異説 ひのきの棒と50G
1- 20
60: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:29:01.70 ID:aGyuAlWz0

 そんな少年をしり目に、領主はくつくつと笑い始めた。
 魔物たちの作り上げた地獄を眺め愉快に笑うその姿は、おとぎ話で知る邪悪な魔王そのものであった。

「いったい、何を為されたのですか」
以下略 AAS



61: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:29:28.77 ID:aGyuAlWz0

 少年の脳裏に、昨夜の豪勢な晩餐がよぎる。
 人々に食べ尽くしようがない大量の料理。
 その残された皿の処遇に、わずかながらの罪悪感を抱いたが。
 領主が、それを無駄にすることは無かったのだ。
以下略 AAS



62: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:30:03.69 ID:aGyuAlWz0

「妹を探してきます」

 館のあまりの惨状に、少年の不安が搔き立てられる。
 館には、少年の妹が預けられていたはずだ。
以下略 AAS



63: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:30:33.93 ID:aGyuAlWz0

「一先ず―――金が要る。死体の懐を漁ってこい」
 
 領主のあまりに人道に反した言葉に、少年は戸惑いを見せた。
 それは、少年の知る「正しい生き様」からかけ離れた行いだ。
以下略 AAS



64: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:31:04.20 ID:aGyuAlWz0

 少年が正門にたどり着くころには、東の空が薄明るくなってきていた。 
 影の塊にしか見えなかった数多の遺体が、その姿を明らかにされる。
 人、人、人、人、大勢の戦士達。そして、僅かながらの魔物。
 
以下略 AAS



65: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:31:33.83 ID:aGyuAlWz0

 少年は、巨人の隣にうつ伏せに倒れている男を見つけた。
 どこか、見覚えのある背中であった。

 少年は、意を決して男の体をひっくり返す。
以下略 AAS



66: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:32:03.99 ID:aGyuAlWz0

「まずは、領主さまの指示に従おう…」 

 少年は、自分自身に言い聞かせ深く息を吐いた。

以下略 AAS



67: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:32:33.26 ID:aGyuAlWz0

 銅貨を前に、少年の手が止まる。少年の良心が止めさせたのだ。
 これまで、多少の間違いはあれど少年は正しいと信じる道を生きてきた。
 人として、踏み越えてはならぬ境を超えたことはなかったはずだ。

以下略 AAS



68: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:33:06.05 ID:aGyuAlWz0

 戦の有様なんてものではない。
 これは、魔物にとっての晩餐の果てだ。 

 少年は、痛感した。
以下略 AAS



69: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:33:33.81 ID:aGyuAlWz0

 世に「正しさ」などはない。
 その果てに残されるのは、屍と死体漁りだけ。

 この世界に救いはない。
以下略 AAS



70:今日はここまで ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:34:53.68 ID:aGyuAlWz0

 僕は、「正しく」ありたかっただけで「正しく」などなかった。
 そして、それすらも無意味であることを僕は知ってしまった。

 だから、父の剣はもう必要ない。
以下略 AAS



84Res/42.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice