王子『はちじょうひとまのワンルーム?』
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61:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:23:37.18 ID:49rnlsyO0
 少女「ずぶ濡れのままで風邪引いちゃいけないから、すぐそこの診療所に行こっか」ニコッ
 ゼロ距離で笑みを浮かべる少女。
 仲の良い女性と言えば母と妹ぐらいしかいない王子にとって、その笑顔は彼をノックアウトするには十分すぎた。
 王子『――あっ』ブシュッ
 少女「きゃっ」
以下略 AAS



62:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:24:07.89 ID:49rnlsyO0
 少女「わっ、大丈夫!? 凄い鼻血出したけど」
 王子『』ピクピク
 少女「おーい! 聞こえてますかー!」
 王子『』ピクピク
 少女「これは本当にやばそう。誰かー! 誰かー!」
以下略 AAS



63:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:24:36.58 ID:49rnlsyO0
 次に王子が目を覚ましたとき、そこは地面の上ではなく、ふかふかのベッドの上だった。

 王子『あれ? ここは?』
 王子『……確か、めちゃくちゃ綺麗な人になんか助けられたような』
 王子『……夢だったのか?』
以下略 AAS



64:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:25:25.73 ID:49rnlsyO0
 王子はベッドから降り、辺りを見回す。

 王子『古いけど清潔感のある部屋だ。あと、見たことのないものがいっぱいある』
 王子『というか、外は凄く暑かったのに、なんでこの部屋は涼しいんだろう』
 王子『ん? あのゴウゴウ鳴いてるものから冷たい風が出てきてるぞ』
以下略 AAS



65:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:25:51.91 ID:49rnlsyO0
 王子『そうだ。確か“くーらー”だ! お父さんが言ってた』
 王子『日本という国には季節があって、めちゃくちゃ暑い季節があるから、みんなそれを使って部屋で涼むとか』
 王子『そうか。これが件のくーらーかあ。実物を見るのは初めてだなあ』シミジミ
 王子『こんなに角ばってるんだなあー。いやあ、いいものを見たなー』ウンウン
 王子『……いやいやいやいや!』ブンブンブンブン
以下略 AAS



66:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:26:25.58 ID:49rnlsyO0
 王子『なんでくーらーがこの部屋にあるんだ!?』
 王子『くーらーがあるってことは日本ってことだろ!』
 王子『だって、俺がいるこの場所は――』

 そこまで口にして、王子はハッと気づく。
以下略 AAS



67:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:26:53.83 ID:49rnlsyO0
 王子『……莫大なマギカの衝突におけるワームホールの発生』
 王子『その歪みに巻き込まれて』
 王子『別の世界に飛ばされた?』
 王子『もしかして、もしかしてだけれど。ここは――』



68:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:27:22.04 ID:49rnlsyO0


王子『日本?』


以下略 AAS



69:名無しNIPPER
2023/06/12(月) 22:27:48.09 ID:49rnlsyO0
今日はここまでです。


70:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:11:14.52 ID:fBL0rP/L0
 女「――おっ、目ぇ覚めた?」ガチャ
 王子『』ビクゥ
 女「あははっ。そんな驚かんでええやん。まあ言葉も通じへんし、知らん土地で知らん奴相手やと敏感にもなるわなぁ」
 王子『……平べったい顔の、人間?』
 女「ちょっと失礼」ジー
以下略 AAS



71:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:11:40.92 ID:fBL0rP/L0
 女「やっぱり見れば見るほどそっくりやなあ」シミジミ
 王子『?』
 男「失礼します」ガチャ
 王子(……また平べったい顔の人間がひとり)
 女「あっ、お父さん」
以下略 AAS



72:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:14:58.15 ID:fBL0rP/L0
 女「ごめんなあ。あっ、少女ちゃんは?」
 男「遅くなりそうなので帰らせましたよ。ここからだと電車で1時間ぐらいかかりますしね」
 女「そっかあ。車で送ってあげたら良かったなあ」
 男「言ったんですけどね。定期があるので大丈夫です、って断られましたよ」
 女「律儀やねえ。ってかな、お父さん。この子、あんまりにも魔王ちゃんに似てない?」
以下略 AAS



73:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:15:25.50 ID:fBL0rP/L0
 女「びっくりしたわ、ほんま。しかも少女ちゃんに話を聞いたら、あたしが魔王ちゃんと出会った場所とほぼ一緒やし」
 男「川で流れててびしょ濡れになって、僕の診療所までやってきたことも同じですしね」フフッ
 女「偶然って重なるもんなんやねえ」
 男「珍しすぎる気がしますが……」
 王子『……あ、あの!』
以下略 AAS



74:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:15:56.43 ID:fBL0rP/L0


 男『こんにちは。おカラダはダイジョウブですか?』

 王子『言葉が分かるんですか!?』ガシッ
以下略 AAS



75:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:16:24.22 ID:fBL0rP/L0
 男『いっ、イタいです。おちついて』
 王子『あっ……す、すみません』ジワッ
 男『どうしました? やっぱりどこかイタミますか?』
 王子『い、いや。なんていうか、その……痛いところはないんですけど、なんかホッとして』
 男『……フフッ。シラナイ土地でシッテル言葉をキくとアンシンしますよね』
以下略 AAS



76:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:16:50.43 ID:fBL0rP/L0
 男『魔王サンと勇者クンにこの国の言葉を教えたのは僕だからね』ニコッ

 王子『……日本の、母さんと父さんの友人の男性』
 男『そうですね。ちなみに、そこにいる僕の奥サンも2人のユウジンですよ』ニッ
 女「ブイ」ニッ
以下略 AAS



77:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:17:18.53 ID:fBL0rP/L0
 王子『あなたが、あの魔王と人間の王の一幕に出てくる――傷ついた人を助け、生かすことに尽力する男!』
 男「ええ……?」
 王子『そしてあなたが、相手に優しくすることに理由はいらない。そう教えてくれた女!』
 女「なんよそれ……?」 
 王子『そういうことですね!?』
以下略 AAS



78:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:17:47.23 ID:fBL0rP/L0
 王子『……えっ、あっ、そうか。2人は、魔王と人間の王の一幕を知らないのか』
 男『ええ。そちらのセカイに言ッタことがありませんから』
 王子『……すいません。あの伝説の2人に会えると思ってなくて。舞い上がっちゃいました』
 女「伝説って」
 男『……言イ過ギですね』
以下略 AAS



79:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:18:13.82 ID:fBL0rP/L0
 王子『……あっ』
 女「大きい腹の虫さんやね」クスクス
 男『ゲンキな証拠だ。キミさえ良ければ、ウチでゴ飯を食べますか?』
 王子『……い、いいんですか』
 男『もちろん。それに……』
以下略 AAS



80:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:18:39.86 ID:fBL0rP/L0
 男『そちらのセカイのことと、魔王サンと勇者クンの話を聞カセテもらってもいいですか?』ニコッ
 女「いやはや。もう二度と会えないと思ってた親友のお子さんと会えるなんて、人生なにが起きるか分からんねえ」

 人の良さそうな2人の笑み。
 見知らぬ土地で話も通じない環境で。
以下略 AAS



81:名無しNIPPER
2023/06/26(月) 23:19:12.08 ID:fBL0rP/L0
今日はここまでです


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