかされて育ったようだ」
魔法使い「想像しやすいね……」
武闘家「あのままでは確実に望んだ分食料を与え、これまで絞らせてきた意味がなくなる。だから家を出させ、知り合いの寺に預けてきた」
勇者「そこまでやるか」
魔法使い「君そろそろ訴えられるんじゃないかな」
武闘家「家族には有難がられたぞ。やはりどこかで自制しなければと思っていたようだ。本人は抵抗したが」
勇者「なら問題ないか。寺なら摂生できるし戦士の精神面も鍛えられるだろ」
魔法使い「うーん、いいのかな」
勇者「お前らもそのまま帰ってよかったのに」
武闘家「ついでの報告があるから戻ってきた」
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 15:38:44.18 ID:xRw/o5SnO
───
勇者「へえ。試合を取り決めてきたか。よくやった」
武闘家「俺にかかれば大したことではない」
盗賊「なんで得意気なんだ。たまたまそういう結果になっただけだ」
魔法使い「ついでどころじゃないじゃん!戦士君のことなんてこの際どうでもいいよ!」
勇者「初めての試合か。わくわくするぜ」
武闘家「実戦でしか得られない経験値もあるだろう」
勇者「今の俺たちのレベルじゃちょうどいい相手かもな」
盗賊「おい、俺たちは問題だらけって忘れんな」
勇者「再来週だろ。時間はあるしなんとかなるんじゃないか」
盗賊「絶対負けられないんだよ!」
遊び人「日時は決まっているのに場所はまだ決まってないの?うちのグラウンドじゃダメなのかい?」
武闘家「そうなれば理想だが……まだ決定する段階ではない」
勇者「また何か企んでんのか」
盗賊「……嫌な予感しかしないぜ」
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 15:40:33.10 ID:xRw/o5SnO
つづく
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 15:44:00.41 ID:xjo2jENFO
───次の日
戦士「おはよ……」グッタリ
勇者「なんかすでにくたびれてんな」
魔法使い「お寺でお世話になっているんでしょ?どうだった?」
戦士「……」
武闘家「ランニング始めるぞ」
戦士「ひ……」
魔法使い「ちょっと可哀想だね。学校でも帰っても休まるところがないなんて」
勇者「まあ無理矢理にでもないとあの性根は治りそうもないしな」
魔法使い「じゃあ僕たちはまた勧誘に行ってくるよ」
武闘家「……ああ。行ってくれ」
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 15:59:15.04 ID:xjo2jENFO
───1年紫組
魔法使い「どんな人だろうね」
勇者「ああ。この組の僧侶ってやつは……お、あいつかな」
テクテク
僧侶「ん?お前たちか。俺を呼んだのは」
勇者「急に呼び出して悪かったな。俺たちは野球部だ」
僧侶「野球部……そうか。お前たちが例の」
魔法使い「え?僕らのこと知っていたの?」
僧侶「わはは。昨日武闘家がうちの寺に戦士とかいうのを預けに来たぞ。相変わらず強引なやつだった」
勇者「戦士預けた寺ってお前んちだったのか!?」
僧侶「聞いていないのか?」
勇者「知り合いの寺に預けたとしか……」
僧侶「わはは。そりゃそうか。あいつは俺が野球部に入れないことを知っているから」
魔法使い「野球部に入れない!?なんで!?」
僧侶「俺には寺の修行がある。部活動は禁じられているんだ」
魔法使い「そんな……」
僧侶「仕方ないさ。寺生まれ……だからな」
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 16:23:13.37 ID:xjo2jENFO
───1年青組
勇者「お前僧侶と知り合いだったのか」
武闘家「ああ。幼い頃からやつの寺で共に修行した仲だ」
魔法使い「へえ。幼馴染なんだ」
武闘家「やつに野球を教えたのは俺だ。厳しい家のため、やつはチームに所属することを許されなかった。そこで俺と色々なチームの助っ人をして遊んだものだ」
勇者「なんでそれ最初に言わなかったんだよ。無駄骨じゃんかよ」
武闘家「やつはなかなか鋭い。俺の考えが見抜かれるわけにはいかなかった」
魔法使い「また何か考えていたの……?」
勇者「あいつを入部させる気か?」
武闘家「無論だ。昨日少し話して察したが、やつには野球への未練がある」
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 16:43:43.91 ID:xjo2jENFO
魔法使い「……どうする気?」
武闘家「そこで戦士を預けた意味が生きてくる。あの怠惰を体現させたような男が野球のために懸命に取り組む姿を見たら、かつての情熱が掘り起こされるはず」
魔法使い「お寺を利用させてもらうと見せかけて戦士君を利用していたの……?恐ろしい」
武闘家「一石二鳥と言え。その後事情を知らないお前たちが純粋に野球に誘う。今かなり心が揺れているはずだ」
