30:名無しNIPPER[sage saga]
2023/09/07(木) 21:52:42.96 ID:I2AyKHWk0
しばらくして、さすがに暑すぎるといってギブアップした櫻子は、向日葵の下から這い出て、もう一度温泉で汗を流したくなるくらい火照ってしまった身体をぱたぱたと冷ました。
向日葵はその様子を微笑ましく見ながら布団の上に座り直し、櫻子に向き直った。
「改めて、言わせてください。あなたのお手伝いがしたいって」
「向日葵……」
「私は……あなたと同じ高校に進んで、あなたと一緒に高校生活を送りたい。そのために、あなたのためにできることは、何でもしてあげたいんですの……これは本当に、心の底からの本心ですわ」
「……」
「だから、距離をとるのも、もうやめにしましょ」
「!」
「また昔みたいに、一緒に学校に行って、一緒に勉強もして……」
「……うん」
「一緒に、頑張っていきましょうよ」
「……そだね」
向日葵は櫻子の手を両手で包み、心からの想いを伝える。
櫻子はじんわりと伝わってくる仄かな手の温度を通して、向日葵の言葉を素直に受け入れた。
「そうだ、たまにはまた生徒会にも顔を出してくれると嬉しいですわ」
「……えっ、私とっくにやめたじゃん」
「あんな退会届、受け取ってませんわよ。副会長の席は、今でもちゃんとあなたのために空けてますわ」
「……」
「勉強時間が減るのが嫌なら、その分を私がカバーしますから」
「……いいのに……」
「あなたのぶんの仕事も今までどおり私がやりますし、勉強の面倒も見たい。今はとにかく、あなたのために色々してあげたいんですわ」
「だから、そういうのが重荷になっちゃうんだって〜……」
「じゃあ、重く感じないで?」
「わがままか!」
「それくらいの重荷……背負ったって、今の櫻子なら大丈夫ですわよ」
「……うぅ……」
真っ赤な顔で困り尽くす櫻子の顔を、向日葵は膝立ちになって抱きしめる。
温かい胸に包まれ、櫻子の文句は子犬の泣き声のようにくんくんと弱っていった。
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