28:名無しNIPPER[sage saga]
2023/09/07(木) 21:51:14.12 ID:I2AyKHWk0
ふたりで使うには大きい和室の真ん中に、布団が並べて敷かれている。
櫻子はその片方にぽすんと倒れ込み、向日葵は部屋の明かりを落とした。
「ほんとに今日はずっと勉強してましたわね。お疲れ様」
「……あんま集中できなかったよ」
「ふふっ、でもいいじゃない。たまにはそんな日があったって」
ひんやりと気持ちいい枕に顔をうずめながら、櫻子は目を閉じる。
……と思ったら、突然背中に温かい重みがのしかかってきて、思わず跳ね起きてしまいそうになった。
向日葵が、うつぶせて寝ている櫻子の上に馬乗りになり、肩のあたりからゆっくりとマッサージを始めた。櫻子は恥ずかしさで逃げ出したくなったが、しっかりと上に乗られてしまって身動きがとれず、さらに気持ちよさのおかげで身体から力も抜けてしまい、なすがままだった。
「あなた、やっぱり身体も少し大きくなりましたわね」
「……そんなのわかんの」
「わかりますわよ。昔より全然……なんだか本当に、撫子さんみたいになってきましたわ」
「それ、花子にもよく言われる」
「単純に大きくなってるのもあるでしょうけど……やっぱりそれだけ、中身もしっかりしてきたってことでしょうね」
向日葵のマッサージは気持ちよかったが、そんなことより胸のドキドキが強すぎて、櫻子は気が気ではなかった。
感じている気恥ずかしさがすべて体温に変わって、きっと向日葵にも伝わってしまっている。風呂上りであることはもう理由にならない。櫻子は枕に顔をつっぷして身を硬直させるが、向日葵はその硬直をほぐすように丁寧にマッサージしていった。
「ちょっと前の話ですけど……」
「い、いつの話っ?」
「温泉街に散策に出る前。あなたがここで最初に勉強してたときの」
「……ああ」
「私、あなたのことは応援しないって言ったでしょう。あなたの重荷になるようなことはしないって」
「……うん」
「あれ、やっぱり取り消してもいいかしら」
「ひぇっ!?」
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