勇者「俺たちも利用されていたのか……」
武闘家「俺の目論見通りなら明日にでも決意を固めるはず」
勇者「そんなうまくいくかねえ。あいつの場合は本人の意思というより家の事情だろ」
武闘家「やつが本気ならそんなものどうにでもなる」
魔法使い「そんなものなの……」
武闘家「大船に乗ったつもりで待っていろ。では俺は戦士の監視に行ってくる」スタスタ
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 17:25:04.52 ID:xjo2jENFO
魔法使い「相変わらず不安だ……」
勇者「じゃあ僧侶は保留にして俺たちはまた別の経験者勧誘に行くか」
魔法使い「あと残っている人って二年生だっけ?」
勇者「ああ。初めての上級生だな」
魔法使い「二年生の教室に行くのなんだか怖いなあ」
勇者「俺だって嫌だよ。でもしょうがないだろ」
遊び人「じゃあ魔法使い君の代わりに僕が一緒に行くよ」
魔法使い「!?」
勇者「おま……なんでうちのクラスにいるんだよ」
遊び人「ルイーダ嬢にデートの申し入れにね」
魔法使い「……は?」
勇者「お前懲りないな。脈なしだってわかってるだろ」
遊び人「僕じゃないよ。兄貴とさ」
魔法使い「……は?」
遊び人「どうもあれからルイーダ嬢のことが気になっているらしいんだ」
魔法使い「なんだと……?」
勇者「へえ。あいつがルイーダを……意外な感じだな」
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 17:41:11.38 ID:xjo2jENFO
遊び人「でも兄貴は恋愛をしたことないからその感情がなんなのかわかっていない。僕が一肌脱いであげようと思って」
勇者「たしかに恋愛のイメージはないな」
遊び人「というわけなんだけどどうかな?」チラッ
ルイーダ「……」
勇者「お前いたのか!?」
ルイーダ「最初からいたわよ。あなたの後ろの席なんだから当たり前でしょ」
勇者「だったらなんか発しといてくれよ。お前の話なんだぞ」
ルイーダ「申し訳ないけど彼に特別な感情はないわ」
魔法使い「……」ニヤリ
遊び人「デートしてくれるだけでいい。なんなら振ってくれても構わない」
魔法使い「ええ?」
勇者「お前、振ってもいいって……まだ賢者のこと」
遊び人「誤解しないでよ。もうわだかまりはないよ」
魔法使い「だったらどうして?」
遊び人「兄貴に恋愛というものを経験させてあげたいんだ。恋愛には喜びも、当然挫折だって含まれる。兄貴は挫折なんかしたことないからその方がいいのかもしれない」
ルイーダ「……」
勇者「勝手だな。いくら身内でも首突っ込みすぎじゃないか?」
魔法使い「そ、そうだよ。そういうことは賢者君にも……」
ルイーダ「いいわ」
魔法使い「!?」
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 17:48:25.83 ID:xjo2jENFO
遊び人「本当かい?」
勇者「お前……」
ルイーダ「好きにしていいんでしょ?あとはどうなっても知らないわよ」
遊び人「ああ。ありがとう」
勇者「お前も悪趣味だな。わざわざ振りに行くのかよ」
ルイーダ「頼まれたから行くだけよ」
勇者「嫌なら断ればいいだろ」
ルイーダ「あなたには関係ない」
勇者「……」
遊び人「じゃあ早速兄貴にも伝えてくるよ」
勇者「おい、お前はこれから俺と勧誘に行くんだよ」
遊び人「あ、そうだったっけ」
勇者「お前から言い出したのに忘れるなよー」
ルイーダ「いいわ。私が直接お誘いに行く。日にちは私が決めるわ。それでいい?」
遊び人「悪いね。よろしく頼むよ」
魔法使い「……」
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 18:02:13.67 ID:xjo2jENFO
───2年教室
生徒「あの人なら……あれ?いないしー」
勇者「どこ行ったかわかります?」
生徒「さあ?休み時間はいつもいないし。部活もやってないっぽいからすぐ帰っちゃうしー」
勇者「そっか……でも部活やってないなら好都合だ。放課後また来よ……」
遊び人「はい。これ僕の連絡先です」スッ
生徒「やったー。放課後も来てくれるの?だったらそのまま遊びに行かない?」
遊び人「喜んで」ニコッ
勇者「……おい。NEW遊び人」
234 :
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[saga]:2017/05/21(日) 18:05:58.50 ID:xjo2jENFO
───放課後・2年教室
勇者「もう帰った?」
生徒「うん」
勇者「来るのが遅かったか。結構早めに来たと思ったのにな」
魔法使い「仕方ないよ。また今度来よう」
生徒「ねえねえ、遊び人君はー?」
勇者「あいつなら二度と来ません」
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/21(日) 18:13:24.72 ID:xjo2jENFO
