王子『はちじょうひとまのワンルーム?』
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29:名無しNIPPER
2023/06/08(木) 23:40:42.32 ID:dr7q0Gdl0
 王女は階段を駆け上がり、魔王城の中心部――玉座のある謁見の間に入ると、ふーっと息を吐き出した。
 きらびやかな絨毯が敷かれた床に両手を当て、両目をつむる。

 王女『――隠れる者を嗅ぎ出せ』

以下略 AAS



30:名無しNIPPER
2023/06/08(木) 23:41:15.34 ID:dr7q0Gdl0
 王女(城内にいるのはひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ――)
 王女(うーん。多すぎて数えきれないや。でも、みんな忙しく動き回っているし、給仕さんか兵士さんかな?)
 王女(お兄ちゃんならきっと、見つからないようにどっかでジッとしてるはず)
 王女(どこにいるだろー、っと!?)
 王女(魔王の一族にだけ伝わる秘密の小部屋に人影あり!)
以下略 AAS



31:名無しNIPPER
2023/06/08(木) 23:41:43.47 ID:dr7q0Gdl0
今日はここまでです


32:名無しNIPPER
2023/06/08(木) 23:44:39.33 ID:dr7q0Gdl0
>>18
ありがとうございます!
遅筆のため遅いとは思いますが、ゆっくり書いていけたらなと思います。


33:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:28:42.61 ID:sZTlet6c0
 魔王城、秘密の小部屋。
 戦時の際に魔王の一族が身を潜めるために作られたその部屋には、丁寧に床に積まれた本の数々とそのうちの一冊を読む王子の姿があった。
 王子『――よって、魔法の優劣を決めるのは、使い手自身の精神エネルギーの大小だけではない』
 王子『呪文の出来によっても魔法の質は少なからず変わると結論づけられる。考察終わり』パタン
 王子『……なるほどなぁ』ンー
以下略 AAS



34:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:29:10.17 ID:sZTlet6c0
 王子『まっ、それもそうか。僕みたいな凡才が思いつくことは、この人みたいな天才にとって些細なものだろうし』
 王子『……はぁー。天才の頭を覗いてみたいよ』
 王子『そうしたら、きっと、今より魔法が上手くなれるんだろうなあ』
 王子『…………』ハァー
 王子『……よしっ。次はどの考察を読もうか――』
以下略 AAS



35:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:29:36.32 ID:sZTlet6c0
 王子『おっ、王女か。びっくりしたぁ』
 王女『びっくりしたぁ、じゃないよお兄ちゃんっ。今何時だと思ってるの?』
 王子『え? んー、何時だろ。9時ぐらいか?』
 王女『分かんない!』
 王子『えー……』
以下略 AAS



36:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:30:11.02 ID:sZTlet6c0
 王子『僕はいいや。母さんと父さんがいれば十分だろ』
 王女『十分じゃないよーっ。王様に顔を見せないと!』
 王子『顔を見せたところでなにするんだよ』
 王女『……んー、お話とか?』
 王子『王様に話すことなんかないだろ。僕たち子供が』ハァー
以下略 AAS



37:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:30:37.31 ID:sZTlet6c0
 王女『そうかなー? 王様はいつもニコニコしながら聞いてくれるよ? 学校の話とか』
 王子『あのなあ。魔王の子供だから優しくしてくれてるだけで、王様だって本当は子供の話なんかに時間を割きたくないっての』
 王女『そうなの?』
 王子『そうに決まってんだろ。大人は忙しいもんだ』
 王女『でも、この前、帰る途中に魔王城の広場で街の子供たちと一緒にボール蹴ってたよ?』
以下略 AAS



38:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:31:32.33 ID:sZTlet6c0
 王子『どうせ、昼の会食には参加しろって感じだろ? 心配すんな。その時には戻るから』
 王女『……分かった』
 王子『なら帰れ帰れ。僕は忙しいんだ』
 王女『忙しい? ――あっ』



39:名無しNIPPER
2023/06/11(日) 01:31:58.41 ID:sZTlet6c0
 王女『その本、賢者の残した考察だ! 図書館から持ち出したらいけないなやつ!』
 王子『……いいだろ、別に。こんな機会じゃなきゃ落ち着いて読めないんだから』ハァー
 王女『危険なものもあるから子供だけで読んだらいけないんだよ?』
 王子『大丈夫だよ。そんなの、大人のざれごとだ』
 王女『ふーん……』ジー
以下略 AAS



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