異説 ひのきの棒と50G
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56: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:27:08.68 ID:aGyuAlWz0

「早く火を消して弔ってさしあげましょう」

「ならぬ」

 少年の提案に、領主はにべもなく答えた。少年は、領主の顔を強く睨みつけた。
 街の為に力を尽くした戦士たちを、火に弄ばされるままにしておくことを、少年のまっすぐな心は許せるはずがなかった。

「このまま燃やしてしまった方が良い」

 領主は、誰ともなしに念押しをするかのように言った。
 揺らめく炎に照らされたその顔は、青白く生気がない。まるで死者のそれだ。
 よもや、領主様は正気を失っているのではなかろうかと、少年は疑った。

「なぜ―――」

「死体は病を呼び込む。魔物の次は病が街を襲うことになる」



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