55: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:26:36.45 ID:aGyuAlWz0
焚かれた炎の中には、戦士たちの亡骸で小山ができている。
火に巻かれながらも小山が崩れずにあるのは、彼らがプレートアーマーを着込んでいたからであろう。
その亡骸の多くは、正門前から前線を押し込まれた正規兵たちであった。
小山の頂きには磔台が築かれている。括られているのは一際体の大きな男。
既に長い時間、火に炙られたせいか皮膚は黒く焦げ落ち、人別は最早つかない。
あまりの惨状に、少年は瞬きも呼吸すらも忘れて立ち尽くすしかなかった。
「肉包丁を握っていれば、領主と間違われることもなかったであろうに」
領主の口ぶりは、磔にされた男が何者であるかわかっているかのようであった。
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