もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
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77:1[sage saga]
2024/11/01(金) 20:42:31.85 ID:4JAHijIv0
 
フリーレン「――やれやれ、できれば怪我をさせたくなかったんだけどな」

桃「……は?」

 桃の思考が停止する。

 あの恐るべき貫通力を持つ攻撃魔法が放たれる前には、必ず射出点に魔方陣が展開された。すでに見覚えたそれが次々に、だが瞬時に展開されていく。

 ひとつ、ふたつ。10、20、40――

桃(そりゃあ全力じゃないだろうって思ってはいたけどさ――!)

 怖気と共にその場を飛び退く桃の耳に、どこまでも平坦なフリーレンの声が届く。

フリーレン「手足の一本くらいは覚悟してね」

 夜が駆逐され、つかのま昼間のような明るさを取り戻す。規模にして今までの数十倍になるであろう攻撃魔法が放たれたのだ。

 もはや攻勢に出る余裕などない。桃は回避と後退に全精力を傾けた。

 数えるのも馬鹿らしくなるほどの破壊の光が、体をかすめて地面に着弾し、あらゆる場所で土くれを巻き上げた。
 魔力制限のお陰か、狙いの精度そのものは甘くなっている。だがそれを補ってあまりある数の暴力。

 桃は格闘戦の間合いという距離の利を捨てざるを得なかった。必死に後退し距離を取る。体を捻り、姿勢を低くし、時には地面を転がることも辞さずに回避行動を続ける。

桃(こいつ、これでもまだ本気じゃないな――殺す気がない。あくまで殺すのはまぞくだけってことか?)

フリーレン(こいつは解除魔法をかけた後、急に襲いかかってきた。もしも洗脳魔法の解析に何かミスがあって、解除魔法が完璧じゃないとしたら――)
フリーレン(それを突き止めるには、こいつを調べるのが一番の近道なんだけど)

 仮に解除魔法に欠陥があって、その結果の錯乱ならそれは自身の落ち度だ、とフリーレンは思う。怪我をさせたくないというのも本心だ。

フリーレン(でも無傷で捕らえるのは無理だな。アイゼンより早いっていうシュタルクの見立ては伊達じゃない。できるだけ手足を狙ってるとはいえ、ここまで回避されるとは思わなかった)
フリーレン(そもそもこいつは何なんだ? 攻撃魔法を使った以上、魔法使いではあるんだろうけど、それならなんで防御魔法を使わない?)

 思考と疑念を積み重ねながら、フリーレンはさらに攻撃魔法を送り出す。

 敵はよく避けたが、それも終わりが近い。圧倒的な数と弾速の前に相手の退路は袋を絞るように狭くなっていく。

フリーレン(とった)

 フリーレンは退路を完全に締め上げるためのとどめの一撃を準備する。



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