32:名無しNIPPER[sage saga]
2023/09/07(木) 21:54:02.65 ID:I2AyKHWk0
翌日。
櫻子と向日葵は早々にチェックアウトを済ませ、電車を乗り継いで一緒に帰宅した。
櫻子は大室家へ、向日葵は古谷家へ。しかし向日葵は勉強道具を用意すると、すぐに大室家のリビングへ向かう。
昔みたいな光景が、また大室家に戻ってくる。
「夏は受験のてんのーざん! がんばるぞー!」
「わぁ♪」
「気合入りすぎだし」
「温泉旅行で気力回復しすぎでしょ……」
櫻子はペンを高くかかげてメラメラと闘志に燃えていた。ソファに座った楓が嬉しそうに拍手を送る。
花子と撫子はお土産の和菓子をはくはくと食べながら、呆れ気味にツッコミを入れた。
「ところで天王山ってどういう意味?」
「それくらいわかっとけし。それが試験問題になったらどうすんの」
「わー、国語苦手なんだよなぁ……」
「国語というよりは歴史だと思うけど」
「ふふっ」
冷たい麦茶を人数ぶん淹れて戻ってきた向日葵は、櫻子の隣に座る前に、スマホを取り出す。
大切なクラスメイトふたりに心からの感謝をメッセージで伝え、そして窓をからりと開けて風を取り入れた。
涼風が優しく頬を撫で、チリンチリンと風鈴が鳴る。
青く澄み渡る空と高い雲を見て、向日葵は思った。
――私たちの未来は、こんなにも輝いている。
〜fin〜
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