過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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名無しのパー速民
[sage saga]
2018/08/14(火) 22:54:38.71 ID:wMen6OU80
>>253
【それでも神様はこの場所に顕れなかった。"そう"しようとすればできるはずだった、今の、彼女なら】
【ゆえにこの会話だって聞いているはずだった。じっと見ているはずだった。だのに顕れないから、藤色の少女は悲しいんだろう】
【だけれど少女は絶対にあの少女へ祈らないから。――あるいは祈れないから。だってできるはずがなかった、今更、あの少女に祈れるはずがない】
【――いつか悪夢と断じて絞めた首の感覚を今でも色鮮やかに思い出せた。白神鈴音を信じてたって言った弟の唇の動きが、あんまりにこびりついているから】
…………、――、ケバルライ、さん……、
【"彼女"が水あめみたいに柔らかな優しさ、絡めとられて苦しみながら溺れてゆく暴力的なまでに甘い優しさ、なら】
【"彼"のそれはきっと板氷のようだった、どこまでも変わらぬ優しさ、身体を預けても自身の形に溶けるまで、或いはその後まで、苦しみを伴うような、優しさ】
【ぎゅうっと自分を抱きしめた指先がきっとがたがた震えていた。冷たすぎる空調に中てられたみたいに。事実身体は冷えていた。それでも、そこまで冷たくはないから】
――正しいウヌクアルハイ様なら、私たちを、……私、を、救って……くださる、でしょうか、
なら……、白神鈴音(あの女)が居なくなれば、ウヌクアルハイ様が、正しい神様に、戻るのなら……。
私は……誰を居なくすれば……正しく戻れるの……。
【であればひどく支離滅裂な言葉だった。それでもきっと彼女の中では道理が通っていた、どうしたら間違った神は正しく戻るのか】
【白神鈴音という人格を排してしまえば正しい神に戻るなら。そうして――救ってくれるのなら。だったら。自分は、誰を排すれば正しく戻れるんだろう】
【あの神が居合わせた誰かの認識によって誑かされて間違えたなら――、おんなじだと思ったのかもしれなかった、誰かのせいにしたいのかもしれなくて、でも、きっと、】
【堂々巡りだった、自身の尾を咥えた蛇の上をぐるぐる巡っているみたいだった、あるいは表と裏の繋がったわっかを無限に歩み続けるみたいに】
私……私は、外になんて、行かれない、そんな風なこと、もう、――もう、
【ふらふらと頭を揺らして漏らすのは嘆きに等しかった、美しい髪を誇ったがゆえにその毛先を蛇に替えられてしまったような、悲哀に満ちて】
【あんまりにも知られすぎてしまった。容姿を偽って、蛇を隠して、――目的があればそれも出来た、けれど、常にそうであろうとするのは、絶望的すぎて】
【自分を消してしまいたいわけじゃなかった。救われたかっただけなのに。自分のせいで誰かを不幸にしたくなかったのに。――なんて】
【――きっとありふれた人に聞かせたならひどく馬鹿にされるのだろう。そのためにあんまりに彼女は殺しすぎた。だけれど限りない矛盾は、信仰の中では正当化されて】
【だけれど――それが揺らげば、限りなく自分を刺し貫く刃になる、致死性の毒をたっぷりと塗りつけて、――針地獄さえも生ぬるかった、だって、自分自身が針ならば】
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