31:名無しNIPPER[sage saga]
2023/09/07(木) 21:53:18.87 ID:I2AyKHWk0
「今日一日、ずっとそばにいて……やっぱり、わかったことがあります」
「……」
「私……あなたのこと、好きなんですわ」
「っ!」
「あなたと一緒にいたい、これからもずっと一緒にいたいって、思ってる……」
「向日葵……」
「櫻子は、どう?」
「……」
櫻子はぐぐっと体重をかけて向日葵をぽすんと布団に押し倒し、浴衣越しの胸にふにゅんと顔をうずめながら言った。
「……私だって、同じだよ」
「……」
「向日葵と一緒にいたいから……向日葵のことをもう泣かせたくないから、こんなに頑張ってるんじゃん……」
「……そうでしたわね」
向日葵は目を閉じて櫻子を抱きしめ、その背中をさする。
櫻子もその腰にきゅっと手を回し、溢れる思いを少しずつつむぐように、ぽつぽつと話した。
「向日葵、お願い……私、これからも頑張るから」
「……ええ」
「だから……力を貸して。また今までみたいに……いっぱい、私の勉強、見てよ」
「……ふふ、よろこんで」
本当は、向日葵にも内緒でずっと勉強して、それで合格してみせたら、かっこよかったのかもしれない。
でも、もうあまり時間もないし、そんなことも言ってられない。
向日葵と一緒になるために、櫻子はどんなことだってする覚悟だった。
こうなったらもう、向日葵の手でもなんでも借りてやる。
「大丈夫、櫻子は絶対大丈夫……あなたは絶対に受かりますわ」
「……ん」
櫻子の髪をもしゃもしゃと愛しそうに撫でながら、先に眠りについたのは向日葵の方だった。
窓から差し込む月明かりに照らされた寝顔は、子どものように安らかで。
櫻子は少しだけ位置をずらすように向日葵を布団に寝かせ直し、髪をかきあげておでこをそっとさすった。
(ずっと一緒にいようね……向日葵)
小さくて愛しい唇に、そっと自分の唇を重ねる。
少しだけひくりと動いた気がしたのは、きっと気のせいだろう。
「おやすみ、向日葵」
(……おやすみなさい、櫻子)
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