───部室
遊び人「ひどいじゃないか!僕を置いて行くなんて!」
勇者「うるせえ!お前は二度と連れて行かねえ!」
遊び人「そんな……ひどい」
魔法使い「これで土日に入るし勧誘はひとまず終わりだね」
勇者「ああ。でもグラウンド整備やるから明日も学校に来いよ」
戦士「き、休日なのに……?」
武闘家「お前は来なくていい」
戦士「え?」
武闘家「まともに動けるようになるまで部活に出なくてもいい。俺も監視は疲れる」
勇者「へえ。優しいじゃん」
武闘家「どうせ寺にいるなら一日中ぐうたらはできんからな」
戦士「……」
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 18:14:14.11 ID:xjo2jENFO
つづく
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 18:43:47.94 ID:mzGXXzH/0
乙
二年生が気になる
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 21:19:03.97 ID:LMMkvXm5o
誰や
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/22(月) 20:51:30.34 ID:YXjvxvaJO
───土曜日・グラウンド
勇者「じゃあ今日中に終わらせるぞ」
武闘家「魔法使いはどうした?」
勇者「体調悪くて休むらしい。戦士もいないし今日は4人でやらなきゃな」
盗賊「面倒だからってサボりじゃねえのか」
武闘家「魔法使いは自分勝手な都合でサボる男ではない。俺の目に狂いはない」
遊び人「はあ……せっかくの休日にデートもできないなんて」
勇者「来ていきなり文句言うなよ」
遊び人「だってさ、今日は兄貴もデートだってのに」
勇者「え?ルイーダとのか?」
遊び人「うん。彼女が今日を指定してきたみたいなんだ」
勇者「昨日の今日じゃねえか。せっかちだな」
遊び人「これ終わったら様子見に行ってみない?」
勇者「やめとこうぜ。振られるのがわかってるんだし、さすがに野暮だわ」
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/22(月) 20:54:49.65 ID:Gf2BraF/o
あっ…(察し)
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/22(月) 20:55:09.94 ID:qhPxJ3CA0
武道家はわかってないな、魔法使いは、ルイーダのデート監視してるに決まってるのに。
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/22(月) 21:03:35.94 ID:YXjvxvaJO
武闘家「皆、そのまま作業しながら聞け」
勇者「ん?」
遊び人「急にどうしたの?」
武闘家「頭は動かさず、目だけで校舎側を見ろ」
盗賊「なんだよ……」チラッ
僧侶「……」
勇者「あ、あれは……!」
遊び人「誰だい?」
武闘家「僧侶だ。どうやら気になって休日だというのにわざわざ見学に来たようだ」
勇者「マジか。正直お前の作戦期待していなかったんだけどな」
武闘家「ふっ、言っていろ。この後入部したいと言いに来る。自然に接しろ」
盗賊「そんなうまく……」
僧侶「おい」
勇者「本当に来た!?」
武闘家「おやおや?どうしたんだ僧侶。俺たちに何か大切な用か?」
勇者「お、俺たち草取りで忙しいんだけどなー」
僧侶「戦士はいないか……」
武闘家「やつなら寺だろう。それより俺たちに何か言いたいことがあるのではないか?さあ言ってみろ。にゅ?にゅ?」
僧侶「戦士が脱走した」
武闘家「……は?」
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/22(月) 21:09:30.64 ID:FvyrMPAbO
は?
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/22(月) 21:16:50.19 ID:YXjvxvaJO
僧侶「野球部にいると思ったが来てないのか」
武闘家「やつめ……俺の計画が」
勇者「まああいつなら逃げるって考えられそうなもんだけどな」
武闘家「勿論その可能性も考慮した。俺も昔、精神鍛練が耐えられず脱走を試みたことがある。だが坊主どもの厳重な見張りから逃れることはできなかった」
盗賊「牢獄かよ」
武闘家「それをあの戦士が……」
僧侶「わはは。すまん油断していた。どうやら綿密に脱出経路を練っていたらしい」
勇者「楽するためにそんな執念見せるなよ……」
僧侶「ここにいないとなると実家か。一応預かった身としては所在は確かめねば」
勇者「わざわざ悪かったな。あいつは俺たちが探すよ」
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